「深追い」横山秀夫 | らくがんの休日

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2007.09.06

平成１２年１２月　実業之日本社より

平成１９年５月　文庫化

短編で
「深追い」「又聞き」「引き継ぎ」「訳あり」「締め出し」「仕返し」「人ごと」
の７話。

「三ツ鐘署」という警察署が舞台。
三ツ鐘署は、警察署の敷地内に所長と次長の官舎、署員用の家族官舎と独身寮を併設した、
いわゆる職住一体型の、働く側にとっては大変うっとうしい環境の警察署。

各話の主役となっています。

推理が中心というより、小さな事件が起きて、それをめぐる人間ドラマといったところでしょうか。
短編だと、やっぱりそうなりますよね。
いい話あり、苦い話ありで、楽しく読めます。
いや、苦い話はそう楽しくもないけど。

苦い方は、警察内部で部署間の対立とか、同じ刑事同士でもライバル意識が強くて対立するとか、
派閥とか、古めかしい組織体質とか、いやもう警察って困ったトコロだなあと。(笑)
でも、そんなに物珍しいものでもないのかもね。
どんな組織でも腐れた部分というのはあるものだし、組織としてダメダメでも
現場の個人（主に下っ端の）は頑張っていたりとかはよくある話。
そういう意味では、暗い気持ちにもなるし、捨てたものでもないと思えたりもする１冊です。

『交通事故で死亡した夫に、ポケベルでメッセージを送り続ける妻』の話。
とても興味をそそられる感じのテーマですが、実際読むとそうでもなかったかなあ。

私的には「又聞き」の方が好き。

「又聞き」は、幼い頃に海で溺れかけたことのある鑑識係の話。
その事故に関わった全ての人間の運命が変わった。

「又聞き」もそうですが、「訳あり」や「人ごと」もすっきりとした読後感で、いい感じです。

横山秀夫、おもしろいです。
次は長編が読みたいな。

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Last updated 2007.09.06 14:08:58
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