草加の爺の親世代へ対するボヤキ

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草加の爺(じじ)

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2024年07月16日
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水潜(くく)る 玉にまじれる 磯貝の 片戀のみに 年は經につつ(― 水の底の玉に混じって

いる一枚貝の磯貝ように、片恋のみしているうちに年は経っていく)


住吉(すみのえ)の 磯に寄るとふ うつせ貝(かひ) 實なき言(こと)以(も)ち われ戀ひめや

も(― あなたの実のない、真実のない言葉によって、あなたを恋したりは致しません)


伊勢の白水郎(あま)の 朝(あさ)な夕(ゆう)なに 潜(かづ)くとふ 鰒(あはび)の貝の 片

思(かたもひ)にして(― 私の恋は伊勢の海人が朝夕に水に潜って取るというアワビの一枚貝の

ように片思いなのです)


人言(ひとごと)を 繁みと君を 鶉(うづら)鳴く 人の古家(ふるへ)に 語らひて遣(や)りつ

(― 人の噂が喧しいからとて、あなたを鶉の鳴くような人目に立たない古びた家でお逢いして




暁(あかとき)と 鶏(かけ)は鳴くなり よしゑやし 獨り寝(ぬ)る夜は 明けば明けぬとも

(― もう暁だと鶏は鳴くのが聞こえる。君は来まさず、私一人寝る夜は、ええ、明けるなら明

けようとも構わない)


大海(おほうみ)の 荒磯(ありそ)の渚鳥(すどり) 朝な朝な 見まく欲(ほ)しきを 見えぬ君

かも(― 大海の荒磯の渚の鳥を毎朝見るように、朝な朝なお顔を見たいと思うのに、お出でに

ならないわが君ですこと)


思へども 思ひもかねつ あしひきの 山鳥の尾の 長きこの夜を(― 恋しいあなたのことを

思っていたけれども、心が乱れて、じっと思い続けていることが出来ませんでした、長い、長い

この一晩中)   或る本の歌=あしひきの 山鳥の尾の しだり尾の 長長(ながなが)し夜を獨

りかも寝む(― 山鳥の尾の、しだり尾の様に長い、長い夜を一人で寝るのであろうか)


里中に 鳴くなる鶏(かけ)の 呼び立てて いたくは鳴かぬ 隠妻(こもりづま)はも(― 里の




高山に たかべさ渡り 高高(たかたか)に わが待つ君を 待ち出(で)てむかも(― 高山にコ

ガモ・我が国にいる鴨類のうちで最小のもの、猟鳥として知られている、背中に模様がある が

渡って高々と飛ぶように、高々と背伸びをしてあなたをお待ちしていると、現れてくださるでし

ょうか)


伊勢の海ゆ 鳴き來(く)る鶴(たづ)の 音(おと)どろも 君が聞(きこ)さば われ戀ひめやも



聞かせて下さるなら、私は何で恋しく思うことがありましょうか)


吾妹子(わぎもこ)に 戀ふれにかあらむ 沖に住む 鴨の浮寝(うきね)の 安けくもなき(― 

吾妹子を思い慕っているからであろうか、沖に住む鴨の浮寝の落ち着かないように、私は安らか

な思いがしない)


明けぬべく 千鳥數(しば)鳴く 白栲(しろたへ)の 君が手枕(たまくら) いまだ飽(あ)かな

くに(― 夜が明けてしまいそうだと千鳥がしきりに鳴いている。わが君の手枕にまだ、すっか

り満足したというわけでもないのに)


  ( これからは問答体の形式で、二首でひと組である )

眉根(まよね)掻き 鼻(はな)ひ紐解け 待てりやも 何時(いつ)かも見むと 戀ひ來(こ)しわ

れを(― 眉を掻き、くしゃみをし、紐も解けて待っていましたか、何時逢えるかしら、早く逢

いたいと恋しくて来た私を)

今日なれば 鼻(はな)ひ鼻(はな)ひし 眉痒(かゆ)み 思ひしことは 君にしありけり(― 

くしゃみをしたり、眉が痒かったのは今日になってみると、あなたのせいだったと分かりました)


音のみを 聞きてや戀ひむ 眞澄鏡(まそかがみ) 直目(ただめ)に逢ひて 戀ひまくもいたく

(― 評判だけを聞いて恋しく思うでしょうか、それなのに私はこんなにも恋しい。だから、直

接逢えばひどく恋しく思うことでしょう)

この言(こと)を 聞かむとならし 眞澄鏡 照れる月夜(つくよ)も 闇のみに見つ(― あなた

のこの嬉しい明るいお言葉を聞きたいというわけでしょうか、夜空に皓々と照る月さえ闇と見え

たのです)


吾妹子(わぎもこ)に 戀ひて為方(すべ)なみ 白栲(しろたへ)の 袖反(かへ)ししは 夢(い

め)に見えきや(― 吾妹子が恋しくて仕方がないので、袖を折り返して寝たのは夢に見えたでし

ょうか)

わが背子(せこ)が 袖反す夜の 夢ならし まことも君に 逢へりし如し(― わが背子が袖を

折り返してお寝になった夜の夢でしょう。真実にあなたにお逢いしたように思われました)


