草加の爺の親世代へ対するボヤキ

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2025年11月06日
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第 一 幕  第 三 場

   同じ部屋、次の日の午後遅く、エドワードが一人でいる。彼はドアベルに応答する為に行く。

エドワード  ああ…、今晩は。 (見知らぬ客が入って来る)

見知らぬ客  今晩は、チェンバレンさん。

エドワード  さてと、ジンと水をお出ししましょうか。

見知らぬ客  いいえ、結構です。これは別の場合ですから。

エドワード  あなたが一人で来たと言う事は、不首尾だったわけですか。

見知らぬ客  いいえ、全くそうではないのです。私はあなたに思い出させる為に来たのです。あなたは

ある決心をしましたね。



見知らぬ客  いいえ、あなたは変心する準備は出来ていない筈です、決心してしまったことから立ち直

るまでは。いや、私が告げに来たのは、あなたがやがて心変わりをするだろうということです。しかし、

それは重要なことではないのです。もう遅すぎるのです。

エドワード  今僕は半ばは心変わりしているのです。僕は自由に心を変えられると、あなたにお示しも

出来るでしょう。

見知らぬ客  あなたは心を変えられても、決して自由などではありません。あなたの自由だった瞬間は

昨日でした。あなたは或る決心をしました。あなたは動きを開始して自分の生活に力を、他者のそれにも

ちゅうにゅうした。それらは反対にはし得ないもの。それは一つの考察です。もう一つはこうです、死か

ら誰かを連れ戻すのは深刻なことです。

エドワード  死んだ状態ですか。話の形が…、何かしら、劇的ですね。私の妻が私を棄てたのはほんの

昨日の事でした。



過ぎ去った時間でのわれわれの記憶にしか過ぎない。その時間に彼等を知った。しかも、彼等はそれから

変化してしまっている。彼等も我々も同じだと思い込んでいるのは有用だし、便利でもある、ある社会的

な慣習としては。それはやがて壊れてしまうのだが。我々はこうも覚えていなければいけないだろう、再

会する度にわれわれは見知らぬ他者と出会っているのだと。

エドワード  それで、あなたは僕が妻と見知らぬ他者として会うように望んで居られる。それは容易で



見知らむ客  非常に難しい事です。しかしながら、もっと難しいのは、互いが身も知らぬ他人でないと

思い続けることなのですね。あのパーティ愛情に溢れている幽霊たち、祖母、クリスマスパーティでの精

気にみちた独身の叔父、愛らしい子守り娘、——あなたの幼少時代をやさしく取り囲んでいた人々、慰

安、慈愛、安心感の中で。もし彼らが戻って来てでもしたら、困惑してしまうのではないだろうか。あな

たは彼等に何と言うでしょうか、或いは、彼等はあなたに何といえばよいのか…、最初の十分間が過ぎた

時に。あなたは彼等を見知らぬ者として対処するのは困難だ。しかも、もっと難しいのはお互いが見知ら

ぬ者同士ではないふりをすること。

エドワード  僕に最近の五年間を抹殺させることなどは殆ど出来ませんよ。

見知らぬ客  私は何事も忘れるようになど要請はしていないのです。忘れようと試みるのは隠蔽しよう

とすることです。

エドワード  確かに、僕が忘れた方がよいと思う事柄はあります。

見知らぬ客  それと、人物たちもね。でも、それらを忘れてはいけません。あなたはそれら全部と正面

から正対すべきなのです。しかし、それらとは見知らぬものとして会するのです。

エドワード  すると、僕自身も見知らぬ人物になりますね。そうです、あなた自身に対しても、同様な

のですよ。しかし、忘れないでください、あなたは奥さんに会っても、何も質問しないでください。そし

て何も説明しないでいて下さい。私は同様の事を彼女にも申しました。こんがらかった記憶でお互いを締

め付けたりしないように。私はもう行きます。

エドワード  止まってください、あなたは彼女と一緒に戻りますか。

見知らぬ客  いいえ、彼女と一緒には戻りません。

エドワード  何故だか、僕には解らない。そして、あなたが彼女を連れて戻るべきだと僕は思うのです

が。

見知らぬ客  はい、そう思われるでしょう。そして、或る明確な理由があって、それをあなたに説明す

る準部をしいていませんが、あなたは彼女に私の事をいってはいけませんよ。そして彼女はあなたにわた

しの話はしないでしょう。

エドワード  解りました、約束します。

見知らぬ客  そして、あなたは訪問者達を待たなければいけません。

エドワード  訪問者達…、どのような訪問者ですか。

見知らぬ客  やって来る者たちの全部です。見知らぬ者達ですよ。私自身については、あらかじめ用心

して補助の階段を使ってお暇しようと思うのです。

エドワード  一つ質問させて下さい。

見知らぬ客  どうぞ、して下さいな。

エドワード  あなたは、一体、誰なのですか。

見知らぬ客  わたしもひとりの見知らぬ者です。 (退場する。間がある。エドワードは落ち着きなく動

き回る。ベルが鳴る。彼は正面玄関に行く) セリア!

セリア  ラヴィニアは到着しましたか…。

エドワード  セリア、何故、やって来たのかね。今直ぐにも、ラヴィニアが戻ってきそうなのだ。君は

此処に居てはいけないのだよ。何故、此処にきてはいけないのだ。

セリア  何故なら、ラヴィニアに頼まれたからよ。

エドワード  ラヴィニアが君に頼んだからだって…。

セリア  そうなの、直接にではないの。ジュリアが電報を受け取ったの。彼女に家に来るようにって。

私を一緒につれて、ジュリアが遅れたので、私を先に送り出したの。

エドワード  それはとても奇妙だね。そして、ラヴィニアらしくない。でも、待つしかないね。座り給

え。

セリア  有難う。 (間)

エドワード  ああ、神様。何を一体話題にしたらいいのだろう。

エドワード  我々は沈黙したままで此処に座っていられない。

セリア  あら、出来るわよ。ただ、あなたを見てるだけなの、エドワード。笑っても許して下さいね。

あなたはまるで校長室に呼ばれた小さな少年みたいだわ、そして、どんな事をしでかしてしまったのか

不安で堪らないと言った風情だわ。以前にはこんななたを見た例がないわ。これは実際、奇妙な状況なの

ね。

エドワード  僕には事態のユーモラスな面が見れないのだがね。

エドワード  私、実際にはあなたを笑ってはいない、エドワード。わたしは何事だって笑ったりはしな

かった、昨日は。でも、二十四時間で多くを学習した。それはとても愉快な経験だった。ああ、来れて嬉

しいわ。遂にあなたを人間として見る事が出来ている。あなたもそんな風に私を見れないかしらね、そし

て、それを笑う事は…。

エドワード  出来たらいいね。僕は全てを理解したい。僕は全くの暗闇の中に居るから。

セリア  でも、事態は実に単純よ。あなたのはそれが理解できないのかしら…。 (ドアベルが鳴る)

エドワード  あれはラヴィニアだ。 (正面のドアに行く) ピーター。 (ピーターが入って来る)

ピーター  ラヴィニアは何処ですか。

エドワード  ラヴィニアが君に電報を送ったなどは言わないだろうね。

ピーター  ええ、僕には送ってきてはいない。しかし、アレックスにここへ来るように言った、僕を連

れてね。彼は直ぐにでも来るはずだ。セリア、あなたもラヴィニアから聞いたのですか、それとも、僕は

邪魔をしているのでしょうかね。

セリア  私はたった今、自身の考えでやって来たのよ。彼女はジュリアに電報を打ち、私を連れてここ

へくるように依頼したの。

エドワード  他には誰を彼女は招待したのだろうか。

ピーター  ねえ、僕の印象では、ラヴィニアは昨日のパーティを今日しようと考えたのではないだろう

か。それで、彼女の叔母は死んではいないと思う。

エドワード  どんな叔母だい。

ピーター  君が話していた叔母さ。しかし、君は昨日の我々の会話を覚えているのだろうか。

エドワード  勿論さ。

ピーター  望むらくは、君がそれについて何もしなかった事だが。

エドワード  そう、何もしてはいないさ。

ピーター  僕は非常に嬉しく思うよ。何故なら、僕は気持ちを変えてしまったからだ。詰まり、それは

何の役にも立たない、僕はカリフォルニアへ行こうと思っている。

セリア  あなたはカリフォルニアに行くのね。

ピーター  そう、僕は新しい仕事を得たのだ。

エドワード  それで、どうしてそうなったのだね、一晩で。

ピーター  それがね、アレックスが接触させてくれた人がいて、我々は全部決着させたのだ、今朝。ア

レックスは知り合って素晴らしい人物だよ。何故なら、彼は誰でも知っているし、何処でも知っている。

それで僕が今日ここへ来た理由はさよならを言う為だった、実は。

セリア  私は大変に嬉しく思います、あなたの為にね。それでも、我々は…、寂しくは感じるのよ。御

存知のようにコンサートではどんなにかあなたに頼ったことか。そしてまた絵の展覧会では。あなたが思

われているいる以上にね。面白かったわ、でも今、あなたはチャンスを手にされた。あなたが野心を実現

されることを私も希望している。いなくなるのは淋しいけれどもね。

ピーター  そう言って呉れて有難う。でも、もっと良い人が見つかると思う。一緒に行くのに好都合な

相手。

セリア  私、コンサートには行かないでしょう。私も別の道を行くから。

     (ラヴィニアが施錠用のカギを手にしている)

ピーター  君は外国行くのですか。

セリア  分からないの、多分ね。

エドワード  二人とも行ってしまうのかい。  (ラヴィニアが入って来る)





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最終更新日  2025年11月06日 19時08分25秒
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