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『Fantasy Earth Zero』~メルファリア大陸の物語~第三章・第4話「ヤマト」「へぇ…アイナちゃん頑張ったんだぁ…」「そうよオベを頑張って守ったんだから」いつもの閉店後の夕食はアイナの初陣の話題で盛り上がっていた「い、いや…援護の方たちが来てくれなかったら守りきれなかったし…」アイナは褒められるのが嬉しいのと気恥ずかしさでもじもじとする「ううん…それでも4人相手でしょ?普通は瞬殺されてるってば」ミズキはそう言って持っていたフォークで自分の首をかき切るマネをする「そうそう…私の初陣なんて酷かったよ」「あの日は悲惨だったね…僻地がいきなり襲撃されてさ…敵も味方もゴチャゴチャの混戦状態w」「まずい逃げなきゃ!って思った時にはキープに戻されてたしさ…」「初陣で記念すべき初デッドw」ミズキとフネがそんな事を言い合って笑う「確かに今日のシュアは自軍エリアだし危うい場面も無く終わったけど…敵4人相手は逃げ回るのだってしんどいぜ…誇っていいと思うよ」そこにリアが口を挟んだ「あ…そう言えば、開戦前に嫌な雰囲気って言ってたけど…アレはどういう意味?」「ああ…実はさここんとこエルが変な伸ばし方してるんよ…ホル側にはほとんど行かずまっすぐ南西にね」「南西っていうと…カセ?」「そそ、で…一昨日かな?カセ側に1本ラインが通ったかと思ったらいきなりシュア攻めだろ?…実は今日カセ側も同じような攻め方しててさ…もしも水面下で同盟なんて事が進んでたらこのラインはちょっと嫌なラインでね…」リアはそう言いながら自分の皿に残ったパスタのソースで地図を書きながら説明した「同盟は無いでしょ」ミズキはそう言って笑う「まぁ…確かに同盟は無いと思うけど…こう長い間こう着状態が続くとさ…とりあえずどっか1つ消しておこうか?なんて話が出たって不思議じゃないぜ?むしろ今まで出なかった方がおかしいくらいさ…」リアがそう言って椅子にふんぞり返る「そこは私も同意ですね…自分たちの国王を疑うわけじゃないんですが…歴史を振り返る限り『この戦乱を終わらせたい』っていう感じには思えないです」静かに食事をしていたノヴァもそう言って水を飲んだ「まぁ…俺にさ腕力があればよ…アームレスリングで優勝してよ『そこんとこどうなの?』って聞くんだけどさw」リアはそう言って肩をすくめる「なるほどね…」ミズキがそうつぶやくように言うと「今年もヤマトなのかねぇ…」リアはそう言いながら窓の外に目を向けた「そうなんじゃないかなぁ…あの人はケタ外れに強いもの…」ナプキンで口元を拭きながらノヴァが手を合わせて「ごちそう様」をした「でもさ…俺、あいつ気に入らないんだよな…」リアは窓の外を見ながらそうぼやく「どうして?」聞き返したノヴァをチラッと見たリアはまた窓の外を見る「戦場で出会った事がねぇ…っていうか俺はあの大会以外であいつを見た事がねぇ…だからなんかさ………」リアがそう言いかけた時突然フネがテーブルを叩く「ヤマトは…もう戦場には出れないのよ…そういう体なの…あなたも知ってるでしょ?」「い、いや…フネっちが怒るなよ…知ってるよ知ってるからこそさ…こういうなんて言うか不安な時こそ俺たちを導いて欲しいんだよ、それが出来るのは他の誰でもないあいつだと思うんだ…なにも前線に出て戦えって事じゃなくてキープの上に立つだけでいいんだよ!それだけで士気は上がるんだからさ…」「だから!それが出来ないから彼も苦しんでるんでしょ!」「怒るなよ…つうか、なんであんたが怒るんよ?」和やかだった食卓が急に殺伐とした空気に変わった「まぁまぁ…2人とも落着きなってば」ミズキがそう言って2人の間に割って入る「ミズキはどう思ってるんよ?お前だって前線に立ってりゃわかるろ?」リアは矛先をフネからミズキへと向ける「そうね…彼が居れば確かに前線の士気は高くなるだろうし…居なきゃダメなんだと思う」「だろ?」ミズキの言葉を聞いたリアがそう言って身を乗り出す「おそらくそれは彼が一番わかってると思うよ…だけど出ない…そこにはそれなりの理由があって…わかってるからこそ苦しいんだと思うよ」「ミズキ…」今度はミズキの言葉にフネがそうつぶやく「…そうだな…一番つれぇのはあいつかもな………」殺伐とした空気は回避できたもののなんとなく重い雰囲気は減るどころかさらに増えた感じがしたその時…アイナは思わず思った言葉を口に出してしまった「ヤマトさん?」「え?…アイナっちヤマト知らんの?」リアは顔を引きつらせてそう聞き返してきた「う、うん…」「マヂで?」リアは苦笑いでそう口にするとノヴァと顔を見合って肩をすくめる「ただ…うーん…どこかで聞いた事があるような………」「そりゃ聞いた事あるだろw…この国の英雄だからなw」「・・・・・・・」アイナはそのまま首をかしげる「まぁ…とにかく今度の部隊長の会議の時にリアの言った変な雰囲気の事は言っておくよ」「ああ…頼むわ」その後…雰囲気が和み始めお茶を飲みつつ雑談が進んだ頃「そうだ!フネさんだ!フネさんがミズキさんにヤマトって…」突然アイナが手をポンって叩いてそう言ったそれを聞いたミズキが口に含んでいたお茶を目の前のリアに向かって噴き出す「どわぁ!バカ!きたねぇよ!」リアはそう言ってかかったお茶を手で払うフネも慌ただしくタオルを持ってきてテーブルに飛び散ったお茶を拭きはじめるリアは何度もミズキを指さしては怒鳴り散らしていたそれで何事もなく終わった…そう思った時「で、なんでミズキがヤマトなん?」リアが真顔でフネに質問したするとまたミズキがお茶を噴き出した「ちょ!お前!ワザとやってるだろ!」リアがミズキに指を指しながら怒鳴り散らすとミズキはそんなリアに手を合わせて何度も頭を下げるテーブルをフネが拭き上げ…ノヴァはリアから椅子を離して距離をとった「なんで離れる?」リアが何気に離れたノヴァにそう聞くと「2度ある事は3度あるから…」そうつぶやくように言った次の瞬間…ミズキの口から3度目のお茶が噴き出す「お前!お前はタイミングよくお茶含むんじゃねぇ!ちっとは我慢しろ!っていうかもうお茶飲むな!」リアはナプキンで顔を拭きながらミズキの前から湯呑を撤去した「で…なんでミズキがヤマトなのよ?」改めてリアはフネにそう聞いた「い、いや…実は………」「実は?」「敵兵士がね!ミズキの事をアレはまるでヤマトのようだ!って言ってるのを聞いて………たまにからかってそう呼んでたのをつい口に出しちゃっただけよ」フネがそう答えると辺りは静まり返った「なるほど…確かにこいつの暴れっぷりならそう言われるわなw」「で、でしょ!笑えるでしょ!」「女版ヤマトってか?敵兵もうまいこと言うな…そういや知ってる?ほかにもコイツ影の暴君とか破壊神とか呼ばれてるんだぜw」「うまいこと言うね…」「あんたらねぇ…」「いや!俺が言ってるんじゃねってば!敵にそう言われてるんだってw」「私も…『ミズキの歩いた後に草木1本残らない…残るのは無数の死体のみ……』と聞いたわ…」ノヴァも静かにそう言った「ノヴァちゃんまで…酷い…」「言うなぁw俺もミズキが止めを刺した兵士がキープに転送される直前に『あ、あれは人じゃない…人の姿をしたネツの駆逐兵器だ…』と聞いた事あるw…いやそれを聞いた時は敵ながらアッパレ!とか思ったって…」「うそ!聞きたかったなw」「それによ!今朝なんて開戦前に他の部隊の奴から『今日も前線でウサ晴らしですか?』って言われててさwまじウケるって」「うわぁ…味方からもその呼ばれ方ですか…」「ほんでさ…アイナちゃんが1人でオベに向かうって言った時も『その子はうちの新人だから泣かしたら裸にして広場に吊るすぞ!』って…最近客少ないのってさ絶対こいつの影響だと思うぜw」「ええ…そんなこと言ってたの?」「なぁ、言ってたよな?」リアはそんな会話を傍観していたアイナに振った(「ちょっと!何でこの状況でこっちに振るかな!」)「え、えっと…良く覚えてないんですよ…必死で…あはははは」「お!ごまかしたなw…顔はそう言ってないぜww」「え?えええええ?」その時…背筋にゾクッとしたものが走る…「いい度胸じゃない…私をネタにしてそんなに楽しい?」ミズキはテーブルに着いた両拳を振わせてそううめくように言うと不敵な笑みで笑う一瞬にしてその場の空気が凍りついた全員の顔が引きつった笑顔で固まる「なーんてね♪そろそろ寝よっか♪」次の瞬間…そんな言葉と共にいつものミズキの笑顔に戻ったその場の全員が「そうだね」とうなずいて自室へと戻って行ったおそらく今日この場にいた者は二度とこの話題を出す事はないだろう…アイナが布団に入ると(「ねぇ…結局うやむやに終わったけど…絶対に何かあるよね…」)「何が?」(「だから…ミズキさんとヤマトって人の事よ」)「え?だって誤解だったじゃん…」(「えええ?アレを信じたの?ものすごく不自然だったじゃん…」)「そう?」(「そうよ!」)「でも…もう私は口にしないよ…」(「いや…間違っても口にしないで!…まだ死にたくないし…」)「じゃあ…なんで?」(「いや…この部隊は楽しいなぁって事よ」)「………よくわからない…変なの」(「いいのよw…じゃあオヤスミ」)「うん…オヤスミなさい」アイナはそう言って枕元の照明を消した…『To Be Continued♪』
2024/01/15
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『Fantasy Earth Zero』~メルファリア大陸の物語~第三章・第3話「初勝利」(「思い出すね…訓練場の時の模擬戦…今度の相手は私たちと同じ新人じゃないから簡単にはいかないと思うけど頑張ろ♪」)「うん!」アイナはもう1人の自分にそう返事をするとにじり寄ってくるセスタスの方を向いたアイナが視線を外したのを見てかスカウトがハイディングで姿を消した(「スカウトが姿を消したわ…でも草の動きで私が追ってるからそっちを警戒して」)アイナは声を出さずうなずいて返事をする正面にいるセスタスは1人がアイナと同じ対人用のルプス、もう1人が対物用のベンヌへとスタイルを切り替えたそしてルプスの方のセスタスが先行して近づいてくる(「スカウトは周囲を回りながら徐々に距離を詰めてる…ウォリアーはかまえたまま動かないからおそらくスカウトと同時攻撃を仕掛けるつもりね…あなたは合図したら3歩前に進んですぐ左に移動…これでウォリアーとの間にオベリスクを挟めるで同時に左真横にファイよ」)アイナはうなずくとわざと明ら様に正面のセスタスに対して身構える(「3…2…1…今よ!」)アイナは作戦通り3歩前進してサッと左に移動してウォリアーとの間にオベリスクを挟むと手を真横に突き出してファイを撃ちこむ「なんだ?!」そんな声と同時にスカウトがまた吹き飛ぶ同時に残った敵が一斉に動き出す(「今度は私がセスタスを見るんであなたはウォリアーを!…今、右側に回り込んでるから飛び出してすぐにファイよ!」)アイナはセスタスに背を向けるとオベリスクに隠れてウォリアーが踏み込んでくるのを待つタイミングを合わせて飛び出して大剣を振りかぶったウォリアーにファイを撃ち込んで弾き飛ばす同時にしゃがんで後方に転がり飛び掛かってきたルプスのセスタスに下からファイを撃ちこむそして起きるなり足払いでその後ろのセスタスを転ばしてまたオベリスクに張り付くそれからしばらくこんな攻防を続けるなんとか善戦してはいるが明らかに体力が続かない(「やっぱりファイだけじゃ無理ね…」)「そうだね…一時的だもんね」(「とりあえず…相手をまとめる事は出来たけど…」)もう1人のアイナがそう言いかけた時…敵のウォリアーが飛び込んでくるそれに合わせるかのようにセスタス2人も突っ込んできた飛び込んできたウォリアーの攻撃をステップで回避してファイを撃ち込むしかし相手もこっちがファイしか使えない事を見こして防御の体制で吹き飛ばされるのをこらえる突っ込んできたセスタス2人の攻撃をかわしてファイで吹き飛ばした時(「あれ?…ゴメン…スカウトが居ない…見失った!気を付けて!」)そんな声を聞いた瞬間…アイナは真横からアームブレイクを食らい武器を封じられてしまう武器を封じられてしまうとファイなどのスキルが使えなくなってしまうそして殺気を感じて右方向を見た時…そこにはウォリアーが居た態勢から次に繰り出される技はヘビースマッシュであるヘビースマッシュ自体は破壊力の大きさは絶大だが「溜め」やモーションの大きさからファイを使えば回避はしやすいしかし今のアイナにはそのファイを使う事が出来ないとりあえず耐えられる自信はないが防御の姿勢をとる(「防げる?」)「やってみるけど…たぶん無理かな…」繰り出されたヘビースマッシュがまさに当たるその瞬間目の前で大きな爆風が起きる…アイナは思わずしりもちをついて転んだ「間一髪…セーフだった?」爆風は援護に向かってきていた味方のドラゴンテイルの物だったそのウォリアーはアイナにウインクをしてニヤッと笑う「よく頑張ったね…こいつらは私たちが相手をするからキミはアムブレが解けたらオベの回復をお願いね」そう言って手を引いて立たせてくれたのは真っ白いワンピースを着たソーサラーだった「新人ちゃんが踏ん張ったんだからうちのオベには指一本触れさせないぜ!」そんな声と共にハイディングを解いてスカウトが現れる「部隊は違えどファミリーだからね…とりあえずパンでも食えよw」スカウトはそう言ってポカーンとしているアイナにパンを投げ渡したそして3人は見事な連携でオベを狙ってきた敵に反撃を始めるアイナはそんな3人の背中にお辞儀をしてアームブレイクが解けたと同時にオベリスクの修復を開始した数分後…さっきの3人が戻ってくる「スカウト1匹逃がしちまったが…このタイミングでもう1回は無いだろうな」パンをくれたスカウトの男性が頭の後ろで両腕を組んでそう言いながらオベリスクにもたれ掛った「俺たちは戻るが…あとどれくらいだ?」ウォリアーの男性は座って修復してるアイナと目線を合わせるようにしゃがんでそう聞いてきた「えっと…今80%くらいだから…もう少しです」「そっか…じゃあ修復頼んだぜ」そう言ってアイナの頭にポンと手を置いて立ち上った「ここはまだ戦場が狭い方だし地形も複雑じゃないからなんとかなるけど…大きな戦場や複雑な地形だと1本のオベで戦況が変わるのよだからキミもそんなオベを支える立派なセスタスさんになってね♪」ソーサラーの女性はそう言ってニコニコと微笑む「あ、あの…ありがとうございました!」アイナは3人に改めてお礼を言う「どういたしまして♪…でもねキミはちゃんと修復っていう仕事をしていた…私たちはそれを助けた…それだけの事よ♪」アイナはそんなソーサラーの声にうなずいて返事をした(「あの服…可愛いなぁ…やっぱりソーサラー用なのかな?」)もう1人のアイナがそんな事をつぶやいたアイナもそう言われて改めてソーサラーが来てる服を見たが確かにかわいかったその時…「中央と東側はほぼ制圧したが敵が西側を崩そうとしてる!手の空いてる者は西側防衛に急行してくれ!」そんなチャットが入った「そんじゃ俺たちも向かいますか…」「そうだな…勝ちは見えてるが気を緩めるとひっくり返されるのが戦争だからな」「それじゃキミもがんばってね♪」そう言って3人は立ち去ったしばらくして修復が終わり「こちらB8オベ…修復完了しました!」アイナがそうチャットで報告すると「了解!お疲れ様でした!…とりあえずB5のクリスタルはもう枯れてるのでキープの方に向かってください」「わかりました!キープに向かいます」アイナはそう返事をしてキープへと向かう橋を渡りキープが見えた時…チャットから敵キープ陥落の知らせを聞いた(「相手のキープが陥落したって事は…終わったの?」)「かなぁ…」アイナはそんな返事をしながらキープに向かう足を急がせるキープに着くと自軍の兵士たちが笑いながら語り合ってた(「終わったみたいだね…」)「うん…」アイナがホッと胸をなでおろした時…「お!さっきの新人ちゃんじゃん!お勤めごくろーさん!ほんじゃお疲れさんのチョコをあげようw」そう言って助けに来てくれたスカウトの方が声をかけてきてアイナの目の前にチョコレートを出した「いやねぇ…あんたは新人の女の子を見るとすぐそうやって口説こうとする…キミ、こういう奴には気をつけなよ」そう言ってきたのはさっきのソーサラーだった「おい!口説いてないし!…ほんでもカワイイからよwどうよこれからこの場を使って初心者講習するけど一緒しない?」「カワイイと初心者講習の要請は関係なくない?」「バカだな…講習会の基礎は親密な関係からって言うだろw…俺が優しく教えるからさw…で、とりあえず名前は?部隊どこよ?」スカウトの人はそう言ってアイナに絡む「まったく…バカはアンタよ…チャット聞いて…………」ソーサラーの女性はそう言いかけたところで言葉を止める「チャット?戦争中は色々流れてるからさ…いちいち…ってどうした?顔が引きつってんぞ?」スカウトは怪訝そうな顔でソーサラーを見る「この子の名前は『アイナ』…で、うちの新人よ!よろしくね…坊やw」スカウトの背後でそう言いながらミズキは指をポキポキと鳴らす「え、ええと…も、もしかして………」スカウトはまるで壊れた機械仕掛けの人形のようにゆっくりと振り返るそして不敵な笑みを浮かべるミズキの顔を見るとまたゆっくりとアイナの方に向き直る「し、初心者講習では…う、裏オベ構築の復習や…が、崖のぼり…し、召喚の基礎とか……ぜ、絶対に役に立つんだぜ」スカウトは真剣な顔でアイナにそう言った「確かに…新人にとっては重要ね…私も講師として参加するからお願いするわw」ミズキのそんな声に「よ、よろしくお願いします!」スカウトは直立不動になってそう返事をしたその後…日が落ちかけるまで講習会は続いた「よし!そうそう…次はそこに足をかけて…もうちょっと!OK!」「の、登れたぁ…」「よし!頑張ったじゃん!…あとは見極めと練習ね」ソーサラーの指導でアイナは崖登りを終えた「今の状態じゃ実戦で使えないけど…崖登りは戦場攻略の基礎になるからね…上達は必須だよ」「はい!」「お!登れるようになったかぁ♪…講習ありがとね♪」そこにミズキが人を引きずりながら現れたミズキに襟首を掴まれ引きずられていたのはさっきのスカウトの人だった「い、いえ…新人の育成は重要ですから」ソーサラーは苦笑いでそう答える「で…うちのそのチャラいのは…」ソーサラーがそう聞くと「ああ…頑張ってたわよ♪…前線の猛者たち相手にパニの強化講習w…まぁ50回仕掛けて50回とも返り討ちに合ったけどね…最後の方はいい感じになってたから…ちょっと上の相手なら確殺できるんじゃないの?」「あ…あり…ありがとう…ござい…ました…」引きずられていたスカウトはそれだけ言うと力尽きたそれを見ていたアイナとソーサラーは苦笑いを浮かべる「ほんでも…こいつはイイ根性してるわね…他のスカウトが次々と脱落する中最後まであきらめなかったからね…『今度は遊撃隊として私達と一緒に前線に行くわよ』って…目が覚めたら伝えておいて♪」ミズキはそう言ってソーサラーにウインクをした国や戦場によって戦術は数多とあるが…『遊撃』として前線の戦士に誘われる事は兵士としての誉でもあるましてやミズキのように前線の中核にいる戦士からの言葉となればなおさら「ありがとうございます!必ず伝えます」「うんうん…で、名前は?」「ソレの?」「ううん…あなたよ♪」「私はアデレードです」「そっか、じゃあアデレードさん…今度みんなでうちのお店においでよ♪…おごるからさw」「は、はい!…必ず行きます!」「じゃあ…私はコイツ連れて先にキープに戻るから♪」ミズキはそう言うとスカウトの人を引きずってキープに向かって歩き出したアイナとアデレードも少し休んだ後キープへと戻って行った…『To Be Continued♪』
2023/12/22
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『Fantasy Earth Zero』~メルファリア大陸の物語~第三章・第2話「鉄則」「さぁ…死にたいのは誰かしら?私がキッチリ止めを刺してあげるから」ミズキはそう言うと射程内の数人にフォースインパクトを撃ち込んで昇天させる「アイナちゃん…今よ!一気に下がって!」ミズキに言われてアイナは後退する「ヘッ!1人でイキがるなよ!」そう叫んだ敵の戦士がミズキめがけて攻撃を仕掛けるそれをいとも簡単に躱すとヘビースマッシュで返り討ちにしてさらに近くの集団に飛び込みアーススタンプの衝撃波で数人吹き飛ばす「てめぇ!調子に乗りやがって!」そういきり立った奴に近くの兵士が「おい!ありゃミズキだぞ!破壊神だぞ!なんで前線じゃなくてこんなとこにいるんだよ!」そう言って肩を掴んで止めるそれを聞いた周囲の兵士もうろたえはじめる「ちょっと!破壊神ってなによ失礼ね!っていうか…私がどこにいようと勝手でしょうに」ミズキはそんな事を言って自分を『破壊神』と言った奴めがけてフォースインパクトを撃ち込むそいつはなんとかその攻撃を回避したがそれを予測してドラゴンテイルで飛び込んできたミズキの餌食となるさらに止めのヘビースマッシュで崩れ落ちたおそらくこういった行動が敵から恐れられ語り継がれて『破壊神』と呼ばれるのだろうさすがにこれを見た敵兵士たちは橋の向こうまで一気に後退を始めるそれと共に下がっていた自軍兵士が前進し始めてまた防衛ラインが構築されたこれは余談だが…その時生還した敵兵は「悪魔を見た…アレは間違いなく悪魔だ…止めを刺した死体の髪を掴んで引きづりながら低い唸り声をあげてこっちに近づいてくる俺はあの時のあいつの目を生涯忘れる事が出来ない」そう語ったという…そして『破壊神』から『魔人』へと呼び名が変わったという…ミズキはある程度防衛ラインが完成するまでその先頭で敵に睨みを利かせていたがある程度の所で下がるとアイナの元へと走った「大丈夫だった?」そう言ってきたミズキにアイナは頭を下げた「ごめんなさい…周りを全然見てなくて」「いいのよ…最初はそんなものよ♪でもいい勉強になったでしょ?前線もそうだけどこういった戦術ラインはね生き物みたいなもので刻々と状況が変わるのよ…それを見極めて行動するのが戦場の鉄則!忘れちゃダメだからね」ミズキはそう言ってアイナの頭を撫でる…その時「ミズキ…悪いんだけど前線が押され気味でね…ちょっとだけ手を貸してくれないか?」チャットでリアがそう言ってきた「うーん…今日は僻地でのんびりしようと思ったのになぁ…」ミズキは苦笑いでそうつぶやくと「いい!無理はしない事、周りの状況をよく見る事!私ちょっと前線に向かうんで約束だからね」ミズキの言葉にアイナはうなずいて返事をするそれを見たミズキは親指をビシっと立てて走り去ったその後アイナはクリスタルを掘っては回収に来るナイトに渡す裏方作業を繰り返した初心者のアイナには戦況がどんな状態なのかがわからないためそれしかできなかったその時…「A7、B8外周オベ…ネズミ2匹!誰か急行して!」そんなチャットが飛び込んできた「ネズミ?」アイナが掘りながら首をかしげるとずっと黙々と隣で掘っていたソーサラーの男の人が「ネズミってのは敵地に潜り込んで建築物を壊そうとする輩さ」「えええ!潜り込めるの?」それを聞いたアイナが驚きの声を上げて聞き返した「だいたいはハイドで入り込むスカウトか…ナイトで巡回するふりをして飛び込む奴かな…」アイナは攻撃を受けているオベの事が気になったがミズキとも約束をしたので掘り続ける事にした「A7、B8オベ到着…おい!索敵ちゃんとやってたのか?2人ともセスだ!排除は俺がやるから至急セスを回してくれ!次来られたら両方とも折れるぞ!」「こちらG5エリア…申し訳ないが現在敵エリアのオベ破壊に入っているためちょっと戻れない!」「E4中央島!こっちもエクリプス破壊で戻れない」「スマン!D3もAT破壊中で押してるから戻れない」「回復だけできればいいんだ!手の空いたセスタスはいないのか?」チャットでそんな会話が飛び交っているアイナはクリスタルを掘りながら思わず胸を押さえたその時…「アイナちゃん…行ってあげて♪…そのかわり回復に没頭しちゃダメよ!周りをよく見てヤバくなったら退くんだからね!」チャットからそんなミズキの声が聞こえてきた「こちらB5クリ…セスタスですA7、B8に急行します!」アイナはチャットでそう言うと現地に向かって走り出した「おおお!頼むぜ!到着するまでにはこのセスタス共を排除しとくんで!」「お願いします!」アイナがそう答えると「こちら前線ミズキ!その子はうちのかわいい新人だからね!きっちりバックアップしてよ!もしも泣かすような事があったら裸にして広場に吊るすからね!」「げ!マヂかよ!おい聞いたか!吊るされたくなかったら索敵頼むぜ!こいつらを排除しても必ずまたアタックしかけてくるはずだ!」「了解!」「よし!うちの子は任せたからね!その代り痛めつけられたオベの分はきっちり倍にしてへし折る!前線押し上げるからセスさん続いて!」「G5セス了解!前線に合流する!」「D3了解!」「E4中央島…今エクリプスを建ててるそれが終わったら急行するぜ!」こんなやり取りを聞いていると勇気が湧いてくる…アイナは唇をキュッと引き締めると速度を上げたアイナの視界にA7のオベが見えた時「ちょっと手間食ったが2匹排除完了!…新人セスさん頼んだぜ!」「はい!がんばります!A7到着!回復はじめます!」アイナはそう答えてA7のオベに飛びこんでサクリファイスを使って回復を始めた数分後A7のオベリスクの修復が終わる「A7オベの修復完了しました!B8に向かいます!」アイナはチャットでそう告げてB8のオベに向かう幸いにもB8はかなり近い位置にあったためすぐに回復を始める「B8オベ回復開始しました…ただちょっと時間がかかりそうです」「ご苦労さま!…今どれくらい?」「20%切ってますね…この子」「そっか…修復がんばってね」「はい♪」アイナは元気よくそう答えたしかし…この建築物を補修するサクリファイスという技は自分の体力を減らすので連続で使用する事は出来ず…時折回復を待たなければつづける事は出来なかった「やっと40%かぁ…」アイナは肩で息をしながら額の汗をぬぐいその場に座り込んで休憩を始めた時「こちらE5崖下!今ナイトが4匹駆け抜けていった!…おそらくオベ狙いだ警戒してくれ!」「了解!キープから増援まわします!」「こちらキープ!B8のセスさん状況は?」「40%まで回復したところですが…続けられなくてゴメンナサイ」「今そっちに敵ナイトが4匹向かってるの40%ならすぐに折られる事はないと思うから見えたら注意してね!今こっちからも行けるだけの増援まわしたけど…たぶん敵の方が早いから!」「はい…了解しました体力回復したんでギリギリまで回復させます」アイナは返答すると修復を再開させた(「お!見えたよアレね…って2匹しかいないけど…」)「ほんとだ…2匹だね」アイナが目視で向かって来るナイトを確認した時(「ゴメン!後ろ!すぐ右に避けて!」)アイナはその声に反応して体を右に動かしたそこにフォースインパクトが飛んでくる…間一髪だった(「なるほど…こっちが一旦退くのは折込済みでそうはさせないってわけね…後ろは私が見てるから…!!!左!何かいるファイ!」)もう1人のアイナが不自然に折れ曲がった草に気が付いてそう声をかけたアイナは顔の向きを変えずに左方向にファイを放つ「グゥ!チッ!」吹き飛んだのは短剣を持ったスカウトだった近づいてきたナイト2匹は召喚を解除してセスタスへと戻った「こちらB8…敵はセスタス2人、短剣を持ったスカウトさんと…大きな剣を持ったウォリアーさんです」「退ける?」「最初から囲むつもりだったみたいで…無理そう…ですね」「了解!…オベをうまく盾にしてなんとか繋いで…増援はすぐ近くまで行ってるから」「頑張ります!」アイナはチャットにそう返事をして一瞬目を閉じるそして今まで修復してたオベリスクに額をつけると「ごめんね…ちょっとだけ助けて…」そうつぶやいたそして目を開けると同時にスタイルを対人用のルプスへと切り替えた…『To Be Continued♪』
2013/12/14
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『Fantasy Earth Zero』~メルファリア大陸の物語~第三章・第1話「戦場」いつもの朝…朝食を済ませて食器を洗っていた時「さて…アイナちゃん…今日は戦場に行ってみようか♪」と、カウンターでお茶を飲んでいたミズキがにこやかにそう言った「そろそろ頃合いかもね…」隣で食器を拭いているフネもそう言って微笑む「えっと…よろしくお願いします」アイナは2人にそう返事をしたそして…ひと休みしてから装備品の確認をしてミズキと2人で街を出た向かうのはエスセティア大陸に入ってすぐの「シュア島古戦場跡」道すがらミズキからチャットの使い方や戦場での行動や専門略語などの説明を受けた…が、ほとんど理解はできていないそんなアイナの様子を見たミズキは「まぁ…最初はみんなそんなもんだよ」と、微笑んでアイナの頭を撫でたそして2人はシュア島古戦場跡へと入った「戦況はどんな感じ?」自軍キープ(本陣)につくなり群衆からリアを見つけてそう声をかけた「相変わらずさ…何考えてるか理解できないね、領土拡大なら中央目指せばいいのにさ」「なるほどね」「ただ…いつもの牽制と思いたいが、今日は嫌な感じなんだよね…って、おお!ついに戦場デビューかい?」ミズキと話していたリアがアイナに気付きそう声をかけてきた「は、はい…よろしくお願いします!」アイナはそう言ってリアに頭を下げた「まぁ…戦場の空気を味わうのは早い方がいい。それと誰も初陣に期待はしてないから気張る事無くできる事を一生懸命やればOK」リアはそう言ってアイナの頭を撫でる「お!ミズキがいる珍しいなぁw…って事は嫌な事があっての前線無双か?」「クワバラ、クワバラ…八つ当たりの生贄になる敵兵がかわいそうだなw」そんな事を言いながら数人の兵士がミズキに絡んできた「今日はうちの新人の戦場デビューだからそんなんじゃないってば…それに、私はウサ晴らしで暴れたりした事ないってばぁ♪」ミズキは口元に手を当ててかわいらしくそう答えたそれを見た兵士とリアが首を大きく横に振った「アイナちゃん行こう…あの人たち暑さで頭やられちゃってるから妄言ばっかりで困るわ…」ミズキはそう言いながらアイナの手を引いてキープの隅に移動した移動する最中も数名から同じ事を言われてたのを見ると妄言はどっちなんだろう…とアイナは思った「さて…コレが今日の戦場の全体図よ…クリスタルの役割は教わったと思うけど覚えてる?」「えっと…建築物を建てたり召喚に使うんですよね?」「グッド♪…で、戦場で重要になるのはクリスタルの在庫なのね…でこのキープに一番近いクリスタルをキープクリスタル略してキプクリって呼ぶの」ミズキの説明をアイナはうなずきながら聞いた「で、キープに近いからこのキプクリが重要なのね…序盤で取りすぎて枯れさせたりすると後半しんどくなるわけ…だからこの離れたクリスタルでできる限り掘る…そしてそれを輸送してくれる人がいるからその人に託す…OK?」「わかりました♪」「グッド♪グッド♪…今日はこのクリスタルに開戦と同時に行くからね♪うんで掘りながら裏オベが伸びてきたら建築…目安はだいたいココとココとココかな…裏オベが出来たら今度はここらにATを建てつつ徐々にエクリプスで領域を押し上げる…今日はそこまでできたら上出来ね♪」「はい♪」ミズキはアイナの返事を聞いて頭を撫でて微笑んだ「あ…あと、この戦場はたまにこの僻地まで攻め上がってくる事があるからハイドに注意する事」「ハイド?」「ハイドっていうのはハイディングっていうスカウトの技…姿を消して忍び寄ってくる厄介な技なんだけど…慣れれば気配とかそういうので索敵できるのね…」「へぇ…」「まぁ…アイナちゃんには無理だと思うから『ハイド注意!』って声がかかったらすぐ動けるようにするといいかな」「ほみゅ…」そんな話をしてるうちに開戦の時が刻一刻と近づいてきた「大丈夫♪落ち着いて1つ1つやればたいした事ないからね♪」ミズキがそう言って緊張でカチカチになってるアイナの肩を叩いたそしてついに回線の時を迎える「行くぞ!根性見せたれや!」「うぉぉぉぉぉ!」そんな掛け声とともに前線に向かう者キプクリに走りこんですぐに掘り始める者一斉に行動に移るアイナとミズキは作戦通り『B5』地点のクリスタルへと向かったそしてクリスタルに到着すると「こちら『B5』クリ…現在3名で掘ってます。『A6』からこっちの裏オベは担当するんでヨロシク!あと落ち着いたら輸送回してね♪」とミズキがチャットでそう言うと「こちら『銀行』…B5の状況了解♪よろしくお願いします♪」そんな返事が返ってきた「銀行?」アイナが聞きなれない単語に掘りながらミズキに質問した「銀行っていうのはね…必要な人にすぐに渡せるようにクリスタルを集めてる人よ…あとは戦場全体の動きを把握したり召喚数を把握して随時連絡したり…重要な役目の人よ♪」「へぇ…大変そうですね」「まぁ…私には向いてない仕事ねw」そんな会話をしてる間にクリスタルがけっこう集まりだした「お!けっこう集まったね…さて、オベの状況は…と…B6に建設中だからもう行こうか…B6が建たったらその範囲ギリギリのA6とA5の外周に建てて♪」「ここら辺と…ここら辺?」「いいねぇ…そんな感じで♪じゃあ初任務行ってらっしゃい♪」「はい♪」アイナはオベ2本分のクリスタルを持って現地へと向かったその途中で「現在、B5クリからA5、A6の外周にオベ建てに向かってます!」アイナはそうチャットで連絡を入れた「了解!…A5、A6は建設向かってるから他の方は重複注意してください!」アイナのチャットを聞いた銀行役の人がそうチャットで告げた(「なるほど…そうやって連携取るのね…」)もう1人のアイナがそうつぶやいたそしてアイナがA6に向かうため崖を飛び下りようとした時…(「ちょっと待った!」)と声がかかる…(「A6に先に向かうと戻るの大変だからA5を建ててから崖飛び降りてA6に向かった方がいいと思うよ」)アイナは走りながらMAPを確認する…確かにもう1人のアイナの言うとおりだ「ありがと♪」アイナはそう言うとA5へと進路変更したそして範囲ギリギリでかつ外周スレスレの位置にオベを建てる「A5オベ建てました!これからA6に向かいます!」チャットでそう言いながらアイナは崖を飛び下りるそして崖下を戻りながらA6エリアへと向かう坂道を駆け上がる「A6オベ建てました!…これからB5クリに戻ります!」アイナがチャットでそう告げると「了解!お疲れ様!」そんな返答が帰ってきた業務応答とはいえ…ちょっと嬉しくなった(「どうしたの?ニヤニヤして」)「え?だって…なんか役に立ってるんだな…頑張らなくちゃって思うじゃん…」(「そうね…よし、がんばろぉ♪」)「おう♪」もう1人のアイナとそんな会話をしつつミズキのいるクリスタルへと戻ってきた「お帰りなさい♪」「ただいまです♪」「グッド♪…A5から建ててくれたおかげでこっち側は2本オベが建てれたから…あとは動きを見つつB4外周に建ててこっち側の裏は完成かな」「はい!」「じゃあ…その前にこの橋の周辺にATを4つくらい建てちゃうか…」そう言ってミズキはもう1人の人からクリスタルを預かってアイナの肩を叩いたアイナはうなずいてミズキの後を追う「こちらB5クリ…C4、C5の橋付近にAT建てます!重複注意ね!」ミズキがそうチャットで伝えるとアイナはC4の橋へと向かった「こちらC4地点…ATを2つ建てます!」「同じくC5…AT2つ建てるよ!」アイナとミズキがそうチャットで告げてからATをほぼ同時に建設する「アイナちゃん…ちょっと来て」ATを建て終わった時…ミズキからチャットでそう言われアイナはミズキの元へと向かった「見て…崖下にクリスタルがあるのわかる?…あれがいちおうこっち領域のもう1つのクリスタルね…でも、崖の下だしけっこうせめぎ合いになるからまだ堀に行かなくていいよ♪」ミズキがそう説明した端からクリスタルが敵の襲撃を受ける「ほらね…で、あいつらはたぶんこの崖を上がってくる可能性大なので…ちょっと防衛しようか♪AT強化はできたっけ?」アイナはミズキにうなずいて返事をする「よし♪じゃあアイナちゃんはATで援護…私はちょっと下に降りて蹴散らしてくるね♪」言うが早いかミズキは崖下に飛び降りたアイナは一番際にあるATに向かって強化のスキルを使う(「うわぁ…凄い暴れっぷりね」)「う、うん…すごいね…」アイナがATを強化しながら崖下を覗き込んだその時…背後で嫌な気配がする(「左後方敵よ!」)「了解!」アイナは瞬時にファイを使って襲いかかってきた戦士をファイで弾き飛ばしたそれを見た近くの戦士たちが一気に襲いかかって止めを刺した(「うわぁ!よく見たら橋の向こうすぐ近くまで敵が来てるじゃん!」)もう1人のアイナの声を聞いて「ミズキさん!橋の向こう敵が来てるんでそっちに近いATに移ります!」アイナはチャットでミズキにそう告げて橋近くのATの強化に向かう「了解!私もすぐ行くから…無理しないでね!周りが引いたら一緒に引くんだよ!」ミズキの返答を聞いてアイナは周囲を確認する周囲にはソーサラーや弓を持ったスカウトが橋の向こう側に向かって攻撃していたアイナはATを強化して防衛に参戦するセスタスが強化したとはいえ所詮はAT…殺傷力は期待できないが相手にとっては飛び込むタイミングを邪魔されるようで足止めにはなっていた「絶対にこの橋は渡らせないんだから!」この時…アイナはミズキからの注意を忘れて強化に集中してしまっていたそれにアイナ自身が気づいた時は防衛ラインが後退を始めていて1人ATに取り残されるような形で周囲を敵に囲まれていたもう1人の自分の索敵でファイを使い応戦しなんとか耐えているが状況はどんどん悪くなる一方だった「クソ!何だよコイツ!ちょこまかと!どわぁっ!またファイかよ!」「気をつけろ!こいつ見てない方向にファイを撃ってくる!同時に複数方向から攻撃しろ!」アイナはその直後の攻撃でATから吹き飛ばされるなんとか防いだもののそのダメージは絶大で立っているのがやっとだった(「さすがにコレはアウト…かな」)「うん…ごめんねちょっと厳しいかも」アイナが辺りを見回してそうつぶやいた時「うちの新人をカモにするなんていい度胸じゃない!」そんな声と共に目の前にミズキが飛び込んできた…『To Be Continued♪』
2013/12/08
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『CRONOUS』 ~黙示録~第17話『-悲劇-』「ただいま!」「あ、トワさんお帰り」「おかえりなさーい」「お帰りなさい」リビングに帰ってきたトゥイージーにカラー、八咫、アデレードが声をかけるそして彼女たちはまた今までやっていた行動に戻るカラーは爪の手入れアデレードは読書…八咫はというと皿に乗せられた巨大なバームクーヘンの解体作業をしていたトゥイージーは相変わらずのメンバーの行動に苦笑いを浮かべた「で…どうだったの?」カラーは手入中の爪から視線を外す事なくトゥイージーにそう聞いた「うん…まぁ初日にしてはまずまず…と言ったところかな」「何回死んだの?」「そうだな…20回までは数えていたが…どうだろう、おおよそ50回…かな」「それはそれはご愁傷様…で、そのゾンビさんは?」「現在搬送中…もうじき着くだろ」「平原ってあそこでしょ?」「そうそう」「ほぼ1日…か、そりゃ歩けなくもなるわね…」「まぁね」そんな会話をしつつもカラーは終始「爪」から視線を外さなかったトゥイージーも同じく…どうにも八咫のやっている解体作業が気になるらしくその光景を見ながら受け答えをしていた「で…見込みは?」カラーはそう聞くと手入れをしていた爪にフッと息を吹きかけた「カラーさんの見立て通り…彼女の目は尋常じゃないね…」「でしょ?」その時…カラーとトゥイージーの会話に「目?」と言ってアデレードが割り込んできた「動体視力…とでも言ったらいいのかな…とにかく『見切る』ことに関しては恐ろしいほど優れてる」「良い事じゃないの?」「普通ならね…ソロで行動するならばあの能力は確実に彼女を助けるだろうね…」「???」アデレードはトゥイージーの回答に首をかしげる「彼女の場合は…その後が問題なんだわ」「反撃態勢に体が反応するんでしょ?」「さすが…よく見てるね」「それも良い事なのでは?」「意識的な場合…ならね」「????」アデレードはまたしても首をかしげる「彼女の場合…見切り、判断、反応、動作…おそらくこれがセットなんだわ」「つまり…攻撃に転じようとする癖がある…と、そういう事?」「そういう事…それも無意識、突発的な状況下でそれが出る癖があるんだわ…格下や同等クラスならそれは良い事なんだがね…格上相手にそれをやるから回避が遅れる…それもイレギュラーな事態が起こった時ほど咄嗟にそう動く」「いい位置に反応するんだよね…誰が教え込んだのか…あの動きをするバルキリーに心当たりがないんだよねぇ」カラーはそう言いながら手入れをしていた爪にコート剤を塗り始めた「一瞬考えたんだ…彼女をトップに据えたとするならどうだろう…とね」「フォーメーション?」「YES!もしもそういう体制下の元で戦っていたのならね…あの癖も合点がいく…彼女と彼女にその動き方を教えた者、そしてそれを補佐する者、援護する者…そういったフォーメーションを組んだ組織…」「心当たりは?」爪に息を吹きかけながらカラーがそう聞いてくる「戦術的に全く無いとは言えない…が」「が?」トゥイージーはそう言ったところで何か思案し始めるアデレードとカラーは顔を見合わせながら首をかしげる「いや…忘れてくれ」「は?」「えええ!」「あはははは…疲れてるのかもな」トゥイージーはそう言いながらキッチンへと消えた「できた!…解体完了♪」「ちょ…」「無残…」八咫は目の前の複数の帯と化したバームクーヘンを満足げに見つめたカラーと八咫はそれに苦笑いで答えるしかなかった「つまり…アレですね…思い浮かんじゃったんですよ」「へ?」「今のお話です…」「き、聞いてたの?」綺麗に解体されたバームクーヘンを見つめながらアデレードがそう聞くと「ええ♪」と、八咫は微笑んだ「で、何が思い浮かんだの?」「ですから戦術です…今私たちがあまり必要としていない、近接バルキリーをトップに据えた形…」「まさか八咫さんに戦術士の才があるとはね…」そこにキッチンからトゥイージーが出てきて口を挟んだ「才というか…なんとなく思い浮かんだだけです」「それを才っていううんだよ…普通は思い浮かばない物さ…」トゥイージーはそう言って定位置のソファーに腰を下ろす「で?…どんな形を思いついたわけ?」「え?…それはですね…」そう言うと八咫は近くにあった紙に図を描きながら説明し始めた「何これ…役に立たないじゃん…っていうかこれじゃ一点集中の攻城強襲か相当タフな単体への戦術でしょ?」「でもね…全く同じ戦術を俺も思い描いたんだ…」「え?」「この戦術が可能ならば…あるいはあの時も…ってね」「あの時って…まさか…」「そのまさかだよ…そしてもしももう一度そういう場面が訪れたら絶対に必要になる」「で、でもさ…それを見据えて行動してるギルドなんて…」「まず今は存在しないだろうし…心当たりがない…だから彼女の場合は天然であんな突飛な行動に出る…そんな癖がある…そういう事じゃないかな?」「なるほど…まぁ、居ても不思議じゃないよね…持って生まれた本能的な才能…」「そそ」「持って生まれた本能的な才能…かぁ」八咫はカラーとトゥイージーの会話を聞いてそうつぶやいた「おお?自覚ですか?」考え込んでいる八咫をからかう様にアデレードがそういうしかし八咫は何やら思案を続けていて反応が無いそしてしばらくの沈黙が続いたと思ったらポンっと手を叩き「白さんの『変態』もそれですかね?」と聞き返してきた「・・・・・」「・・・・・」「・・・・・」3人はそれを聞いて顔を見合わせる「あれは…まぁ、それに該当するかもな…っていうか今それを考えてたの?」「はい♪」トゥイージーの言葉に八咫は満面の笑みで答えたそんな八咫を見つめた3人はほぼ同時に八咫の解体したバームクーヘンに目を落しそして再び八咫を見る「???」そんな3人を八咫は不思議そうな表情で見返しながら首をかしげる「まぁ…これも才ってやつか…」「きっとそうね…」「うん」3人はそう言うとまた各々の行動にまた戻った八咫は眉間にシワを寄せて首を傾げ思案するも数秒後には解体したバームクーヘンを元の形に戻すという作業に取り掛かり始めたそして数10分後…見事なまでに元の形に戻すとそれを満面な笑みで見つめながらキッチンへと持って行ったそこへザンジオとアイナを担いだ孫が戻ってくる「ふぅ…さすがにこの距離は堪えますねぇ…」孫はそう言いながらアイナをソファーに下ろすといつもの姿に戻り腰を叩いた「孫さんお帰りなさい」キッチンから出てきた八咫はそう言いながら孫の腰辺りをさする「いやぁ…今日は長時間申し訳なかったね」「ほほほほほ…この様子じゃ明日は休みでしょうし…しばらくサボっていたトレーニングだと思えば」孫がアイナを見ながらそう言うと「も、もう…歩けません……」アイナは意識のない状態でそんな事をつぶやくそれを聞いた一同は吹き出して笑うそんなところに妙な笑みを浮かべた白魔童が帰ってくる「ほほう…何やら楽しそうで…」「白さん…その笑み…気色悪いぞ」「うん?そう?…だってさ…………」白魔童はそう言うとさらに奇怪な笑みを浮かべる「なんかいい事でもあった?」トゥイージーは棒読みでそう質問する「教えてほしい?」「いや…別に興味はないが…その笑みをやめて欲しいから聞いた」「実は………」白魔童は焦らす様にそこで言葉を止めたのち「教えないw」そう答えると口元に手を当ててまた笑みを浮かべる「チッ…聞くんじゃなかった」トゥイージーは舌打ちをしてつぶやく白魔童はそんなトゥイージーに見向きもせず鼻歌を歌いながらキッチンへと入って行った「なんなんだよ…まったく」トゥイージーがそう吐き捨てるように言うと「こないだの毒…まだ抜けてないんじゃないの?」と、カラーは爪にコート剤を塗りながら答えたそして白魔童は皿を手にキッチンから出てくるトゥイージーとカラーがそれを見て硬直するその2人の様子を見てアデレードが振り向き…やはり硬直する白魔童が手にしている皿に見覚えがあったからだそう…それはさっきまで八咫が楽しそうに解体作業をしていたあのバームクーヘンが乗った皿「お?もしかして…君達、今これを見て…食べたいとか思ってる?…だが断る!私、白魔童が最も好きな事は…欲しがってる奴の前であげずにゆっくり食べる事なのだから!」白魔童はそう言いながら硬直してる3人にバームクーヘンを見せつける今まで以上の奇怪な笑顔で…そして今まさに白魔童がバームクーヘンを食べようとつまんで持ち上げたその時…「な!な!な~~~~~~!なんじゃこりゃあぁぁぁぁ!」白魔導の叫び声をあげた「お、俺の…朝から楽しみにしてた…ば、バームクーヘンがぁぁぁぁ!…見せびらかせながら1枚1枚剥がしながら食べようと…その時のみんなの顔を思い浮かべて…その瞬間のためだけに今日1日を頑張ってきたのに………」トゥイージーとアデレード…そしてカラーは孫とザンジオが白魔童を見る中、八咫の方を見たすると八咫は顔の前で親指を立ててニヤッと笑った3人は吹き出すとその場に崩れて笑い転げる「お、お前らか!お前らだな!」「い、いや…知らないw……マヂで俺たちじゃない………ただ…なんか笑えてさ…」「く、くるしぃぃぃぃ…死ぐ…死んじゃうよぉ……」「お、お腹が…も、もう……だ、ダメ……」「ちくしょぉぉぉぉ!誰だぁぁぁぁぁあ!」呼吸困難になりそうな…もはや笑いというよりも泣き声に近い3人の笑い声と悲鳴にも近い白魔導の叫びがアジトに響き渡った……『To Be Continued♪』
2013/12/01
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『CRONOUS』 ~黙示録~第16話 『-アイナ育成計画-』「と、いう事で…次の警戒当番までに全員のスキルアップをしたいわけだ」朝食の済んだリビングでトゥイージーがそう言った「具体的には?」「そうだな…とりあえずアイナさんを今日から俺と孫さんで見るか…で目標はこのターンで葡萄かな」カラーの質問にトゥイージーはそう答えた「え?だって次の当番って…」「うん…時間はないのはわかってる…ただね生粋のこのギルドだけのメンバーって言うと悠長な事を言ってられないんだよね…降格なんて事になったら死活問題だから」「トワさんの言う通りですね…現状以上を目指さないまでも現状維持はしたいですからねぇ…ホホホホホ」「孫さんも言ってるけど…実は今まで格下だと思ってたギルドも力をつけてきてね…余裕のつもりがそう言ってられなくなってきたんで」トゥイージーはそう言って苦笑いを浮かべる「だから…今日からザンさんとアイナさんは俺と孫さんがついてちょっと上の狩場に行くから…他の人はそのつもりで予定を組んでほしい」トゥイージーの言葉に全員がうなずいて答えそれぞれの予定を決め行動に移ったそして僕たちは狩場へと着いた「ここは悪魔の平原…正直2人を連れてくるのはどうかと思ったんだけどね…」トゥイージーはそう言って懐からタバコを出して火をつけた「努力します」ザンジオは煙を空に向かって吐くトゥイージーにそう答えた「そうだな…とりあえずザンさんは途切れのない支援と忍耐力…アイナさんは俊敏さと状況判断…課題は大きいよ」トゥイージーはそう言って煙を吐き出した「とりあえず…私はウォリアーになりますか…」孫はそう言うと気合を入れてウォリアーへと変化する何度見ても恐ろしい光景である「さて…かなり奥地にはなるけど敵を引き込むのにいい場所があるんだ…が、そこまでの道のりがちょっと厄介でね…恐らく見た事ある奴ばっかり出てくると思うけど手は出さない事!見た目が同じだけで能力はけた外れだからね」トゥイージーがそう言うとタバコの火を消して歩き出した確かに…周囲にいるのは中級狩場にいるモンスターも多いしかし進路上の敵をなぎ倒してる孫の戦い方から全く別物だという事がわかるどれくらい歩いたか…ほどなくして僕たちは目的地へと着いた「じゃあ…ザンさんはここ…孫さんの後ろでヒール…死ぬ気で頑張ってw」「はい…」「アイナさんは俺とザンさんのヒールの範囲内で移動して敵を釣っては孫さんの射程内に引き込む…これの繰り返しかな…とは言え気を抜いたら即アウトだからね」「は、はい…」「最終的には左右に別れたいけど…まずは俺と一緒に行きますか」トゥイージーはそう言ってアイナの背中を叩いたそしてアイナが先行する形で手近なモンスターに向かった「弓があると楽なんだけどね…まぁフォローはするから攻撃したら即引いて」「はい!」アイナは返事をするとまっすぐ突っ込む攻撃態勢に入った時…逆に先手を取られる敵の振り向きざまの一撃が目の前で止まる「はい…OUT!」トゥイージーはそう言ってアイナの肩を叩いた敵の攻撃が当たる寸前でトゥイージーが氷の魔法で動きを止めてくれた「じゃあ…行ったん退こう…」トゥイージーに言われてアイナは一旦ザンジオの位置まで引いた魔法が解けた敵はトゥイージーを追って孫の攻撃範囲へと入ってくるそしてそれを孫が薙ぎ払う「これが一連の流れかな…OK?」アイナはうなずいて返事をする「じゃあ…もう一度いってみようか」さっきのようにアイナを先頭にして2人が敵を釣りに行くアイナは目標を決めると一瞬目を閉じる「バインドテンタクル!」アイナはそう叫んで目標に仕掛ける…それと同時に目標の近くに居た敵にもバインドがかかるしかも止まったのは一瞬で一気に4匹のモンスターがアイナに押し寄せるしかもそのスピードはアイナの想像を超えていた「OUT!」トゥイージーはそう言ってまた敵を凍らせる「そう来るんじゃないかと思ったんだw…確かにバインドは離れた敵を釣るのには使えるが、時として余計な物も釣ってしまう事もある…慣れた狩場ならともかく、こういった不慣れな狩場ではBAD!」アイナはトゥイージーに肩を叩かれまたザンジオの位置まで下がった「孫さん…次は4匹ね」「ほほほほほ」こうして2回目も孫は難なく倒し終了する「OUT!」3回目…気負い過ぎたのか攻撃を当てたのちバランスを崩し逃げ遅れる「OUT!」4回目…うまく行きかけたが退く時に石につまずいて転倒「OUT!」「OUT!」「OUT!」狩場にトゥイージーのそんな声が響くそろそろ昼になる頃だろうかアイナは肩で大きく息をしながらその場に座り込んだ「けっこう死んだねw…まぁ、ここの敵はそんなに優しくないって事だね…ザンさんは大丈夫?」「このペースならなんとか…」「じゃあOUT!だね…今はこんなペースだけど引き込みの人数が増えた時とかは支援が余裕無いと全滅だからね」「はい」「じゃあメシかな…アイナさんは………走れそうにないねw」「ほほほほほ…駆け抜けますかw」孫はそう言って笑うとひょいっとアイナを肩に担ぎ狩場を駆け抜けたトゥイージーとザンジオもそれを追うように駆け抜ける4人はウーノス城まで戻ってきた「はぁぁぁ…」席に着くなりアイナは大きなため息をついたそれを見て孫が笑いながらアイナの頭を撫でる「まぁ、初めてあの場所に連れてこられたら…あんなものかな」トゥイージーはそう言いながらタバコに火をつけるそして誰もいない方に向かって煙をはいたのち「むしろ…上出来…かな?」トゥイージーのそんな言葉に孫もうなずいた「戦っていればおのずとコツやテクニックが身に付き生き残る術を覚える事が出来る…だがそれはあくまでもソロの話…もちろんそれは重要な事なんだけどね…ソロには限界がある…まぁ世の中には『化け物』と呼びたくなるようなソロもいるけどね…」「まぁ…思い当たらなくもないですが…」僕はトゥイージーの言葉を聞いて思わず苦笑いを浮かべる「正直、カラーさんから聞いてはいたが…確かに目がいい…判断力も悪くは無い、速さだって…そうだね同等クラスの敵を相手にするなら死ぬ事は無いだろう…現時点での評価で言えば100点を上げてもいい」トゥイージーはアイナにそう言ったアイナは思わず照れて小さくなる「だが…俺たちが本当に相手にしなきゃいけないのはフィールドをうろつく同等の雑魚なんかじゃない…1人ではけして勝てないような相手にどう挑みどう勝ち抜き…そして生き残るかが重用さ…もちろん『自分が』ではなく共に戦う全ての仲間全員がね」トゥイージーはそこまで言うと言葉を止めてタバコをふかす僕はチラッとアイナの方を見る…彼女も気が付いているのだろう真剣な眼差しでその言葉を受け止めていた「ソロって奴は存外楽なんだよ…だって最終的にその場で倒れても自己責任…己が力の無さの結果だからね…ところが団体戦となればそうも言っていられない、1人の判断ミスがその場にいる全員の命を奪い去る事もある…故に自分に出来る事、自分がやらなきゃいけない事…それを理解して実行する…それが出来て50点」「え?50点?」僕は思わず聞き返した「当然だよ…その上でプラス出来る事を見つけ行動する…それで一人前の入り口だね」「きついなぁ…」僕は苦笑いでそうつぶやいた「そりゃそうさ…俺たちがこれから戦わなきゃいけない相手はそういう敵なんだよ…あいつとの戦いはそうだったろ?」僕はトゥイージーの言葉を聞いてデュフォン戦を思い出したあの戦いは本当に悲惨だった…目の前で何人もの仲間が次々と命を落とした…己が力の無さを呪いもした「まぁ…そうは言うが俺だってまだまだだけどね…」トゥイージーはいつもの表情に戻って新しいタバコを咥えピコピコと動かす「ほほほほほ…予期せぬ相手にタゲられて慌てふためき…後ずさりしてぶつかった木を敵と思い込んで本気の一撃を加えてなぎ倒し…倒れた木が白さんを襲撃、それを避けた白さんが遊撃してたカラーさんを押し倒す…見る見るうちに狩場は大混乱…あれは笑えましたからね」「え?」「ザンさんが戻ってくる…ちょっと前の出来事ですよ…ほほほほほ」僕は思わずトゥイージーを見てしまった「そう言う孫さんだってココ一番ってところで腰を痛めて変身が解けてえらいことになりませんでしたっけ?一歩間違えたら全滅でしたよ…アレは」「ほほほほほ…つまり私たちが目指すところに上限は無い…そういう事ですよ、100点がどこなのか未だに誰も知りません…故に50点というポジションがいかに重要かって事ですね」孫はそう言っていつも通りニコニコと笑う「さあ…余談はここまでだ、午後もビシバシ行くからガツっと食おうぜ…休憩や食事も戦術の1つ」僕とアイナはうなずいて返事をした…『To Be Continued♪』
2013/11/25
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『CRONOUS』 ~黙示録~第15話 『-本日は快晴ところにより…-』「ふむ…わかった覚悟はできてるわけだ…なら教えよう」トゥイージーはそう言って全員の顔を見渡したその場にいた全員がテーブルの周りに集まり静かにトゥイージーの言葉を待った『10:55』「火の元よし…戸締りよし…じゃあ行くか…」トゥイージーはアジトの状態を確認して出かけた向かった先は『ギルドセンター』今日はギルドセンターで緊急のマスター会議がある「まったく…会議ばかりで嫌になるね…孫さんとの待ち合わせは『0:00』だからサクッと終わってほしいね」『11:30』「ふぅ…終わった~!いつもいつも話が長ぇんだよ!簡潔に済ませりゃ15分だっての…だいたいなんだったんだよ今の会議は…『最近…毒入りのシャーベットが露店で売られているという噂があるので注意してください』だってよ…笑っちまうよな」トゥイージーはそんな事をつぶやきながら広場に向かった「噂話で会議を開くなっての!その前に事実確認をしろって!お前が真っ先に食って死ね!…だいたいこんな時期外れにシャーベットなんか売って………売ってるな…」トゥイージーはシャーベットを売っている露店の前で立ち止まる「へぇ…珍しいなぁこんな時期にシャーベットなんて」「おお!旦那…お目が高い!…ケケケケケケ」(「うわぁ…絵に描いたような怪しさだなコイツ…」)「おい!…安すぎないか?相場の10分の1だろコレ」「そうなんすよ…どうしても急に金が入用でねぇ泣く泣く出してまさぁ…買ってくんねぇっすか?あと1つなんすよ…ケヘケヘヘヘヘヘヘ」「じゃあ…もらうか」「まいど!あるたぁ~っす!…きっととびきりの味でっせ…クケケケケ」「・・・・・」こうしてトゥイージーは怪しげな露店からシャーベットを1つ買った「あとで孫さんに調べて……ヤベ!待ち合わせ!」トゥイージーは孫との待ち合わせを思い出し、慌ててアジトに戻るとテーブルにシャーベットを置き『キケン食うな!』のメモを添えて孫の元へと向かった『12:10』「ふぅ…お腹がすいた…」八咫が午前中の狩りを終えてアジトへと戻ってきた「あっ…鍵がかかってる…」八咫はそうつぶやくとリビングの脇の窓へと向かう「えっと…こうだっけ?…むむ…ここかな?…お!…開いた♪…良かったぁこの前アデさんから借りた『不法侵入と暗殺』が役に立った♪」八咫は窓を開けてそこから室内へと入る…その時の風でメモが吹き飛んだ「食べ物…食べ物…食べ………し、シャーベット?」八咫はテーブルに近づいてシャーベットを凝視する「ゴクリ…ちょぴっとなら貰っても………うまー!」そして…気が付いたら完食していた八咫は慌てて倉庫や露店で素材を集めシャーベットを用意してアジトを立ち去った『12:30』アジトにアデレードが戻ってくる…しかし玄関には向かわず窓へと…おそらく八咫と同じ方法だろうがあっさりとやってのけ中へと入る「!!!!」アデレードはシャーベットを発見して持っていた団子状の物をぶちまけた「あ!」アデレードは慌てて落した物を拾うも視線はシャーベットに釘付けだった「あれ?…1つ足りない…まいったな…まぁ床に落ちてる物なんか食べないよね」なぜかアデレードはそんな事をシャーベットに向かって語りかけていたそしてアデレードもまたシャーベットを食べてしまい新たに用意してアジトを出た『12:50』うほほいがアジトに戻ってくるそして玄関のドアをノックする…しかし反応はないこれを数回繰り返すもやはり返事は帰ってこないうほほいはその場で数回スクワットをしたかと思うと突然ジャンプして玄関の上の子屋根にぶら下がるそして懸垂で子屋根によじ登るそこからバルコニーへ…そしてその上の大屋根へと登りガッツポーズを決める…そしてまた玄関前へと戻ると持っていた斧の刃をドアの下に差し込みなんとドアごと外してしまった外したドアを玄関の脇に立てかけて中へと入ったその後…すぐさまシャーベットを発見する無言のまま数回瞬きをしたのち手がシャーベットへと延びる…しかし寸前でもう片方の手でそれを抑え込みしばらく格闘するその後その場で「煩悩滅殺!」と叫びながら高速スクワットを150回高速腕立て伏せを200回…高速腹筋を300回したのち…結局、煩悩に負けシャーベットを食べてしまった『1:30』ザンジオがアジトに戻り…葛藤を繰り返したのちシャーベットの魔力に負けて完食『2:05』バーンが戻ってくる…玄関には向かわずそのまま匍匐前進で床下へ…どこに出たのかはわからないがアジトの中へシャーベットを発見しさも当たり前のように完食…その後また床下から出てきて新たなシャーベットを用意してまた床下へ…そしてまた出てくると装備についた誇りを払って立ち去った『2:20』マウンテンが戻ってくる…うほほいと全く同じ方法でドアを外して中へ…突然中から飛び出してきたかと思うとまたコソコソと戻ってきて中へ…そして額の汗をぬぐい立ち去った…しかしドアはそのままだった『2:45』ウコンがアジトに現れる…外されたドアを見てため息をつく「これができるのはあの2人か…外したら直せよ…こんな事なら教えるんじゃなかったな」そんな事をつぶやきながらドアを直す…それからドアを開けようとノブを掴んで止まる…そしておもむろに懐の中を探る…ため息を1つついたのちまたドアを外して中へその後慌てて出てきたかと思うと立ち去りかけたところでおもむろに止まりドアを元に戻して立ち去った数分後また戻ってくると大きなため息をついてドアを外し中へと入りすぐに出てきてドアを戻して立ち去った『3:10』カラーが戻ってくるドアノブを数回動かして鍵がかかっている事を確認したのち数歩後退して跳躍…軽々と子屋根に上りまた跳躍してバルコニーへそして窓を開けて室内へそして玄関から出てくると鍵をかけてどこかに走り去る…で戻ってくると今度は鍵を開けて中に入りすぐに出てくると鍵をかける…と、そこにゼロが戻ってくるカラーはゼロに「どうぞ」といった感じに入口を譲るしかしゼロはというと玄関の前に立ったところでカラーに何かを話しかけたカラーは手を腰に当ててゼロに何かを言い返しているゼロはカラーに向かって手を合わせ頭を数回下げ懐から革袋を出して金貨を数枚出してカラーに渡すそれを受け取ったカラーはゼロに鍵を渡して立ち去ったゼロは鍵を開けて中へと入る…そして出てくるとどこかへ走り去りまた戻って来ると中へ…そしてため息を1つついてアジトから立ち去った『4:00』アイナが戻ってくる…ドアをノックしたのち誰もいない事を悟ると鍵を開けて中へ…数分後…勢いよくドアが開いたかと思うと真っ青な顔でオロオロと玄関の前を数回往復し走り去った『4:10』ザンジオを含んだ8名が再び戻ってきて今に至る…「と、まぁこんな感じだな…っていうかよお前らここの鍵はどうした?聞いてればまともに入ってるの数人じゃないかよ!」トゥイージーは全員にそう聞いた「えっと失くすといけないから大切に保管してあります♪」と八咫が笑顔でいち早く答えるそれを聞いたトゥイージーは顔に手を当ててうなだれた「私は実践を兼ねて使わない主義です…おかげで今はほぼどんな窓でも開けられますよ♪」「実践ってなんのだよ!…んで他は?」アデレードの答えを聞いてトゥイージーはさらにうなだれる「いつも忘れるんですよ…」「食った」「く、食った?」トゥイージーはそんな答えにうほほいを見たが…それ以上は何も聞かなかった「俺も忘れるんだよな」「無くした」「あ、俺もなくした」「売った」「無くしました」「どいつもこいつも…まったく…………まて!…今『売った』って言った奴誰だ?」トゥイージーが顔を上げると全員が白魔童を見ていた「いや…この前倉の整理をしてて色々ローリンに売りとばしたんだけど…その直後に鍵がない事に気が付いてさ…いやぁまいったまいったw」「あのなぁ…」トゥイージーが白魔童に何かを言おうとした時「あ、あの…という事は私が毒入りを食べたんですよね?」心配そうな顔で八咫がそう聞いてきた「まぁ…怪しい露店商が売っていたというだけで毒入りと決まったわけじゃない…それにもしもそうなら即効性で即死級の毒らしいから大丈夫かと思うがな」それを聞いた八咫は胸をなでおろした「待って…今の説明に肝心な白さんの行動が入ってないんですけど…」今度はアデレードがトゥイージーにそう質問した「教えないわけじゃないが…ホントに聞きたいのか?」トゥイージーはそう言ってもう一度全員の顔を見るおそらく『自分ではない』という気持ちと『自分だったらどうしよう』この2つが入り混じってお互いの顔を見合った「そうだ!」その時…突然カラーがそんな声を上げたかと思うと素早くバゥルを手に取りためらいなく白魔童に向かって弦を引いた「おい!な、なんでそうなる!」白魔童はそう言いながらあとずさりをする「ギルドの掟…仲間を傷つけない…答えを聞いたら必ず1人苦しむ事になる…だから誰が?じゃなくて全員が食べたのよ…そしてこんなにも気分が悪くなった…OK?」カラーはそう答えてさらに弦を引く「ま、待て!俺が傷つく!っていうか死んじゃうって!」白魔童はそう叫んでその場に伏せた「カラーさん…そこまでだ…とにかく今回の件はこれで締めよう…置きっぱなしにした俺も悪いしな」トゥイージーの言葉を聞いたカラーはうなずいてバゥルを下ろしたそう…僕たちは自分の保身のために犠牲者を作ってしまうところだったたぶんこれからはここに何があっても誰も食べたりはしない…こんな事件は2度と起きないだろうおそらくみんながそう思い笑顔が浮かんだその時…「お!こんなところに団子が!」白魔童がそんな事を言ってソファーの下に手を突っ込んで団子を取り出した「あ!それは私の!返して!」アデレードがそう言って立ち上った「ほうかほうか…この団子はお嬢のかぁ…」白魔童はそう言ってニヤッと笑ったかと思うと団子を口に放り込んだ「あああああ!」アデレードの叫び声をよそに白魔童は吟味するように数回噛んだのちゴクリと飲み込んだ「あまり美味くないな…コレ…」白魔童はそう言って眉間にシワを寄せる「な、なぁお嬢…あの団子ってまさか俺が頼んでた…アレ?」「そうです…昼間落して探そうとしてたらこんな事件になって…」トゥイージーとアデレードの会話を聞いた白魔童が首をかしげる「白さん…良く聞けよ…今食ったそれ…ネズミ退治用にお嬢に依頼してた団子なんだわ…」トゥイージーがそう言った時…白魔童が口から泡を吹いて倒れた「か、川が見えるよ…お花畑…キレイ…」その後…白魔童は生死の境を3日3晩さまよったという……『To Be Continued♪』
2013/04/22
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『Fantasy Earth Zero』~メルファリア大陸の物語~第二章・第11話「依頼主」レスターはしばらく盤とアイナの顔を交互に見たのち天井を仰ぎ見る…「おい!レスター!さっきから何なんだよ!」「そこまで引っ張って『お肉セット』でした!…なんてオチか?w」「新人かまうのもたいがいにしろよ!」業を煮やしたギャラリーが口々にそう叫ぶその時…かすかな声でレスターが何かを言ったしかしよく聞こえなかった「え?なんだって?」「きこえねーよぉ!」「だから…アニチケ…だってば…」レスターの言葉にその場の全員が硬直するそして一斉にアイナを見た正直…アイナはレスターの言葉が聞き取れていなかったのでただ苦笑いを浮かべる「僕はねぇ…長年ここでディーラーという仕事をやってる…そう、何千人っていう人のドラマをずっと見てきたのさ」レスターはそう語りだした「確かにこのゲームは運さ…まぁ、どのゲームも運なんだけどね…この盤の仕組みは知らないよね?」レスターはそう言ってアイナの顔を見るアイナは首を横に振った「この盤にはね『00』~『39』まで40個のポケットがある…無論その時点で1/40の確率って事になるんだけど…微妙に調整がしてあってね入りにくいポケットと入りやすいポケットってのがあるんだよ…あ!でも名誉のために言っておくけどイカサマじゃないよより高価なものに価値をつけるための策なんだからね…他の装備は、そうだね…出難いまでもそれほどでもないのさ…ただしこの『00』番のポケットは別…ある一定の速度、ある一定の角度…そう言った物が揃わないと出ないようにワザと細工がしてあるのさ…それだけ価値がある…そう言うチケットなんだよ」レスターはそう言いながら景品の交換札をアイナに手渡した「じゃあ…プライズに行ってチケットをもらっておいで…すごく高価なものだから大切にね♪…あと、交換期限があるから気を付けてね♪」レスターはそれだけ言うとルーレット盤を磨き始めた(「ねぇ!すごいよ!すごいじゃん!」)「う、うん…」(「なにそれ…嬉しくないの?」)「ううん…嬉しいんだけど…なんか、今までこんな経験ないから…実感がね…」そしてアイナがプライズのモーニュの元に行き交換札を渡すその時のモーニュの驚きっぷりは凄まじくまるで自分が当てたかのような勢いだったこの場で交換するかを聞かれたが…アイナはとりあえず断ったするとモーニュはチケットで交換できる装備の写真の載ったカタログをつけてくれたアイナは何度もモーニュと案内をしてくれたシーナに頭を下げて遊技場を後にした(「うわぁ…もう日が沈みかけてるし…」)その言葉通り…もう太陽が傾きかけていたアイナは慌てて最初に訪れた換金所のリブートの元に行く「お疲れ様でした…この街はいかがでしたか?…こんなご時世ですが皆日々の争いを忘れてここでは楽しんでいます…ぜひまたお立ち寄りください」リブートはそう言うとニコニコと笑いながらアイナに受領書等が入ったと思われる袋を差し出したアイナはそれを受け取ると何度も頭を下げて船着き場へと急いだそしてアイナがバーに戻った時にはすでに日も落ちて営業時間となっていた「スミマセン…遅くなりました」「お!アイナちゃんお帰り~♪」「無事にお仕事すんだね♪」そう言ってアイナをミズキとフネが向かえてくれた「そうだなぁ…もうお店開いちゃったし…疲れただろうから今日は休んでて♪…報告は閉店後に聞くから♪」フネはそう言うと仕事に戻りオーダーのドリンクを作り始めるアイナはぺこりと頭を下げて自室に戻った(「疲れたぁ…」)「歩いたもんねぇ…」(「いや…歩くのはあなただから私はどうって事ないけど…あのシャンテだっけ?…私だったらぶん殴ってたって」)「あはははは…アレは…そうね…確かに二度と会いたくないかな」(「ねぇねぇ…さっきのカタログ見せてよ!」)「あ!そうだね…」アイナは荷物からカタログを出して見始める(「なるほどね…こんなに種類があるの?…職業別と…お!共通なんてのもあるんだ!」)「うわぁ…いっぱいあるね…」しばらく口々に色々と言いながらカタログを見続ける(「む、無理に…とは言わないけどさ…記念だしずっと使えるように…き、共通装備から選んだら?」)もう1人のアイナはそんな事を言った「え?ソーサラーから選ばなくていいの?」(「な、なんでそうなるのよ!…てか、それじゃアンタが使えないじゃん…」)「うん…でもなんとなく…その方がいいかなぁ…って」(「そ、ソーサラーになる気あるの?」)「ううん…ないよ」(「アンタねぇ…」)「じゃあ…共通装備から選ぼうか…」そんな事をしてるうちに時間が過ぎ…お店が閉まったらしくフネから食事の声がかかったアイナは荷物をまとめて閉店後のお店へと降りる「改めまして…初お仕事お疲れ様でした♪」「お疲れ様でした♪」「お疲れ様…」「した~!」今日の食事前の乾杯の掛け声はそれだった「えっと…これが受領書…だと思います」そう言ってアイナはリブートから手渡された袋をフネに渡すフネはニコニコと微笑みながら受け取って中身を確認する「ご苦労さまでした…じゃあ報酬ね」フネはそう言うとリブートからの紙袋から出した物の中から数枚のカードを出してアイナの目の前に並べたアイナは理解できず首をかしげる「まず…これがバンクのカード…気持ち程度ではあるけれど入隊祝いって事でゴールドとリングが預金されてるから大事に使ってね…あと手が空いたらバンクに行ってアイナちゃんが今持ってるゴールドとリングも預けておくといいわ」フネはそう言ってニコニコと笑うアイナは差し出されたカードを見て驚く「こ、こんなに?…っていうかこの金額って…」「ふふふふふ…今日持って行ったお金はね…実はアイナちゃんの祝い金だったのよ♪」驚くアイナにミズキはそう言って笑った「で…もう1つ」フネはそう言ってアイナの前にカードを置いた「!!!…こ、これってヴィネルのカード…」「うん…3000オーブだけだけどね…チャージされてるから時が来たらそれで装備をそろえたらいいわ」アイナにはまだその価値観が理解できてないがありがたさに涙がこぼれた「あらあら…泣かないの!…その代り頑張って返してもらうんだからね♪」ミズキはそう言ってアイナの頭を撫でる「はははははは!懐かしいなぁ…俺もその仕事したよ!…ヴィネル島を走り回らされてさ!仕組まれてたと知らずにルーレットさせられてよw」リアはそう言って笑う「え?」アイナはその言葉を聞いて目を丸くする「今日…リブートの所で手紙を届けるお仕事したでしょ?」フネがそう聞いてきたのでアイナはうなずいて返事をする「実はアレ…私が頼んだ仕事なの」フネはそう言ってアイナに紙を見せるそこには…「この子がうちの新人の子だからヨロシクね~♪ -ミズキ-」と書かれていて、その下には閲覧した人のサインが書き込まれていた「ぶわぁ!…シャンテの奴相変わらず『ぎゅるびぃ~ん』だけ書いてあるw」リアは紙を見て大笑いした「どう?ヴィネル島は楽しかった?」フネにそう聞かれて…アイナは笑顔でうなずく(「そっかぁ…全部仕組まれてたのかぁ…味な真似してくれるわね…チケット当たってぬか喜びしちゃったじゃん」)もう1人のアイナがそうつぶやくも…その声はどこか嬉しそうだった「まぁ…アイナちゃんなら大丈夫だろうけど…こいつみたいに次の日に全額使い果たすとかしないでねw」フネは手に持ったフォークでリアの方を指してそう言った「おいおい…ルーレットの味を覚えさせたのはそっちだろ?オーブやリングがチャージされてりゃ誰だって行くって」「じゃあ…ゴールドは?」「・・・・・」「うちに落とすならともかく…余所の飲み屋で使い切るとかね…信じられないわ」今度はミズキがリアにツッコミを入れた「だって…向こうは女の子が付くんだぜ!…行くだろ普通」リアはそう言って小さくなる「で!アイナちゃんは何が当たったの?」ミズキがそう言って目を輝かせて聞いてくる「え?」アイナは首をかしげる「ノヴァっちは…別職の武器だったっけ?」「はい…でも装備が当たってけっこう嬉しかったです」ミズキに聞かれたノヴァはそう答えた「で…リアは何だったっけ?www」ミズキはニヤニヤと笑いながらリアに聞いた聞かれたリアはというと…不服そうに口を尖らしたそれを見たフネが吹き出して笑う「・・・・OBだよ…」リアは小声でつぶやくように答えた「え?よく聞こえなかったんだけどwwww」ミズキがそう聞き返すとリアはテーブルをドン!と叩いて「ああそうですとも!俺は超激レアなOBを引き当てましたよ!!…これで満足か?」リアは大きな声でそう言うとプイッと顔をそむけた「OB?」アイナはリアの言った言葉の意味が解らず首をかしげた「プププププ…OBっていうのはねぇ…投げ入れた球が弾き飛ばされて外に出ちゃうことなのwww」ミズキはそう言うとテーブルを叩いて笑い転げる「レスター曰く…超常現象並みに起こりにくい失敗らしいよw」フネもそう言って笑う「で!で!アイナちゃんは何をもらったの?」ミズキの言葉で全員の視線がアイナに集中する「え、えっと…」アイナは苦笑いを浮かべてアニバーサリーチケットをそっとテーブルの上に出した「え?」「マヂ?」「わぁ…」「なんだってぇ!?」全員がチケットを見つめてそう声をもらしたさっきの話を聞いたためかアイナは申し訳なさそうに小さくなった…『To Be Continued♪』
2013/04/06
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『Fantasy Earth Zero』~メルファリア大陸の物語~第二章・第10話「シャンテ」アイナは遊技場の入り口へと続く階段を登る遊技場の建物もそうだが…入口の扉も大きかった「うわぁ…大きな扉…」アイナは口を開けてその扉を見上げるそして扉に手を触れると扉はゆっくりと自然に開いた中の景色はアイナの想像を超えていた豪華な装飾…光り輝くシャンデリア何よりも驚いたのは高い天井から吊るされた大きな帆船の模型だった(「やりたい放題ね…っていうか…くち!くち!思いっきり開いてるわよ!」)「!!!!」アイナは慌てて口を手で押さえる(「でも…まぁこの状況なら私もそうなってるわね…」)「あら…ここは初めてかしら?」入口で突っ立っているアイナに女性の声がかかるアイナは慌ててその声の方を見る(「大きなリボン…この人じゃない?」)「あのぉ…シーナさんでしょうか?」「ええ…そうですけど……………どちら様?」シーナは突然見ず知らずのアイナから名前を呼ばれて首をかしげるアイナは慌てて持っていた手紙をシーナに渡した「こ、これを…外の道具屋さんから預かってきました」「ノイルから?…なんだろ…」シーナは不思議そうに手紙を見るそしてすぐに得心したのか数回うなずく「では…改めまして、私はこの遊技場の案内係をしているシーナと申します♪」「えっと…アイナです…はじめまして…」シーナの自己紹介を聞いてアイナも慌てて自己紹介をする「では、アイナさん…私がこの魅惑に満ちた遊技場を案内いたしますね♪」そう言ってシーナは満面の笑みを浮かべて歩き出した…とりあえず入って右手のフロアーを案内するようだ「こちら側は…休憩のできるテーブル席とバンクやEXバンクがあります…で特に重要なのは…こちら」シーナはそう言ってアイナを手招きするそこにはシーナと同じ服を着た女の子がいた「ここがプライズでこちらがその担当のモーニュよ」シーナはそう言って紹介した「はじめまして♪プライズのモーニュです♪…ここはルーレットの景品交換をやってます、ルーレットをして景品カードを受け取ったら私のところに来てくださいね♪」モーニュはニコニコと笑いながらそう紹介してくれたアイナはいまいち解ってないが微笑み返した「さて…次は…」シーナは口元に指を当てて辺りを見回すそして目的の意図を発見したのかアイナの手を引いて歩き出した「この方がリサイクル担当のジバンさん」シーナは白髪のおじいちゃんを紹介してくれた「私がリサイクル担当のジバンですじゃ」ジバンはそう言ってぺこりと頭を下げた「リサイクルっていうのは…プライズで受け取った景品で要らない物をリングに交換してくれるのよ♪」シーナはジバンに代わってリサイクルの役目を教えてくれた「景品って…要らない物もあるんですか?」アイナは苦笑いで聞き返した「うーん…それは人それぞれってところかなぁ…ただ装備に関しては必ずしも自分の職業の物が当たるとは限らないのね…そういった物はバンクで預かってくれるけどそんな事をしてるとすぐに預かり枠がいっぱいになるからリサイクルって訳が必要なのよ」シーナの説明を受けてアイナはうなずいて返事をした「じゃ次はそのルーレットね♪」シーナはそう言いながらアイナを手招きするどうやらルーレットはここと正反対の入って左手のフロアにあるようだ「まずは…道具屋さんね基本的には外の道具屋さんと同じ」シーナはそう言って道具屋の方を手で指し示す「こんにちは…道具屋のベルラスです…ここではルーレット用のコインも販売してますので御入用の際はぜひどうぞ」紹介を受けたアイナはぺこりと頭を下げる「では…簡単に説明しますね…コインは2種類あります、ゴールドとシルバーです。ゴールドは1枚でルーレットが遊べます…でシルバーは10枚でゴールド1枚に相当します…ゴールドコインはオーブで…シルバーコインはリングで買えます…とりあえずそんなところかなぁ」ベルラスの説明にアイナは「ほぉー」といった顔で答える「そして…隣がコイン預り所担当のクルフィよ」「クルフィです…ここではお客様が買われたコインを預からせていただいております♪…ただし預かったコインはこのカジノカードにチェックされるのでコインとしては戻せないから注意してね♪」クルフィはそう言ってカードを見せてくれた「このカードを持って…ルーレットのところにいるディーラーに渡すと…記載された回数分ルーレットで遊べるの♪」クルフィはそう言ってニコッと微笑んだとりあえずアイナも微笑み返す「さて…いよいよ最後ね…ちょっと疲れると思うから覚悟しておいてね♪」シーナはそう言って笑うとアイナを連れて中央のフロアに向かった(「っていうか…もう十分疲れましたよ…何なのホントにこの依頼は………はぁ…」)「何なんだろうね…」アイナはため息をつきながらシーナの後を追ったシーナの紹介で「リンス」「カイト」「ホウブ」の3人を紹介されたそれぞれリングを賭けた別々のゲームを楽しめるらしいアイナはゲームの説明をそれぞれから受けたが疲れのせいか全く頭に入らないもう1人のアイナと協議の結遊ぶ機会があるならその時もう一度聞く事にした「さて…お疲れ様でした…これで紹介は最後…」(「まだいるのか…はぁ…」)「でもやっと最後だって…」アイナがそうつぶやいて苦笑いを浮かべると「さぁ…大きく深呼吸をして」シーナがそんな事を言ったアイナは首を傾げながら言われた通り深呼吸をするそしてシーナが「最後」と言った女の子の前にアイナを連れて行くとシーナが紹介をするよりも早くその女の子は「ぎゅんばきゅーーん♪ようこそ♪」と話しかけてきた(「ぎ、ぎゅん…ばきゅーん?」)「私はハイアンドローを担当しているシャンテでーーーす♪ぎゅるびぃーーーん♪」アイナはただ茫然とシャンテを見る「ハイアンドローは御存じ?」シャンテの問いかけにアイナは首を横に振ってこたえる「おーのー…巷で大流行のハイアンドローを知らないなんて…残念な子って呼ばれちゃうぞ♪」アイナはもはや苦笑いを浮かべるしかなかったそんなアイナをよそにシャンテは勝手に説明を始める…「じゃあ…今日は特別にこのシャンテが丁重に…優雅に…妖艶に説明しちゃうぞ♪」シャンテはそう言ってウインクをしてくる「このゲームは2リングで遊べるのだ♪まず私がランダムで0~99までのカードをババンと1枚引いちゃいます♪…あなたは次に私が引く数字が最初の数字より大きいか小さいかを予想するの♪…かんたんでしょ~♪」「そしてピッタンコびびーんって当てたら…次はその数字より大きいか小さいかを予想…これを繰り返すです~♪」「こうして繰り返して当てていくと…ドンドン…じゃんじゃん…じょりんじゅわぎーん…って景品がよくなっていくのよ~♪やめたい時はおりる事もできるわよ♪」「たったの2リングでドカン!…なんて事もあるんだから~♪」「どう?さっそくやってみる…」アイナは顔を引きつらせて首を横に振った「あう~…残念なのです…きゅるきゅるきゅるぅぅぅぅ…でもでも遊びたくなった時はぎゅんぎゅんぎゅるぅぅうんって声をかけてね♪ぎゅるびーんって待ってるから♪」シャンテはそう言ってにこやかに笑う(「こいつは…何語をしゃべってるんだ?」)「さ、さぁ…」アイナはいち早くシャンテから離れると大きなため息をついた「はい、お疲れ様~♪」シーナはそう言ってアイナの頭を撫でた「これで終わりですか?」アイナは疲れ切った表情でシーナに問いかけた「残念ですが…これで終わりです♪」シーナはそう言ってニコッと微笑むアイナは一瞬シーナの「残念ですが」を聞いてめまいを起こした…それほど精神的に疲れていた…特に最後のシャンテのせいで「でわぁ…今回の手紙配達の報酬を上げますね♪」シーナはそう言うとアイナの手を開いてそこにゴールドコインを一枚乗せたアイナは手に乗せられたゴールドコインを見つめて首をかしげる「あらあら…もう忘れちゃったの?…それはルーレットで遊べるゴールドコインよ♪…ささ行きましょう♪」シーナはそう言ってアイナの手を引きクルフィの元に連れて行くあっという間にアイナの名前の入ったコインカードが発行されてそのまま背中を押されてディーラーの元へと連れて行かれた「こんにちは、私がディーラーのレスターです」レスターはそう言って指でルーレットの球を頭上に弾き後ろ手でキャッチした「よ、よろしくお願いします」アイナはそう言ってコインカードをレスターに渡した「ほぉ…コインは1枚…泣くも笑うも1発勝負ってか?いい心意気だねw」「な、何がもらえるんですか?」「うーん…色々揃えてるよw…戦場で役立つアイテムセットや…高級肉の詰め合わせ…各職業の限定装備…そして運がいいねぇ今は特別期間で特賞はアニバーサリーチケットだ!」「アニバーサリーチケット?」「OH~…君はアニチケを知らない新人さんかぁ…じゃあ教えてあげるぜ聞いて驚きな!…ここの景品はねぇ期間が終わるとデザインが変わっちゃうんだよ…変わったら過去の装備品は入手が不可能になるのさ…と・こ・ろ・が…アニチケはなんと!過去全ての装備品1つと交換できちゃうのさ!」レスターはまるでバレーダンサーが踊るかのようなアクションでそう説明したしかし…いまいち価値観のわからないアイナは「へぇ~…」とだけ答えた「OH!NO!…じゃあ…これならどうだい?」レスターはそう言うとアニバーサリーチケットで交換できるという過去の装備品の乗ったカタログをアイナに見せた(「!!!」)「!!!」アイナともう1人のアイナはそれを見てやっとチケットの偉大さを理解した「まぁ…期待させておいて申し訳ないけど…チケットはそうそう出ないからw」レスターはぷぷぷぷぷっと笑うアイナは思わずうなだれた「とりあえず…人生はじめてのルーレット…いってみよぉぉぉぉ!」レスターはそう叫ぶとルーレットを回したそしてまた例のオーバーアクションで「イーーーッツァァ…………ショーーータァーーーーーイム!」と叫んで球を投げいれたこんな大きな声で叫ばれるといやおなしギャラリーが出来てしまうアイナは気恥ずかしくなって小さくなるそして球は盤上で何度も弾かれながら転がり続ける…固唾をのんで皆が球の動きを見つめる…やがて球は1か所の枠に収まり…盤が止まるのを静かに待った盤は徐々に速度を落とし………止まる…「・・・・・・」レスターは無言で球が止まった数字を見つめるアイナを含んだ全員が無言でレスターの声を待ったそしてレスターがアイナの方に振り向く「・・・・・・」と思うと…また盤の方に顔を向けるいったい何回その行為を繰り返しただろうか…見守る全員がつばを飲み込む「ゴクッ」という音だけがホールに響いた…『To Be Continued♪』
2013/03/30
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『Fantasy Earth Zero』~メルファリア大陸の物語~第二章・第9話「ヴィネル島」『ヴィネル島行 定期船』(「へぇ…噂には聞いていたけど…ホントに他国の人といっしょなんだ…」)「そうだね…なんか不思議だよね」(「昨日の今日だからってわけじゃないけど…気を引き締めましょう」)「うん…」アイナはそう答えて唇をキュッと噛んだヴィネル島とは…メルファリアの世界において独特の文化を持った場所である現在、争っている5つの国のどこにも属してはおらず…そしてどの国もこの島には一切手を出す事がなく…独立自治区となっている一説にはこの島の統治者が恐ろしい悪魔である為どの国の王も手が出せない…とかはるか昔からの神聖な場所で神が住み…侵した者には恐ろしい罰が下されるなどと言われているまた、この島は自由に入国する事が出来るそのためここにはそれぞれの国から名のある職人や芸術家たちが自由を求めその身を置いているいつしか独自の通貨を生み…独自の装備品や道具を作りそれがこの島の文化となったそしてそれらの品を求め各国から人が集まる当然、戦争という渦中であるために時として揉め事が起こる事もあるが『不可侵』という大義名分の下に島は守られて問題を起こした者は重い罰を受ける事となるそう…このヴィネル島だけが乱世のメルファリアの中で唯一…平和を保っている場所であるそして…アイナをのせた定期船はヴィネル島に到着した『ヴィネル島 ガルム遊技場』ヴィネル島にある街の1つ…ここには遊技場があり日夜人が訪れてヴィネル製の装備を狙う…この遊技場で手に入る装備品は同じヴィネル製でも店に卸されている物とは違い期間限定でレアリティー度が高いため特に人気が高く…その装備欲しさに身を滅ぼす者すら出てくるというそんな魅惑に満ち溢れた街にアイナは足を踏み入れたのだった「うわぁ…おっきな建物だね…これが遊技場かなぁ…」(「おそらくね…じゃあ換金所を探しましょ…早く依頼が済めば…ちょっとくらい見て歩けるだろうしねw」)「でも…お金ないよ…」(「見るだけよ…まぁ、見たら欲しくなるだろうけど…あ!アレじゃないの?ほら…銀行の隣」)「お…きっとそうだね♪」そしてアイナは無事に換金所に革袋を届ける依頼を成功させた換金所に居た男はアイナから受け取った中身から手紙のような紙を取り出すと読み始めるそして数回うなずくと中身を数えはじめた「確かに…お預かりいたしました…」そう言って男は頭を下げたアイナもお辞儀をして返す「さて…申し遅れました…私、この街で換金所を任されております…リブートと申します以後お見知りおきを…」換金所の青年はアイナにそう名乗ってお辞儀をした「え、えっと…アイナと申します…よろしくお願いします」アイナも自己紹介をしてお辞儀をする「それで、受け取りを用意しなくてはいけないのですが…少々お時間を頂きますのでその間にちょっと配達のお手伝いをお願いしたいのですが…良いですかね?」リブートはアイナにそう言ってきた「はい♪」アイナは笑顔でそう返事をした「良かった…ちょっと急ぎの物だったので…あ、ついでなので紹介しておきますね…私の隣にいるのがこの街の銀行担当のキーシュです」リブートはそう言って右隣に居る男を紹介した「おいおい…ついでかよ…まぁ良いけどね…私がこの街で銀行を担当させていただいてますキーシュです…お見知りおきを…」キーシュはそう言って丁寧にお辞儀をするアイナもお辞儀でおい札を返す「そしてその隣にいるのが…宅配便受け取り窓口のシームです」リブートは次にキーシュの隣のシームという女性をアイナに紹介した「宅配便の受け取り担当をしています…シームです。」シームはそう言ってお辞儀をする「宅配便?」アイナはシームにお辞儀をしたあと…そう聞き返す「あ…申し訳ありません…説明不足でしたね…当方ではアイナ様の知人や国家から届いたお荷物を預からせて頂きますのでよろしくお願いいたします」シームはそう言って補足するアイナは数回うなずいて返事をする「あとは…そうですね…こちらがエクストラバンク担当のリキュルです」リブートは左隣の女性を示してそう紹介した「アイナさんね…私がエクストラバンク担当のリキュル…ヨロシクね♪」リキュルは軽いノリでそう自己紹介したアイナは挨拶をしたのち「エクストラ…バンク?」リキュルに聞き返した「エクストラ…通称EXバンクとは…まだあなたは開設してないけど…通常の銀行では預かりきれなくなった物を預かってるのよ♪…まぁ開設したり、利用枠を増やすにはお金がかかるけどね…必要な時が来たらよろしくね♪」リキュルはニコやかな笑顔でそう答えた「さて…自己紹介が終わったところで…この手紙を南通りにあるソーサラーのお店の人に届けて下さい…よろしくお願いします」リブートはそう言ってアイナに一通の手紙を手渡したアイナはその手紙を受け取るとペコリとお辞儀をしてソーサラーの店に向かった「えっと…南通りって事は…こっちか…」(「そっちは北!…まったく…」)「あはははは…ゴメン」そしてアイナは南通りにでる…「ソーサラーのお店…は…アレかな?」アイナは南通り沿いにあるお店を覗き込む「いらっしゃいませ…ソーサラーの店へようこそ♪」「えっと…リブートさんから手紙を預かってきました」アイナはそう言って声をかけてきた店員に手紙を渡す「リブートから?…なんだろ…」受け取った店員はそう言って訝しげな表情で手紙を読む「なるほどねぇ…そういう事ね…はいはい」そう言いながら手紙に何か書き込むと隣にいる男の店員に手紙を渡す渡された男の店員も手紙を見て数回うなずくと手紙に何かを書き込む「えっと…私がこのソーサラーのお店で防具を担当してるポプリです」「武器担当しているジークルと申します」ポプリとジークルはそう言って頭を下げたアイナはそれに対して深々と頭を下げる(「ね、ねぇ…ちょっと見てっていい?」)そんな声にアイナは数回うなずいて「あのぉ…少し見せてもらってもいいですか?」「どうぞどうぞ…ゆっくり見て行ってください♪」ポプリはそう言ってニコッと微笑む「見たところソーサラーの方では無さそうですがぁぁぁぁぁぁあ!」ジークルはそんな声を上げて苦悶の表情を浮かべる「ジークル!クラスなんかどうでもいいのよ!もしかしたら贈り物で買うかもだし…見た目のかわいさだけでボケかまして買うかもでしょ!」「な…なるほど………ってそんなボケた奴いないだろ…」「わからないわよ…っていうか見るからにそんなタイプじゃん…」「なるほど…そう言われてみれば…確かにボケてそうだな…」ポプリとジークルはそんな事を小声で話してる「あ、あのぉ…聞こえちゃってるんですけど…あはははは」(「まぁ…言い得て妙だけどね…方向音痴だし」)アイナはもう1人の自分にそう言われて頬を膨らめてむくれる「ほらぁ!お客さんのご機嫌取り損ねたでしょ!」「いや…お前がボケた客とか言うからだろぅ」「まったく!アンタ商売向いてないんじゃないの?」「そりゃあこっちのセリフだよ!」ポプリとジークルは店内でケンカを始めた(「はぁ…どっちもどっちね…これじゃゆっくり見れないわね…」)アイナはそんな声にうなずいて「あのぉ…おじゃましました…また来ますので…」そう2人に声をかけるとぺこりと頭を下げた「え?あ!帰っちゃうの?…ちょっと待って…ほらぁ早くしてよ!」「はいはい…それじゃ…これを東通りのスカウトの店に届けてくれないかなぁ」「あ…はい…お預かりします…では失礼しましたぁ」アイナはジークルから手紙を受け取ってソーサラーの店を後にした少し離れるとまたポプリとジークルがケンカを始めたらしく賑やかな声が響き渡る(「あれで商売になるのかね…」)「さ、さぁ?」アイナは苦笑いを浮かべて東通への角を曲がるそしてその後スカウトの店に行き「バッガ」と「フルーニア」から紹介を受けるこの2人ははまたこの2人で夫婦漫才というかボケとツッコミの息がばっちりな対応だったアイナは変わった人ばかりだなぁ…なんて思いつつ挨拶をするとまた手紙を預かる事になった今度は北通りのウォリアーのお店らしい(「ねぇ…手紙を届けるのはいいけど…どんだけまわればいいのよ…」)「だよねぇ…」ウォリアーの店に着くとまた紹介を受ける…武器担当の「セスタ」さんに防具担当の「クァーフ」さんらしいそして帰りがけにまた手紙を預かることになる次は遊技場の方に戻ってすぐの所にある道具屋さんらしいアイナが道具屋の前に差し掛かった時最初に来た遊技場の前の広場に戻ってきた事を理解した(「なんか…この街一周したようね…」)「そうだね…」(「なんだったのかしら…この数時間…そうだ!もう書類とか用意できたんじゃないの?」)「うん…ここで終わりだといいね…」そんな事をつぶやきながら道具屋を訪ねた「いらっしゃいませ!カジノのコインも置いてありますよ!」そんな軽快声が返ってきた「スミマセン…お客じゃなくて…これをウォリアーのお店から預かってきました」アイナは申し訳なさそうに店員に手紙を渡した店員は笑顔で手紙を受け取るとうなずきながら目を通し何やらその手紙に書きこんでいるようだったそう言えばソーサラーのお店のジークルさんも同じような事をしていたしスカウト、ウォリアーの店員も同じように何かを書き込んでいた気がする「さて…申し遅れました…私は道具屋のノイルと申します御用の際はよろしくお願いいたします」「あ、アイナと申します…今日はお客じゃなくてごめんなさい」「では…申し訳ないのですがこの手紙を遊技場の中…入ってすぐの所にいる大きなリボンをつけたシーナさんに届けてください」ノイルはそう言って手紙を差し出したアイナはやっぱり…と思いながら手紙を受け取り道具屋を後にしたそして広場に出て正面に見える遊技場の大きな建物を見上げた…『To Be Continued♪』
2013/03/24
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『CRONOUS』 ~黙示録~第14話 『-恐怖体験-』僕たち冒険者は日常的に「死」と隣り合わせで生きているとは言ってもそれをそうそう自覚する事はない今日はそんな僕たち冒険者が一番恐れている「死」という物を身をもって感じたそんなお話…とある冬の日…素材探しの狩りから街へと戻ってきたけして過酷な狩りではなかったがなかなか手に入らなかったためかなり疲れていたこの疲れを癒すには…人それぞれ…というところだろうが僕はそれほどお酒を飲まない…故に甘い物に走る事が多いしかし…甘いものといってもチョコレートやケーキといったそんな気分ではないもっとこう…さっぱりとした何か…そう思ってはみたが特に思いつかないままアジトへとたどり着いた「ただいまー!」そう言ってみたが特に返事はないみんなまだ戻ってないようだそしてリビングへと入った時テーブルの上に置かれたある物を見つけた「か、柿シャーベット…」僕は思わずテーブルに駆け寄ってそれを見つめたそう…僕が疲れた体を癒すのに食べたいと思っていた甘くてサッパリした物がそこにあったのだ思わず「ゴクリ…」とつばを飲み込んださて…ここでちょっと補足説明をしておきたいもちろんこの大陸の「柿シャーベット」についてクロノス大陸で秋に収穫された甘くて美味しい柿をシャーベットにした物…文字で書いてしまえばそのままその通りなのだが…この柿シャーベットは特別なのであるどう特別なのかというと…とけないのであるそう…冷やして凍らせたのではなく特別な魔法の力で凍らせたので天日に晒したとしても自然にとける事はないのだしかし…シャーベットをスプーンですくって口の中へと運ぶとどうだろう…まるで淡雪のように優しく…ゆっくりと溶けるのだったそして口に残るのは柿のほのかな甘さ…一度食べた者ならこの味は忘れないだろう僕もこの柿シャーベットは大好きである…しかし…そんな柿シャーベットがなぜ無人のリビングにあるのか?これが問題である普通に考えれば誰かの物…これは当然の事なのだが…なぜ?僕はそんな事を考えながらシャーベットを見つめる手に取ってみようと手を伸ばすも寸前で堪えるこの時僕は…人の欲望の恐ろしさを身を以て体験したそしてどのくらいの時間が過ぎただろうか…街の片隅でみんなが戻ってくるであろう時間までボケーっと過ごしたそして、そろそろ良いだろう…そんな事を思いアジトに戻るとなぜか八咫、うほほい、カラー、ゼロ、アデレード、マウンテン、バーンと出くわしたそしてなんだか微妙な空気を感じつつ中に入ったその頃…ゲートにトゥイージーと孫が戻ってきた「いやいや…ホントなんだってば」「うーん…イマイチ信じられませんね…」「ホントに怪しかったんだってば」「でもこの時期に柿シャーベットなんて…材料ですら見かけませ………って売ってますね…材料」孫は言いかけた言葉を止めて露店を見る「お!お客さん!うちに目を止めるなんてお目が高い!今、なぜだか黙示録ギルドにバカ売れの柿シャーベットの素材っ………って」そこまで言いかけて露店主は慌てて店を片付け始める「なぁ…今の話…もうちっと詳しく聞かせて欲しいんだけどさぁ…」トゥイージーは露店主を頭上から睨み下ろす「あは…あは…あはははははは…」露店主はひきつった顔を浮かべながら後ずさりしたいっぽうアジトに入った僕はテーブルの上に柿シャーベットがない事に気が付いたふと見ると全員がテーブルを見つめて止まっていたそしてしばらくの後何事もなかったかのようにいつもの定位置に移動するしかしなぜか会話はなく…みんな落ち着きがなかったそこに…トゥイージーと孫が戻ってくる「いや!だからマヂだってば!」「うーん…ホントですかねぇ…その話」そんな会話をしながら入ってきて…トゥイージーはテーブルの前で足を止める「あれ?…なぁ…ここに柿シャーベットなかった?」トゥイージーはそんな言葉を発した僕は思わずビクッとなる(「アレは…トワさんのだったのか…」)慌てて周りを見回したが…それには気が付いていないようでホッと胸をなでおろした「変だなぁ…確かにここに置いたんだけどなぁ…」「トワさんの勘違いでは?」「いやいや…間違いなくここに置いたんだよ」「とか言って食べちゃったんじゃないの?」「いやいや…食べないって!…毒が入ってる恐れのあるシャーベットなんか!」トゥイージーはそう言って孫の言葉を否定した「!!!!!!」僕は思わず胸を押さえる…そう言えば…どことなく気分が悪い…何だく…呼吸すら困難になった感じがするまさか…恐る恐る顔を上げるとなぜか最初にいた全員の顔色が悪くなっていると、そこに上機嫌で歌を歌いながら白魔童が帰ってきたしかも…その歌詞の内容が「柿シャーベット」となっている「犯人はお前か!」トゥイージーはそう言って白魔童を睨み付ける「え?うぇ?」白魔童は状況が理解できずにそんな声を上げるその時…突然カラーが立ち上がり口を押えてトイレに向かって走る「おぉ!オメデタ?」白魔童がそんな事を言うとカラーは立ち止まり戻って来るなり強烈なボディーブローを打ち込んでまたトイレへと走ったすると今度はアデレードが立ち上がり続けて八咫も立ち上がる2人ともカラー同様…手で口を押えてトイレに向かって走った「なに?どうしちゃったの?」白魔童はそう言って首をかしげる「まったく…どいつもこいつも…」トゥイージーはそう言っていつもの席にドカッと座ったそこにアイナが帰ってくる…なぜだか解らないが表情が暗い「ただいまぁ…」加えて声のトーンも低い「で…ここにあった柿シャーベットを食べたのは誰だ?」トゥイージーはテーブルをトントンと叩いてそう聞いたリビングが静まり返る…「・・・・・ごめんなさい…」そう言ったのはアイナだった「探したけど材料が売ってなくて…たい焼きじゃダメですか?」アイナは涙目でトゥイージーの所に駆け寄ってたい焼きの入った紙袋を差し出したトゥイージーはため息をついたのち「で…他に食った奴は誰だ?」トゥイージーはもう一度聞くと腕組みをして全員の顔を見る(「そっか…トワさんはもう気が付いてるんだ…観念しよう」)僕はそう決心してそっと手を挙げたするとどうだろう…トゥイージーと共に入ってきた孫さんと白魔童を除いた全員が手を挙げているそれどころかさっきトイレに駆け込んだ女性3人も手を挙げて戻ってきたという事は…全員僕と同じように食べたのちに新たに柿シャーベットを用意してテーブルに戻しアジトを立ち去る…という事をしたようだ「マヂかよ…」トゥイージーは手で顔を押えてうなだれたそこに大尉ことウコンが入ってくる「お!?…何の決議だ?」「いや…大尉、決議とかじゃないんだ…柿シャーベットを盗み食った奴に手を上げろと言ったらこの状況さ」トゥイージーが事情を説明するウコンはしばらく考えたのち…そっと手を挙げた「大尉もかよ!」「スマン…つい誘惑に負けて…」大尉は例の仮面でションボリとうなだれる「まぁいい…ただ、ここに白さんが加わってないって方が奇怪に思えるな」トゥイージーがそんな言葉をもらすと「失礼だな!私はそんないやしい真似はしない!」「一番しそうですけどね…ほほほほ」「ただ表面は舐めたけどねw」白魔童はそう言って笑ったそれを聞いた容疑者全員がビクッと反応し…みるみる青ざめていく「舐めたって…マヂで?」トゥイージーがひきつった顔で聞き返した「ベロベロと表面をくまなく…けっこう難しいんよ、溶かすことなく唾液をふんだんに塗りつけるのはwww」「お、お前なぁ!」トゥイージーがそう叫ぶと同時に容疑者全員の顔が紫色に変わるまぁ…仮面で見えない人がいるがきっとそうだろうとりあえずそれは置いておいてシャーベットを用意できなかったアイナが最後の人なのは決定的…つまりそれ以外の全員は僕と同じように食べた後シャーベットを用意したことになるここでトゥイージーが言った「毒の入った恐れがある」が引っ掛かる加えて…白魔童は舐めただけでその場に置いた…つまり最初に食べた人が「毒が入った恐れのある」シャーベットを食べそしてそれ以後の誰かは確実に白魔童の唾液まみれのシャーベットを口にしたことになる「毒」というのも恐ろしいがあくまでも「恐れがある」という言葉からも少しは希望が持てるしかし…「唾液まみれ」というのは「死」に直結はしないが精神的に「毒」よりも絶大な破壊力だろう僕は…いや、僕たちは今…かつてない「恐怖」を感じていたそして…この後トゥイージーが個別に事情聴取を行った「なるほどね…とりあえず順番はわかった…ここで選択肢は2つ…」トゥイージーはそう言いながらいつもの席に座り一呼吸間をとってから「真実を…『聞く』か『否』かだ…」そう言って全員の顔を見渡した…『To Be Continued♪』
2013/03/16
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『CRONOUS』 ~黙示録~第13話 『-タイマン-』上着を脱ぎむきだしになったデンキチの身体はとてもそこいらの子供とは違いすでに一端の戦士と言っても過言ではなかったその証拠に悲魔を迎えにきた騎士もデンキチの鍛え抜かれた身体を見て「ほぅ…」っと声をもらした「加減はしてあげるけど…怪我したらごめんね…さきに謝っておくよ」そんなデンキチを見ても怯む事無く悲魔は身構える(「マジシャンって奴は詠唱中にスキができる…そして離れてれば厄介だが懐に飛び込めば…」)デンキチがそう思った瞬間…氷の刃が飛んできたデンキチはそれをちょっとの動きで氷の刃をかわす(「あいつ…詠唱したようには見えなかったが…やっぱ実戦ってやつは面白いw」)デンキチはニヤッと笑い一瞬体を沈めるとその場から消えたそして悲魔のすぐ左に現れると殴りかかる悲魔はデンキチをチラッと目で見るだけで体をのけぞらし拳を躱すしかし避けたはずなのに悲魔の頬に一筋の傷ができた(「思ったよりも図体の割に速い…」)悲魔はすぐに間合いを取りデンキチの動きを封じるように氷の刃で攻撃を繰り返すデンキチはその攻撃を避けながら間合いを詰めては何度も攻撃を加えたどちらも決定的な一撃を与える事無くそんな攻防が続く「すっげ…どっちもすげー」「デンキチさんってあんなに動けるんだ」「いや…それもそうだけど…あいつだって凄いぜ!…デンキチさんの攻撃が全然当たらない」男子生徒たちは目の前で繰り広げられる攻防をみてそんな声をもらした「戦場で生き残れる兵士の条件はすでに持ってるようだな…」そんな騎士の声に男子生徒が初めてその存在を意識して頭を下げる「ふふふ…そんなにかしこまる事はない…それより、よく見ておくんだな…こんなケンカはそうそう見れない」騎士はチラッと生徒たちを見ただけでまた視線をデンキチと悲魔に向けるとそう言った「あのぉ…と、止めなくていいんですか?」男子生徒の1人が騎士にそう聞いた「何をだ?」騎士は生徒に目をくれる事もなくそう聞き返してきた「いや…だから…このケンカを…」男子生徒がそう答えると騎士は大笑いをして「子供が子供の理由でケンカをする…それをわざわざ止める大人などいない…いや、居たらいけないのさ」騎士はそう言い放った「いや…だけど…なぁ…」生徒たちはその言葉が理解できないのか顔を見合わせる「覚えておけよ…傷つけるのも…そして傷つくのもどっちも痛い…それを大人になる前に覚えるのが大事なんだ…」騎士がそう言うと生徒たちは納得したのか悲魔とデンキチの方に向き直った「どうした?マジシャン!スタミナ切れか?息が上がってんぜ!…ぜぇ…はぁ…」「お前こそ…攻撃のキレが悪くなってる…はぁ…はぁ…はぁ…」お互い肩で息をしながらも攻防を続けていたそして一瞬デンキチがバランスを崩した時…悲魔が一気に間合いを取りデンキチに向けて右掌をかざす当りの気温が一気に下がったかと思うと「な゛!」デンキチがそんな声を上げたデンキチの足元が凍り…その氷が両足にまとわりついて動きを封じたのだった「チェックメイトだ…無理して動くと足が砕けるよ」そんな悲魔の言葉を聞いてもなおデンキチはもがいていたそして悲魔は動きのとれないデンキチに歩み寄る「こんなもの…ウォォォォォォォォォ!!」デンキチはライオンハートの咆哮を上げてまとわりついていた氷を砕いたそして一気に間合いを詰めると渾身のボディーブローを繰り出す悲魔は数メートル吹き飛ばされて悶え苦しむしかしこれで優位に立ったように見えたデンキチも両足がいう事を聞かないらしく片膝をついた「クソッ!…怪我しないようにって気を使ってやれば…いい気になりやがって…」悲魔はそうつぶやきながら起き上るデンキチも自分の両足を拳で叩きながら立ち上って睨み返す「もう…ゆ、許さない!」「もう…勘弁ならねぇ!」2人は同時にそう叫ぶと目の色を変える「グレイシャー…」「マウンテン…」2人が渾身を込めた攻撃を繰り出そうとしたその時「はい、そこまで!」2人の間に騎士が割って入った「…プリズーーーーン!!」「…クラァァァァップ!!」騎士は飛び掛かろうとしたデンキチを指1本で止めデンキチに向けて降り注いだ氷の塊をいとも簡単に払いのけたそしてデンキチの動きを止めた指を弾いてデコピンをする「ビシィィィィィィン!」ものすごい音と共にデンキチが簡単に吹き飛ぶ騎士はデンキチに見向きもせず悲魔の元に向かうと動けない悲魔の襟首を掴んで吹き飛んだデンキチのとこまで放り投げるそれを見ていた男子生徒は全員呆然と口を開ける「私は言った…子供が子供の理由でケンカをするのは止めぬ…と」騎士はそう言いながら地面に並んで転がる2人の元に歩み寄った「しかしだ…最後の攻撃はもうケンカじゃない…あれはお互いを殺すための技だ…それ故に止めた」騎士は2人の傍らにしゃがみ込むとニコニコ微笑みながら顔を覗き込んだ「クソッ!」「ケッ!」2人は口々にそんな声をもらしモソモソと起き上がるそしてお互いの顔を見合ってからまたプイッと顔をそむけた「おやおや…全力を出したケンカが終われば手を取り合うのが流儀ですよ」騎士はそういうとニヤッと笑って2人の額に指を突き付けるそうとう痛かったのだろう…デンキチの顔が青ざめる悲魔もあの一撃の経験があるのか身震いした「確かに…お前は強い…まぁ俺の方がもっと強いけどな…」デンキチは悲魔をチラッと見てそうつぶやいた「フン…よく言うよ…でも確かに君も強かった…僕の方が強いけどね」悲魔もデンキチの方を見てそうつぶやいた「なにぃ?」「なんだよ!」「やるのか?」「頭下げるなら相手をしてあげるよ」「なんで俺が頭下げるんだ?…ペッ!」「キタね…ツバ飛ばしたな!…ペッペッ!」「この野郎!2回もツバ飛ばしやがって!…ペッペッペッ!」「あ!もう頭来た!」デンキチと悲魔がまた小競り合いを始める騎士はうなだれてため息をついたのち「ビシィィィィィィン!」「痛ってぇ!」「痛い!」2人の額にデコピンが炸裂した「まったく…いい加減にしてくださいよ」騎士はそう言ってひきつった笑みを浮かべた2人はそろってシュンと小さくなる「でも、まぁ…安心しました…殿下にも気を許せる学友が出来て」「学友?こいつが?」「ええ…戦ってる時もそうでしたが…今だって楽しそうでしたよ…殿下のそんな顔を見たのはいつ以来でしょうかねぇ」騎士はそういうと悲魔の襟首を掴んで立たせると服のほこりを払ったそして悲魔の手を取るとデンキチに向かって差し出させたデンキチはプイッと横を向きつつもその手を取った騎士は掴んだ悲魔の手を引っ張りデンキチを引き起こす「まぁ…お前がなりたいなら友達になってやってもいいけどな」悲魔はデンキチから顔をそむけてそうつぶやいた「ケッ…とか言ってお前が友達になってほしいんだろ…だったらなってやってもいいぜ」デンキチも悲魔の顔を見る事無くそうつぶやく顔を合わせる事無く友情を誓った2人を夕日が照らしたそののち…この2人に引き寄せられるようにタロ、クラッシュ、ケンジャが集い悲魔が王位をとった後の王国騎士団が出来上がる事になる…ただそれはずっとずっと先のお話…「大尉はホント…何してんだ?」「何をしてるんでしょうねぇ…」トゥイージーと孫は窓に張り付いて一連の行動をずっと見ていた「コホン…そんな事を言ってるお前は何をやってるんだ?」初老の男は咳払いをしてトゥイージーを睨んだ「片付いたら鍵を持って来いと言ったはずだが…」「!!!!!」その言葉を聞いたトゥイージーが顔色を変える「まさか!……………………な、なんじゃこりゃぁ!終わっとらんじゃないか!」初老の男は書庫に入るなりそんな声を上げた「孫さん…逃げよう!」「ホッホッホッホ…」「鍵は机の上にあるから!…そんじゃ後ヨロシク!」トゥイージーは書庫の中に向けてそう叫ぶと孫と共にその場から走り去った…『To Be Continued♪』
2013/03/09
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『CRONOUS』 ~黙示録~第12話 『-団長と番長-』「ところでお主は何を調べようというのかな?出された書物を見ても皆目見当がつかんのだが…」初老の男は積みあがった本を眺めてトゥイージーに質問をした「まぁ…そもそも何を調べようとしてるかすらまとまってないからなぁ」トゥイージーが苦笑いでそうつぶやくと初老の男はため息をついてうなだれた「なぁ…魔法でさ、ある物にある物の姿を映す…とかそういった物ってあるのか?」トゥイージーは初老の男にそう聞きながら見ていた本を閉じて積みあがった本の山に乗せた「・・・・・・・言ってる意味が解らん」「だよなぁ…俺もうまく説明できないんだよ…だけどそういう事なんだって」「はぁ?」「だからよ…………孫さん頼む」「ほほほほ…そこで私に振りますか…困りましたねぇ…」孫は身振り手振りを用いてなんとか説明をした初老の男はトゥイージーを見つめながら無言であご髭をいじる「あとは…アレだ時間をさかのぼるっていうかそんな魔法かなぁ…」そんなつぶやきを聞いた初老の男は一層険しい表情になり「お主…今度は何を企んでおるのじゃ?」そう言い放った「いや…企んでなんかいないって…ただ疑問に思ってさ」「ふむ…まぁいい…どっちも不可能ではないな…」「そっか…不可能じゃないのか…」「えええええええ!どういう事だよ!」トゥイージーは思わずそう叫んで初老の男の胸ぐらをつかんだ「ええい…でかい声を出すな!」「ああ…申し訳ない…で、どういう意味だよ」「詳しくは教えられんがな…というよりも、そういう研究がなされたという事しかワシは知らん…前者はおそらく魂を用いる魔法というか呪術じゃろうな…で、後者は次元魔法じゃろう」「どっちもできるって事か…」「出来るとは言っておらん…過去においてそんな研究がなされたというだけじゃ…しかし今は禁じられている」「という事は…やっぱり過去から来たって事か…だけどあんな服装どの文献にだってないぜぇ…むしろ斬新だよなぁ」「とにかく…何を調べておるのかは知らんが…今言った2つの術については禁じられた術とされておるからな…これ以上は触らん方がいいだろう…ワシもここで止めてくれるなら見なかった事、聞かなかった事にしといてやる」「つまり…それほどヤバい術ってわけね…」「ヤバいなんてものじゃないわ!たわけ!…国家反逆罪に値するわ!」初老の男は顔を真っ赤にしてトゥイージーを怒鳴りつけた「国家反逆罪ねぇ…また大きく出たなw」「笑い事じゃないわ!」「確かに…禁呪の類となればそうとられても仕方ないですなぁ…」孫は見ていた本を棚に戻しながらそうつぶやく「っていう事は…やっぱ俺たちは彼女が言う『その時』ってのが来るのを待つしかないって事か…」「ですねぇ…」トゥイージーと孫は互いの顔を見合いながらため息をついた「さっきから不明瞭な会話を…お主は何を調べ…何を知ろうとしてるんじゃ?」「ファンタジックな話はやっぱりファンタジック以外の何物でもなかった…って事でこの件は終了だ」「まったく…とにかくだ先の2つだけではなく…禁呪の類に触れると己が命を縮める事になり兼ねんという事をだなぁ…」「はいはい…理解してます」「まったく…ホントに…ここを片付けておけよ…ワシは私室に戻っておるから帰る時には鍵を戻しに来い」初老の男はそう言うとブツブツと小言を言いながら書庫を出て行ったトゥイージーと孫は積み上がった本の山を見てからため息をつき…元の場所へと戻し始めたその頃…デンキチ達は3年の集団を倒した悲魔というマジシャンを探して校内を走り回っていた「あ!」1人の男子生徒が窓の外を見てそんな声を上げるそれを聞いたデンキチも足を止めて窓の外を見た校門のところにいかにも王宮騎士という出で立ちの騎士が立っていた「ナイス!…アレがお迎えって事は…あそこで待てば奴は来るって事だ…」デンキチは言うが早いか窓を開けるとそこから飛び出した「ちょ!4階っすよここ!」共に居た男子生徒の1人がそう言って窓から身を乗り出した時にはデンキチはすでに落下していた男子生徒たちは慌てふためきながら手近な階段から1階へと向かって走り出したいっぽう落下するデンキチはというと…ただ考えなしに飛び降り落下しているのではなかったそして地面にぶつかる瞬間「パワァーーーーブレイクゥーーー!!」そう叫んで地面にスキルを叩きこんだ衝撃波が起こりその反動でデンキチは落下を止めて難なく着地した「ほう…生徒であんな芸当をやってのけるのがいるとはなぁ…」一連の行動を見ていた騎士がそう声をもらしたデンキチは服についた砂埃を払うとまっすぐ騎士の元へと歩くそして騎士には見向きする事無くその横に並ぶように立った「長年戦場に立ってはいるが…パワーブレイクをあんな風に使った奴は初めて見た」騎士もデンキチを見る事無くそうつぶやいた「フッ…なんだったら真似してもいいんだぜ」「それが必要な場面に出くわしたなら…使わせてもらおう」お互い見る事無くそう話すしばらく沈黙が続いたのち…「時に…君は何故そこにいるのかな?」「気にするな…あんたに用がある訳じゃない…俺はあんたが待ってるであろう奴に用があるだけだ」デンキチのその言葉を聞いて初めて騎士がデンキチを見た(「まったく…殿下ときたら学友を作らずにこんな輩を増やしてたのか…まったく」)騎士はため息をついてうなだれた「私が待ってる者に用があるといったな?…基本的に私はここの部外者だからここの者…特に生徒どうしの戯事に口出しはしないが…待つ理由くらいは聞きたいものだな」騎士はまたデンキチから視線を外してまっすぐ校舎を見つめてそう言った「戯事…まぁ戯事だな…俺は俺のクラスメートを助けた礼をしたいだけだ」デンキチはそう言ってボキボキと指を鳴らす「最近の子供が使う『礼』という言葉と私が知る『礼』という言葉には幾分違いがあるようだな…」騎士はそう言って笑ったデンキチは騎士を見る事無く「ケッ…」と声をもらしたその頃…トゥイージーと孫は書庫の前の廊下にいた「いやぁ…散らかすのは簡単だが…片付けってのはどうして簡単じゃないのかね…休憩しましょう」トゥイージーはそう言ってため息をつく「まったくですね…腰が悲鳴を上げてますよ」「あ…病み上がりでしたね…」「いえいえ…リハビリって事で」孫は腰をさすりながらそう言って笑った「にしても…どうしたものかね」トゥイージーがそうつぶやきながら窓の方を向く「大事に発展しなければいいのですが…」孫もそうつぶやきながら同じように窓の方を向くそして同時に門の所の人影を見つけた「あれ…って…大尉だよな」「そのようですね…」「何してんだこんなとこで…仮面をつけてないって事はユーコン大尉としてここにいるって事だよな」「王国騎士団が学校に何の用ですかねぇ」2人はそう言葉をもらして首をかしげたそして門の2人は…特に会話もなく相変わらずまっすぐ校舎を見据え並んで立っていたそこにデンキチを追ってきた男子生徒たちが校舎から飛び出してきた「よかった…無事だったんすね」無傷で立つデンキチをを見た男子生徒がそんな声をもらす「あの程度の高さどうってことはない」平然とそう言い放つデンキチに男子生徒は苦笑いで首を横に振ったそして1人の男子生徒が校舎の脇にある体育館の方を見て声を上げる…悲魔という生徒が現れたからだデンキチはまっすぐ悲魔の方を見てニヤッと笑う悲魔はというとそれをチラッとだけ見るとすぐに視線を外しため息をついたデンキチは一歩前に出ると悲魔とまっすぐ向き合って腕組みをする「さっきはうちのクラスメートを助けてもらったみたいで…世話になったな」デンキチはふんぞり返ったままそう悲魔に声をかけた「別に…助けたわけじゃない…ただああいう奴等が嫌いなだけさ」「それは同感だ…」「で…それ以外にも言いたい事があるって顔だね…」「お前がやらなくても俺がやっていた…あんなゴミみたいな奴等15人程度どうってことはない…だが、それでも15人だ…どうやって倒した?」「別に…」「俺には『気に入らない』って人種がいくつかいる…金だの名家だのってのを振りかざす奴…自分よりも弱い者しか的にしない奴…そして、自分が一番強いって思い込んで人を見下す奴さ」「なるほど…見下してるように取られたなら謝るよ…でも、僕は強いよ…」悲魔はそう言ってデンキチに鋭い視線を向けるその言葉を聞いたデンキチはニヤッと笑い「じゃあ…その鼻っ柱を俺がへし折ってやるよ」デンキチはそう言って上着を脱ぎ捨てて身構えた…『To Be Continued♪』
2013/03/02
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『CRONOUS』 ~黙示録~第11話 『-カノン魔法学校-』「懐かしいですねぇ…」門をくぐり孫が建物を見上げてつぶやいた「ええ…当時は毎日が嫌だったのに卒業してみるとなぜかそんな気持ちになります」孫の横でトゥイージーも建物を見上げてつぶやいた「ほほほほほ…嫌だったんですか」「毎日毎日同じような基礎の繰り返し…面白味がなくてね」「魔法は基礎の積み重ねですからね」「確かに…今はそれも理解できます」「当時のトワさんにはそれが理解できなかったわけですね」孫は小さくうなずきながら笑う「生徒の間に上がる話題は最前線の戦士たちの活躍…ここに来ればそこに一番早く近づける…そんな期待をしてたんでしょうね…」「まぁ…最前線で使われる魔法は派手ですからねw」「ですね…そういった事を教えてもらえるものと思い込んでましたから」「ところが…ふたを開けてみれば1に基礎…2に基礎…3、4も基礎で…5まで基礎…上級魔法に憧れを抱く少年にとっては苦痛の日々ですよw」「確かに言えてますねぇ」2人がそんな会話をしているとそこにいかにも魔導士という身なりの初老の男がやってきた「私の教員史で最大の問題児が今日は何の用だ?」初老の男はたくわえたあご髭をいじりながらトゥイージーにそう声をかけた「ほほほほほほ…トワさんは問題児でしたかw」「ボケてるんでしょ…模範生の間違いですよ」「よく言うわ…実戦がしたいと封印された魔物を野に解き放つわ…基礎もろくに出来ないくせに上級魔法に手を出して校舎を吹き飛ばすわ…己が技量も見極めんと前線に潜り込んで死にかけてくるわ…ワシの教師生活で一番手がかかったわい」初老の男はそう言いながらトゥイージーを睨み付ける「細かい事ばっか覚えてやがって…いい加減ボケろよクソじじい」「なんか言ったか?」「いいえ…なんにも…」トゥイージーはボソボソと発したつぶやきにいち早くツッコまれ頭をかきながら苦笑いを浮かべる「で…今日は何用じゃ?」「ちょっと書庫を拝見したくてね」「ほう…いかような書物をお探しかな?返答によっては承諾しかねるが…」初老の男は眉間にシワを寄せる「歴史…とでもいうのか…文化…とは違うか…とにかくそんなところかな」「ふむ…まぁ良いだろう…ついてきたまえ」初老の男はそういうと書庫のある建屋に向かって歩き出したトゥイージーと孫が今日訪ねてきたここは「カノン魔法学校」と呼ばれるところであるクロノス大陸で最大にして最高ランクの学校である「魔法学校」と称してはいるが戦士や騎士を育てる科もありそういった意味でも最高ランクと言えるこれから向かおうとしてる書庫に収められている書物もかなりの量と質を維持していて何かを調べるには適した場所と言えるただし、その辺にある図書館とは違い誰もが気軽に訪れられる場所ではなく卒業生や学校の関係者でないと立ち入る事すら許されない場所でもあるそして2人が書庫に向かってる頃のとある教室…「デンキチさん!3年の先輩方が呼んでますよ!」教室に駆け込んできた男子生徒が床で片手腕立て伏せをしてる男にそう声をかけたデンキチと呼ばれた男は返事をする事無く黙々と腕立て伏せを続ける「デンキチさん…あのぉ…」男子生徒がまた声をかけると「聞こえてる!…放っておけ…用があるならそのうち訪ねてくるさ」デンキチはそう答えると何事もなかったかのように腕立て伏せを続ける「そ、そうっすよね…あはははは…………はぁ…」男子生徒は苦笑いを浮かべたのちため息をついてうなだれたこのデンキチという男はカノン魔法学校の戦士科の新入生…つまり1年である名門と呼ばれるこの学校は授業料も決して安くはないこの学校を出た…というだけで将来が左右されるほどの権力を得られるため最近では名門の家の子供たちで溢れかえっているしかしデンキチの家はというと名門の家系…とはいかず実力で特待生の座を手にしてこの学校に入ってきた故に…名門だとか金持ちといった生徒をやたらと敵視し上級生から目をつけられていたのだった「それにしても…デンキチさんは凄いっすね…」「何がだ?」「いやぁ…暇さえあればトレーニングでしょ…模擬戦じゃすでに教師の上を行く勢いなのに…」「ここの教師に勝ったとて前線にはもっとすげぇ奴がうじゃうじゃいるからな…」デンキチは腕立て伏せを止める事無くそう答えたその時…教室にもう1人の男子生徒が飛び込んでくる「デンキつぁん!…3年生が連れて来いってうちのクラスの生徒を!」それを聞いたデンキチが動きを止めた「なんだと?」「とにかく…連れて来いって…スンマセン…あっちは15人もいて俺じゃ手も足も出なくて」男子生徒はそう言って口元から流れる血を手で拭った「15人相手に向かうなんてお前も根性あるじゃねぇか!…案内しろ俺が奴らに強さってやつを教えてやる」男子生徒はそれを聞いて無言でうなずくとデンキチを3年生のいる場所へと案内したデンキチたちが3年がいるという校舎裏についた時「デンギヂざん…デンギヂざーん…デンギヂざーーん」そんな泣き声をあげて囚われていたクラスメイトが駆け寄ってきたデンキチが訝しげな顔で辺りを見回すとそこには15人の3年生がうめき声をあげて倒れていた「な、なんだよ…これは…どうなってんだ?」デンキチはそう言いながら近くにいた3年生の頭を掴んで引きずり起こす「おい!人を呼び出しておいてどうゆう事だよ!」「で、デンキチか…お、お前はとりあえずあと回しだ…あのクソ魔法使いを先にぶっ殺してやる…」「お前なぁ…先も後もボロボロじゃねぇか…」「ゆ、油断したんだよ…ま、魔法使いだってわかってりゃ…こんなにやられるわけねぇよ」「はぁ…これだからお前らはダメなんだよ…戦場で『はい、私は魔法使いです!』なんて言ってくれる奴はいねぇんだよ!」デンキチはそう言い放つと頭突きを食らわして引きずり起こした3年を放り投げた「魔法使いねぇ…不意打ちしたにしてもこの人数を軽々と倒すなんてただ者じゃねぇな…」デンキチがそうつぶやくと「この前…編入してきた新入生っす…やたら目つきの悪い奴で…確か…悲魔とかって」「あ!俺、そいつなら知ってますよ!…確か王宮の騎士団長とかってのが送り迎えをしてるとかって…」「ケっ!1人で登校もできないボンボンもやしかよ…そういやぁ…俺はマジシャンとの模擬戦は経験ねぇなぁ…」デンキチはそう言って薄ら笑みを浮かべた「そう遠くには行ってねぇはずだ!探すぞ!白黒つけなきゃな…クラスメイトを助けてもらった礼もしなきゃいけないしなw」そしてデンキチたちは悲魔とういう生徒を探しにその場を後にしたいっぽうその頃トゥイージーと孫はというと書庫で本を読み漁り…読み終えた本で山を作っていた「ないなぁ…」「ないですねぇ…」トゥイージーと孫はため息まじりにそうつぶやいた「では…私はあっちの棚の本を調べてみますか…」孫はそう言って別の本棚に向かった「時に…あなたはもしかして孫さんでは?」棚の本を物色してる孫に初老の男はそう声をかけてきた「はて…私は名乗りましたかなぁ…」「いや…まぁ…問題児だっただけにその後が気になってましてね…『黙示録』というギルドに入ったと聞いていたので…もしやと思いましてね」「ほほほほほ、そうでしたか…手を焼く子ほどかわいいと言いますからねぇ…」「お会いできて光栄です…」初老の男はそういうと孫に深々と頭を下げた「はて…どこにでもいる隠居の老兵ですがねぇ」「いえいえ…私…いや、ここの教員のほぼ全てが今は封印されたあなたの論文を支持しておりますので」「それはそれは…役に光栄の極みですなぁ」「研究所の方も今は代が変わり…血の研究も始めてます…もしよろしければお戻りになられたら…いや、むしろ戻っていただきたい」「ほほほほほほ…そのお言葉だけありがたく受け取っておきます」「ダメですか?」「ダメというか…今は彼らと共にいる方が楽しくてね…」孫はそうつぶやきながらトゥイージーを見つめた「そうですか…アレは迷惑かけてませんか?」「迷惑だなんて…むしろ私が世話になってますからなぁ」「安心しました…」初老の男はそう言うと笑みを浮かべて何度もうなずいた…『To Be Continued♪』
2013/02/24
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~第7話「ガンブレード」~(「とは言え…どうしたものか…おそらくあの武器はチャクラム型の武器…破壊力では格段にこっちが有利…あとはタイミングか」)クラウドはそう心でつぶやいて相手の動向をうかがうしかし相手もそんなクラウドを読んでいるのか一向に動く気配はない(「なるほど…足止めが主体の目的か…ならば…」)クラウドは意を決し相手に向かって真っ向から距離を詰める(「動け…動け…」)クラウドは走りながら剣を下段に…そうまるで剣の刃先で地面を斬るかのごとく当然この構えでは正面からの攻撃に対しては無防備である相手との距離が半分を切った時…左手に持っていた武器をクラウドの首辺りをめがけて投げつけてきたクラウドは進路を変えることなく相手に対しての最短距離となる正面をなお突き進むそしてクラウドは武器が命中するその瞬間…体を落としてギリギリで放たれた武器を躱す踏み込んだ脚にかかった重心を蹴る力に変えてクラウドは一気にスピードを上げるおそらく相手はクラウドが回避するか歩みを止めて防御に入ると思っていたのだろう放った武器を最小の動きで避けてそのまま突き進んできたクラウドに対し防御の姿勢をとるだがクラウドの持つ大剣とその武器とでは破壊力が違いすぎるため振り上げられたクラウドの大剣を受け流すことすらできなかった武器を吹き飛ばされて攻撃のすべを失った相手は覚悟を決める…しかしクラウドは相手に対して止めの追撃を加えることなくコートの男追走のためにその場を駆け抜けたそして小道が分離した後の合流地点…コートの男が飛び出すとほぼ同時にザックスが飛び出してきたその姿を確認した時、一瞬驚いた表情をしたもののすぐに表情を戻しザックスと対峙するチラッと自分の来た道を確認して追撃の姿がないのを確かめたのちザックスの方に向きなおすザックスはというと構えをとる事無く剣を肩に乗せると左手を付きだし中指だけを「かかってこいよ」と言わんばかりに動かして挑発するコートの男はもう一度来た道をチラッと見てからザックスめがけて攻撃を仕掛ける上段から振り下ろされた剣をザックスはヒラリと躱し足払いを掛けるコートの男は跳躍で避ける「それを狙ったんだよ!」ザックスは身を翻すと跳躍したコートの男に剣を振うどんなに手練れの戦士でも跳躍中には動きが取れないあっけない幕引きとなる…はずだったコートの男は剣を誰もいない地面に向かって振り下ろす切先が地面についたと思われた瞬間…コートの男はさらに高く跳ね上がる「なに!」ザックスの剣は大きく空をかく(「なるほど…ガンブレードはそういう使い道もあるのかよ」)ザックスは反撃に備え電波塔を背にするように距離をとるコートの男は着地をすると先ほどのザックスを真似て剣を担ぎ左手で「かかってこいよ」とザックスを挑発した「ほぉ…ナメてくれるね…しかしそれにノルほどガキじゃないんでねw」ザックスはコートの男にそう言い放った『電波塔…崖』「まさか演習に来て崖のぼりするとは思わなかったぜ」「ここが最短ルートだ」「いや…それはわかってるが…向こうだって気づくだろ…頭を押さえられたら『THE END』だぜ?」「サイファーはそんな簡単には倒れない」「・・・・・・」(「仲が良いのか悪いのかわからねえ…」)「で、オマケは大丈夫か?」「なんとか大丈夫…ってオマケじゃないよ!」「なら遅れるなよ」「ふぇ…」「スコール…相手は女の子だぜ?…もう少し他に言いようあるだろ」「ならお前が面倒見ろ…それについてくるって言ったのはあっちだ」「だってよ…チームだぜ?ついてくるしかないだろ…試験だしよ」「わかったよ」スコールと呼ばれた男は登る手を止めて遅れ気味の女子を待ったそして並んだところでまた昇り始めた…崖の残りは3分の1を切ろうとしていた『分岐点…上』ザックスとコートの男のにらみ合いが続く「さて…俺はかまわないがそっちはそうも言ってられないんじゃない?」ザックスがそう声をかけるとコートの男は初めて表情を変えたそこへクラウドが追い付いてくる「よっしゃ…2対1だ降参するか?」ザックスのそんな声にコートの男は唾を吐いて答えた「するわけないか…」ザックスはそう言って剣を構えなおす『崖ルートの奴らは3分の1を切った…』そこにヴィンセントからの無線が入るクラウドはザックスと目で合図を取り合い1人電波塔へと戻った「フッ…見かけないと思ったらあいつは崖から上がってたのか」コートの男はそう言うとザックスに向かって走り高く跳躍したザックスは後退してその攻撃をかわす「俺に攻撃を受け流させて、さっきみたいにそこから跳躍して抜き去ろうってならそうはさせないぜ」ザックスのそんな声にコートの男は舌打ちをするもニヤッと笑って「見破られてるならそれでもいい…俺はこれを繰り返す!アンタはどうする?退がり続けたら結果は同じだと思うが」そう言い放った「なるほど…それもそうだな」ザックスはそう答えながらも構を崩す事はなかったコートの男は一呼吸置いたのちさっきと同じ攻撃を加えるザックスもそれを後退して避けるこれを繰り返すうちにコートの男に電波塔の頂上が目に入った「あーあ…ここまで来させちまったか…」ザックスはため息をついた『電波塔…崖上』「ふぅ…やっと登り切った…って…やっぱり待ち伏せされてるよ」前髪を立てた金髪の男が崖から這い上がりながらため息まじりにつぶやく「しかし…1人だ…」スコールは登りきると崖下に手を差し出して一緒に登ってきた女子を引っ張り上げる「さて…ゆっくり休むのはお預けか」金髪の男はそう言うと身構えてスコールを見る「俺が正面から行く…ゼルは右から…で、オマケは左からだ」「オマケじゃない!セルフィだってば!」「・・・・行くぞ!」「ちょ!聞いてないし!」スコールが飛び出すのと同時にゼルとセルフィが走り出し3方向からクラウドを挟み込むしかしクラウドは正面から向かってくるスコールだけを見つめるほぼ同時にクラウドに対して攻撃を仕掛けようとした時…数発の銃声がゼルとセルフィの動きを止めた「上からかよ!」「1人じゃないじゃん!」スコールはそんな状況に動じる事無くクラウドに剣を振り下ろすクラウドは重心を落しバスターソードの平面を向け空いた手でその面を押さえるようにして受けるそしてスコールがガンブレードのトリガーを引いた瞬間…その反動で逆にスコールがバランスを崩したそれを見たクラウドはぶ厚い剣の峰をスコールの腹に叩きつける「さっき経験してなければ受け流せなかっただろうな…」クラウドはうつ伏せに倒れたスコールの頭に剣を突き付けてそう言ったそこにヴィンセントが電波塔の頂上部から飛び降りてくる「さて…向こうも片付いたみたいだしこっちもそろそろ終わらせないとな」ザックスのそんな言葉を聞いたコートの男が身構える…しかし次の瞬間視界からザックスが消える何かが真横を通過した…そうコートの男が気がついた時「思ったよりも楽しかったぜ…」背後でそんなザックスの声が聞こえたそしてコートの男はその場に崩れ落ちる「チェックメイト…かな?」クラウドはザックスの様子を横目で見てスコールにそう聞くゼルとセルフィは目を合わせながらゆっくりと両手を上げる…ヴィンセントは「フッ…」と鼻で笑い銃を下ろすそれをクラウドが確認しているのを見たスコールはうつ伏せのままその場で回転し足払いを掛ける同時にゼルとセルフィがクラウドに襲いかかった「!!!」しかし…スコールの足払いは空振りに終わりゼルの目の前にクラウドが現れ峰打ちの洗礼を浴びる次の瞬間…セルフィは背後から剣の柄を打ち込まれその場に崩れるそして呆然としているスコールの目の前にバスターソードが突き刺さるスコールはため息をついて両手を上げて負けを認めたそこにザックスがコートの男を担ぎ上げてやってきてスコールの横に放り投げる「終わったな」「そうだな…」ザックスとクラウドが拳をぶつけ合った「本部へ…こちら守備隊…たった今、すべての攻撃部隊を殲滅させた…」ヴィンセントが無線でそう伝える『ザザザザザ………ザッ…ザザザザッ…ザザザザザ…ザザッザッザザザ…』しかしノイズだけが帰ってくるだけだった「ひでぇ電波障害だな…」ザックスが肩をすくめてそうつぶやくその時…何とも言えない大きな殺気が辺りを包み込む「ザックス!」「わかってる…中だな」クラウドとザックスは電波塔の入り口に駆け寄ったクラウドが目で合図を送るとヴィンセントは電波塔から少し離れて身構える2人は入口のノブに手をかけると同時に扉を開けて身構えた「グウォォォォォォ!」そんな咆哮が聞こえたと思うと入口を突き破って何か大きなものが飛び出してきた「わぉ…ベヒーモス」「なるほどな…首尾よく俺たちを倒してもコレが出てくるって事か…」クラウドとザックスはヴィンセントの位置まで一気に下がってそう言ったその場にいたスコールたちも中から出てきたソレを見て呆然とする「しかしなんだな…俺たちならともかく生徒にはちっとキツくねぇかコレ…」「無茶だろ…ガーデンは何考えてるんだ?」クラウドはため息まじりにスコールたちにそう聞いたスコールたちも守備部隊を倒した後こんなのを相手にする羽目になっていたと気が付いて困惑する「じゃあ…ちゃちゃっと片付けますか」「よし…行くぞ!」『鮮やか』言葉で表すとそれだけで終わってしまうほど見事な連携攻撃だったクラウドとザックスは会話や合図をしてるそぶりもなく連携を取りながら波状攻撃を仕掛けそれに対する迎撃をヴィンセントが銃撃で確実に止めていたさっきザックスが口にした『俺たちならともかく…』この言葉の意味をスコールたちは実感していた「お、おい…俺たちあんなスゲー人たちに勝とうとしてたのか?」「上には上がいるって事か…」「チッ…」「あの黒髪の人…カッコいい…」スコールたちがそれぞれの思いでクラウドたちの戦いを見ていたそして数分後…ザックスのトドメの一撃が入りベヒーモスの巨体が崩れ落ちた「しゃあぁぁぁ!」ザックスはバスターソードを片手で軽々と頭上で回して拳を突き上げる「クラウド…」「解ってる…これはガーデンのシナリオなんかじゃない」クラウドはそう言って真っ暗で見えない電波塔の中を見つめた…『To Be Continued♪』
2013/02/02
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~第6話「拠点防衛」~クラウドたちはガーデンの高速艇にて今回の実地演習の舞台となるドーム島についたそして実行委員から作戦要項の書かれた書類を受け取り説明を受ける「なるほど…俺達があの丘の上の電波等のブレーカーを落としたら演習開始ってわけね…」ザックスが書類を見ながらそうつぶやく「はい、生徒達はA~Gの7班に別れて電波塔を目指し、占拠してる犯人…つまりあなた方を倒して電波塔を復旧させる…これが今回のミッションです」実行委員の説明を受けたクラウドたちは待機している生徒達を眺める緊張して不安な表情を浮かべる者…余裕なのかバカ騒ぎをする者…まったくやる気がなさそうにだらけている者…様々である「無論…俺達は手を抜かないし防衛するつもりでいるが…構わないのだろう?」クラウドのそんな質問に実行委員は無言でうなずいたその後しばらくやり取りをしたあとクラウド達は演習の舞台となる電波塔に向かった「さて…ぶっ倒すだけだが…なんか作戦はあるのか?」ザックスがそうクラウドに質問した「ヴィンセントはブレーカーを落としたら電波塔に上って警戒をして欲しい」「おい!後方援護じゃないのか?」「気になる事があってね…で俺とザックスはこの道を一気に下って二股に別れる前の位置であいつらを迎え撃つ…である程度減らしたら分散して後退しながら対処して合流…おそらくこの時点で残ってるのは1~2部隊」「ちょっと待てよ!後退しなくてもその場でTHE ENDじゃねぇの?」「おそらく…この崖を上がってくる奴らが出て来ると思うんでね…残った1~2部隊を電波塔の手前の坂で蹴散らしてここに戻って崖を上がってくる奴らを迎え撃つ…」「崖って…この崖をか?」ザックスはそう言って崖下を覗き込む「ありえなくもないな…」ヴィンセントは近くの岩に座ってそう言った「少なくとも俺が攻撃側ならこのルートを選ぶ…スタート地点の広場からこの崖下まで7~8分…手際よく登れば10~15分…うまくすれば俺達の防衛戦に乗じて一気に電波塔を落とす事も可能…やってみる価値のあるルートだと思うが」クラウドが崖の淵に立ち、その際通るであろうルートを目で追いながらそう言うと「しかし…失敗したらただの骨折り損だ、加えてこのミッションが失敗ともなれば『正面から協力して攻撃すればあるいは…』等といった責めを喰らう…リスクは高いだろ…」ザックスは腕組みをしてそうつぶやくように言うクラウドの考え方も一理…ザックスの考え方も一理…むしろまっとうに考えたらザックスの方が一般的だろう実はこの演習はただの実地訓練ではなく…ガーデン側の生徒達にとっては上のクラスになるための試験の1つとなっているつまりこの演習でいい戦績を残せばより自分が目指す目標に近づく事となる故に…ハイリスクハイリターンとなるこのルートはまっとうな思考を持つものなら選ばないだろうもしもこれが個人の成績に関わる事のない演習だとすれば陽動として使う可能性もあると言えるどちらにせよこのルートをアリとするかナシとするかで今回のクラウドたちの作戦は大きく変わる事となる「こっちの力を過小評価していない限り…狙ってくる奴らはいるだろう…いや、いなければその程度のレベルの集まり…今後手を貸す価値もない奴らとも言える」ヴィンセントはそう言って銃を構える「ザックス…これはある意味、俺達にとっても試験なんだ…つまり可能性が1%でもあるならばそれを見過ごすわけにはいかない…」「わかった…要するに俺達は15分で正面をかたつけりゃいいって事だな…そいつはちっと面白くなりそうだなw」ザックスはそう言ってクラウドたちの前に拳を突き出した「では…私は電波塔の上から全てを見据えて伝えよう…」ヴィンセントはそう言うとザックスの拳に自分の拳をぶつける「完全勝利…俺達の力を見せ付けてやろう」クラウドはそう言ってザックスとヴィンセントの拳に自分の拳をぶつけるその時…実行委員から無線が入る「ザッ…ザザッ……そちらの準備はいかがでしょうか…ザッ…」「こっちは準備OKだ」ザックスはそう返事をした「ザザザッ……了解!…ザッ…では5分後に演習を開始したいので…ザザッ…お願いします…ザッ…ザザザッ…」「了解!では5分後に電波塔の電源を落とす!」「ザザッ…御武運を…ザザザザザッ…」その言葉を最後に無線が静かになった「御武運をときやがったかwwそりゃこっちのセリフだってぇのwww」ザックスはそう言って大笑いした「…やけにノイズが入っていたが………機材のせいか?」ヴィンセントはそう言って辺りを見回す「確かに…この距離でこれほどのノイズが入るものなのかな…」クラウドもそういいながら無線を送ってきたであろう広場の方を見る「俺はそういった事には疎いからよく解らないが…もともと磁場とかそんなんがあって電波状況が悪いんじゃねぇ?だからこんなもんが建たってる…その程度の話じゃね?」ザックスは特に気に止める事も無くそう言うと準備運動を始めた2人とも数回うなずくと目で合図をし合いヴィンセントは電波塔の中へと消えたそして5分という短い時間が過ぎる…『クラウド…いくぞ』ヴィンセントは自分達用の無線でそう言うと電波塔の電源を落とした『電源ダウン…確認…私は塔の上に向かう』「了解!ザックス行くぞ!」「OK!いっちょ躾けてやりますかw」そしてクラウドとザックスは作戦通り一気に坂道を駆け下りた程なくして2人は二股にたどり着く「じゃあ俺は右だ…」ザックスはそう言って右の道を下り始める「ザックス!」「わかってるってちゃんとルートの確認はするって!」それを聞いたクラウドは左のルートを下りはじめた二股の道はそれぞれ200メートルほどあり、やがて合流してまた1本道になるクラウドがアタックポイントに着いた時ザックスは小道の脇にあった岩に座っていた「とりあえずこっちのルートは注意すべき点はなかったな」「こっちもだ」「まぁ…そっちのルートと隔ててる林を抜けられなくもないっちゃあないが…意味のない行為だろ?」「そうだな」「さて…どうする?上がってくるのを待つか?それとも…」「まずは仕掛ける…そして退きながら蹴散らす…ここに戻ってくる時までに3~4部隊減らそう」「しゃぁ!」クラウドとザックスはもう一度拳を軽くぶつけると小道を下った『電波塔 頂上』「視界は良好…天候は…悪くもなく良くもなく…数時間以内に大きな変化はなさそうだな…」ヴィンセントはそうつぶやきながら愛用の銃の確認を始めた「磁場か…そもそもここは電波の中継ポイント、わざわざ磁場の悪い場所を選ぶとは思えない…とすれば磁場を狂わす何かが別にある…かもな…それはそれか…」そういいながらもう一度電波塔の内部を覗き込む『ザックス&クラウド』「せい!」ザックスのバスターソードの一撃がガーデン生徒の1人を吹き飛ばす「峰打ちだ…しばらくそこで寝てなよw」ザックスはそう言って中指を付き立てた「ザックス!」クラウドがそう叫んでザックスの背後から襲いかかろうとした生徒の1人に当身を入れて弾き飛ばす「ああ…スマン」「油断するなよ…思った以上に訓練は積んでるようだ」「だな…ただ、俺たちを相手にするには…まだまだってところか?」そう言ってザックスは剣を振って衝撃波を駆け上がってくる新たな部隊に叩き込む「とりあえず2部隊は撃破…合流点に下がろう」クラウドの提案にザックスはうなずくと2人はさっきの合流点へと向かった『クラウド…聞こえるか…やはり1部隊崖を上がってくるようだ…』「とりあえず2部隊は撃破…今下がりながら応戦中…今のところはこっちの作戦通りだな」『了解…では俺は警戒任務を終了して塔の守備に回る…』「頼んだ…」クラウドは無線でヴィンセントとそう話しつつ応戦しながら後退を続ける2人が合流点についた時…最後のザックスの一撃で合計5部隊目の生徒が墜ちた「1部隊の結束は中々だが…所詮はそこまでってとこか…他部隊との連携がデタラメだ、なっちゃいねぇ…」ザックスは剣を振り払って肩に乗せるとそうため息交じりに吐き捨てた「いい手本だな…俺たちにも言えた事だ…大きな作戦ではそこが重要って痛感させられた」「なるほどね…クラウドらしい見方だ」ザックスがそうつぶやいた時「だもんよぉ~!」そんな叫び声とともに茂みから大きな棍を振りかぶった大男がザックスめがけ飛び掛かってきた「残念…見えてたんだなぁ…これがw」ザックスはそう言うと大男が振り下ろした棍を剣の峰で受ける「グッ…なに?」しかし想像を超えた一撃にザックスは思わず片膝をつく「もんよぉ~~!」大男はそう叫びながらさらに上から体重をかけてザックスを押さえつける「ザックス!」「!!!!」ザックスの元に駆け寄ろうとしたクラウドが死角から飛んできた何かを弾き返すその瞬間を狙って白いコートを羽織った男がクラウドめがけて剣を振り下ろすクラウドは若干不安定な体制でその剣を受け流す…「フッ…」白いコートの男はそう鼻で笑う「クゥッ…」強烈な衝撃が剣を通じてクラウドに襲いかかるクラウドは剣を落とさないまでも反撃に転じるタイミングを逃した白いコートの男はクラウドを追撃する事無く電波塔へと向きを変えて分岐した小道を駆け上がったそれに気が付いたクラウドが追走しようとすると茂みから細身の男が飛び出し武器を投げつけてクラウドの足を止める「チッ…」クラウドはコートの男の追撃を断念するしかなかったそれをチラッと見たザックスは「あんま…ちょーしに乗んじゃねぇぇぇぇ!」そう叫び大男に足払いを掛けて体制を崩すとすかさず連続で剣撃を繰り出す最初の数撃はなんとか凌いだもののやはりザックスとでは比較にならず「俺が負けてもサイファーは勝つもんよぉぉぉ!」という言葉を最後に大男はザックスの足元に崩れ落ちた「クラウド!すぐに追いつけよ!」ザックスはそう叫ぶと逆の道からコートの男を追ったクラウドは親指を立ててその言葉に答えた…『To Be Continued♪』
2013/02/01
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『CRONOUS』 ~黙示録~第10話 『-ここに存在る意味-』僕はなぜここにいるのか…今までそんな事を考えた事など一度もなかったかつて自分が作ったギルドだから?気心の知れた仲間がいるから?他に行くあてがないから?なぜ今になってそんな事を考えたのかというと「俺は彼女を守るためにここに存在る…」こんなとある人の何気なく言った言葉からであった『黙示録アジト』今日は朝から小雨が降り続く気分もどこか晴れ晴れとしない天気アジトの憩いの場でもある長テーブルではいつもと変わらない景色があった僕はいつもと同じテーブルの隅を陣取りアイナ、トゥイージーそして孫とでお茶を飲んでいるテーブルの反対の端はカラーの定位置彼女は例によって爪の手入れをしているその表情は真剣そのものであるただ…ちょっとイライラしている…まぁその理由は明白なのだが、それはのちほどその隣では八咫がソファーに逆向きに座り窓の外をボケーっと眺めていた八咫の向かいの席では時折クスクスと笑いながらアデレードが読書をしている読んでる本はというと…真っ黒い表紙に赤い字で「斬殺と解体」とだけ書いてある表紙だけ変えてあるのだと僕は信じているゼロの定位置はというとソファーに座っているよりテーブルを挟んだ窓と反対側の壁にもたれかかり腕組みをして居る事が多いその前のフロアーではうほほいが数を数えながら腹筋をしている「18765…18766…18767…18768…」いつもの事だが桁がおかしい…そういえば…僕が寝る時数えてる数は忘れたが黙々と懸垂をしていたちなみに夜明け前にトイレに起きた時には「19912…19913…19914…19915…」と数えながら腕立て伏せをしていた彼はいつ寝てるのだろうか…ふとそんな事を思ったがすぐに考えるのはやめたそしてその隣では白魔童が時折意味不明な奇声を発しながら怪しげな踊り(?)を踊っているなぜ(?)これを付けたかというと正直この動きについて踊りというべきか…とにかく表現ができないからである僕が奇怪な動きをする白魔童を呆然と見ていると隣に座っていたトゥイージーが肩を叩いてきた振り向くと彼は首を横に振って大きくため息を付きうなだれたおそらくは「関わるな…」とでも言いたいのだろうあとはいまだに寝室から出てこないメンバーが珍しく居たり出かけたまま戻って来ない者の顔があったりする時もあるがこれが日常的なこのアジトの光景である特に会話があるわけでもなく…かと言って殺伐としているわけでもないそれぞれがそれぞれのやりたい事をやっているゆるやかな時間がこの場に流れているギルドは個々のギルドを束ねるユニオンギルドから任務を依頼されない限り基本自由であるそれぞれがそれぞれの判断の元に行動する黙示録の場合は特に今日のように天気の悪い日は誰一人率先して出かけようとはしないたまにはこんな日があっても良いのかと…そんな風にも思うその時…突然カラーがテーブルを叩いて立ち上った全員がびっくりした顔でカラーを見る「さっきから人の視界で…チョロチョロと………集中できないわ!!」そういってカラーはマニキュアの瓶を白魔童めがけて投げつけた白魔童は奇怪な動きを止めることなくその瓶を躱すカラーはテーブルに残った3つの瓶を取ると連続で投げつけるしかし白魔童はそのすべてを避ける「ほぉ…」カラーはそう言葉を漏らすと不敵な笑みを浮かべ脇にあったバゥルを手に取り白魔童に狙いを定めるさすがにこの状況は止めねばならないだろうそう思い立ち上がろうとした僕の腕をトゥイージーがつかんで止める白魔童もさすがに奇怪な動きを止める「カラーさん…」緊迫感で静まり返ったリビングにトゥイージーの言葉が響く「壁に穴が開くんで外さないでね…」トゥイージーはそう言って何食わぬ顔でお茶をすする皆が呆然とトゥイージーを見る「ちょwwwおま!違うだろ!」白魔童がトゥイージーに向かってそう叫ぶとトゥイージーはなるほど…と手を叩く「カラーさん…のたうち回られると掃除が大変なんで一撃でお願い…以上」トゥイージーはそう言ってカラーに親指を立てる「ここは止める場面だろ!」白魔童がトゥイージーにまたも叫ぶ「なんで?」トゥイージーは真顔でそう聞き返す「なんでって…そりゃ…痛いじゃんあんなのが刺さったら!」「じゃあもう少し自嘲するように…」「……………うっす」そんなやり取りを聞いたカラーはため息をついてバゥルを元の位置に戻したおそらく僕にはできない仲裁の仕方だろう…まてよ…ほんとに仲裁だったのか?もしも仲裁でなかったのだとしたら…僕は恐ろしくなり考えるのをやめた「雨あがったよ♪」こんなやり取りがあった中…ずっと窓の外を眺めていた八咫が満面の笑みで皆にそう言う「よし…出かけるか…孫さん予定は?もし予定がないなら…ちっと手伝って欲しい事があるんだけど…」トゥイージーに聞かれた孫は笑顔でうなずくその後それぞれが相談しあいながら行先を決めた僕はアイナさんの訓練を兼ねて素材探しに行くというカラーとゼロに同行する事にしたそしてエンタイスにて狩りが始まる幸いにも周囲に他のパーティーは出てないようだカラーはアイナについて教えながら狩りを続ける僕とゼロは支援をしつつ2人を見守るとうぜん僕自身もリハビリを兼ねているのでゼロの行動を観察する人それぞれ動き方考え方が違うので「これが正解」というものはないが…彼動きは明らかに今まで自分が見たパターンと違うさっきも言ったが「正解」というものは存在しない…しかしある程度のセオリーみたいなものはあるしかし彼の動きはそのセオリーみたいな物よりも視野というか行動範囲が広い言い換えれば過剰に近い範囲をカバーしようとしているまるでその動きは「支援」というよりも「盾」と言っても過言ではないそんな動きである僕はその動きをカバーしつつ支援を続ける結果…効率は上がっているしかし僕には理解ができない…そこで休憩の折に僕は彼に聞いてみる事にした「今日の狩りは…指導も兼ねている…だから少しでも余裕ができるように守備範囲を広く取りました」彼はそう答えた僕はなるほど…とうなずくと「というのは建前かな…」彼はそう付け加えた僕はその言葉に首をかしげるそして冒頭の言葉に戻る「俺は彼女を守るためにここに存在る…」ゼロはそう言って笑いカラーを見つめた僕はその言葉をどうとって良いかわからず返答に詰まった「あ!変に勘ぐらないでくれよ…そういう理由じゃないからね…それに彼女は僕なんかより数段強いからその必要性がどれだけあるかはわからないけどね」ゼロはそう言ってカラーを見つめたまま苦笑いを浮かべるそれぞれにそれぞれの思いがあり…理由があって現在があるつまりはそういう事なんだろうが…僕がそんなことを考えていると「狩りを再開するみたいだ…行こう」ゼロはそう言って僕の肩を叩いた…『To Be Continued♪』
2012/06/28
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『CRONOUS』 ~黙示録~ 第9話 『-人を超えし者-』 「今日はありがとうございました」 僕は狩りを共にしてくれた一団にそう言って頭を下げる 「いやいやそんなに気を使う間柄でもないでしょw」 一団の戦士がそう言って笑うと周囲に居る仲間もうなずく 「こっちがもう少し落ち着いたら顔を出すからヨロシクと伝えてくれ」 戦士はそう言うと仲間と共にテラの街の雑踏に消えた 今、狩りを共にしてくれた戦士の名は梵天丸さん 黙示録にも在籍している戦士である 以前にも書いたが… また掛けで複数のギルドに名を連ねる冒険者は少なくはない とは言え実力が備わっていなければそれもできないから 彼のように複数のギルドに名を連ねるという事は実績があるという事になる 彼のエピソードはまた後日にするとして そもそも冒険者とは何かという話を今日はしたい ただし明確に話すとなるとこの大陸の歴史に触れる事にもなる そうなると…少々難しく、長い話になるので簡単に話そう… この大陸には大きく分けると2つの人種がいる まず1つは「人」…すなわち普通の人である 訓練や学習で冒険者になれなくもないが そもそもの戦闘力のベースが違うためかなり厳しい道のりとなる そしてもう1つの種族…「人」である けして書き間違いではなく「人」と「人」である ただし…後者の「人」は見た目は人と同じであるが 流れてる血が特殊なため前者の普通の人とは根本的に違う… いわゆるこの大陸の古い歴史に出てくるウォリアー、パラディン、マジシャン、バルキリー この四種族の血を受け継いだ人である 現在は…純血の者はほとんどおらず混血の者が大半 古い歴史に出てくるような驚異的な力は薄れているが 明らかに普通の人とは根本的に違う 冒険者となるにはやはりこの「古の血」が必須となる 現在では…この伝説の四種族の名も「クラス」と称され職種的な扱いになっているが その力はやはり絶大である いわゆる普通の人はこの時点で守られる側に属するのが一般的で 冒険者を補佐する仕事をする事が多い 食事をする施設、寝泊りをする施設、道具の販売、武具の販売…様々である まぁ…中には無駄にただ街をふらつくだけの者もいるが… そして普通の人とは違う力を持った者が冒険者となる 守る側に属する人たちである だいたいはギルドと呼ばれる団体に所属するが… あえてその道を選ばずに単身で傭兵や浪人といった道を選ぶ者もいるのだが 衣、食、住といった生活をするうえで安定感を求めるのならば 間違いなくギルドに入る方が正しい選択である 当然、それによっての人間関係や役割がついて回る為…時として厄介ではあるが それを飲み込むか否かは人それぞれといったところだろう そしてこの無数に在るギルドを束ねるのがユニオンギルドである ユニオンギルドには普通のギルドにはない数々の権限が与えられる それ故に力のあるギルドはその地位を目指す が、これもそう簡単になれるものでもない 僕達のギルド「黙示録」はあえてそこは除外としてるので このユニオンギルドについては機会があれば話をするとしよう さて…ギルドはユニオンギルドによって統治されているのだが… そもそもこのギルド自体は王国の一部の民主団体となる すなわち王国直轄の軍隊もあり冒険者の最上級はここに該当する 力があり認められれば登用される事も在るが… やはりお家柄というくだらない物も存在する 僕達からすれば雲の上の「位」と言ったところだろうか なんだか結局難しい話になったのでこの話はこの辺で〆たいと思う さて、冒険者と称される者については「血」が必須であるという事としたが 実はこの「血」についての興味深い話があるのだが… 『カノン魔法学校 ~数十年前~』 「そんなバカげた話…信ずるに値はしない!」 「それは人の理に反する!そんな実験認めるわけにはいかんな!」 1人の男が研究を発表するとそれに対しての反論が嵐のようにおこった 「確かに確証はない…しかし各種族の血を分析するとあの種の共通点が見受けられる…そしてその共通点は混血となった今も脈々と残っている。つまり今まで定説とされた混血によって色濃い血が種として残るとされていたが…他の血は消えたのではなく残っているというのは事実…つまりその血を活動可能レベルまで引き上げれば種のハイブリットも可能と…」 男がそう説明すると 「もうよい!こんな論議…続ける価値もない!」 そんな声と共に講堂から1人…また1人と消え…ついには男1人となってしまった この男こそが若き日の「孫」である… 孫はマジシャンの家系に生まれ…若い時期からその魔力の強さを発揮し有望視されていた カノン魔法学校を首席で卒業し王国の魔法研究所に在籍するのだが ある日…孫は自分の血の中にはるか昔に混ざったウォリアーの血とパラディンの血が存在する事を知り仮説を立てた おそらく血の中でいちばん濃い物が発動するのが基本… つまりマジシャンの家系においてマジシャンの者が生まれるのはその血が濃いからであり ごく稀に…マジシャンの家系にもかかわらず別の種の能力者が生まれる事があるのを 今までは「不義」などの忌まわしい者としてきた… 故に生れてすぐにその存在を抹消されてしまうケースも少なくなかった それを孫は…血の突然変異によるものとした この突然変異を偶発ではなく意図的に発動させることが出来れば マジシャンでありながらウォリアーやパラディンといった別種の力を使えるようになる まさに「人を超えし者」の誕生である 無論、成功する保証はどこにもないのも事実…実験するにしてもリスクを伴う物となるわけで 結果は見ての通りである…誰1人として孫の発表をまともに受け取る物はいなかった そして孫はこの日を境に魔法研究所を去り人の前からも消えた… その後…数年の歳月が流れたある日 モンスターとの攻防戦が激化する 一時はかなり優勢だった王国軍だったが 少しの油断から形勢が逆転しいくつのの街を失う結果となる そして…最後の砦としていたウーノス城を明け渡す事を決断したその日…孫が現れた 「戦況は?」 孫が指揮をとっていたマジシャンに聞くと マジシャンは首を横に振って答えた 残されたパラディンとマジシャンで足止めをするのが限界で押し返す事は出来ない状態で 押し返すにはウォリアーが必須となるも肝心のウォリアー…しかも戦闘に長けた者の大半が負傷し戦列を離れているのが決定打らしい すると孫は息を大きく吸い込み唸り声と共に気合いを入れる しばらくすると各部の筋肉が大きく隆起しはじめ肉体が屈強の戦士並みの鍛え抜かれた物へと変わる それを見ていたマジシャンがうろたえて後ずさりをする そして孫は呼吸を整えながらライオンハートの咆哮をあげると近くにあったタムファーと盾を装備した その後…孫は数名のウォリアーを従え敵陣に切り込む 控えていたバルキリーとパラディンが後に続き劣勢だった前線を立てなおし戦況を覆した 孫はマジシャンでありながらなぜにウォリアーとなれのか? その後の戦闘でも時折パラディンになったりしたのも確認されている 孫の功績は王の耳に届き王国軍への誘いもあったが孫はそれを断っている 孫はただ自分の仮説が正しかった事を証明したかっただけだと言ったが あとにも先にもこの特異的な能力が使えるのは孫のみであった 『黙示録アジト ~現在~』 「アホか!…重くて運べないわこんな物!」 白魔童がアジトの入り口前に詰まれた米俵と奮闘していた 「もうしっかりしてよ!みんないなくて男手は白さんだけなんだからね!」 アデレードが白魔童を怒鳴る 「俺はか弱きマジシャンなんだよ!」 白魔童はアデレードに言い返す 「どうしよう…こんなのが入口にあったんじゃ中に入れないし…」 「じゃさ…俺がこっち持つんで…お嬢とカラーさんでそっちを…うんで転がして…」 白魔童がそう提案すると 「私はパス…爪が折れるから」 カラーはそう言ってきっぱり断った 「ちょwww爪って…爪はまた生えるだろ!」 白魔童がそっぽを向いたカラーにそう言うと カラーの鋭い視線が返ってくる 「い、いやぁ…つ、爪は大事だよね…あはははは……ごめんなさい…」 白魔童は視線に耐えきれず頭を下げた と、そこに孫が帰ってくる 「ほほほほほ…何やら賑やかいですねぇ…」 「おおおお!孫さんいいところに!今、この米俵がジャマで難儀してたんよ…ちょちょいって運んじゃってくださいw」 「白さん!なにそんな無茶な事を!」 白魔童の発言にアデレードが噛みつく 「ふふふふふ…お嬢は知らなかったか…孫様の凄さをwww今こそ見せてやろう伝説のハイブリットマジシャンの凄さを!wwww」 白魔童は自慢げにそう言って高笑いする 「やれやれ…困ったものですねぇ…隠居生活の老兵に…」 孫はそうため息混じりに言うと大きく息を吸い 「はぁぁぁぁぁぁああああああ!!」 と気合いを溜める 孫の体中の筋肉が隆起して常に鍛えているうほほいのそれを超えるかのような肉体へと変わる 「え?ウソ…」 「マヂで?」 それを見たアデレードとカラーが唖然として顔を見合わせた 「ははははは!どうだ!ビビったろwwww」 白魔童が腕組みをして高笑いする 「そこであんたがふんぞり返るなよ…」 カラーがつぶやくように言ってため息をつく 「さて…久しぶりですしそんなに持たないので運んじゃいますか」 孫はそう言うとライオンハートの咆哮を上げて米俵を軽々と持ち上げた 「孫様…すごーい…」 アデレードが呆然としながらそんな言葉をもらす 「ほほほほほ…ではドアだけ開けてもらえますか?」 孫に言われてカラーがドアを開けた そしてアジト内に運び込もうと孫が一歩踏み出した時… 「あ゛………」 孫はけったいな声をもらす…そしてその場に米俵を下すと動きが止まった 3人は動かなくなった孫を見て首をかしげる 「こ、腰が…」 「え?…ええええええ!」 その後…メンバーが帰ってきて事なきを得たが 孫はしばらく腰痛で療養を余儀なくされた …『To Be Continued♪』
2012/05/10
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『CRONOUS』 ~黙示録~ 第8話 『-仮面の男-』 「ねぇ…大尉…今日の予定は?」 マニキュアを塗りながらカラーが黙って新聞を読む仮面男にそう聞いた 「そうだなぁ…今日は特に考えてないが」 男は新聞を閉じてそう答えた 「大尉…コーヒーをどうぞ♪」 そう言いながら八咫が仮面男の前にコーヒーを置く 「お!いつもスマンねぇ」 仮面男はそう言うと明らかに体格とサイズが合ってないコーヒーカップをつまむと仮面をずらして口に運んだ 「大尉…申し訳ないがこの日とこの日の夜の警戒任務出れないかなぁ?」 今度はトゥイージーが仮面男の前にカレンダーを置くと指で示しながら尋ねた 「この日とこの日か…人が足りんのか?」 「なんとかしたいんだが…うちもメンバーがギリギリでね…」 トゥイージーは申し訳なさそうに手を合わした 「ふむ…いつも世話になってるからな…なんとかしよう」 「よかった…助かるよ」 トゥイージーはカレンダーに『大尉OK』と書き込んだ アイナはそんなやり取りをずっと黙って見ていた そしておもむろに 「ねぇ…あの人は何で大尉って呼ばれてるの?」 と僕に小声で聞いてきた… 僕が所属しているギルド「黙示録」 ここには様々な人達が様々な理由で在籍している 今までにも数人紹介してきたが…謎の多い人物が多数居る まぁ…中には謎というよりも理解不能という方もいるが その話はまた後日… さて、その中で今日の話題にあげるのは 仮面で素顔を隠している戦士…ウコンさんである メンバーはみんな彼の事を「大尉」と呼んでいる ギルドという組織は軍隊ではないのでそこに「大尉」という階級はない ではなぜ大尉なのか… 『黙示録アジト ~1年前~』 メンバーがリビングのテーブルでくつろいでいた… というよりもおそらくその状態は他人が見れば「怠らけてる…」そう言われてもおかしくないような姿だった 「1、6の半…悪いねまた俺の勝ちって事でw」 バーンはそう言うと床に置かれた白魔童のお金をごっそりと自分の元に引き寄せる 「だぁぁぁ!なんでだぁぁ!」 白魔童は頭を掻きむしりながらそう叫んで床に倒れこむ 「どうする?今日の負け分取り返すか?なんなら今から賭け金倍にしてやるけどw」 「マヂで?やってやろうじゃないか!!」 白魔童はムクリと起き上がると目を輝かせた 「ほほほほほほ…あれはドツボだね」 そう笑いながら孫が盤上の駒を動かす 「まったく…あれで何度身ぐるみをはがされた事か…」 孫の動かした駒を見つめながら腕組みをして考え込むトゥイージーがつぶやく 「まぁまぁ…命まで取らないのだから好きにさせておけば…それにお金が無くなればしばらくは禁酒で静かになるし」 孫はそう言って白魔童を見る 「確かにそういった意味では助かるか…」 トゥイージーはそう言いながら駒を動かした 「!!!!…そ、そこはよろしくないですよ…」 「孫様…待ったはなしですよw」 トゥイージーはうろたえる孫を見てニヤッと笑った… 「頼もう!」 その時…入り口でそんな声と共にドアが叩かれた 退屈な時間が続いたせいか全員がその声に反応する そしていち早く腹筋をしていたうほほいが飛び起きると玄関に走った 「な゛!!」 玄関でそんなうほほいの声が聞こえ全員が顔を見合わせる しばらくの後…うほほいが後ずさりでリビングに戻って来るのを見て尋常ではない事が起こった事を全員が察知した そしてそんなうほほいを押しのけて今度は白魔童が玄関に飛び出していく 「え゛?!」 飛び出していった白魔童がそんな声をあげて後ずさりで戻って来る 何が起こったのかわからず…リビングに緊張が走る 残ったメンバーが意を決してうなずくと恐る恐る玄関を覗き込んだ そしてうほほいと白魔童の反応を理解した そこには仮面をつけたいかにも怪しい人物が立っていたからだ 人物と言っても間違いなく男である いや…これが女であったのならばまさに悪夢である その仮面は目の部分が抜けてそこから鋭い目がのぞき それ以外に全体的に無数の丸い穴が空いていて 額と頬の部分に赤い模様が入っっている白い仮面… 面妖というよりも…恐ろしさを醸し出している そしてそれがその男の体型に妙に似合っているから一層怖さが引き立っている 「黙示録ギルドのアジトはこちらでしょうか?」 と謎の仮面男は質問してきた その風体からは想像できない丁寧な言葉であったが 一度焼きついた恐怖感はぬぐえずいったん全員がリビングに引っ込む 「な、何よアレ!」 いつも冷静なカラーが珍しくうろたえながらそう叫ぶ 「ま、まぁ…ただ者ではないだろうな…」 「そりゃそうだろ!どう見たって…あれはヤバいって殺人鬼かモンスター…百歩譲って借金の取立てか…何か…」 白魔童がそう言いかけた所で視線がバーンの元に集まる 「ち、ちょっと待てよ!…なんでそこで俺を見る!」 バーンはそう言いながら2、3歩後退する 「お前…賭場で何かやらかしただろ!」 「な、何もやってないって!」 白魔童の言葉にバーンは慌てて反論する 「ほら…ボロを出したな!」 「どこがだ!つうか何でだよ!」 「フフフフフ…バーン君…何かをやった奴は絶対にそう言うと相場が決まってるんだよ!」 「誰だってこの状況はそう言うって!…つうか無理やりすぎだろ!…なぁ?」 バーンがそう言って同意を求めると全員が首を横に振る 白魔童の口にした根拠が無茶苦茶なのは全員が解っていた しかしこの場は自分以外ならば誰が犯人でも構わない…おそらく誰もがそう思ったのだろう そして全員でバーンを取り押さえて縛り上げると玄関に連れて行く 「ち、ちょっと待てぇ!…マジ勘弁してくれよ!…このヒトデナシ!」 バーンの無情な叫びもこの状況では誰の耳にも届かず玄関へと運ばれる そして玄関に立つ怪しげな仮面男の前に生贄でも差し出すかのようにバーンを放り出すと全員が一気に後退する 白魔童が仮面男に向かって「どうぞお持ち帰りください」と言わんばかりのジェスチャーを送る 縛り上げられて身動きの取れないバーンは声すら出す事なくただ涙を流す 全く状況が理解できない仮面男はただ腕組みをして目の前に転がるバーンと離れたところに固まるメンバーとを交互に見る 「私はウコンと申します…ギルドに入れてもらいたいのですが…ダメですか?」 しばらくの後…仮面男はそう言葉を出した 「え?」 予想外の言葉に全員がそんな声をもらした これがウコンと名乗った仮面の男が黙示録に入った時の話である 話してみればとてもいい人なのだが… とにかく怪しいという事と何より仮面が怖すぎる事もありみんなが慣れるまでにはかなりの時間を要した 特に…夜中トイレでばったり行き会おうものなら寿命が数年縮む思いである 想像してもらえばその恐怖がどれほどの物かわかってもらえるだろう そしてウコンが加入後しばらくたったある日… リビングで新聞を読むウコンを見つめるカラーが居た 「どうした?」 そんなカラーに白魔童が声をかける 「いや…ずっと気になってたんだけど…どこかで会った気がするんだよね…」 「え?あんな仮面…会ったなら忘れんでしょw」 「当たり前でしょ!仮面じゃなくて…中の人にだよ!」 カラーは白魔童の胸ぐらをつかみながら小声でそう叫んだ 「なるほど…カラーさんがそう思ったって事は気のせいじゃないみたいだね…」 隣で聞いていたトゥイージーがそうつぶやいた 「でしょ?…でも…思い出せないんだよね…」 カラーはそう言いながら口元に手を当てて新聞を読み続けるウコンを見つめた 「ふん!…ふん!…ふん!…王国の…ふん!…騎士団…ふん!…団長…ふん!…でしょ?…ふん!」 するとすぐ近くでバーベルを担いでスクワットをしているうほほいがそうつぶやくように言った 「!!!!」 それを聞いたトゥイージーとカラーが顔を見合わせる 「いや…確かに雰囲気は似てるけど…そんな人が何でうちに…なぁw」 「そうよ…そんなわけが…ねぇw」 トゥイージーとカラーはそう言って笑う 「息…ふん!…抜き…ふん!…でしょ?…ふん!…なん…ふん!…だったら…ふん!…大尉…ふん!…って…ふん!…呼んで…ふん!…みたら?…ふん!」 うほほいはさも当たり前と言わんばかりにそう答える 「息抜きって…そんな馬鹿な事がw」 「ねぇ…w」 トゥイージーとカラーはそう言ったもののあまりにも自信ありげに答えるうほほいに思案を巡らす そしてしばらく間をおいてから 「ね、ねぇ…大尉…」 恐る恐るカラーがウコンにそう声をかけた 「うん?」 ウコンは平然と新聞越しに返事を返してきた 「え?」 「うん?」 言葉無く唖然とするカラーにウコンは首をかしげる 「ね…ふん!…言ったでしょ…ふん!…俺は…ふん!…戦場で…ふん!…何回か…ふん!…会ってるからねw…ふん!」 うほほいは笑いながらそう言ってスクワットを続ける これ以来…みんなが彼の事をウコンではなく「大尉」と呼ぶようになったのだが 素性がバレた今でもかれはあの怪しい仮面をつけてここに現れる それがなぜなのか…今を持って謎である 『ファン城・王国騎士団団長室』 ここは王国騎士団の団長室… しかし団長室というわりに小さな机と木で出来た椅子本がほとんど入っていない本棚… 単に詰所といった感の質素な部屋であった その部屋で木の椅子に座り顔をしかめながら煙草を咥え大きな戦斧を磨く男がいた この人こそ王国騎士団を取りまとめ幾多の戦場を単騎で駆け抜け戦ってきたユーコン大尉その人である 「失礼します!」 団長室にドアをノックする音が響き1人の男が入ってきた 「どうした?何か問題か?」 ユーコンがそう尋ねると男はユーコンの元に近づいて耳元で何かを囁いた するとユーコンの表情が見る見る曇りついには大きなため息を吐いた ユーコンはうなだれたまま入ってきた男に「了解!」と手で合図を送った しばらくうなだれたまま動かなかったユーコンであったが 「しかたない…行くか…」 とつぶやいて立ち上がると大戦斧を壁に立てかけそのすぐ上に掛けられた白い仮面を手に取った 「まったく…うちの王子の放浪癖は困ったもんだ…」 ユーコンはため息混じりにそうつぶやいてしばらく仮面を見つめる 「しかし…いつギルドのメンバーに俺の正体を話そう…いい奴等ばかりだからな…騙し続けるのも気が引ける」 そう言って手に取った仮面を着けて団長室を出て行った …『To Be Continued♪』
2012/05/09
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『CRONOUS』 ~黙示録~ 第7話 『-戦乙女-』 朝食を済ませてから今日のそれぞれの行動のすり合わせをするのがギルドの約束である 僕はリハビリを兼ねてアイナさんとエンタイスに行く事になった 正直言うとまだ自分1人ならまだしも他人を連れて…っていうのは不安ではあった そんな思いが顔に出ていたのか 「じゃあ…私はザンさんの補佐でもしようかな…」 そうカラーが言った アイナさんはバルキリーだし…同じバルキリーのカラーさんが居てくれるのは心強かった 「お願します」 「はいよ!」 僕とアイナが頭を下げるとカラーからそんな小気味の良い返事が返ってきた という事で僕たちはエンタイスに向かった エンタイスの入り口でカラーがアイナにレクチャーを始める 「注意するのはサキュバスかな…ほとんどは隔離されてると思うけどたまに隔離から抜けてるのがいるので居たら退却…倒せない事もないけど無駄に疲れるからねw」 そんなカラーの言葉にアイナはうなずいて返事をした 「で…次はラミアかな…一撃がかなり痛いから戦う時は要注意って事で…で、パーティーの時は…」 カラーはバルキリーの立場としての行動を解りやすくアイナに教えていた やはり…カラーに来てもらったのは正解だったと思える 戦い方のイロハやモンスターの特徴は説明できても バルキリーとしての動き方となれば餅は餅屋と言ったところである 「という事で…パーティーで行動する時にキモになるのはDE!これを切らさないように注意する事かな…あとは無理な突っ込みをしない事ね」 「はい…わかりました!」 カラーの講義にアイナは素直に返事をした 「じゃあ…やってみた方が早いわね…という事でザンさんよろしく~♪…敵の分布やルート的な物は慣れるしかないかないんで」 そんなカラーの言葉で狩りがスタートした 最初は入り口周辺から川沿いに移動…そして程なくして入り口に戻ってきた 特に何のトラブルもなく戻ってくる事が出来た 「今のルート川沿いから西側のがけを上がってここに戻ってきたでしょ?」 カラーがそう言うとアイナは数回うなずいて返事をする 「戻ってくると今みたいに最初に倒したキメラが湧いてるのね…それを倒して同じように川沿いを進み今度は東側の崖を北上…そして崖を降りるとラミアがいっぱいいるのね…それを倒してここに戻る…これが通称『川』って呼ばれるルート、初めのうちはこの範囲で慣れるといいかな…安全な場所も数ヶ所あるので慣れれば1人でも来れる」 アイナはうなずいてカラーの説明を聞く 「ブゥードゥー装備の用意は?」 カラーのそんな質問にアイナは首を横に振って答えた 「なるほど…ブゥードゥー装備が着けられるようになるとだいぶ変わるからその辺がキモね…」 彼女は確かあの時ブゥードゥー装備を持っていた…しかしあれはおそらく使う事が出来ない装備…いずれ用意する必要がありそうだ 「ブゥードゥー装備となると合成素材集めが難儀する事になりそうねぇ…どれもここより上位の狩場でしか手に入らない物があるから…まぁいずれ考える必要がありそうね」 確かにカラーの言うとおり どの装備にも1つづつ入手が困難な素材が混ざってはいる 「まぁ…悩んでもしょうがないから今は狩りを続けましょ♪」 という事で僕たちは狩りを再開した 時折カラーがアドバイスをしながら淡々と狩りが続く どのくらい狩り続けたのか気が付くと午後になっていた 「いったん休憩ね…お昼にしましょ♪…で、午後は少し森の方に足を延ばしてみようか…」 カラーの提案に僕はうなずき昼食をとるためにウーノス城に戻った そして僕たちの前に注文した食事が届いた時… 「で…彼女は何者なの?」 唐突にカラーがそう聞いてきた 僕は思わず口に含んだスープをふき出してしまった 「なるほどね…その反応から見て記憶がない迷子ってのはカムフラージュね…」 カラーはそうつぶやいてアイナを見つめる 「い、いや…ほら、突然そんなこと言われたら驚くってば…いやだなぁ…」 僕はテーブルをナプキンで拭きながらそう答えた 「じゃあ隠さず言うわね…正直、今日同行したのは確認のため」 「か、確認?」 「そうよ…で、確信したの…彼女は記憶喪失の迷子なんかじゃないって事をね」 カラーはそう言いながらフォークに巻きつけたパスタを口に運ぶ 僕は続きの言葉を待った 「この大陸でバルキリーはけして珍しくはない…だけどさっきの戦闘で彼女は負傷していない…」 「そりゃあ…僕が支援してるし前線のほとんどをカラーさんがこなしてたし…」 「私の目は節穴じゃないわよ…彼女はほとんど全ての攻撃を避けていた当然反撃もできたはず…でも反撃せずに避ける事に徹していた…これが意味する事って解る?」 解ってはいたが…僕はあえて返事をしなかった 「つまり彼女はエンタイスレベルの敵と互角…いや、それ以上に渡り合えるって事…つまり雷装備レベルではそうそう居る存在ではない…だけど私は彼女を全く見た事もなければ知りもしない」 カラーの言葉に僕は何も返せなかった やはり彼女の鋭さは侮るべきではなかった 「ごめんなさい…」 その時、アイナがカラーにそう謝った 「あ、アイナさん…」 「いいの…確かに私は避けていた…反撃のチャンスがあってもあえてしなかった…そこを見抜かれてしまっては…でも、けして騙すつもりではないの…ただ、今は何も言えない…」 アイナはそう言ってうつむいた 「まぁいいやw別に責めるつもりでもないし…ただ、興味があっただけなのよ…色々な意味でねw」 カラーはそう言って笑った 「いつからその事に?」 僕はカラーに聞いた 「まぁ…言ってしまえば最初に会った時からね…という事で改めまして私はあなたと同じカーラ使いのバルキリーのカラー…ヨロシクね♪」 カラーはそう言って笑顔でアイナに握手を求めた 「よろしくお願いします!」 アイナはそう答えてカラーの手を取った それを見て僕は胸をなでおろした しかし…それと同時に僕があの時押し殺した疑問が頭をぐるぐると駆け巡った 「ザンさん」 彼女は本当に何者なのか… 「ザンさ~ん」 そして何をするためにココに居るのか… 「もしもーし」 そして…僕がギルドに導き入れた事は間違いではなかったのか… 「ザンジオさ~ん…行くよ~…」 今さらどうになる事でもない話だが とんでもない過ちを犯したのではないのだろうか…そんな風にも思えてならなかった いずれわかる事なのだろうけど 今は知らないという事がどれだけ不安なのかを痛感している 「なるようになるさ…っていうよりなるようにしかならんw」 トゥイージーがよく笑いながらそんな事を言うが 切り替えてそう思える事が羨ましく思えた いや…そう思うように努めているのかもしれない 確かに不安のない人など存在しえない ギルドを束ねるマスターがこんな風にうだうだしてたら話にもならない 「やっぱりトワさんはすごいな…」 僕はそうつぶやいた そしてある事に気が付いた 「あれ?カラーさんとアイナさんが居ない…」 周囲を見回したがどこにも2人の姿は見えなかった 「うん?」 ふとテーブルに目をやると 『何度も呼んだけど気が付かないんで先に行きます♪…支払いよろしくwwごちそうさま~♪ -カラー-』 そんなメモが貼られた伝票が残されていた 「あちゃ…またやってしまった」 僕は物思いにふけるとついついのめりこんでしまう癖がある 「まぁ…ランチくらい………いち、じゅう、ひゃく、せん…」 僕は伝票に書かれた金額の桁を数える 一度伝票から目を離し目を擦ったあとでもう一度伝票を見る 「いち、じゅう、ひゃく、せん、まん…………な!何この金額!」 僕は慌てて店員を呼んだ 「スミマセン…この金額はなんでしょう?」 僕がそう店員に聞くと 「それでしたら…先ほどお連れ様がおみやげとしてワインやシャンパンなど数点お持ち帰りになりましたので」 店員はにこやかに笑いながらそう答えた 「ま、まじですか?」 「はい、マジでございます」 店員は満面な笑みでそう返した 「これでお願いします…」 僕はしかたなく倉庫の預金カードを店員に渡した 「毎度ありがとうございます」 店員は深々と頭を下げカードを受け取ると倉庫へと走った 「はぁ・・・」 僕は思わずため息をついてテーブルに突っ伏した そう…僕は今日…油断がどれほど危険な事なのかを学んだ …『To Be Continued♪』
2012/05/08
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『CRONOUS』 ~黙示録~ 第6話 『-博徒見参-』 朝…僕は寝室を出て1Fのリビングに降りる リビングは昨日の宴会騒ぎの状態のままこれでもかというくらい散らかっていた 白魔童はなぜか玄関先で…うほほいは腕立て伏せの体制のまま床で寝ていた そんな時…アジトの外で話し声が聞こえたので僕は外に出てみる 「いやぁ…早朝からすまなかったね…」 「いえいえ…でもどうしたんです?」 「まぁ…ちょっとね床に穴が開いたんで直そうかとねw」 「じゃあ支払いは月末って事で…まいどぉ!」 話をしていたのはトゥイージーと建築全般を取り仕切っているギルドの人だった おそらく昨日の床に空いた穴の補修材料を受け取っていたんだろう トゥイージーは僕に気付く事無く懐からタバコを取り出すと 口に咥えて火をつけ早朝の空に向けて煙を吐き出した 「と、トワさん…おはようございます」 僕がトゥイージーの背中にそう声をかけると 「お?…ああザンさん早いな…もうちっと休んでればいいのに」 そう言って苦笑いを浮かべた 「タバコ…」 僕がそう言いかけると 「やめてたんだけどな…ギルマスになった時から吸うようになっちまってなw」 トゥイージーはそう言って笑った タバコを指先で持たず人差し指と中指の根元に挟んで口元を覆うように吸う独特の吸い方 その姿はとても様になっていて僕にとっては懐かしく…憧れでもあった 結果的に僕にはタバコは体に合わず吸う事は断念したが タバコを吸っているトゥイージーを見て吸ってみようと思ったのは事実である 「あの頃はさ…何も考えなくてよかったんだよな…おそらくザンさんにも迷惑かけてたんだろうなw」 トゥイージーはそう言って苦笑いを浮かべると大きく煙を吸い込んで空に向かって吐き出した 「迷惑だなんて…そんな…皆さんが居てくれたから僕なんかでもギルマスが出来たんですよ…」 僕はうつむき加減でそう答えた 「いやいや…なんだかんだで居心地が良かったからこうしてみんな残ってるんだぜw…あの時のギルドの指針は俺が受け継いでるそしてこれからも…」 トゥイージーはそう言って僕の肩を叩くとタバコをブーツの裏でもみ消して近くに置かれた吸殻入れに捨てた その時…どこからか 「猫じゃぁ猫~じゃとおっしゃいますがぁ~~~♪」 と気の抜けた歌声が聞こえてくる 僕とトゥイージーが顔を見合わせると 「猫~がぁ~猫が下駄履いて~絞りの浴衣でぇ来るもの~かぁ~♪」 歌声は徐々に近づいて路地からバーンが現れた 「えらくご機嫌だなwその様子だと大勝か?」 「おお!ご両人!早いねぇ~♪」 満面の笑みでバーンがそう答えた 僕も頭を下げて挨拶をした 「でもまぁアレだ…ほどほどになw」 「うん?ああ…こればっかりはやめられないなw…ほらよ!」 バーンはそう言うと懐からタバコを出してトゥイージーに投げ渡した 「サンキュ!…今日の所は頂いておくよ」 トゥイージーは受け取ったタバコを懐にしまった 「昨日は闇賭場だろ?頼むから捕まらないようになw」 トゥイージーはそう言ってバーンの肩を叩いた 「了解だw」 バーンはそう答えてタバコを咥えて火をつけた 闇賭場というのは…いわゆる非合法な賭け事をする場所で時々王国の役人が入り捕まる事もある危険な場所である その反面…通常の賭け金よりも大きな金額が動き一攫千金も夢ではない まぁ…無一文になる可能性も当然あるのだが… バーンは元々傭兵でどこのギルドにも所属してなかったが 賭博で無一文になったところをマウンテンに拾われて黙示録のメンバーになったという経緯がある 「で…えらく勝ったのか?」 「そりゃあもう…数か月は遊んで暮らせるねw」 「ガッツリ負けないように気を付けてくれよw」 「そん時は運がなかっただけさ…金は天下のまわり物ってねw」 「まぁ…そうだけどさ」 トゥイージーは苦笑いを浮かべる 「俺が息抜きでやってる博打なんて可愛い物さw」 「ええ?もっとすごい博打があるの?」 僕は思わずそう聞き返した 「あるよw…人生っていう名の生死をかけた大博打がねw」 「なるほど…だが、それは博打というには…どうかな」 トゥイージーがそう言うと 「博打さ…今もこの瞬間、瞬間…俺たちは賭けてるのさ…例えば今日狩場に行って死に目に遭うとするだろ?どうしてそうなったと思う?」 バーンがそう質問してくる 「戦い方が悪かった…からですかね…」 僕はそう答えた 「直接的にはそれが答えだな…しかしそうなる為にはそうならないための準備ができたはずさ…違うか?」 バーンはそう言ってニヤッと笑う その顔は…ふざけてるのではなく…獲物を狙う猛者のような鋭い表情だった 「つまり…全ての結果には要因ってのがあるわけで…今日、もしもそうなったとすれば…今日よりはるか前にこうならない為の因果に賭けてなかったって事さ」 バーンは続けざまにそう言うと上着を脱いだ そこにはおびただしい数の傷が刻まれていた 「明日できる事は明日やればいい…そんかわし、今できる事は今やる…いつか負けない為になw…無一文になるなんて怖くもなんともねぇよw」 バーンはそう言って高笑いしながら煙をを吐き出した 並みの人が言えば戯言…しかしその鍛え抜かれた体は伊達や酔狂ではなかった そこからもバーンという人がただの博打好きな遊び人ではない事がうかがえる ちなみに余談ではあるが… バーンはタバコを親指と人差し指でつまんで吸う 同じタバコ吸いでも人それぞれという事がここからもわかる 「で…その材木は?」 バーンがトゥイージーにそう聞いた そこで昨日あった出来事を話して聞かした 「ぶはw!…相変わらず激しいなぁw」 「まぁねw」 大笑いするバーンに対しトゥイージーは苦笑いを浮かべた 「そんじゃあ…サクッと直しちゃいますかw」 バーンはそう言って玄関先の材木を担ぐとアジトの中へと入って行った 少し話し込んでたとはいえ時間はまだ早朝 床の補修の音で次々とメンバーが起きてくる 「お!ドラちゃん帰ってきたのねw」 白魔童が額にタオルを巻いて床を修理しているバーンを見てそう声をかけた なぜかはわからないがバーンの事を「ドラちゃん」と呼ぶメンバーがいる 「勝ったの?」 カラーが目を輝かせてバーンに聞いた バーンは無言でVサインで答えた 「おごってくれ~!」 白魔童がそう言ってバーンに縋り付くと 「しかたないなぁ…うんじゃぁ…丁半博打といきますかw…白さんが当てられたら全員にテラのディナーご招待!負けたら残念またの機会って事でw」 バーンのそんな提案に白魔童は上半身の服を脱いで床に叩きつけると腕組みをして座る 「いくぜ…丁半どっちに賭ける?」 「うーん…丁!…いや、そう見せかけて半!…丁…半…丁…………半だ!半で行くぜ!」 「半だね…じゃあ振るぜw」 バーンはそう言うとポケットからサイコロを出して床に転がした 1つはすぐに止まり「1」が出る…もう1つはじらすように回り続ける 全員が食いつくように回り続けるサイコロを見つめる やがてサイコロは徐々に回転を弱めて「1」の目が出た 「ピンゾロの丁!残念だったねぇ…www」 バーンは床に転がったサイコロを拾うとそう言って笑った 「ちょっと白さん!」 カラーのそんな言葉を皮切りに全員の鋭い視線が白魔道を突き刺す その時…バーンの元にトゥイージーが近づくと 「ピンゾロしか出ないサイコロなんじゃないの?…それ」 と小声で耳打ちする 「ははははは!イイところに気が付いたねwだが、イカサマも見抜かれなければ立派な技術…まぁ運がなかったって事さw」 バーンはそう笑いながら手に持ったサイコロをトゥイージーに渡して床の補修を再開し始めた 「そりゃそうだなw」 トゥイージーは笑いながらそう言って渡されたサイコロをテーブルに転がす サイコロの1つは「1」の目が出てもう1つはさっきのように回転した そしてしばらく回転したのち「6」の目が出た 「なるほど…やめられなくなるなこれはw」 トゥイージーはそうつぶやいてフッと笑った …『To Be Continued♪』
2012/05/07
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『CRONOUS』 ~黙示録~ 第5話 『-宴-』 「5番!うほほい…中指片手懸垂します!」 「ええぞぉやったれぇい!」 「中指だけであの巨体…無理じゃない?」 「いや…うほちゃんならやる!」 そんな言葉をよそにうほほいは頭上の横柱を見つめて呼吸を整える そしてしばしの沈黙の後うほほいは横柱に右手の中指をかけて左手を背中に回す 「はぁぁぁぁ!…ふぅぅぅん!あぁぁ!…はぁぁぁぁぁ!ふぅぅぅん!んぁぁぁ!…だぁぁぁぁ!ふぬぅぅぅぅん!がぁぁぁ!」 そんな声をあげて懸垂を始めた 「ひゃほぉぉぉぉぉ!!すげぇ!」 「わぁぁぁ…ホントに上がってる…」 「ね?だから言ったでしょw」 中指1本で懸垂を続けるうほほいに喝采が上がった そう…今夜のアジトはとても賑わっていた 「負けてられないなぁ!6番…白魔童!踊ります!wwwww」 まぁ…「賑わう」というレベルをはるかに超えてはいるのだが 「いち、にぃ、さん、しぃ…服を脱げ!wヒャッホォォォ!」 その…なんていうか…やる時はやる!寝る時は寝る!楽しむ時はとことん楽しむ! 「にぃ、にっ、さん、しぃ…全部脱げ!wwアァァァァァオッ!」 そういった事に関してはうちのギルドは自慢できる… 「さん、にぃ、さんっ、しっ…腰を振れぇぇぇぇぇぇいっ!」 ような気がするのだが… 「よん、にぃ、さん、しっ………種を撒けぇぇwwwフォォゥゥゥゥゥゥアァァァオ!」 ここまでワルノリが過ぎると…そうとも言えなくなってくる 「白さん!いい加減にしてください!」 八咫がそう叫んでテーブルを両手で叩いた 空の酒瓶を逆さにして鼻の頭と両手の平に乗せて器用にバランスを取りながらテーブルの上で奇怪な動きで踊っていた白魔童の動きが止まった それと同時に場が一瞬にて静かになる 「…………ごぅ、にっ、さん、しぃ…まだまだぁぁぁぁぁぁ!!!ブゥルゥゥアフォォォォォォォ!!!!」 しばらくの沈黙の後…白魔童が踊りだして賑わいが戻る 「もぅ!…トワさん孫さんなんとか言ってくださいよぉ…」 八咫がそう言って近くに座っていたトゥイージーと孫を見る 「はははは…まぁ…そうだね…はぁ…」 トゥイージーは苦笑いを浮かべつつため息をつく 「ホホホホホ…そのうち止まりますよ」 孫はそう言って笑いながらトゥイージーの肩を叩いた その時… 「あらぁ…こんなところに裁ちバサミが…よく切れそうねぇ…見てると何かを切り落としたくなってきます…」 アデレードはそんなつぶやきもらすと不敵な笑みを浮かべ踊り続ける白魔童の背中を見つめて鋏を開閉する 何かが伝わったのか白魔童は踊りをやめるとテーブルから降りてそそくさと服を着だす そもそもなんでこんな状況になったかというと… 「-数時間前-」 「ただいまぁー!!…うん?お?おぉぉぉぉ!」 アジトに戻ってきた白魔童がリビングを見てそう叫んだ 「宴?宴?何かあったの?」 白魔童が目を輝かせて準備をしているトゥイージーを見つめる 「ほら…今日新人さんが入ってね…歓迎会…」 トゥイージーはそう言って僕の横に立っているアイナさんを指さした 「新人?こんな時期に?」 白魔童は訝しげに腕組みをして刺された指の方を見る 「うん?!…お!おぉぉぉぉ!…あぁぁぁ…おぉぉぉ!うんうん♪」 白魔童はそんな声をあげてアイナを頭の方からなめる様に見る そしてまた足元から見上げていく 「うんうんうん…おぉぉいいねぇ…はぁ…おおおお…」 なぜか途中でトーンが落ちてため息をついていた 「えっと…アイナです…よろしくお願いします」 アイナは慌てて白魔童に挨拶をする 「うん?…ああ…白魔童と申します」 白魔道も頭を下げて視線が胸辺りで止まり大きなため息をついた なるほど…そういう事か しかしアイナは何のことかわからず首をかしげていた 「うんで…トワちゃん…宴って事は…」 白魔童が満面の笑みでトゥイージーを覗き込む 「禁酒…続いてるからね…」 「えええええ!だって…宴だよ!」 「それでもダメ!」 「歓迎会だよ?」 「ダメなものはダメ!」 「1杯…いや…ひと口!」 「ダメ!」 「一滴!」 「ダメ!」 「ケチ!いいよ…酒なんかなくても盛り上がれるんだから!そんかわし…どうなっても知らんからね!」 白魔童はそんなセリフを残してプイッとそっぽを向いた これが今の状況の数時間前の話… 確かにお酒が大好きなはずなのに今夜は一滴も口にしていない しかし…なんとも嫌がらせに近いような怪しい隠し芸を連発していた それはまるで…酒を飲ませないともっとすごいことしちゃうぞ!と言わんばかりだった ふと見ると隣に座っているアイナさんが呆然としているので 「騒がしくてゴメンね…」 僕は苦笑いでそう声をかける すると… 「ううん…なんか、こういうの懐かしいなぁ…って思って」 アイナはそう言ってニコッと微笑んだ 「うん?…懐かしい?」 アイナのもらしたそんな言葉にカラーが反応する 僕は重要な事を忘れていた…うちのギルドで勘が鋭くどんな状況下においても冷静な判断のできるカラーさんの存在を 「うん…なんとなく…こういった雰囲気がすごく懐かしく思えてね…」 アイナはカラーに微笑みながらそう答えた 「ふーん…そっかぁ、じゃあこんな騒ぎが続けばなんか思い出すかもねw」 アイナの答えを聞いたカラーも納得したのかそんな言葉をもらす 僕の取り越し苦労だったのか…サラッと流して答えたアイナに感心していると 「心配ないって…女はこういった局面では強いって事さw」 トゥイージーは僕の耳元でそうささやいた 僕は微笑みながらうなずいた 「でもよ…本当に懐かしいんだろうなぁ…」 アイナの顔をチラッと見たトゥイージーがつぶやくようにそう言ってカラーのグラスに酒を注いだ 楽しさ…憂い…寂しさ…彼女の表情は簡単には読み取れない不思議な感じだった 「トワさん…今日はこれだけ?」 カラーがグラスのお酒を飲み干してトゥイージーにそうたずねた 「お酒…足りない?」 トゥイージーがそう聞き返しながらカラーのグラスに酒を注ぐ 「違う!メンバーよ!…まぁ確かにここにあるだけじゃ酔いつぶれはしないけど…」 「ああ…メンバーね…うちは基本的にまた掛けで籍を置いてるのが多いからね」 「なるほどね…」 「とりあえず把握してるのはモンさんが遅れる…バーンさんはテラで賭場が開かれるとかでそっちに行ってるんじゃないかなぁ…大尉は…今日はおそらく大尉をやってるんだと思う」 「なる…きのこちゃんは?」 「それは…わからんなぁ」 今、名前が上った方々もこのギルドのメンバーである トゥイージーの言葉にも有ったように複数のギルドに在籍している者もいるし 行方の掴みにくいメンバーも多数いる この辺りについてはまた追々話たいと思う 「ゼロっちも何かやれぇ!」 突如として白魔童が近くで飲んでいたゼロに絡む 「何かって言われても…何もできませんよ…」 ゼロは白魔童にそう言って反論する 「何もできない事はないっしょ…よっしゃ!うほちゃんお手本を見せてやれ!」 白魔童にそう促されたうほほいはしばらく考え込む そして手をポンと叩くと 「7番うほほい…背筋をしながら一気飲みします!」 うほほいはそう言うと床にうつぶせで寝そべり背筋で状態を反らす そして反らしが頂点に達した時近くに置かれた一升瓶を口に咥えて飲み始める その姿に一同が喝采をあげる 「な…こんなんでいいんよw」 白魔童がうほほいを指さしながらゼロにそう言った 「出来ませんよ!」 ゼロは白魔童に即答した 確かにあれはそうそうできる芸当ではないし 真似すべきではないと僕も思う その時、アジトのドアが勢いよく開く 「いやぁ…遅れて申し訳ない…」 声の主はモンさん事マウンテンであった 「モンちゃん遅い!何やってたの!・・・・って…どわぁ!なにそれ!」 声に反応していち早く玄関に飛び出した白魔童がそんな声をあげて後ずさりをする 全員がその行動に首をかしげる 「いやぁ…肉の差し入れをしようと思って生け捕りにしたんだけどさ…暴れだしちゃ…ぐわぁぁぁ!」 マウンテンが突然そんなうめき声を出すとアジトの中に体長3メートルは超えると思われる牛が鼻息を荒げて突入してきた 「ちょwww!」 「えええええ!」 「いやぁぁ!」 アジトの中が一瞬にしてパニック状態になる 牛はというと顎を引き角を突き立てて床を蹴りすでに戦闘態勢である 「ふふふふふ…8番うほほい!…あいつを取り押さえます!」 うほほいがそう叫ぶと牛の首を抑え込む 牛も負けじとうほほいを振り落とそうと首を大きく振る うほほいの体中の筋肉が隆起して動きを封じる 時折うほほいの動きに合わせて全員でテーブルやソファーを動かしたりする以外 僕達は見守るしかなかった そしてしばらくの硬直状態が続いたのち 「ふぬぅぅぅぅぅああああああああああ!!!」 うほほいがそんな叫び声をあげると ゆうに2倍以上ある牛を持ち上げて担ぎ上げた 次の瞬間…足元に牛を首から床に落下させる アジト内に落下させた時の轟音が響き埃が舞飛ぶ 全員がたちこめた埃に咽て咳き込む 僕は慌てて窓を開ける 空気が入れ替わりたちこめた埃が徐々に晴れると そこには両手を頭上に掲げてガッツポーズを決めたうほほいと 床に頭から垂直に突き刺さった牛の姿があった 「で…モンさんアレをなんで連れてきたんだっけ?」 トゥイージーが苦笑いを浮かべながらマウンテンに質問した 「い、いやぁ食おうかと…まぁ半分はシャレのつもりだったんだがね…」 マウンテンも苦笑いでそう答えた 「食うってさぁ…誰がどこであれをさばくんだ?」 床に穴をあけて突き刺さる巨大な牛を指さしてトゥイージーが聞きなおす 「さばきましょうか?…私が…」 そんな声に全員が振り返ると手にのこぎりを持ったアデレードが薄ら笑みを浮かべていた 「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 真夜中のはじまりの街にそんな八咫の悲鳴が響きわたった …『To Be Continued♪』
2012/05/06
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『CRONOUS』 ~黙示録~ 第4話 『-嘘-』 僕と八咫はカイヌゥスの子供たちが見つけた洞窟で繭のような謎の物体から出てきたアイナと名乗る女の子と対峙していた なぜ…こんなところに居るのか なぜ…あんなものに入っていたのか なぜ…なぜ…なぜ… 「なぜ?」を付けはじめれば全てがそれになってしまう そもそも…アイナと名乗った彼女は誰なのか? わからない事だらけである ただ、とりあえず目の前にはその女の子がいる…これは現実… あまりにも突然に襲われた非現実な状況に僕は困惑するしかなかった 「ねぇ…それはブゥドゥー装備だよね?」 何からどう処理をしていこうか思案している僕をよそに沈黙を破ったのは八咫だった 「はい、これは大切な人から預かってる装備です」 アイナは笑顔でそう答えた 「ねぇ…こんなところで何してたの?っていうか…いつからここに?」 こういう時に女性は強いのだろうか…それともただ僕がダメなだけなのか 僕が切りだせないでいる事を八咫が質問してくれた そんな疑問をぶつけられたアイナは首をかしげて考え始める いや…考え始めるというよりも悩んでいる…と言った方が正しいのかもしれない 本人にも状況が理解できていない…そんな感じだった その時…「ぐぅぅぅ~~~…」とお腹が鳴る音が響く 「お腹…空いてるの?」 八咫の質問にアイナは頬を赤らめてコクンとうなずく 「ザンさん…とりあえず今日の狩りは中止して帰還しましょう」 そんな八咫の提案に僕は数回うなずいて答えたのち 「えええええ?」 そう返した 「えええええ?…って、ここに居ても仕方ないし彼女お腹空いてるみたいだし」 八咫は平然とそう答える 「い、いや…それはそうなんだけど…そうなんだけどさ…やっぱ、それはまずくない?」 僕がそう返すと八咫は不可思議な顔をする 僕の言ってる事が間違っているのか…? いや、僕の考えは間違ってはいない 僕達は目の前にいるこの子の事を何も知らない 味方なのか…敵なのか…そもそも人なのかどうかすらも 「わかるよ…ザンさんが躊躇してる理由はね…ただ、このままここに置いて行くわけにもいかないでしょ?」 「そりゃぁ…そうなんだけど…」 「いったん保護したうえで…みんなで考えましょう…どの道、今私たちがこの場で判断するには事が重大すぎるしね」 僕は八咫の提案を承諾して彼女を穴の外へと連れ出した そして帰還書で始まりの街へと帰る アイナは辺りをもの珍しそうに見回す 「ここ…は?」 そして僕たちにそう質問してきた 「え?はじまりの街だけど…知らないの?」 僕は彼女にそう聞き返す アイナは無言でコクンとうなずく つまり…彼女はこの街ができる前からあの場に居たという事になる もしくは記憶障害か…どちらにせよ彼女はこの街を知らないそれだけは確かである そして僕達は噴水のある広場を抜けて倉庫前を通りアジトに戻った 幸いというべきかアジトには誰もいなかった 「さて…ザンさんにアイナさん…これは私からの提案なんですが…全員にすべてを話しても理解を得るのは困難だと思うので…一部の人にしか相談しない…という事にしたいの」 ソファーに座ったところで八咫がそう切り出した 僕は八咫の言葉に同意したそしてアイナもそれに同意する 「さしあたって…トワさんと孫さん…そんなとこかな」 「そうね…で、そうなるとその恰好はちょっとアレなので…まずは着替えましょうか」 八咫はアイナを見て苦笑いを浮かべる 確かにアイナが今身に着けているドレスはあまりにも違和感があり過ぎる 「冒険者…でいいんだよね?」 八咫はアイナにそう質問した アイナは無言で首を縦に振り答えた 「えっと…じゃあ、使ってた武器とかは?」 八咫はアイナにそう質問する 「カーラです…」 そう言ってアイナはソファーから立ち上がると腕を振った すると驚くことに彼女の手にはカーラが装備されていた 僕達は驚くしかなかった 「で…これは見た目こんなんですけど…いちおうサンダー装備です…」 そう言ってアイナは履いていたブーツを脱いで僕たちの目の前に置く 「「え、えええええええ?」」 僕達は目の前に置かれたブーツがサンダーセイクリッドグリーブになっている事にさらに驚愕した 今までこれ程驚く事に遭遇する事があっただろうか… 僕と八咫はただ顔を見合わせた 「申し訳ありません…今はまだ全てを明かす事はできませんが…ある目的があって私はここに来ました」 アイナはそう言って僕達に頭を下げた 「わかった…時が来たらちゃんと説明するって事で…いいのかな?」 僕がアイナにそう聞くとアイナは目を閉じてうなずいた 「3年…いや、10年分くらい驚かされた感じね…」 八咫はそう言って苦笑いを浮かべる 僕も苦笑いでその言葉にうなずく 「もしかして…そのブゥドゥー装備も?」 八咫の質問にアイナはうなずいて返事をする 「じゃあ…ちょっとその装備は私が預かるね…さすがに今この場で誰かが来たら作戦もへったくれもないので」 八咫の言葉にアイナは装備を外し始める 僕は慌ててキッチンの方に移動した その後、八咫はアイナの装備を倉庫に預け… 代わりに時が来たらいずれ使おうと思って用意していた雷装備を出してきてアイナに渡した 「まだ…戻って来そうもないかな…ねぇねぇさっきの装備ってどうなってるの?」 八咫はアイナににじり寄ってそう質問する 「えっと…私にもうまく説明できないんだけど…見た目だけを他の物に変える合成みたい」 アイナはそう八咫に話した 「ふわぁ…すごい技術よね…」 「そうですね…ただ、原理とかやり方とかは私にはさっぱり」 アイナは苦笑いでそう答えた 「はぁ…ギルマスの会議とかもうやめてほしいよなぁ…狩りしてる方がなんぼも楽だよ…」 そんな愚痴とも思えるため息交じりの独り言と共にトゥイージーが帰ってきた 「お疲れ様でした」 僕はそう言ってトゥイージーを迎える 「あれ?もう済んだの?…えらく早く終わったんだね…」 「ええ…まぁ済んだというか…色々あって」 僕はとりあえず苦笑いでそう答える 「ザンさん…頼むから早くリハビリ済ませてギルマスに戻ってくれないかなぁ…俺はこのままじゃ心が折れ…」 トゥイージーはそこまで言ったところでアイナと目があい言葉を止める 「え、えっと…彼女が今話した色々で…そ、そのぅ…カイヌで倒れてるのを僕たちが助け…」 僕はトゥイージーにそう説明をしかけると 「助けたら困ったことに記憶がない…と、で…しかたなく連れて帰ってきたって嘘でやり過ごす作戦ってわけか」 「まぁ…そういう…………えええ!」 「フッ…ザンさんはホント嘘つくの下手だよねw」 「い、いや…嘘とかじゃなくて…その…」 僕は救いを八咫に求めようと彼女を見る 八咫は大きなため息と共に顔に手を当ててうつむいた 「ははははは!まぁ他の人は騙せても俺には通用しないよw…そんな短い付き合いじゃないしねw」 トゥイージーは笑いながら僕の背中を数回たたいた 「OK!とにかく…今みたいな話に合わせておくよw」 「トワさん…ごめん…」 僕は何も聞かず受け入れてくれたトゥイージーに頭を下げた 「あ、あのぅ…私、アイナと申します…いずれちゃんと理由はお話しますので…しばらくこちらに置いて下さい」 アイナはソファーから立ち上がってトゥイージーに深々と頭を下げた 「いいって…うちは元々変わり者や凶状持ちが多数いるからね…それに初代が連れてきたんだからなおさらOKだよw」 トゥイージーは笑いながらアイナの肩を叩く そして僕は今に至った経緯をトゥイージーに話した 「なるほどねぇ…興味がわく話だねぇ…いいんじゃないの?なんかとてつもなく面白い事になりそうだし…」 トゥイージーはソファーに深く座ってお茶をすする 「ただし…1つだけ言っておく…一番重要で絶対厳守のうちのルール…」 トゥイージーはそう言って湯呑をテーブルに置いてアイナをじっと見つめる 僕達はいつになく真剣な表情のトゥイージーを見て緊張が走る 「仲間を裏切らない…だまさない…傷つけない…これだ」 トゥイージーの口から出た言葉がさも当たり前だった事に僕と八咫は苦笑いを浮かべる 「今言った事が守れない奴は、なん人であっても俺が許さない…事情は色々あると思うし今は話せない事もあるだろう…だが、何か行動する時には必ず相談してくれ…全てにおいて協力できるとは言えないが、こうして仲間になった以上…できる限りの事はする…だからそれだけは約束してくれ」 トゥイージーはそう言ってアイナにニコッと微笑む アイナもうなずいてそれに答えた 「トワさん…あと孫さんには…」 僕がそう言いかけると 「わかってる…俺も孫さんには話しておこうと思ってた」 トゥイージーはそう言って自分の湯呑にお茶を注ぐ こうしてギルマスの許可を得たことでアイナは正式に黙示録のメンバーとなった …『To Be Continued♪』
2012/05/05
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『CRONOUS』 ~黙示録~ 第3話 『-アイナ-』 今日も僕はいつものようにこの街の片隅で執筆をしていた あの日…そう、何の前触れもなく突如として僕たち冒険者が居住の中心としていたヒドゥンビレッジに復活したデュフォン… 想像をしていた強さを超えるその猛威に多くの人の命が失われた 今はこの時の戦いを「ビレッジレイド」と呼んでいる 僕は一命を取り留めたが…その戦いの最中で負傷し戦列を離れたため最後はどうだったのかは記憶にはない 確かめたいという気持ちがないわけではないが…今はまだそんな状況ではないと思い確かめる事無く今に至っている 確かな事は崩壊したヒドゥンビレッジは復興せずに新たにこの地に街を起こしたという事 そしてこの地を「はじまりの街」と命名して新たな一歩を踏み出した 引っ越しはほぼ終わったようで今でははるか昔からこの地に住んでいたような… そんな感じがするほどなじんでいる ヒドゥンビレッジはというとマエルの手によって封印され今では王の許可がないと立ち入る事が出来ない いわゆる閉鎖地区となっている けしてこの街に不満があるわけではないが おそらく誰もがいつか平和を取り戻しあの街に帰る…きっとそう思っているだろう 僕もそんな日が1日も早く訪れる事を願っている さて…今日はこれから八咫さんと一緒に粗材探しにカイヌゥスに出かける事になっているのだが 待ち合わせの時間からかれこれ30分ほど過ぎようとしていた まぁ…取り留めて急いでいるわけでもないし 今はマエルに依頼すればほぼどこにでも一瞬で運んでもらえるので数時間など誤差のうちに入ってしまう という事でさっき話したビレッジレイドの事を少し語りたいと… 「スミマセン…お待たせしました…ハァハァ」 そこに息を弾ませながら八咫が現れた… という事で…ビレッジレイドについてはまたの機会にしたいと思う 「先ほどみかんを頂いたのですが…白いのがなかなか取れなくて…で気がついたらこんな時間に…」 八咫はそう言って何度も頭を下げる 「別に謝らなくても…待つのも結構好きだし」 僕はノートを閉じて笑顔でそう答えた そして僕たちはマエルに転送してもらいカイヌゥスの麓にある集落へ着いた この集落にはカイヌゥスの山に点在する遺跡の調査をする学者たちが多く住んでいた 故にそれら調査団を守護する仕事も多くそう言った依頼を受ければちょっとした収入になる 今日も着くと同時に声をかけられたが…目的があったため丁重に断った 準備が整い登頂を始めようとしたその時… 「あのぅ…お兄さんは冒険者さんですか?」 そんな声に振り返るとそこには7~8歳といった感じの少女が立っていた 僕が「どうしたものか…」と相談しようとした時にはすでに八咫は少女の前にしゃがみ込んでいた 「どうしたの?何かあった?」 優しい笑顔で八咫は女の子を覗き込んだ 「えっと…昨日ね秘密基地の近くで不思議な物を見つけたの」 少女のそんな言葉を聞いて八咫は首をかしげながら僕を見上げる 元々今日の素材探しは彼女がメインなので僕に断る理由はなかった 「秘密基地って?」 僕も八咫の横にしゃがみ込んで少女にそう質問する すると少女は辺りを見回して手招きをする 僕と八咫が首をかしげ顔を見合わせていると 辺りから少女と同じくらいの年齢の子供たちが数人出てきた 子供たちから話を聞き総合していくと この子たちはここら一帯を調査している学者達の子供らしい で…大人たちにないしょでカイヌゥスの山に入り探険をしているという 何とも危険極まりない話だ… そしてこの子たちが見つけた小さな洞穴でその不思議な物を見たらしい 僕と八咫はその場で協議を始める 子供たちの言う事だから大したものではないと思うが… ここら一帯は太古の戦争で何が埋まっていてもおかしくはない もしもそれがまかり間違って大変な物であれば… 僕たちは子供たちの話を信じて確認する事にした 「よかったぁ…お父さんやお母さんには基地の事や山に入ってる事は言えないし…冒険者さんは信じてくれないし…」 少女はそう言ってニコニコと笑う そして僕と八咫は子供たちの案内で山に入って行った 子供の行動範囲だから…とかなりなめていたが 予想に反してかなり上まで歩く…すでに中腹付近まで上がってきただろう それにしてもあの過敏な索敵能力を持つカラゴーンに見つからずに よくぞここまで上がれるものだ…子供の好奇心恐るべし… そんな事を思った時子供達の足が止まった そして少女が指をさした方向を見ると崖の淵に小さな穴が口をあけている 僕と八咫は辺りを警戒しながらその穴に近づいた… 穴の入り口はかなり小さく八咫でも楽には入れそうもなく 僕に至っては確実に装備を外さないと入る事は困難と思われる…そんな大きさ 覗き込むと穴はかなり深くまで続いてる…そしてかすかではあるがぼんやりと奥が明るい 確かに奥には何かがあるようだ…子供が入って行って確認したのだから危険があるとも思えない が、さすがに装備を外すとなると…そう思い僕はどうしたものかと八咫を見る すると八咫は青ざめた半泣きの表情でムリムリと顔の前で手を振った しかたなく僕が入る事にした 装備をすべて外したものの入り口はかなり狭くかなり苦難をして何とか浸入に成功する 入ってみると立てはしないが案外動くのに支障のない広さは保っているので八咫を招き入れ穴の奥へと進んだ 入り口からかすかに見えていた光は進むにつれて輝きを増している ときおり飛び出している岩に体をぶつけつつ這いながら輝きを目指した 数百メートル進んだところでついに輝きの漏れる隙間の所に到達した 八咫と2人で隙間から中を覗きこむ 隙間の向こうには見える範囲に何もなく先に進めそうな通路もなかった 「ここで終わりかぁ…」 「みたいですね…」 僕は意を決して隙間へと体を滑り込ませる 「狭っ!!」 体のいたるところを岩肌に擦りながら徐々に中へと入る 入り口を通った時の倍は時間が掛かっただろう…それでも何とか中に入る事が出来た そして僕がそこで見た物は… 「ま、繭?」 そんな僕の言葉を聞いて浸入しかけていた八咫が浸入をやめる それはさっき覗き込んだ隙間の死角となる場所にあり光を放っていた 繭…確かにその表現は間違ってはいない 何かを包んでいるのであろうその薄い膜は天井や壁に枝を伸ばし固定されていた しかもよく見るとその薄い膜の表面で魔方式が回転していて明らかに自然物ではないと判断される さすがに自分1人では判断に困ったので嫌がる八咫の足を引っ張り無理やり中に引きずり込む 「え?…キレイ…」 それがその謎の眉のような物体を見た時に八咫が漏らした言葉である 確かに光を放つそれは虫などの繭とは違い神秘的なオーラを放っている 「ね…不思議でしょ?」 満面の笑みで少女が僕たちにそう言った 僕たちは無言でうなずく 「でね、でね…こうすると…」 少女はそう言ってその不思議な物体の表面に手を当てる すると…手を触れた所を中心にして、まるで水面に波紋が広がるように一瞬中が見える 「え?…人?」 それを見た八咫がそうつぶやく 僕にもそう見えた…幻覚と思ったが八咫にも見えたという事はそうではないらしい 八咫と顔を見合わせうなずきあい2人でその物体に近づきそっと触れてみる やはり少女が触れた時のように一瞬だが中が見える 服を着た女の子が何かを抱えて丸くなっている…僕にはそう見えた 「お、女の子だよね…たぶん」 八咫にも同じ物が見えたのだろう僕はうなずいて同意の返事をした さあ…これは想像してたよりもはるかにデリケートな問題である 少なくとも…今この場で僕らがどうするかを判断できるレベルを超えた事柄… どうしたものか思案しながら思わずもう一度その物体に手を触れた (「うん?…今、何か聞こえたような…」) 今度は目を閉じて耳に集中して手を触れる… 確かに何か聞こえる…だが、とても聞き取るといったレベルではない 僕は恐る恐る物体に耳を当てる 「ど、どうしたの?」 八咫が心配そうに僕を覗き込む 「うん…何か聞こえるんだよね…」 「え?」 「ちょっと待って…」 僕は目を閉じてかすかに聞こえてくるその音に耳を澄ます (……ア………イ…………ナ……) かすかではあるが…そんな言葉を繰り返していた 「ア…イ…ナ……?」 僕が聞き取ったそんな言葉を口にした時 物体は今まで以上に輝きを放つ 僕と八咫は子供たちを守るように物体から離れる 物体はどんどんと輝きをまし…そしてついに輝きが弾け飛んだ 僕と八咫はあまりのまぶしさに手をかざす 輝きが治まり指の隙間から見えたのは物体のあった場所に座り込んでいる黒い服を着た女の子だった 驚愕の事実に僕と八咫は言葉すら出なかった 女の子はその場であくびをしながら大きく伸びをする その瞬間…僕と八咫は我に返り改めて身構えた もしも敵だとすれば…僕は1歩前に出てルゥの柄に手をかける 八咫に目で合図を送り子供たちを先に入ってきた隙間から外に出す 突如謎の物体から現れたその女の子はボーっとした顔で辺りを見回して僕に気が付く 僕の鼓動が頭を駆け巡る緊張のあまりのどが渇いて声すら出ない 「えっと…私はアイナと申します…起こして下さってありがとうございました」 女の子は僕にそう言って頭を下げた …『To Be Continued♪』
2012/05/04
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『CRONOUS』 ~黙示録~ 第2話 『-禁酒令-』 僕たちが次の担当ギルドに警戒任務を引き継いでアジトに戻った時 すでに昼過ぎになっていた ソファーに座った瞬間…溜まった疲れが一気に襲い掛かってくる 「う、うわぁぁぁぁぁあ…こ、このソファー…安物のくせに魂を吸いやがる…もう立ち上がれない自信100%…」 任務明けのトゥイージーのそんなうめき声がリビングに響く 「フンッ!フンッ!フンッ!フンッ!…」 かと思えば…リビングの片隅ではそんな荒い鼻息を立ててバーベルを背負ったうほほいがスクワットを繰り返す 「う、うほちゃん…元気だねぇ…」 ソファーにのみ込まれる様に崩れて座るトゥイージーが苦笑いでツッコミを入れると 「疲れた時こそ…フンッ!…ストレッチで…フンッ!…クール…ダウンを…フンッ!」 うほほいはスクワットを止める事無くそう答えた 「そ、それってストレッチ…って言わない気が…それに…クールダウンになってないと…」 思わず僕はそうツッコミを入れると 近くにいたカラーさんが僕の肩に手を置いて首を横に振った 僕は苦笑いでうなずいて返事を返す その時… 「あぁぁぁぁぁ…頭いてぇ…み、水ください…」 そう言って寝室から苦悶の表情を浮かべた白魔童がリビングへと降りてきた するとその声を聞いたトゥイージーがピクッと反応する そしてそれを見た全員がわざとらしくまるで何かやるべき事を思い出したかのようなリアクションをしてその場を離れる 「あ…孫さんアリガト…」 孫から水を受け取った白魔童は一気にそれを飲み干して口元を腕で拭う 「なぁ…白さん…何か言う事はないか?」 殺気の篭ったそんなトゥイジーの言葉がうほさんのスクワットをする鼻息だけが聞こえる静まり返ったリビングに響く 「うん?・・・・・・あぁ…おはよう!w」 白魔童は少し考えたのちにそんな挨拶をトゥイージーに返した おそらくその場にいた全員がトゥイージーの中の何かの切れる音を聞いたのだろう キッチンから様子を伺っていた八咫は手を顔に当ててうつむき 歯ブラシを咥えていたカラーはやれやれと言ったジェスチャーをして指で耳栓をする 1人、また1人とその場から退避していく…そして次の瞬間 「おはよう…じゃないわぁぁぁぁ!!」 まるで落雷のような辺りを劈くトゥイージーの怒鳴り声 もしもコレが安っぽい三流のマンガかアニメならば きっとこのアジトは振るえ…そして伸び縮みをして飛び跳ねていたに違いない それほどの怒鳴り声だった 「ど、どうしたのぉ?えらくご機嫌斜めなのね…今日は…」 両耳を抑えた白魔童が苦笑いでそんな言葉を返す それがトゥイージーの燃え上がった怒りに油をさしてしまい それはそれは恐ろしい形相となり爆発した怒りは言葉にならずただ口をパクパクさせた すかさず孫が水を持って駆け寄りまぁまぁといった表情でなだめる 「はぁ…はぁ…スマン取り乱してしまった…」 渡された水を飲み干したトゥイージーがそう言って孫に頭を下げる そして一呼吸置いたのちに 「白さん…昨日、何を言ったか覚えてる?」 トゥイージーは白魔童にそう質問した 白魔童は腕組みをして真剣に考え悩む その姿を見たトゥイージーが力なくうなだれる そして…昨日あった事を白魔童に話す 「へ?…マヂで?…………またまたぁ…冗談がきついなぁ…あはははは…あはっ…あは…あははは…冗談じゃぁなさそう…ねぇ…」 冗談であってほしい…そんな願いがあっての言葉だろうが それに対して変わらないトゥイージーの表情から冗談ではない事を悟った白魔童の表情から血の気が引く 「幸い今回はあの場に居た身内以外には聞かれてなかったから良い物の…もしも聞かれてたら大問題な事件だ…という事でとりあえず…一か月禁酒ね」 トゥイージーの口から白魔童が最も恐れていた言葉が継げられた 白魔童は魂を抜かれたかのようにその場に崩れ落ちた そしてそんな悲壮感漂うリビングに 「フンッ!…フンッ!…フンッ!…フンッ!…」 スクワットをするうほほいの鼻息だけが無常に響く… …『To Be Continued♪』
2012/05/03
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『CRONOUS』 ~黙示録~ 第1話 『-はじまりの街-』 僕の名前はザンジオ…このクロノス大陸の冒険者の1人 と言っても…先のディフォン戦で負傷し戦線を退いて数年… 最近復帰したばかりでまともに冒険をしていないのが現状 リハビリをしつつ街の片隅で執筆して1日を過ごす事が多い 執筆といっても書いている内容は 何という事はない日常の出来事をつづった僕の冒険の話である 誰かに頼まれたわけではなく… 誰かに見せるわけでもない… 僕だけの物語… 「へぇ…面白いなぁ…で、お兄さんそれはどうするの?」 その時…背後からそんな声がかかり 僕は慌てて振り返る そこには年の頃は10歳… 肩にかかるほどの長さの銀色の髪の少年が立っていた ケープを羽織っているため装備のほどはわからないが 明らかに普通の街の子供とはどこかが違った 「どうするって…言うと?」 僕は興味津々な眼でノートを覗き込む少年に聞き返した 「本にする…とか、誰かに見せる…とかさ」 青年はさも当たり前という顔でそう答えた 「そ、そんな…趣味で書いてるだけで…それに…下手だから…」 「そうかな…ちょっとしか見てないけど…面白いと思うよ…その冒険中に寝てしまう人とか」 彼はそう答えるとニコっと微笑んだ 僕は思わず照れ笑いをする 「よかったら…今度そのお話…読ませてくれないかな?」 「え?…あ、うん…じゃあちゃんと読めるようにしておくから」 「あ!…そろそろ戻らないと…じゃあまたね」 少年はそう言うと軽く手を振って街の外へと走って行った 僕は呆然とその後ろ姿を見送った これが僕とこの少年の出会いである 無論…僕が彼が誰なのか知るのは まだまだずっとずっと先の話… その時…日が沈みかけている事に気が付き 僕は慌ててノートをしまいアジトへと向かった 現在この大陸は過去に封印されたアクモディウム五将軍の復活の警戒… そして溢れかえり減る事のないモンスター達との戦いに日々追われている この大陸を統治している王の名の下 僕たち冒険者はギルドという組織を作り それぞれのギルドが助け合いながら毎日を過ごしている そして僕は所属しているギルド「黙示録」のアジトに戻ってきた… 「お?…戻ってきたな…出発にはもう少し時間があるから楽にしててくれ…と言っても任務前だから酒は飲めんがなw」 そう言ってトゥイージーが僕の肩を叩いた この人が現在、ギルド「黙示録」を束ねているギルドマスターである 僕はうなずいて返事をしソファーの片隅に座った この1Fのキッチン、バス・トイレ等を除いたフロアーのほぼ全部を使っている大きなテーブルとそれを囲むようにコの字に配置されたソファーはみんなの憩いの場であった 僕の目の前ではプラチナ色の装備を身に着けた女性が一心不乱にマニキュアを塗っている 彼女の名前はカラー…華奢な体系とは裏腹に戦闘時は戦士すらたじろぐほどの前衛をこなす 「やっとここまで戻った・・・」 カラーはそうつぶやきながら装備と同じプラチナ色に塗られた爪を乾かすように指をしなやかに反らした 「目標は…その爪を折らずに激戦をこなす…だっけ?w」 トゥイージーの問いかけにカラーは無言でうなずいて答えた そんなカラーさんの隣でソファーの背もたれに足をかけ腹筋をしている戦士が…うほほいさん 変わった名前…そう思う人もいると思う…だが誰1人としてその名前が本当の名前かどうかを知る人はいない というかこの大陸で名乗ってる名前が本当かどうかなど当人しか知りはしない…これが真実 「腹筋もいいけどそろそろ準備したら?」 そんなカラーさんの言葉に対して 「え?これで行こうと思ってたんだが…ダメかね?」 とうほほいは平然と答えた 「ダメも何も…装備ってあなた…まぁいいけど…」 カラーはそう言ってため息をついた それもそのはず…うほほいは短パンにタンクトップというとても装備とは言い難い状態だった 「よくはないだろ…いちおう警戒といっても任務だからね…うほちゃん頼むよ」 トゥイージーのそんな言葉にうほほいは数回うなずいて装備を身に付けはじめた そしてそんな一連のやり取りに全く気にも止めず読書にふける女性が僕の隣に… アデレードさんである…皆からは「お嬢」と呼ばれている 彼女は僕が戦列を離れている間に加わった方なので詳しい事はよくわからない… が、淑やかで慎ましい…それが僕の彼女に対するイメージである かなり面白いのであろう…時折クスクスと笑いながら読書に浸っている 僕は思わず彼女が何を読んでいるのか気になり…本の表紙を覗き込んだ… 『撲殺と遺棄…完全犯罪入門書』 「・・・・・・・・・」 僕は彼女に対しての認識を誤っていたのだろうか…いや…おそらく表紙はダミーに違いない! そうだ…そうに決まってる!彼女に限って… 「ちょw…アデさん!なんちゅう本読んでるの!w」 カラーさんのツッコミにアデレードは 「え?…だってぇ最近物騒だし…テヘッ」 と言って可愛く舌を出して笑う 「物騒なのはお嬢だろ…まったく…」 トゥイージーもそう言ってさも当たり前の出来事とばかりに苦笑いを浮かべる 僕のはかない夢はここで無残に打ち砕かれた (´;ω;`) 「で…トワさん今夜はこれで全員?」 カラーがストッキングのズレを直しながらそんな質問を投げかける 「あとは…孫さんが現地で合流…で、すでに警戒をしている白さん達と交代して明日の朝次のギルドが来るまで…」 トゥイージーの解答を聞いてカラーは数回うなずいた そしてどれからどのくらい時が過ぎたのか トゥイージーの「そろそろ行くか…」の声で全員アジトを後にした 僕たちはマエルの転送魔法によってカイヌゥスへと送られ 日が沈みかけて薄暗くなり始めた山頂への道を走る 今回、僕たちのギルドが受けている任務は スレイドが封印されているラヴァストーンの警戒任務だった 「またラヴァストーンの警戒かぁ…たまには他のエリアに回りたいものね」 そんなカラーのボヤキに 「まぁ…そう言うなって組織の大きさで割り振られる役目…今の俺達に警戒任務が回ってくるだけ感謝しないとなw」 トゥイージーがそう言ってなだめる 五将軍ではないにせよ…封印されたモンスターの警戒任務となればそれなりに報酬がもらえる つまりそう簡単に回ってくる仕事ではない カラーはしかたなさそうに肩をすぼめる そして…山頂に近づいた時… 「何が王国だ!何が任務だぁぁぁ!ふざけるなぁぁぁぁぁエラそうに!」 そんな聞き覚えのある叫び声が聞こえ僕たちは足を止める 「チッ…」 トゥイージーは舌打ちをする そしてカラーはため息をついてうなだれた 「任務?王国?そんなものクソ食らえだぁ!いいか!よく聞け!今ここに白魔童様が宣言する!」 叫び声がさらに大きくなり 「…今日からこの大陸を根こそぎ俺達、黙示録が支配するぅぅぅぅう!!」 僕は悪夢を見ているのだろうか… そんなとてつもなく恐ろしい言葉が 薄暗くなったカイヌゥスに響き渡った …『To Be Continued♪』
2012/05/02
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『CRONOUS』 ~黙示録~ 序章 『-To Be Continued-』 僕はペンを置いてノートを閉じた… 「もういいのか?」 そんな問いかけをしてきたトゥイージーに僕はうなずいて返事をする 「じゃぁ…行くか…」 トゥイージーは僕の肩を叩いてニコリと微笑んだ 僕は椅子から立ち上がりアジトから出て行くトゥイージーの後を追う トゥイージーがアジトを出た所で僕は思わず立ち止まる 慌ててリビングに戻るともう一度ノートをの最後のページを開いて 『…To Be Continued 』 と書き込んでノートを閉じた そう…僕たちは必ず全員でまたここに戻ってくる そんな願いを込めて… そして僕はアジトを出る まぶしい日の光に照らされ思わず目を細めた 「!!!!…ザンさんおせーぞw危うく寝ちまうところだったぜww」 「寝てたでしょうに…まったく」 「白さんの寝落ちは今に始まった事じゃないからなぁ」 「寝てないって!…ただちょっとゆっくり瞬きしただけだって!」 「はいはい…寝てない寝てない」 「孫さん!その投げやり感全開で二度繰り返すのやめてくれないかなぁ…傷つくって」 「オッサン…傷つくとか…そんな心持ち合わせてないだろ…」 「うわぁぁ…聞いた?ねぇ聞いた今の…ホントに傷つくなぁ…もう立ち直れないかも…お嬢…癒してくれ!この今にも割れそうな俺のハートを…」 「えっとぉ…遠慮しておきます」 「Σ(´ロ`;)」 「私も丁重に辞退させて頂きます」 「Σ(´ロ`;)」 「右に同じ…」 「な!なんてひどい扱い…俺の心は今にも壊れそうだ…俺はどうすりゃいいんだよぉ!」 「・・・・・・唾でもつけておけば?もしくはコレで補修…ハイ」 「・・・・・・・・・(´・ω・`)」 「ぶはっwww接着剤って相変わらずのドSっぷりw」 こんないつもと変わらないメンバーのやり取りを見て 僕の中に在った不安な気持ちは吹き飛んだ そう…僕たちには最初から選択肢なんかなかった そして僕たちは「何もせず絶望を待つ」という選択肢を捨てて戦いを選んだ 例えその先にある答えが「絶望」だったとしても… 「じゃあ行こう!あのクソジジイに一泡吹かせてやろうぜ!」 「うぉぉぉぉぉ!!やってやるぜぇぇぇ!!」 「俺達の目が黒いうちはこの大陸を好き勝手にはさせねぇよ!」 「あ…白さんまた寝てる」 「・・・・・・おい、寝るなって…」 「まだまだぁぁぁぁぁ!…ZZZZ」 「あ…また寝た…しかも今度は歩いてるw」 「ここまでくると…技だなぁ…」 こんなたわいもない会話をしつつ 僕たちは最終決戦に向けて他のギルドが集まるギルドセンター前へと向かった… この戦いが「絶望」なのか…「希望」なのか… まだ僕たちは知らない… そして…この物語はここから数年前に戻る… …『To Be Continued♪』
2012/05/01
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みなさまこんばんわぁ♪さて…今日はこれから更新をかける書き物のお話…ただし現在進行中のFEZ物ではございません関係者の皆様…本当にごめんなさいちゃんとお話は構築させているのでもうしばらくお待ちをでは何の更新かというと…某塾長さまより…「続きを読みたがってる人がいるぞ!」といったありがたいお言葉を頂きましたやっぱりね…ヘッポコとはいえそういったお言葉は活力ですという事で先にそっちのお話をアップします♪まぁ…不器用なので頭の切り替えがうまくできません1つの事を考えると…他が手を付けられなくなるので今後は定期的に切り替えつつ続けようかと…という事で…今後もよろしくお願いします♪
2012/01/24
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みなさまこんばんわぁ♪現在このページではFEZ物の書き物をアップしてたわけですが諸々の事情がありまして止まっております…orzまぁ…クロノスの書き物も停滞は日常的に起きてましたし^^;ただ…せっかく始めたお話ですからちゃんと続けます♪で…今日のこの日記なんですが…実はカモフラージュ日記です(x妄想が趣味の私は…何か感じるとすぐに妄想にふけます(xそしてなんとなくで書き物にしちゃったりしてまして…w過去においてもそんなお話が色々ありました今まではこのページはクロノスの書き物だけを置こうと思ってたのでそれ以外のお話は別の所においておいてましたところが…色々とそこに置くには今後不都合がありそうなのでそれらの書き物もここに引っ越す事に…ところが…そうするとこのブログの最新記事にその書き物が来てしまうのでそのためのカムフラージュ日記ですという事で…なんかお話が増えてると思いますので気が向いたら読んでみてください♪で…肝心のお話の方ですが…がんばります(x今日はこんな感じかな……『To Be Continued♪』
2012/01/22
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~第5話「任務」~クラウドは昨日の事が心の隅に引っかかっていたため少し重い気分で強行課のドアを開いた「ウイッス~!」するといつもの様な能天気な挨拶が返ってくるクラウドは無言のままザックスを見た「なんだよ…今日も辛気臭いツラだな…腹の調子でも悪いのか?」ザックスはそんな事を言いながらクラウドに絡みついたクラウドは昨日のザックスの言葉を思い出した(「そうだ…俺が気を使ったんじゃ意味がない…」)「ちょっとエンジンの掛りが悪くてね…気になってたんだ」「そうか…まぁプロトタイプじゃなぁ…シドに『使えねぇぞ!』って言って突き返しちまえw」ザックスは笑いながらそう言っていつものようにデスクに座ったその時…ノックと共にドアが開くと「特攻さん…任務だぞと」レノがそう言って入り口の壁にもたれかかる「事件か?」ザックスが身を乗り出してレノに聞くとレノは首を横に振ったクラウドとザックスは眉間にシワを寄せて顔を見合す「社長から呼び出しだぞと…」レノはそう言うと2人に顎で『行くぞ』と促すと部屋を出て行ったクラウドとザックスはレノの後を追った今日のレノは口数が妙に少なかったその事も2人には緊張する要因となる過去においても時々出動や任務があったが今日の様な雰囲気ではなかったしとうぜん社長から呼び出される事なんか1度も無かった3人の乗ったエレベーターは最上階の社長室へと着いたレノは先に降りるとエレベーターの扉を抑えるエレベーターは社長室に直通となっており…外はもう社長してである見ると窓際に薄いグレーのスーツを着た神羅カンパニー社長…ルーファスが立っていたクラウドとザックスは顔を見合わせてうなずき合うと「特務強行課…クラウド」「特務強行課…ザックス」「「入ります」」2人はそう言って社長室へと入った「すまないな…急な呼び出しをして…まぁ、そこに座ってくれ」ルーファスはそう言って2人をソファーに座らせると…そのまま向かいに座った「実はうちに緊急の依頼が入ってね…2人にはそこに行ってもらう事になる」「事件…ですか?」クラウドがそう聞き返すとルーファスは首を横に振った「君達は…ガーデンという組織を知っているか?」「ああ…軍人とかSPとか…そう言った職に就く事を教えるっていう…アレですか?」ザックスがルーファスに聞き返すとルーファスはうなずいて返事をした「ガーデンの生徒は優秀でね…大半はガーデン所属の『シード』というフリーの傭兵になるようだが…うちにも毎年何名か入ってくる…まぁ、軍人になる奴もいるし…果ては革命家になる者もいるが…まぁその話はいいだろう」「で…そのガーデンがどうしたんですか?」「うむ…今年は大規模な演習があるらしく…その要請がうちに来た…まぁ、うちとしては毎年卒業生を貰ってる建前もあるんでね…手伝う事にしたわけだよ」「なるほど…で、その演習ってのは?」「拠点を占拠されたと仮定して…その拠点を奪還してそこの通信施設を復旧させる…といった内容らしい」ルーファスはそう説明するとクラウドたちの前に演習地の地図を置いた「つまり…君達にはその拠点を占拠した犯人になってもらいたい」クラウドとザックスは顔を見合わせる「1つ…いいですか?」「なんだねクラウド…」「それは…阻止してしまってもよいのですか?それとも…」クラウドがそう質問するとルーファスは口元を抑えて笑う「無論!阻止する事を任務とする…そうでなければ演習にならんだろうしね…それにひよっこ共に上には上が居るという事を見せつけてやらねばな…それも教育だw」ルーファスは笑いながらそう答えた「しかし…これは楽勝じゃないのか?…拠点に上る道は1本…途中二股に分かれてはいるがいずれ1つになる…そして幅は狭い…なん部隊居るかは知らないが…防衛有利だろ」ザックスが地図を指さしてそう言った「まぁ…確かにそう言える…が、奴らの中にはガンブレード使いもいるって話だ」ルーファスはそう言うと地図の横に2枚の写真付きの紙を置いた「ガンブレード…斬った瞬間にトリガーを引けば瞬間的にダメージを増やすってアレか?」「そうだ…そのアレだ」「で…この2人がそのガンブレード使い…って事ですか…」「そうだ…スコール・レオンハートにサイファー・アルマシーだ…他にも数名有力な生徒もいるようだが、この2人が特に重要な要になるだろうな…」ルーファスの言葉を聞いてクラウドは考え込んだそしてしばらくの後…「こっちは何名で臨むのですか?」クラウドはそう質問した「必用であれば何名でも良いのだが…何人必要なんだ?」ルーファスはクラウドに聞き返した「1人…あと1人どうしても必要な奴がいます…目が良く、そして常に全体を冷静に判断できて…そしてバックアップのできる男が…」クラウドの言葉を聞いてルーファスは無言のままクラウドをジッと見つめた「その口ぶりだと特定の誰かを指しているようだが…」「はい…ぜひこの期にヴィンセントを…彼の目と腕はいずれ神羅にも必要となります」「ち、ちょっと待てよクラウド!…確かに居て欲しいが…ヴィンセントはさすがに無茶だろう…」「ヴィンセント…………あぁ…テロリストが立て籠もった事件で人質を撃ち殺してしまった罪で投獄されたという…彼か…」ルーファスはそう言うとソファーから立ち上がり窓の方に歩き出した「濡れ衣です…ヴィンセントの腕で誤射などありえません…それに当時もそれが証明されてます」「知ってる…当時、その場に配備されていたお偉いさんのバカ息子の誤射の罪を着せられたのだろう?」「そうです!」「しかしな…クラウド…当時のお偉いさんたちは今やこの組織の重要な出資者だ…そしてそのバカ息子もその1人…」「そうですか…それならば…私はこの任務を辞退します」「ち、ちょ!クラウド!」「ザックス…スマン…この任務にヴィンセントが必要で…それ以外の誰であってもその代りは務まらない…そしてさっきも言ったが今後必ずヴィンセントの力が必要になる…」「クラウド…組織の人間が上からの任を蹴る事などできない事くらいは解って言っているのか?」「はい…とうぜん解っています…だからその際はこのバッジをお返しします」クラウドはルーファスにそう言いきったルーファスはしばらく窓の外の景色を見つめていたそして急に笑い出す「フッ…フフフフフフフフ…やはり私の人選は間違っていなかったようだな…いいだろう…その条件をのもう」「社長!」ルーファスの言葉を聞いた黒髪で長髪の男ツォンが叫んだ「ツォン………いいんだ…」ルーファスがそう言うとツォンは舌唇を噛みながらクラウドを睨む「クラウド…お前の条件であるヴィンセントは一時的に投獄を解除しよう…で、ここからは私からの条件だ…今回の任務…完全勝利する事…これが出来たあかつきにはヴィンセントの罪を取り消しとする…どうだ?」「ありがとうございます…」クラウドはソファーから立ち上がりルーファスに深々と頭を下げた「では…任務の成功を期待する…決行は明後日…それと本日午後ヴィンセントの解放に向かうので同行する事…以上だ…部署に戻れ!」クラウドとザックスはもう1度ルーファスに頭を下げるとエレベーターに乗ったそして特務強行課に戻るなり「クラウド!…お前…生きた心地がしなかったてぇの!」「俺もヒヤヒヤしたぞと…」「スマン…だがチャンスがあったらこれはやるつもりだったんだ…ヴィンセントが投獄されたあの日からずっと」「そりゃあ…俺だってずっと気になってたけどよ…何もあの場でしかも社長に直談判はないだろ!寿命が縮むっての!」「お詫びに昼飯おごるよw」クラウドはザックスにそう言って笑った「そういう事じゃ………3日!…いや1週間だぞ!」「セコイぞと…」「うっせぇ!」レノの言葉にザックスが喰ってかかる…その時「完全勝利…か…」クラウドがそうつぶやくように言った「出来るだろ…俺たちなら…ヴィンセントも加わるわけだし…ガンブレード使いが2匹、それ以外に優秀なのが居たとしたっておつりが出るくらいだろ…」「だからさ…だから気になるんだルーファスの条件がね…」「なるほど…」クラウドはヴィンセントの解放を約束付たもののどこか釈然としない気持ちがあったそして午後になりクラウドはヴィンセントの一時釈放に同行した「ヴィンセント…久しぶりだな…」クラウドはそう言ってビンセントに向かって拳を突き出す「5年ぶりだな…クラウド」ヴィンセントはそう言うとトレードマークの赤いマントを翻してクラウドの拳に自分の拳を当てたそしてヴィンセントは看守から愛用の銃を受け取ると「で…次の敵は?」クラウドにそう聞いた「ガーデンと戦う…そして完全勝利…」クラウドがヴィンセントにそう答えると「そいつは面白い…」ヴィンセントはそうつぶやくように言ってフッと笑った…『To Be Continued♪』
2011/12/05
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~第4話「アバランチ」~ティファとエアリスはレノがパーキングメーターの横に車を止めたとたんにアバランチへと向かったクラウドはパーキングメーターからチケットを抜き取ってレノに渡す「いつも思うけど…ここは胸が痛む…」レノはそう言いながらクラウドから受け取ったチケットを胸ポケットにしまった「そうだな…表通りはかなり復興したがこっちは未だあの時の爪跡が残ってる」クラウドもそう言いながら辺りを見回した「社長がな…ここは最後までこのままにしておく…そう言ってた」レノは自分の車にうつかり煙草を咥えて火を付けながらそう言った「え?」クラウドはその言葉を聞いて眉間にシワを寄せる「だろ?俺もそう思ったさ…社長の言葉を聞いた時はな…だけど社長はそのあとこう言った…ここは自分たちがやった過ちを忘れないためにこのままにしておく…そしてここが復興した時…全てが終わる…そんな気がするとね」レノはそう言ってフッと笑った確かに言われてみると神羅はこの街への援助を惜しみなくしているにもかかわらず復興は進んでいないクラウドは少しだけ神羅の社長…ルーファスの思いが解った気がした「さて行くぞと…余り遅れるとフグが2匹に増えるw」レノは笑いながらそう言うとクラウドの肩を叩いた薄暗い路地を2回ほど曲がった奥にアバランチの看板だけが光っていた「こんなところで商売になるのか?」「俺も表通りの方がいいんじゃないかと言ってはみたがな…聞く耳もたないんだ」クラウドは苦笑いを浮かべるそして2人は店内へと入った「らっしゃい!」そんな野太い声が店内で響く「おっそーーーい!」続けざまにカウンターに陣取っているエアリスがそう言って頬を膨らめる「フグはまだ1匹みたいだなw」クラウドはそんなエアリスを見てそう言った「良かったぞとw」レノもそう言って笑うそして2人はエアリスの隣に並ぶように座った「ほぉ…見ない顔だな…」バレットはそう言いながらクラウドとレノの前に水を置いた「えっと…レノさん…クラウドの同僚さんなの」すかさずエアリスがそう紹介したするとバレットのこめかみがピクッと動く「ハッ!…同僚って事は神羅か…まぁ今日はクラウドの連れって事で食わしてやるが次はねぇぞ…」バレットはそう言うと顎で入口の方を示すレノがそれを見て入り口の壁を見るとそこには『暴力団関係者ならびに神羅関係者の入店をお断りします』という貼り紙が貼られていた「バレット!もう…お客さんだよ!そんな事だからお客少ないんでしょ!」ティファがカウンターを叩いてそう怒鳴ると「ケッ!…神羅の奴らに食わしてもらうくらいなら飢え死にを選ぶぜ」バレットはふんぞり返ってそう言い放った「レノ…ゴメンね…」ティファはそう言ってレノに手を合わせた「気にする事はないぞっと…そんだけでかい口を叩くって事は相当うまいもんを食わせてくれるんだろうからな」レノはティファではなくバレットを見てそう言うとニヤッと笑った「ほぉ…いい根性してんな…」バレットはこめかみをヒクつかせながらレノを睨み返してそう言ったまさに一触即発状態…なんとも言えない空気が店内を漂う「お前…何が人に合わせるのがうまいだよ!…煽ってどうする!」クラウドは小声でレノにそう言うと「合わせてるぞと…ピッタリとなw」レノはそう言って笑うが…視線がバレットから離れていなかったクラウドは顔に手を当ててうなだれた「で…決まったのか?何でも作ってやるぜ…今日はな!」バレットはレノにそう言うが…『今日は』をやけに強調させた「おーそれじゃ…この刑事魂ラーメンってのにするぞと」レノはそう言って眺めていたメニューをメニュー立てに戻した「ほう…ますますいい根性だ…神羅じゃなかったら気にいってるぜw」「そりゃどうも…」もはやラーメン屋さんで楽しく食事…そんな雰囲気ではなかったそして…しばらくの後レノの前に特大のすり鉢のようなどんぶりのラーメンが置かれる「刑事魂だ…食えるもんなら食ってみな!」バレットは腕組みをしてレノを見つめる「じゃあ頂くぞと」レノは律儀に手を合わせてお辞儀をすると割り箸を口で割ってどんぶりに突き刺すクラウドたちは自分たちの頼んだ物にも手を付けずただその状況を見守ったレノは乗せられた具材を箸でよけると特大のどんぶりを持ち上げてスープをすする「ほぉ…」スープを飲んでからそんな声をもらすと今度は麺を啜る…そして数回うなずいて今度は本格的に食べ始めるその勢いは華奢な体型のレノからは想像できないような勢いだったしばらくしてレノが突然食べるのをやめ「クラウド…のびるぞと…」それだけ言うとまた一心不乱に食べはじめたクラウドたちはそう言われて慌てて食べ始める…が、やはり気になってしょうがないそして程なくしてレノがどんぶりを手に持ちスープを飲み干すと空になったどんぶりをカウンターに置いた「やるじゃねぇか…」バレットはそう言ってレノを睨んだ「それはこっちのセリフだぞと…正直『でかい』と『刑事』をかけただけの特盛ラーメンだと思たが…頼んだやつが最後まで食べれる様にとサッパリしたガラベースのスープにしてる辺りが憎いな…加えて飽きないように豚骨牛骨で芯ががっしりしてる…それでいて臭みや癖が全くないこんなにパンチが効いてるのにな…最初はわからなかったが…節か?うまく中和してる…これには驚かされた。それに麺だってスープが絡むようにクラウドの奴よりもちぢれがきつい物を使ってる…茹で方だって長期戦になる事を考えて固ゆで…具材だってちゃんと調理をしてるが…油の量や質には気を使ってるはずだ…でなきゃ俺が全部食えるわけがない…で、チャーシューもワザと塩で漬け込んでるのか?味が深いのに重たくない…俺はここまで客の事を考えて作られたラーメンを食った事がないぞと」レノのそんなトークにクラウドたちはただただ呆然とする「フハハハハハハ!…お前すごいな…今までこいつを食いきった奴は何人かいたが…そこまで言った奴はお前が初めてだ…こいつは脱帽したぜ全部お前が言った通りだ…お前…レノって言ったな…最初の非礼は詫びさせてもらう」バレットはそう言うとレノに向かって深々と頭を下げた「お、おいおいやめてくれよと…俺はただあまりに美味かったから分析しちまっただけだぞと…職業柄ねw」レノはそう言ってニヤッと笑ったクラウドたちはそのやり取りを見て安堵したおそらく…逆に味わってる余裕がなかったと思われる「あの貼り紙は剥がさない…だが、レノ…お前はよかったらまた寄ってくれ」バレットはそう言うと前掛けで手を拭いてレノに向けて突き出した「その前に…頼みがあるぞと…」レノは水を啜りながらバレットにそう言った「なんだ?」バレットはレノに聞き返す「俺の相棒でな…ルードって奴が居るんだ…やたらでかい指名手配の凶悪犯みたいなやつだ…スゲーいい奴なんでできれば連れてきたい…ダメかな?」レノはバレットにそう聞いた「チッ…お前の頼みじゃ断れないな…いいぜ!連れてきな…」バレットはそう言ってニヤッと笑うレノはそれを聞くと慌てておしぼりで手を拭いてバレットの手を握った「えっと…そのぉ…なんだ…」レノが何かを言おうとして口籠るレノが何を言いたいのか解らず全員が首をかしげる「クラウド!…お前がオッサンって言ったからよ…全然違うだろ!なんて呼べばいいんだよと…」「ははははは…バレットでいい!」「そか…うんじゃぁ…バレット…ホントに美味かった!また来るぞとw」レノはそう言ってバレットに頭を下げた「ああ!次はそのルードってのも連れてこいよ!待ってるぜw」バレットはそう言って笑った「へぇ…明日は雪だね…バレットが初対面の相手に名前で呼ぶのを許すなんて」ティファがカウンターに頬杖をついて感心したように笑う「そうか?そんな事ないだろ…」バレットはティファにそう返す「いや…俺も付き合いは長いが…初めてだと思う」クラウドはそう言ってエアリスとティファの方を向く2人はコクコクと何度もうなずいた「それより…クラウド…お前は俺の事を他人にオッサン…って紹介してるのか?」バレットは腕組みをしてクラウドを睨む「いや…たまたま…たまたまだよ…なぁティファ…」クラウドは少し慌ててティファに同意を求めた「うーん…そう言えば…いつもオッサンって言ってた気がするけど…w」ティファはニヤニヤと笑いながらそう言いかえした「て、ティファ!」クラウドがそう叫んで立ち上がるとティファは『べー』っと舌を出した「クラウド…お前にはまだまだ教えなきゃいけない事があるようだな…ちょっとツラかせ」バレットはそう言うと顎で裏口の方を示す「ああああ!もうこんな時間!エアリス…明日早いんだろ?」クラウドはエアリスに救いの手を向ける「うーん…普通かなぁ…」エアリスはおそらく素で答えてるのだろう…クラウドが期待する返事は帰ってこなかったクラウドはがっくりとうなだれた「いいから来い!」バレットはそう言って裏口から外に出て行ったクラウドはしかたなく裏口へと向かうそれをニコニコしながらティファが手をって送ったクラウドは深呼吸をして裏口から出るバレットはゴミ箱に座ってタバコをふかしていた「バレット…ゴメン」クラウドがそう頭を下げると「バカ…俺がそんな事で怒るかよw…ザックス…なんかあったのか?」唐突なバレットの質問にクラウドは首をかしげた「いや…お前たちが来る前にフラッと来たんだがな…水だけ飲んで帰りやがってよ…なんかやらかしたのか?」バレットは心配そうな顔でそう聞いてきたクラウドは少し考えたのち…今日の出来事を話す「そういう事か…俺はてっきりとんでもない事をやらかしたと思って肝を舐めたぜ…それならほっときゃいいなw」バレットはそう言って笑うと店に戻って行ったクラウドはため息をついたのち空を見上げる星が見えない曇り空が余計に切なさを煽った…『To Be Continued♪』
2011/12/05
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<<新世紀 エヴァンゲリオン>> ~ アナザー ストーリー ~ 『 とまどいのなかで… 』第4話「とまどいの放課後」(後編)「シンジ…私…シンジに話さなきゃいけない事があるの…」シンジに後ろから抱きしめられた状態で私はそう言ったするとシンジは私の身体から手を離し正面に回ってくるとさっきのように片膝をつき私の右手を両手で握った「あのね…実は私…こっちの世界…」私がそこまで言いかけた時シンジは握っていた私の右手を自分の顔の方へ引き寄せると手の甲にそっとキスをした「ば、バカ!…な、何よ急に…」手の甲にキスされただけで頭の中が真っ白になりせっかく話そうとしたタイミングをはぐらかされてしまった「アスカ…会いたかった…」シンジは突然そんな事を口にした「え?…な、なにそれ…どういう事」私はシンジの言った事が理解できずそう聞き返す「僕はね…1ヶ月前にこっちの世界に来たんだ…」「じ、じゃあ…あんたは私の知ってるシンジなの?」「おそらくね…」「この世界は何なの?」「僕にもよくわからない…ただ、なんとなく僕の理想を具現化したような世界なんだと思う…根本的に僕に都合のいいようにできてるからねw」「そうなの?」「うん…季節があって、使徒が居なくて、エヴァがなくて、戦わなくていい平和な世界…父さんと母さんが居て…みんなが居る」「この世界があんたの理想…なんだ」私はなんとなく…寂しくなったなんでだろ…なんで寂しいって思ったんだろ…シンジの理想の世界で私の居場所がないから?それじゃ…まるで私がシンジの事を…それはない!絶対にない!絶対に…無い…って言えるのかな…その時…シンジは近くにあった椅子を持ってきてそこに座ると私の腰に手を回し膝の上に向かい合わせで座らせた「ち、ちょっと!…何して!…調子にのらないでよ!」「少しだけ」シンジはそう言って微笑んだ(「な、なんなのよ…この自信たっぷりなシンジは…ホントに私の知ってるシンジなの?」)私はプイッと顔をそむける「ここに来て最初のうちはすごく戸惑った…何もかも違うしね…でも1日、1日と過ぎていく内になじんできてね…」「じゃあ…あんたはここで幸せなんだ…」「でもね…事実は変えられない…僕が居たあの世界いも僕にとっては現実…絶対に忘れる事は出来ない…」「え?」「そう…こっちの世界にいくら慣れても…どんなに平和で幸せの毎日を送っても…僕は僕…何も変わっちゃいない…それを解ってくれる人が居ないこの世界は僕にとっていつまでも夢の世界なんだ…だから今日こうしてアスカに会えて実はすごく嬉しいんだ」「なにサラッと恥ずかしいこと言ってんのよ!」「アスカは今日1日…こっちにいて居心地悪かった?」「そ、そりゃ…急にこんなところに来たら居心地いいわけないでしょ…なにがなんだかわからないし…みんないるけど違う人だし…」私が口をとがらせてそう言うと「そうだよね…僕も最初はびっくりしたよ…何もかもが違ってね…だって僕なんてバスケットやってるんだよ?」「えええ?あんたがバスケット?ウソでしょ?」「ホントらしい…ルールだってろくに知らなかったはずなのに体が動くんだよ…不思議だよね」「それで大丈夫なわけ?」「まぁ…何とかなってるから大丈夫なんじゃない?…それと引き換えに毎日のようにやってた家事全般をやろうとしても何も思い出せなかったりね…」「それで今日のお弁当あんなんだったんだ…」「ホントごめん…」「いいよ…別にそんなの…あ!ちょっと待って…」私は腰に回されていたシンジの手を外すと立ち上がりメイド服のスカートを直してからまたシンジの膝の上に座ったするとシンジはクスクスと笑う「な、なによ…」「いや…てっきりこの態勢が嫌で立ったのかと思ったからさ」「嫌よ!嫌に決まってるでしょ!…ただ…あんたがあまりにも嬉しそうにしてるから…あと少しだけなら…サービスしてあげてもいいかなって…勘違いしないでよ!」「わかった…ありがとう」シンジはそう言ってまた私の腰に手を回す「ね、ねぇ…この世界があんたの理想なんでしょ?」「たぶんね…」「わ、私は…この世界では…どんな子なの?」「気になる?」「気になるわよ…そりゃぁ…」「この世界のアスカはね…静かで奥ゆかしくて…料理が得意で勉強は学年トップ…で高飛び込みの選手してて…この前はインターハイで全国2位だったんだ…」「なんかムカつくな…その設定…」「そう?」シンジは不思議そうな顔をする…「だってそうでしょ…学力が優秀で運動が出来るっていうのは当然としても…あとは真逆じゃない…」私は眉間にシワを寄せてそう言ってプイッと横を向く「確かにそうだね…」「それが理想だって言われたら…腹立つでしょ…」「でもね…今日アスカに会って確信した…」「な、なにを?…」「確かに僕はこの世界でこの世界のアスカと出会って…おしとやかなアスカもいいなぁ…そう思った…でも…」「でも?」「今日アスカに会って…やっぱり僕は僕が知ってるアスカが好きなんだって良くわかった」シンジはそう言ってニコリと微笑む「ち、ちょ…ば、バッカじゃないの!…何言ってるのよ…そんな…このタイミングでそういうのってナシでしょ…」私はシンジの言葉を聞いて顔から火が出るほど恥ずかしくなる…そして鼓動がものすごく早くなる「じゃあ…改めて…アスカ…愛してる…僕とずっとこの世界にいて欲しい」シンジは真顔でそう言うと私の腰を引き寄せてそのまま胸に顔を埋めてきた「ち、ちょ!ば、バカ!調子に乗るなって言ったでしょ!何してんの!」私は必至でシンジの頭を叩いて抵抗を試みるが全然力が入らない…「アスカ…ドキドキしてる?…心臓の音がすごく早い…」シンジは私の胸に顔をうずめたままそう言った「ば、バカ!なに人の心臓の音…勝手に聞いてるの…そんな事…言うな…あ、あたりまえじゃない…ドキドキ…しちゃうってば…バカ…」私はそう言って胸に顔をうずめてるシンジの頭を抱きしめるどのくらいそうしていただろうか…気が付くと教室が夕日で染まっていた「ね、ねぇ…シンジ…」「なに?アスカ…」「ホントに…いいの?私で…」「うん」「おしとやかじゃないし…奥ゆかしくもないよ…」「いいよ…」「口も悪いし…バカシンジって言うよ…」「いいよ…僕は今のアスカが好きだから…」「私…ここに居ていいの?」「うん…居て欲しい…」シンジは私の胸から顔を離すとまっすぐと私を見つめてくる「本気にするよ…その言葉…」「いいよ…」シンジの言葉を聞いて私は目を閉じてシンジの首の後ろに手を回すそして私とシンジは唇を重ねた…私は不意に唇を離し「せ、責任…とってよ…」シンジにそう言う「わかった…」シンジは微笑みながらそう答えてくれたそして私たちはまた唇を重ねる…もう離れないと誓いながら…<<新世紀 エヴァンゲリオン>>~ アナザー ストーリー ~『 とまどいのなかで… 』-完-
