草加の爺の親世代へ対するボヤキ

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草加の爺(じじ)

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2024年07月04日
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ちはやぶる 神の齊垣(いかき)も 超えぬべし 今はわが名の 惜しけくも無し(― 神社の神

聖な齊垣でさえも超えてしまいそうです、恋心の苦しさで。私はもう名も何も、惜しくはありま

せん)


夕月夜(ゆふづくよ) 暁闇(あかときやみ)の 朝影に わが身はなりぬ 汝(な)を思ひかねに

(― 朝影のようにやせ細ってしまったよ、お前を思うに耐えかねて)


月しあれば 明(あ)くらむ別(わき)も 知らずして 寝(ね)てわが來(こ)しを 人見けむかも

(― 月が出ていたので、外では夜も明けたかどうかも分からずに、寝過ごして帰ってきた私を

、人が見ただろうか)


妹(いも)が目の 見まく欲(ほ)しけく 夕闇の 木(こ)の葉(は)隠(ごも)れる 月待つ如し




眞袖もち 床(とこ)うち拂ひ 君待つと 居(を)りし間(あひだ)に 月かたぶきぬ(― 両袖

で床を打ち払って、わが君をお待ちする積りで坐っておりますうちに、月が傾いてしまいました)


二上(ふたがみ)に 隠らふ月の 惜しけども 妹が手本(てもと)を 離(か)るるこのころ(―

 二上山に隠れる月のように惜しいけれども、妹の袂を離れているこのころです)


わが背子が ふり放(さ)け見つつ 嘆くらむ 清き月夜(つくよ)に 雲なたなびき(― わが背

子が振り仰いで見遣りながら今でも嘆いているであろうこの清い月に、雲よ、かからないでおく

れ)


眞澄鏡(まそかがみ) 清き月夜(つくよ)の 移(うつ)りなば 思ひは止(や)まず 戀こそ益

(ま)さめ(― 清く照る月が空を渡っていったなら、恋しい人に対する我が思いはやまず、恋し

さは一層勝るであろうに)


今夜(こよひ)の有明の 月夜(つくよ)ありつつも 君をおきては 待つ人もなし(― 私にとっ




この山の 嶺に近しと わが見つる 月の空(そら)なる 戀もするかも(― この山の嶺に近い

なあと私が見たあの月が手に取れないように、憧れるだけの中空な恋をすることだ)


ぬばたまの 夜渡る月の 移(ゆつ)りなば さらにや妹(いも)にわが恋ひ居(を)らむ(― 夜

空を渡っていく月が移って行ったら、今よりも一層激しく妹を恋しく想い続けるでしょうね)


朽網山(くたみやま) 夕居(ゐ)る雲の 薄れ行かば われは戀ひむな 君が目を欲(ほ)り(―



見たくて)


君が着る 三笠の山に 居(ゐ)る雲の 立てば纘(つ)がるる 戀もするかな(― 三笠の山にか

かっている雲が消え失せると直ぐ、かかって絶えないように、止むときもない恋をすることであ

るよ)


ひさかたの 天(あめ)飛ぶ雲に ありてしか 君を相見む おつる日なしに(― 天を飛ぶ雲で

あったならばなあ、あなたをかかさずに見ることができるように)


佐保の内ゆ 嵐の風の 吹きぬれば 還(かへ)るさ知らに 嘆く夜そ多き(― 佐保の地内を嵐

の風が激しく吹くので、いつ帰ったらよいのかわからなくて、嘆く夜が多いことです)


愛(は)しきやし 吹かぬ風ゆゑ 玉匣(たまくしげ) 開(あ)けてさ寝にし われそ悔(くや)し

き(― ああ、心を寄せて下さるのではなかったのに。おいでを待って、戸を開けて寝た私の

愚かさが後悔される)


窓越しに 月おし照りて あしひきの 嵐吹く夜は 君をしそ思ふ(― 窓越しに月が照って山

の嵐の吹く夜は、わが君の事を思う)


川千鳥 住む澤の上(へ)に 立つ霧の いちしろけむな 相言ひ始(そ)めたば(― 川千鳥の住

む沢の上に立つ白い霧がはっきりと見えるように、人目に立つことだろうな。互いに逢い始めた

ならば)


わが背子(せこ)が 使を待つと 笠も着ず 出でつつそ見し 雨の降らくに(― わが背子の

使を待つとて、笠もかぶらずに戸外に出てみたことである。雨の降るのに)


韓衣(からころも) 君に打ち着せ 見まく欲り 戀ひそ暮らしし 雨の降る日を(― 外国風の

洒落た着物をわが君に着せてみたいと思い、雨の降る一日を、君を恋いつつ暮らしたことである)


彼方(をちかた)の 赤土(はにふ)の小屋(をや)に こさめ降り 床(とこ)さへ濡れぬ 身に副

(そ)へ吾妹(わぎも)(― あっちの赤土の所の小屋は、小雨が降って床までが濡れてしまった。

私の身に寄り添いなさい吾妹よ)


笠無(な)みと 人には言ひて 雨障(あまつつ)み 留(とま)りし君が 姿し思ほゆ(― 笠が

ないからと人には言って雨に降込められて帰らずにいたわが君の姿が、今も目の前に見える)


妹(いも)が門(かど) 行き過ぎかねつ ひさかたの 雨の降らぬか 其(そ)を因(よし)にせむ

(― 妹の家の門の前を通り過ぎることができない。雨でも降らないかなあ。それを口実にして

立ち寄ろうものを)


