投資逍遥

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2005/12/03
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テーマ: お勧めの本(7346)
カテゴリ: 読書
大岡昇平の代表作の一つである『野火』は、昭和27年2月に刊行された。

よく知られているように、大岡は先の戦争で応召し俘虜生活を体験されました。
その時の体験が、この『野火』を書く際にも活かされたものと思われます。

高校時代に、この『野火』を読もうとましたが、パラパラとページをめくっただけで中止にしました。
難しそうだし面白くなさそう、その程度の理由だったと記憶します。
確かに、戦争体験がなく、しかも10代では、難しいと思う。
極限状況の人間の行動や考え方を多少とも理解しようとするならば、戦争を体験することは不可能としても、ある程度の人生経験は必要なのだろう。

以下は、 【この本からの引用】 【征野の感想】 を書きます。


【この本からの引用】

この田舎にも朝夕配られて来る新聞紙の報道は、私の最も欲しないこと、つまり戦争をさせようとしているらしい。
現代の戦争を操る少数の紳士諸君は、それが利益なのだから別として、再び彼等に欺されたいらしい人達を私は理解できない。

【征野の感想】

この本が刊行された時、つまり1952年はどのような時代であったか?
少し前の1950年8月に警察予備隊が設置され、再軍備の出発点となりました。
1951年に日米安全保障条約調印。
朝鮮戦争(1950~53年)の渦中でもありました。

引用部には、著者の反戦の考えがよく出ています。
「戦争を操る少数の紳士諸君」という皮肉な言い方は、痛快であります。


【この本からの引用】

いくら草も山蛭も食べていたとはいえ、そういう意味で、私の体がもっていたのは、塩のためであった。
雨の山野を彷徨いながら、私が「生きる」と主張出来たのは、その2合ばかりの塩を、注意深く節しながら、嘗めて来たからである。

【征野の感想】


こういう一節に出合うと、本当に必要なものが何かと考えさせられる。


【この本からの引用】

その時妙なことが起こった。
剣を持った私の右の手首を、左の手が握ったのである。
この奇妙な運動は、以来私の左手の習慣と化している。

【征野の感想】

ここは、『野火』で最も有名な一節です。


要するに、利き腕の右手で肉を切り落とそうとしたところ、左手がそれを制止したということ。

う~ん。
人間の人間たる所以、極限状況での仏心、『野火』はあくまでも小説である、などと、錯乱気味の言葉を並べて、今回の感想文は終了とさせていただきます。





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Last updated  2005/12/03 05:55:33 PM
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