草加の爺の親世代へ対するボヤキ

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草加の爺(じじ)

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2024年06月14日
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わが背子に わが戀ひ居(を)れば わが屋戸(やど)の 草さへ思ひ うらぶれにけり(― わが

背子を恋しく思っていると、庭先の草さえもが、思いに沈んでしょんぼりしているのだった)


淺茅原(あさぢはら) 小野(をの)に標(しめ)結(ゆ)ひふ 空言(むなこと)も いかなりとい

ひて 君をし待たむ(― 浅茅原に標を結っても虚しいように、虚しい嘘にしても人には何だと

言ってあなたをお待ちしていましょうか)


路(みち)の邉(べ)の 草深百合(くさふかゆり)の 後(ゆり)ととふ 妹が命を われ知らめや

も(― 道の辺の草深百合の名のように、そのユリではないけれども、後(ゆり)でと言う妹の命

を私は知ろうか、知りはしない。だから、早く会いたい)


湖葦(みなとあし)に 交(まじ)れる草の 知草(しりくさ)の 人みな知りぬ わが下思(した



た恋を)


山萵苣(やまちさ)の 白露しげみ うらぶるる 心も深く わが戀止(や)まず(― 山ヂサ・山

に生えているチサ、初夏に房状の白い花をつける が白露の重さにうなだれるように、打しおれ

る気持も深く、私の恋は止むことがない)


湖(みなと)にさ根延(は)ふ 小菅(こすげ)忍びずて 君に戀つつ ありかてぬかも(― 水門

の辺りに根を張っている菅の根が、外に現れるように、心に秘めておくことができずに、あなた

が恋しくて耐え難いことです)


山城の 泉の小菅 おしなみに 妹が心を わが思はなくに(― 山城の泉の里の小菅が押しな

びいているようにオシナミニ、普通には妹のことを思ってはいません)


見渡しの 三室(みむろ)の山の 巖菅(いはほすげ) ねのころわれは 片思(かたもひ)そする

(― 向こうに見える三室の山の岩菅の根が細かいように、心細かに私は片思いをしています)




にねもころに、心を込めてあなたが結んで下さった私の下紐を解く人はいません)


山菅(やますげ)の 亂れ戀ひのみ 爲(せ)しめつつ 逢はぬ妹かも 年は經につつ(― 山菅の

根の乱れているように心乱れた恋をさせるばかりで、逢ってはくれない妹であるなあ)


わが屋戸(やど)の 軒のしだ草 生(お)ひたれど 戀忘草 見れど生(お)ひなく(― わが家

の入口の軒のシダ草は大きくなったけれど、恋忘草は見てもまだ生えないことだ)




り寝(ぬ)る(― 耕した田にはひえは数多くあるのだが、その中から選り捨てられた私は、夜淋

しく一人寝ることだ)


あしひきの 名に負ふ山菅(やますげ) 押しふせて 君し結ばば 逢はざらめやも(― 有名な

山菅を押し伏せて結ぶように、あなたが強いて縁を結ぼうとするなら、どうして私と縁が結べな

いはずがありましょうか)


秋柏(あきかしわ) 潤和川(うるわかは)邉(べ)の 小竹(しの)の芽の 人には逢はね 君にあ

へなく(― 潤和川の川辺の小竹の芽が人目につかないように、他の人に顔を合わせないのです

が、あなたに対しては、逢わずにいることができません)


さね葛(かづら) のちも逢はむと 夢(いめ)のみに 祈誓(うけ)ひわたりて 年は經につつ

(― 将来会えるかしらと、夢でウケヒつづけるばかりで、年は経ってしまうことだ)


路の邉(べ)の 壱師(いちし)の花の いちしろく 人皆知りぬ わが戀妻を(― 道のほとりの

イチシの花のようにはっきりと、人は皆知ってしまった、私の恋しい妻を)


大野らに たどきも知らず 標結(しめゆ)ひて ありそかねつる わが戀ふらくは(― 広い野

原に様子もわからずシメを結うような不確かな約束をして、私は不安でじっとしてはいられませ

ん、恋心のために)


水底(みなそこ)に 生ふる玉藻の うち靡き 心は寄りて 戀ふるこのころ(― 水底に生え伸

びている玉藻がなびくように、心はあなたになびいて恋しいこの頃です)


敷栲(しきたへ)の 衣手(ころもで)離(か)れて 玉藻なす 靡きか寝(ね)らむ 吾(わ)を待

ちがてに(― 私の袖を離れて吾妹子は、玉藻のようになびきつつ淋しく寝ているであろう。私

を待っていても会えなくて)


君來(こ)ずは 形見にせむと わが二人 植ゑし松の木 君を待ち出(い)でむ(― もしあなた

が来なければ形見にしようと我々二人で植えた松の木は、マツの名の通りにあなたを待ってきっ

と逢うことを果たすでしょう)


袖振らば 見ゆべきかぎり われはあれど その松が枝(え)に 隠(かく)れたりける(― 別れ

の袖を振ったならば、ぎりぎり一杯で見えそうなところに私はいるのだが、そこの松に隠れてし

まって相手が見えない)  別れていく男の歌とも、見送る女のものとも、二通りに解釈できる。


血沼(ちぬ)の海の 濱邊の小松 根深めて われ戀ひわたる 人の子ゆゑに(― チヌの海の浜

辺の小松は根が深いが、そのように私は深く思い続けるであろう、人妻であるのに)