2011/12/04
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<<新世紀 エヴァンゲリオン>> ~ アナザー ストーリー ~ 『 とまどいのなかで… 』第4話「とまどいの放課後」(前編)私が教室に戻るとほとんどの生徒は帰っていてシンジとレイとヒカリ…そしてケンスケとトウジだけが居た「お?帰ってきたみたいやな…ほなワイは部活に行くわ」「僕も録画しておいたえヴぁを観直そうっと」「お前はまだあんな番組観とるんかいw」「バカにするなら一度観てからにしてほしいなぁ」2人はそんな会話をしながら教室を出て行った「アスカ大丈夫?」心配そうな顔でヒカリが聞いてくるので私は笑顔で返事をした「じゃあ…さっき碇君には説明しておいたけど…いくつかあるサンプルの衣装からよさそうなのを選んでおいて…私は綾波さんと食器類を貸してくれるっていう喫茶店に挨拶してくるので」ヒカリが私にそう説明すると「そそ…邪魔者は退散って事でwごゆっくり~♪」レイはそう言って意味深な笑みを浮かべるそしてそっと私に近づくと耳元で「アスカ…しっかりね♪」と囁いた…何をしっかりやれというんだか…でも…さっき赤木先生に言われてはっきりわかったのはこの世界でのファースト…綾波レイという存在は私と仲がよくこういうバランスで保たれている者同士…そういう事なのだと思うと腹も立たなくなったそしてヒカリとレイも教室を立ち去りついにシンジと私だけになってしまった「み、みんな…行っちゃったね…」「うん…」シンジのばつの悪そうなそんな一言に私は返事だけするある意味いいタイミングで聞きたい事がある…でもそれが口からは出てこなかった微妙な空気が漂い私たちはうつむいたまま何も話す事が出来なかったどのくらいこの無言の時間が続いただろうか「じ、じゃあ…下校時間もあるからささっと選んじゃおうか…」シンジがそうい言って沈黙を破りダンボールから衣装を出し始めた私は我に返りもう1つの段ボールから衣装を取り出し並べる男子用の執事風の衣裳が3着…メイド服が5着並べられた「僕にはわからないなぁ…アスカはどれがいいと思う?」シンジはそう聞いてきた私はずっと頭の中で回ってる思考を切り替え男子用の服を見比べる「これはちょっと執事というには派手かな…よくわからないけど…」私は右端の服を手に取ってそう言った「こっちはちょっと地味?」シンジは真中の服を指さして言う「かなぁ…」正直、私にこういった趣味がないのでわかるわけもない「着てみた方がいいのかな?」「た、たぶん…」それを聞いたシンジは上着を脱ぎシャツのボタンを外し始めたそしてシャツを脱ぎかけた所で動きを止めて振り返る私は振り返ったシンジの顔を見返して首をかしげた「ぬ、脱ぐけど…いい?」シンジは苦笑いを浮かべてそう聞いてきた「あ!…ゴメン」私は慌てて後ろを向いた静まり返った教室に布がこすれ合う音だけが響く「こ、これでいいのかな?」シンジのそんな言葉に私は振り返るそして執事の服を着たシンジを見て私は動きが止まるそこには私が想像もしなかったシンジが立っていたからだ服ひとつでこうも雰囲気が変わるとは思ってもみなかった私の知ってるいつものシンジならばきっと笑えたことだろうしかし今私の目の前に立っているシンジにはとてもよく似合っている「だ、ダメ?…だよね…あはは」シンジはそう言って恥かしそうに頬を指で掻いた「う、ううん…すごく似合ってる…ビックリしただけ…」「そ、そう?」「うん…」私は微笑んでそう返事をした「じ、じゃあ…ちょっと上衣だけ変えてみるね」シンジは恥かしいのかそそくさともう1着のに着替えた「あ…やっぱりこっちは地味だね…」私はそう言った確かにシンプルでこれはこれでカッコいいのだが飾りっ気がなく先ほどの物よりも見劣りしてしまう「そっか…じゃあこっちは?」シンジはもう1つの方に着替えてみる「うーん…こっちはやっぱりいかにも色物って気がするかなぁ…」「なるほどね…」「最初のをもう一度着てみて…」シンジはうなずいて最初に着たものに着替えた「うん…やっぱりこれがいいかな…すごく似合ってる」私のそんな言葉を聞いたシンジはとつぜん私の前に片膝をつくと「お褒め頂き…誠にありがとうございます…」そう言って頭を下げた「ち、ちょっと…やだ…やめてよ…」私はシンジのとった仕草に思わずドキッとしてしまうシンジも照れながら笑う「さて…次は女の子の服か…」「う、うん…」「5つもあると…全部着てみる?」「き、着ないわよ!…ば、バッカじゃないの!」私はシンジから視線をそらしたとりあえず色物っぽいようなデザインの物を除外し似た感じの物は見栄えのいい方を残すいちおう男子の着る服装と合わせる感じで丈の短い物も外すそして1着だけ残った「こっち?」そう聞いてきたシンジに私はうなずいて答える「こっちも捨てがたいんだけど…ちょっとシンプルすぎるかな…と」「なるほどね…確かに可愛いね…あとは…」シンジがそう言いかけて言葉を止めた私がふとシンジの方を見るとシンジはジーっと私の方を見つめていた「な、何期待してるのよ!」「いや…でもやっぱり着てみた方がいいかな…って思うんだけど…」「もう………ば、バカ…一瞬だからね…一瞬!」私はそうつぶやくように言いシンジに向こうを向いてるようにと促すそして選んだメイド服に着替える(「なに…ドキドキしてるの…私…」)「着替え…終ったけど…」私がそう言うとシンジがパッと振り向くそして目を見日開いて動きを止めた「な、なんか言ってよ…恥ずかしいんだから」別に裸になってるわけでもないのに妙に恥ずかしいそしてシンジに聞こえてしまうんじゃないかと思うくらい私の鼓動が大きくそして早く鳴る「か、可愛い…想像した通り…ううんそれ以上だよ」「じ、じゃあ…もう脱ぐからね…」「待ってよ…後ろは?」「え?…もう…」私はシンジに言われて背を向けた…その時、いきなりシンジが抱きついてくる「ち、ちょっと!バカ!何するの!」私はそう言ってシンジの腕を振りほどこうともがく「ゴメン…あまりにも可愛いから…」「ち、調子にのらないでよ!バカシンジ!」「ゴメン…でももう少しだけ…」シンジはそんな事を言って離れようとしないそれどころかさっきよりも力強く抱きしめてきた私はこの状況から逃れようとひたすらもがき続ける「あったかい…わかるかな…僕、今すごくドキドキしてる」シンジのそんな言葉を聞いて私はもがくのをやめた私の背中からシンジの鼓動が伝わってくるそして私の鼓動と絡み合う「ひ、卑怯だよ…こんなの…」私はそうつぶやくように言った「ゴメン…でも…今は離れたくないんだ…お願い…もう少しだけ」シンジは私の耳元でそう囁いた…「そういうの…ズルいよ…」私はそうつぶやいてシンジに体を預けたシンジの鼓動…ぬくもりが心地よいしばらくの間私たちはお互いの鼓動音とぬくもりを黙って分かち合ったそして私はゆっくりとそして大きく深呼吸をする今なら全て言える気がする…そう思った…『To Be Continued♪』
2011/12/04
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<<新世紀 エヴァンゲリオン>> ~ アナザー ストーリー ~ 『 とまどいのなかで… 』第3話「とまどいの午後」午前中の授業が終わり…昼休みとなるさすがに朝から続く理解できない状況に私は心底疲れ果てていた「アスカ…大丈夫?」シンジは相変わらずの心配そうな表情でそう声をかけながらお弁当を私に差し出した私はうなずいてそれに答える…が、すでに愛想笑いすら作る気力がないそんな状況でもお腹だけはすく…ヒトという生き物は本当に困ったものである私はシンジから受け取ったお弁当の包みをといてふたを開けるいつものシンジの作とは思えない焦げた卵焼きお世辞にも可愛いとは言えない不格好なタコのウィンナー何かをデザインしたかったのだろうが残念ながら理解のできないデザインに飾られたごはんすると…それを覗き込んだトウジが「なんやそれ!エイリアンがおるやんw」そんな事を言って大笑いした「確かにこれは凄いな…いつものラブラブオーラに満ちた弁当とは大違いだ」ケンスケは笑う事なく眼鏡を指で押し上げながら弁当を凝視するたしかにこれは酷過ぎるある意味…嫌がらせと言っても言い過ぎではないだろう「き、今日は僕が作ったんだけど…料理はやっぱり難しいね…」シンジは頬を指で掻きながら苦笑いを浮かべてそう言った(「あれ?シンジの指…絆創膏がいっぱい…」)私は今日…何度もシンジを見てたはずなのに今まで気が付いてなかった「センセが作ったんかいなw…いやぁ笑ってスマンかった…だが、これを笑うなって言われたらそれはそれで」トウジはそう言って笑いながら椅子から崩れ落ちる「ね、ねぇ…シンジ…その指…」私は思わずシンジの手を取ってそう聞いた「あぁ…ちょっと包丁でね…あ!でもたいした事はないよ!もう痛くないし!」シンジは私の手を振り払うと満面の笑みでそう答えた(「なによ…なによ!…バカシンジのくせに…」)「シンジ…アスカのありがたみが身に染みたんじゃないの?」その時…私の背後で聞きなれた声がして振り向いた(「ふ、ファースト…」)声の主はファーストチルドレン綾波レイだったいつも常に無表情でまともな会話すら交わしたことがないいや、会話どころかまともにしゃべってる姿を見た事がなかったそれだけに私は驚いて声すら出す事が出来なかった「確かに…心底自分が不器用だって事を思い知らされたよ」シンジはそう答えてため息をついた「作ってくれる人がいる事に感謝しないとね~」レイはそう言ってさも当たり前のように私の横に椅子を並べて座わり持っていたビニール袋から何種類かの惣菜パンと牛乳を取り出した「あれ?珍しい…綾波が購買のパンとかって」ケンスケがそう言うと「まぁね…シンジの両親とうちの両親が旅行に行っちゃってね…おかげで今日はどっかのバカみたいに購買のパンよ」レイはため息をついてがっくりとうなだれる「何だと碇!…って事は今夜はアスカと2人だけって事か?」ケンスケは鼻息を荒くしてシンジに詰め寄る「ま、まぁ…そうだけど…」「何って事だ…ついに…ついに碇も…大人の階段を…」ケンスケはそう言って眼鏡を押し上げながら目頭を押さえた「あははは…まぁ、それはおいておいて…それでこんなに遅かったんだ…言ってくれればレイの分も…」シンジがそう言いかけると「遠慮しておくわ…誰かのために作ったお弁当のおすそ分けなんてそれこそ切なくなる…それよりもなんなのよあのバーゲンセールのような戦場と化した購買は!パンを買うのに何であんな思いをしなきゃいけないわけ!」私の想像を絶する綾波レイのマシンガントークが火を噴く「ふふふふふふふふ…甘いなお前は!…あの戦場を乗り越えて手にするからこそ価値があるんや!」笑い転げていたトウジがそう言いながら這い上がってくる「たかがパンでしょうに…」レイは「やれやれ」といったジェスチャーでそう返した「ほなその苦労を乗り越えて手にした焼きそばパンを食うてみぃ!…わかるか?その焼きそばはなぁただ挟まってるんとちゃう…生き生きしてるんや!」「は、はぁ…」「麺は柔らか目だが失敗ちゃうで…パンにようなじむようにそうしてんねん!ソースもポイントや!甘目のソースの奥で微かに醸し出すどろソースのパンチの効いた辛さが技もんや!これはなぁ…昨日今日作った奴の作れる代物やない…さらに」「ま、まだあるの?」「ふふふふふ色目合せに乗ってるんとちゃうぞ…その錦糸卵やそんな細く切られても1本1本がワイは卵や!って言うてんねん!そして混ぜ込んである紅生姜と揚げ玉も忘れたらアカン…」「焼きそばパンでこれだけ語れるやつはこいつくらいだろ…」「アホぬかせ!この位語ってもおばちゃんの愛には足らんわ!ええか…焼きそばには欠かせない物がこれにはないんや!よう見てみい!青のりがかかってへんやろ!」「ホントだ…」「確かにかかってないな…」「忘れたんちゃうぞ!年頃のうちらのためにな…わざとかけてへんのや!どやビビったろ!こんだけおばちゃんの愛が詰まった焼きそばパンがたったの100円!泣かせるよなぁ…」「いや…僕はお前に泣けてくるよ」ケンスケはそうつぶやくように言いながらため息をついた「ほんでそのメロンパンや!」綾波レイに詰め寄りながらトウジがまた叫ぶ「もういい!昼休みが終っちゃうってば!」レイはそう言ってトウジを押しのけると焼きそばパンを口にした「え?…なにコレ…すごく美味しい…」「だろ?だろ?これを勝ち取るためにワイは毎日あの戦場で戦うてるんよ…惚れ直したか?」「そこは同意しかねるわね…っていうか惚れ直すも何も一度だって一瞬だってあんたに惚れた事なんてないってば」「なんやとワレ!もういっぺん言ってみろや!」「そういう事はヒカリに言ってやりなさいな」「何でそこで委員長が出てくんねん!」「相変らずだね…お前は」「なんやなんや?ワイだけのけもんで事情通か?」「放っておきましょ…ホントに昼休みが無駄に終わる」こんなありえないようなファーストとトウジ達のやり取りを私は呆然と見ていたそして私は静かに弁当箱のふたを閉めた「アスカ…やっぱりダメだよね…ゴメン」「ううん違うの謝らないでよ…朝からなんか気分がすぐれなくて…ちょっと保健室に行ってくる…あ!お弁当は必ず後で食べるから捨てたら承知しないからね!」私はシンジにそう言って教室を飛び出たどこをどう歩いたのか…気が付くと屋上に来ていたそして金網を握りしめてただそこから見える景色を眺めていた「あら?これは珍しいお客様ね」私が振り向くとそこには白衣に身を包んだ赤木リツコが煙草を咥えて立っていた「赤木…博士…」私がそうつぶやくように言うと「今度は博士か…」リツコはそう言って笑った私が笑われたことに怪訝な顔をすると「実はね…1か月前にここである男の子に『リツコさん』って呼ばれたものだから…ゴメンね悪気はないのよ」リツコはそう言うとアスカの横に来てしゃがむと咥えていたタバコに火をつけた「その表情からすると…朝起きたら自分が今まで居た世界とは全く違う世界に来てしまった…ってところかしら?」リツコはそう言って私を見つめた私は赤木博士の口から出た言葉にただ目を丸くする「図星…か…やれやれ…」「どういう事なの?何か知ってるの?教えてよ…ここがどこで…どうなっちゃってるのか」私は思わず泣き崩れた「とりあえず…保健室に行こうか…ミサトには私から言っておくから…ね」赤木博士は優しい声でそう言うと私の肩を叩いた私は無言でうなずいて保健室へと向かった赤木博士は鼻歌を歌いながらコーヒーを淹れているそしてしばらくしてから私の目の前にコーヒーの入ったカップを置いた「ミサトにだって飲ました事のない上等なコーヒーよ…冷めないうちにどうぞ」私はカップを手に取って口に含むほろ苦いコーヒーの味が口に広がる「実はね…正直説明できるほど詳しくはないのよ…私が知ってるのは、1か月前にこの世界にある男の子が迷い込んできたの…その子の居る世界には『使徒』と呼ばれる存在が居てその子はそれと戦っていた…辛くて辛くてそんな感じだったわね」赤木博士は愛用のマグカップについだコーヒーを飲みながらそう語った「!!!…シンジ!」私は博士の言葉を聞いて咄嗟にそう叫んだ「なるほど…その話でシンジ君の名前が出るって事は…あなたも同じ世界から来たのかしら?…中学生で使徒と戦う組織ネルフの一員であり…エヴァンゲリオンのパイロット…」「そう…それが私が居た世界…で!シンジは?シンジはまだいるの?」「さぁ…あれから彼とは話をしてないから…ただ…」「ただ?」「うん…彼はこの世界を夢のような世界だと言っていた…平和で暖かな世界だと…」「それで?」「だから…私はもし夢だとしても…また見たい…また来たいって思えるようにたくさん楽しい思い出を作りなさいってアドバイスをしたの」「そっか」「あなたはこの世界は嫌い?」「よくわからない…私は私が居た世界ではトップで居たかった…ううんトップでなくちゃいけなかったの…だから誰にも負けまいって…いつもそれしか考えてなかった…だから平和になったらとか平和だったらとか…考えた事もなかったから…」「なるほどね」「違うかも…考えないようにしてたのかも…平和になったらトップで居る必要がなくなる…私の存在意義…私の居場所が…なくなりそうで…」「怖かったのね…それなら安心してもいいんじゃないかな?」「え?」「この世界にもあなたは存在してるしちゃんと居場所もある…そしてあなたはいつも優しさと温かい笑顔に包まれてる…これは嘘じゃないわ…そう羨ましいほどにねw」博士はそう言って笑うと空になった私のカップに新しいコーヒーを注いでくれた「この際…何も考えない方がいいんじゃないかしら?…気がついたら元の世界に戻ってるかもしれないし…もしも戻ってなかったら居ればいいじゃない…ここにw」博士はそう言うと机にもたれかかりながらニコニコと微笑んだそれはなんとも言えない心の安らぐ優しい笑顔だったそれからしばらく私は博士…いやリツコ先生と色々な話をした驚愕な事実も聞かされたが…こっちに来て先生という立場になったものの全く変わっていないミサトには2人で大笑いをした時は瞬く間に過ぎ…全ての授業の終わりを告げるチャイムが鳴り響いた「さぁ行きなさい…そしてあなた自身で確かめなさい…自分がこの世界でもちゃんと存在してるという事を」リツコ先生はそう言って私を後ろから優しく抱きしめてくれた…そして私はリツコ先生に頭を下げて保健室から自分の意思でこの世界の第一歩を踏み出した…『To Be Continued♪』
2011/12/04
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<<新世紀 エヴァンゲリオン>> ~ アナザー ストーリー ~ 『 とまどいのなかで… 』第2話「とまどいの学校」「おはようさーん」私とシンジが並んで席につきしばらくした時にそんな能天気な声が教室に響く声の主はトウジであるトウジは自分の席めがけて鞄を放り投げるなり私たちの席に向かってくるそしてすでにたむろしていたケンスケに飛び掛かる相変らず暑苦しいコンビである「なんやアスカ…どないしたん?朝から不貞寝かいな…」私は机にうつぶせになったままその声を無視する「!!!!…そうかあの日かぁw」そんなデリカシーの欠片もない発言に思わず顔をあげて睨み返した「こ、怖っ…」トウジはそうつぶやくとコソコソとケンスケの背後に隠れるように回り込んだ私はこれ以上関わりあいたくないのでまたうつぶせに寝るなんなのよいったい!何がどうなってるのかさっぱり理解できないってば!私は今朝から次々と襲いかかってくる異常事態について行けずもはや発狂寸前になっていたその時…予鈴が鳴り周囲が慌ただしく授業の体制に動き出す私も体を起こすと机に頬杖をついてそんな風景を呆然と眺めたしばらくして教室の扉が開き「みんなおっはよぉ~♪」そんなすっとぼけた声でスーツ姿のミサトが入ってきた私はそんな信じがたい光景に思わず立ち上がった「???…惣流さん…まだ号令掛かってないけど…」立ち上がった私にミサトがそう言うと教室中に笑い声が響く私は恥ずかしくなってうつむいて席に座ったその後ミサトは当たり前のように出席を取るチラッとシンジを見るがシンジは驚く事もなく平然としている私はそっと自分の太ももをつねる(「!!!!」)これが現実である事を伝える痛みが走る「それでは…ホームルームは以上ですが今日は1時限目もホームルームです♪…で、今日は一週間後の文化祭について話し合うので委員長に協力して時間内に最終調整しちゃいましょう♪…という事でちょっち休憩ね♪」ミサトはそう言うと教室を出て行ったドアが閉まったところで私は思わずため息をついた(「な、なんでミサトが学校の先生なのよ…もう気が狂いそう!」)ふと視線を感じて横を見るとシンジが心配そうな顔で私を見ていたそして私の額に手を当てる温かいぬくもりが伝わってくる…私は思わず目を閉じた(「なんで…心が安らぐの…これじゃまるで私がシンジの事を…バカシンジのくせに!」)「熱はなさそうだね…」シンジはそういうと私に微笑んだ(「ね、熱って!なによその言い方!他に言いようはないわけ!」)私はなんとなくイラッとして視線をそらす「朝からさ…なんか気になっててね…心配だったんだ…すごく」その言葉を聞いて私が振り向くとシンジは恥かしそうに視線をずらし口籠りながらそう言って鼻の頭を掻いた「し、心配してくれてた…の?」(「ち、ちょ!私何聞いてるのよそんな事!ここはサラッと流さないと…また調子に…乗るから…なのに…」)「あ、当たり前だろ…心配するさ…いつもちゃんと見てるんだから…さ…」(「え…この場面でその台詞は…反則…だってば」)私は思わず頬を赤らめてシンジの瞳を見つめてしまった(「今まで気にしてなかった…瞳…キレイ…」)「おいおい…ご両人…ここじゃ教室だぜw」「センセもようやるなぁ…夏も終わってるってのに暑くてかなわんわw」「お、お前ら…いつから!」シンジが慌てて茶化してきたケンスケとトウジに声を荒げる「熱はなさそうだね…辺りからかw」トウジはケンスケの額に手を当ててシンジの真似をした「熱はないけど…私はあなたにお熱なの…好きにして♪」ケンスケはそう言いながらトウジの手を握ると目をつむって唇を突き出す「ち、ちょっと!私…そんな事言ってないでしょ!」「そ、そうだよ!」私とシンジは慌てて2人に言い返した「アスカ…いいのか?」「うん…でも…」「でも?」「でも…優しくしてね…」ケンスケとトウジはなおも演技を続ける私は腹が立つ以前に恥ずかしくて思わず黙り込んでしまったその時…ものすごい殺気に満ちたオーラを感じる「アスカ!」「シンジ!」「あ、アスカ!」ケンスケとトウジが今…まさに抱き合おうとした時「はいはいいい加減にしなさいよ…このおバカさんが!」そう言ってミサトがいちゃつくケンスケとトウジを分厚いファイルでひっぱたいた「痛て!」「痛た!」2人は仁王立ちになってるミサトの気迫に負けてスゴスゴと自分たちの席に退散していった「はーい!おバカ2人のせいで貴重な時間がちょっち短くなったけどホームルームを始めるわよ~♪」ミサトはそう言いながらファイルを叩いて号令をかけた「じゃあ…洞木さん議事進行お願いねぇ~♪」ミサトにそう言われて委員長のヒカリが教卓に出て行った私は…というとなんとなく居心地が悪く肩をすくめてうつむいた視線だけチラッとシンジの方に向けるとシンジも私と同じように肩をすくめてうつむいていたそして思わず視線が合ってしまい私はサッと視線をそらす(「な、何なのよ…なんかいつものような言葉が出ない…」)そう…悪態をついたり目の前でバカを繰り返すあの2人をつるし上げようとしてもまったくその言葉が口から出てこない思いっきりこのなんとも言えない雰囲気にのまれてしまっていた故にだいぶ上の空でホームルームの内容を聞き流していた「……前回ここまで決まりまして…」ヒカリがそこまで話した時…「ちょっと待てぇ!異議アリや!…なんでワイの色っぽいバニー喫茶が却下やねん!」「そんなもの却下に決まってます!」「儲かるって!ワイの提案にのっとったら大行列や!」「儲かる儲からないのはなしじゃありません!…そんな破廉恥な事できませんよ!」「破廉恥ってなんや!バニーは男のロマンや!」「鈴原君いい加減にしてよね!」「じゃあ言わしてもらうが…バニーが破廉恥でメイドや執事だって色物ちゃうんかい!」「違います!」「まぁまぁトウジ…メイドだって捨てたもんじゃないよ」「ケンスケ!お前は自分の希望のメイドが通ったからってなんやその言いぐさ!」こんなどうでもいいやり取りを見るに見かねたミサトが「はいはい!決まった事の意義は認めません!進まないでしょ文化祭は一週間後なんだから…それに届いてるサンプルの衣装なかなかの物よ♪」「ワイの夢が…ワイのバニーちゃんが…あぁぁぁぁ」トウジはその場に力なく崩れ落ちた「では進めますね…以前に皆さんから提出して頂いた所属部等の出展物のスケジュール等を精査してメイド長、執事長を決めたいのですが…候補者はこの4名です他に立候補等あれば…」「うんじゃ俺はご主人様や!」「却下します!」「ええやんか!」「放っておいて…立候補の方挙手を願います」しばらく待ったが立候補者は誰1人出なかった「では…多数決を取りますので良いと思われる人に挙手を願います」ヒカリの議事のもとこうして文化祭の話し合いは進行していたのだが…私はこの喧噪すら左から右に流れていた…そう…まさか私自身が候補者の1人とも知らず「圧倒的やなぁ…」「まぁ…学園最強のカップルだからねぇw」「えっと…とい事で執事長ならびにメイド長が決まったわけですが…お2人ともよろしいですか?」「あははははは…がんばります…」「えっと…惣流さんもよろしいですか?」残念ながらこの時の声すら私には届いていなかった「惣流さん?」「アスカ…アスカ…」シンジに呼ばれて私は我に返る「いいのかって…委員長が…」「え?あぁ…いいんじゃないの?…たぶん…」私は心配そうに私を見ているヒカリに笑顔でそう答えた「よかったぁ…という事で会場設営や食器類の調達…食材の買い出しの話に移りたいと思います」ヒカリは胸をなでおろして議事を次の項目へと移したその時…私は初めて黒板に書かれた私の名前とシンジの名前に気が付く「ね、ねぇ…何の話だったの?」私は小声でシンジに聞いた「え?聞いてなかったの?っていうか…内容を知らずにOKしたの?」シンジは顔をひきつらせてそう聞き返してきた「だって…しょうがないじゃん…聞いてなかったし…なんか断りにくそうだったし…」私は口をとがらせてそう返したするとシンジは私の前に内容を書き取ったノートを差し出した私はため息交じりにノートを眺める(「文化祭ねぇ…平和な事で………メイド・執事喫茶…うわぁベタな企画ねぇ………………!!!!」)私は頬杖をついた状態でシンジの書き写したノートを見るそして次のページに目を移したところで目が点になった「ち、ちょっと!…なによこのメイド長って!」思わずシンジの襟首を掴んでそう言いながら揺さぶる「あ、アスカ…く、苦しいって…だからさっき…い、委員長も確認…してたでしょ…」シンジの言葉を聞いてその事を思い出した私はシンジの襟首から手を放してうなだれる…「でもさ…別にアスカだけがメイドさんするわけじゃないんだし…ただそれを取りまとめる責任者って事で…」シンジのなだめるそんな優しい言葉すら今の私にはただの同情にしか聞こえなかった(「なんで私がメイド服なんか着なきゃいけないのよ!いったいどうなってるの今日は!」)私は唇をかんで心の中でそうつぶやく「あのさ…慰めとかじゃなくて…僕はアスカなら似合うと思う…」「な、何言ってんの…」「僕は見てみたい…アスカのメイド姿…」「シンジ…ば、バカじゃないの…そんなの」私はシンジが真顔でそんな事を言うので思わず赤面して視線を外した「いいわねぇ~…盛り上がってるとこ水差すようで申し訳ないんだけど…集中してもらえるかしらぁ?」そんな声に顔をあげるとそこには眉をヒクヒクさせたミサトがいた「スミマセン…」「ご、ごめんなさい…」私とシンジはそう謝り肩をすくめて小さくなった教室が爆笑に包まれるかくして…私たちのクラスは1週間後の文化祭でメイド・執事喫茶をやる事となり私とシンジはそれぞれメイド長、執事長をする事となってしまった…『To Be Continued♪』
2011/12/03
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<<新世紀 エヴァンゲリオン>> ~ アナザー ストーリー ~ 『 とまどいのなかで… 』第1話「とまどいの朝」ピピピ!…ピピピ!…ピピピ!…枕もとで鳴る目覚ましの音で私は目を覚ました私は布団から手だけ出して眠りを妨げる忌々しい音源を探すピピピ!…ピピピ!…ピピピピピピピピピ!音源はいつまでも起きない私を急かすかのようにけたたましく鳴り始めるピピピピピピピッ!………手探りで何とか音源を探して音を止めた布団から出した腕がやけに肌寒い今までこんな寒さを感じた事があっただろうか私は私の眠りを妨げた憎たらしい音の主ごと腕を布団の中に引き戻す布団の中の温かさが心から心地よく感じる眠気眼を擦りながら憎たらしい音の主を見る5:30!!何の罰?誰の嫌がらせ?誰の陰謀?5;30って…バカシンジじゃあるまいし…私は現在の時刻に気が付いた途端妙に腹が立ち忌々しい目覚まし時計を布団の外に放り出した布団のぬくもりがとても気持ちよく眠気に誘われるそしてまた微睡みの中に堕ちる「アスカ…」(「うん?…」)「アスカ…そろそろ起きないと…」(「うーん…もう…今度は何?」)「遅刻…」(「!!!!」)その言葉を聞いて私は我に返り飛び起きる「がぁ!痛っ!」「痛い…」そして私を起こそうとしていた誰かに思い切り頭をぶつけたぶつけた額を抑えながら目を開けるとそこには同じように額を抑えているシンジが居たシンジは額をさすりながら私の方を見るなり目を見開いて動きを止める私はその表情の意味が解らず視線を自分の身体の方へと移す「!!!!!!」どうやら下着だけで寝ていたらしいその事実に気が付いた私はとりあえず手近にあった枕や何やらをシンジに投げつけて布団を胸元まで引き上げて身体を隠すシンジはというと…手を合わせて「ゴメン!」と無言で謝りながらそそくさと部屋を出て行った私はドアが閉まったのを確認してから大きなため息をつきながら布団から出るそして床に落ちているシンジに投げつけた枕を拾い咄嗟に投げつけたもう1つの何かを手に取る「なにコレ…」それは見覚えのない目が「×」になった亀のぬいぐるみだったそして振り返りふと自分の出たベットを見る淡いピンクの羽毛布団にいかにも女の子の部屋…といった感のある淡いピンクのカーテンが目に入る机の方を見ると本棚の上にいくつかのトロフィーにやはり見覚えのないぬいぐるみ「え?…どこ?ここは…」私は一瞬で目が覚め…同時に言いようのない不安が込み上げてくる思わず数歩後ずさりをした時…足に何かが触れる視線を足元に移すと私が布団から放り出した忌々しい目覚まし時計だった7:50……「!!!!!!」私は目覚まし時計が伝える現時刻を知って壁に掛けられた制服を取り慌てて着替えるゆっくりと髪をセットしてる時間などなく机の上に置かれたブラシでサッと髪を整えていつものようにヘアゴムでまとめるその時に写真立てを倒してしまったが…それを直す余裕はなかったそして部屋を飛び出るするとそこにはシンジが待っていたシンジは無言で私が手に持っていたカバンを取ると代わりにラップに包まったフレンチトーストとおそらく飲み物が入ってると思われるタンブラーを差し出した「あ、ありがとう…」私はフレンチトーストとタンブラーを受け取る「じゃあ…行こう」シンジはそう言ってニコリと微笑むと玄関に向かったその笑顔は私の知っているシンジからとは思えないほどの気持ちが安らぐ温かい笑顔だった(「な、なによ…バカシンジのくせに…ちょっとドキッとしたじゃない…」)私は心の中でそんな事をつぶやきながらシンジの後を追う私が靴を履こうと玄関の縁に立つとシンジは鞄を玄関に置きサッと私の目の前に靴をそろえて置くと私が持ってるフレンチトーストとタンブラーを持ってくれる「あ、ありがと…」確かにシンジはいつも他人の顔色をうかがう気はあったしかし…ここまで気が利いていた事があっただろうか…なんか違和感があり過ぎて気持ちが悪いとは言え…悪い気はしないただ、とにかく何かがいつもと違う…そう思った時…ふと朝の自分の部屋の光景を思い出した「アスカ?」私が靴を履きかけた状態で止まっているのに気が付いたシンジが心配そうな顔で私を覗き込む「な、なんでもない…」いつもなら「何よ!」といった言葉が出るのだが…その場の空気なのか…シンジの表情のせいかそんなセリフが精いっぱいだったその後、靴を履き終えてシンジと共に家を出たしばらく歩いてからシンジが私にフレンチトーストを差し出した私はうなずいて受け取り口に運ぶ「うまくいってなかったらゴメン…思ったより難しくてね」シンジはそう言って頬を指で掻きながら苦笑いを浮かべた正直…もう少し甘みを抑えてくれてた方が…とは思ったがまずくはなかったので私は首を横に振って答える「はい…ミルクティー自信はないけど飲めると思う」そう言ってタンブラーを差し出した私は受け取って口に含む…こっちは逆に甘みが少なかったしかし…フレンチトーストの甘さを考えると調和がとれている私は無意識にシンジに笑顔で返事を返していた(「ついなんとなく笑顔で返したけど…なんでだろ…」)私が受け取ったフレンチトーストを食べ終えたのを見てシンジは残りを差し出してくる私はそれを受け取って口に運ぶなんだろ…妙に私自身も素直な気分になってしまうそういう雰囲気が今日のシンジからは漂っていたそんな事を考えながらシンジの横顔を見ていた時になんか違和感を感じた違和感なら朝から数えきれないほど感じてきたのだがそしてその違和感がなんなのか思い当たりそうになったその時「いやぁ…朝からお2人さんはイヤ~ンな感じだねぇ」そんな声で考えが吹き飛んでしまう思わず私は声の主を睨み返す「うはぁっ!…ご機嫌斜めのようで…クワバラクワバラ~」声の主…ケンスケはそんな事を言いながら駆け寄ってきてシンジに絡みついた「今日は遅いじゃん…どうしたんだ?w」ケンスケはそんな問いかけをしてニタニタと笑う「うん…この時期は朝練とかないからね…ゆっくりできて助かるよ」ケンスケの問いにシンジはさも当たり前といった顔でそんな答えを返す(「朝練…?」)「違うって!相変わらず回転が鈍いなぁ…」ケンスケのため息混じりの言葉にシンジは首をかしげる「まぁ…そんな答えが返ってくるって事はお前らしいし…まだって事か…もったいないな」ケンスケはそんな事を言いながら私とシンジの顔を何度も見比べるなんとなくこいつの言わんとしてる事が解ったので私はプイッと反対を向いたその時…さっき思い出しかけた違和感の答えが脳裏をかすめ私はシンジを見返した…そう…私はシンジを見上げているそれに気が付いた時…私たちは学校に着いた…『To Be Continued♪』
2011/12/03
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<<新世紀 エヴァンゲリオン>>~ アナザー ストーリー ~『 夢か…現実か… 』第4話「いつもと違う夕方…そして…」シンジとアスカは家に帰ってきた声をかけたもののユイからの返事はない居間に入るとテーブルの上ににはメモが置いてあったメモはユイの書いた物で「レイちゃん家のママと…映画を見に行って来ます…夕食はカレーを作ってあるので…アスカちゃんと一緒に食べてください」と書いてあった…なんとも都合のいいというかベタな展開に思わず笑ってしまったその時…アスカが突然抱きついてきた「…シンジ…ゴメンね…」アスカはそう言って涙を流す「ど、どうしたの?…アスカ…」僕は突然の出来事に動揺してしまった「シンジが…シンジが辛いのに気付いてあげられなくて…」アスカはじっと僕を見上げる「アスカ…」アスカの目から涙が落ちる僕はその流れる涙をぬぐうようにアスカの目じりにキスをしたそしてそのまま…アスカの唇にやさしくキスをするしばらくの間…キスが続くふいに唇が離れた後…僕の部屋に行く…「…聞いちゃったの…保健室での話…」アスカはベットに座った僕の横に寄り添うように座りそう言った「…そうなんだ…」僕はどう説明していいのかわからずただそう返事をした「…本当に夢なのかな…これ…」アスカは寂しそうにうつむくとそうつぶやく「わからない…」こんな答えしか言えない自分が嫌になる「離れたくないよ…」アスカは僕を見上げてそうつぶやくその目にはまた涙がたまっていた「僕もだよ…アスカ…」僕はそう言って唇を重ね…そのままベットに倒れこむ自然に舌を絡めあい…この瞬間を繋ぎ止めるようにとキスを続ける唇が離れた後しばらく見つめあい僕はなれない手つきでアスカの制服を脱がすアスカも僕の制服を脱がす裸になって抱き合いながら…もういちどキスをする「もしこれが夢でも…シンジがもう一度…見たいって思うように…」アスカは頬を赤らめて小さな声で囁く「…アスカ…いいの?」僕がそう聞くとアスカは『コクン』とうなずいた僕はまたアスカの唇にキスをして耳の下…首筋…鎖骨…と徐々に移動して胸にキスをする…アスカはピクッと少し仰け反る僕はわからないなりに優しく愛撫を始める僕の手がアスカの下腹部に触れた時にはすでに迎え入れる準備が出来ていた「…本当に…いいの?…」こんな事は聞くものではない…そうわかっていても思わず聞いてしまった「もしも…これが夢だとしても…もう一度帰ってきてね…」アスカが微笑んで答える…「約束する…」僕はそう言ってキスをしながらアスカの中に入っていくアスカの表情が少し…苦痛の表情に変わる…だが、すぐに笑顔になる…目じりに浮かぶ涙を見て僕にもわかった…アスカが自分のために心配かけまいと我慢しているのが…「アスカ…大丈夫?…無理しなくて…」そう言いかけた僕の唇をアスカがキスでふさぐ「シンジは…痛い?」唇を離したアスカが逆に僕に聞いてきた「ゴメン…痛くない…っていうか…すごく温かくて気持ちいい…ホントにゴメン僕ばかり」それを聞いたアスカはニコリと微笑む「よかった…それなら私も平気」そして僕達は完全にひとつになる…僕もアスカがなるべく痛くないようにとゆっくりと動かし始める二人の吐息が絡み合い部屋の中に響く…しばらくして僕はアスカにキスをするアスカも舌を絡ませそれに答えるそして次の瞬間…僕はアスカの中で絶頂に達したまるで余韻を楽しむかのように…二人は抱き合ったままキスをするアスカを抱き起してまた繋がり合う何度も…何度も…この時が終る事がないようにと願いを込めてそして僕はアスカの胸の上で眠りにつく…・・・・・・僕は、朝のまぶしい光の中で目が覚める…隣を見たが…そこにアスカの姿はない…だが僕はハッキリとアスカの温もりを覚えていた「はぁ…やっぱり夢か…」僕は大きくため息をつき…枕もとの目覚し時計を見る…「!!!!」僕は寝過ごしてしまっていた…「急いで弁当を作らなきゃ!…今度こそアスカにぶっ飛ばされる!」僕は慌てて制服に着替え…部屋を飛び出す…そして誰かにぶつかり倒れるシンジはぶつけた頭をさすりながら…起き上がる…同じように頭をさすりながら…ゲンドウが起き上がる…「!!!!……父さん?!…」「…シンジ!…いきなり飛び出してくるな!…まったく…いつまでも寝てるから…起こしに来たのに…アスカちゃんはとっくに起きてるぞ!」僕はゲンドウの言葉に耳も傾けず…キッチンに飛び込む…そこには黄色いひよこの絵のついたエプロンをつけ…フライパンを持ったアスカがいた…「・・・アスカ…」僕がそう言うと…アスカは僕の所に駆け寄って唇を重ねてくるアスカの目から涙がこぼれる一緒にキッチンにいたユイは…反対側を向いて…気付かない振りをしたアスカが唇を離す…そして…アスカは涙をぬぐいながら…僕に言った『・・・シンジ…お帰りなさい・・・』<<新世紀 エヴァンゲリオン>>~ アナザー ストーリー ~『 夢か…現実か… 』- 完 -
2011/12/03
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<<新世紀 エヴァンゲリオン>>~ アナザー ストーリー ~『 夢か…現実か… 』第3話「いつもと違う午後」(後編)教室でバカ騒ぎがおこってる頃…僕は屋上にいた…(使徒のいない街…)(ネルフも、エヴァもない街…)(僕が、夢にまで見た…平和な街…)僕がそんな事を考えながらボーっと景色を眺めていると「あら、シンジ君…こんな所に一人で…どうしたの?」突然そんな声がかかり僕は振り向いた…そこには白衣を着て…タバコを咥えたリツコがいた…「リツコさん!」僕は思わずそう叫んだ「シンジ君…リツコさん!…は無いでしょ…保健の先生もいちおう先生の一人なのよ…」リツコは僕にそう言った「…ゴメンなさい…」「…ま、謝ることでもないし…リツコさんって呼ばれるのも…悪くないかもね…」リツコはそう言って笑った僕は金網に背を向けて座り込むリツコも、同じようにしてシンジの隣に座る「なぁに?…悩み事?」僕を見たリツコがそう声をかけてくる「…悩みって言うか…」僕はそこまで言って言葉が止まる「…吸う?…」そう言って口紅のついたタバコを僕のの口にさし込む僕は一気に恥ずかしくなりうつむいてしまう「シンジ君…カワイイ!…」そう言ってクスクスと笑うと僕の口にさしたタバコを取って自分の口にくわえる…そして、新しいタバコを取り出して僕の口にまたさし込んだ「…吸ってみたら?…内緒にしておくから…」そう言って僕のタバコにライターで火をつける…「!!!…ゲホッ…ゴホッ…ゲホッ…」初めて体に入れるタバコの煙に僕はむせ返るそれを見てリツコはまたクスクスと笑う「私…ココが好きなの…」そう言いながらリツコは自分のタバコに火をつけた「…リツコ…せ、先生…」大人の色気…と言うのか…何とも形容のしがたいその表情に僕は戸惑った「言いずらかったら…リツコさん…でもいいわよ…」リツコはクスッと笑ってそう言った「・・・・」僕はゆっくりと煙を吸い…静かに煙を吐き出す「実は…覚えてないんです…昨日の事…自分の事…いや、この世界の事…」僕は今まで誰にも話す事がなかった思いを口に出した「…?…ふーん…でも私のこと…リツコさん!…って」リツコは少し困惑した表情で聞き返してきた「リツコさんは知ってるんです…と言うか…ミサトさんや加持さん…ケンスケにトウジ…アスカに・・・そして…綾波…」僕はどう説明していいかわからず…とりあえず聞かれた事に答えた「みんな…わかるわけだ…」リツコは僕の表情を見ながらそうつぶやいた「…うん…朝起きたら…隣にアスカがいて…父さんがいて…死んだはずの…母さんがいた…」僕は上手く説明できるかわからないが…とりあえずリツコさんに話し始めたリツコは普通では疑うような僕の口から出る話を黙って聞いた「僕はこの第三新東京市で…中学生…ミサトさんとアスカと三人で暮らしてた」どうなってもいい…僕は僕が知ってる僕の話を語る「僕がいた…第三新東京市は使徒に狙われてて…ネルフって言う組織があって…ミサトさんや加持さんやリツコさんはその組織の人なんだ…ネルフは使徒と戦ってて…その切り札が…エヴァンゲリオン…」「・・・・・」「そして…僕とアスカと綾波は…そのパイロット…」僕がそこまで話した時…昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った「…そっか…シンジ君…」リツコは白衣のポケットから携帯灰皿を出して吸っていたタバコを消すとそう言って立ち上がった「はい?」「鍵…かかってないから…先に保健室に行ってて…私はミサトに午後の授業休む事言ってくるから…」「・・・・」リツコの言葉に僕は呆然とする「シンジ君…返事は?」「…はい…」リツコに言われた僕は返事をした「…じゃあ、先に行っててね…」リツコはニコッと微笑むと僕の口からタバコを抜いて灰皿に片付ける僕はそう言われて保健室に向かったいっぽう教室ではアスカが入り口でシンジの帰りを待っていたそこに授業の道具をもってマヤが歩いてくる「どうしたの?惣流さん授業始まるわよ…」マヤがアスカにそう言うと「先生!…シンジ…碇君がまだこないんです…」目に涙をためてアスカがマヤにそう返した「あぁ…碇君なら体調が悪いからって保健室に行ったわ」「!!!!」アスカはそれを聞いて保健室に向かって走っていく…「あ!…惣流さん!・・・・・まあ、仕方が無いか…」マヤは教室の中に入っていった…・・・そして保健室ではリツコが鼻歌を歌いながら…僕にコーヒーを入れていた…「…今日は特別に…とっておきのやつを入れてあげるね♪…ミサトにだって飲ましたこと無いんだからね~♪」リツコはコーヒーの入ったマグカップを僕の前に置いたそして…自分も猫の絵の書かれたマグカップを持って僕と向かい合わせに座る僕はカップの中のコーヒーを見つめたその時…息を切らせてアスカが保健室の前まで来た「温かいうちに飲みなさいね…おいしいコーヒーなんだから…で、さっきの続きだけど…まったく覚えが無いわけだ…今の世界の事…」リツコは僕にコーヒーを勧めながら話を切り出した(?!)その時…保健室の入り口で不意にその言葉を聞いたアスカが硬直する「・・・はい…」僕はリツコの切り出した言葉にうなずいて返事をした「少しくらいは…覚えてない?」「・・・はい…」僕はうつむいたまま答えた(…どう言うことなの?…シンジ…)アスカはリツコと僕の会話がまったく理解できず…ただただ困惑する「僕の知ってる世界の僕は臆病で優柔不断で…いつもアスカをイライラさせてた…その度にアスカは…バカシンジ!って…綾波は無口で…必要な事以外話さない…父さんは…父さんは…冷たくて…怖くて…何を考えているかわからなくて…さっき話したネルフって言う組織の指令をやってた」リツコは僕の話を黙って聞いている(…シンジ…何を言ってるの?…)アスカはドア越しに聞こえてくるシンジの言葉を聞いて眉間にシワを寄せる「僕たちは普通に学校に行ってて…使徒が襲ってくると…エヴァに乗る…そして僕はそれが…嫌で嫌でたまらなかった…ミサトさんは…やさしいけど…がさつで…料理が下手で…ビールばかり飲んでて…」「…あら?…それはあってるはね…」リツコはそう言ってクスッと笑う「とにかく…僕にはこの世界の事が…まったくわからないんです…僕自身だって…本当は運動なんか苦手なのにこっちでは…バスケットなんかやってる…バスケットなんてルールもろくに知らないのに…今日だって体が勝手に反応して…」(…シンジ…)アスカはここまでの話を聞き…今日あった出来事とシンジに感じた違和感の正体が解り涙がこみあげてきた「…なんだか…怖いんです…」僕はここまで話してリツコにそう告げた「…怖い?…」リツコは最後に僕にした言葉の意味を聞き返してきた「すべてが…あまりにも幸せすぎて…」僕はそう口にしたところで言葉に詰まった「・・・夢…なんじゃないかって…事ね…」言葉の意図を察したリツコはそうつぶやいた「…はい…」リツコの言葉に僕はうなずいた (…シンジの夢?)アスカはその言葉を聞いて考え込んだ「覚めてしまうのが怖いわけね…」リツコは優しく微笑んでそう言葉をもらす「・・・はい…」僕は全て話した安堵感からか心が軽くなった気がしたリツコはコーヒーを飲み終えて…おかわりをとりに行く僕も冷めてしまったコーヒーを一気に飲み干す涙が出るくらい…苦いコーヒーだったリツコはシンジのマグカップにもおかわりを注ぐそして自分のカップを持って窓際に歩いた「…シンジ君…夢はね…覚めてしまったら…」リツコは窓の外を見つめながらそう語り始めた「・・・・・」僕はリツコの言葉の続きを黙って待った「…もう一度…見ればいいの…夢を見るのは自由だから…そう…人に与えられた数少ない自由なの…」リツコはそう言って振り返るとニコリと微笑んだ「…数少ない…自由…」僕はリツコの口にした言葉をつぶやく「シンジ君…この世界は…嫌い?私はね…この世界…好きよ…」リツコはそう聞いてきた「…僕も…好きです!…この世界…」僕はリツコの顔を見つめてそう答える「…じゃあ信じればいいじゃない…もしかしたらこの世界が本当で…シンジ君の知っている世界の方が夢かもしれないし…」リツコは相変わらず優しく微笑みながらシンジにそう告げた「・・・信じる?…」「…そうよ♪…もしも…この世界が夢だとしたら…」聞き返した僕にリツコはそう言って言葉を止めた「・・・夢だとしたら?…」僕は聞き返す「…楽しんじゃいなさい…いっぱいイイ思い出を作るの…また見たくなるようにね…」リツコは笑顔でそう言うとマグカップのコーヒーを飲み干した「・・・見れるかな…また…」僕は自信なさげにそうつぶやいた「だから…信じるのよ!」リツコは力強くそう言うとニコッと笑った「…信じる…」僕はコーヒーを飲み干してその言葉をかみしめた「シンジ君…今日は帰りなさい!…時間はまだあるから…いっぱい楽しみなさいな…」「でも…授業が…」リツコの提案に僕は慌ててそう言った「ミサトには…私から言っとくから…ね!」リツコはそう言って僕にウインクをした「・・・はい!…」 僕はそう返事をしてカップを机に置いた(!!!!)アスカは急いで物陰に隠れる…僕はリツコに頭を下げて…保健室を後にした「・・・夢か…私の夢って……なんだろう…」リツコはもう一度窓の外を見つめてそうつぶやいたその後、僕は教室に戻り自分のかばんを取って教室を後にする保健室に行った事…早退する事…トウジやケンスケにに聞かれたがなんて答えたのかはわからないただ気になったのは…アスカが教室にいなかった事だったそして学校の校門を出た時…そこにアスカが立っていたアスカは何も言わず…僕の手を握ってきた僕はアスカに笑顔を返し…しっかりと手を握り返すと2人で家に帰った …『To Be Continued♪』
2011/12/03
