買書とつんどくの日々

買書とつんどくの日々

2008年02月27日
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
「ユニコーンは、たったひとりで、ライラックの森に住んでいた。自分では気がついていなかったが、彼女はとても年をとっていた。もはや、無邪気な海の泡の色ではなく、言ってみれば、月の夜に降る雪の色に近かった。けれども、瞳はまだ澄みきっていたし、疲れの色もなかった。その動作も、まだ海面を走る影のようだった。

ユニコーンの首は、ほっそりと長く、おかげで、頭は小さく見えた。背中のほぼ中央あたりまでかかったたてがみは、たんぽぽの毛のように柔らかで絹雲のように美しかった。尖った耳と細い脚、くるぶしには羽毛のような白い毛。目の上の長い角は、真夜中でさえ、独特の貝殻色の光を放って輝いていた。ユニコーンは、その角で竜どもを屠り、毒のために口を開けたままの王の傷を癒し、小熊たちのためにたわわに実った栗の木を打ち倒してきた。
ユニコーンたちは不死であった。ひとつの土地に、ひとりぼっちで住むというのは、その生まれついての性質なのだ。ユニコーンたちの住み家は、自分の姿を映して見ることのできるほどに澄み切った泉のある森にあるのが普通だった。というのは、ユニコーンたちは、少々うぬぼれが強かったからだ。何しろ、自分たちが、世界で最も美しい生き物であることを知っていたし、その上魔法も知っていたのだ。」(ピーター・S・ビーグル「最後のユニコーン」冒頭)

Tha Lady and the Unicorn
clu_5_96FE15426.jpg
↑Musse national du Moyen ageのページへ 6枚のタペストリーが見れます





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2008年02月27日 08時21分42秒
コメント(4) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

Profile

shov

shov

Calendar

Favorite Blog

ヒトラー 第五部 … New! 鴨ミールさん

リト@葉っぱ切り絵展 吟遊映人さん

2024年12月発売予定… ぴいたあ8888さん

眠りの底で 無花果。さん
ミステリの部屋 samiadoさん

Comments

aki@ Re:聞いた曲(2024.1.20)(01/20) この様な書込大変失礼致します。日本も当…
shov @ Re:「フラニーとズーイ」(メモ12)(07/19) ご訪問ありがとうございます。 記事読ま…
ゆきこ@ 日本にとって大切な参院選 初めまして、こちらのブログとは場違いな…
omachi@ Re:「比ぶ者なき」(メモ11)(04/10) 歴史探偵の気分になれるウェブ小説を知っ…
http://buycialisky.com/@ Re:「お嬢さまと青バラの君」(紹介)(03/30) differences entre viagra cialis levitra…

Free Space

設定されていません。

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: