【現代劇】マリアージュ・ブラン~嘘つき弁護士の愛の法則~全40話 40
風起隴西-SPY of Three Kingdoms-全24話 24
【現代劇】イジワルな君に恋をした~Sweet First Love~全24話 24
燕雲台-The Legend of Empress-全48話 48
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风起陇西(ふうきろうせい)第二十四計(最終話)「 李(スモモ) 桃に代わりて僵(タオ)る」荀詡(ジュンク)は司聞曹(シブンソウ)の部隊を率いて陳恭(チンキョウ)がいる李厳(リゲン)の別荘へ乗り込んだ。成藩(セイハン)は楊儀(ヨウギ)たちが機密について話し合っていると制したが、興奮した荀詡をこれ以上、止める術がない。その時、楊儀が現れた。「嫌疑人から供述を引き出したところだ、急いで丞相に報告する…では失礼」荀詡は不自由な足を引きずりながら陳恭の元へゆっくり歩いて行った。「なぜだ?…なぜだと聞いている?!」しかし陳恭は何も答えず、むしろどこかほっとしているように見える。「連れて行け!」荀詡は陳恭が連行されるのを見ながら、ふと床に広げられた地図があることに気づいた。一方、李厳は楊儀が成都への道をすべて封鎖したため、陳恭の言葉通り漢城を通るしかなくなった。すると待ち伏せしていた馬岱(バタイ)将軍が立ちふさがる。李厳は先帝に従ってから忠誠を尽くしてきたと嘆いて一度は剣を抜いたが、結局、捨ててしまう。「よかろう、諸葛(ショカツ)に会わせろぉぉぉ!」ひと月後、李厳の事変により諸葛亮(ショカツリョウ)の第二次北伐は曹魏(ソウギ)大将軍・王双(オウソウ)の斬殺、陰平(インペイ)と武都(ブト)の回復で終結し、20万の大軍が粛々と漢中へ撤収した。成都に戻った楊儀は諸葛亮に理路整然と事の顛末を報告、しかし諸葛亮は楊儀が司聞曹を利用して李厳を失脚させたことに憤慨する。楊儀は李厳を排除せねば朝廷に災いが起きると訴えたが、諸葛亮は政争にも限度があり、人には守るべき原則があると戒めた。「…よく考えよ、よく考えるのだ、何をしでかしたのかをな」「お待ちを!丞相!全て漢の復興のためにしたことです!」諸葛亮は李厳と面会した。すると李厳は諸葛亮が楊儀に命じて司聞曹を動かし、自分を死地へ追い込んだと責める。しかし諸葛亮は何も知らなかったと答えた。「確かに不当な手段だ…しかし手段は不当でも結果は正しい こたびの事変は楊儀が仕組んだものだった だが二心あって司聞曹に唆され曹魏と手を組み、東呉の侵略を偽って兵糧を断ったのであろう? そなたは徒党を組んで南征を主張し、蜀漢と東呉の同盟を破ろうとした 国の根本を揺るがしたのだ! そなたを捕えてこそ国は滅亡を免れる、これは国家存亡の危機、我々の私怨は関係ない!」「南征か北伐かは国策の争いだ、おぬしが北伐を断行して曹魏を滅ぼせる保証がどこにある?」「この世に万全の策はない…だが東呉と結べば蜀漢は少なくとも30年、平和を保てる もし東呉との同盟に背き荆襄(ケイジョウ)に侵攻すれば、曹魏は機に乗じ漢中を奪うだろう 敵に挟まれた蜀漢は3年もせずに間違いなく滅亡する! そうなればあの世で先帝に合わせる顔が?!そなたが言う天下の民はよりどころを失うのだ 我ら2人は大漢のために命を懸けて尽くすべき、己の名誉に何の価値があろうか?」李厳は諸葛亮の言葉にがっくり肩を落とし、力なく首を垂れた。↓(゚∀゚ノノ゙8888888888〜荀詡は事変に関わることを禁じられたまま、何の情報もなくひと月が経った。するとようやく楊儀が現れ、陳恭の事案が結審し、斬首の後さらし首が決まったと報告する。荀詡は呆然、どうしても陳恭に会わねばならないと懇願し、面会する機会を得た。大罪人の陳恭は牢の中でも拘束具で自由が利かなかった。「判決が下りた…斬首だ、陽長史が見守る」「そうか…遠路はるばる苦労をかけたな」「なぜだ?…聞かせてみろ」すると陳恭は燭龍となった経緯について明かした。郭淮(カクワイ)は陳恭が機密を盗む現場を押さえながらも咎めず、馮膺(フウヨウ)が父を売ったという証拠を見せたという。「お前も同じ文章を見て私を疑ったのだろう?」陳恭は青萍(セイヒョウ)計画に最適の人材だった。そこで折りよく天水に来た荀詡を騙して協力させ、南鄭に戻ることに成功したという。「南鄭に戻ったら馮膺を殺して李厳を裏切らせ、父を害した奴らを始末するつもりだった…」しかし荀詡は信じられないと言った。荀詡はこの1ヶ月、何度も繰り返し考え、ある結論を導き出していた。「街亭(ガイテイ)の事案を機に郭淮は青萍計画を発動 お前は父君を殺した馮膺に恨みを抱いたことで郭淮の信頼を得た 五仙道へ行く表向きの目的は連弩(レンド)の設計図を盗むこと だが真の目的は高堂秉(コウドウヘイ)と五仙道を犠牲にして馮膺の地位に取って代わることだ まさしく私の協力があったから青萍計画を遂行できた 郭淮は一層、お前を信頼した、だが思いがけぬことに楊儀と馮膺がお前に反間計を授けていた 青萍計画は最初からお前たちが目的を果たすための表看板 本当の目的は李厳を陥れて失脚させることだった、だがここで妨害が入る…それが私だ 郭淮が命じたのだろう、手ずから私を殺せと…曹魏に従う最後の証拠だ だから黄預(コウヨ)は西郷(セイキョウ)関を襲撃した、そうすれば私を誘き出し、殺す機会を作れる そこまでは想定内だったが、困ったことに楊儀も私を殺せと命じた 燭龍について捜査をやめない私が反間計を脅かしていたからだ 私が燭龍の事案を追求すれば李厳の失脚は合理性を疑われてしまう、丞相にも影響が及ぶだろう …確かにこれは憶測だ、だが私は誰よりもお前を理解している!」荀詡はあの日、双方に自分の殺害を迫られた陳恭が同時に林良(リンリョウ)にも矢を射させたと気づいた。林良は裴緒(ハイショ)が隠した自分を監禁、陳恭は任務さえ完遂すれば自分を殺さずに済むと考えたのだろう。しかし負傷した自分が逃げ出し、陳恭の作戦は破綻した。本来は馮膺が死ぬはずだったが陳恭は作戦を変更せざるを得なくなる。「私のせいで己を犠牲にするしかなくなったんだな?!」「…間諜には墓場まで持って行く秘密がある 兄弟同士で殺し合い、夫婦も共に暮らせぬ…そんな日々にはうんざりだ」「私の見立て通りか?…これでは…私がお前を殺したのと変わらぬぅぅぅ…」「考えすぎるな」荀詡は陳恭を死に追いやったのが自分だと知り泣き崩れた。すると陳恭は頼みがあるという。「もう捜査しないでくれ…ここまでにしろ、打ち切りにするんだ…もう終わりだ」…荀詡が別荘に乗り込んできた時、陳恭は楊儀に自ら馮膺の代わりに黒幕になると申し出た『曹掾の罪は全て私に着せてください、そうすれば曹掾は汚名をすすぎ復職できる』楊儀は反対した実は李厳を失脚させた後、陳恭を曹魏の上層部に潜り込ませる仕上げの計画があるしかし確かにこの方法なら誰も巻き込まず、全ての事態に説明がついた…荀詡たちは楊儀と共に陳恭の処刑に立ち会った。すると晴れて無罪となり、復職した馮膺が遅れてやって来る。馮膺は荀詡の隣に立ち、丞相からの任務を伝えた。「東呉へ向かい、建鄴(ケンギョウ)で新たな情報網を作れ」その時、いよいよ処刑の刻限が来た。陳恭は大きく息を吐いて執行台に身体を預けると、最後に荀詡へ笑顔を見せる。「…ひとつ頼みがあります」荀詡は馮膺に陳恭と翟悦を同じ墓へ埋葬するよう頼んだ。その時、ついに執行人が剣を振り下ろす。次に処刑場に向かっていたのは狐忠(コチュウ)だった。馮膺が司聞曹に戻ると、部屋を掃除していた孫令(ソンレイ)が出迎えた。「姐夫(ジェフー)…」一方、郭淮は陳恭が処刑されたと報告を受け、計画が全て台無しになったと知り茫然自失となる。また無事に南鄭から離れた柳瑩(リュウエイ)は荀詡と陳恭それぞれからもらった二つの令牌を眺めながら、物思いにふけっていた。荀詡は東呉へ発つ前、翟悦と陳恭の墓に寄った。…阿妹翟悦の墓…妹夫 の墓大罪人として死んだ陳恭の名前はなかったが、馮膺は約束通り夫婦を同じ墓で眠らせ、木碑を建てている。荀詡は献杯して立ち上がると、ふと翟悦と陳恭が仲良く手を繋いで旅立つ姿が見えた。荀詡は林良と一緒に水路で東呉へ向かった。「風が強いゆえ中で休んでは?」「いや構わない」すると林良は陳恭からの言づてを明かすことにした。陳恭は荀詡がひと月後も葛藤しているようなら真実を伝えるよう頼んでいたという。実は荀詡が穴蔵から脱出することは陳恭の思惑通りだった。穴蔵に茶碗を残したのも火打ち石を落としたのも、全て陳恭の指示だったという。陳恭は始めから抜け道がある穴蔵を見つけ、荀詡なら必ず見つけ出すと分かっていた。翟悦を死なせてから陳恭は己を責め、その時から死を求め出したという。この暮らしにへき易していた陳恭は燭龍を捕らえた後、翟悦と隠居するつもりだった。「…しかし悦児が死んだ日を境に計画を変えたのだな」「そうです」あの日から陳恭は己が決めた通りに動き、計画通りの結末を迎えた。荀詡は林良に船を降りる支度をするよう命じた。「こたびお前の立場は従者ではない 大鴻臚(コウロ)の治礼郎(チレイロウ)、つまり役人だ、礼儀に気を配れ」「承知した、手筈は整えている」完( ๑≧ꇴ≦)えー?!なぜ最後にこんな曲?! ←そこ?!
2022.12.17
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风起陇西(ふうきろうせい)第二十三計「賊を擒(トラ)えるには王を擒えよ」魏延(ギエン)と鄧芝(トウシ)は激しい雨が降り続く中、散(サン)関を出発した。狐忠(コチュウ)は矢倉で見送りながら、兵糧を送っても丞相の元に届くことはないとほくそ笑む。しかしすでに水面下で楊儀(ヨウギ)と陳恭(チンキョウ)による包囲網が敷かれていた。その頃、柳瑩(リュウエイ)は侍女を殺し、李厳(リゲン)の書斎に忍び込んでいた。しかし皇帝の密詔が入った箱の鍵を開けることができず、衛兵が物音に気づいてしまう。焦った柳瑩は仕方なく油をまいて火を放ち、衛兵が駆けつける前に脱出した。沔水(ベンスイ)の上流に燭龍(ショクリュウ)から合図が届いた。そこで黄預(コウヨ)は堤防を決壊させるよう指示したが、思いがけず蜀軍に襲撃されてしまう。実は魏延が兵糧部隊と川を渡ったと同時に、魏延の分隊が五仙道を襲う手はずになっていた。またしても陳恭にしてやられた黄預、しかし応戦する余裕もなく逃亡するしかない。すると翌朝、次の山を越えれば魏との国境というところで突然、陳恭が立ちはだかった。「陳恭?!」「黄祭酒…待ちわびたぞ」信徒たちが一斉に陳恭に向かって走り出した。しかし林に潜んでいた蜀軍が一斉に矢を放ち全滅、陳恭と黄預は一対一での決着となる。2人は激しい攻防を繰り広げたが、最後は陳恭が翟悦(テキエツ)からもらった宝剣で胸を突き刺し、黄預は絶命した。「悦児…見ていたか?…奴の血を捧げよう…これで安らかに眠れる…」幕府にいた李厳は火事の一報を聞いて別荘へ駆けつけた。すると皇帝の密詔は灰と化し、骸は影児(エイジ)のものだと判明、柳瑩は行方不明だという。李厳はようやく柳瑩が間諜だと気づき愕然となった。「厳戒令を敷け!そうだ、今すぐ江州へ向かえ、右曲三営(ウキョクサンエイ)を全軍、南鄭に戻すよう命じろ」「全軍ですか?!」「そうだ、五千の精鋭たちを残らず呼び戻せ、すぐに!」その頃、散関では何も知らずに酒を飲んでいた狐忠が楊儀と馬岱(バタイ)に捕縛された。「狐忠、李厳のもとで曹魏と通じ、兵糧の供給を断って北伐の阻止を企てた、大罪だぞ!」陳恭が別荘に駆けつけた。散関での計画は成功、堤防が決壊して兵糧が川に飲み込まれたという。李厳は安堵のため息を漏らしたが、実は柳瑩が書斎に火を放って皇帝の密詔を焼き払ってしまったと教えた。柳瑩が間諜なら送り込んできた馮膺(フウヨウ)も本当に曹魏の間諜だったかもしれない。「我らはまんまと騙された…」楊儀は最後の仕上げにかかるべく、馬岱たちと南鄭へ戻った。すると馬岱は早く攻める方が得策だと進言、戦闘になれば精鋭部隊の右曲三営に勝てる見込みは低いという。しかし楊儀は武力で解決したくないと話し、ただし圧力はかけると言った。李厳は頼みの綱だった皇帝の密詔を失い途方に暮れた。そんな中、南鄭に戻った馬岱将軍が城門を封じていた李厳軍を制圧、幕府を包囲して降伏を迫っているという。馬岱が戻ったと知った李厳は馮膺と楊儀が結託していると気づいて動揺、しかし配下の前では微塵も不安の色を見せなかった。「直接、馬岱に伝えよ、私の陣地に入ればその場で殺す!」その頃、陳恭に閉じ込められた荀詡(ジュンク)は必死に穴を掘り続けていた。するとやがて抜け道に通じ、ついに脱出することに成功する。一方、馬岱軍は4つの城門を掌握、幕府を包囲して圧力をかけた。さらに問題の別荘にも別の部隊を送る。李厳の右曲三営は江州への出征を中止し、南鄭の西門へ進軍中だった。司聞曹(シブンソウ)はなぜ馬岱が李厳に降伏を迫っているのか分からず、裴緒(ハイショ)も首を傾げる。精鋭の右曲三営が西門を破れば形勢は逆転するが、今はかろうじてこう着状態だった。そこへ慌てて従事が駆け込んで来る。「南の山に狼煙が…3本です」それは靖安司(セイアンシ)が使う合図だった。「まさか…頭領?!」陳恭は李厳が狐忠を心配していると分かった。恐らく狐忠は楊儀たちの手に落ちた可能性が高いだろう。李厳はもし狐忠が自供したらと思うと絶望感に苛まれ、思わず足がもつれて床に倒れた。「馬岱も急に態度をひるがえし恩師に対して牙を向きました 馬岱には何か切り札があるのでは?」「つまり諸葛亮(ショカツリョウ)から指令を受けたと?」陳恭は後ろ盾がなければ馬岱に李厳を裏切る度胸などないと指摘した。もしすでに楊儀と馬岱が成都(セイト)に李厳の謀反を告発していたら、狐忠の自供が確たる証拠になってしまう。陳恭は李厳を極限まで追い詰め、考えられる方法はすぐ成都へ向かうことだと助言した。「陛下にすべて報告するのです、成都に行けば謀反の噂など消えてなくなるでしょう この区画は司聞曹の管轄です、城壁から降りることができます」「しかし私が逃げたら軍の指揮はどうなる?」「恩師…兵符をお預けください、3時辰、稼ぎます」その頃、屋敷の外では馬岱軍と侍衛部隊が対峙していた。馬岱は右曲三営が到着する前に攻め込まねば挟み撃ちにされると訴えたが、楊儀が止める。「まだだ…李厳が1人で逃げるまで待つ」陳恭は今すぐ南鄭を離れるよう説得した。仮に戦って楊儀と馬岱を捕らえても、知らせを聞いた丞相が軍を差し向けるかもしれない。「江州にいる公子を頼るのです、そして陛下に謁見し、事の真相を報告して身を守るのが上策かと…」陳恭は恩師のため命を捨てる覚悟だと伝えた。「絶体絶命の苦境に追い込まれるのは2度目だ、いずれも陳父子に救われるとは…」李厳は思わず陳恭を抱きしめ涙した。李厳が城壁を下りて南鄭を脱出した頃、裴緒たちに救出された荀詡がようやく目を覚ました。「あいつは…″陳恭″はどこだ?!」一方、李厳が独りで逃げたのを機に馬岱軍が攻撃、侍衛部隊は制圧された。すると楊儀が屋敷に独り残った陳恭のもとに現れる。「大ごとになる前に収められたな」「李厳が怖気づきました」丞相を欺いたやましさゆえか、李厳は馬岱将軍の裏切りを聞いて丞相の密命だと勘違いしたという。「だから抵抗せず私の言葉を聞いたのです」郭淮(カクワイ)もまさか肝入りの計画を自分たちに利用されるとは夢にも思うまい。まさに陳恭の存在こそが勝利を導く奇策だった。楊儀は上機嫌だったが、その時、信じられない報告が舞い込む。「長史、李厳の侍衛部隊を制圧し右曲三営も退いたのですが… 陰輯(インシュウ)と荀詡に率いられた司聞曹の部隊が陳曹掾(ソウエン)の身柄を要求しています」楊儀は荀詡が生きていると知った。陳恭は荀詡を殺せず、しばらく留置して全てが済んだら事情を話すつもりだったと明かした。「まさか逃げ出すとは…」「陳恭!お前の弱点は優しすぎるところだ!…蜀漢のために殺さねばならぬ!」「荀詡は国に殉じた妻のたった1人の兄です、妻に対し面目ない」楊儀は逆上、もし計画が頓挫すれば李厳は助かり、関わったものは誰も逃げられないと嘆いた。「馮膺の犠牲まで無駄にするつもりか?!」「…1つだけ方法があります」つづく( ๑≧ꇴ≦)おじいちゃんw転げ方が上手い!やっぱり黄預カッコいい! ←そこ?!w
2022.12.16
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风起陇西(ふうきろうせい)第二十二計「樹上に花を開(サ)かす」激しい雨が降り続く天水(テンスイ)にようやく黄預(コウヨ)から報告が届いた。郭淮(カクワイ)は陳恭(チンキョウ)が期待に応えていると分かって喜び、郝昭(カクショウ)に陳倉(チンソウ)を1ヶ月死守するよう命じておく。一方、馮膺(フウヨウ)が陳恭の父の敵だと知った荀詡(ジュンク)は改めて陳恭について考え直し、疑わしいことばかりだと気づいた。そんな中、西郷(セイキョウ)の関所が五仙道の残党に襲われたと急報が舞い込む。陳恭がすでに西郷へ向かったと聞いた荀詡は急いで後を追うことにしたが…。陳恭は黄預と合流、山道を登ってくる荀詡たちの一行を狙った。しかし車に乗った荀詡と裴緒(ハイショ)の話から自分を疑い始めたことに気づき、動揺を隠せない。「ここまで来たら余計なことは考えるな、決断しろ」陳恭は黄預に急かされ、ついに毒矢を放った。毒矢は荀詡の胸に命中、と同時に黄預の号令で五仙道が部隊に襲いかかる。驚いた裴緒はひとまず荀詡を連れて逃げ出し、物陰に荀詡を隠してから助太刀に戻った。裴緒は重傷を負ったが一命を取り留めた。しかし裴緒から聞いた場所をどんなに探しても荀詡の姿は見つからない。陰輯(インシュウ)は陳曹掾(ソウエン)に報告し、あの荀詡のこと、西郷へ急いだのには何か理由があるはずだと言った。普段は荀詡のやり方に賛同できないことも多いが、才能と知謀は確かだという。「それから裴緒は何か隠しているような気がしました」狐忠(コチュウ)は諸葛亮(ショカツリョウ)が陳倉を落とせず、行き詰まっていると報告した。しかし李厳(リゲン)は諸葛亮の容易に諦めない性格を良く知っている。恐らく諸葛亮は長安を取る気などなく、狙いは上邽(ジョウケイ)か天水のいずれかを取り戻すことだろう。それだけで軍の士気は上がり、勝報が成都(セイト)に届けば皇帝の心も揺れるはずだ。「そうなれば今までのように私を信じてくれるかどうか…」李厳は不確かな要素に希望を託さぬよう諭し、機会を奪われてはならないと釘を刺した。陳恭がようやく李厳を訪ねてきた。陳恭は馮膺の失態を謝罪、靖安司の内密の調査に気づかなかったと釈明する。実は李厳は荀詡の襲撃が陳恭の手配だと踏んでいた。陳恭は燭龍の件に固執する荀詡が高堂秉(コウドウヘイ)の死で警戒を深め、いずれ恩師に累が及ぶことを恐れたという。「そなたと荀詡は兄弟も同然だったはず、私のために即断したとは…辛かったであろう しかし非常な功を成すなら非常な手段を取らねばな」すると李厳は狐忠を急いぎ定軍(テイグン)山へ戻したと教えた。散(サン)関の準備が整うのは10日後、李厳が第1の兵糧を送っても丞相の元に届くことはない。「東呉が侵攻したとなれば丞相は両方の戦線に対応できません すかさず恩師が魏と呉を阻んで収拾すれば、丞相一派が束になっても恩師の功績は隠せません」「あとはその計画をいかに実行するかだな」「この命をかけて全力を尽くします」←違った意味でwその頃、荀詡は小さな灯りを頼りに自分がどこにいるのか調べていた。すると急に明かりが差し込み、誰かが小窓から食事を差し入れ、すぐ閉めてしまう。「誰だ?!なぜ私を閉じ込める?!」荀詡はともかく薬湯を飲み干し、器を割って地道に壁を削り始めた。荀詡の面倒を見ているのは陳恭に頼まれた林良(リンリョウ)だった。「順調に回復している」「決して誰にも漏らさぬように」陳恭は荀詡の身を隠して別名を用意し、林良に託した。しかし林良は荀詡の性格上、解放すれば必ずこの件を追及すると危惧する。もし荀詡に真相を暴かれれば誰も逃れられず、両全の策などない。「心を決め、安らかに逝かせたほうが…」「林良…私が疲れ果てているのは翟悦(テキエツ)のことだけではない 今になって誰が正しいのか分からなくなった」陳恭は混乱し、精根も尽き果てていたが、ただ1つ分かっているのは荀詡は生きるべきだということだった。「奴を生かさねばならない…あいつは皆と違う、あんな男は他にいない」陳倉道、蜀軍は連敗を装って敵軍を誘き出した。虎威将軍・王双(オウソウ)は余力がない蜀軍をここで一気に追い詰めようとしたが、副将から諸葛亮の罠かもしれないと止められてしまう。しかし時すでに遅し、引き返すと決断した時には逃げ場がなく、蜀軍に包囲されていた。諸葛亮は王双を討ち、首級を成都へ送った。これから蜀軍は祁(キ)山に進み郭淮率いる曹魏の主力と対決、ひと月以内に天水と上邽を奪還するという。屋敷で報告を聞いた李厳は動揺し、直ちに江州へ使いを送るよう命じた。「次の動きに出る」すると李厳は急ぎ皇帝に上奏する。…呉主・孫権(ソンケン)は表面上、丞相と盟約を結びましたが、実は秭帰(シキ)に入りました…魏を攻める名目で西川(セイセン)を奪えと陸遜(リクソン)に命じ、2隊に別れて江夏(コウカ)と宜都(ギト)へ…我が軍の北伐に乗じて川沿いに攻めて行くつもりです…我が軍の精鋭は陳倉と祁山の一線におり、王双を斬るも効果はなく、陳倉は未だ落とせません…勝利もなく2国から攻められ、先帝の得た地が危険にさらされています激しい雨の中、沔水(ベンスイ)上流では黄預が指揮をとり水をせき止めていた。あとは陳恭の合図で放水させ、蜀軍の兵糧が通るのを邪魔すれば良い。一方、荀詡は必死に壁を掘り進めていた。その時、誰かの足音に気づき、開いた小窓から食事を差し入れた腕を咄嗟につかむ。「林良か?!」荀詡は自分を監禁したのが陳恭だと気づいて愕然となった。腕がもげそうになった林良は必死に陳恭が荀詡を救おうとしていると訴える。荀詡は仕方なく林良の腕を放し、ともかく陳恭を呼ぶよう頼んだ。しかし陳恭は李厳に命じられ、兵糧の調整で定軍山に出かけて留守だという。「戻るのは数日後だ…いつも水に混ぜている薬は矢傷に効く、忘れずに飲んでくれ」すると林良は小窓を開けたまま帰ってしまう。「自ら会いに来いと伝えろよ!」柳瑩(リュウエイ)は未だ皇帝の密詔を処分できずにいた。そこで密かに動くべく黒衣に着替えたが、運悪く侍女・影(エイ)児が入って来る。「小姐、温かい汁物をお持ち…(はっ)」「…どう?私の変装?」すると柳瑩はいきなり隠し持っていた短刀で影児の胸をひと突き、始末した。諸葛亮は李厳の後方支援に一抹の不安が残り、念のため参軍の鄧芝(トウシ)を散関に派遣した。予定通り狐忠から兵糧を引き継いだ魏延(ギエン)、しかし馬岱(バタイ)の報告で橋が壊れて近道の西側が通れず、回り道の東側の道へ行くことになる。つづく( ๑≧ꇴ≦)ショーシャンク荀詡、あっさり小窓から出られそうなのにwww
2022.12.11
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风起陇西(ふうきろうせい)第二十一計「刀を借りて人を殺す」荀詡(ジュンク)は赤岩峰(セキガンホウ)で馮膺(フウヨウ)を待ち伏せ、曹魏(ソウギ)と通じて機密を漏洩した罪で捕縛すると告げた。馮膺は青雲(セイウン)殿に到着した折、使用人に謝礼を渡していたが、裴緒(ハイショ)が押収したところ、品物の中に馮膺直筆の密書が忍ばせてあったという。本来なら上官を捕らえる権限がない荀詡だったが、今回は丞相の将令があった。諸葛亮(ショカツリョウ)の大軍が南鄭(ナンテイ)に到着、しかし入城せず野営となった。狐忠(コチュウ)は李厳(リゲン)将軍に一報を伝えたが、実はもう1つ報告があるという。「馮膺が捕縛されました…計画の1歩目として曹魏に情報を送ろうとして現場を取り押さえられたとか 間諜が情報を取りに来る前でしたが、文が馮膺の直筆だったのです」しかも馮膺を捕縛したのは丞相の将令を持っていた荀詡だった。一方、諸葛亮も楊儀(ヨウギ)から馮膺捕縛の知らせを聞いた。馮膺が裏切るなど考えられない諸葛亮、しかし楊儀の話では荀詡が燭龍(ショクリュウ)の事案に疑念を抱き、圧力を受けつつも調査を続行、不審点を見つけて馮膺が情報を渡す現場を押さえたという。楊儀は証拠となった馮膺直筆の文を渡し、確かに我が軍の兵力や戦術を漏らしていると訴えた。「危うく魏延(ギエン)将軍の部隊が全滅するところでした」「…馮膺とは旧知だ、何か裏がある」諸葛亮は馮膺の拘禁を命じ、戦の後に自ら尋問すると決めた。李厳は何としても馮膺に口止めせねばと焦った。そこで狐忠に指示し、陳恭(チンキョウ)にこの事案をもみ消してもらい、馮膺の連絡係を自分の元へ寄越すよう伝える。狐忠は早速、連絡係を介して馮膺と接触、決して李厳将軍の名を明かすことはないと確約を取った。一方、諸葛亮は皇帝が後方支援に李厳を指名したことが気がかりだった。すでに戦は目前、情報中枢である司聞曹(シブンソウ)の平穏を保つためにも南鄭に楊儀を残し、陳恭を補佐するよう命じる。その頃、司聞曹では馮膺を捕らえて意気揚揚とする裴緒の姿があった。しかし荀詡は重要な案件にもかかわらず簡単に解決できたことに違和感を禁じ得ない。高堂秉(コウドウヘイ)の死後、馮膺の衣から出て来た壁土と木片、裴緒が気づいた密偵の連絡法、さらに赤岩峰で馮膺が送ろうとしていた直筆の文、なぜやすやすと手に入ったのだろうか。「全てが順調すぎる、まるで何もかも仕組まれていたような…」そもそも馮膺が間諜なら蜀漢の情報系統は筒抜け、白帝(ハクテイ)が生還できるはずがない。荀詡は考えあぐねた結果、馮膺はわざと捕まったのだと結論づけるしかなかった。「だとすれば目的はただ一つ、より重要な者を守るためだ」そこで荀詡は馮膺に関する文書を全て持ってくるよう裴緒に頼んだ。↓(´-ω-`)むむ…目下、司聞曹を司っているのは陳恭、そこで陳恭は捕縛された馮膺を連れ出し、楊儀と秘密裏に会わせた。すでに楊儀から″資中(シチュウ)県の乱″について証言を聞いた陳恭は誤解していたと謝罪、確かに当時、馮膺は上からの命で曹魏に軍機を流したが、敵を誘き出して夏侯淵(カコウエン)の部隊を滅ぼすことが目的だった。「父が国に殉じたと分かりました…本望だったでしょう」陳恭は馮膺が自分のために高堂秉殺しまで引き受けたことに感謝し、進んで汚名を負ったことに敬服した。陳恭とわだかまりが解けた馮膺は安堵、必ず生き抜いて欲しいという。陳恭によれば青萍(セイヒョウ)計画の仕上げは自分が曹掾の座を奪い、李厳将軍を脅して蜀漢の中枢を掌握することだった。「李厳将軍と丞相を対立させるのが最低目標です そうすれば曹魏は漁夫の利を得て蜀漢を滅ぼし、東呉を呑んで天下を統一できる」確かに郭淮(カクワイ)も悪くない算段を立てたが、陳恭が命を受けて動いていたとは思いもよるまい。街亭(ガイテイ)の事案後、郭淮が青萍計画を始動させたと知った馮膺と楊儀は敵の裏をかくことにした。曹魏の標的が李厳だったため成り行きに任せ、反間計を弄したのだ。陳恭は父の死の理由に憤りながらも信念は揺らがず反間計は成功、そこで荀詡を採用し、荀詡は天水(テンスイ)に到着後、陳恭と手を組んで見事に高堂秉をあぶり出し、しかも気づかれぬまま青萍計画の段取りは進んだ。今や李厳も罠にかかり、遅かれ早かれ失脚は免れない。問題は李厳が持っている皇帝の密詔だった。そこで陳恭は郭淮から燭龍に密令が下ったことにして柳瑩(リュウエイ)に対処させるという。陳恭は馮膺が難を逃れる術があるのか心配した。しかし馮膺は自分が曹魏の間諜でこそ李厳を死地に追い込めるという。実は馮膺はこの計画を始める時から死を覚悟していた。「陳恭、お前は郭淮に信頼されている、曹魏の心の臓を突く司聞曹の刃となったのだ これから重要な役割を担うことになる」すると陳恭は複雑な表情を見せた。実は先日、郭淮が黄預(コウヨ)を遣わし、手ずから荀詡を殺せと命じたという。郭淮は陳恭が曹魏に従う最後の証拠を欲したのだ。↓(´-ω-`)むむむ…陳恭は馮膺が人員を決める際、荀詡は性格的に向かないと何度も反対していた。やはり郭淮に弱みを握られることになったが、馮膺は適任だったと否定する。荀詡だからこそ司聞曹の目を盗んで事を成し、計画通り進めてくれたおかげで陳恭も任務を果たせたのだ。すると楊儀は荀詡の役割も終わったと言った。個人の死より漢の偉業が優先、馮膺と楊儀は郭淮に疑われぬよう荀詡を殺すしかないと迫る。「情に流されるな」一方、荀詡と裴緒は馮膺が関わった文書を徹底的に洗い出していた、そしてついに建安23年に起きた″資中県の乱″にたどり着く。荀詡はようやく陳恭が馮膺に恨みがあると知ったが、陳恭が公私混同するとは思えなかった。黄預は荀詡を誘き出すため配下に西郷(セイキョウ)城外の関所を襲わせた。もし陳恭が義兄弟の始末にしくじった時は五仙道を破滅させた恨みを晴らす絶好の機会が訪れる。一方、陳恭は李厳の別荘にいる柳瑩と接触、しかし皇帝の密詔はまだ見つからなかった。最近は李厳の許可がなければ書斎に入れず、手をこまねいているという。陳恭は密詔の破棄が任務だと釘を刺し、柳瑩にあらかじめ司聞曹が出した通行許可の令牌を渡した。「任務を終えたら速やかに発て…この地を離れ、生き延びてくれ」↓(´-ω-`)ん__天水は激しい雨だった。今にも氾濫しそうな黄河を眺めながら、郭剛(カクゴウ)は叔父に燭龍からの連絡がないと告げる。しかし郭淮は陳恭の能力を信じていた。「こたびも諸葛亮は天の時を得られぬだろう」魏延(ギエン)を率いて斜谷(ヤコク)を攻めるのは目くらまし、真の狙いは陳倉(チンソウ)だ。陳倉城は小さいが堅固、守りやすく攻め難い。郭淮は郝昭(カクショウ)に死守させると同時に援軍として王双(オウソウ)を遣わしていた。諸葛亮は陳倉で兵糧を備蓄し、後方支援の拠点にしたいのだろう。陳倉を奪えなければ祁(キ)山で我が軍と相対、李厳はその隙に計画を実行し、蜀軍は数月で内部から崩壊するはずだ。陳倉を攻め始めて20日、蜀軍は敵の固い守りに手こずり、数名の将軍を失っていた。諸葛亮が陳倉を陥せないと踏んだのか、郭淮は渭水(イスイ)に到着後、北岸に陣を張ったという。真の狙いは陳倉ではないが、諸葛亮は撤退しないと決めた。「王双を討ち、故(コ)道から祁山へ抜け、魏延の先鋒と合流しよう 待ち構えているなら勝負といこうか」諸葛亮はここ最近の風向きが川を渡るのに有利だと指摘した。そこで船に新式の連弩(レンド)を乗せ、郭淮の度肝を抜くという。「廖(リョウ)将軍、引き続き陳倉を攻め、力ずくで奪え…案ずるな、私に考えがある」つづく
2022.12.10
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风起陇西(ふうきろうせい)第二十計「魏を囲んで趙を救う」柳瑩(リュウエイ)は間諜だと認めなかったが、荀詡(ジュンク)がそう思うなら捕まえてくれと言った。しかし荀詡は結局、柳瑩を逃すと決める。「この令牌があれば城門を出られる…お願いだ、この地を離れてくれ」すると柳瑩は思わず荀詡に抱きつき、黙って帰って行った。そこへ見張りをしていた裴緒(ハイショ)が駆けつける。「林良(リンリョウ)が近くにいるので追わせます」「必要ない…」すると荀詡は陳恭(チンキョウ)にも言うなと釘を刺した。一方、陳恭も″連環の計″の前に不安の種を除くべく馮膺(フウヨウ)を茶に誘った。いつかこの日が来ると覚悟していた馮膺、するとやはり陳恭は建安23年の資中(シチュウ)県での敗戦について知りたいという。「何と答えたらよいか…予想もつかないことが起こった、翟悦(テキエツ)のことがそうだ お前も五仙道に侵入した時、翟悦を失うとは思わず己の使命のみを考えたはずだ」馮膺は当時、賊軍に資中県を包囲させることが自分たちの戦略だったと明かした。10年前、先帝・劉備(リュウビ)は陽平閣で川を挟み夏侯淵(カコウエン)と対峙していた。夏侯淵の守りは堅固でつけ入る隙がなかったが、ちょうどその時、郭淮(カクワイ)が夏侯淵を助けるため″囲魏救趙(イギキュウチョウ)の計″を仕掛ける。すると楊儀(ヨウギ)が急ぎ先帝の密詔を届けた。密命は馮膺に資中県の守備状況を密かに曹魏に流させることだったという。諸葛亮(ショカツリョウ)は曹魏の″囲魏救趙の計″を逆手に取ったのだ。馬秦(バシン)・高勝(コウショウ)の資中県の乱の後、定軍山の曹魏軍は判断を誤って攻撃に転じ大敗、夏侯淵は戦死する。「陳黻(チンスウ)の死は決して作戦の本意ではない、私は命に従い動いた、それは嘘ではない」馮膺はそれまでも命に従い郭淮に情報を売ったことを認め、信じられねば楊儀に直接、聞いて欲しいと訴えた。確かにこれまで多くの犠牲を払ったが、国の利益と個々の命なら前者を選ぶという。「それがこの馮膺の信念だ…過去にとらわれないで欲しい、敵対せぬ事を願う」「ご心配なく、この陳恭も大義を選ぶ人間です…で、高堂秉(コウドウヘイ)の死は?」「私が手配した、この件はお前とは何の関係もない」陳恭は荀詡が馮膺を調べていると警告したが、馮膺はなぜか構わないと許した。「それより楊長史と会え、丞相の将令を得る手はずを整えろ」↓(´-ω-`)うむ1一方、李厳(リゲン)と狐忠(コチュウ)は馬岱(バタイ)を計画に引き込むため紫煙(シエン)閣に呼びつけていた。しかし実直な馬岱は到底、謀反に賛同できるはずがない。すると李厳が皇帝からの密詔と馮膺や陳恭の署名がある誓約状を見せた。「なるほど…諸将の支持がこれだけあれば何の憂いもない」馬岱は皇帝の勅命を受け、自ら署名押印し杯を交わした。↓(´-ω-`)うむ2間軍司の梁倹(リョウケン)が天水(テンスイ)郡守の役所に駆けつけた。諸葛亮が大軍を率いて漢中に入り、先鋒の将軍・魏延(ギエン)は秦嶺(シンレイ)山脈に沿って進み武都・陽平の両郡へ、しかしもう1つ謎の部隊が密かに進んでいるという。その部隊は祁(キ)山の南側から建威(ケンイ)に出るようだ。郭剛(カクゴウ)はどちらが主力部隊なのか調べるよう命じたが、郭淮は今回の蜀の侵攻が奇怪なことに気づく。そこでしばし武都と陽平をあきらめ、祁山に戻って上邽(ジョウケイ)と天水の一線を守ると決めた。東呉と西蜀に侵略され兵を分ける余裕がない。「諸将に告ぐ!天水の全軍を出動させ、渭水(イスイ)に布陣し蜀軍を迎え撃つ!」陳恭は荀詡を訪ねた。相変わらず歩行訓練に余念がない荀詡、今では杖がなくてもわずかに歩けるようになっている。荀詡は柳瑩に会ったと話し、布石を打ったので出方を待つと言った。すると裴緒が馮膺に動きはなかったものの、実は曹掾(ソウエン)の部屋の門に誰かが墨で円を書いたと報告する。「小さい円なので馮曹掾が拭き取らねば気づきませんでした」荀詡は密偵の連絡方法だと気づき、これでも問題ないかと陳恭に詰め寄る。そこで陳恭は確かに今日、妙だと感じたことがあったと教えた。「馮膺が青石谷(セイセキコク)の赤岩(セキガン)峰へ行く手配を命じていた…何でも道人に会って占うそうだ 明日の夜明けに出ても到着は巳の刻(10時頃)だろうな」「この多忙な時に占いだと?!ばかばかしい!」荀詡は異変があれば打って出たいと奮起したが、司聞司の司尉(シイ)ごときに何ができようかと嘆いた。しかし思いがけず陳恭が令牌を差し出す。「楊長史に会って来た…丞相の将令を受けた」「よかった!」一方、漢中に戻った黄預(コウヨ)は五仙道の生き残りと合流していた。諸葛亮が大軍を率いて北伐に向かうが、これが五仙道復興の絶好の機会になるという。そこで郭淮の指示通り、散(サン)関の北に潜入して蜀軍の補給路を断ち、西郷場外の関所を攻撃するよう命じた。成都を発った諸葛亮の大軍は明日、申の刻(16時)に南鄭に到着する予定だった。孫令(ソンレイ)は青石谷から急いで戻っても間に合わないと言ったが、馮膺は心配無用だという。こうして馮膺は孫令と従者を連れて青雲殿に到着、その様子を荀詡たちが見張っていた。↓(´-ω-`)うむ3青雲道人は亀卜(キボク)の結果に顔をしかめたが、率直に伝えた。「3日以内に投獄されるという結果が…」しかし馮膺はどこか達観しているように見える。「生死が定めでも難を逃れる手はないものか?」「″君子は生死を超え天命を成す″という」「つまりいかなる手も無益なのか…」孫令は帰りの道すがら、不吉な占いに憤慨した。「戻ったら侍衛を差し向け、青雲殿を叩き壊してやる!」「馬鹿を言うな」馮膺は叱ったが、その時、山中に潜んでいた兵士が現れ、包囲されてしまう。すると荀詡が姿を現した。「馮曹掾は曹魏と通じ、機密を漏洩した…捕えよ」つづく( ๑≧ꇴ≦)踊らされている荀詡、うすうす感じてはいるけれどいつ気づくのかな?