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<<新世紀 エヴァンゲリオン>>~ アナザー ストーリー ~『 夢か…現実か… 』第3話「いつもと違う午後」(前編)お昼…綾波とトウジとケンスケが僕とアスカのところに集まってくる…「センセは、えーなー…今日も愛妻弁当で…」トウジはパンをかじりながら僕の弁当箱をじっと見つめる「ホント…うらやまし過ぎるよな、碇!」ケンスケも僕にお弁当箱を覗き込みながらそう言う僕はただ苦笑いを浮かべるそれを見た2人が声をそろえて「「イヤ~ンな感じ!」」と言って僕とアスカを交互に見る「今日は…寝坊しちゃったから…違うの…」アスカは手に持った弁当箱を机に置くとうつむいた(そうか…いつもはアスカが作ってるんだ…)「明日…楽しみにしてるよ」僕はうつむくアスカにそう声をかけた「…うん!…」それを聞いたアスカは満面の笑みで僕にそう返事をした「「・・・・・」」トウジとケンスケがその光景を口をあけてただ見つめる「…たまには、シンジが作ってあげたら…」不意に綾波が僕の脇腹を肘でつつきながらそう言う「いいの!…作るの好きだから…」それを見たアスカが慌ててそう答える「あらあらご馳走様~♪愛するシンジのためだもんね~w」今度は矛先がアスカに向く「…もう!…レイったら…」アスカは頬を膨らましてそう言うものの…満更でもないという感じである「…なんやワイ…めっちゃ寂しいな…」そんなやり取りを見てたトウジがポツリとそんな声をもらす「そうよね…売店のパンと牛乳じゃあね…」綾波は意地悪そうな笑顔でトウジにそうツッコミを入れる「綾波!おまえって奴は!」トウジは立ち上がるとパンを握りしめて綾波に怒鳴り声をあげる「まあまあ…トウジはまだ見込みがあるんだから…」そんなトウジをケンスケがなだめる「なんや?…その見込み…っちゅうんは?」ケンスケの言葉の意味が理解できないトウジは首をかしげてケンスケに聞き返す「見込みは見込みさ!」ケンスケは眼鏡を指で直しながらニヤッと笑う「…ま、鈍感だから…」綾波はあきれ顔でそう言い放つ「なんや…ワイだけのけもんかいな…」まったく理解のできない当時はそう言って椅子ドカッと座る「っていうか…普通は気付かない?」ケンスケも呆れ顔でそう言う「…普通じゃないから…」綾波はすかさずそう返すとケンスケはうなずいて返事をする「・・・黙って聞いてりゃ、言いたい放題言いやがって!」トウジはそう叫ぶと今度は持っていた牛乳パックを握りつぶして噴出した牛乳でジャージを濡らした(綾波…普通にしゃべってる・・・)僕は一連のやり取りを見ながら綾波を見つめたそんな僕を心配そうな顔で見ているアスカに僕は全く気が付いていなかったその後もお昼を食べながら…みんなの雑談が続く…そんな中…僕はおもむろに席を立つ「ちょっと…トイレ…」みんなが注目したことに気が付いて僕はそんな言い訳をする「センセ…食べてすぐにトイレかいな…」トウジはニヤニヤ笑いながら手で行って来いといったしぐさをする「…すぐに来いよ!…アスカが寂しがるから…」ケンスケも便乗するようにそう言うと親指を立てた「もう!…」アスカはそれを見て頬を膨らめる僕は微笑んで頭を下げると教室を出て行く…そんな僕を心配そうな顔でアスカが見つめていた事など知る由もなかった「にしても…アスカは、あのシンジのドコがいいの?」おもむろに綾波がアスカに質問する「そうそう、僕も聞きたかったんだ…」ケンスケは身を乗り出してアスカを見る「顔やったらワイの方が上やし…勉強はちっと落ちるけど…」トウジも椅子にふんぞり返り腕組みをしながらそうつぶやく「ちょっとぉ?」その台詞にケンスケがツッコミを入れる「…だいぶ…でしょ?」綾波も冷ややかな視線でトウジにそう言う「とにかくや!…なんでワイよりシンジやねん?」トウジは自分がネタにされそうなのを無理やりアスカに振る「…やさしいし…かっこいいし…それに…」アスカがもじもじしながらそう言うと「「「それに?」」」3人はそんなアスカにグッと寄る「うまく言えないけど…初めて会った時に…初めてじゃない気がして…赤い糸…って…在るのかなって…」アスカは耳まで真っ赤に染めてそう言うと恥かしそうにうつむいた「「「・・・・・ごちそうさま…」」」3人はやられましたといった表情でそう言い放った「私…いとこでしょ?昔から知ってるけど…そんなにイイのかな…シンジって…」しばしの間を置いた後に綾波がそうつぶやく「…まあ、トウジがイイって言う人がいるくらいだから…いいんじゃない?」ケンスケはニヤニヤ笑いながらそう返した「それもそうね…」綾波はそう言ってトウジを見た「!!!!…誰?…誰がワイのことがイイって?」綾波とケンスケの言葉に反応したトウジが身を乗り出す「「…鈍感!…」」そんなトウジに綾波とケンスケがきっぱりと言い放ったアスカはそんなやり取りをよそにシンジの出て行った教室のドアを見つめていた…『To Be Continued♪』
2011/12/02
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<<新世紀 エヴァンゲリオン>>~ アナザー ストーリー ~『 夢か…現実か… 』第2話「いつもと違う学校」(後編)ミサトが教室を出てくと同時にすかさずトウジとケンスケが駆け寄ってくる「いいボケだったな…センセ!」「碇…あのボケは決まったな…ナイスタイミングって感じだね」2人は笑いながら僕の背中を叩く「・・・いやぁ、ボケたって言うか…」僕にはそれ以上言えなかった「…でも、おめでとう!鈴原君!」「アスカ、おおきに!…でも、アスカ…よぉあんな高いとこから…飛び込めんな!」「そうだよ…怖くないの?」「うん、平気だよ…下プールだし…それよりもボクシング…痛くないの?」「平気や!どつきあいは…得意やからw」「うん…でも、ヒカリ心配してたよ…凄く…」「へ?…なんで委員長が心配すんねん?」「え?…ああ…痛そうだから…かな?」「は~ん…そう言うことか…」「ケンスケ…そう言うことってどう言うことやね?」「トウジ…鈍過ぎるよ…おまえ…」「!!!…そのセリフ、聞き捨てならんな!…ワイは、蜂のように舞い蝶のように刺す…どこが鈍いっちゅーねん!」「…それを言うなら…蝶のように舞い、蜂のように刺す!…だろ…」と言いながら…ケンスケは教室を出て行くそしてケンスケに絡みながら…トウジも、教室を出て行くアスカはクスクスと笑いながら授業の準備をする僕も授業の準備をはじめる…そしてアスカと二人で音楽室に向かう音楽の先生は…オペレーターの青葉シゲルだった僕もココまでくるとたいして驚きもしなかった「今日の授業は、音楽鑑賞にする…後半は、感想文を書いてもらいます」「先生…またですか?」「良い音楽は、心を豊かに育てます…こういう授業も大切!」そういううと、シゲルは…授業の準備をはじめる…「CD」のようなものを取り出し、デッキにセットする…「では、静かに鑑賞してください…」突然、音楽室のスピーカーから…大音量でギターがシャウトするギターの旋律もさることながらベースが刻むリズムは壁に響き渡り…おなかに突き刺さる激しくドラムが打ち鳴らされ…叫び声と共にボーカルが熱唱する!生徒の中には耳を塞いでる人もいるふとシゲルを見ると…モップをギターに見立て音楽に合わせかき鳴らしていたもはや授業ではなく…趣味の時間である(…確かに音楽鑑賞だけど…シゲルさんイイのか…コレで?…)僕はそう思った…10曲ほど流れた後で曲が止まる…音楽鑑賞が終わったようであるシゲルは得意げに今かけた曲や…バンドの歴史などを話す…感想文を書く原稿用紙が配られた頃…授業終了を告げるチャイムが鳴る…結局…感想文は書かずに授業が終わった教室に戻ると…黒板に「次は体育!」と、ミサトさんの字で書かれていた女子は着替えを持って出て行く…僕達…男子はこの場で着替え体育館に向かった正直…僕は体育は苦手である…体育館につくと…ジャージ姿の加持がいる…「今日から…しばらくはバスケットをやる…では、最初に…女子と男子に別れて…パスやドリブルなどの基本動作の練習をする…が、幸いにも君たちのクラスには…春のインターハイの立役者がいるので…」(…ふーん、そんな人がいるんだ…誰だろう…)「では、シュートの手本からやってもらおう」加持はそう言うと僕に向かってバスケットボールを投げ渡したいつもの僕なら逃げているのだが…体が反応してボールをキャッチする朝…ミサトさんが言っていた僕の種目とはどうやらバスケットだったらしい全体から拍手が起こり…やむなく僕は立ち上がるはっきり言って僕は体育自体得意ではない…仕方なく立ったとはいえ自信はない僕はため息をつきながら3ポイントラインのやや後ろに立つ僕自体バスケットの経験はほとんど無い…シュートの打ち方の基本すら知らない体育館が静まり返る…僕はあきらめて…ボールを4回ほど床につく…体が自然にシュート体勢に入るとても美しい姿勢である…やや体を沈ませて伸びながらボールをゴールに向かい離す…ゴールに向かい、まっすぐに伸びた腕…スナップを効かせたので…軽く反る五指…ゴールを見つめる視線…見るものをウットリとさせる…とても理想的で美しいシュートである手を離れたボールは…キレイな放物線を描き「シュパ!」と、音を立ててネットに突き刺さる全体から歓声が上がる…歓声を聞いて一番驚いたのは僕本人である…「今のが、最も基本的なシュートだ…じゃあ…シンジ君、次はレイアップをやってくれ…」加持は拍手をしながらそう説明した(レイアップ…って、何?)「僕がパスを出すから、シンジ君はそこから…走ってきて…」加持の説明通り、僕はゴールに向かって走る…タイミングを見て加持がボールをパスする…僕はパスを受けるとゴールに向かい両足で踏み切る…ボールをもった腕を真上にまっすぐに伸ばす…一番高く上がった時ネットにボールを残すように離すボールはネットの中に消えていく…僕が着地するとまたも歓声が上がる…(何で…出来るんだろ…レイアップ自体はじめて聞く言葉なのに…)「今のがレイアップ…ボールをシュートするのではなくて…きちんと飛んで…ボールを置くようにシュートする…」「さすが!我が校を代表する…ポイントガードや」(ポイントガード?)「こないだの試合で見せた…バックダンク!…見せたってや!…シンジ!」トウジがそう声をあげる(ば、バックダンク?)「なあ?、みんなも見たいやろ!」トウジは立ち上がってみんなを煽る…そして歓声が上がる「あまり高等な物は手本にならないんだが…確かにあれは凄かったな…」加持は苦笑いを浮かべてそう言った(凄い?…どんなシュートなんだ?)「…特別だ…シンジ君、やってくれ…」そう言って加持さんはボールを僕に向かって投げた…僕はボールを受け取るとさも当たり前のように、センターラインまで歩いていく(何でココに歩いてきたんだろ?)僕は、その場でドリブルをはじめる…ゆっくりと歩くようにドリブルをしながら歩き出す(何で、ボールを見ないで…ドリブルが出来るの?)ゴールに向かい徐々にスピードが上がる…そしてゴールに近づくと僕は体重を落とし一気にジャンプする…ボールを両手に持ち替え空中でひねる様に体を反転させる両手でボールを頭上に持っていき…そのまま後にあるゴールに叩き込んでリングにぶら下がる…ゴールに叩き込まれたボールは勢いよく地面にバウンドした僕は…2、3回体を揺らし着地する全体から割れんばかりの歓声が上がる…「今のがダンクシュートだ…基本が出来ないと絶対に成功はしない…バスケットは個人のスポーツではないから…味方からパスされたボールをどのようにしたら、シュート出来るかを…瞬時に判断して行動する。ダンクシュートなどはボールがギリギリまで手を離れないので…下手にブロックをすると逆にファールを取られてしまう…つまり、ゴール下の守りが堅い時には…有効的な戦略といえる…が、よほど上手くならないと出来ないから…そのつもりで…」加持は拍手しながら僕がやったシュートの説明をした僕はただボーっとその説明を聞いた「あ!シンジ君ありがとう…では別れるのだが…シンジ君少しの間…女子の方を見てくれないか…」そう言われ男子と女子に別れる…僕は女子の方に行きパスやドリブルを教える…僕もなぜ説明できるかわからない…僕は教えながらアスカの姿を捜す…そして信じられない光景を目にしたなんと、アスカがレイと…楽しそうに話をしている僕は二人に近づく…二人もシンジに気がつく…「…シンジ…かっこよかったよ…」アスカが僕にそう言って頬を赤らめた「あらあら…お熱い事で…」アスカと綾波が普通に会話をしてる…「綾波…」僕は思わず綾波にそう声をかけた「何…碇君…」(!!!!)綾波の口から聞きなれた冷たい口調の声が帰ってくるそして綾波は無言のまま僕を見る「…プッププー…やめてよ『綾波』だなんて呼び方…」しばらくの沈黙の後…綾波が屈託のない笑顔でお腹に手を当てて笑い出した「え?…」僕は呆然とする「あー…おかしい…さっきもアスカと話してたけど…なんか変よ?今日のシンジ…」(???…シンジ?…)「うん…シンジ…なんか変…」アスカはそう言って心配そうな表情で僕を見る「あまり…アスカを心配させたらダメだからね!」「…あ…うん…わかった…」けして納得がいったわけではないが…今の僕にはそう答えざるを得なかった「でも…惜しかったね今回の大会」「ホント…あそこでファールされて…シンジがケガしなければ」「絶対…決勝出れたよ…」「結局…次の試合も出れなくて…4位になっちゃたし…」綾波とアスカがそんなことを言い合ってると「仕方ないさ…次、頑張ればイイ…だが…今は授業中だ!」加持がそう言って2人の会話を終わらせる「…あ!…先生…」アスカはそう言って口元に手を当てる「…ぜんぜん、気が付かなかった…」綾波は舌を出して肩をすくめた僕の知ってる2人にはあり得ないリアクションに僕は呆然とするしかなかった「…そろそろ…集合する…シンジ君悪かったな手伝わして」加持が僕にそう声をかけて肩を叩く「いえ…たいして役に立たなかったから…」僕は申し訳なく思い…頭を下げた「…さっきの様子だと…足、大丈夫そうだな…痛みはないか?」「…特には…」そんな加持の質問に…痛めたという記憶すらないので僕はそう答える「そうか…なら来週辺りから部活に戻って来い…みんな心配してたからな…」「…ハイ…」加持はそう言うと僕の背中を2回叩き戻りながら…全体に集合をかけるそして授業が終わり…みんな教室へと戻った体育館からの移動中…僕は考えていた…ここは僕の知らない世界平和で…みんなが幸せな世界…夏だけではなくて…ここには季節がある…「・・・夢なら・・・覚めて欲しくない・・・」僕は窓の外を見ながらそう思った…『To Be Continued♪』
2011/12/02
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<<新世紀 エヴァンゲリオン>>~ アナザー ストーリー ~『 夢か…現実か… 』第2話「いつもと違う学校」(前編)僕は、アスカと並んで学校への道を歩いたアスカは鞄を胸元で抱えるように持っている僕の知ってるアスカはどうだったのか…ふとそんな事を考えたが…それはそれで思い出せないもしかしたら毎朝の光景なのに見ていなかったのだろうかそう…おそらく当たり前すぎて意識していなかったのだと思う僕達は特に会話はなく…ただ並んで歩く本当は、聞きたい事が山ほどあったでも…何も聞くことが出来なかったそんな無言状態が気になり…アスカの方を見るとそれに気付いたアスカは微笑を返してくるその可愛さに耐えられない僕は思わず目を反らすその時…僕達を風が取り巻く不意にアスカが寄ってくる風に、髪がなびく度にイイ匂いがする「いーかーりー!」後ろの方から…ケンスケの声がする息を切らしながら走ってくると追いついて早々に「お二人さん…朝から、イヤ~ンな感じ!」いつもの僕が知ってるアスカなら…この後とんでもない事になるのにこのアスカはケンスケにからかわれると…僕の腕に絡み付いて余計に見せ付けようとするやっぱり、どこかが違う…でもイヤじゃないそんなこんなをしているうちに…学校に着く何の事はない…学校はいつもの学校だったそしていつもの教室に入る…まだ、あまり登校して来ていないのか…教室に人は少ないだが顔ぶれは変わっていない…少し安心した僕は自分の席に荷物を置く…すると「どうしたの、シンジ…席違うよ?」「え?…」「シンジの席…ここでしょ?」と言って自分の隣の席を指をさし…小首をかしげる心配そうな目…カワイイしぐさ…ドキドキしてしまう「碇!…色ボケも、たいがいにしておけよ!」そう言いながら僕の肩に手を回し…ニヤニヤ笑いながら絡みついてくる僕はケンスケを振り払い…アスカの隣に移動するケンスケは自分の席に荷物を置くと…僕達の所に戻ってきた「それにしても…昨日の使徒、凄かったよなぁ…」ケンスケは鼻息を荒くしてそう言いながら拳を握りしめた「!?」ケンスケの「使徒」と言う言葉に僕は驚く…「さすがのエヴァも昨日の使徒には苦戦だったもんな…自衛隊役に立たないし…そろそろエヴァも…バージョンアップしないと…」ケンスケは、得意そうに身振り手振りで説明をはじめる僕はソレを見ながら…ココにも「使徒」がいて「エヴァ」がいる事に少し落胆した気が付くと、アスカがシンジにくっついて…怖がるようにケンスケの話を聞いているその、アスカの姿を見て僕は考え込んだ理由はわからないが…僕は確実にいつもと違う世界に居る…そして、この世界にも「使徒」がいて…「エヴァ」もあるでも…アスカのこのリアクションは確実に「エヴァ」のパイロットとしての物ではない…そう言えば…父さんはどこかの社長のようだし…じゃあ、この世界では…誰が「エヴァ」に?その時、ものすごく大きな音と共にドアが開く入ってきたのは…いつものジャージ姿のトウジだった「ケンスケ…おまえはまだあんな幼稚なアニメ見とるんかいな…」(アニメ?!)「トウジ!…幼稚とはなんだよ!…エヴァンゲリオンは凄いぜ!」「かぁ~!…アカンな…あんなん見てたらアホになるで…」(エヴァは…アニメなの?)「なぁ!…碇もそう思うよな!」「シンジは…見てへんて…なぁ!」僕はケンスケに覚えてない事を言おうとしたとき…「…見たよ…私…シンジと一緒に…ケンスケ君に言われたから…って」「おお!…さすが碇!…アスカも見たんだ!…で、どうだった?エヴァ!」「…私は…怖かったから…もう見たくない…ケンスケ君ゴメンね…」「そうか…じゃあさ碇は?…見たんだよな!エヴァ!」ケンスケは僕の手を強く握りしめてそう聞いてくる「ゴメン…ケンスケ…よ、よく…覚えてないんだ…」僕は苦笑いを浮かべながらそう答えたというよりも…そう答えざるを得なかった「ははは!こりゃあ、傑作や!…センセは、エヴァでのうて…アスカの顔を見とったと!」トウジは大笑いしながらケンスケの背中をバンバン叩く「なんて奴だ…碇!…アスカといちゃつくのは…エヴァをちゃんと見てからにしてくれよ!」ケンスケはというと…まるでこの世の終わりとでも言わんばかりに両手で頭を抱えながら崩れ落ちる「…えっ?…そうだったの?…シンジ…」アスカは二人の話を聞いて…顔と耳を真っ赤にして恥かしそうに僕の方を見る僕はどうしていいのかわからず…アスカを見たまま動きが止まる「でも…来週は見たほうがイイよ!…なんてったてついに弐号機が登場だから!」「ケンスケ…センセに期待しても…アカンて…」そう言いながら…トウジは、慰めるように…ケンスケの肩を叩くその時、チャイムが鳴る…気がつくとほとんどのクラスメートは登校していた僕はその中にレイの後姿を見つける「綾波も居るんだ…」僕はそう思って少しホッとしたケンスケとトウジはチャイムを聞き自分の席に戻ったしばらくして…教室にミサトさんが入ってくる「起立!」「礼!」掛け声と共に…「おはようございます!」と、みんなが挨拶をする「おはよ~!さーて、出席を取るわよ~♪」いつもの明るい口調でそう言ってミサトさんは出席を取りだす(そうか…ここではミサトさんが…担任か…)「碇君…」(でも、似あってないや…先生て感じじゃないよな…ミサトさん)「碇く~ん…」(じゃあ…他の人はやっぱり居るのかな…)「碇 シンジく~ん…」(リツコさんとか…マヤさんとか…)「い・か・り・し・ん・じ・く~ん!」僕はわき腹をアスカにつつかれて我に返りアスカの方を見るアスカは…目で僕に合図を送っている僕は合図された方を向く…すると目の前にミサトが仁王立ちで立っていた「シンちゃ~ん…上等ねぇ…朝からケンカ売ってんの~…このわ・た・し・に…」「あ!…す、スイマセン…ボーっとしてたんで…ミサトさん…」「ミサトさん…じゃなくて…セ・ン・セ・イ…でしょ!」「・・・・ゴメンなさい・・・・・」「センセイ!…堪忍したってや…シンジは幸せすぎてボケてっから!」そんなトウジの発言にクラス全体が爆笑の渦になる「シンジ君…次はないからね~♪」ミサトは僕にウインクしながらにこやかな笑顔でそう言ったしかし…その笑顔の奥に無言のプレッシャーを感じた「こわ~…さすが元レディース…」「うん?…鈴原君…なんか言った?」ミサトはそう言いながらトウジの方を見る「いえ…なんにも…」トウジはミサトから目線を反らして肩をすくめるミサトは出席を取りながら…教卓の方に戻ったそして出席をとり終えた後「綾波さん!…鈴原君!…起立!」おもむろにそう言った「なんや?…センセイ!俺なんにもしてないって!…」「鈴原君…誰が怒るって言ったの?」「・・・・・・」「え~っと、知ってる人もいると思いますが…今回のインターハイに陸上で、走り高跳びと100メートル短距離で綾波さんが…ボクシングで鈴原君が決定しました…はい、みんな拍手!」クラス全体から二人に拍手が送られる「おおきに!…ほんまおおきに!…サインと握手は…後でしますから!」「鈴原!…調子に乗るな…!」満面の笑みで両手をあげてクラス全体にアピールするトウジにミサトが釘をさす「・・・スンマへん・・・」釘を刺されてしゅんとなるトウジを見て拍手が爆笑に変わる僕は綾波を見て「凄いんだ!」と、思っていた「それと、先週決まった惣流さんと今回はダメだったけど…碇君…春の大会では…全国大会優勝の立役者だもんね!みんなも…がんばってね!」またクラス全体に…拍手が起こる僕はそれを聞いて立ち上がる「え?!」僕は思わずそんな声をもらした「え?!…じゃないでしょ!」ミサトが怪訝そうな顔で僕にそう言う「僕…種目なんですか?」僕は真顔でミサトにそう聞いた「・・・・・・」クラス全体が静まり返る「やっぱ、センセのボケは一枚上手や!…ワイももうちっと…がんばらな勝てへんって」トウジの発言で沈黙が笑いに変わった結局…ボケたと思われ自分の競技を知る事は出来なかったアスカも綾波も笑っていた「結局、今日は…碇君の一本勝ちね…じゃあ次は音楽だから遅れないように移動してね♪…」そう言うと…ミサトさんは教室を出て行った…『To Be Continued♪』
2011/12/02
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<<新世紀 エヴァンゲリオン>>~ アナザー ストーリー ~『 夢か…現実か… 』第1話「いつもと違う朝」ある朝の事…僕はいつものように目を覚ました「うーん…さてと…朝食の用意をするか…」そして、両手を挙げて大きく伸びをしたその時…自分が上半身ハダカなことに気がつく「???…昨日…裸で寝たっけ?」ふと、何気にベットの右側に目をやった時…静かに、寝息を立てているアスカに気付く周りを見渡す…確かに、見慣れたいつもの部屋である僕は、現実が理解できず右の頬をつねった「!!!!…痛い…」現実だという事を伝える痛みが走るしかし…まったく覚えがない嫌な予感にかられ…ゆっくりとアスカの方もめくる「!!!・・・・・・・」アスカは下着姿でまるまるように寝ていた僕は…顔を両手で抑えて考えるが…何も思い出せない…というかまったく記憶がない「昨日…何があったんだ…」そうつぶやいたとりあえずどうしようもないので僕はベットから出て朝食の用意をする事にした…それはまさに現実逃避行動である制服姿に着替え…まだ気付かずに寝ているアスカにそっと淡いブルーの羽毛布団をかけなおすその寝顔は「ドキッ!」とするくらい可愛かったそして、部屋を出ようとして扉に手をかけた時…ある事に気付き振り返る…「!!!…いつから、あんな布団になったんだ…」しかし…何も思い出せない…さっきも言ったが、思い出せないというよりも覚えがない僕はしかたなく部屋を出てそっとドアを閉めたそして、居間に入った時信じられない光景が、シンジの目に飛び込んでくる「!!!!!」そこにはゲンドウが居たしかも、さも当たり前のように…新聞を広げている「…と、父さん?」その声に反応して、ゲンドウが顔を上げる…「シンジか…おはよう…」ゲンドウは眼鏡越しにいつもの鋭い目線で僕にそう言うと「なんだ?…今日は、やけに早起きじゃないか…」続けざまにつぶやくようにそう言った確かにそれは、間違いなくゲンドウの声であるするとキッチンの方から淡い黄色のエプロンで手を拭きながら…女の人が出てくる「?????」出てきた女の人を見て僕は固まったいよいよ事態が理解できないというよりも何がなんなのかまったく解らないこの状況や気持ちをどう表現したら良いのか…どうか推察して頂きたいただ1つ言えるのはこんな人がお母さんだったら…そう思えるほど理想的で夢に描いた女性だった「シンジ…おはよう」その女性は僕に向かってそう言うとじっと見つめたまま硬直している僕に「お母さんの顔に…何か付いてる?」小首をかしげながらそう聞いてきた「!!!!!」今…この女性は確かに「お母さん」そう言った僕は唖然とした表情でうろたえるその行動を見て女性とゲンドウは顔を見合いいぶかしげな顔をするとりあえず僕は、無言で首を横に振った「シンジ…寝ぼけてるのはわかるけど…お父さんにちゃんと挨拶しなさいね…」そう言うと、鼻歌を歌いながら…女性はキッチンへと消えていった母さん…この人が僕の母さん「碇ユイ」なのだろうか?僕にはそれを確認するすべがなかったそして僕は、母さんに言われたためもう一度…ゲンドウの方に向きを変える僕の鼓動が…早くなる…「と、父さん…おはよう…ございます…」「うん?…ああ…おはよう!シンジ…ボーっとしてないで、顔でも洗ってこい…」その口調はいつものゲンドウであるそう言われ…僕は、洗面所の方に向かう…居間の方ではユイが、ゲンドウに何やら小言を言っているのが聞こえて来る「女性」「母さん」どちらも語るには違和感があるのであの女性が母さんであると断定し…「ユイ」と語る事にするただ…そう語るにはまだちょっと心の奥で引っかかる物があり…加えてちょっと恥ずかしい「あなた!…そろそろ着替えてちょうだいね…いくら、社長で出勤が遅いからと言って…いつまでもそんな格好で居られたらシンジや、アスカちゃんに、示しが付かないでしょ!」そんなユイの小言にゲンドウは「ああ…わかっている…」気の無い返事を返した僕は鏡を見つめる…「家族…父さんが居て…母さんが居る…夢みたいだ…」そう、つぶやきもう一度頬をつねる…「!!!!…痛い…」やはり、痛かった…居間の方に耳を傾けると…まだ、ユイはゲンドウに何か言ってる「…それと…今日は、シンジにちゃんと言ってね…」「ああ…わかっている…」やはり気のない返事である…僕は、顔を洗い深呼吸をしたのち居間に戻る僕が来たのに気付いたゲンドウはおもむろに新聞を閉じる「…なあ、シンジ…お前も…あれだ…そのう…」ゲンドウは口籠りつつ僕にそう語りかけた「???え?…」僕は思わずそう声に出した「…だから…ほら…」ゲンドウは、言いずらそうにしている当然、僕には何のことだかわからないキッチンから…呆れ顔で、ユイが出てくる「もう…アナタ…しっかりして下さいね…」ユイは腰に手を当ててため息混じりにゲンドウにそう言った「スマン…」ゲンドウは力のない口調でユイに頭を下げた「私も、苦手なんだから…こういう話…」ユイはそうつぶやきながら僕の顔をじっと見る僕には、まるっきり…理解できない「シンジ…アスカちゃんの事だが…コホン!…いくら許婚だとはいえだな…」(ええええ!!アスカが…僕の…許婚!?…)「いっしょに寝るのは…ほら…アレだ…おまえ達は…まだ、一応…高校生だから…」(!!!…高校生!?…)「もう!アナタ!…はぁ…父親の威厳無いでしょそんなんじゃ…高校生でなくても結婚するまではマズイのよそういう事は…亡くなった惣流さんに申し訳ないじゃない!もしもの事があったら…」そう言うと…ユイは、僕の方を向くゲンドウはまた新聞を開いて顔を隠す「シンジ…昨日もいっしょに寝てたんでしょ?アスカちゃんと…」「…うん…」厳しい表情でそう聞いてくるユイに僕は視線をそらしてうなずく「まさか!・・・なんて事はないでしょ?」「うっ…だ、大丈夫…そ、それは…無いよ…」僕はジェスチャーを交えてユイの質問に否定したでも申し訳ないが…正直覚えてはいない「とにかく…今後はいっしょに寝ちゃダメよ…シンジ」ユイはそう言うと、ふと僕の部屋のある方を見る「それにしても…アスカちゃん遅いな」それに気が付いたのかゲンドウも新聞越しに僕の部屋の方を見る「そうね…いつもシンジより、先に起きてくるのに…変ね…」ユイは口元に手を当てると心配そうな顔でそうつぶやく(!!!…アスカが、僕よりも…早く起きる!?)「見てきた方が…よくないか?」しかしそのゲンドウの声は…僕の耳には届いていなかった(変だ…絶対に変だ…百歩譲って…コレが現実だとしても)(何で…僕は、何ひとつとして…覚えていないんだ?)(高校生?…いつから?…わからない…)「具合でも、悪いのかしら…私見てくるわね…」そう言って、ユイが…僕の部屋に向かうその、ユイの後姿を見て…僕は、今朝の光景を思い出す「か、母さん!…ぼ、僕が起こしてくるよ!だって、母さん…朝食の準備とか…してたんじゃないの?」「あら、そう…じゃあシンジ起こしてきてね」そう言うと…ユイは、進路をキッチンへと向ける僕は、急いで自分の部屋に飛び込み…閉めた扉に、もたれて…大きくため息を漏らす…我ながら自分の口から出たセリフに感心するベットを見ると…アスカはまだ布団に包まったまま寝息を立てている僕は、アスカに近づいて寝顔を見つめる…やっぱり、カワイイ…(よくわからないけど…僕は、父さんと…母さんと暮らしている…)(そして…アスカは…僕の…許婚…)「カワイイ寝顔…アスカ…」吸い寄せられるように、シンジは…アスカに顔を寄せていく僕の唇が…アスカの唇に触れそうになったその瞬間、アスカが目を覚ます(やばい!…叩かれる…)そう思って、僕は…キュッと目をつむり一撃に備えるしかし、僕の予想はハズレる…やわらかい感触が唇に触れた僕が目を開くと…目を閉じて唇を付けてきたアスカがいた僕は、思わずアスカを抱きしめる「ダメ…」アスカが耳元で甘い声で言うと…僕の手をほどいて「シンジ…おはよう…」そう照れくさそうに言った「お、おはよう…アスカ…」僕はアスカにそう返すものの…なんとも気恥ずかしい「…うん」アスカは頬を赤らめながらうなずいて微笑む僕達は無言のまましばらく見つめあった「今日は寝坊しちゃったんだ…ゴメンなさい…」アスカは思い出したようにそう言って謝った「…いいよ…そんな事…」これは本音…この瞬間の気持ちが他のことなどどうでもいい…そう思わせた「シンジ…私、着替えるから…制服…取ってきて…」アスカは掛け布団を胸元に引き寄せてそうつぶやく「あ!…うん…わかった…」僕は急いで、部屋を出ると…アスカの部屋に向かったそして、扉を開けて中に入る部屋の中は、きれいに片づいていて…ぬいぐるみなどが置いてありまさに、女の子の部屋そのものだった制服は、勉強机の横の壁に掛けてあった…制服はいつもの物と同じだった僕は…制服を取りながら横目で机を見る写真立てが飾られている父さんが母さんの肩を抱き…その前で寄り添いあう…僕とアスカ…みんな幸せそうな笑顔である「幸せなんだ…僕…」そうつぶやくと、制服を抱いて自分の部屋に急ぐ中に入ると…布団に包まったアスカがベットに座っている僕から制服を受け取ると…アスカは目を閉じて唇をそっと突き出す僕は、ためらいながら…唇を重ねる「シンジ!…アスカちゃん!…急がないと遅刻しちゃうわよ!」居間の方から…ユイの声がする僕達は我にかえり…唇を離す「先に行ってて…すぐ行くから…」「…うん…」恥かしそうにうつむいてそう言うアスカに僕はドキっとしつつ慌てて部屋を出て居間に向かうゲンドウはすでに着替え終わっていたみんなで食べる朝食…夢にまで見た光景…僕は今の雰囲気を噛みしめながら食事を済ますそして僕とアスカは揃って玄関に立つそこにユイが見送りに来る「…行ってきます!」「いってきます!」「行ってらっしゃい…」僕達は笑顔で手を振り送ってくれるユイに頭を下げて玄関を出た…『To Be Continued♪』
2011/12/02
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~第3話「男の背中」~「でも…よくこんなチケット手に入ったじゃない♪」ティファが目を輝かせながらそうクラウドに言う「あ、ああ…まぁね…」正直、ブリッツに詳しくないクラウドにとってはこのチケットの価値もわからずとりあえずそう返事をする「クラウドの日ごろの行いと人脈だぞと」レノはそう言ってうまくフォローする「クラウドにそんな人脈があるなら…前から頼んだのになぁ」ティファはそう言ってクラウドをチラッと見るクラウドはひきつった笑顔をただ浮かべる「俺も、久しぶりに試合後あいついと会えるかもしれないんで…その辺もクラウドに感謝だな」レノもそう言いながらクラウドを見る「誰か、知り合いの選手が居るの?」ティファは目をさらに輝かせてレノにそう聞く「エイブスのジェクト…」レノはポソっとそう言う無論、今回のチケットもレノはジェクトに頼んで無理やり取ってもらった物である『ガシャーン!』レノの言葉を聞いたティファが思わず手に持っていたグラスを落すそれもそのはずである、ジェクトと言えばブリッツ界の超大物選手でエイブスに所属しているが他のチームのファンにもジェクトは好きという人が多いスター選手である「お、おい…大丈夫か?」クラウドがそう言ってカウンターの中を覗き込む「じ、ジェクトって…あのジェクト?」ティファは落としたグラスの破片を拾う事無くレノにそう聞く「そうだぞと」レノはそうサラッと答えながらカウンターの中に飛び込みグラスの破片を拾う「あ、ゴメン…いいよ、私がやるから…」ティファは破片を拾ってくれているレノにそう言うそして…次の瞬間「痛て…」レノはそう言って指を押さえる「切ったの?見せて」ティファはそう言ってレノの手を取るレノの指から一筋の赤い血が流れ落ちる「こんなの舐めておけば治るぞと」レノはそう言ってティファの手を払おうとする「ダメだよ!ちょっと待ってて」ティファはそう言って棚の上から救急箱を取り手当てを始める「役者だな…」クラウドはカウンターに背を向けて、ヤレヤレといった表情を浮かべつつそうつぶやきザックスの方を見るしかしザックスはグラスを持ったまま完全に停止している「ザックス…どうした?」クラウドは思わずザックスにそう声をかける「あ?」しばらくしてからザックスはクラウドに向かってそう反応する「なぁ…お前、変だぞどうした?」クラウドはもう一度ザックスにそう聞く「そ、そうか?ちょっとボーっとしてただけだよ…酔いが回ったかなww」ザックスはそう言ってグラスのビールを飲み干して笑うしかし、その笑顔は明らかに不自然な笑顔だった「わ、悪かったな…かえって面倒かけて」レノはティファにそう声をかけ立ち上がるティファは首を横に振りニコッと笑う「つ、疲れてるのかな…なんか急に酔いが回っちまった…ワリいけど先に出るわ」ザックスがそう言って立ち上がるクラウドとティファは思わず顔を見合わせる2人はザックスの底なしとばかりの酒の強さを知ってるだけに信じられないでいるそして席を立ったザックスがレノを手招きして「良かったじゃねぇか…がんばれよ!」と耳打ちをする「き、気色悪いぞと…」思わずレノはザックスにそう言う「うるせ!」ザックスは苦笑いでそう言って振り向きもせず手を振りながら店を出て行った「なんだって?」クラウドはレノにそう聞く「良かったじゃねぇか…がんばれよ…と」レノはザックスに言われた言葉をそのままクラウドに伝える『!!!』それを聞いたクラウドは突然席を立ち上がる「悪い…ちょっと出る…」クラウドはそう言ってジャケットを羽織ながらザックスを追うように店を飛び出す「な、なんなんだ?」レノは思わずそうつぶやきティファを見る「さ、さぁ?」ティファはそう答えてレノを見るそして2人はもう一度ザックスとクラウドが出て行った入り口を見るクラウドは店を出て周りを見渡すザックスはクラウドのバイクの横に止められた自分のバイクにもたれてタバコをふかしていた「ザックス…お前…」クラウドはザックスの背中に向けてそう声をかける「なんだ…来ちまったのか、バカだな…」ザックスは振り向きもせずにそう言う「さっき言ってた…気になる奴って…ティファの事だったんだろ?」クラウドはザックスにそう聞く「フッ…お前っていつもは鈍いくせに、こういう時だけ勘がイイんだな…やな奴だぜw」ザックスは振り向くきもせずにそう言ってタバコの煙を吐き出す「スマン…まさかそんな事とは知らずに…」クラウドはうつむきながらそう言う「なに謝ってんだよバーカ…むしろ俺は感心してんだよ…レノの奴に」ザックスはそう言ってタバコの火ををブーツの底で消して吸殻を上着のポケットに入れる…そしてもう1本取り出して火をつける「けっこう前から気になってたのにな…あいつがブリッツ好きな事とか…エイブスが好きとか…あいつとは付き合い長いのに何も知らなかった…いや、何も知ろうともしてなかった…だなw」ザックスは苦笑いを浮かべてそうつぶやく「ザックス…」クラウドはそうつぶやく「飛び出した俺も大人気ないが…2度も同じ場所だろ…ちょっといられなくてなww心配かけちまって謝らなきゃいけないのは俺の方さww」ザックスはそう言って振り向くクラウドはそんなザックスに何も言う言葉が見つからない「男は背中で泣く…それが俺の美学さw気にしないでさっさと戻れよ♪」ザックスはクラウドに背を向けてそう言うこういう時に何も声をかけられない自分に腹を立てつつクラウドは店のドアに手をかける「いいか…今の話…そのドアをくぐったら忘れろよ!」ザックスはクラウドにそう言う「あぁ…」クラウドはそう答えて店の中に戻って行く「優しすぎるんだよな…あのバカ…」ザックスはそうつぶやきながらバイクのエンジンをかけて2、3回空ぶかしをしてティファの店を後にするクラウドは無言で席に戻りグラスに入ったバーボンを飲み干すティファとレノはそんなクラウドを見つめるクラウドは一息ついたのち「大丈夫みたいだw昼間の食い合わせでも悪かったんじゃないか?あいつ…」そう笑顔で言うたぶんクラウドにしては最高の演技だったんだろう2人は特に疑う事もなく噴出して笑う「で、時間とかは?話すすんだんだろ?」クラウドは2人にそう聞く「あぁ、5時にこの店の前で待ち合わせだぞと」レノはクラウドにそう言う「ところで…エアリスは大丈夫なの?」ティファは店の時計をチラッと見てクラウドにそう言う『!!!』クラウドはティファにそう言われて店の時計を見て動きが止まる時間は9時を10分ほど過ぎていた「やべ…9時に店に迎えに行く約束してたの忘れてた…」クラウドはそう言って慌てて身支度をする「いいわ…私からこっちに来るように電話してあげる…彼女の店すぐ近くだしね♪」ティファはそう言って店の電話を取りエアリスの店に電話をかける「お前も大変だな…」レノはそうクラウドに言う「まぁな…」クラウドはカウンターにうつぶせてそう言う『カラーン、カラーン』ほどなくして店のドアが開きエアリスが入ってくるカウンターに座っているクラウドの方に向かってくるエアリスのほっぺたはふぐの様にぷーっと膨らんでいた「解り易いな…」レノがそうつぶやく「あぁ…」クラウドはうつむき加減でそう返事をする「エアリス…ゴメンね♪私が無理言ってクラウドを引き止めてたの…」ティファはそう言ってエアリスに手を合わせてウインクをする「いいの♪」エアリスはティファにニコッと微笑んでそう答える「エアリス…」クラウドが隣の席に座ったエアリスにそう声をかけるとエアリスの頬がまたプクーっと大きく膨らむ「ゴメン…」クラウドはただそう謝る「久しぶり♪」レノがエアリスにそう声をかける「お久しぶり…だぞと♪」エアリスはニコッと笑いながらレノにそう返事をするティファとレノはそれを聞いて笑うそしてエアリスに当日の予定を説明したりとりとめもない会話をしているうちに店のお客はクラウド達だけになる「お客さん引いちゃったから…今日はコレで終わりにしようかな…」ティファがグラスを拭きながらそうつぶやく「じゃあ…みんなで夕飯食べに行かない?」エアリスがそう言う「こんな時間に食べると太っちまうぞとww」レノがそう笑いながらエアリスにい言うエアリスはレノにそう言われて頬を膨らめるそれを見たレノとクラウドが噴出して笑う「私も手伝うね♪」エアリスはティファにそう言ってカウンターの中に入るティファは手でゴメンってやりながらエアリスにウインクで答える「どこに行く?」クラウドがティファにそう聞く「この時間だしね…そんなには選べないと思うけど…」ティファは洗い物をしながらそう答える「アバランチ♪」エアリスはグラスを拭きながらそう言う「アバランチ?」レノが首をかしげながらそう聞く「あ、レノは知らないか…元俺の上司でバレットっておっさんが裏町でラーメン屋をやってるんだよ」クラウドがレノにそう答えるレノは「フーン」とうなずきながら返事をする「クラウド…おっさんはひどくない?w」ティファが笑いながらクラウドにそう言うクラウドはそれを聞いて笑う「すっごくおいしいんだぞ…とw」エアリスはレノに向かってそう言いながらレノのしぐさを真似るティファもニコニコと笑いながらうなずく「だけどさ…バレット、新羅嫌いだからな…」クラウドは苦笑いを浮かべてそう言う「あ!そっか…」ティファはレノの方を見ながらそう言うアバランチには行かない…そんな雰囲気にエアリスは1人頬を膨らめるそんなエアリスに気付いたレノは「ま、何とかなるでしょ…人に合わせての情報収集は俺の得意分野だぞと」そう言ってエアリスにウインクするそれを聞いたクラウドとティファは顔を見合わせながらうなずくその後店の片づけを済ませて4人は店の外に出るそして4人はレノの車に乗り込み夜の裏町へと消えていった…『To Be Continued♪』
2011/12/01
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~第2話「失恋のジンクス」~午後6時…ティファの店のドアが「カラン、カラ~ン♪」とこぎみの良い音を鳴らして開く「いらっしゃ…」ティファは入ってきた人影にそう言葉を投げかけて止まる入ってきたのはザックスとクラウドだった2人はカウンター席に並んで座る「よぅ♪」ザックスがそうティファに言う「いらっしゃいませ♪珍しい組み合わせね…2人一緒なんて久しぶりじゃない」ティファは笑いながら2人にそう言う「だな…誰かさんは彼女が出来てから付き合い悪くてな…」ザックスは笑いながらそう嫌味っぽく言う「おい!お前が誘わないだけだろ…」クラウドがザックスにそう言い返す「相変らずね2人揃うと♪ザックスはビールね…クラウドは…バーボンのハーフロックでイイ?」ティファは笑いながらそう聞くクラウドは黙ってうなずく「そう言えば…お前と2人って久しぶりだな…」クラウドはそうつぶやく「あの日以来さ…」ザックスがそう答える「あの日…って…あぁ、そうか…」クラウドはその日の事を思い出し…少しうつむき加減にそう言う「まぁ、過ぎた事さ♪今じゃいい思い出さ♪」ザックスはそう言って笑う「そう言えば…あの日もこの席じゃなかった?」ティファはそう言いながら二人に飲み物を出す「そっか…そう言えばそうだな…並び方も一緒だ」ザックスはそう言って笑うクラウドはやはり気になるのか苦笑いでうなずく「だから…気にすんなって♪実を言うと…俺も最近ちょっと気になる人が出来てな…」ザックスはそう言ってクラウドの背中を軽く叩く「あら…初耳♪どんな子?」ティファがそうザックスに聞く「ヒミツ♪」ザックスはそう言って笑う「ケチ!」ティファはそう言って他のテーブルに向かう「アレだよ…以外と気が付かないもんだな…近くにいる奴って…」ザックスはそうつぶやいてビールの入ったグラスを見つめるクラウドはザックスの横顔を見る「じゃあさ…乾杯しようぜ♪」ザックスはそう言ってクラウドの方を向きグラスを突き出す「じゃあ…お前の恋の成功を祈って…」クラウドはそう言って自分のグラスをザックスのグラスに当ててフッと笑う「俺の恋の成功を祈って♪」ザックスはそう言ってクラウドのグラスに当て返すそして2人は思わず噴出して笑う「ってかさ、あの日もそう言って乾杯しなかったか?」ザックスが笑いながらそう言う「実は俺もそれを思い出してた…」クラウドはそう言って笑う「でも、ホントお前が幸せになれて…俺は嬉しいんだぜ♪」ザックスは真顔でクラウドにそう言う「なぁに…今日はやけに仲がいいのね♪何の話?」ティファはカウンターの内側に戻ってきてクラウド達にそう言う「フッ…男のの友情についてね♪」ザックスはティファにそう答えるクラウドはそれを聞いて思わず噴出す「はいはい…」ティファはあきれ顔でそう言う「そっか…あの日からもう1年も経つのか…」クラウドがグラスを見つめてそうつぶやいた…『1年前のティファの店』「ザックス、話ってなんだよ…」クラウドはいっこうに本題に入ろうとしないザックスにそう切り出す「いやな…実はさ…俺、ちょっと気になる女の子が居てさ…どう切り出そうか悩んでてね…」ザックスはそう言ってグラスのビールを飲み干す「きっかけか…」クラウドはそうつぶやく「そそ、でもな…女っ気のないお前に相談してもなぁ!」ザックスはそうクラウドに言って笑う「やっぱり…何かプレゼントとか…そうだ、誕生日とかそういうのわからないの?」ティファがザックスにそう聞くザックスは首を横に振る「ホント、俺…彼女の事を何も知らないんだよ…誕生日とか、趣味とか…」ザックスはそう言ってため息をつく「じゃあ…やっぱりプレゼントなんじゃない?」ティファはそう言う「いや…俺達って以外と給料安いんだよ…だからプレゼントって言ってもな…」ザックスはそう言う「何言ってるの!いきなりそんな高価な物とかあげないでしょ…花とか…そういうのでイイの♪」ティファはザックスにそう言っておかわりのビールをカウンターに置く「花か…花はちっとまずいな…」ザックスがビールを受け取りながらそう言う「なんで?花が一番手軽で効果的だと思うけどな…」ティファがそうザックスに聞く「いや…その子さ…花屋で働いてるのね…花なんて珍しくもないだろうし…俺が彼女よりも花のこと詳しくないしね」ザックスは苦笑いでそう答える「その話を聞いたら…絶対に花ね♪…ねぇクラウド♪」ティファはそうザックスに言って横で聞いていたクラウドに同意をもとめる「あぁ…そうだな…花屋で働いているって事は、その子は花が好きなんだと思うしな…花でいいんじゃないか?」クラウドもそう答える「それも一理あるけどよぉ…」ザックスはそうつぶやく「それに…花を選んだりこれから用意する事だって簡単だしね♪ねぇ~♪」ティファはそうクラウドに言って笑う「まぁね」クラウドは苦笑いでそう言う「おいおい…話が見えないって…なんでクラウドにそんな事ができるのよ!」ザックスはそうクラウドとティファに詰め寄る「だって…クラウドの彼女は花屋の経営者だしね♪このお店のお花を選んでくれてるのも彼女よ♪」ティファはそう勝ち誇った笑顔でザックスに言う「えぇぇぇぇぇえええええ!!!」ザックスはそのティファの発言に驚きクラウドを見るクラウドは苦笑いでただ頷く「お、お前…彼女いたのかよ…知らなかった」ザックスはそう言って落胆の表情を浮かべる「いや…話そうと思っててな…お前が誘ってきたし実は今日それを話すつもりだったんだよ」クラウドはそう言う「どう?ザックス…クラウドの彼女に相談してみたら?」ティファはそうザックスに言うザックスはうなずくものの…やはりショックは隠せないらしいそしてティファはクラウドに目で合図してクラウドは携帯で彼女に電話をかける「あぁ…俺…実はさ同僚とティファの店で今飲んでるんだけど…そうそう…ザックス…で、相談に乗って欲しい事があってね…こっち回れない?…うん、うん…わかた…ありがとう…じゃあ待ってるから…」クラウドはそう彼女と話…携帯をポケットにしまう「こっち寄ってくれるって」クラウドはティファとザックスにそう言って笑う「良かったじゃないザックス♪」ティファもそう言って笑う…ザックスはただ苦笑いでうなずく「じゃあ…成功を祈って乾杯したら♪」ティファがそう2人にそう言う「そうだな…じゃあ…お前の恋の成功を祈って…」クラウドはそう言って自分のグラスを突き出す「それじゃ…俺の恋の成功を祈って♪」ザックスはそう言ってクラウドのグラスに自分のグラスを当てるそして30分ほど経った時店のドアが開いて女の人が1人入ってくる「あ!エアリスいらっしゃい♪ゴメンね…無理言って…」ティファは入ってきた女性に笑顔でそう声をかけるクラウドはサッと彼女の元に行き上着とバックを預かり自分達の座っているカウンターに案内する「こいつがザックス…」クラウドがエアリスにそうザックスを紹介する「ザックスさんはじめまして♪」エアリスはそうザックスに挨拶してニコッと微笑む「彼女がエアリス…」クラウドはそう言ってザックスにエアリスを紹介する「・・・・・・」ザックスはエアリスを見つめたまま固まっている「ザックス…いくらかわいいからってそんなに見つめちゃ失礼でしょ♪」ティファはそうザックスに言って笑うしかし…ザックスは明らかに硬直している「どうしたの?」ティファがそうザックスに聞くその時…クラウドの脳裏に嫌な想像が浮かぶ「なぁ…まさか…ザックスが言った花屋の子って…」クラウドはそうザックスに言う「・・・・・マヂかよ…」ザックスはそうつぶやくそれを聞いたティファとクラウドが状況のすべてを把握する「な、何?どうしたの?」状況のつかめないエアリスだけがそうクラウドに聞く…その場の空気がエアリスを除いた3人に重くのしかかるコレが1年前にここで起こった出来事である「ホント…あの時はビックリしたよ…」ザックスがそう言って笑った時店のドアが開きレノが入ってくる「レノ…いらっしゃい♪」ティファは入って来たレノにそう言うレノはティファに手で挨拶をして…カウンターにクラウドの姿を見つけそこに歩いていくそしてクラウドの隣にザックスの姿を見つけ「何でお前がここにいるんだ…ぞと!」そう声を出さずに言うザックスはただ笑うそして…クラウドの隣に座りビールを頼みしばらく雑談を交わす1時間ほど話した頃だろうか…「クラウド…話、あったんじゃないのか?」レノはクラウドにそう言ってウインクするクラウドは意味がわからず一瞬キョトンとする「今日はそう言ってお前が誘ったんだぞと」レノはそうクラウドに言ってもう一度ウインクする「あぁ!そうだった…忘れてたよ…」クラウドはやや棒読みでそうレノに言う横にいたザックスが思わず噴出すレノはそんなザックスをにらみつける「いや…偶然、ブリッツのチケットが4枚手に入ってね…レノが好きだって言ってたからどうかな…ってね」クラウドはそう言って懐からチケットを出してレノに見せる「おぉぉぉ!コレはすごいぞと…」レノはチケットを見てわざとらしくそう言う「何?どことどこの試合?」ティファがそう言って会話に割り込んでくる「興味ある?エイブスとゴワーズのプレミアムチケットだぞと」レノはそう言ってティファに見せるティファの目が輝く「だけどな…クラウド…俺には相手がな…」レノは苦笑いでそうつぶやくそして…ビールを一口飲んで「そうだ!良かったら一緒に行かない?」レノは思い立ったようにティファを誘うティファは目を輝かせレノの手を取り何度もうなずくそしてレノはクラウドの方を見て「サンキュ♪」とばかりにウインクする「ティファだったのか…」クラウドはそうつぶやくレノは思わずクラウドに対して「しー!」と口に指を当てるどうやらティファはブリッツが好きでエイブスのファンだったようださすがは諜報課のエース…といったとこだろうか…しかし…ブリッツの話題で盛り上がる3人をよそにザックスの時間だけが止まっていた1年前と同じこの席での出来事に…そしてその事実にまだ誰も気が付いてはいなかった…『To Be Continued♪』
2011/12/01