夕占(ゆうけ)問(と)ふ わが袖に置く 白露を 君に見せむと 取れば消(け)につつ(― 夕

占をする私の袖に置く白露をあなたに見せようと手に取れば消えてしまった)


櫻麻(さくらを)の 苧原(をふ)の下草 露しあれば 明(あか)してい行け 母は知るとも(―

桜麻の麻原の下草は露に濡れていますから、私の家で夜を明かしておいでなさいな、母が気づこ

うとも)


待ちかねて 内には入らじ 白栲(しろたへ)の わが衣手(ころもで)に 露は置きぬとも(― 

あなたのおいでを待ちきれずに内に入ることは致しますまい。白栲の私の袖にたとい露は置こう

とも)


朝露の 消(け)やすき わが身老いぬとも また若(を)ちかへり 君をし待たむ(― 朝露のよ

うに消えやすいわが身は、たとい年老いようとも、再び若返ってわが君をお待ちしましょう)


白栲の わが衣手に 露は置き 妹は逢はさず たゆたひにして(― 私の袖に露は置くけれど

も妹は逢ってくれない、気持が揺れていて)


かにかくに 物は思はじ 朝露の わが身一つは 君がまにまに(― あれこれと物思いは致し

ますまい。朝露のように儚い私の身一つは、どうぞあなたのお心のままに)


夕凝(ゆふこ)りの 霜置きにけり 朝戸(あさと)出(で)に はなはだ践(ふ)みて 人に知らゆ

な(― 夕方凝った霜が庭に置いています。朝家を出る時にひどく踏み乱して、あなたのおいで

を人に知られなさいますな)


斯(か)くばかり 戀ひつつあらずは 朝に日(け)に 妹(いも)が履(ふ)むらむ 地(つち)に

あらましを(― こんなに恋の思いに苦しんでいずに、いっそ朝に昼に妹が踏んでいる土になれ

ばよかったのに)


あしひきの 山鳥の尾の 一峯(ひとを)越え 一目見し兒に 戀ふべきものか(― たった一目

見ただけの児を、こんなにも恋しく思うべきであろうか)


吾妹子(わぎもこ)に 逢う縁(よし)を無み 駿河(するが)なる 不盡(ふじ)の高嶺(たかね)

の 燃えつつかあらむ(― 吾妹子に逢うきっかけがないので、駿河の国の不尽の高嶺のように

心の中で燃え続けていくことであろうか)


荒熊の 住むといふ山の 師歯迫山(しはせやま) 責(せ)めて問ふとも 汝(な)が名(な)は告

(の)らじ(― 人が責め立てて訊きただしても、決してあなたの名は申しますまい)


妹が名も わが名も立たば 惜しみこそ 布士(ふじ)の高嶺(たかね)の 燃えつつ渡れ(― 妹

も私も、名を汚しては惜しいと思うからこそ、心の中では不尽の高嶺のように燃えつつも外には

現さずに焦がれ続けているのに、私に誠意が無いように責めるとは)


行きて見て 來(く)れば戀しき 朝香潟(あさかがた) 山越(ご)しに置きて 寝(い)ねかてぬ

るかも(― 恋しい人のいる朝香潟を山越しにおいて、私は眠れない)


安太人(あだひと)の 魚梁(やな)うち 渡す瀬を速み 心は思うへど 直(ただ)に逢はぬかも

(― 安太人が魚梁を打つ瀬の流れが激しいように、周囲の状況が厳しいので心では思っている

が直接逢えないことである)


玉かぎる 石垣淵(いはかきふち)の 隠(こも)りには 伏して死ぬとも 汝(な)が名は告らじ

(― 家にこもったまま人知れず倒れふして死のうとも、あなたの名は人に打ち明けはしません)


飛鳥川(あすかがは) 水行き増(まさ)り いや日けに 戀の増(まさ)らば ありかつましじ

(― 飛鳥川の水が増して行くように日増しに恋心が募ったなら、とてもいられないことであろ

う)


眞薦(まこも)刈る 大野川原(おほのかはら)の 水隠(みこも)りに 戀ひ來(こ)し妹(いも)

が紐解くわれは(― 密かに慕い続けてきた妹の紐を今解くことである、私は)


あしひきの 山下響(とよ)みゆく水の 時ともなくも 戀ひ渡るかも(― 山下を響かせて流れ

ていく水の時を定めないように、いつも恋しく想い続けております)


愛(は)しきやし 逢はぬ君ゆゑ 徒(いたづら)に 此の川の瀬に 玉裳ぬらしつ(― ああ、逢

ってくださらないあなたですのに、虚しく私はこの川の瀬で玉裳を濡らしてしまいました)


泊瀬川(はつせかは) 速み早瀬を 掬(むす)び上げて 飽かずや妹と 問ひし君はも(― 泊瀬

川の流れが速いので、私に代わって早瀬の水を手に結んで、もっと欲しいかと私に優しく訊ねた

わが君、ああ、今はもういないのだ)


青山の 石垣沼(いはかきぬま)の 水隠(みこも)りに 戀ひや渡らむ 逢ふ縁(よし)を無み

(― 青山の石で囲われた沼が水で隠れるように、隠れ忍んで想い続けることであろうか。逢う

手立てがなくて)





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最終更新日  2024年07月04日 15時09分26秒
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