2022.12.02
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风起陇西(ふうきろうせい)第十九計「釜底より薪を抽(ヌ)く」馮膺(フウヨウ)が李厳(リゲン)に献策した連環の計は言わば謀反だった。2歩目で呉(ゴ)軍の侵略を装い、3歩目で戦に備えるという口実で兵糧を移動、諸葛亮(ショカツリョウ)の北伐を覆すという。確かに丞相は東呉にお構いなしで北伐を断行しており、陳恭(チンキョウ)はこれで恩師も大業を成し遂げられると太鼓判を押した。一方、荀詡(ジュンク)は高堂秉(コウドウヘイ)が自害ではなく馮膺に殺されたと考えていた。実は高堂秉から李邈(リバク)殺害についての供述を得ていたが、その緻密な計画を知るに馮膺の指示である可能性が高い。その時、荀詡はふと思い出した。「(はっ!)今日、馮膺と話した時、衣の袖に牢の内壁と思われる汚れが付着していたような…」すると裴緒(ハイショ)が確認して来ると言った。馮膺と陳恭は別荘をあとにした。馮膺の悪辣な計画は丞相の首を献ずるも同然、確かに見事な計画だったが、その容赦ないやり方がかえって李厳を疑心暗鬼にさせる。「あの者は重用するな、警戒せよ…では諸葛亮が出陣したら江州のほうも動き出せ」馮膺と陳恭は一緒に司聞曹へ戻った。すると馮膺は別れ際、陳恭は用意周到だが周到すぎると冗談混じりに指摘する。一方、馮曹掾(ソウエン)が留守の間に部屋へ侵入した裴緒は衣の袖についていた木片を見つけていた。天水(テンスイ)郡守の役所に内報が届いた。諸葛亮は東呉への対応で関中が手薄になった隙に漢中へ侵入する計画だという。どちらにせよ馮膺が失脚して陳恭さえ昇進すれば蜀軍の動向は筒抜けになるが、郭淮(カクワイ)は荀詡が気がかりだった。「陳恭なら馮膺を排除できよう、ただし司聞曹の荀詡は陳恭の義兄弟で事案に肉薄している 荀詡を排除しないと陳恭は窮地に立たされるやも…」陳恭の屋敷に突然、荀詡が訪ねて来た。すると荀詡はしみじみ間諜家業にうんざりすると漏らし、なぜ人は生死を懸けて戦うのかと嘆く。陳恭は漢の復興のためだと言ったが、荀詡はそれが空言にならぬよう願うと答えた。「馮膺が高堂秉を殺した」荀詡は証拠ならあると餅(ビン)に隠して持って来た木片を見せる。確かに証拠としては弱かったが、少なくとも馮膺を疑うには足るだろう。一方、司聞曹では裴緒たちが密かに馮膺の動きを見張っていた。そこへ馮膺が曹掾の部屋に戻って来る。裴緒は時間を記録し、従事に目を離さぬよう頼んで頭領を迎えに行くことにした。孫令(ソンレイ)は諸葛亮が成都(セイト)を出発したと報告した。そこで馮膺は主記室から各部署へ戦時体制に入るよう通達を命じ、北伐を優先すると伝える。「軍謀司と司聞司は丞相の要請を待て…もうひとつ、馬車を頼む、これから青石谷(セイセキコク)へ行く」青石谷と聞いた孫令は姐夫が青雲(セイウン)道人に会いに行くつもりだと分かった。青雲は赤岩(セキガン)峰で20年以上も修行し占卜(センボク)に精通しているという。荀詡は陳恭に信頼できる人手が欲しいと頼んだ。そこで陳恭は馬岱(バタイ)将軍の精鋭たちを借りると約束し、馮膺に毒されていない者たちだと安心させる。しかしそれでは足りず、荀詡は尾行の仕方を心得た腹心が必要だと訴えた。裴緒は自分の面倒を見ながら馮膺を見張っているため手一杯だという。「つまり他にも対象が?」「…天水から戻る際、武都(ブト)の近くで救った女子だ」荀詡は柳瑩(リュウエイ)が現れた時期に作為を感じ、怪しい点が全くないことがかえって心配だった。馮膺を逃すよう頼んだ時のあの並外れた度胸は厳しい訓練を受けて来たとしか思えないという。「これまでの経験から敵の間諜には直感が働くはずだろう? 何より馮膺は豪邸を構え、柳姑娘を李厳将軍に贈った すべてつなげて考えると胸騒ぎがする…馮膺は意図があって柳姑娘を贈ったはずだ」陳恭は嫉妬だろうと茶化していたが、荀詡の執念深さに負けて同意せざるを得なくなった。「うむ、確かに馮膺には何か企みがありそうだ」「馮膺と郭淮が通じていたなら伝達経路があるはずだ」「もしや柳姑娘が連絡係だと?」「調べねば」荀詡は自分の推察通りなら北伐に合わせて馮膺が動くと考え、柳瑩の監視を頼みたいという。すると陳恭は自分の正体が暴露された後に山林に潜んでいた林良(リンリョウ)が今夜、到着すると教えた。「使ってくれ」荀詡は迎えに来た裴緒と一緒に帰って行った。門で見送った陳恭は屋敷へ戻ったが、すぐ異変に気づいて警戒する。すると暗闇から従者を連れた黄預(コウヨ)が現れた。「そう警戒するな、郭淮刺史の命を受けて燭龍大人に会いに来た」黄預は自分が翟悦(テキエツ)を殺し、陳恭が五仙道を滅ぼし、これでおあいこだという。郭淮は黄預をひとまず漢中に戻し、南鄭に潜入して陳恭に荀詡殺害を命じるよう指示した。さすがに郭剛は陳恭にもしものことがあれば全て水の泡になると諫言する。しかし郭淮はだからこそ用心しなくてはならないと言い聞かせた。「人というものは簡単に心変わりする 大業を成したくば誰も信じるな、常に主導権を取り続けろ… もし陳恭が馮膺を排除して司聞曹を掌握したのち糸の切れた凧のようになれば、制御できなくなる 心変わりしても不思議はない… 陳恭が第2の馮膺になれば我々の数年に及ぶ努力はただのお膳立てとなる」「なるほど…妻を殺させ、同僚を殺させ、義兄弟を殺させる そうなれば陳恭の居場所は我が大魏しかなくなるというわけですか」陳恭は郭淮の命を聞いて愕然とした。すると黄預は郭淮から預かった3本の金鈚箭(キンヒセン)を差し出し、表面に猛毒が塗ってあると教える。「陳曹掾は弓の名手、造作ないだろう」人を用いるなら信頼すべしと言うが、どうやら郭淮はまだ陳恭の忠誠心を疑っていた。陳恭は事を急いては仕損ずると反対したが、黄預は手はずなら整えてあるという。「南鄭で殺すのではない、陳曹掾にはいかなる迷惑もかからぬ」黄預は西郷(セイキョウ)の城外で会おうと言って帰って行った。狐忠(コチュウ)は李厳将軍の説明を一言も漏らぬよう書き留めていた。「諸葛亮の率いる軍が成都を離れた、間もなく漢中を抜けて陳倉(チンソウ)道を通る そこに兵糧を届けるのだ、定軍(テイグン)山から兵糧を運ぶ道は2つ、東側は回り道で西側は近道だ こたびは東側を通らねばならぬ …散(サン)関以南は私の管轄だ、そなたは運んだ兵糧を散関で魏延(ギエン)に受け渡せ」「将軍、ご高明です、受け渡し後に問題が起きても将軍は関係ない」魏延は兵糧を受け取ったのち沔水(ベンスイ)へ向かい河口に下るはずだ。しかし陳恭が堤防を壊し山津波が発生、散関では長引く雨で沔水が氾濫しているため天災にできる。その間に東呉の侵略を知った李厳が兵糧を前線に送れば、諸葛亮には露呈するまい。計画は完璧だったが、ただ東側の道を行く理由が必要だった。関所の馬岱将軍を取り込めれば何とかなる。すると狐忠は馬岱が馬超(バチョウ)の従弟で、6年前に馬超が死ぬと古参でない馬岱は丞相に冷遇され、鬱々としていると教えた。荀詡は李厳の別荘に近い裏道で思い出の草笛を吹いた。もう猶予はない。北伐の前に不安の種を除かねば街亭(ガイテイ)の二の舞になってしまう。しかし馮膺にしては証拠が分かりやす過ぎるのが気になった。陳恭も自分が推断できた点をなぜ見逃したのだろうか。「実は踊らされているのやも…」荀詡は一抹の不安を感じながら裴緒に見張りを頼んだ。するとしばらくして別荘を抜け出した柳瑩が現れる。実は荀詡は柳瑩が曹魏の間諜だと気づいていた。荀詡は高堂秉が曹魏の送り込んだ間諜・燭龍だったと伝えた。そこで紫煙(シエン)閣の帳簿を見たところ、高堂秉が毎月3回、柳瑩に会いに行っていたことが分かったという。しかし明らかな証拠がないせいか、柳瑩はあくまで知らぬ存ぜぬを通した。すると痺れを切らした荀詡がついに核心に迫る。「高堂秉から聞いた、君が連絡係だと…」「…なるほど」柳瑩は荀詡の憤りが李厳と自分の仲ではないことにいささか落胆した。「私に利用されたと思ったのね…私を救った後に起きたこと全てが仕組まれたことだと… この想いまで偽りだと? 私を間諜だと思うなら捕えればいいわ、もう疲れたの、休みたい」↓まさに美人の計つづく(* ゚ェ゚)黄預、帰りは堂々と出て行くんだw
2022.12.01
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风起陇西(ふうきろうせい)第十八計「連環の計」馮膺(フウヨウ)は李厳(リゲン)に豪華な別荘を用意、気兼ねなく柳瑩(リュウエイ)と過ごせるよう手配していた。その裏で柳瑩には見聞きしたことを時折、報告するよう指示しておく。「安心して、恩は必ず返す、私は永遠にあなたのものよ…」「命が惜しければ口には出すな」柳瑩は馮膺を翻弄しながら、李厳には寄る辺のない身ゆえ情けをかけて欲しいと潤んだ目で訴えた。すると李厳は柳瑩を決して見捨てたりはしないと約束する。一方、西曹掾(ソウエン)の地位を得た陳恭(チンキョウ)は荀詡(ジュンク)の家で夕餉を共にしていた。「まさか朝廷が馮曹掾の監督不行き届きを許すとはな、波紋を広げたくないようだ」陳恭はこれ以上の追求は危険だと警告したが、実直な荀詡は良心に背かなければいいという。「予感がするのだ、燭龍の事案の謎を暴くことが人生の意義だと…」そこへ裴緒(ハイショ)が息せき切って飛び込んできた。「一大事です!高堂秉(コウドウヘイ)が自害を!」李厳は馮膺に皇帝から密勅を賜ったと教えた。今回の朝議を機に諸葛亮(ショカツリョウ)とはいずれ決裂することになるという。しかし丞相の影響力があまりに大きいため、痕跡を残さずやり遂げなければならなかった。そこで密かに諸葛亮を陥れて君主を欺いた罪に問いたいという。「分かりました、周到な計画を練ります」陳恭と荀詡が牢に駆けつけた。裴緒の話では酉の刻(18時頃)に夕餉を届けた後、亥の刻(22時頃)に夜回りに来た時には死んでいたという。高堂秉は机を割った木片で喉を突き刺していた。陳恭は落胆する荀詡に手を貸して立たせると、むしろ都合良く死んでくれたという。翌朝、陰輯(インシュウ)は高堂秉の自害を知り安堵していた。実は荀詡の調査には批判がでており、司聞曹の古株を一掃するつもりだと揶揄されていたという。馮膺は燭龍を捕らえるため大きな代償を払った荀詡をかばい、陰口を叩くなと憤慨した。すると孫令(ソンレイ)が根拠のない批判ではないという。「荀詡が高堂秉を調べる動機は不純です、怪我をしてから性格が一変しました、姐夫を恨んで…」「口を慎め!」馮膺は話を遮り、荀詡とは個別に話すと言った。陳恭は高堂秉が死んだことで燭龍の事案に決着がついたと言った。「いいか、自害として処理しろ、それがお前のためだ」裴緒も確かに木片が刺さった角度や力の大きさ、血が飛び散った方向を見るに自害だと納得する。しかし荀詡はどうしても自害とは思えなかった。「あいつは自害するようなヤツではない…机を割ったにしては指に傷ひとつなかった 割ったのはヤツではない」天水(テンスイ)郡守に復帰した郭剛(カクゴウ)、すると郭淮(カクワイ)が五仙道の大祭酒・黄預(コウヨ)を連れてやって来た。黄預は漢中で30年あまり隆盛した五仙道が1日で滅亡し、曹魏が賢士を集めていると聞いて庇護を求めたという。すると郭淮は陳恭が自分たちの仲間だと明かした。「今後は陳恭を追及するな、私の命を受けてしたことだ」実は皇帝が天下統一において大きな役割を果たした五仙道を国教に考えているという。郭淮は漢中に戻ったら陳恭と協同するよう指示し、大局を重んじるよう黄預を説得した。陳恭は李厳の別荘を訪ねた。李厳はまだ到着していなかったが、柳瑩が対応する。「高堂秉が死んだ…これでそなたの身元は割れぬ ただ残念ながら荀詡は徹底的に追及するつもりだ…静観していろ、でそちらは?」「将軍は私に惚れ込んで詩まで書いてくれたわ」柳瑩は陳恭に茶と一緒に李厳直筆の詩を渡した。馮膺は荀詡を呼んで高堂秉の件を聞いた。荀詡は正直に陳恭から自害にするよう言われたと報告したが、どうしても腑に落ちないという。すると馮膺は陳恭が正しいと言った。朝廷の権力争いに終わりはなく、丞相が再び北伐するため司聞曹は平穏を保たねばならないという。しかし馮膺は荀詡の性格上、手を引けと言っても無駄だとあきらめ、表向きは自害で処理し、秘密裏に捜査するよう提案した。陳恭は数日以内に馮膺を捕らえると伝えた。「罠を仕掛ける、この日を3年も待った」そこで柳瑩に馮膺の伝達経路について刺史から聞いているか確認する。すると柳瑩は付近を警戒しながら声を落とした。「″青石谷(セイセキコク)の赤岩(セキガン)峰…」「分かった」馮膺が屋敷に戻ると復職した楊儀(ヨウギ)が待っていた。すると楊儀はそろそろ″網″を引く時が来たという。馮膺は街亭(ガイテイ)の事案後、郭淮が青萍(セイヒョウ)計画を始動したが、連弩を盗むのは目くらましで、狙いは李厳を制圧することだったと教えた。そこで敵の裏をかくため計画の実行を阻まず、自ら李厳の腹心になったという。「お前に売られた時、計画を実行するのだと悟ったよ」「ですが決心がつきません…丞相は何もご存じない、我々の連環の計は大勢を巻き込みます 非常手段であり公にできません、露呈すれば李厳は我々を許さないでしょう 当然、司聞曹にも累が及ぶ、罪は免れません」「だが危険を犯すしかない、李厳を倒す唯一の機会だ」馮膺はついに覚悟を決め、これから李厳と昼餉を共にする際、計画を伝えることにした。李厳がこの計画を始動すれば破滅したも同然、自分たちも無事ではいられないだろう。ただし馮膺には気がかりがあった。ひとつは陳恭だが、楊儀は10年前の父親のことなら機会を設けて釈明すればいいという。あとひとつは荀詡のことだった。「私の段取りより嗅ぎつけるのが早く、高堂秉の死への関与を暴かれるやも…そうなれば台無しです」↓何も知らず姐夫を心配する孫令荀詡は裴緒からもう一度、当日の話を聞いた。当直だった裴緒は高堂秉が亡くなったとされる2時辰(トキ)半の間は誰も独房に入っておらず、重罪犯の牢に痕跡を残さず侵入するなど無理だという。馮膺が李厳の別荘を訪ねると陳恭の姿があった。すると李厳は陳恭も仲間だと安心させ、早速、諸葛亮を陥れる策を聞くことにする。馮膺は今回の目的を総括、北伐は国力を削ぎ国本を危うくするゆえ密勅により北伐を阻止すること、実際の行動に李厳が関わらないことだと切り出した。「連環の計を考えました、全部で3段階です この計画を簡単に言うと″刀を借りて人を殺す″、以上です」今回の北伐の戦術はかつて韓信(カンシン)が使った策を模倣している。魏延(ギエン)が陽動作戦で隴西(ロウセイ)を攻める隙に丞相は主力を率いて故道を通って陳倉(チンソウ)を奇襲、その後、陳倉を兵糧の拠点にして長安を狙うのだ。そこで1歩目はこの情報を曹魏に流し、魏延の部隊を殱滅するという。その目的は丞相の攻勢を遅らせ、陳倉の攻略を滞らせることで、2歩目の時間稼ぎを行うことだった。李厳は陳恭に目配せした。そこで陳恭はこの計画には難点があると指摘する。諜報機関の情報は虚実ないまぜ、曹魏の上層部が信じる保証があるのだろうか。するとついに馮膺は郭淮と直接、連絡する経路があると白状した。李厳もこれには恐れ入ったが、馮膺は漢復興のための非常手段だという。計画の2歩目は呉(ゴ)軍に変装した李厳の腹心が関所を襲い、呉と蜀の商道を断って東呉の侵略を装うことだった。しかし東呉は丞相に曹魏を討つと請け負っている。李厳はまた陳恭に目配せした。「つまり東呉の侵略が真実である必要はないと? 情報が伝われば丞相は不在のため皇帝は李厳に勅命を下すはず…」「その通り」李厳はようやく自分が東呉との戦に備えるという口実で東呉との前線に兵糧を送り、北伐を覆すと分かった。すると急に険しい顔になる。「これは謀反だぞ?!」つづく( ๑≧ꇴ≦)全然、ついていけない管理人が通りますよwで、馮膺も楊儀も陳恭が父の件で恨んでいると知ってるのか〜何だそれ?
2022.11.20
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风起陇西(ふうきろうせい)第十七計「反間の計」陳恭(チンキョウ)は紫煙(シエン)閣に柳瑩(リュウエイ)を訪ね、自分が燭龍(ショクリュウ)だと明かした。自分たちがこの重要な位置まで来れたのも、郭淮(カクワイ)将軍が五仙道と高堂秉(コウドウヘイ)を犠牲にして導いてくれたおかげだという。「…ただ犠牲も大きかった」「将来得る結果に比べれば些細なことだ…」「では翟悦(テキエツ)は?」「…柳姑娘、李厳(リゲン)のそばにいるそなたに死なれては困る ゆえに今日は殺さぬが、今後その名を出すことは許さぬ」「失言でした…しかし組む以上、弱点があってはならない、同じ船に乗る者同士、信頼が大切では?」すると陳恭の殺気が消え、腹が減ったと言った。陳恭は食事を済ませ、次の標的が馮膺(フウヨウ)だと示唆した。恐らく李厳は楊儀(ヨウギ)の復職と引き換えに馮膺を残すはず、しかし馮膺が死なねば青萍(セイヒョウ)計画はついえる。「極端な手を使うやもしれぬ、準備を整えろ」「覚悟はできているわ」すると陳恭は次の連絡を待つよう伝え、席を立った。青萍計画の本当の目的は連弩(レンド)の設計図ではなく、真の燭龍を敵の上層部へ送り込むことだった。しかし郭剛(カクゴウ)は叔父から陳恭が燭龍だと聞いてもにわかに信じられない。陳恭が己の使命に背き、西蜀を裏切って大魏につくだろうか。実は郭淮は陳恭が潜入した当初から西蜀の間諜だと気づいていた。そこで陳恭をわざと侍衛長に昇進させ、初めて情報を盗んだ時に現場を取り押さえたという。「お前を長安で学ばせているのは罰ではない、知って欲しいのだ 最も落としがたいのは人の心だと、だが最強の武器となるのもまた人の心なのだ」正確には陳恭は裏切ったと言うより、裏切りを憎悪していた。郭剛もそんな陳恭の律儀さを知っており、だからこそ天水(テンスイ)で疑ったことなどなかったという。すると郭淮はそのこだわりこそが弱点になったと言った。「奴に馮膺との取り引きの記録を見せた」郭淮はかつて馮膺と情報を取り引きしていた。もちろん機密に関する情報ではなく、ある種の取り引きは互いの出世に役に立つ。つまり密偵の命だ。郭剛は憤慨、陳恭も当然、受け入れられるはずがない。すると郭淮は諜報というものを徐々に理解すればいいとなだめた。「よいか、この世には正義も悪もなく、天はかくも非情だ」10年前、当時、漢中を守っていた夏侯淵(カコウエン)は劉備(リュウビ)率いる10万の兵と対峙した。郭淮は夏侯淵を助けるため囲魏救趙(イギキュウチョウ)の計を思いつく。そこで秘密裏に西蜀の馬秦(バシン)・高勝(コウショウ)を説いて挙兵させ、資中(シチュウ)県を包囲させた。実は資中県の情報を郭淮に渡したのが馮膺だという。李厳はほぼ全軍を失った。しかし危機に立ち向かったのは李厳ではなく、影武者の陳黻(チンフツ)だったという。…陳恭は馮膺が情報を漏洩したせいで父が命を落としたと知ったしかも郭淮から情報を得る見返りに密偵を差し出していたという陳恭は呆然としていたが、郭淮は証拠となる取り引きの一覧を示した『司聞曹の状況と一致するか確かめてみろ』『…馮膺は建威(ケンイ)の王善人(オウゼンニン)まで売ったのですか?』王善人と言えば家は裕福で3代も曹魏の官職を務めていた馮膺の情報がなければ西蜀の密偵だと気づかなかっただろう結局、王善人は一族皆殺しとなり、江湖の仇打ちに遭ったと処理された陳恭は父の仇討ちを決意、指示を仰いだすると郭淮は3年は動かなくて良いという馮膺の目を欺くため任務をこなし、司聞曹で手柄を上げて馮膺に尽くせというのだ『予感がするのだ、お前は間諜というものを根底から変えられる男だと… 私の使命はお前をそのように育てることだ』しかし陳恭の才は郭淮の予想をはるかに超えていた…郭剛は叔父の計画に敬服した。しかし何も知らなかった自分を哀れみ、今後は欺かないで欲しいと懇願する。郭淮は言える時機ではなかったとなだめ、街亭(ガイテイ)の事案が西蜀を大きく揺るがした後、陳恭に2つ目の指令を出したと教えた。「″帰国せよ″と…」「つまりそれが青萍計画の本当の始まりだったのですね」「そうだ」南鄭(ナンテイ)では荀詡(ジュンク)が日々、歩く練習を重ねていた。一方、馮膺には朗報が届く。陰輯(インシュウ)の報告によれば丞相が楊儀復帰の条件として馮膺の免責を許し、李厳も応じたという。俸禄1年分の剥奪だけで済んだ馮膺は幸運を喜んだが、まだ微妙な状況なのは事実、そこで陰輯に高堂秉の件を注視するよう頼んだ。「扱いを誤れば別の災いを招く…例えばお前は高堂秉と仲が良かったな?」実は陳恭を国外へ行かせたのは友の荀詡と離すためだったという。「今は司聞曹内部で揉め事は起こせぬ」皇帝が北伐を許した。不満げな李厳だったが、朝議の後、単独で参内せよと勅が下る。狐忠(コチュウ)は馬車をひと回りさせてから皇宮の北門へ向かい、李厳は偏殿で知らせを待った。すると祈祷中の皇帝に代わり太監が密勅を届けにやって来る。「先帝が崩御の際、つけていた玉帯を陛下より授けます ″生姜と酢″をすする思いで耐え、陛下を支えて漢の復興を頓挫させぬように…」役所に戻った李厳は早速、先帝の玉帯を念入りに調べた。一見すると何も分からなかったが、帯を切り開いてみると小さく折りたたんだ紙が出て来る。しかし紙には何も書かれていなかった。その時、李厳はふと太監の言葉を思い出し、生姜水と酢を混ぜた汁を紙に塗ってみる。すると驚いたことに文字が浮き上がった。…朕は即位した後、諸葛亮(ショカツリョウ)を武郷(ブキョウ)侯に任じ、益州を任せ、朝廷での決定権を与えた、だがいまだ天下は不穏で朕は安心できぬ、しかも諸葛亮は専横を極め重大事案も上奏せず、皇太后も罪を問いたがっている、さらに諸葛亮は張飛(チョウヒ)の娘を勝手に皇后に立てた、献帝に対する曹操(ソウソウ)さえこうも酷くはなかった、先帝いわく″諸葛亮には曹丕(ソウヒ)の10倍の才がある、朕に価値なくば諸葛亮が国を奪え″と言ったが、その言葉は先帝の疑念を表す…荀詡が取り調べにやって来た。しかし高堂秉は2つの条件を呑まない限り話さないという。荀詡は仕方なく谷正(コクセイ)の件を後回しにし、設計図を盗み出したとしても定軍山からどうやって脱出つもりだったのか聞いた。「それなら話せる、軍謀司は朝廷の掟により漢中の兵糧と輸送を点検している こたび武都に兵糧を運ぶこととなり、成藩(セイハン)校尉が責任者だった」山を封鎖しても全ての輸送車を調べるのは不可能、高堂秉は設計図を兵糧の中に隠すつもりだったという。そこで高堂秉は話せることなら全て話したと訴え、肝心な話を聞きたいなら赦免が先だと言った。すると荀詡はそこで切り上げることにする。「安心しろ、私はそんな取り引きには応じない…殺された翟悦のためにも決してお前を許さぬ あと1日やろう、話すかどうかは任せる、ただし口を割らなければ生き地獄が待っていると思え」南鄭への道中、狐忠は将軍の内弟子である陳恭が戻った今、馮膺と楊儀の交換は割に合わないと訝しんだ。しかし李厳は一極集中を嫌い、忠誠心のある陳恭と経験がある馮膺2人を抱えてこそ安定するという。すると急に馬車が止まった。「司聞曹の馮膺がいます」馮膺は命の恩人である李厳の帰りを平伏して待っていた。そこで李厳が柳瑩と気兼ねなく過ごせるよう、贅を凝らした別宅に案内する。「ここは周囲5里が司聞曹の土地なので静かで安全です」「馮曹掾(ソウエン)がそこまで言うなら…なあ?」荀詡は陳恭に訓練の成果を見せた。陳恭は足の回復ぶりに驚きながら、実は陰輯に頼んで高堂秉に会ったと伝える。「尋問では私情を挟まず冷静になれ、いっそ私に任せるか?」荀詡は陳恭が本気なのか冗談なのか分からなかった。つづく※囲魏救趙=魏を囲んで趙を救う兵法のひとつ、敵を一箇所に集中させず奔走させて疲れさせてから撃破する戦略のこと
2022.11.18
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风起陇西(ふうきろうせい)第十六計「手に順(シタガ)いて羊を牽(ヒ)く」驃騎(ヒョウキ)将軍・李厳(リゲン)は燭龍(ショクリュウ)の件の報告で成都(セイト)へ戻ることになった。馮膺(フウヨウ)は幕府に妓女が入り浸りでは外聞が悪いため、孫令(ソンレイ)に将軍が帰って来るまでに屋敷を見繕っておくよう頼む。すると孫令は高堂秉(コウドウヘイ)の裏切りが姐夫にとって不利なのか聞いた。馮膺は当然、危ういと認め、楊儀(ヨウギ)が庶民に落とされた今、自分以外に責任を負える者がいないという。「役人は人情で動かぬ、利害関係が全てだ、上官の利害と一致して初めて安然が保証される 分かったか?」丞相・諸葛亮(ショカツリョウ)が再び北伐に向けて動き出した。恐らく燭龍が捕まったことで懸念が払拭できたと思ったのだろう。李厳は皇帝が支持するかどうか分からなかったが、丞相たちは馮膺の処分を考えているはずだ。すると陳恭が挨拶に来たと知らせが届く。李厳はすぐ通すよう命じ、弟子との再会を喜んだ。李厳は陳恭の功績を称賛し、司聞曹に人材がなく困っていたと話した。しかも軍謀司(グンボウシ)の司尉(シイ)が燭龍だったとなれば残党がいても不思議ではない。そこで陳恭は自分が戻った以上は徹底的に調べると安心させた。実は李厳はすでに馮膺に陳恭を李邈(リバク)の後任にするよう話をしたという。一方、諸葛亮は朝議を前に北伐について諸公との会合を終えていた。すると参軍の蒋琬(ショウエン)が楊儀を復職させるべきだと進言する。「長年、丞相のために尽くし、働いてきた忠臣、曹魏との戦いを前に暇を出しておくのは惜しいかと」李厳は諸葛亮が朝議を開くため臨時の招集で成都に出かけると話した。恐らく2度目の北伐の話だろう。そこで陳恭に丞相の北伐についての意見を聞いた。陳恭は丞相が北伐にこだわるなら譲歩してはどうかと進言する。「独断で突き進めば丞相は自滅します…先帝の遺言を?」「もちろん忘れもせぬ」先帝は諸葛亮の才を高く買い、″君には曹丕(ソウヒ)の10倍の才がある、劉禅(リュウゼン)が補佐するに値するなら助け、不可なら国を奪え″と言った。「″国を奪え″に殺意が見えますが…」「(はっ)…しばらく会わないうちに成長したな」荀詡がついに高堂秉の牢へやって来た。ようやく高堂秉は自分が原因で荀詡が拷問を受け、しかも五仙道に密告した密偵の女が荀詡の表妹であり白帝の妻だと知る。「…お前まで巻き込むつもりはなかった」しかしこれが諜報であり、もし主が同じなら今も仲間だったはずだ。荀詡は確かに翟悦(テキエツ)が惨殺され、自分の脚が動かないのも″仲間″である高堂秉のせいだと激高、思わず松葉杖に八つ当たりしてしまう。もはや何も言い返せない高堂秉、すると荀詡は怒りと悲しみをこらえ、裴緒(ハイショ)に調書を取るよう合図した。高堂秉は軍技司の夜回りが使う合言葉を黄預に教えたと認めた。また暗号解読用の木版は間抜けな孫令を利用して手に入れたという。当時、有事の際は孫令が木版を持ち出し、12人の白毦(ハクジ)兵が護送する決まりだった。道中では手が出せないことから全く同じ箱を用意し、孫令が出かける前に偽物とすり替えたという。高堂秉は急いで木版の型を取り、孫令が目的地に着いた後に本物を戻していた。すると荀詡は曹魏との連絡方法を尋ねる。「司聞曹の軍機の伝達経路を使った、赤帝(セキテイ)という密偵をでっちあげたんだ」高堂秉はうっかり口を滑らせた。「…いつ谷正(コクセイ)の存在を知ったんだ?」それまで流暢だった高堂秉は表情が硬くなり、質問を変えろという。「時間をやる、良く考えるんだな」荀詡はひとまず帰ることにしたが、高堂秉が呼び止めた。「2つ条件がある、陛下に免罪の割り札を賜り、私を赦免すること…そして2度と追って来るな」しかし荀詡は何も言わず行ってしまう。一方、司聞曹に戻った陳恭は馮膺を訪ねた。馮膺は高堂秉の件で責を負う覚悟だと話し、心血を注いで育ててきた司聞曹を陳恭に任せたいという。そこで陳恭にまず西曹掾の令牌を渡し、先を見据えて曹魏に反撃したいと言った。「その前に目標を明確にしよう、諜報の対象は2つ、1つは曹魏でもう1つは国内だ」実は第二次北伐について丞相が朝議を開くため、街亭の時のような失敗は2度と犯せないという。しかし外勤だった陳恭なら対外諜報を熟知しているため、司聞司を率いるよう命じた。馮膺は孫令に陳恭から要望があれば聞くよう助言した。孫令は姐夫が育てた陳恭なら身内も同然だと了承したが、実は陳恭は李厳の内弟子、後ろ盾が大きいからだという。「あ?…じゃあ、私たちの仲間ではないと?」「とにかく私の言う通りにやれ」馮膺は自分がいなくなったあとの孫令を心配したが、何よりこれは自分の命を守るためでもあった。紫煙閣(シエンカク)の柳瑩(リュウエイ)は新しい客をもてなすことになった。「どのような遊びがお好みですか?…琴や簫はどうです?」「高尚な趣味がなくてな」「紫煙閣の掟をご存じないのでしょう、他の遊び方もありますが、急いてはいけません」すると陳恭は懐から笛頭部を出して渡した。柳瑩は笛頭部を確認、自分の竹笛の本体にはめてみるとぴったり合う。「″神亀は命流し時期を待つな″」「″騰蛇(トウダ)は飛翔し天地のごとく輝く″」「…お待ちしておりました」一方、雍(ヨウ)州の叔父に呼び戻された郭剛(カクゴウ)は意気消沈していた。(´・_・`)<叔父…私は陳恭が生きていることも何も知りませんでしたすると郭淮(カクワイ)は郭剛の軽率な行動なら読み通りだったと話し、失敗から学べば良いと励ました。「荷をまとめよ、天水に戻るぞ」しかし郭剛は罪を償うまで復職はできないと令牌を返してしまう。「青萍(セイヒョウ)計画が仕上げに入った」実は青萍計画の本当の目的は連弩(レンド)の設計図ではなく、曹魏の手の者を敵の上層部に送り込むことだった。燭龍が司聞曹の曹掾になれば軍事機密をもれなく入手できる。「良く分かりません…高堂秉は捕まったのでは?」「″燭龍″は秘匿名だ、捕まった瞬間から高堂秉は燭龍ではない」郭淮は高堂秉が真の燭龍を育てる踏み台に過ぎないと教えた。「では新しい燭龍とは一体…」いよいよ諸葛亮の朝議が始まった。皇帝は北伐を続ける必要性を感じていなかったが、諸葛亮は先帝の意志を継いで打って出るべきだと上奏、蜀漢と東呉を相手に曹魏が疲弊している今こそ好機だという。しかし李厳は反対、ならば東呉の戦で亡くなった先帝の敵を討つため、東呉を討つべきだと訴えた。諸葛亮は東呉と決裂すれば曹魏に侵攻の隙を与えてしまうと指摘し、そうなれば漢中を明け渡すことになるという。「陛下、漢中に入り多くの臣下を失いました… また数年経ち、3分の2の兵力を失えばもう戦えません!蜀漢は曹魏を討つ機を失います!」すると皇帝はもっともだと納得した。つづく(  ̄꒳ ̄)なるほど~で最後にもう1回どんでん返しが来るか?
2022.11.10
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风起陇西(ふうきろうせい)第十五計「東に声して西を撃つ」高堂秉(コウドウヘイ)は古澗(コカン)渓へ到着、約束通り樟(クスノキ)で連弩(レンド)の設計図を見つけた。しかし筒の中は空っぽ、その時、突然、男が現れ、右胸を刺されてしまう。「設計図は私の手にある…やっと会えたな」「ゥ…あなたは?」「白帝(ハクテイ)だ…お前には生き地獄を味わってもらう」陳恭(チンキョウ)は手始めに傷口に指をねじ込むと、高堂秉は激痛のあまり悲鳴を上げた。馮膺(フウヨウ)はようやく司聞曹(シブンソウ)へ戻った。すると門の前で待っていた陰輯(インシュウ)が連弩の設計図が奪われたと報告する。しかも荀詡(ジュンク)が自分の官印がある通行証を手に軍技司(グンギシ)に忍び込み、譙峻(ショウシュン)校尉に捕まっていた。驚いた馮膺は荀詡の引き渡しを頼むため急ぎ照会状を書くことにしたが、役所で予想外の人物と再会する。「白帝?!」「曹掾(ソウエン)…設計図は私が」一方、定軍(テイグン)山では荀詡が拷問を受けていた。孫令(ソンレイ)は直ちに荀詡を司聞曹へ戻すよう掛け合ったが、自分の命が掛かっている譙峻が認めない。そこへ馮膺たちが到着したと報告が来た。譙峻は馮膺の頼みでも荀詡を解放するつもりはなかった。しかし思いがけず設計図が戻って来る。馮膺の話では曹魏(ソウギ)の間諜・燭龍が軍の指揮系統に潜入、荀詡たちのおかげで捕まえたという。こうして荀詡は解放されることになったが、なぜかなかなか牢から現れなかった。痺れを切らした陳恭は強引に中へ入ると、血まみれになった荀詡が倒れている。「おい!起きろ!燭龍を捕まえたぞ!」「…良かった…お前が戻るまで耐えられないかと…」すると荀詡は再び意識を失った。陳恭と荀詡は街亭(ガイテイ)の真相を明らかにするため一計を案じていた。そこで陳恭は青萍(セイヒョウ)計画の実行役として五仙道に潜入、設計図を受け取りに来た燭龍を捕らえたという。すると高堂秉の屋敷から複製した白帝専用の木版が見つかった。馮膺は入手経路を聞いたが高堂秉は依然、口を割らず、何でも荀詡でなければ証言しないという。しかし荀詡は動くこともままならなかった。胸を痛めた馮膺は孫令から荀詡の偽造した通行証の扱いを聞かれたが、自分が渡したことにする。「燃やしてくれ」陳恭は荀詡の家を訪ねた。するとちょうど裴緒(ハイショ)が華佗(カダ)唯一の後継者である華医者を見送りに出て来る。裴緒は荀詡の意識が戻ったと報告したが、医者は全快するかは運次第だと言って帰った。実は荀詡は拷問で経路が傷つくほど足を打たれており、ゆっくり歩けるまでには戻れるという。陳恭の顔を見た荀詡は笑顔になった。それにしても陳恭の次に親しかった高堂秉が燭龍だったとは、人間とは分からないものだと嘆く。「お前が尋問に来るまでしゃべらないと言っている」「混乱している、考えを整理しないと…ところで曹掾から官職の褒美は?」「何も…祝宴を開く話も断った」陳恭はそれより気がかりを片付けたいと言ったが、これ以上、荀詡に打撃を与えるわけにいかない。しかし荀詡は陳恭にとってもっとの気がかりなのは翟悦(テキエツ)だと分かった。「まさか…悦児の身に何か?」「…ああ」「なぜ露見した?!」「お前と会っているのを高堂秉が見ていた、あいつが五仙道に警告したんだ」荀詡はたった1人の親族を、しかも自分のせいで失ったと聞いて全身を震わせながら泣いた。「お前は悪くない…迎えに行って来る、必ず会わせてやるから、まず身体を治せ」。゚(∩ω∩`)゚。狐忠(コチュウ)は李厳(リゲン)に白帝が街亭の事案の真相を暴いたと報告していた。幼い頃に両親を失った陳恭を引き取り、親代わりでもあった李厳は内弟子の功績に鼻が高い。かつて皇帝に陳恭を推挙しようとしたが、陳恭は退屈な役人が嫌で書き置きを残し、姿を消していた。まさかよりによって司聞曹に入って曹魏に潜入していたとは思いもよらず、何年も連絡がなかったのも頷ける。一方、庶民に降格となった楊儀(ヨウギ)は丞相の言い付け通り読書に明け暮れていた。しかし何とも落ち着かず、身が入らない。すると諸葛亮(ショカツリョウ)が現れ、燭龍の件が解決したと教えた。「白帝は裏切っていなかった、荀詡と協力して燭龍を捕らえたそうだ 捕まったのは高堂秉、白帝の情報をすり替えていた、証拠もある」「そんな簡単に解決する事案でしょうか?」楊儀は長年、競ってきた曹魏の諜報は慎重かつ智謀に富むため、まだ何か裏があると疑った。荀詡は翟悦が命を懸けて手に入れた情報を解読した。五仙道と燭龍が交わしていた暗号文は軍技司が夜回りで使う合言葉の番号だったという。曹掾の決める変更順を通達するのは軍謀司、裴緒はやはり高堂秉に間違いないと言った。「高堂秉に…会いたい…」李厳は陳恭の生還を知り感慨深かった。実は陳恭の父・陳黻(チンフツ)は資中(シチュウ)県での謀反で李厳の影武者となって李厳を成都に逃し、戦死している。「あれから10年、今でも悔やまれてならない」しかし陳恭は父が国に殉じたということ以外、詳しいことは知らないはずだった。その日、南鄭は激しい雨になった。陳恭は翟悦の亡骸と一緒に城門に到着、すると松葉杖をついた荀詡が表妹を出迎える。その様子を密かに柳瑩(リュウエイ)が見ていた。陳恭と荀詡は見晴らしの良い山に翟悦を埋葬し、屋敷に戻って位牌を置いた。すると陳恭は翟悦がくれた宝剣を見せ、いきなり自分の左手の小指を切り落としてしまう。驚いた荀詡と裴緒は慌てて陳恭の指を止血した。「この剣で黄預(コウヨ)を殺し、この指を一緒に埋葬する…」間諜が迎える最期などろくでもないと割り切っていたが、まさか己の手で愛する妻を送ることになるとは思いもよらなかった。荀詡はまだ高堂秉に会っていなかった。頭が切れる高堂秉から証言を引き出すには準備がいるという。すると荀詡は陳恭に黒幕がいると言い出した。「谷正(コクセイ)を覚えているか?燭龍が陰輯だったなら納得がいく、しかし高堂秉とは…」谷正と接点があるのは司聞司、軍謀司の高堂秉が谷正を知るはずもなく、谷正も軍謀司の司令を受けるはずがない。「陰輯も仲間だと?」「いいや…馮曹掾だ」しかし陳恭は馮膺が曹魏の間諜なら自分と翟悦の正体はとうに暴かれていたはずだと否定した。荀詡も当初は疑っていなかったが、疑念が湧いたのは李厳に近づいてからだという。「燭龍の正体を知っていた上で謀略のために泳がせたのかも…」「つまり曹掾は間諜ではないが、間諜を使って曹魏と取り引きしたと?」「そうだ、証拠はある」五仙道からの押収品を見た荀詡は黄預を平南将軍に封じる書状を書いたのは誰か聞いた。陳恭は郭淮(カクワイ)が起草し、曹叡(ソウエイ)自ら署名したと教える。「やはりな、去年、郭淮の字を曹掾の机の上で見た」荀詡は以前、馮膺に陽平閣からの検問依頼書を届けた時、床に落ちていた文を拾って机に戻したことがあった。「白帝の木版を高堂秉が持っていた、分かりやすい証拠が出ればそちらに目が向く これで馮曹掾の思うままだ」野心のある馮膺が権力を得るため曹魏と結託したと疑う荀詡、一方、陳恭は指が痛むのか落ち着きがなく苛立っていた。「確かな証拠が見つかるまで、今の話は誰にもするな」つづく(  ̄꒳ ̄)おう?まだ折り返し地点で燭龍の敗北宣言ですかこれはやはり・・・
2022.11.10
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风起陇西(ふうきろうせい)第十四計「無中に有を生ず」青萍(セイヒョウ)計画当日、燭龍(ショクリュウ)・高堂秉(コウドウヘイ)は陰輯(インシュウ)に譲ってもらった定軍(テイグン)山の巡視へ出発した。一方、荀詡(ジュンク)も腹心の裴緒(ハイショ)に当直の代わりを頼み、偽造した通行証を持って南庭(ナンテイ)を発つ。やがて日も暮れる頃、定軍山の関所に到着、荀詡は譙峻(ショウシュン)校尉へ急報を伝えに来たと嘘をついて総成部へ急いだ。荀詡は途中で馬を草むらに隠し、巡回の兵を避けてついに総成部の正門に到着した。そこで門衛に見つからぬよう橋の下を伝って堀を渡り切り、そこから崖伝いに裏門へ回る。同じ頃、陳恭(チンキョウ)と五仙道の精鋭たちは蜀漢の兵士に扮し、黄預(コウヨ)の指示通り総成部の向かいにある崖を下っていた。計画では黄預が西側の谷底で倉庫を燃やし、その後、信徒を率いて東側の谷底に撤退、設計図を盗んだ糜冲(ビチュウ)と合流することになっている。直前には黄預に燭龍から今夜の暗号と倉庫の鍵が届き、陳恭は準備万端だった。荀詡は崖を上って裏門に到着、鍵をこじ開けた。その時、西側の倉庫から火の気が上がり、兵士たちが慌ただしくなる。「倉庫が燃えた!消火に向かえ!」すると総成部の正門が開き、兵士たちが飛び出して行った。「行くぞ!」陳恭は精鋭たちに合図、火事騒ぎのどさくさに紛れて正門から侵入することに成功する。不意を突かれた守衛たちは次々と倒され、陳恭は難なく軍技司の密室へ到着、設計図を手に入れた。しかし敵襲に気づいた蜀軍が戻って来てしまう。関(カン)長老は陳恭を援護し、東の崖へ案内した。ここから竹鵲(チクジャク)で脱出すれば、ちょうど大祭酒たちと合流できるという。その時、陳恭がいきなり関長老を刺して逃げた。関長老は虫の息となったが、急を知らせるためにも最後の力を振り絞って崖から転落してしまう。その頃、兵糧の基地を視察した高堂秉は馬岱(バタイ)将軍の酒席に招かれていた。すると急報が届き、総成部が襲撃され、譙峻校尉から援軍の要請が来たという。「あんな奥地に敵兵が?」「状況は不明です」しかし朝廷の掟で兵糧の基地では勅命や兵符がなければ一兵卒さえ動かせなかった。高堂秉は五仙道の青萍計画だと不安を煽ったが、将軍たちは自分たちを誘き出す作戦かもしれないと警戒する。そこで高堂秉に白羽の矢が立った。馬岱は自分の配下の手練れ200人を高堂秉に預け、軍技司を救うよう頼む。「拝命します」こうしてすべては燭龍の思惑通りに進んで行った。陳恭は翟悦(テキエツ)の指示通り荀詡が開けてくれた裏門から脱出、竹鵲で崖から飛び降りた。一方、荀詡は急いで南鄭へ戻ることにしたが、帰りの関所で暗号を言えず足止めされてしまう。実は総成部が襲撃され、譙峻校尉は定軍山の周囲20里を封鎖していた。「ここでお待ちください、譙峻校尉に確認してもらいます」荀詡は譙峻校尉に偽造した馮膺の通行証を見せた。通行証には確かに馮膺の官印があったが、念のため譙峻は合言葉を聞いてみる。荀詡は言葉につまり、馮膺から聞いていないとごまかした。「あり得ぬ、合言葉は馮曹掾が決めた、発案したのはお前ではないか!」譙峻校尉は荀詡の嘘に困惑し、馮膺の確認が取れるまで拘束すると決めた。南鄭の司聞曹に軍技司の使者が駆けつけた。しかし馮膺が留守のため孫令が対応する。何でも荀詡が曹掾の命で譙峻校尉に機密を伝えに行ったというのだ。孫令はすぐ確認したが記録はなく、しかも今夜は荀詡が当直だと分かる。そこで靖安司に駆けつけると、荀詡の衣を来た裴緒がいた。「誰か!こいつを捕らえろ!」孫令は馮膺の代わりに定軍山へ行くことになり、戻ってから裴緒を尋問することにした。その頃、馮膺は柳瑩(リュウエイ)を連れて李厳(リゲン)の幕府を訪ねていた。李厳は柳瑩の見事な演奏を聞くと、ふと昔を思い出して涙ぐんでしまう。あれは建安23年、先帝・劉備(リュウビ)は陽平関で曹操配下の夏侯淵(カコウエン)らと対峙、一方、曹操は長安に赴き、陣頭指揮を執っていた。その隙をついて馬秦(バシン)や高勝(コウショウ)が謀反を起こし、当時、まだしがない資中(シチュウ)県の県令だった李厳はわずか4千の兵士で対抗したという。「柳姑娘の演奏を聞いて当時の激戦が目に浮かんだ…馮曹掾、よくぞ逸材を見つけてくれた」そこで馮膺は柳瑩を幕府に残し、独りで帰ることにした。夜が明けても糜冲は黄預たちが待つ東の谷底に現れなかった。しかし崖下で関長老の骸が見つかる。もし落ち合えなければ糜冲が燭龍に直接、設計図を渡してくれるはず、長老たちはこれ以上、留まれば逃げられないと訴えた。その時、偵察から戻った信徒が現れ、すでに西郷(セイキョウ)の小道を塞がれ、古澗(コカン)渓には行けないと報告する。すると黄預はついにあきらめ、重い腰を上げた。「天水(テンスイ)へ行く」夜が明けると総成部の凄惨な現場が明らかになった。昨夜の奇襲は五仙道の精鋭で、倉庫の火事は目くらましだったという。「狙いは設計図だったようです」「荀詡め!」激怒した譙峻は荀詡を尋問するため牢へ向かった。すると一足先に尋問していた孫令が荀詡は一言も発しないと教える。極秘任務で留守の馮膺にはまだ確認は取れていないが、明らかに軍技司への命は嘘だった。「当直でありながら腹心を替え玉にし、我々を欺いたのだ」譙峻は顔見知りの荀詡の裏切りに深く失望した。設計図が盗まれたとなれば自分の命がかかっている。その時、ようやく荀詡が口を開いた。「譙峻校尉、命にかけて保証しよう、設計図はいずれ戻る…ただ詳しいことはまだ打ち明けられぬ」しかし痺れを切らした譙峻は荀詡の胸ぐらをつかみ、五仙道を手引きしたのかと迫った。驚いた孫令は掟通り司聞曹で尋問すると止めたが、譙峻は孫令を追い出して拷問を始めてしまう。一方、陳恭は無事に着陸、竹鵲を壊して草むらに捨てた。そして古澗渓へ向かうと、確かに入り口に大きな樟(クスノキ)がある。燭龍が設計図を取りに来るのは巳の3刻だ。つづく(  ̄꒳ ̄)おじいちゃん、イチコロな件それにしても意味不明…見逃したかな?( ̄▽ ̄;)