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~第1話「特務強行課」~クラウドのバイクはハイウェイを抜けてミッドガルのほぼ中心にある神羅ビルの地下駐車場に入っていくこのミッドガルという街は世界のほぼ中心に位置していて1、2を争う大都市であるクラウドはバイクから降りエレベーターで自分の所属する特務強行課のある38階へと向かう特務強行課とは…第7種事件と呼ばれる普通の人以外の人および生き物等が関与した事件だけを扱う課であるこの世界には普通の人では持ち得ない異能の力を持った人や亜種…果てはモンスターと区分される凶暴な生物が存在するしかし…ひと時のそれに比べると今では第7種扱いの事件はほとんど見られなくなった故に特務強行課はとても暇である「あ!…クラウドさん…おはようございます♪」途中の階から乗り合わせた女性からそう挨拶をされるクラウドは何も言わず手で挨拶をする挨拶してきた女性はそんなクラウドを見てクスッと笑うけして無愛想な訳ではなく…ただ女性があまり得意でないだけであるクラウドはこの密室になるエレベーターも好きではないそしてやっと38階にたどり着く…時間にすればたった数十秒なのだがクラウドにとっては凄く長く感じる過酷な時間であるエレベーターを降りたクラウドは大きくため息をつく特務課に入り自分のデスクの上にエアリスが作ってくれた弁当を置く「羨ましいね~エアリスちゃんの愛妻弁当…」そう言ってクラウドの背後から一人の男が絡みついてくる男の名はザックス…クラウドの同期の同僚であり神羅が介入する前の警察時代からの腐れ縁である「ザックスおはよう…」クラウドは憂鬱そうにそう挨拶する「何…今日はまた一段とテンションが低いねぇ…」ザックスはクラウドの隣のデスクに座りそう言う「まぁな…寝覚めの悪い夢で起こされてね…」クラウドはそう言って苦笑いを浮かべる「エアリスちゃんに離婚でも言い渡された夢?」ザックスは笑いながらクラウドにそう言う「いや…エアリス絡みではあるけどね…」クラウドはそこまで言って言葉を止めるザックスもそれ以上はその話題には触れない「さて…今日も世界は平和そうなんで…トレーニングに励みますか♪」ザックスはそう言って大きく伸びをして座っていたデスクから降りる特務強行課は事件が無ければパトロールをする以外は有事に備えて体を鍛えるのが業務である2人は50階にあるトレーニングジムに向かう「あのぉ…クラウドさん…よろしければこのタオルを使ってください!」トレーニングジムの入り口でいきなり女性からタオルを渡される「あ…ありがと…」クラウドはタオルを受け取り苦笑いでそう答える女性はクラウドの顔をチラッと見て顔を真っ赤にして走り去る…「だぁ~~~!何でいつもお前なんだよ!」ザックスがそう叫ぶ「こ、これは持って帰れないな…」クラウドはタオルを広げてそう言うタオルには「クラウド☆LOVE」と刺繍されている「がぁ~~!!お前は結婚してて俺は独身だぞ!おかしいだろ!」ザックスがそう吠えるクラウドはそれに対して何も言えないそして2人がトレーニングを始めた時「特行は相変らず暇そうで羨ましいぞと」そう言って真っ赤な頭によれたスーツの男が入ってくる「レノ!なんど言やぁわかるんだ、俺達は特務強行課…勝手に特行なんて略すな!」ザックスがそう叫ぶこの赤い髪の男は『レノ』クラウドたちと同じ特務の諜報課に所属してる「クラウド…チケット取れたぞと」レノはザックスには見向きもせずクラウドにそう言ってチケットらしき物を内ポケットから出して見せる「チケット?」クラウドはそうレノに聞く「忘れるなよ…アレだよアレ!」レノはそう言ってクラウドに詰め寄る「あぁ…Wデートがどうとかってやつか…」クラウドは興味無さそうにトレーニングを続ける「ちょ…はっきり言うなよ!」レノは慌ててそう言う「だ、Wデートって…お前…彼女居たのかよ!」ザックスがそう叫んで会話に割り込む「お前には関係ないぞと」レノはザックスにそう言う「わかった…エアリスには話してみる…」クラウドは仕方無さそうにそう言う「で…今夜…時間取れないか?」レノはクラウドに聞く「…9時くらいまでなら…時間取るよ…」クラウドはそう答える「な、何の話だよ!俺にも教えてくれよ…」ザックスが寂しそうにそう言う「でよ…出切れば…お前がチケットを取ったって事にして…俺を誘って欲しいんだよなぁ…」レノはザックスの言葉には耳も傾けずにそう言ってクラウドにチケットを差し出すクラウドは無言でチケットを受け取る「ブリッツか…エアリス興味あるかな…」クラウドはチケットを見てそう言う「ブリッツのチケットなの?どことどこよ!」ザックスがクラウドの持ったチケットを覗き込む「うわ~…エイブスとゴワーズかよ…ミーハーだね…最近は何でもかんでもエイブスだよ…やだやだ」ザックスはチケットを見てそう言う「お前はうるさいぞと」レノはザックスに中指を立てる「つまり…俺が彼女の前でお前を誘えばいいわけね…」クラウドはレノを見てそう聞くレノは黙ってうなずく「わかった」クラウドはレノにそう言うレノはクラウドに手を合わせて頭を下げる「それじゃ…今夜7時…ティファの店で!頼んだぞと」レノはそう言ってジムを出て行く何事もなかったかのようにクラウドはトレーニングを続けるそしてしばらくした後「なぁなぁ、レノの彼女ってどんな子?いつから付き合ってんの?」とザックスが聞いてくる「さぁね…会った事は無いし…レノの話だと…まだ付き合ってはいないみたいだな…」クラウドは自分の知ってる範囲の事をザックスに話す「なるほど…つまりあれだ、今度のブリッツ観戦で仲良くなろうって事ね…」ザックスはそうつぶやく「みたいだな」クラウドはそう言う「だけどよ…それでうまくいったら独り身は俺だけじゃん…」ザックスは壁に手をついてつぶやく「いや…ルードが居るだろ…」クラウドはそうザックスに言うルードというのはレノと同じ特務諜報課の体のでかいスキンヘッドの男の事である「おい!あんなハゲタコと一緒にするなよ!」ザックスは苦笑いでクラウドにそう叫ぶ『レノの運転する車内』「ぶぁぁぁっくしょんん!!!」ルードがでかいくしゃみをする思わずレノがハンドル操作を誤る「おい!ビックリしたぞと」レノがルードにそう言う「すまん…」ルードはそう言う「カゼか?伝染すんじゃねぇぞと」レノは笑いながらそう言う「あぁ…大丈夫だ」ルードは笑いもせずそう答える「お前…彼女とはうまくいってるのか?まさかお前に先を越されるとは思ってなかったぞ…と」レノは懐から今にも折れそうなタバコを取り出して火を付けながらそう言う「うまくやってる…」ルードは一言だけそう言う「そっか、でもアレだな…お前に彼女が居るのを知ったらザックスの奴キレるだろうな♪」レノはタバコをふかしながらニヤリと笑う「なぜだ?」ルードは真顔でそう聞くレノは答えに困り…黙る『神羅ビルのトレーニングジム』「ふぇぇっくしょーい!!」ザックスがでかいくしゃみをする「カゼか?伝染すなよ…」クラウドがそうザックスに言う「いや…きっとどこかで俺の事を思ってため息をついてる子のせいだな…」ザックスはそう言う「幸せだな…お前…」クラウドはそうザックスに言う「おま!そりゃひでぇだろ…すっげー傷ついた…もう立ち直れないかもしれない…昼飯おごれ!」ザックスは笑いながらクラウドに絡みつく「わかったよ…悪かった…」クラウドはザックスにそう言うザックスは小さくガッツポーズをするなんだかんだといってザックスはクラウドに昼飯をおごらせる事が多いクラウドはもうその日常に慣れているそして…昼が過ぎ…2人はパトロールのために地下駐車場に降りる「あれ?クラウド…いつバイク変えた?」ザックスはクラウドのバイクを見てそう言う「あぁ…先週納車されてな…ただ変えたわけじゃない…前のは家にある」クラウドはバイクにまたがりながらそう答える「ふーん…でもこれどこのよ?何も書いてないけど…」ザックスはつぶやきながらクラウドのバイクの周りをグルグル回る「アルベド・モータースの新車らしい…」クラウドはそう言いながらキーを回しエンジンを掛けるクラウドのバイクが咆哮をあげる「へぇ~…けっこうイイ音させてんじゃん♪」ザックスはクラウドのバイクの音を聞いてそう言う「あぁ…エアリスは『うるさい!』って言うけどな…」クラウドは2、3回スロットルをふかしながら苦笑いを浮かべる「でも…新羅なのにアルベド製のバイクっていうのはまずくない?」ザックスは自分のバイクにまたがりながらそう言う「関係ないさ…それに、新羅はこういった事業からも手を引いたろ?」「まぁ…そうだけどさ…」ザックスはうなずきながらそう言った「でもよ…アルベドの新車ってこんな形だっけ?」ザックスはクラウドに聞く「これは新車って言っても発表前だからな…いわゆるプロトタイプってやつさ」「プロトタイプって…なんでそんなもん乗ってんだよ!」「シドがな…テストしてくれって持って来たんだ」「どうしていつもそういう美味しい話はお前のとこに行くかなぁ」ザックスは不服そうにそう言う「もう行くぞ!俺は今日は南側から東に回る…何かあったら連絡してくれ!」クラウドはそう言うとスロットルを全開にしてタイヤを滑らせ駐車場の出口に向けてバイクを走らせる「元気いいな…」ザックスは笑いながらそう言いエンジンを掛けてクラウドを追うように駐車場を出て行った…『To Be Continued♪』
2011/12/01
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『サラリーマン刑事クラウド』~プロローグ~クラウドの目に突然まぶしい光が差し込み、手をかざして目を細める…そして目が徐々に慣れ始める…そこは花が咲いていてとてもきれいな場所だった鳥のさえずりが聴こえるそしてその鳥のさえずりと共にどこか悲しげな歌が聴こえてくるクラウドは歌の聴こえてくる方向に歩く少し歩くと目の前にきれいな泉が広がる歌は泉の真ん中にあるテラスから聴こえてくるクラウドはその歌に誘われるように歩く…クラウドの聴き覚えのある歌声…それは間違いなくエアリスの声であるテラスへと続く橋に差し掛かった時テラスの中央にはっきりと女性の後姿が見える「エアリス…エアリスなのか?」クラウドがテラスの女性の背中にそう問いかける「クラウド…来ちゃダメ…」テラスの女性はそう答える「何を言ってるんだエアリス…」クラウドはそう言ってテラスに向かって橋を渡るテラスの女性の後姿がはっきり見える間違いなくエアリスの後姿であるそして、クラウドの足がテラスに踏み込んだ時エアリスの頭上に影が掛かるそしてクラウドは金縛りに襲われる「か、体が動かない…エ、エアリス!」クラウドはやっとの思いでそう声を搾り出しエアリスに向かって手を伸ばす…スローモーションの映像のようにゆっくりとエアリスにめがけ影が降りてくる「エ、エアリス!逃げろ!」クラウドは全身の力を振り絞りエアリスに向かって歩くしかし無常にも体がいう事をきかない「クラウド…ゴメンね…」エアリスが少し振り向きそう言った瞬間…刀がエアリスの体に突き刺さる「あぁぁぁ…」クラウドがそう声を漏らすそしてエアリスに舞い降りた影がクラウドの方に振り向く銀色の長い髪氷のように冷たい目「エアリスーーーーー!!!」クラウドがそう叫ぶその瞬間クラウドの目をまたまぶしい光が襲う…目が慣れてくる…目の前にエアリスの顔…「なぁに?」エアリスが笑顔でそう言うクラウドが周りを見渡す見慣れた寝室…「ゆ、夢か…」クラウドがため息混じりにそうつぶやく…「もぅ…突然大声で呼ぶからビックリしちゃったじゃない…怖い夢でも見たの?」エアリスはベットに座りそう言ってクラウドの頬に手を添える「あぁ…すごく嫌な夢だった…」クラウドが手で額の汗をぬぐいながらそう答える…「すごい汗…よほど嫌な夢だったのね…でも、もう大丈夫よ…怖くないからね…クラウドはちゃんとここに居るから…ね♪」そう言ってエアリスはクラウドに軽くキスをする「はい♪起きて下さいね…早く仕度しないと仕事に行く時間になっちゃうから♪」エアリスはそう言うと今度はクラウドの頬にキスをするそしてベットから降りると小走りで寝室から出て行く…クラウドは明るい朝日の差し込む窓を見る夢にまで見たエアリスとの幸せな新婚生活…クラウドは自分の唇を指で触る唇にまだエアリスのやわらかい温もりが残る「クラウド!遅刻!もぉ…お寝坊さんなんだから!」キッチンの方からそんなエアリスの声がするクラウドは慌ててベットから飛び起き身支度を整えるエアリスはとてもかわいくいい奥さんであるでも…怒らすと怖い…そして朝食を済ませ玄関に向かう「クラウド…忘れ物は無い?…ハンカチは?」エアリスはまるで小さな子に聞くようにクラウドにそう言うそして玄関の外まで送り出す「はい、お弁当♪」エアリスはそう言ってクラウドにお弁当を手渡す「じゃあ…行ってくる…」クラウドは弁当を受け取りそう言うしかしエアリスがクラウドの服の裾を引っぱり引き止めるクラウドが振り向くとエアリスが目を閉じて唇を突き出しているクラウドはこの行為が苦手である…周囲を見渡し誰も見ていないのを確認して軽くキスをする…そして小走りに車庫に向かいバイクにまたがりエンジンをかけるグローブをはめゴーグルをかける手を振っているエアリスをチラッとみてバイクを走り出させるクラウドが向かうのは神羅ビル元神羅カンパニーである神羅カンパニーはこの世界でも有数の大企業であったがこの春に社長のルーファスが突然すべての業務を独立させて警察機構を買い取ったつまり民間警察である…しかしその真意はいまだによく解らないクラウドは元々神羅の人間ではない…生粋の刑事であるしかし…神羅が警察を買い取った以上クラウドも今は神羅の人間でありサラリーマンである…それが嫌で警察をやめていった人もたくさん居る…クラウドも決まった直後は悩んだが結局残留を選んだ神羅ビルに向けてハイウェイをクラウドのバイクが駆け抜ける朝日を受けてクラウドの胸で警察と神羅のバッチが光る…『To Be Continued♪』
2011/12/01
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『Fantasy Earth Zero』~メルファリア大陸の物語~第二章・第8話「一歩前へ…」「マスターの1人?」アイナはルミナスの言葉に聞き返した「そう…いずれ会うと思うけど…この部隊にはね3人のマスターが居るのよ」ルミナスはそう言って微笑む「今の方々は?」アイナは来た時に出て行った人たちの事を聞いた「みんなあなたの先輩よ…それぞれが別の顔を持って生活してるので氏素性は…」ルミナスがそう言いかけた時どかぁぁぁん!「寝過ごしちまったぜい!」入り口のドアが盛大な音で開きそんな男の声した「例外はいるがな…」ルミナスはそう言ってうなだれるアイナはそれを見て苦笑いを浮かべつつ入口の方を見る今は入口が薄暗いためよく見えないが確かに入ってきた男はケープ等で姿を隠してる様子はなかったそしてずかずかとこちらに向かって歩いてくる徐々にあかりでその男の姿が見え始め顔まで完全に見えた時…アイナは目を見開いたそれは昼間助けてくれたブッチと名乗った男だったからだ「へぇ…今日はルミちゃんが当番ね…」「何度言ったらわかる?私はお前の上官よ…いい加減ちゃんと呼んでもらいたいのだけど」「だから…ちゃんとチャンを付けて呼んでるっしょ?w」ブッチはそう言ってルミナスの顔を覗き込むルミナスはプイッとそっぽを向く「で…今日は仕事あんの?」「ちゃんとした時間に来てればあった…以上」「ちょいちょいちょい…今日はつれないじゃん…この前の夜はあんなに激しく…」「ちょっと誤解を招くような表現はやめてよね!」「だはははは!…さて、仕事がないんじゃ居てもしょうがないか…じゃね♪」ブッチはそう言って口笛を吹きながらその場を後にした…アイナは苦笑いを浮かべる「か、勘違いしないでよ…ホントにあいつとは何でもないんだから!」ルミナスはアイナに身の潔白を力説したそしておもむろに咳払いをすると「では…今日からソーサラーとしての手ほどきをしましょう…本来なら新兵は駐屯地にて訓練を受けないといけないのだけれど…あなたは受けてるしね…例外という事で…よろしい?」そんなルミナスの問いかけにアイナはうなずいて返事をしたアイナは窓から差し込む朝の陽ざしで目を覚ます「ふわぁぁぁぁぁ…」そんな大きなあくびと共にその場で伸びをした…そして起きようとした時に体の異変を感じる「なに…なんか…体が怠い…良く寝たような気がするんだけど…」それでも洗濯などやらなくてはいけない事もあるので重い体に鞭を入れるかのように気合いを入れてベットから起き上がったアイナは身支度を整えて洗濯物を抱えると下の階へと降りた階段を降りたところでミズキとはちあわせる「うん?アイナちゃんおはよ~♪今日は洗濯日和よ~♪」そう言ってミズキは鼻歌を歌いながら洗濯物を持って裏口から出て行ったアイナもペコリとお辞儀をして後をついていきミズキと並んで洗濯を始める洗濯の間中ミズキは鼻歌を歌っていたその姿はとても楽しそうだった「隊長は…お洗濯好きなんですか?」そんなアイナの質問にミズキは微笑んで答えた楽しそうに洗濯をするミズキを見ていたらなんとなく体の怠さが和らいだ気がしたそしていち早く洗濯の終わったアイナが干し始めると「ふーん…アイナちゃんはけっこう地味な下着なんだね…」ミズキがそう声をかけてきた「え?…いや、まだそういうのにお金をかける余裕ないし…」アイナは恥ずかしそうに洗濯物を隠す「おふぁよう…なぁに?…2人とも早いのね…」洗濯かごを抱えてまだ眠そうに眼をこすりながらフネが裏口から出てきた「おはようございます」アイナがフネに挨拶を返すと「お洗濯日和でしょ~♪早く起きちゃったw」ミズキがそう言って笑う「まったく…楽しそうに下着洗わないでよ…」フネはちょっと不機嫌にそうミズキに言ったミズキはそんな言葉を気に留める事無く洗濯を続けはじめた「うん?…………」フネは寝ぼけ眼をこすりながらそんな声をもらして洗濯かごをあさるその時「ほら~これなんて可愛くない?」ミズキはそう言ってアイナにフリルがいっぱいあしらわれた淡いピンクのパンツを見せる「わぁお!…これセクシィ~…ほら♪」今度は黒地にピンクのレースのタンガのパンツを見せる「あとあとぉ…これ!これなんか紐で結ぶんだよ~♪ほどかれたら…ハラ~って…いやぁ~んドキドキしちゃうよねぇ♪」ミズキはそう言ってアイナに見せた純白のパンツを握りしめて悶えるそれを見たアイナは苦笑いを浮かべる「そうだ!…今度さヴィネルに下着を買いに行こうよぉ~♪」ミズキが満面の笑みでそう言った時「み~ず~き~さん?…今のは誰の下着かしら?」そんな事を言いながらフネが顔をひきつらせながらミズキを背後から見下ろしていた「ほらぁフネちゃんいつも起きるの遅くて慌ててお洗濯してるからさぁ…手伝ってあげようかなぁ…ってね…テヘッ♪」ミズキはそう言って微笑み返した「て、テヘッ♪…じゃねぇよ!ひ、人の下着を鼻歌混じりで楽しそうに…ってか手伝うとか言って下着だけ抜き取ってんじゃねぇかこのド変態が!」そう言ってフネは鬼の形相でミズキを蹴ろうと足を振り上げるミズキは慌ててアイナの背後に回り隠れる「ほぉぅ…アイナちゃんを盾にするなんて…どんだけ卑怯者なの?…アイナちゃん動いちゃダメよ…怪我するから…」そう言うが早いかフネの鋭い蹴りがアイナの頬の横を突き抜けてミズキにヒットする「だぁぁぁ!ゴメン!フネちゃん許して!」「いいえ…今日という今日は許しません…」フネは許しを請うミズキに指を鳴らしながらにじり寄る「だ、だって…私の下着よりフネちゃんの方が可愛いのいっぱいあるしさ…やっぱりぃ可愛い下着の方が洗濯してて楽しいでしょぉ?…女の子だもん…テヘッ♪」ミズキはそう言って笑う「な、なにが女の子だもん…だ!それから…て、テヘッ♪って言うなぁぁぁ!!」フネがミズキを捕まえると怒涛の攻撃を叩き込む(「あ、相変わらず…あの2人は朝からファンキーね…起きちゃったじゃない…」)「おはよ♪」(「あ…ゴメンね…昨日寝付けなくって…寝坊しちゃった」)「ううん…こっちこそ…なんか私だけしっかり寝ちゃって…」(「気にしないで…まぁ、私はいつでも寝れるし…それより…もう…平気?」)「え?…あぁ…平気と言えば嘘になるけど…無事だったし…それにね…あの人たちが言ってたのも間違いじゃないから…」(「うん?どういう意味?」)「だって…無警戒だったのは事実だし…街の中だからといって弛んでたんだと思うから…」(「そうね…確かに弛んでいたかもね…これからはお互い気を引き締めないとね…」)「そうだ!」(「???」)アイナは突然ポンと手を打った「あのぉ…お取込み中ごめんなさい…」アイナはそう言ってミズキとフネに話しかけるマウントポジションを取って拳を振り上げているフネが振り返る「えっと…昨日、セスタスのお店のロンさんから聞いたんですが…お仕事を探す方法でバーに行ってみたら?って言われたんですが…私でも出来るお仕事ってあるんですか?」フネは振り上げた拳を下ろしてしばらく考え込む…「うーん…そうね…あるにはあるけど…なんで?」フネは逆に聞き返してきた「昨日…装備ダメになっちゃったし…すぐに買う事は出来ないから…」アイナはそうフネに告げてうつむいた「お給料の前借り…とかじゃ嫌?」フネはにこっと微笑んでそう聞いてくる「う、うん…できれば…まだたいして役に立ってないですし…」アイナはそうつぶやくように言う「わかった…ちょっと待ってね」フネはそう言うとぐったりしているミズキの襟首を掴んで引き起こすと睨みをきかせてからミズキを開放するそしてアイナを手招きして店内へと入って行ったアイナはその後をついて行くフネはアイナをカウンター席に座らせると目の前に何かが入った重そうな皮袋を置いた「さて…ちょっと大変なお仕事だけど…大丈夫?」フネはそう言ってアイナを見る「え、えっと…私にできそうな事であれば…が、頑張ります」アイナの答えを聞いたフネは数回うなずいて微笑む「まぁ…内容的にはそんなに難しいお仕事じゃないのよ…その革袋をある人の所に届けて欲しいの…それだけ」フネはそう言ってカウンターに置いた革袋をアイナの方に押し出すアイナはその革袋を持とうとして驚く「!!!…思ったより重いんですけど…これは?」アイナは苦笑いを浮かべてフネに質問する「お金w」フネはあっさりとそう答えてほほ笑むアイナは苦笑いを浮かべるほかなかった「届ける先はヴィネル島の遊技場前にある換金所…ヴィネル島には定期船が出てるからそれで行けるから…あと、もしもそこで頼まれ事を依頼されたら…そうねぇついでだから受けちゃって♪」フネは満面の笑みでそうアイナに告げたアイナはフネにお辞儀をすると革袋を預かって店を出て行ったこうしてアイナは届け物という仕事をこなすためヴィネル島に行く事となった…『To Be Continued♪』
2011/09/04
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『Fantasy Earth Zero』~メルファリア大陸の物語~第二章・第7話「ナイトメア」男が最後のシャツのボタンを引きちぎった時「まったく…お前等みたいなクズがいるから…俺たち傭兵稼業全員が同類に思われちまう…反吐が出るぜ…」そんな声と共にアイナの上に乗った男を蹴り飛ばした「だ、誰だお前!」周りに居た男たちが武器を手に身構えながらそう言うと「残念ながらお前等みたいなクズに名乗るような名前は持ってないんでね…w」現れた男はそう言ってサングラスを指で押し上げると持っていた大剣を地面に突き刺してアイナの手を引いて起こす「くっそ…邪魔しやがって…」蹴られた男も起き上って武器を構える瞬殺…まさにそんな言葉でしか形容できなかった大剣の男が突き刺した大剣を残したまま男たちの目の前から消えると次々とうめき声をあげながら男たちはその場に崩れ落ちていった「小物ばかりだな…たいした稼ぎにはなりそうもないが…まぁいいか」大剣の男はそうつぶやくとチャットを操作して誰かと何かを話していたそしてチャットをしまうと起き上ったものの立つ事すらできずその場に座り込んでいるアイナの目の前にしゃがむ「へぇ…部隊に入ってるのか…黒猫………ああ、あそこか…」男はアイナが抱きかかえてる装備についた部隊章を見てそうつぶやくアイナは無言でうなずく「まぁアレだ…街の中もけして安全ではない…そういう事だ…立てるか?」男は表情を変える事無くアイナにそう聞くアイナは無言で首を横に振る…そしてそのまま気を失った「めんどくせぇなぁ…」男はそう言って頭を掻きながらアイナを担ぎ上げるとバーに向かって歩き出したそしてバーに着くと男はアイナを担いだまま入り口のドアを開ける薄暗い店内にドアに付けられたベルの音が響く「表の看板に準備中って…!!!!」カウンターの内側でグラスを拭いていたフネがそう言いかけた所で声を止める男はその場にアイナを下すと何も言わずドアに手をかける「あ、アイナちゃん…どうしたの?大丈夫?…ち、ちょっと!何があったのよ!」フネは軽々とカウンターを飛び越すとアイナのもとに駆け寄って声をかけた後…無言で立ち去ろうとする男にそう投げかける「ゴロツキ共に襲われてるのを…偶然通りかかった俺が助けた…それだけだ」「それだけ…って…」「俺は助けた…うんで動けないそいつをここまで運んだ…礼を言われる事はあっても声を荒げられる覚えはないがね」「あ…ごめんなさい…つい…えっと…その」「別に礼が欲しいわけじゃない…俺は俺でさっきのゴロツキを役人につきだした褒賞をもらえるんでそれで十分さ…ただ、その子によく言っておきな街の中だってのんきにフラフラ歩いてると足元すくわれるって事をな…」「わかった…確かにその件はちゃんと教えてなかった私たちのミスね…肝に銘じておくわ…ところで…あなたの名前は?今は不在だけど…せめて隊長が戻ったら伝えないといけないから…」「名前か…」男は振り返る事なくそうつぶやいて言葉を止める「ブッチ…そう覚えておいてくれればいい」「ブッチ…?」「ぶっちぎりに強くて…ぶっちぎりにカッコいい!…俺にピッタリだろw」男はそう言うとやはり振り返る事なく店から出て行った「堂々と偽名だって宣告するとか…度胸もぶっちぎってるわね…」フネは男が出て行ったドアを見つめてそうつぶやいたそして気を失ってるアイナをアイナの部屋に連れて行きベットに寝かせる「最近…新人を狙った強盗がいるとは噂で聞いていたけど…甘かった…」フネは窓から外を眺めながら舌打ちをする「アイナちゃん…今日はお店いいから…ゆっくり休んでね」フネは気を失ってるアイナにそう声をかけてアイナの部屋を出たそしてミズキの部屋の前に行きノックする「ミズキ…入りたくはないけど入るわよ…」そう言ってフネはミズキの部屋のドアを開ける「フネちゃん…体中が痛いよぉ…」「自業自得でしょ!…それより…この部屋…もう少し何とかならないの?」フネはミズキにそう言い放つとものすごく散らかってるわけではないが…けしてきれいとも言えない部屋を見回してため息をついた「これでも片付けたんだけどね…ダメ?」「まぁ…今日の所はこのくらいで勘弁するけど…ちゃんとしてちょうだいね…」フネはそう言いながら床に転がってる酒瓶を拾うとテーブルの上に乗せる「で?…フネちゃんがわざわざ私の部屋を訪ねてくるって事は…何かあったって事でしょ?」ミズキはそう言ってベットから起き上がってカーテンを開ける「さっき…アイナちゃんを送り届けてくれた人がいてね…」「送り届けるって…迷子にでもなったの?あの子…」「迷子程度ならわざわざ報告に来ないわよ…」フネのそんな言葉を聞いてミズキの表情が変わる「どうやら強盗にあったみたいね…金品狙いではなく本人狙いの…」「ちょ!それは…」「うかつだった…うわさでは聞いていたんだけど…」「参ったわね…で、犯人は?」「連れてきた男の話だと…役人につきだした…って言ってたけどね…」「誰?」「ブッチだって…そう名乗ってた」「ブッチ…聞かない名前ね…」「ぶっちぎりに強くて…ぶっちぎりにカッコいいから…ブッチらしいわ」フネはそう言うと苦笑いを浮かべる「なるほどね…覚えておくわ…で、どんな状態?…被害とか…ほら…」「そうね…見た感じでは未遂…だと思うけど…気を失ってるから…とりあえず今はそうっとしておこうかと…」「ふぅ…参ったわね…」「じゃあ私は…彼女の装備…用意してくるから店の準備よろしくね…」「えええええ!嫌よ!今週はフネちゃんの番じゃない…あ!…イタたたた…」ミズキはそう言って右の脇腹を抑えてうずくまった「へぇ…そこが痛いの…じゃあ…すぐに治してあげるわ」フネは指を鳴らしながらあやしく笑う「え?…な、治すってどうするのかしら?」ミズキが苦笑いで聞き返すと「簡単よ…他をその3倍痛めつければ…脇腹の痛みなんてすぐ治まるから~♪」「あ…あれれ?なんか急に痛みが治まった!…うん、全然痛くない!不思議だなぁ~あははははぁ」ミズキはそう言って笑いながら飛び起きたそれを見たフネは満足げに笑ってミズキの部屋を後にしたそしてどれくらい時間が過ぎたのか…(「ねぇ…大丈夫?」)そんなもう1人の自分の声で意識を取り戻した「う、うん…」(「とりあえず…フネさんが今日はお店はいいって…ゆっくり休みなさいって言ってたわ」)「うん…」(「もう!シャキッとしなさいな!…できないならその体…私がもらうわよ!」)「え?」(「怖かったのはわかる…私も怖かったから…でもね…何もできなかったのは未熟だったって事じゃないの?」)「うん」(「私も含めて…もっと強くなるしかないの…あなたには私がいる…1人じゃないんだから…一緒に強くなるの…」)「うん…わかった…」(「じゃあ着替えるわよ!」)「うん♪」そしてアイナは制服に着替えてお店へと降りて行った店に入ったところでフネとはちあわせる「あ、アイナちゃん…今日は休んでていいよ…」フネが働きに出てきたアイナを見てそう言うとアイナは首を横に振って答える「大丈夫?」今度はカウンターの内側でお酒を作っているミズキが聞いてくる「はい…ご心配おかけしました…」アイナはそう言って頭を下げた「そっか…じゃあ値引きはしないわよ♪」ミズキはそう言って微笑むと自分の仕事に戻った「辛かったら…声かけてね」フネもそう言ってアイナの肩をポンポンと叩くとキッチンから届いた料理をトレンチに乗せて店内に戻って行ったアイナはその場で深呼吸すると「よし!…………………いらっしゃいませ~♪」そう声を出して笑顔で店内へと出ていったそして…慌ただしい営業時間が終わる…ホールやキッチンを片付けてメンバーがテーブルを囲み一息ついてる中「今日は先に休みます…お疲れ様でした♪」アイナはニコやかな笑顔でお辞儀をすると自室へと戻って行った「アイナちゃん…大丈夫かな…」フネが心配そうにアイナが去ったドアを見つめる「うん…でも、こればっかりは本人の問題だからね…まぁ、あとで様子を見つつ添い寝を…」「ミ~ズ~キ~…まだわからないのかしら?」ミズキの言葉を聞いたフネがそう言って指を鳴らす「あ、いや…冗談よジョーダン…いやねぇ」ミズキは苦笑いでそう答えた「にしても…街中も安心できないなんて嫌な世の中になったね…」ノヴァはそう言いながらテーブルに乗ったチーズをつまんだ「そうね…」フネもそう言ってため息をつくそして…深夜…アイナはベットから起きて身支度を整えるそして…ケープを羽織りフードを深くかぶって顔を隠す「よし…これでOK…みんなまだ起きてるのかなぁ…まぁ、どのみちお店の入り口からは出れないか…」そうつぶやくとバルコニーに出ると深呼吸をしてヒラリと飛び降りると月明かりに照らされるだけの薄暗い広場を駆け抜けるそして…以前にソーサラーのマスターに指定された街外れの教会のドアを押し開く「あら…本当に来てくれたのね…」入ってきたアイナに気が付いたソーサラーのマスターがそう言って微笑むするとその周りにいた数人の人物が一斉にアイナの方を見るその場にはマスター以外に4人いたが…アイナ同様ケープを身に着けており誰なのかすらわからなかった「じゃあ…私はあの新人に手ほどきをするので…皆はいつも通りお願い…」マスターはそう言うと周りにいた4人は無言で散って行ったアイナは警戒をしつつマスターの元へと歩く「ようこそ…教導連合の特別部隊『ナイトメア』へ…私がマスターの1人、ルミナス…よろしくね♪」ルミナスと名乗ったソーサラーのマスターはニッコリと微笑んだ…『To Be Continued♪』
2011/08/27
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『Fantasy Earth Zero』~メルファリア大陸の物語~第二章・第6話「ベインワット」『ネツァワル王国・首都ベインワット 商業区』「うわぁ…大きな橋…であれがこの国のお城かぁ…」(「ま、私たちには縁遠い場所ね」)「えっと…一段下にソーサラーのお店…そこがウォリアーさんの店で…そっちがスカウトさんのお店…道具屋さんに…隣は何屋さんなんだろ…で、銀行があって…宅配屋さんかぁ」(「ホント…一等地ね…ここは」)「うん♪…良かったね♪」アイナはそうつぶやいて自分たちが生活を始めたバーを見上げた(「へぇ…セスタスの店は市民街みたいね…あ!後ででいいからソーサラーの店に寄って♪」)「うん?…うん、いいよ♪」アイナは…なぜソーサラーのお店?と一瞬思ったが特に追求せず市民街へ向かった「なんか…平和だよねぇ…」(「どうしたの?…急に」)「いや…戦争中なのに…なんかそんな気配を感じないっていうか…なんとなく」(「ここが首都だからじゃないの?この街中が慌ただしくなった時は…アウト!そういう事じゃないのかなぁ」)「そうなのかなぁ…」アイナはそんな会話をしながら市民街に続く道を歩くそんなアイナを物陰から見つめる複数の影があったそして斧のモニュメントをくぐって市民街に入る「ここがセスタスのお店だね…」アイナは店内に飾られた武器や防具を見回す「いらっしゃい…今日はどうするかね?」店内を眺めていたアイナに店主と思われる白髪の男性が声をかけてきた「え、えっと…見に来ただけで…ごめんなさい」アイナはそう言って男性に頭を下げた「ふぉっふぉっふぉ…気にする事はないその様子だと新人さんかね?ワシはセスタス専門店の店主をしておるロンじゃ」ロンはそう言ってアイナに握手を求めてきたアイナはペコリとお辞儀をしてロンの手を握る「おぉぉぉ…若い娘さんの手は柔らかいのぉ…」ロンのそんな言葉にアイナは思わず慌てて手を振り払った「じゃあ…簡単に説明しようかのぉ…」「お、お願いします」ロンはそう言って深々と頭を下げるアイナを見て細い目をうっすら見開いてにこやかに笑う「まずは通貨からじゃな…生活をするのに通常我々が使っているのがこれじゃ」そう言ってロンはコインとお札をカウンターに出して見せる「コレがゴールドじゃ…まぁ銀貨と紙幣だが…なぜにゴールドなのか…それは…」「それは?」「それはな…」アイナはロンの取る間につばを飲み込む「ワシも知らんwふぉっふぉっふぉっw」アイナはそう言って笑うロンを見て苦笑いを浮かべる「そして一般的に流通している通貨の1つがリングじゃ」そう言って今度はさっきの銀貨よりひとまわり大きい金貨をカウンターに出す「このリングはじゃ…王国が兵士に対して与えてる通貨じゃな」「さて…この金貨がなぜ輪っかではないのにリングと呼ばれるか知っているか?」「いいえ…」アイナは首を横に振って返事をする「そうか…知らんのか…ふぉっふぉっふぉっ」ロンは口元を手で触りながら意味ありげに笑う「何でですか?」「うん?…ワシも知らんw」アイナは苦笑いを引きつらせる「で…最後はこれじゃ…」ロンはカウンターにカードを置く「コレもお金なんですか?」「いや…これ自体はただのカードでなぁ…この中にオーブと呼ばれる通貨の金額が書き込まれるんじゃよ」「へぇ…で、オーブって?」「オーブとはな…ヴィネル島の通貨でな…ヴィネル産の武器、防具、アイテム…カジノ等で使える専用の特殊なお金じゃな」アイナはいまいち理解できず首をかしげる「このカードはヴィネル島に行けば作ってもらえてな…そこの換金所に金を預けるとその金額に見合ったオーブをカードに書き込んでくれるのじゃよ」「へぇ…」「ジャラジャラせんからな便利じゃぞ」「そうですね…」「ただし…無くしたら全額水の泡じゃからな…気を付けねばならんな」「そ、そうですね…」「さて…なぜヴィネル島の通貨なのにヴィネルではなくオーブと呼ぶのか…聞きたくはないか?」ロンはそう言ってニヤリと笑う「し、知らないんですよね?」アイナは恐る恐るそう聞き返す「・・・・・・つまらんのぉ」ロンは残念そうにうなだれた(「通貨の情報はありがたかったけど…無駄な時間な気がしてきたわね…」)アイナはそんな声に苦笑いを浮かべるしかなかった「さてと…では商品の話をするかのぉ…お主は新人だからおそらくリングもたいして持ってないだろうし…オーブもないからしばらくはゴールドで買える商品を選ぶほかあるまい」アイナはうなずいて返事をする「手甲はそうじゃな…このメガセファラムを目指すとして21,680ゴールドじゃな」アイナは提示された金額に目を見開く「防具じゃが…このラダピスシリーズを目指すとして全部買うと51,756ゴールドじゃな」アイナは苦笑いを浮かべた「そんなにビックリする金額ではない…街の人たちと話をするとな色々な依頼や儲け話が転がっておるし…そうじゃ!広場のとこのバーに行ってみるといい…あそこには色々な情報や依頼が舞い込むからなきっとお主のようなヒヨっこでもできる仕事があろうて」ロンは腕組みをして何度も首を縦に振り満足げに笑う「ありがとうございました…今度バーに行って相談してみます」(「灯台下暗し…ね…」)「うんうん勤労は尊い物じゃからな…まだ時間はあるかな?…武器と防具の重要な話をしておかねばならんのだが…」「えっと…じゃあお願いします」アイナはそう言って頭を下げるロンは満足そうに何度もうなずくとカウンターに2つの手甲を並べた「こっちがゴールドで買えるメガセファラム…で、こっちのスゴイのが…オーブで買えるベヒーモスじゃ」(「な、なにこれ…やっぱり私の趣味じゃないわね…この職の装備は」)「あはははは…」アイナは苦笑いで答える「で…この2つ…どっちの方が性能が高いと思う?」ロンは不敵な笑みでそう質問してきた(「どう見ても…こっちでしょ…」)アイナはうなずくとベヒーモスの方を指さした「正解じゃな…ただしこのメガセファラムも手を加える事で同じ性能に上げる事が出来る」「へぇ…」アイナがそう答えると「ここがポイントでな…戦場に赴くためにはどんな装備でも性能を最大限に上げる…コレが重要なんじゃよ…これに関しては防具も同じじゃ」「そうなんですか?」「うむ…やはり性能が低い装備や武器では受けるダメージも与えるダメージも違う…まぁ絶対とは言わないが…極力そうする事が求められるんじゃよ」「なるほど…」「手を加えるために必要な物は道具屋に売ってるので…その時が来たら相談するといい」「わかりました♪」「うむ、良い返事じゃな…これにてワシの講義は修了じゃ…いつでも気軽に遊びに来るとよい」ロンはそう言ってアイナの頭をなでるアイナはロンに深々と頭を下げて店を後にした(「期待はしてなかったけど…この職の装備…すごいデザインの物ばかりね…」)「そっか…やっぱり嫌かぁ…」アイナはそんな声にしょんぼりする(「あ…悪気があって言ってるんじゃないわよ…あくまでもセンスの話だから」)「そうだ!ソーサラーのお店見るんだっけ?」アイナは思い出したかのようにそう言って手を叩く(「ああ…うん、そうしてもらえるとありがたいけど…寝る時間とか大丈夫?」)「うん平気だよ♪」そしてアイナは商業区を目指して歩くしばらく歩いた時(「ねぇ…」)「うん?」(「気にならないの?」)「なにが?」(「だから…その…ソーサラーのお店が見たいっていった事」)「ああ…気になったけど…なんかきっと理由があるんだろうし…そのうちちゃんと説明してくれるかなぁ…ってね」(「うん…実はね…!!!!」)アイナの中のアイナがそう言いかけた時…アイナは背後から誰かに口をふさがれ抑え込まれた振りほどこうともがいてはみたが、それ以上の力で抑え込まれてどうする事も出来なかったそしてそのまま建物の間の細い路地に引き込まれるそこには数人の男たちがたむろしていた「ヘッ…新人って奴は本当に無警戒だなw」「街の中も安全ではないって事を俺たちがたっぷり教えてやるよw」「俺たちゃ親切だからさ…授業料とかは無料にしといてやるよ…その代りボロボロになるまで楽しませてもらうけどなw」男たちはそう言ってニヤニヤと笑う「へぇ…上玉じゃねぇかよ…売り飛ばすのがもったいないな…って事でじっとしてれば怪我する事もないし…すぐに気持ちよくしてやるよw」そう言って男は目の前にナイフもチラつかせるアイナは口を塞がれているというのもあるがそうでなくても恐怖で叫ぶことすらできなかった「そうそう…すぐだぜw…この前の奴なんか最後には自分からしがみついてきてたもんなww」「そうだったなぁ…ありゃたまらなかったなww」「それにしても金持ちの奴等はいい客だよな…俺たちが散々楽しんだお古を高額で買ってくれるんだからよ」「ホントだぜ…お前もそういう金持ちの所で暮らせるんだからよ…運が良かったって事だぜw」「まぁ金持ってるってだけのヒヒ爺のナニを毎晩相手にさせられるけどな…それでもイイ暮らしはできるぜ」「さっさと犯っちまおうぜ!俺は我慢できねぇよ」「そう急かすな…じっくり楽しもうぜ恐怖にひきつった顔が快楽に溺れてく様とか…たまらねぇ」男の1人がアイナを押し倒し上に乗るとアイナの顔を覗き込んで薄ら笑みを浮かべる周りにいる男たちも下品な笑い声をあげる「それにしても新人の装備はいいねぇ…作りが簡単だからナイフでバラす事が出来る」ナイフがアイナの胸装備の紐部分を切り裂き装備が外されてしまう男は手に持ったナイフをアイナの顔の横の地面に突き刺すとシャツのボタンを1つづつ下の方から引きちぎっていく心の中でもう1人のアイナが何度も叫ぶがアイナは恐怖が頂点に達して抵抗する気力すら失っていた「へぇ…胸の大きさは俺好みではないが…まぁこういった貧乳を好む奴は喜ぶだろうなw」男はアイナを見下ろしながら下衆な笑いを浮かべた…『To Be Continued♪』
2011/08/21
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『Fantasy Earth Zero』~メルファリア大陸の物語~第二章・第5話「焔」『ゲブランド帝国・首都ルーンワール 平民街』「ここも相変わらず…か………まだまだだな…」ラフなタンクトップ姿で歩くライルがそうつぶやくように言う「いえ…ライル様はよくやられてます…」そう答えるケイに対してライルは鼻で笑うそしていち早くライルを見つけた子供たちが満面の笑みを浮かべて駆け寄ってくる「ライル様…お話聞かせて♪」「お話!お話!」子供たちは落ち着き無くライルの周りを飛び跳ねるライルはため息をつくと石垣に座りケイに目で合図をしたケイはうなずくと子供たちを座らせてアメを配ったそれを確認したライルはエスセティア大陸の話を始める子供たちは瞳を輝かせてライルの話に耳を傾けたオークやリザード…グリフォンなどライルは子供たちが見る事はないモンスターの話を聞かせたこんなご時世だというのにライルは一度たりとも戦争の話はした事がなかった以前に…ケイがその事を質問すると「あいつらにはまだ早い…それにな俺が俺の目線で見てる争いの話を聞かせたらあいつらが俺と同じ目線で物を見るようになっちまうだろ?…王としてそれだけはやっちゃいけない…」ライルはそう答えた…その時ケイはライルの背中しか見ていなかったのでライルがどんな表情でその言葉を口にしたのかわからなかった…しかし確実にその時のライルから王の資質を感じたのだったケイはそんな事を思い出してしまい子供たちに話を聞かせているライルを見てクスッと微笑んだ「てめぇ!なに笑ってんだ!次はお前が話を聞かせてやれよ!…疲れちまったぜ」照れ隠しなのか…ライルはそんな悪態をついた「あ!忘れてた…」その時…子供の1人が突然思い出したかのようにそんな声をもらすライルとケイが顔を見合わせていると「ライル様…この前のお友達の人がさっき来て…しばらく釣りしてるからって伝えてくれって」その言葉を聞いたライルは顔色を変えて子供に場所聞くライルはケイにその場を任すと慌てて走り出した城がよく見える川の畔に赤い髪の男はいた(「こいつか…」)ライルは警戒をしつつ男に背後から忍び寄る…すると「やっと会えましたね…そろそろあきらめて帰ろうかと思ってたとこです」男はライルを見ることなくそう言ったライルは少し距離を置いて座る「何者だ?城に居てもわかるほどの威圧感を出しやがって」ライルもまた男を見る事無くそう言う「申し遅れました…私は焔と申します…この世界の創造主です」焔はそう答えて垂らしていた釣り糸を引き上げるそして針に餌を付け直すとまた川へと投げ入れた「フッ…フハハハハハハ!…創造主ときたか…そりゃまたでかく出たなw」ライルは焔の答えを聞いて笑い転げたしかし焔はその態度に見向きもせずに「本当の事ですから…仕方ありません」声色を変える事もなくそう答えたさすがのライルもそんな焔の態度に笑うのをやめる「で?その創造主様とやらが俺に何の用だ?」ライルはまた焔に質問した「そうですね…聞きたい事は色々とありますが…あなたの成そうとする事と…その先にあるもの…今日はそれについてだけ聞きに来ました…教えて頂けますか?」焔がそう答えた時…持っていた竿がかすかに揺れて魚がかかった事を伝えた「成そうとする事?その先にあるもの?…なんでそんな事を聞く?」ライルは質問に質問で返した「私はこの地を想像してから…ずっとあなた方…つまり堕ちた魂を見てきました。…平穏だったのはひと時の間…魂同士の持つ「因縁」という因果関係を絶つ事はできず争いが起き始めそれが次第に起きくなり今に至ったわけです」焔は釣れた魚を引き上げながら相変わらずライルを見る事無く話しをするライルはただ無言で焔の話を聞く「私としては…私が介入する事なく魂同士が自らの力で平穏な日々に戻ってくれたら…そんな期待をして傍観してきましたが…正直、この世界を支えているクリスタルの力をこれ以上騒乱ですり減らしては存続そのものが危うい…そんな状況でして」焔はそこまで言うと言葉を止めてまた針を川に投げ入れる「つまり…この争いを続けるとこの世界自体が崩壊する…そういうわけなのか?」「そうですね…」「もしも…もしもだ…お前がこの地の創造者だという事や今の話が本当の事だとして…この地が崩壊したらどうなるんだ?」「そもそも今まで魂とはごく一部の特例を除き冥府に落ち二度と戻る事はなかったのです…全ての魂は冥府で1つとなり…やがて新たな魂として生まれ変わる…そんな感じです。しかしそこに過去という概念はありません…すべてが新しい存在になりますので…ただ、今はこの地が冥府の前の受け皿となっています…この地で魂の1つ1つが個体として洗礼を受けそして縁や徳を宿したまま転生をする…このメルファリアはそのために存在してるのです」「なるほどね…言わんとする事はわかった…で、俺にどうしろと?」「今すぐにどうしろという事はありません…そう言ったところで、どうにもならない事くらいは理解しています」「ほう…」「だから…あなたの成そうとする事…そしてその先にあるものを教えてほしいのです…あなたが思い描く未来の事を…答えはいずれまた聞きに来ます…今日はこの後予定が入っているので…」焔はそう言うと竿をあげて片付けはじめる「予定?」ライルは不思議そうな顔で焔に聞き返した「はい、今釣った魚を持ってね…チェスをしに」焔はそう言うと初めてライルの顔を見て笑った「ほんじゃ…クソジジイに早くクタバレって伝えてくれ」ライルは焔にそう言うと立ち上がったそして焔に背を向けて歩き出す…そしておもむろに立ち止まると「俺はな…貧しい奴らが虐げられるこのクソみたいな世界を無くしたい…そう思ってる…だがな先の事はわからねぇ…ただ言えるのは今のままじゃダメだって事さ…じゃあ、またな…」ライルは振り向きもせずそれだけ言うとパンツのポケットに手を突っ込んでまた歩き出した『エルソード王国・首都リベルバーグ 王城』「待たせたな…では1勝負するとするかのぉ…」焔が待っていた謁見の間にナイアスが姿を現すとそう言って焔を手招きしたそして案内された先はとても城内とは思えない庭だった川が流れ…池があり草木が生い茂っているその庭をしばらく歩くと趣味のよい装飾の施された東屋が見えてきた「ここはわしの研究の場所でなこの大陸のありとあらゆる植物が生えておる…これだけの草木をそろえるには骨が折れたぞい」ナイアスはそう言いながらヒゲをいじるそして東屋に通されるとすでにチェスの用意がしてあった「そう言えば…気にはなっていたが…その手に持っている物は?」ナイアスは焔にそう質問した「あぁ…呼ばれておいて手ぶらなのもアレかと思いまして…魚を…」焔がそう言ってナイアスに持っていた魚を見せる「ふぅむ…これはマス科の魚じゃな…しかもこの腹のあたりの斑点…おぬしゲブランドに寄って来たな?」「え?魚で違いが分かるのですか?」「当然じゃよ…生きとし生きる者すべてが皆違いを持っておる…じゃから探究心は尽きんのじゃよ」ナイアスはそう言って笑いながら焔から魚を受け取った「エラよ!こいつをソンの所に持って行って塩焼きにしてもらってきてくれんかのぉ…」ナイアスの周りを飛び回っていたエラはうなずいて返事をするとナイアスから魚を受け取ったしかし相当重いのか…魚を引きずるのではないかと心配になるほどの低空飛行であった「さて…始めるとするかのぉ…」ナイアスはそう言って焔の椅子を引いてから自分の席に座った焔は会釈をした後椅子に座る…そして焔の一手から一戦が始まったしばらく無言のまま戦いは続いた「ナイアス様…塩焼きをお持ちいたしました」そう言って東屋を1人の白髪の男が訪ねてきた「おお!エラに持たせればよかったものを…」「ははははは…持たせたのですが…せっかく調理したものを引きずられてもたまりませんからな」男はそう言って笑うとテーブルの隅に皿に乗せた魚の串焼きを置いた焼いた塩と香ばしい香草の香りが辺りに立ちこる「紹介しよう…この者は、わしの古くからの友人でな…前線を退いたのちはここで料理長をしてる者でな…ソンダスと申す者じゃ」「ソンダスと申します…ようこそエルソードへ」「焔と申します…」焔はそう言って席から立つとソンダスに頭を下げた「堅苦しい挨拶など抜きにして温かいうちにどうじゃ?」ナイアスはそう言って焼き魚の乗った皿を少し焔の方へと押し出した「それでは…頂かせていただきます」焔は串を持って1匹取るとそのままかじり付いた「うまい…焼き加減、塩加減も絶妙ですが…この香草とのバランスがいい…」「じゃろう?…ではわしも頂くかな」そう言ってナイアスも焔同様そのままかじり付く「やはり…色々な調理方法があるが…魚は塩焼きに限る」ナイアスはそう言って笑う「シンプルだからこそ腕が問われる…そう思います」焔はソンダスにそう言って笑いかける「ふぉふぉふぉふぉふぉ…昔はひどかったのじゃぞ…こやつの料理は…アレはもはや料理ではなく実験物といっても過言ではなかったな…不可解な物ばかりじゃったわ」ナイアスはそう言って笑う「前線に立つ兵士にとって食事とは腹を満たす手段…味など二の次ですから」「そうじゃな…故にわしはそういった兵士に支えられているのだという事をあの時知ったのじゃよ」焔はそう言ったナイアスの目に王たる者の資質を感じた「で…ほう…いいせめぎあいですな…」ソンダスは駒の配置を見てそうつぶやいた「うむ…これ程苦戦するとは思ってもみなかったわ」ナイアスはそう言って笑う「しかし…六手前でしくじりましてね…おそらく九手先で私が詰みです」焔は苦笑いでそうつぶやく「おぬしも役者じゃな…あの場面で今までの流れからあの一手はあるまいて…食えぬ男だ」ナイアスも苦笑いを浮かべるとそう答えてひげを触った「あ…ライル殿がよろしくと申していました」「ふぉっ!どうせ早くくたばれクソジジイとでもぬかしたのじゃろ?」焔の言葉を聞いたナイアスはそう言って笑う「そう言えば…まだ肝心な話しを…」ナイアスがそう切り出すと「いえ…それは次の対戦の時の楽しみにしておきます」焔は笑顔でナイアスに答えた「本当に食えない奴じゃなぁ」ナイアスは笑顔でそう言うと髭を触りながら背もたれにうつかった…『To Be Continued♪』
2011/08/13
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