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2012.02.29
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カテゴリ: 読んだ本
1998年10月 文藝春秋より


しかし幕府の屋台骨はゆるんだようにも見えない。
まだ時期が早すぎるのだ…次々死んでゆく同志を想い、竜馬は暗涙にむせんだ。
竜馬も窮迫した。心血を注いだ神戸海軍塾が幕府の手で解散させられてしまい、
かれの壮大な計画も無に帰してしまった。

(裏表紙 紹介文より)


時代はとうとう戦争に向けて大きく動き出しました。

文久3年8月18日(1863年9月30日)『禁門ノ政変』により京都政界を追われ、
国元へ追われた長州藩。

その長州藩の重臣に来島又兵衛(きじままたべえ)という人がいました。
長州藩では蘭式兵制が採用され、藩士だけでなく広く百姓・町民から兵士を徴募するように
なっており、それらで遊撃軍が作られていました。
又兵衛は遊撃軍総督で、攘夷派の中でも超過激派。


藩上層部はもちろん、桂小五郎など攘夷派であっても慎重派は反対。
しかしあまりに強硬な主張に、藩が折れて「進発ではなく偵察」という理由で許可しました。
随行の藩士も11人まで。
しかし、我も我もと結局は50人以上で大阪入りしてしまうのです。

そこで又兵衛は、薩摩へ帰国しようとしていた薩摩久光の暗殺計画を企てる。
察した薩摩久光は出発日を早め、しかも狙っていた伏見に泊まらず通過したので実行できず。
ならばと、今度は会津藩主・松平容保の暗殺を計画。
旅の途中の島津久光と違い、容保は会津本陣の中で藩兵も2000人くらいいる。
更に、それだけでは惜しいと、ついでに京都所司代・松平定敬(桑名藩主)も暗殺しようと
いうことに。 
最終的には、どうせ死ぬなら事を大きくしようと、京都占拠まで企ててしまうのです。


・・・・いや、エスカレートし過ぎだよ。
放火とかダメだよ。

この計画が新選組の耳に入ることになります。
古高俊太郎という京武士、表向きは枡屋喜右衛門という名で道具屋を営んでいました。
長州藩に協力していたのが、新選組に捕らえられて計画が発覚。


長州藩の志士達の多くが命を落としたこの事件。
事件後に重要なポイントがあったようです。
幕府が喜び 京都守護職に対し感状を出していたこと。
『感状』とは、軍事面において特別な功労を果たした者に対して、上位者がそれを賞賛する
ために出した文書のこと。
主に戦国時代のもので、徳川期にはなかったもの。
これを出したがために、幕府は事件の性格を治安問題ではなく戦争である、と認識したことに
なったのですね。
また、朝廷からも新選組に対し、隊士慰労の名目でお金が下されました。
朝廷にほめられた、つまり池田屋での志士惨殺は勤王行為であると認められた、ということに。

長州藩は激怒します。
慎重派(周布政之助、高杉晋作、宍戸左馬之助など)は藩論の沈静化に努めますが、
積極派(福原越後、益田右衛門介、国司信濃の三家老など)が「藩主の冤罪を帝に訴える」事を
名目に挙兵。
元治元年7月19日(1864年8月20日)に『禁門の変(蛤御門の変)』が勃発。
長州掃討の主力を担った徳川慶喜・会津藩・桑名藩・薩摩藩により討伐されます。
これにより長州藩は「朝敵」となり、京都市中も戦火により約3万戸が焼失しました。

小説中では、会津藩と薩摩藩が強くて、徳川慶喜の松平兵が超弱くて、
崩れる時はいつも松平兵から。
会津藩がそれを支えようとして支えきれず、そこへ薩摩が駆け付ける、という感じでした。
西郷隆盛(この時はまだ西郷吉之助)も参加していました。