2022.11.04
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风起陇西(ふうきろうせい)第十三計「美人の計」その夜、曹掾(ソウエン)に復帰した馮膺(フウヨウ)の屋敷に陰輯(インシュウ)が訪ねて来た。孫令(ソンレイ)は姐夫を裏切った男を門前払いにしようとしたが、馮膺は会うことにする。実は馮膺は陰輯が罪を認めに来たと分かっていた。陰輯が敵国に情報を売って私腹を肥やしていたことなど、前々から知っていたという。「だが私がお前を脅したことがあったか?」すると陰輯は土下座して命乞いし、2度と馮膺を裏切らないと誓った。一方、五仙道では陳恭(チンキョウ)が密かに牢へ忍び込んでいた。翟悦(テキエツ)は拷問の末に神仙丹を飲まされ、倒れたままぐったりしている。「悦児…私だ…しっかりしろ、逃げるぞ」しかし翟悦は拒否、逃げたら燭龍(ショクリュウ)を捕まえられず、全てが水の泡だという。どちらにせよ神仙丹には毒消しがなく、手遅れだった。すると翟悦は自分と一緒に無駄死にするなど陳恭らしくないという。「これは私にできる最後のことよ…」翟悦は暗号文を解く鍵が″太平天書″にあると伝えた。「どの巻かは分からなかった…解読文は…″五仙道の高位にある蜀漢の密偵は女子″… 届いた暗号文は…9…27…15…6…」しかし翟悦が激しく咳き込んだ。心配した陳恭は設計図を奪ったら助けに戻るとなだめたが、翟悦は必死に最後まで暗号を伝え切る。すると翟悦は荀詡(ジュンク)からもらったという猛毒を塗った短刀が欲しいと頼んだ。陳恭は駄目だと言ったが、翟悦は陳恭の懐から取り出してしまう。「これから舌を裂くわ…中毒の症状と同じだからあなたも疑われずに済む… 絶対に燭龍を捕まえて…無駄死には嫌よ… 哥に伝えて…私はやり切ったと…恥をさらさなかっ…た…」間諜としての決断に苦悩し、翟悦を強く抱きしめる陳恭、その時、翟悦の身体から急に力が抜けた。陳恭は悲しみをこらえ切れず、翟悦の身体に顔を押し付けながらしばし号泣してしまう。高堂秉(コウドウヘイ)が待っていると馮膺の屋敷から陰輯が出て来た。馮膺は確かに陰輯を見逃してくれたが、助言したのが高堂秉だと気づいていたという。「全てお見通しだった…それから言付けがある、″こざかしいことをするな″と…」一方、孫令はなぜ姐夫が陰輯を許したのか分からなかった。馮膺は全て心に関わると諭し、自分を裏切った陰輯は後ろめたかったはずだという。何より自分たちの基盤である司聞曹(シブンソウ)に波乱を起こすことはできず、卑しくとも能力ある陰輯は欠かせない人物だと教えた。「賢い男だ、今後は私の意のままに動くだろう」五仙道の大祭酒・黄預(コウヨ)は約束通り、亥の刻に糜冲(ビチュウ)を呼びに来た。悲しみに暮れていた陳恭は居眠りしていたふりをして涙をごまかし、黄預と一緒に牢へ向かう。しかし聖姑はすでに死んでいた。見張りの話では亡くなって半刻ほど、神仙丹を過剰に飲んでの中毒死だという。翌朝、荀詡は馮膺と高堂秉が紫煙閣(シエンカク)に柳瑩(リュウエイ)を訪ねると知った。そこで先回りして柳瑩を訪ね、笛を返して欲しいと頼む。しかし柳瑩は真心を込めて贈った笛を軽々と返したと不機嫌だった。荀詡はおろろするばかりだったが、柳瑩が急に失笑する。「…クスッ、からかったのです」荀詡は急に緊張が解け、これからは笛を肌身離さず持つと約束した。すると柳瑩は本当の用向きは何かと尋ねる。確かに荀詡には頼み事があった。「馮曹掾が君を訪ねると聞いた…官印を借りたい」柳瑩は恩人である荀詡のためなら見返りも求めず、何でもすると言った。陳恭は翟悦からもらった宝剣を携え、いよいよ定軍(テイグン)山へ出発することになった。糜冲を守るのは大祭酒が準備した18人の死士たち、しかしあまりに都合良く聖姑が死んだことから、黄預は念のため関(カン)長老に糜冲の監視を頼む。「糜司馬が所定の場所から飛ぶか見張れ、いざとなったら手を下せ」馮膺と高堂秉が昼餉と称して紫煙閣に到着、静かな金沙(キンサ)亭に落ち着いた。そこへ柳瑩が現れ、馮膺はようやく恩人である柳瑩の顔を知る。その才気と度量もさることながら、柳瑩は並はずれて美しく、つややかな肌をしていた。すると高堂秉は定軍山の巡視へ行くと断り、早々に引き上げてしまう。その頃、荀詡は裏門で待っていた。すると約束通り柳瑩の侍女・影(エイ)児がやって来る。影児は荀詡を物置部屋に通して待つよう告げ、どこかへ行った。馮膺と柳瑩はすっかり意気投合し、酒も進んだ。しかし馮膺は柳瑩を李厳(リゲン)の元に送り込む計画のため、自分が情にほだされるわけにはいかない。そこで柳瑩は急に外衣を脱ぎ捨て、一緒に庭にある温泉に浸かろうと誘った。「何もしませんからご安心を…」「そこまで言われて断ったら男ではないな」←とは言ってないw影児は柳瑩と馮膺が温泉に入るのを確認、馮膺が脱ぎ捨てた衣から官印が入った巾着を持ち出した。「これですか?」「間違いない、ありがとう!」「ふふ、柳姑娘を見た時より嬉しそうですね」( ̄▽ ̄;)<ぁ…外で待っていて下さい荀詡は急いで偽装した通行証に馮膺の官印を押した。そして廊下で待っていた影児に巾着を返し、感謝を伝えて足早に帰って行く。つづく( ゚ェ゚)え?…( ゚ロ゚)えーっ!って最近、こんなのばっかりw
2022.11.04
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风起陇西(ふうきろうせい)第十二計「門を閉ざして賊を捉(トラ)う」高堂秉(コウドウヘイ)は李邈(リバク)に痺れ薬を飲ませ、自分が燭龍(ショクリュウ)だと明かして幕舎を後にした。ちょうど伝令兵が戻ってきたが手遅れ、高堂秉は軍営の外から矢を放ち、李邈の暗殺に成功する。一方、本部を破壊された五仙道は大祭酒・黄預(コウヨ)が密かに準備していた抜け道を使い、危ないところで脱出していた。黄預は清風(セイフウ)嶺を五仙道の新たな陣営とした。糜冲(ビチュウ)に成り済ました陳恭(チンキョウ)は燭龍がなぜ知らせてくれなかったのかと探りを入れたが、実は黄預は情報なら受け取っていたという。「だが…時が違った」そこへ配下がやって来た。すると黄預は密書を受け取り、部屋へ戻ってしまう。翟悦(テキエツ)は窓の隙間から黄預の様子を探った。黄預は暗号を照らし合わせながら燭龍の密書を確認していたが、急に険しい顔になって出て行ってしまう。そこで翟悦は窓から侵入、机の上にある密書を手に入れ、黄預が解読用の竹簡を隠した行李を開けた。しかし中に入っていたのは太平天書(五仙道の典籍)、翟悦は仕方なく手当たり次第、竹簡を開いていたが、そこへ黄預が入ってくる。実は燭龍の密書には″五仙道の高位にある蜀漢の密偵は女子″とあった。蜀軍は撤収し、李邈の亡骸も司聞曹に戻った。すでに容疑が晴れて南鄭に戻っていた馮膺(フウヨウ)は葬儀で荀詡(ジュンク)と再会、大局を鑑みて動いたと釈明する。隠し事がある荀詡は適当にあしらったが、馮膺の目はごまかせなかった。確かに今回の進攻で五仙道の巣窟を壊滅させたが、重要人物を取り逃がしたため実質的な収穫はない。「山神(サンシン)廟の火はお前が放っただろう?」馮膺は翟悦が五仙道の密偵だと知る数少ない人物だった。しかし翟悦を守るためだけにここまでするはずがない。馮膺はあくまで仮定として白帝が糜冲に成り済まして五仙道にいるのではないかと疑った。「…誤解です」「考え過ぎだろうか?」すると馮膺は行き違いがあろうと命を救ってもらった恩は忘れないと言った。李邈は敵の間諜に暗殺された英雄として弔われた。会議では狐忠(コチュウ)が馮膺と義弟の孫令(ソンレイ)の潔白を報告、2人を職務に戻すという。結局、廖会(リョウカイ)と馬盛(バセイ)の殺害事件も捜査は打ち切りとなり、うやむやなまま終結した。すると狐忠は今回の進攻で反省すべき点が多いと戒め、夜襲前の山上廟の火事を問題視する。「内部に五仙道と通じている者がいないか調べねばならぬ」そこで馮膺はあえて荀詡に調査を任せることにした。↓(꒦ິ⌑꒦ີ)<姐夫~!燭龍の情報で蜀漢の間諜が聖姑だと判明した。関(カン)長老の知らせに陳恭は驚愕、聞けば黄預が密書を盗む翟悦の様子を目撃したという。「大祭酒が今、尋問中だ」「様子を見て来よう、私は間軍司の司馬だ、尋問なら経験がある」陳恭は歩きながら気持ちを落ち着かせ、必死に平静を装った。しかし牢では黄預が白状しない翟悦に業を煮やし、怒りに任せて鞭で打っている。陳恭は慌てて大祭酒を制止、すると冷静になった黄預は経験豊富な糜冲に尋問を任せると決めた。そこで陳恭は怪しまれないよう近づいて必ず助けると知らせたが、翟悦は夫を守るため豹変、暴言を浴びせかける。「うるさい!恥知らずな曹魏の犬め!さっさと殺しなさいよ!」これに黄預は逆上し、翟悦に無理やり神仙丹を飲ませてしまう。神仙丹はゆっくりと身体を麻痺させ、抵抗する力を奪う薬だった。さらに極度の興奮で恍惚になるという。陳恭は表情を悟られまいとうつむき加減で話を聞きながら、涙をこらえるだけで精一杯だった。李邈に寝返った陰輯(インシュウ)は馮膺の復帰に動揺していた。そこで高堂秉に助けを求める。「馮曹掾が調べれば私に行き着くはずだ…馬盛は…私が殺した」「何だと?お前が殺した?!」陰輯は李邈が強要したと釈明したが、その時、ちょうど部屋の前の道で立ち話をする荀詡と裴緒(ハイショ)に気づく。実は青萍(セイヒョウ)計画の決行が明後日に迫っていた。荀詡は定軍山へ行って白帝の逃げ道を作る必要がある。裴緒は当日の当番が頭領だと気づき、協力することになった。高堂秉は荀詡たちがまた何か企んでいると察し、ひとまず窓を閉めた。「とんでもないことをしたな…限度があるだろう?越えてはならない一線がある」「難を逃れる方法を考えてくれ!」そこで高堂秉は教える代わりに定軍山に行く任務を譲って欲しいと頼んだ。「問題ない!行ってくれ!」すると高堂秉は馮膺の弱みが司聞曹だと指摘した。創設から携わり権力を安定する基盤、その司聞曹の司聞司という重要な地位にいるのが陰輯だという。馮膺は司聞曹のためなら人材を大切にするはず、捜査の手が及ぶより先に自白すべきだ。「これから馮曹掾を訪ね、すべてを包み隠さず打ち明ければ良い」その夜、黄預は糜冲を呼び出し、燭龍から届いた総成部の合言葉を渡した。「青萍計画の決行はあさっての真夜中、明朝に出立せよ」計画では糜冲が設計図を手に入れたら長老たちが追手を防ぐ。糜冲はその間に裏庭へ逃げ、門は開かないが、東にある絶壁から竹鵲(チクジャク)で飛び降りることができた。一方、黄預は定軍山の東の谷で糜冲を待つという。しかしもし再会できない場合は糜冲が設計図を古澗(コカン)渓の入り口にある樟(クスノキ)の下に置くことになった。そこへ燭龍が取りに来る。「刻限は翌日の巳の3刻、決して時を違えてはならぬ」ただし燭龍が設計図を持ってどうやって蜀を抜け出し天水へ戻のか、黄預も知らなかった。「亥の刻に呼びに来る、牢へ来てくれ…余興を見せよう」すると黄預は定軍山で死ぬことになる関長老と謝(シャ)長老の送別の宴に戻った。つづく( ;∀;)エエエ___ようやく折り返しまで来たのに視聴意欲ががが…
2022.10.29
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风起陇西(ふうきろうせい)第十一計「草を打ちて蛇を驚かす」高堂秉(コウドウヘイ)は馮膺(フウヨウ)を送り出すと、柳莹(リュウエイ)に五仙道の掃討があると知らせた。「馮膺はそなたを李厳(リゲン)に推挙するつもりだ、これは天が賜った好機 李邈(リバク)と陰輯(インシュウ)はおしまいだ…この先、司聞曹(シブンソウ)は私の天下になる」しかし柳瑩は焦りすぎだと諌めた。「荀詡(ジュンク)は?」「ただの駒に過ぎぬ、もはや誰にとっても用なしだ」すると柳瑩はうっかり茶をこぼし、高堂秉から本気で惚れたのかと怪しまれてしまう。「…ふっ、どうかしら?」楊儀(ヨウギ)が罷免され、馮膺は行方知れず、荀詡は司聞曹の危機だと気を揉みながら会議に参加し、五仙道について説明を始めた。「五仙道は張魯(チョウロ)の残党です 張魯は渾沌(コントン)・窮奇(キュウキ)・檮杌(トウゴツ)・饕餮(トウテツ)・燭龍(ショクリュウ)を上仙と崇め 五仙道と名づけて米倉(ベイソウ)山に本部を創設しました 情報によると五仙道は昨年より方々で精銅を収集、恐らく武器を作る術を会得したのかと…」荀詡は五仙道が1万人余りと推定したが、李邈はすでに3万人に上ると訂正した。これも丞相が北伐を優先し、司聞曹が懐柔策を取ってきたことが原因、結果として五仙道を増長させ脅威を抱え込むことになったという。すると李邈は五仙道に密偵がいるのか聞いた。荀詡は下部組織に潜入できたものの、中核に食い込むのは難しかったと嘘をつく。「私の怠慢です」一方、五仙道では糜冲(ビチュウ)に成り済ました陳恭(チンキョウ)と長老・秦沢(シンタク)が竹鵲(チクジャク)を試乗することになった。陳恭は秦沢にどちらでも好きな竹鵲を選ぶよう勧めたが、片方の竹鵲の紐が緩んでいるのを見つけ、しっかり締め直す。それを見た秦沢は当然、頑丈に縛ってある竹鵲を選択し、2人は崖から飛び降りた。しかし秦沢の竹鵲は方向転換の紐が動かず、そのまま岩に激突してしまう。司聞曹の会議に狐忠(コチュウ)が到着した。李厳将軍はすでに鎮北(チンホク)将軍・魏延(ギエン)や平北(ヘイボク)将軍・馬岱(バタイ)と調整を済ませ、漢中の精鋭2万と南鄭(ナンテイ)の守備隊を動員して三方から米倉山を囲むという。「五仙道の本部は米倉山の神仙溝に位置、この一帯は谷が多い 五仙道の支部は3つ、魏延将軍は沔水(ベンスイ)を下り、馬岱将軍は官道を進む 司聞曹は守備隊を率い、私と李曹掾(ソウエン)が指揮する 目指すは本部、狙うは頭目だ」しかし出発が一時(イットキ)後と聞いて荀詡は驚いた。その上、情報が漏れないよう狐忠と李邈が出した令牌を持たない限り、誰も外へ出られないという。裴緒(ハイショ)は頭領の身支度を手伝いながら、五仙道に潜入している白帝を心配した。しかし実は五仙道にいるのは白帝だけでなく、妻であり荀詡の表妹・翟悦(テキエツ)が密偵として潜入していると知る。連絡しようにももはや間に合わず、追い詰められた荀詡はある賭けに出ると決めた。一方、陰輯は会議での荀詡に違和感を感じ、高堂秉に探りを入れた。靖安司は長年、五仙道を調査してきたはずだが、荀詡はまるで何も知らないふりをしていたという。実は数年前、陰輯は馮膺から荀詡の配下が五仙道の上層部にいると聞いていた。「お前は親しいだろう?どう思う?」「全く読めないな…」その時、集合の号令が聞こえた。陳恭は竹鵲の事故を装って邪魔者の秦沢を始末した。残る竹鵲は一機のみ、大祭酒・黄預(コウヨ)は自分で行くしかないと覚悟したが、陳恭は安全を保証できないと止める。黄預も秦沢の死を目の当たりにしたせいか、仕方なく糜冲に重要任務を任せると決めた。そこへ関(カン)長老が慌てて駆けつける。「妙風使(ミョウフウシ)の知らせです、蜀軍が三方から攻め寄せます…″10日″以内に」しかし青萍(セイヒョウ)計画は3日後、その頃にはもぬけの殻だ。黄預は山道を塞ぐだけで良いと指示したが、その夜、司聞曹は本部の30里のところまで来ていた。魏延と馬岱の軍もすでに所定の場所に到着、早朝に本部と支部を攻撃するという。そこで狐忠は自分たちもその時間に神仙溝へ到着できるよう発つことにした。今夜は荀詡と翟悦が接触する日だった。陳恭は隙を見て翟悦に木片を返し、荀詡に渡すよう頼む。一方、荀詡は裴緒が準備してくれた荷物を持ち、巡回の兵士たちの目を盗んで軍営を抜け出した。合流場所でいつものように鳥の鳴き真似をする荀詡、すると翟悦の返事が聞こえてくる。荀詡は付近を警戒しながら真っ暗な廃廟へ駆けつけると、物陰から翟悦が飛び出した。2人は抱き合って無事を喜び、翟悦は陳恭も無事だと安心させる。そこで荀詡は卯の刻に蜀軍が三方から攻めると伝え、半時辰したらここに火をつけると教えた。「分かったわ、そうだ、哥、これを…」翟悦は燃えて半分になった燭龍の竹簡を渡した。陳恭でも解読できなかったという。青萍計画は3日後、陳恭は精鋭を率いて軍技司から設計図を盗み、竹鵲で逃げて所定の場所へ設計図を置くことになっていた。そこへ燭龍が来るという。翟悦は総成部の裏門の鍵を外から開けて欲しいと頼み、そこから陳恭を脱出させると説明した。黄預は西側の崖から飛ぶよう命じたが、指示通り動けば異変が起きるという。「安心しろ、裏門の件は何とかする」「で…私は潜伏を続けるの?家に帰りたい」しかし荀詡はあと少しの我慢だとなだめた。「朝廷は五仙道を滅ぼす方案を定めた、燭龍を捕らえれば五仙道は片付き、家に帰れる」↓ここで視聴者も一息w荀詡は翟悦を送り出し、ろうそくに火をつけてから軍営に帰った。まさか高堂秉が後をつけていたとも知らず…。その頃、馮膺は李厳の屋敷にいた。李厳は丞相の北伐に随行して天水に行った時に手に入れた盗品の琴を献上、将軍の歓心を買う。音楽に造詣が深い李厳は確かに周代か殷(イン)代の名高い琴だと気づき、号鐘(ゴウショウ)だと驚いた。号鐘とは音色が大きく良く通ることを表し、鐘のように力強く角笛のように長く響くという。「伝説によればかつて伯牙(ハクガ)が弾き、その後、呂尚(リョショウ)の第12代目の孫である桓公(カンコウ)の手に渡ったとか」馮膺は価値が分かる李厳こそ神物を持つべきだとおだて、さらに自分の脱出に協力してくれた柳瑩を推薦した。翌朝、予定通り荀詡たちは五仙道に奇襲をかけるべく軍営を出発した。しかし神仙溝まであと5里というところで密偵が駆けつけ、何者かが五仙道に警告したと報告する。狐忠はそのまま一気に本部へ雪崩れ込み、敵の先鋒部隊と激突した。高堂秉は密かに軍営に戻り、指揮を執る李邈の幕舎へ向かった。ちょうど狐忠将軍たちが内部へ突入したと報告を聞いたばかり、李邈は意気揚揚とこれで長年に及ぶ北伐の国策が誤りだったと証明できるという。すると高堂秉は馮膺が南鄭に現れたと報告し、かつての上役のため言えなかったとばつが悪そうに白湯を差し出した。李邈は憤慨しながら白湯を飲んだが、次第に身体の自由が利かなくなってしまう。一方、黄預たちは山上廟の火事のお陰で飛び起き、危ないところで本拠から逃げ出すことに成功した。李邈は今さらながら馮膺が楊儀を売り、自分は李厳に見限られたと知った。すると高堂秉は李邈の暗殺を頼まれたと伝え、手際よく準備を進める。まず幕舎の窓を開け、しびれ薬で動けなくなった李邈を机の上に倒すと、顔を窓の方へ向けた。「馮膺も勝者ではない、真の勝者は我が偉大なる魏だ…私が燭龍だ、驚いたか?」つづく( ๑≧ꇴ≦)えー!そのまんま高堂秉なのか〜苦手な口だったから分かったけど、でも本当に燭龍?どんでん返しに期待!
2022.10.28
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风起陇西(ふうきろうせい)第十計「走(ニ)ぐるを上計と為(ナ)す」馮膺(フウヨウ)が脱獄した。真っ先に疑われた荀詡(ジュンク)はしらを切り通したが、西曹掾(ソウエン)・李邈(リバク)の監視は続く。すると身動きが取れなくなった荀詡のもとに盟友の高堂秉(コウドウヘイ)が現れた。高堂秉は荀詡が馮膺を脱獄させたと知り呆然、成都(セイト)の風向きが変わった今、不可解な事案だからこそ関わらない方がいいという。しかし荀詡は無実の馮膺を見殺しにできないと訴え、手を貸せと迫った。「今夜、馮曹掾を城外に送り出してくれ、軍謀司だろう?策を練るのは得意なはずだ」高堂秉はしばらく頭を抱えていたが、ふと方法がひとつだけあると気づいた。平北(ヘイボク)将軍・馬岱(バタイ)は紫煙閣(シエンカク)の女将と懇意で、月末になると決まって紫煙閣の妓女を陽平閣へ呼んでいた。「まさに今夜だ」「妙策だ!」荀詡は喜んだが、そのためには自分の橋渡しが必要だという。実は荀詡が帰路で女子を助け、その女子が紫煙閣の名妓になったことは調査済みだった。そこで荀詡は竹簡の間に隠していた柳瑩(リュウエイ)の竹笛を差し出したが、高堂秉から愛の品だとからかわれてしまう。その頃、李邈と陰輯(インシュウ)は高堂秉が必ずや荀詡の本心を探ってくるはずだと期待して待っていた。五仙道に燭龍(ショクリュウ)から軍技司の地図と連弩(レンド)の設計図がある倉庫の鍵が届いた。大祭酒・黄預(コウヨ)は糜冲(ビチュウ)になりすました陳恭(チンキョウ)と秦沢(シンタク)に竹鵲(チクジャク)で飛び降りる場所を示し、潜入経路を確認する。次に正門から入ると最奥の庭に主記室があった。この裏手にある密室が設計図の保管場所で守衛は10人足らずだが、やはり精鋭が必要になる。しかし竹鵲は2機だけ、すると黄預はやむを得ぬ犠牲だと言った。「竹鵲はお前たちが携行せよ、設計図を持って逃げるのだ」糜冲たちが設計図を盗んで脱出したら所定の場所に置く。あとは燭龍が設計図を受け取り、天水へ持って帰る手筈だ。「所定の場所とは?」「…私も知らぬ、まだ通知がない」青萍(セイヒョウ)計画の開始は5日後、燭龍から合図が来るという。天水郡守・郭剛(カクゴウ)は間軍司(カングンシ)の梁倹(リョウケン)を呼んだ。糜冲が無事に五仙道と合流、しばらくは戻れないため帰還するまで職責を梁倹に委ねるという。「それからもうひとつ…陳主簿が死んだ、平陽閣でな…奴が白帝(ハクテイ)だった」郭剛は糜冲が正しかったと悔しさを滲ませたが、そこへ長安からの迎えが到着する。叔父の都督・郭淮(カクワイ)は自分を呼び戻し、罷免するつもりだろう。陳恭と過ごした役所での楽しい日々、しかし今となってはただの虚しい幻となった。一方、荀詡は紫煙閣に駆けつけ、物陰から馬車に乗り込む柳瑩の様子を見ていた。まさか柳瑩が曹魏の間諜だと知る由もない荀詡、その時、柳瑩と目が合い手を振ったが、用心深い柳瑩は無視して行ってしまう。実は馮膺は柳瑩が腰掛けた椅子の中に隠れていた。やがて城門に到着したが、馮膺の捜索で南鄭は封鎖されている。しかし柳瑩は漢中の防備を担う馬岱将軍の客人、荷物の調べはしても柳瑩を検身するわけにもいかなかった。その夜、驃騎(ヒョウキ)将軍・李厳(リゲン)は役所で狐忠(コチュウ)から馮膺の脱獄を聞いて激怒していた。もしあの時、李邈の報告書を奏上していたら、今ごろ大変な事態になっていただろう。明日が最後の朝議、朝廷では北征か南征か未だ激論が続いていた。「どう転ぶか、まだ分からぬ…」すると思いがけず役所に馮膺が現れた。「ふっ…想像以上に頭が切れる男だ、会ってみよう」馮膺は廖会(リョウカイ)の殺害と暗号解読用の木版紛失は李邈の陰謀だと訴えた。そこで証拠として馬盛(バセイ)が記した記録を差し出す。李厳は何食わぬ顔で記録を確認しながら、品行方正な李邈が同僚を陥れるはずがないと驚いた。「そなたは楊儀(ヨウギ)の者、なぜ楊儀に渡さぬ?」「私は朝廷の役人、楊儀の者ではない」すると馮膺は楊儀を悪党だと激しく非難した。このまま丞相が北伐を堅持すれば国はさらに弱体化、李厳の長年の計画を壊したくなかったという。一方、裴緒(ハイショ)は荀詡と夕餉を囲みながら、馮膺の脱出が成功したと知って一安心していた。それにしても頭領はなぜ高司尉が協力してくれると分かったのだろうか。すると荀詡は高堂秉が慎重だからこそ態度を明確にしないと言った。何より高堂秉はいかなる場合も勝者の側につく。「証拠を出すまでもなく、遅かれ早かれ李邈は破滅するだろう」荀詡は李邈が楊儀へ報復するために馬盛に廖会を殺させたことを決して許せなかった。李厳は南鄭で1度も自分を訪ねて来なかった馮膺が急に態度を変えたことを訝しんだ。すると馮膺は失笑し、賢い鳥は木を選び巣を作るものだという。「最も必要とされる時こそ価値が現れるというもの… 将軍と丞相の戦略が正反対であることは周知の事実 北伐に失敗し街亭(ガイテイ)を失った今こそ将軍が丞相を問責する好機です ただ残念なことに丞相は朝廷で根強い勢力を有しており、簡単には揺るぎません 将軍は李邈を司聞曹に送り込み有力者を取り込もうとしたものの、うまく行きませんでした だからこそ卑劣で稚拙な小細工を弄したのです…これはご無礼をw 今や将軍は西川(セイセン)の氏族を率いて丞相を弾劾した、退路はありません 勝敗はこの一挙に懸かっています もしも私が将軍に楊儀が五仙道と通じている証拠を渡したなら大いに役立つことでしょう」そこでようやく李厳は馮膺に席を勧めた。一方、五仙道では陳恭が聖姑となった翟悦(テキエツ)と接触していた。実は燭龍を捕らえる際に荀詡の協力が必要だという。翟悦は一両日中に荀詡に連絡する予定があると教え、手順を伝えておくと約束した。「燭龍を捕らえる際、黄預の配下がそばにいるはず、大丈夫なの?」「考えがある」すると翟悦は火鉢で拾った木片を渡した。数字の羅列で意味は不明だが、確かに燭龍が送って来たものだという。「では糜先生、早めにお休みください」「聖姑、お見送りを…」丞相・諸葛亮(ショカツリョウ)が朝議を終えて戻って来た。厳しい表情の丞相を見た楊儀は李邈がでっちあげた馮膺の案件だと思ったが、予想外の結末を知る。実は馮膺は李厳に楊儀が指示を与えた11月26日の記録を渡していた。「記録には五仙道の信徒2人が王平(オウヘイ)将軍の屋敷で会談したとあった そなたの指示は″報告の必要なし″ 司聞曹は指示に従い朝廷に報告せず、記録を保存した…なぜだ?」楊儀は王平が丞相の直属だったため、不利にならないよう揉み消したという。しかし李厳は楊儀が故意に軍と五仙道の接触を隠したと告発、今や隆盛を誇る五仙道が曹魏の間軍司と手を組んでしまったのも楊儀のせいだと追及した。楊儀は馮膺の裏切りだと釈明したが時すでに遅く、皇帝は五仙道の平定を命じ、楊儀を罷免のうえ庶民に降格したという。「そなたは長所もある、だがあまりに狭量で慎重さに欠ける…良い機会ゆえ読書に励め」一方、李厳は南鄭の幕府に入った。李邈は目通りできず不安を募らせたが、狐忠から楊儀が離職したと聞かされ安堵する。すると狐忠は弾劾の成功と丞相の北伐や燭龍の事案は無関係だと言った。実は楊儀の罪名は五仙道を支援して司聞曹の権力を拡大したことだという。「馮膺など放っておけ、将軍は事案の経緯をご存じだ それより五仙道を平定して将軍の期待に応えてくれ」その頃、誰もが忘れかけていた孫令(ソンレイ)はまだ留置所でまずい飯を食わされていた。(^ꇴ^)高堂秉は紫煙閣で馮膺と再会した。馮膺は楊儀を犠牲にして丞相への重圧を減らしたと教え、これが自分たち古株ができる精一杯だったという。「窮地で大局を顧みることができるのは蜀漢中を見回しても曹掾だけです」高堂秉は馮膺の苦肉の策に感嘆したが、李厳は李邈をどうするつもりだろうか。すると馮膺は五仙道の平定を李邈が指揮すると教えた。「なんということだ…李厳将軍はあまりにも冷酷では?」高堂秉は言葉を失ったが、馮膺は高位に上り詰めた者が手ぬるいわけがないという。「そうだ、私の事案の担当にそなたを推挙しておいたぞ」「私を?」「いつまでも2隻の舟にまたがるのは良くないぞ?…解決したら李邈の屋敷を与えよう」高堂秉は黙って酒を飲んでいたが、そこへ柳瑩が新しい酒を届けて帰って行った。「今の姑娘が私を救ってくれた女か?」「そうです」「実に得難い、あれほど義侠心に富む女子が江湖にいたとはな…」馮膺は善行には報いがあると知らせるため、柳瑩に富貴を与えたいと言った。実は李厳は風流でとりわけ音楽に造詣が深いという。「そういうことなら妙手になり得ますな」馮膺はこの機会に孫怜を鍛えるのも良いと考え、自分の事案が解決してから釈放するよう頼んだ。しかし一本気な荀詡には真実を告げないよう釘を刺し、何か聞かれたら自分は行方知れずだと答えて欲しいという。高堂秉が馮膺を見送ると、部屋から柳瑩が現れた。「馮曹掾は帰ったわ、休んでいかない?」「…そうしよう」つづく( ;∀;)郭剛、切な~
2022.10.23
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风起陇西(ふうきろうせい)第九計「暗(ヒソ)かに陳倉(チンソウ)に渡る」大雨に見舞われた司聞曹(シブンソウ)で廖会(リョウカイ)が殺され、解読用の木版が盗まれた。 荀詡(ジュンク)は曹掾(ソウエン)・馮膺(フウヨウ)を容疑者とする捜査報告書に渋々、署名捺印して靖安司(セイアンシ)に戻ったが、違和感は拭えない。すると腹心の裴緒(ハイショ)もまるで仕組まれたように証拠が揃い過ぎていると疑った。そこへ休暇で故郷に戻っていた馬盛(バセイ)が慌てて戻って来る。「荀頭!廖会は?!」「死んだ」「私の身代わりに…故郷に戻っていなければ私が死んでいたはずです」馮膺の義理の弟・孫令(ソンレイ)も捕縛された。孫令は拷問で姉夫が黒幕だと証言するよう強要されたが、決して認めようとしない。一方、軍謀司(グンボウシ)では高堂秉(コウドウヘイ)が自分たち古株の行く末を案じていた。すると陰輯(インシュウ)は覚悟を決める時が来たという。高堂秉はそれが西曹掾・李邈(リバク)につくべきだという意味だと分かったが、さすがに馮膺を見捨てるのは気が引けた。荀詡たちは馮膺の潔白を信じ、独自に事件の捜査を始めた。争った形跡はなく、腕利きの廖会が正面から一撃で殺されている。恐らく顔見知りによる犯行だろう。しかし狐忠(コチュウ)将軍の配下が現場を荒らしたため、新たな手がかりは何一つ残っていなかった。聞き取り調査が難航する荀詡だったが、偶然にも当日、西門に近い宕渓(トウケイ)で山津波が起きたと耳にする。李(リ)校尉の話では楽城(ラクジョウ)へ至る道が土砂で10里ほど埋まり、早上がりしていなければ情報を届けられなかったという。「もう開通したか?」「まさか、少なくとも10日は必要でしょう」今は伝達するにも青石谷(セイセキコク)を回るため余計に3日はかかっていた。五仙道の大祭酒・黄預(コウヨ)は陳恭(チンキョウ)を糜冲(ビチュウ)と信じて義兄弟となった。そこで聖姑に五千道の案内を任せる。こうして陳恭と翟悦(テキエツ)は思いがけず情報交換の機会を得ることになった。「君が残した菖蒲に救われたよ、よく覚えていたな」陳恭が五仙道から抜け出そうとした時、居所の外にあった葉は翟悦が危険を知らせるために置いた菖蒲だった。この″指南針″は陳恭が翟悦に最初に教えてくれた秘伝の技、忘れるはずがない。『この草の上は北、下は南を表す』『最も長いのが北ね?』『そうだ、上は北、下は南、左は西、右は東…西を指す最も短い草で情報を伝える 例えば折った場合は危険を意味する、もしくは折って東に向ける…安全という意味だ』『哥からそんな技は聞いてないわ』『私だけの暗号だ』あの時、陳恭が使者と会ったのは賭けだった。陳恭はなぜ黄預が自分を疑うのか分からなかったが、翟悦の話では直前に燭龍(ショクリュウ)から″陳恭が白帝だ″と急報が届いたからだという。黄預は極めて猜疑心が強く、長老2人を犠牲にしてまで一芝居打ったのだった。五仙道の峡谷には1万人が住んでいた。丞相の南征に乗じて勢力を拡大、各支部に兵がいて、市井にも根を張っているという。この数年で黄沙(コウサ)と西郷(セイキョウ)が五仙道の拠点となっていた。その頃、長老・秦沢(シンタク)は当日、糜冲は出口まで来たが急に引き返したと報告していた。「李長老と陳長老が気の毒で…」黄預は2人の遺族を手厚く世話するよう命じ、念のため糜冲を警戒するよう命じた。一方、荀詡と裴緒は廖会を埋葬、孤児で苦労続きの人生だった廖会の哀れな最期に涙した。荀詡は裴緒に実は馬盛が嘘をついていると教え、直接、話を聞きに行くと決める。しかし馬盛は居所ですでに息絶えていた。すると手には箱が握られている。中には全てを記した竹簡が入っていた。「口封じか…」翟悦は陳恭を連れて見張りの死角となる場所まで登った。「どうして五仙道へ?」「司聞曹の任務ではない」翟悦は司聞曹に潜入した燭龍が白帝を陥れ、丞相・諸葛亮(ショカツリョウ)の街亭(ガイテイ)敗北を招いたと知った。情報をすり替えられた白帝は今や逆徒となり、馮膺は荀詡に白帝の暗殺を命じたという。つまり陳恭と従兄は独断で燭龍探しを始めたのだ。「これからどうするつもり?」「燭龍を捕らえ、すべてを明るみに出す」しかし五仙道は謎に包まれ、2年も潜伏している翟悦も未だ何もつかめなかった。すると陳恭は燭龍が五仙道を手助けして連弩の機密を盗む″青萍(セイヒョウ)計画″を利用すると教える。「黄預と燭龍の連絡方法は?」「直接は会っていないと思う、連絡用の麻紙や竹筒は読んだら火の中へ…」「…燭龍が黄預に当てた密書を見たい」「私がやるわ」2人はすぐそばにいながら、決して触れ合うことは許されなかった。「苦労をかけたな…」「漢の復興を思えば…あなたと暮らせる日を思えばつらくない」陳恭は涙をこらえ、別れの朝に翟悦がくれた護符を見せた。「必ず成功させてね…」李厳(リゲン)が役所に戻ると、南鄭から帰った狐忠が待ち構えていた。実は司聞曹の事案が急転したという。しかし報告書を見た李厳はこれが李邈の策略だと知り、むしろ災いを招くと呆れた。確かに司聞曹が敵と通じていたと証明できれば楊儀(ヨウギ)を負かせることはできるが、もし楊儀に退路があれば自分たちが転覆するという。狐忠は李邈の策なら万全だと自信を見せたが、李厳はしょせん偽りに過ぎないと冷静だった。「これは使ってはならぬ…いやちょっと待て、かくなるうえは静観しよう これは我々とは関わりがない」荀詡は取り調べと称して拘置所の馮膺を訪ねた。そこで密かに馬盛が書き残した証拠を渡す。「馬盛は義父の見舞いを理由に休暇を取りました 事案が起きた時、馬盛は不在だったとして被疑者から除外 ですが実際は楽城へ戻っていなかったのです 馬盛の絶筆を見つけ謎が解けました、すべては李曹掾の陰謀でした 私が木版を調べるよう仕向け、書庫から取り出して靖安司に渡した後、馬盛を潜り込ませた」あの日、ちょうど従事たちは猛烈な雨の中で荷下ろしを始めようとしていた。しかし孫令が濡れたら荷物がだめになると止め、従事たちはあきらめる。実は馬盛はこの荷車の下に隠れていた。馬盛は誰もいなくなったところで何食わぬ顔で靖安司に戻り、激しい雨なので帰郷を断念したと嘘をつく。独り残っていた廖会も馬盛なら警戒せず、油断していきなり胸を刺されたのだろう。「事の重大さに気づいた馬盛は万一に備えて記録を残していました 残念ながら黒幕を脅す機会もなく、口封じされたのです」すると荀詡は白帝の潔白を訴え、馮膺を助ける代わりに燭龍探しに協力して欲しいと切り出した。馮膺はならば燭龍に関わる証拠を全て自分に報告するよう条件を出し、2人の取り引きは成立する。そこで荀詡は脱獄させたら丞相に事情を説明に行くよう頼んだが、馮膺には考えがあった。青萍計画が目前に迫る中、五仙道の峡谷に竹鵲(チクジャク)が到着した。陳恭は軍技司の警備が厳重なため、乗り込んでも立ち往生するかもしれないと心配したが、黄預は総成部の内部を描いた地図があると安心させる。その頃、翟悦は黄預の居所を訪れ、燭龍からの密書を盗み出そうとした。しかし密報はすでに火鉢に投げ捨てられた後、翟悦はかろうじて残っていた小さな切れ端しか発見できない。一方、司聞曹では馮膺がこつ然と姿を消していた。兵士が昼餉の後で交代に来たところ、侍衛が昏睡していたという。李邈は激怒、聞けばその日の朝に荀詡が馮膺の尋問に来ていた。荀詡は李邈から馮膺が脱獄したと聞いて驚いた。確かに馮膺を尋問したが、大したことは聞き出せなかったという。「馮曹掾が大雨の中、なぜ司聞曹に戻ったのか聞きたかったのです」「そんなことで?!…馮膺の仕業だとは思っていないのだろう?」「急死した馬盛は事件の日、故郷に戻っていませんでした、捜査せねば…」焦った李邈は南鄭の役所がすでに明確な結論を出したと説得した。荀詡は反省し、今後は行動を慎むと謝罪する。そんな2人の話を陰輯が立ち聞きしていた。裴緒は馮膺をかくまった。南鄭は封鎖され、李邈は駐留軍に城内を捜索させているという。「今日中に城外に出なくては…」一方、李邈は陰輯に荀詡の印象を聞いた。陰輯は荀詡が馬盛という手がかりを見逃さないという。「決して目を離すな、妙な動きをすればその場で殺せ」「そう命じました」「…馬盛のところに何も残っていないだろうな?」「反撃される前に殺しました、残しようがない 証拠も全て燃やしたため、馬盛が生き返って証言したとしても馮膺は事案を覆せないでしょう」しかし馮膺の脱獄を隠し通すことは無理だとわかっていた。そこで李邈は李厳に報告するよう命じる。つづく( ;∀;)涙をこらえるチェンクン…色気がダダ漏れ〜
2022.10.20
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风起陇西(ふうきろうせい)第八計「水を混ぜて魚を摸(サグ)る」糜冲(ビチュウ)に成り済まして五仙道に潜入した陳恭(チンキョウ)。歓迎の宴では酔い潰れたふりをして早々に退散し、翌朝、付近を捜査しながら山を登った。すると糜冲を警戒している秦沢(シンタク)に見つかってしまう。「糜先生?中で休まなくていいのですか?」「一晩、休んだから風に当たりに来た」五仙道の峡谷は蜀漢(ショクカン)の国境にあった。この辺りはかつて曹操(ソウソウ)が隴(ロウ)と蜀を攻めた際、張魯(チョウロ)の弟・張衛(チョウエイ)が野営したという″神仙(シンセン)溝″があり、秦沢の話では中がくぼんで外側が隆起しているため、風水的には敵に包囲される地勢だという。しかし陳恭はまるで虎がうずくまり龍がわだかまるようだと話し、むしろ縁起が良く堅固な地勢に見えると言った。秦沢は黄預(コウヨ)大祭酒と同じ見解だと驚き、さすが英雄同士だという。そこで陳恭は道中に埋めて来た竹鵲(チクジャク)の場所を教えるので回収して欲しいと頼んでおいた。南鄭(ナンテイ)の司聞曹(シブンソウ)では荀詡(ジュンク)と裴緒(ハイショ)が曹魏の間諜の件で陽平(ヨウヘイ)閣へ発つことになった。するとその日の朝、約束通り西曹掾(ソウエン)・李邈(リバク)が暗号解読の木版を渡してくれる。しかし白帝(ハクテイ)が送った実際の暗号文は管理下にあり、馮膺(フウヨウ)を通さねば持ち出せないという。「何とか方法を考えてみます」荀詡は木版の箱を靖安(セイアン)司で厳重に管理することにした。その時、従事の馬盛(バセイ)が現れ、義父の病のため休暇を願い出る。荀詡は許可して送り出し、独りで留守番になった新人従事の廖会(リョウカイ)に大事な証拠品を託した。「命にかけても守ります!」糜冲の同行者が白帝だったと知った黄預は念のため糜冲の身元も調べることにした。陳主簿が白帝だと聞いた糜冲は驚いていたが、その表情だけで真偽のほどは分からない。そこで今晩、天水郡守・郭剛(カクゴウ)の使者がやって来ると嘘をつき、様子を見ることにした。秦沢は配下に糜冲を見張るよう命じ、もし逃げ出した時は殺せと指示しておく。一方、荀詡と裴緒は激しい雨の中、陽平閣に到着した。骸はすでに激しい腐臭を放ち、徐(ジョ)将軍は外で待つという。するとやはり骸は陳恭ではなく糜冲だった。安堵した荀詡は右腕に忍冬の刺青があると偽証、遺留品を確認して検視を終える。こうして書類が揃い、計画通り糜冲は陳恭として埋葬されることになった。しかし外はさらに雨が激しくなり、荀詡たちは陽平閣に足止めされてしまう。陳恭は郡守の使いが来る前に何とか逃げ出したかった。しかし厳しい監視下で身動きが取れない。その頃、黄預は秦沢に戌の刻を過ぎたら見張りを下げるよう命じていた。「試したいのだ、あの者は忠臣なのか奸臣か…2人の使者の方はボロを出させるなよ」陳恭は監視が解かれたと気づき、その隙に荷物をまとめて出て行くことにした。運良く矢倉にも見張りの姿はない。しかし洞窟の外では秦沢が配下たちと陳恭を捕らえるべく待ち構えていた。罠とは知らず忍び足で出口へ向かう陳恭、その時、ふいに居所の外で不自然に巻き付けられた葉を見たことを思い出した。(・Д・)はっ!陳恭はあの葉が危険を知らせる合図だと気づき、結局、引き返し、無事だった。陳恭が遅れて使者の歓迎の宴に現れた。予想外だったのか意外な顔をする黄預、その時、陳恭を見た使者が糜司馬ではないと訴える。使者の1人は長安間軍司・韓(カン)校尉だと名乗り、都督の命で郡守の密書を届けに来たと言った。「もしやそなたが本物の白帝では?糜冲を殺して成り済まし、五仙道に来たんだな?!」「ふっ、″月はなく星は稀に烏鵲(ウジャク)が南へ飛ぶ″…続きは?」陳恭は間軍司が任務に出る際の合言葉を郭剛が決めたはずだと迫った。言葉に詰まった使者は動揺し、実は陳恭の身体には東呉(トウゴ)の長沙(チョウサ)郡陳氏の紋章・忍冬があると指摘する。しかし陳恭はこんなこともあろうかと忍冬を焼き消していた。糜冲の身体は傷だらけだったが、忍冬はなかった。すると陳恭がいきなり短刀を抜いて使者に襲い掛かる。驚いた使者は咄嗟に応戦、すると陳恭は長安から来たはずなのに益州の剣術だと指摘した。「つまりお前こそが西蜀の間諜だ」黄預は自分が糜冲を試したとも言えず、結局、使者役の2人を見殺しにしてしまう。南鄭も大雨に見舞われた。狐忠(コチュウ)は李邈を呼びつけ、今回の皇帝の謁見は残り3日しかないと釘を刺す。そこで李邈は3日以内に必ず役立つ材料を成都まで送ると約束した。荀詡の密告は役に立たなかったが、陰輯(インシュウ)が馮膺に罪を着せる計画だという。陰輯は偶然を装い、外出先の馮膺に声をかけた。実は成都から急ぎの文が届き、西曹掾より先に馮膺に渡すのが筋だと思ったと顔を立てる。そこで馮膺は司聞曹へ戻ったが、なぜかすでに閉門していた。聞けばこの大雨で李邈が山津波を心配し、皆に早上がりを許したという。馮膺は従事から文を受け取り、早く帰るよう伝えた。しかし靖安司の従事がまだ残っているという。馮膺は念のため靖安司の様子を見に行ったが、廖会は荀詡の命で証拠品の見張りをしていた。「そうだったか、ご苦労だな」一方、黄預は陳恭を本物の糜冲だと信じ込み、ようやく心を開いた。「漢中の五仙道4千人余り、祭酒以下の長老257人、今後は糜冲に方策の決定を任せたい」しかも義兄弟の契りを交わしたいという。陳恭は快諾して拝礼すると、黄預は賢弟を得られたことは天意だと喜んだ。「ぁ…まだ正式に娶ってはおらぬが、聖姑は兄嫁として接してくれ」「ご挨拶します…嫂嫂」すると翟悦(テキエツ)は今日の記念にと、金も玉も斬れるという名剣を糜冲に贈った。黄預は聖姑を先に下げ、糜冲が漢中に来たのには別の目的があるのかと聞いた。「もちろん、青萍(セイヒョウ)計画です」「詳しく聞かせてくれ」一夜明け荀詡と裴緒は陽平閣を出立、司聞曹に戻った。するとなぜか李厳(リゲン)将軍の護衛隊が物物しい警戒体制についている。「何か大事だ…」荀詡は馬を頼んで中庭を急いで進むと、狐忠の姿があった。狐忠は荀詡を連れて靖安司にやって来た。しかし留守を任せた廖会の姿はなく、床には大量の血糊がある。「廖会に何が?」「…昨日は大雨ゆえ司聞曹は皆、早く帰った 初動捜査で重大な盗難が判明した、軍謀(グンボウ)司も司聞司も物が盗まれた 見張り番で残った廖会は賊に殺された、格闘の末にな」荀詡と裴緒は裏庭で廖会の亡骸と対面した。しかし廖会の身体を調べた荀詡は格闘した痕跡などないと分かる。狐忠は意に返さない様子で、それより解読用の木版がなくなったことを問題視した。狐忠は馮膺の居所に乗り込み、なかば強引に捕縛した。「曹魏と通じ、人を殺めた確たる証拠がある」「私の自供は聞かぬのか?!」「ふっ…急がぬ」一方、馮膺の捕縛を知った荀詡はあまりに早急だと抗議した。しかし李邈は非常時ゆえ即断の必要があるという。最初に紛失に気づいたのは軍謀司の高堂秉(コウドウヘイ)だった。報告を聞いて調べてみると司聞曹で盗まれた物は木版以外、取るに足らぬ物ばかり、つまり盗みを働いた賊の狙いは明らかに解読用の木版だ。従事の証言では事件が起こった時、ちょうど馮膺が戻り、靖安司へ向かって廖会に会っていた。他の者は現場におらず、間接的な証拠があるという。捜査報告書にもある通り、外部の者が司聞曹に侵入した痕跡はなかった。街亭(ガイテイ)の事案に関与しているのは馮膺と孫令(ソンレイ)、つまり馮膺には木版を盗む動機がある。「そなたの署名をくれ、すぐ成都に送らねば…」確かに状況証拠は全て馮膺を示していた。だからこそ荀詡は馮膺ではないと指摘する。司聞曹の創設者の1人であり、この道に精通している馮膺がこんな初歩的な過ちを犯すだろうか。すると李邈は荀詡が当然そう考えることを見越して裏をかいたのだと言った。だとしてもあまりに危険すぎる。そこで李邈は疑念があるなら捜査を続けても良いと条件を出した。荀詡は李邈に押し切られ、しぶしぶ署名押印したが…。つづく
2022.10.15
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风起陇西(ふうきろうせい)第七計「天を瞞(アザム)きて海を過(ワタ)る」西曹掾(ソウエン)・李邈(リバク)が突然、陰輯(インシュウ)の居所にやって来た。司聞曹(シブンソウ)に入りひと月あまり、李邈は未だ驃騎(ヒョウキ)将軍・李厳(リゲン)に報告できる成果が得られず焦っている。曹掾同士の争いに巻き込まれたくない陰輯はのらりくらりかわそうとしたが、李邈は陰輯の弱みを握っていた。「そなたは指令を捏造して情報を呉(ゴ)と魏(ギ)に流し、私利をむさぼった 街亭(ガイテイ)の事案も、ある者が谷正(コクセイ)を利用して軍の秘密を曹魏に与えていた これも偶然かな?」証拠を突きつけられた陰輯は短刀を抜いて自害しようとするも、どうしても死ねなかった。「活路を与えてやろうか?」一方、荀詡(ジュンク)は曹掾・馮膺(フウヨウ)が訴える街亭の捜査打ち切りに反対していた。北伐の敗因は白帝の裏切りではなく、燭龍(ショクリュウ)が祁(キ)山で情報をすり替えたせいだという。燭龍は軍の内情に詳しく、暗号文と解毒用の木版を扱える人物だ。しかし馮膺が内通者ならとうに白帝の正体を暴露していたはず、荀詡は馮膺の義弟・孫令(ソンレイ)を疑っていた。馮膺は荒唐無稽だと一笑に伏し、どちらにしても白帝が死んだのなら街亭の事案は早期に片づけるという。「もし孫令を調べたら最後は私に矛先が向かう、お前を権力闘争の泥沼に引き込みたくない 司聞曹は国の利器だ、政争の道具にしてはならない、李邈には他に目的がある…」その頃、陳恭(チンキョウ)は間軍司(カングンシ)の司馬・糜冲(ビチュウ)に成り済まし、秦沢(シンタク)の案内で五仙道の根城に到着していた。割符で使者の糜冲だと証明した陳恭は早速、五仙道の大祭酒・黄預(コウヨ)を平南(ヘイナン)将軍・漢中先鋒使(カンチュウセンポウシ)に任じると皇帝の詔を伝える。黄預は勅旨を受け取り、続いて神に生贄を捧げる儀式を行うことにした。すると聖女が現れ、神に捧げる舞を披露する。しかしその聖女は間諜として五仙道に潜入している妻・翟悦(テキエツ)だった。陳恭は翟悦の無事な姿を見て内心、安堵した。互いの安全のためにも決して触れ合うことはできない2人、翟悦もひとしきり剣舞で気を紛らせながら、陳恭への思いを募らせる。するとその夜、歓迎の宴を終えた黄預が酔った勢いで聖女の居所に押しかけた。翟悦は婚礼がまだだとあしらいながら、黄預が不世出の英雄ゆえ身を寄せたが、思いがけず位を賜って曹魏の下についたと落胆する。しかし黄預は位を受けたのは一時しのぎの策に過ぎないと教えた。「今後、必ず五仙道を復活させ、魏蜀呉を全てこの手中に収める(๑•̀ㅂ•́)و✧」黄預にとって聖女は唯一の理解者であり、天が与えし贈り物だった。陰輯は遅れて紫煙閣へ到着した。高堂秉(コウドウヘイ)は曹掾の招待に遅刻かと呆れたが、馮膺はこんな状態でも来てくれた2人を気の置けぬ仲間だと言ってくれる。あと数日で李厳の弾劾の結果が分かるだろう。馮膺はこの肝心な時、李邈に司聞曹を中傷させる隙を与えてはならないと釘を刺した。すると陰輯が荀詡は身内に不利な真似をしたと非難する。高堂秉は荀詡が務めを果たしただけだとかばい、馮膺もその通りだと同意した。ともかく丞相を守るため街亭の事案をここで打ち切らねばならないという。丞相長史・楊儀(ヨウギ)からも近々、燭龍の捜査が始まると警告されていた。「2人とも、下心を持つ者には用心しろ」そこで馮膺は高堂秉に荀詡が利用されないよう見張るよう頼む。高堂秉は親友を見張るのはばつが悪いと辞退したが、陰輯が自分の本業だと名乗りをあげた。同じ頃、馮膺から孫令の捜査を反対された荀詡は李邈を訪ねていた。実は孫令の関与を疑っているが、証拠となる木版が厳重に管理されているため、権限がないと持ち出せないという。李邈は手立てを考えると約束したが、何とか馮膺に罪を着せようとした。「こうは考えられないか?当時、情報を至急、送らねばならなかった 燭龍が偽りの情報を作ったところで間に合わぬ 馮曹掾にしか元々、暗号文は読めぬ、すなわち解読する時に悪事を企んだと…」「それはあり得ないことです、暗号文の内容を変えることはできません」馮膺が屋敷に戻ると孫令が待っていた。「姐夫!大変です!荀詡が李邈のもとへ…燭龍を捜査するふりをして姐夫を陥れる気ですよ!」しかし馮膺は荀詡の監視をやめろと叱って居所へ戻ってしまう。一方、荀詡は出かけたついでに柳莹(リュウエイ)がいる紫煙閣をのぞいてみることにした。すると偶然、平北(ヘイボク)将軍・馬岱(バタイ)の副官たちの座敷で接待している柳瑩の姿を見かける。2人は一瞬、目が合ったが、その時、座敷の戸が閉まってしまう。その夜、荀詡は柳瑩との出会いを思い出してなかなか寝付けなかった。美しい柳瑩の姿、そこで竹簡に隠してある柳瑩からもらった竹笛を出し、しばし物思いにふける。同じ頃、柳瑩は燭龍と接触、情報を聞いていた。「白帝は天水郡主簿・陳恭だ」実は谷生(コクセイ)が死んで司聞曹が捜査に動き、蜀軍の指揮系統を使うのは危険だった。そこで都督・郭淮(カクワイ)は間諜・柳瑩を新しい連絡係として南鄭(ナンテイ)に送り込んだという。「今後は私に情報を…」するとその情報は妙風使(ミョウフウシ)を介して直ちに五仙道へ届いた。秦沢は大祭酒に急報を伝えた。燭龍によれば西蜀の間諜・白帝は天水郡主簿・陳恭だという。陽平閣で蜀軍が白帝を殺していなければ危うく五仙道の内部に入っているところだった。しかし警戒心が強い黄預は支部に峡谷から離れるよう通達を命じ、念のため糜冲の身元を調べることにする。その話を翟悦が物陰で立ち聞きしていた。李邈は木版を持ち出すため、陰輯を頼った。陰輯の話では木版の穴の所に情報を書き、他の所には関係のない文字を書いて内容を知られないようにするという。中でも白帝は別格で、木版にも仕掛けがあった。これまで木版と言えば機密扱いだったが、実は今回の案件ですでに解禁され、手続きも簡単になったという。李邈はちょうど馮膺が外出中だと知り、早速、書庫へ行くことにした。白帝専用の木版では暗号が取り決めた干支に基づいており、3枚の木版の順序を変えていた。つまり穴の位置もその都度、変わる仕組みだという。「干支はその時々に決めるのか?」「はい、それを秘密の鍵と呼んでいます 文の封じ目に方位や″天地人″の字をしるし、意味するところは外部の者には分からない 秘密の鍵と暗号が一致して初めて情報を読めるのです」すると陰輯が試しに情報の読み方を実践してみせた。「この情報の秘密の鍵は…天人北…」李邈はこれが街亭の情報なのか聞いた。しかし街亭の情報は書左台(ショサダイ)に保管されているという。「ご覧になるには孫令を通さないと…」そこで李邈はひとまず燭龍の捜査班の名前を使い、木版を持ち出すことにした。つづく( ゚д゚)燭龍は髭面…ってみんな髭が生えてたwでもどうみてもあの人?…かあの人だよね?
2022.10.13
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风起陇西(ふうきろうせい)第六計「屍(シカバネ)を借りて魂を還(カエ)す」司聞曹(シブンソウ)に戻った荀詡(ジュンク)は内偵のため曹掾(ソウエン)・馮膺(フウヨウ)に全てを明かさなかった。しかし説明に納得した馮膺は荀詡に解毒薬を渡し、新任の西曹掾・李邈(リバク)にも報告するよう促す。荀詡は早速、西曹掾を訪ねると、李邈は任務を果たした荀詡を労い、靖安司(セイアンシ)の司尉に推挙すると言った。荀詡は門外漢から来た李邈だけに曹魏(ソウギ)の間諜が潜入していると報告した。白帝だけの連絡係だった谷正(コクセイ)が司聞曹の密命を受けて赤帝という密偵に矢文で情報を送っていたが赤帝は偽物、曹魏の間諜が蜀漢(ショクカン)の軍機を送っていたらしい。「潜入した間諜の秘匿名は″燭龍(ショクリュウ)″です」すると李邈は秘密を守ると約束し、荀詡に内偵の権限を与えた。「誰にも言ってはならぬ、報告は私だけに…」一方、宿で馬に乗り換えた陳恭(チンキョウ)と糜冲(ビチュウ)は国境の関所・陽平(ヨウヘイ)関に到着した。しかし糜冲が兵士に従っておとなしく馬から降りたのに対し、後方にいた陳恭はなぜか降りようとしない。すると異変に気づいた兵士たちが陳恭たちの周りに集まって来た。その時、陳恭はわざと糜冲を自分の名前で呼び、玉符を投げ渡す。「陳主簿!受け取れ!」糜冲は谷正が持っていた玉符の半分だと気づき、やはり陳恭が白帝だと分かった。陳恭はそばにいた兵士を斬り殺し、方向転換して引き返して行った。「証拠を見つけろだと?(ふっ)あれほど言ったのに…」糜冲は郡守への恨み節を漏らし衛兵たちに抵抗したが、何者かが放った赤い羽の矢が命中、絶命してしまう。一方、逃亡した陳恭は断崖絶壁に身を隠し、敵兵の追跡を逃れていた。司聞曹では上役が集まり、荀詡は改めて任務の報告を済ませた。馮膺はこれで街亭(ガイテイ)の捜査を打ち切ると伝え、荀詡の昇進も決定する。しかし李厳が秘密だと約束したはずの燭龍の話を公言し、捜査の継続を訴えた。馮膺は平静を装い、密偵の潜伏と街亭の事案は分けて考えるべきだと主張する。そこで街亭の事案は打ち切り、燭龍の調査は自分と李邈が指揮を、また荀詡と高堂秉(コウドウヘイ)、陰輯(インシュウ)を捜査に加えると決めた。「李曹掾、これでいいだろうか?」「事は重大だ、進捗(シンチョク)については李厳(リゲン)将軍に報告します」孫令(ソンレイ)は義兄を出し抜いた荀詡に不満を募らせた。そこで義兄に楊儀(ヨウギ)の再起は見込めず、狐忠(コチュウ)からの誘いに応じた方が良いと訴える。馮膺は馬鹿馬鹿しいと取り合わなかったが、孫令には西曹掾と懇意にしておくよう勧めた。荀詡は李厳の思わぬ裏切りに困惑しながら靖安司(セイアンシ)に戻った。すると腹心の従事・裴緒(ハイショ)から自分が戻る前日、すでに白帝が天水郡の主簿・陳恭だと知れ渡ったと聞く。荀詡は会議で誰も言わなかったと憤慨、念のため裴緒と外に出てから話すことにした。荀詡は裴緒だけに全ての経緯を説明し、燭龍という間諜こそ大きな脅威だと訴えた。計画では陳恭が糜冲に成り済まして五仙道に潜入、燭龍を突き止めることになっている。「同じ頃に発ったから今頃は漢中に着いただろう…全て順調なら間も無く白帝の死が知らされる」恐らく燭龍は解読用の木板を扱える立場にいるはずだ。…あの時、最後の運搬役は深手を負って軍営に到着し、密書を無事に届けたものの絶命した楊儀は天幕で密書を受け取り、一緒にいた馮膺に託して暗号文の解読を頼むすると馮膺の命で孫令が木板が入った箱を持って現れ、馮膺が木版を密書に照らし合わせて楊儀に渡した…祁(キ)山の軍営で密書に触れた者は限られていた。最も疑わしいのは馮膺だが、司聞曹の創始者である楊儀と馮膺が裏切るとは考えづらい。荀詡と裴緒は馮膺との関係が近く、木版を管理する孫令に疑いの目を向けた。荀詡は李厳が自分に内密を保つよう厳命しておきながら、会議で不意打ちをくらったと悔しがった。しかし裴緒は李厳が馮膺を失脚させたがっていることから頭領は利用されたのだと指摘する。その時、荀詡はふと気配を感じて辺りを見回した。実は司聞曹に戻って以来、誰かに見張られている気がするという。「怖がらせないでくださいよ~」「はっ…風が起こった」馮膺に合わせる顔がない荀詡だったが、急に軍の使いから馮曹掾の部屋へ呼び出された。馮膺と待っていたのは軍技(グンギ)司の校尉・譙峻(ショウシュン)、実は青萍(セイヒョウ)計画について聞きたいという。すると高堂秉が駆けつけ、馮膺に陽平関からの急報を渡した。馮膺は2人の話が一区切りしたところで、荀詡に平北(ヘイボク)将軍・馬岱(バタイ)からの急報を見せる。「曹魏の間諜が1人、逃亡したらしい、特定してくれ」どうやら陳恭の計画はうまく行ったらしい。そこで荀詡は後は譙峻と2人で話すと断り、自分の執務室へ向かった。一方、糜冲に成り代わった陳恭は予定通り官道を歩いていた。すると荷馬車が通りかかり、相乗りさせてもらう。男は秦沢(シンタク)と名乗り、名前を聞いた。陳恭は糜冲の偽名だった″糜衡(ビコウ)″と教え、安康(アンコウ)の没落した商家の出だと告げる。「…2人連れのはずでは?」「1人は陽平関で見つかり吊るされた、案じるな…任務には影響ない」陰輯は高堂秉に疫病神の荀詡と関わらないよう警告した。会議では一触即発だった曹掾2人、聞けば西川(セイセン)の士族が連盟で丞相の弾劾状を上奏したという。荀詡が西曹掾に利用されるのは必至だ。「そう言えば今夜、馮曹掾と紫煙(シエン)閣で飲む、お前も来るか?」陰輯は馮膺が自分たちを取り込むつもりだと疑ったが、結局、一緒に行くことにした。荀詡は曹魏の密偵が連弩の技術を盗むなら設計図を狙うはずだと指摘した。譙峻の話では連弩の設計図は2枚、丞相の役所と軍技司の総成部にあるという。しかし定軍山の地形は特殊で官道は盤山(バンサン)路のみ、片側は絶壁だった。途中には関所が3つ、厳重に検査される上、下山するにも同じ道を行くしかないという。すると荀詡は念のため合言葉を毎日、変えてはどうかと提案した。「それは名案だ、張翼(チョウヨク)将軍に報告しよう」「終わったか?」その声は馮膺だった。その頃、陳恭たちは国境の西郷関に到着していた。この関門の検査は厳しいと有名だったが、秦沢が差し入れた酒のおかげか陳恭は新しく雇った下働きを装い、無事に難所を通過する。すると陳恭は改めて間軍司の糜冲だと名乗り、今日中に五仙道の黄預(コウヨ)祭酒に会いたいと頼んだ。馮膺は譙峻を見送ると、荀詡を誘ってその足で茶屋にでかけた。何と釈明したらいいのか分からない荀詡、そこで李厳の聞き取りが事細かだったと言い訳したが、馮膺は自分を疑っているのかと聞く。「まさか!」「…ならばいい」馮膺は荀詡を遣わしたのは白帝を生かすためだったと教えた。しかし街亭の事案を早く解決しなければ大勢に累が及ぶため、疑わしい点があっても打ち切るという。一方、陰輯は馮膺との酒席に参加すると決めて屋敷に戻ったが、驚いたことに李邈が待っていた。「今日は折り入って話があって来た…」つづく( ๑≧ꇴ≦)えーっ?!司命(違うけどw)がもう退場なんて…
2022.10.10