わが戀は 慰めかねつ ま日(け)長く 夢(いめ)に見えずて 年の經ぬれば(― 私の恋は慰め

鎮めることが出来ません。ずーっとあなたが夢に見えずに長く年を経ましたから)

ま日(け)長く 夢にも見えず 絶えぬとも わが片戀は 止(や)む時もあらじ(― ずっと長ら

く夢にも見えず絶えてしまっても、私の片思いは止む時もありますまい)


うらぶれて 物な思ほし 天雲(あまくも)の たゆたふ心 わが思はなくに(― 憂いしおれて

物思いなどなさいますな、私は断じて揺らいだ気持など持ってはおりませんので)

うらぶれて 物は思はじ 水無瀬川(みなせがは) ありても水は ゆくといふものを(― 私は

うらぶれて物思いなど致しますまい。水無瀬川にも時が経てば水が流れると言うことですからね)


杜若(かきつばた) 咲く沼(ぬ)の菅(すげ)を 笠に縫ひ 着む日を待つに 年そ經にける(―

カキツバタが咲く沼の菅を笠に縫ってかぶる日を待っているうちに、年が経ってしまった。結婚

できないで徒らに年月が経過してしまったよ)

おし照(て)る 難波菅笠(なにはすがかさ) 置き古(ふる)し 後は誰(た)が着む 笠ならなく

に(― 置き古したならば、後で誰かがかぶるような、そんな菅笠では私はないのです)


斯(か)くだにも 妹(いも)を待ちなむ さ夜更(ふ)けて 出で來(こ)し月の 傾(かたぶ)く

までに(― せめてこうしてでも妹を待ちましょう、夜更けてやっとさし登ってきた月が傾くま

でも)

木の間(ま)より 移ろふ月の 影を惜しみ 徘徊(たちもとほ)るに さ夜更けにける(― 木の

間を移っていく月が惜しくって歩き回っているうちに、気が付くと夜が更けていたのでした)


栲領巾(たくひれ)の 白濱波の 寄りも肯(あ)へず 荒(あら)ぶる妹に 戀ひつつそ居(を)る

(― 近寄ることもできない程に私を疎んじている妹を、恋しく思っています)

かへらまに 君こそわれに 栲領巾の 白濱波の 寄る時も無き(― 何を仰言いますか、逆に

あなたこそ私にちっとも近寄って来る時もないではありませんか)


思ふ人 來(こ)むと知りせば 八重葎(やへむぐら) おほへる庭に 珠敷(し)かましを(― 

あなたさまがおいでにならろうと知ってしましたならば、八重葎の茂った庭に玉を敷きましたも

のを)

玉敷ける 家を何せむ 八重葎 おほへる小屋(をや)も 妹とし居(を)らば(― 玉を敷いた家

も何にしよう、八重葎の覆い繁った小屋でも、妹といれば何もいらない)


斯(か)くしつつ あり慰めて 玉の緒の 絶えて別れば 為方(すべ)なかるべし(― こうして

いつも自分の心を慰めていますが、あなたと絶えて別れてしまったならばどうしようもないでし

ょう)

紅(くれなゐ)の 花にしあらば 衣手(ころもで)に 染めつけ持ちて 行くべく思ほゆ(― も

しあなたが紅の花であったなら袖に染付けて持って行きたく思われます)


紅(くれなゐ)の 濃染(こそめ)の衣(きぬ)を 下に着ば 人の見らくに にほい出でむかも

(― 紅の濃染の衣を下に着たならば人が見た時に、色が表に透けてほのかに見えるだろうか。

美しいあの人・女に逢ったならば隠してもやがて人に知られてしまうだろうか)


衣(ころも)しも 多くあらなむ 取り易(か)へて 着なばや君が 面(おも)忘れてあらむ(― 

衣だけは沢山欲しいもので、取り替えて着たならば、気がまぎれてあなたの顔を忘れていられる

でしょうか)


梓弓(あづさゆみ) 弓束(ゆつか)巻きかへ 中見さし 更に引くとも 君がまにまに(― 梓弓

の弓束を巻きかえ中途で引くことを止めて、更に引くように、一旦中途で絶えながら、改めて私

の心を引いたりなさっても、それでも私はあなたの思いのままにいたします)


みさご居(ゐ)る 渚(す)に坐(ゐ)る船の 夕潮を 待つらむよりは われこそ益(まさ)れ(―

 ミサゴのいる渚に擱坐・カクザ、浅瀬に乗り上げる している船は夕潮がさして来るのを今頃

は待っているのだろう、その待ち遠しさよりも一層切実にあなたをお待ちしておりますのに)


山川(やまがは)に 筌(うへ)をして 伏(ふ)せて守(も)りあへず 年の八歳(やとせ)を わ

が竊(ぬす)まひし(― 山川に筌・魚を捕らえる竹であんだ筒、流れに仕掛けて魚がその中に入

るのを捕らえる を伏せておいても番をしきれないで、私は八年もの間、ひそかに娘と逢ってい

た)


葦鴨(あしがも)の 多集(すだ)く池水 溢(あふ)るとも 儲溝(まけみぞ)の方(へ)に わ

れ越えめやも(― 葦鴨が多く集まって騒いでいる池の水が溢れると、かねて用意の溝の方に流

れていくけれども、私はそのようには別の人に心を移したりはしないつもりです)





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最終更新日  2024年07月16日 15時58分14秒
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