この直前、竜馬は、京都の志士を集めて北海道へ送り、北(ロシア?)からの脅威に備えて
陸軍を作ろうと、幕府に働きかけていました。
『禁門ノ政変』により行き場をなくし、幕府に追われる志士達の救済と、
軍隊を作っておいて、いざ倒幕の時にはその力にしようと考えていたのです。
ちょうど幕府から許可が下りたところでしたが、そこで池田屋事件が起きて
何もかも手遅れに。
竜馬の土佐の仲間も多くが、池田屋事件と禁門の変に参加して命を落とし、
嘆き悲しんだ竜馬は倒幕の決意を強くするのでした。

そして竜馬の神戸海軍塾も、幕府から解散命令が出されてしまいます。
責任者の勝海舟は江戸へ呼び戻され、解役させられてしまう。
神戸海軍塾を抜け出して参加した者もいたし、京都から逃げてきた志士を匿ったりもしたので
それを咎められたのです。

神戸海軍塾の塾生の内、帰藩できる者は帰藩させ、竜馬を始めとして脱藩者などは
薩摩藩へ身を寄せることに。
竜馬が西郷と会って、頼んだのです。
2人は出会ってお互いに相手を認め、尊敬と誠意を持ったようです。
初めて会った時、竜馬は庭で鈴虫を取っていて、西郷に虫カゴはないかと尋ねると、
西郷が慌てて「カゴ、カゴ」と下の人に頼むんですね。
しかも、竜馬が置いていった鈴虫を世話してくれていて、途中で鈴虫が死んでしまうと
竜馬が残念がるであろうと更に鈴虫を捕まえて待っていたらしい。
竜馬は「信頼に足る大きな事を成し遂げる男だ」と感心していました。

この後、竜馬は貿易によって一大海上藩を作り、その収益を還元する代わりに
薩摩藩に出資して欲しいという、計画も持ち出します。
この巻では具体的な動きはまだですが、西郷と家老の小松帯刀が乗り気だったから
この先、その話が出てくるんだと思う。


竜馬の女性関係ですが、おりょうが深夜に竜馬の部屋に忍んで行ったことから
2人は関係を持ち、竜馬的にも「おりょうは自分の妻」という認識になったようです。
もともと竜馬は女性達の中でおりょうが一番好きだったようだし、それはいいんですが。

おりょうがお登勢の菊を切る話が出てきて、おりょうがすごく嫌いになりました。
竜馬に菊の花の枕を作ってやりたいからと、お登勢が丹精して育て旅籠を飾っていた菊の花を
全て切り落としてしまったのです。
お登勢の心情を無視した、自分のことしか見えていない考え方がすごくイヤ。
菊を切った話を聞いて、竜馬はすごく怒る。
「罪のない民を面白がって殺した中国の暴王と同じだ」と言って。
怒られたおりょうが竜馬に泣きながら打ちかかって、竜馬が痛いからやめろと言うと
「おりょうはもっと痛い。心が痛い」と言うんですが、勝手だなあと思って。
怒られたのには理由があるじゃん。
しかも、この時の竜馬は海軍塾の解散の後のことを薩摩藩に頼みにいく旅の途中で、
疲れていて、でも宿泊する暇もなく、少しでもいいから横になりたい状況だった。
お登勢は察してくれていて、竜馬が「見守っていてくれ(おりょうに邪魔されないように)」と
頼んだのへ、側についていて寝かせてくれる。
お登勢の方がずっといい女なんですよ。
人妻だから竜馬とどうこうなることはないけど、竜馬の女性関係の中ではお登勢が一番好き。

その後も、竜馬を追いかけて神戸まで来て、お田鶴様とバッティングしたおりょう。
生意気で強引で、感じ悪かったです。
竜馬は、お田鶴様とは身分違いだし、思想が違う(お田鶴様は長州系攘夷派)ので
結ばれることはないと思うけど。
ついでに、江戸のさな子も師匠の娘だし、志士として動き回っている竜馬は
さな子に相応しくないと思うけど、何もおりょうでなくてもと強く思いました。
どうせ乙女姉さんが一番なら、一生独身でいいじゃん。(笑)






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Last updated  2012.02.29 12:42:02
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