奈良山の 小松が末(うれ)の うれむぞは わが思ふ妹(いも)に 逢はず止(や)みなむ(― 

どうして私の思う妹に会わずに止むことがあろうか)


磯の上に 立てるむろの樹 ねもころに 何か深めて 思ひ始(そ)めけむ(― どうしてこんな

にも心に深く恋心を抱き始めたのであろうか)


橘の下(もと)に吾(わ)を立て 下枝(しづえ)取り 成らむや君と 問ひし子らはも(― 橘

の木の下に私を立たせ、下枝を取り、この実がなるように私の恋がうまくいくでしょうかと訊い

た子は、今どうしているだろうなあ)


天雲(あまくも)に 翼(はね)うちつけて 飛ぶ鶴(たづ)の たづたづしかも 君坐(いま)さね

ば(― ああ頼りなくて心もとない。あなたがおいでにならないので)


妹(いも)に戀ひ 寝(い)ねぬ朝明(あさけ)に 鴛鴦(をしどり)の ここゆ渡るは 妹が使か

(― 妹が恋しくて寝られなかった朝、オシドリがここを渡っていくのは妹の使だろうか)


思ふにし 餘りにしかば にほ鳥の なづさひ來(こ)しを 人見けむかも(― 心に余って何と

もしようがなかったので、足を濡らしてやって来たのを、人が見ただろうか)


高山の 峯行くししの 友を多み 袖振らず來(き)つ 忘ると思ふな(― 高山の峯を行くシシ

が連れが多いように、連れ立つ人が多かったので袖を振らずに来たのです。忘れたと思わないで

下さい)


大船に 眞楫(まかぢ)繁(しじ)貫(ぬ)き 漕ぐ間(ほと)も ここだく戀し 年にあらば如何

(いか)に(― 大船に櫓を揃えて漕ぐ、つかの間もこんなに甚だしく恋しい。これが一年間も会

わずにいるのだったらどんなだろう)


たらちねの 母が養(か)ふ蠶(こ)の 繭(まよ)隠(こも)り 隠れる妹を 見むよしもがも(―

 母が飼っている蚕が繭に隠れるように、篭って人に会わない妹に、会う手立てが欲しい)


肥人(こまひと)の 額髪(ぬかがみ)結(ゆ)へる 染木綿(しめゆふ)の 染(し)みにしこころ

われ忘れめや(― あなたに深く染みついた心を私は忘れようか、忘れはしない)


隼人(はやひと)の 名に負(お)ふ夜聲 いちしろく わが名は告(の)りつ 妻と恃(たの)ませ

(― 隼人の有名な夜声がはっきり聞こえるように、はっきりと私の名を申しました。この上は

妻として信頼してください)


劔(つるぎ)刀(たち) 諸刃(もろは)の利(と)きに 足踏(ふ)みて 死なば死ぬとも 君に依

りなむ(― 両刃の鋭い剣刀を足で踏んで死ぬように、たとい死ぬなら死のうともあなたに寄り

添います)


吾妹子に 戀ひし渡れば 剱刀(つるぎたち) 名の惜しけくも 思ひかねつも(― 吾妹子に恋

い続けているので、たとい評判が立っても、名の惜しいことも考えていられません)


朝(あさ)づく日 向(むか)ふ黄楊櫛(つげくし) 舊(ふ)りぬれど 何しか君が 見れど飽かざ

らむ(― 二人は随分と古い仲だけれど、どうして貴方は見れども飽きないのでしょうか)


里遠み 戀ひうらぶれぬ 眞澄鏡(まそかがみ) 床(とこ)の邉(へ)去らず 夢(いめ)に見えこ

そ(― 里が遠いので恋しさに萎れてしまいました。どうか、床の辺を去らないで夢に現れて下

さいな)


眞澄鏡(ますかがみ) 手にとりもちて 朝な朝な 見れども君は 飽くこともなし(― 真澄の

鏡を手に取って持って、毎朝毎朝見ても見飽きないように、いつ見ても見飽きないあなたです)


夕されば 床(とこ)の邉(へ)去らぬ 黄楊枕(つげまくら) 何しか汝(なれ)が 主(ぬし)ま

ちがたし(― 夕方になると床の辺を離れない黄楊の枕よ、どうしてお前は、お前の主を待ち付

けることが出来ないのか)


解衣(とききぬ)の 戀ひ亂れつつ 浮沙(うきまなご) 生きてもわれは あり渡るかも(― 解

き衣が乱れるように恋心に乱れ、水に浮く浮き沙・すな のように儚く生きて、私は命を長らえ

ています)


梓弓(あづさゆみ) 引きて許さず あらませば 斯(か)かる戀には 逢はざらましを(― もし

心を許さなかったら、今頃こんな苦しい恋には遭わなかったであろう)


言霊(ことたま)の 八十(やそ)の衢(ちまた)に 夕占(ゆふけ)問ふ 占(うら)正(まさ)に告

(の)る 妹はあひ寄らむ(― 言語の働く巷で夕占・夕方に人の行き来をする街角に立って人の

言語で吉凶を占うこと をして問うてみると、占にまさしくあらわれた、妹は私に寄るだろうと)


 玉鉾(たまほこ)の 路行占(みちゆきうら)に うらなへば 妹は寄らむと われに告(の)りつ

る(― 道を行く人の言葉で占うと、妹は私に逢うだろうとのお告げであった)





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最終更新日  2024年06月14日 17時04分04秒
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