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风起陇西(ふうきろうせい)第五計「客を反(カエ)して主(アルジ)と為す」荀詡(ジュンク)は一足先に天水(テンスイ)を発った。一方、馬車の事故で死を偽装した陳恭(チンキョウ)と糜冲(ビチュウ)はその夜、天水郡治に滞在する。郡守・郭剛(カクゴウ)は2人のために送別の宴を開き、偽造した通行証を渡した。陳恭の身分は商人・陳渭(チンイ)、糜冲の身分は従者・糜衡(ビコウ)だという。郭剛は2人にわだかまりがあると分かっていたが、今回ばかりは心をひとつにして任務を果たすよう念を押した。すると和やかな席に突然、梁倹(リョウケン)が現れる。実は生け捕りにした密偵が急に供述をひるがえし、白帝(ハクテイ)に会ったことがあると白状したというのだ。「ここに連れて来ています」郭剛と糜冲は間が悪い梁倹に渋い顔、しかし陳恭が会ってはどうかと言った。宴席に密偵が連行された。密偵の話では白帝は郡守の側近だという。しかし側近はここにいる陳恭と糜冲だけ、すると密偵は陳恭とは会ったこともないと証言した。「では俺だと?!」糜冲が呆れて密偵を突き飛ばすと、密偵は隙をついて護衛の剣を奪い取り、糜冲に斬りかかろうとして梁倹に殺されてしまう。糜冲は再び白帝につながる手がかりを失った。すると翌朝、見送りに出た郭剛から昨夜は軽率だったと指摘されてしまう。西蜀の密偵は初めから暗殺目的だったのだろう。「陳恭を調べるのは構わぬが、だが証拠をつかめ」そこへ遅れて陳恭が現れた。郭剛は設計図を奪ったら陳恭は天水に戻り、糜冲は漢中に残って五仙道を編成するよう命じる。「行ってこい」その頃、南鄭(ナンテイ)の司聞曹(シブンソウ)に西曹掾(ソウエン)に抜擢された李邈(リバク)がやって来た。実は驃騎(ヒョウキ)将軍・李厳(リゲン)と面談した際、李邈は北伐の敗因が楊儀(ヨウギ)にあると証言している。楊儀は北伐で功を焦るあまり現地の密偵に公に活動するよう命じたが、敗北すると正体を知られた密偵は殺され、李邈が隴西(ロウセイ)に敷いた情報網はほぼ壊滅していた。『元をたどれば全ては楊儀の過ちです』李厳を出迎えたのは主記室の副司尉・孫令(ソンレイ)だった。孫令は李邈を居所へ案内し、司聞曹を簡単に説明する。曹掾・馮膺(フウヨウ)は孫令の姉の夫だが、姉は数年前に亡くなっていた。陳恭は糜冲が御す荷車に揺られながら、荀詡と別れた朝のことを思い出していた。『これがお前の通行証だ』『で、どうやって糜冲に成りすますつもりだ?』郭剛は陳恭と糜冲の順路を決めていた。すると渭水(イスイ)を渡って武都(ブト)を東に進み、散関を避けて水路で武興(ブコウ)へ行くとある。実は冀(キ)州出身の糜冲は泳げなかった。そこで陳恭は激流の青龍灘(セイリュウタン)で舟を転覆させようと企む。例え泳ぎが得意でも危険は伴うが、陳恭は空気を詰められる革の衣を準備し、難破した後は糜冲に成り済まして助けを求める計画だ。郭剛が報告を聞けば陳恭が死んだと思うだろう。荀詡は見事だと感嘆した。しかし気がつくと手綱を握る糜冲が勝手に水路ではなく旧道沿いに行くと決め、別の方向に進んでしまう。「私は泳げぬ、舟が転覆したらお前は助けてくれないだろう?」( ತ _ತ)チッ!バレテーラ一方、帰途についた荀詡は国境付近の山中にいた。そこで偶然、山賊に襲われた一行を見かけ、かろうじて最後の一人を救う。荀詡は転んだ女人に駆け寄り手を差し伸べたが、振り返った女人の美しさに思わず目を見張った。司聞曹では馮膺が李邈を歓迎し、早速、仕事の分担を決めた。李邈は新参者ゆえ対外は荷が重いと訴え、計画通り対内の担当を任される。その頃、高堂秉(コウドウヘイ)と陰輯(インシュウ)は新任・李邈の噂をしていた。陰輯は門外漢の李邈に司聞司や軍謀司を指揮できるはずがないと断言、内勤を担当すると推察する。「だがそれも困りものだ…内勤の方が厄介だろう?」「五仙道か?」「五仙道は張魯(チョウロ)の残党だ、山林に根城を築き、ここ数年、勢力を拡大している」「なるほど、我々に掃討する力はなく、懐柔する策もない」「報告によれば五仙道は曹魏と通じているとか、今後は手こずるだろう」荀詡が助けた美しい女人は柳瑩(リュウエイ)と名乗った。柳瑩は武都にある玉鳴(ギョクメイ)楽坊の楽師だったが、魏軍が攻め込んでくる前に難民に扮して仲間たちと城外へ脱出したという。確かに荀詡が通った折、武都は落城間近、恐らく蜀軍はもう撤退しているだろう。柳瑩は山賊に仲間を殺され、帰る家も失ったと落胆した。頼れるとすれば漢中の南鄭に住む芸事を教えてくれた師匠しかいない。師匠の名は紫随煙(シスイエン)、紫煙閣と言えば琴と簫で名高く、荀詡ももちろんその名前を知っていた。その夜、陳恭と糜冲は山間にある簡素な宿で一夜を過ごすことになった。あと一日で陽平関に着くだろう。陳恭は五仙道の黄預(コウヨ)に連絡したのか確認、すると糜冲は心配せずとも知らせたと言って背を向けた。翌朝、先に起きた陳恭は中庭にいた下働きの小六子(ショウロクシ)に金をつかませ、文を送るよう頼んだ。すると後から出て来た糜冲が2人の様子を見かける。そこで糜冲も小六子に金を渡して何を頼まれたのか聞いた。「文を送れと…」「どこへ?!」「天水の金御瑶(キンギョヨウ)です」しかし文はまだ預かっていないという。実はその間に陳恭は糜冲と自分の荷物を取り替えていた。荀詡は柳瑩を無事に南鄭まで送り届けた。柳瑩は荀詡がただの商人ではないと気づいたが、荀詡は事情があって正体を明かせないという。しかし柳瑩はそれ以上、追及しなかった。「ただ何か恩返しができればと思っただけです… これは私が愛用してきた竹笛、記念の品としてお受け取りください」すると柳瑩はここからは独りで紫煙閣へ向かうと断り、縁があればまた会えると言った。司聞曹に荀詡が戻って来た。荀詡の無事な姿に誰もが驚いていたが、どうも様子がおかしい。その時、高堂秉が現れ、有無を言わさず荀詡を軍謀司に連れて行ってしまう。聞けば司聞曹では天変地異が起こり、姚柚(ヨウユウ)は罷免され、後任は丞相の元参軍だった李邈に変わっていた。馮膺と高堂秉は現職に留まれたが減棒、例の事件が関係しているという。「もはや司聞曹は楊儀には属していない、李厳将軍の直轄だ」すると高堂秉は戻ったばかりの荀詡に言動には注意するよう警告しておいた。荀詡は馮膺に任務の完了を報告した。「武都で高堂秉から状況を聞いた後、13人の精鋭を率いて天水へ 精鋭は小隴山に待機させて1人で城内に入り白帝に会いました」「…裏切ったのか?」「分かりません、確かめる任務はなかったはず…」淡々と話す荀詡に馮膺はどこか困惑しているようだった。「白帝が語ったのは情報を盗んで送った経緯だけ…谷正(コクセイ)にも会いました 谷正が死んだのは私と会った直後、それゆえ白帝を始末しようと決めました 時期からして白帝が関与しているのは間違いないかと… 谷正の話により己の嘘が暴かれたと思い込んだのでしょう」荀詡は先月、白帝が間軍司の糜冲と連れ立って小隴山へ巡視へ出かけた時を狙ったと説明した。帰路の鶏頭(ケイトウ)山一帯は険しい地形、そこで矢を放って馬を驚かせ、馬車は崖から転落したという。「骸はありません」しかし馮膺は義弟を殺すのは気が重かっただろうと言った。荀詡は素直に認め、それでも谷正の家族が捕まるのを見て決心したという。しかも荀詡たちの動きに気づいた曹魏が兵を動員して山を捜索し、金(キン)隊長と配下たちは荀詡を逃して戦死していた。すると馮膺はついに納得し、黙って解毒薬を差し出す。「感謝します」つづくキタキタキタキタ━━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━━━!!お久しぶりのアンジェラベイビー、美貌は健在ですな ←おっさんかwそう言えば精鋭は10人じゃなかったのか?金隊長もてっきり偽名だとおもったけど本名?いやコードネームなのか?
2022.10.09
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风起陇西(ふうきろうせい)第四計「笑いの裏に刀を蔵(カク)す」蜀漢(ショクカン)・南鄭(ナンテイ)。司聞曹(シブンソウ)では輔漢(ホカン)将軍・李厳(リゲン)の腹心・狐忠(コチュウ)の個別面談が始まっていた。街亭(ガイテイ)有事の際に軍内にいた軍謀司(グンボウシ)・高堂秉(コウドウヘイ)は白帝(ハクテイ)について見解を問われたが、司聞曹の最高機密なので自分も後に知ったとはぐらかす。そこで狐忠は″青萍(セイヒョウ)計画″を知っているか探りを入れた。「耳にしたことは…我が軍の連弩(レンド)の技術を盗むのが狙いだとか」「それだけではない、司聞司の陰(イン)司尉いわく計画は大きく、多岐にわたる 蜀軍の機密を盗む以外にも上層部に間諜を潜り込ませ、内乱を扇動するとも…」すると狐忠は白帝の裏切りも計画の一部かもしれないと挑発し、様子をうかがう。高堂秉は曹魏(ソウギ)が司聞曹に潜入せんと企むのは当然のことだと言ったが、不興を買わないよう口をつぐんだ。狐忠は最後に曹掾(ソウエン)・馮膺(フウヨウ)を呼んだ。なぜ荀詡(ジュンク)を送り込んだのか問われた馮膺は靖安(セイアン)司のため国外での任務の経験がなく、それがかえって潔白の証になったという。「荀詡は白帝の姻戚だとか?」「それは初耳だ」馮膺は嘘をつき、どちらにしても荀詡には掟通り毒を飲ませてあると教えた。天水(テンスイ)は激しい雨になった。間軍司(カングンシ)の司馬・糜冲(ビチュウ)は白帝への手がかりとなる谷正(コクセイ)を殺され苛立ちを隠せない。しかしかろうじて小隴(ショウロウ)山で捜索していた配下が蜀兵を生け捕りにして戻ってきた。糜冲は蜀兵の意識が戻ったら何としてでも供述させ、腕利きの配下2人に陳恭(チンキョウ)を見張らせるよう命じる。「今日、陳恭は危険を冒した、すぐ尻尾を出すだろう」吉利車馬行(キツリシャバコウ)が捜索され使用人は収監された。荀詡(ジュンク)の話では谷正が″赤帝″という間諜と接触、その後は矢文で情報を送っていたという。「利用されたんだ」陳恭は呆然となった。馮膺は確かに谷正が自分だけの連絡係で、他の任務に関与しないと言っていた。やはり恐れていた通り燭龍(ショクリュウ)は司聞曹の高位にいて、勝手に赤帝の名をでっちあげることができたのだろう。谷正は何も知らず駒にされていたのだ。しかしどちらにしても谷正がいなければ陳恭と荀詡は釈明しようがなかった。「絶体絶命だ…」そこで陳恭は燭龍の存在を知る天水郡守・郭剛(カクゴウ)をかどわかし、南鄭へ連行することを思いついた。荀詡は現実味のない話に呆れたが、陳恭には策があるという。珍しくて精巧な物を好む郭剛はかつて陳恭に公輸子(コウシュシ)の竹鵲(チクジャク)の資料を渡し、復元を命じていた。竹鵲とは竹や木で作った鵲(カササギ)のことで、史書によれば人を乗せて3日間も飛び続けたという。荀詡は伝説に過ぎないと言ったが、実は魏軍がかつて偶然、郢(テイ)で公輸子の墓を見つけ、中から竹鵲の原型らしい残骸を見つけていた。すでに竹ひごの骨組みに羊の皮を貼って翼を作り、あとは実際に飛んでみるだけだという。「小籠山で飛ぼうと誘えば喜んで話に乗ってくる… いいか、この場所に私と郭剛が降り立つ、お前は谷底で馬2頭と待つ」荀詡は危険すぎると大反対だったが、結局、これが自分たちの助かる唯一の方法だと認めざるを得なかった。狐忠は聞き取り調査を終え、幕府へ李厳(リゲン)を訪ねた。さすがは司聞曹、海千山千の者ばかりだったが、馮膺は興味深いという。忠誠心が強いとは言えず、楊儀(ヨウギ)から白帝の件を早期に解決するよう命じられても奥の手を残していた。そこで李厳は馮膺を移動させず司聞曹に残すと決め、補佐として誰かを送り込みたいという。狐忠はならば楊儀を恨んでいる李邈(リバク)が適任だと推薦した。実は丞相に罷免されて行く当てもなく、自分を頼って南鄭にいるという。李厳は直接、李邈と会ってから決めることにした。「なぜ罷免された?」「丞相が馬謖(バショク)を斬る際、私は智謀に長ける馬謖を失うは大きな損失だと進言しました」その時、うっかり楚(ソ)も得臣を誅殺した後に衰退したと口を滑らせ、丞相の逆鱗に触れてしまったという。「その話は禁忌だった、不興を買ったな」「おっしゃる通りです、それで長史の楊儀が讒言したのです、私には異心があると…」李邈は楊儀への恨みを募らせ、司聞曹を粛正するなら策を献じたいと申し出た。成都に戻った楊儀は丞相に報告、大なたを振るう李厳を非難した。すると諸葛亮(ショカツリョウ)は敵の間諜を粛清すべきであり、それを行うのが誰であろうと支持するべきだという。「しかし丞相、李厳には恐らく他意が…」「まだ憶測に過ぎぬのだろう?…司聞曹の件は李厳に任せれば良い、口を出すな」結局、馮膺と高堂秉は減棒だけで元の職位に留まった。そんな中、主記室の従事だった馮膺の義弟・孫令(ソンレイ)は副司尉に昇進する。一方、西曹掾(ソウエン)・姚柚(ヨウユウ)は偽りが多いと弾劾され、庶民に降格された。郭剛はちょうど長安から届いた元帝(ゲンテイ)時代の渾天儀(コンテンギ)に夢中だった。すると務めにやって来た陳恭が現れ、竹鵲の復元が完成したと報告する。郭剛は予想通り早速、陳恭の家まで視察に来たが、竹鵲を作らせたのには単なる趣味ではなく、実は別の理由があった。「戻るぞ」情報によれば蜀軍の軍技(グンギ)司が作る最新の連弩は連射できる矢の数が20本、騎兵も歩兵も使えて殺傷力も高いという。最新の連弩は″蜀都(ショクト)″と″元戎(ゲンジュウ)″で、魏軍にとって脅威となるのは必至だ。蜀軍はこの機密を守るため偽の製造場をいくつも設けていたが、燭龍のおかげで製造拠点の特定に成功する。しかし定軍山の西の山間は断崖絶壁で峡谷があり、製造拠点である総成部へは一本道のみだった。さらに3つの防衛線があり、この鉄壁の守りを突破する方法がない。「だが今は違う」郭剛は陳恭に糜冲へ説明するよう頼んだ。そこで陳恭は地図を示して断崖絶壁から飛び降りると教える。「断崖絶壁から行く?飛んで行くと?…陳主簿は鳥か?」糜冲が冷笑すると、なぜか郭剛と陳恭が失笑した。郭剛は役所の中庭に運んだ竹鵲を糜冲に見せた。ようやく鳥という意味を理解した糜冲、確かにこれがあれば敵の意表をついて潜入できるだろう。すると郭剛は連弩の設計図を盗む任務を梁倹(リョウケン)と陳恭に頼むと決めた。確かに梁倹は国外の任務を苦手とするが、これも陳恭を引き立てるため、今回の任務で功績をあげさせたいという。陳恭は郡守の恩情に感謝したが、糜冲が郡守に話があると言った。糜冲は郡守を回廊まで連れて行った。実は西蜀の密偵を追っていたところ主簿も現場に現れたという。そこで梁倹ではなく自分が同行すると申し出た。郭剛は2人が同時に消えれば西蜀の密偵に気付かれてしまうと心配したが、糜冲はならば馬車の事故で自分たちが死んだと装うのはどうかと提案する。「よかろう、お前が行け…ただし青萍計画は都督が自ら取り仕切る 連弩の機密を得ることが最優先、個人的な感情を挟み、過ちを犯すなよ?」そんな2人の話を密かに陳恭が聞いていた。すると最後に郭剛は陳恭の身の安全を守るよう糜冲に約束させる。郭剛の信頼に後ろめたさがよぎる陳恭、しかしこんな絶好の機会を逃すわけにいかなかった。その夜、陳恭と荀詡は美味い酒になった。糜冲の提案で訃報が流されることが決まり、これで任務を果たしたことになる荀詡も助かる。「道中で糜冲を殺めて私が奴に成り済ます、そうすれば陳恭はこの世から消える…」「転機が来たな!」すると陳恭は荀詡から毒塗りの短刀を譲ってもらった。一方、糜冲もこの機会に陳恭を泳がせ、怪しい行動があれば始末すると決める。未だ生け捕りにした蜀兵は意識が戻らなかったが、梁倹に全て任せることにした。陳恭は寝所に戻ったが寝付けずにいた。思い出すのは翟悦(テキエツ)との細やかでも和やかな婚儀。あの時、荀詡の不慣れな媒酌に2人で思わず吹き出してしまったことが懐かしい。果たして陳恭の計画は成功し、愛しい妻と再会を果たす事はできるのか。つづく( ๑≧ꇴ≦)チェンクンのタートルは正義!
2022.10.03
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风起陇西(ふうきろうせい)第三計「金蝉(キンセン)殻(カラ)を脱す」荀詡(ジュンク)は陳恭(チンキョウ)の潔白を信じ、一緒に燭龍(ショクリュウ)の正体を突き止めることにした。そこで陳恭は天水(テンスイ)郡守治で郭剛(カクゴウ)の目を盗み、早馬の記録を調べ始める。結局、燭龍につながる早馬はなかったが、書房に郭剛が現れた。陳恭は咄嗟に別の名簿と取り替え乗り切ったが、郭剛から思いがけない話を聞く。実は燭龍から新たな報告が届き、西蜀の司聞曹(シブンソウ)が新しい密偵を送ったと知っていた。しかも密偵の名が荀詡で数名の兵を連れているという。司聞曹が白帝(ハクテイ)の裏切りだと考えるのは当然、郭剛はその目的が白帝の暗殺だと分かっていた。「西蜀は大混乱だろうな、ふっ」荀詡は郭剛が自分の情報をすでに知っていると聞いて思わず茶を噴き出した。情報が早いのはやはり燭龍が司聞曹に食い込んでいるからだろう。すると陳恭は燭龍が曹魏(ソウギ)の早馬ではなく、自分たちの経路を使ったのだと気づいた。しかし谷正(コクセイ)は自分だけの連絡係、表向きは車馬行(シャバコウ)を装っている。何より谷正は″白帝″という秘匿名しか知らず、決められた場所に情報を置くだけで、接触することはまずなかった。その頃、谷正は尾行されているとも知らず、うっかり市場の指定の場所で暗号を確認していた。間軍司(カングンシ)の梁倹(リョウケン)たちは谷正が見ていた石を拾って戻ったが、石の裏に彫られた暗号の意味までは分からない。司馬・糜冲(ビチュウ)は引き続き監視するよう命じ、谷正から片時も離れないよう命じた。郡守がくれた燭龍の新しい情報も信用できるが、今回は情報が粗い。「荀詡という男、恐らく谷正と会うだろう、包囲網を敷け」一方、蜀漢では司聞曹を引き継いだ輔漢(ホカン)将軍・李厳(リゲン)が丞相府長史・楊儀(ヨウギ)の案内で南鄭(ナンテイ)へ到着していた。李厳は勅命により綱紀粛正を行うと宣言、北伐の失敗を招いた司聞曹を厳しく非難する。そこで裏切り者である白帝の名前を明かすよう迫ったが、曹掾(ソウエン)・馮膺(フウヨウ)は将軍だけに明かしたいとごまかして時間を稼いだ。孫令(ソンレイ)は主記室の従事、しかし事務方は書き物ばかりで面白みがなく、出世の見込みもなかった。そんな中、思いがけず李厳が人員を刷新すると知り、孫令はその夜、義兄・馮膺に実務に就きたいと頼んでみる。馮膺は自分さえ地位が危ういと一蹴したが、突然、楊儀が訪ねて来た。実は楊儀は馮膺が白帝を生かすため荀詡を遣わしたと気づいていた。「そこまで言うなら認めましょう…事態は想像以上に複雑です 白帝の功は数知れず、真相が分からないまま白帝を異郷で死なせたくないのです」しかし楊儀は政権争いが苛烈極まりないと嘆いた。1人を守れば大勢が死に朝廷が揺らぐことになるだろう。楊儀は馬車でそのまま成都に帰って行った。「巣を覆せば卵は残らぬ…忘れるな」すると夜も更けたというのに孫令が現れ、楊儀の言う通り白帝が死ねば丞相失脚を阻止できると説得する。馮膺は孫令が自分たちの話を聞いていたと知り唖然、決して機密を漏らしてはならないと釘を刺した。一方、陳恭と荀詡は手始めに谷正を調べることにした。荀詡は司聞曹の密偵として自分が直接、問いただし、もし問題があれば谷正を捕らえて2人で逃げようという。そこで陳恭は小隴(ショウロウ)山に隠れている密偵たちを下山させ、荀詡に呼応させると決めた。その夜、谷正は酒楼の窓からこっそり矢文を放ち、″赤帝″に情報を渡して翌朝、屋敷に戻った。一晩中、心配していた妻は安堵したが、実は白帝から再び任務を命じられたという。何でも洛陽(ラクヨウ)の間諜が正体を暴かれ、重要な情報を蜀漢へ届けて欲しいと言って来た。「こたびは自ら行かねばな…」燭龍の情報で曹魏に潜入した侍衛隊長の姓が金(キン)だと分かった。間軍司は直ちに各城門から出入りした者を洗い出し、確かに金侍衛隊長の一行が入城したと分かる。そこで糜冲は小隴山の捜索を決定、城外の軍営に応援を要請し、梁倹には引き続き谷正の見張りを任せた。その頃、西蜀の密偵たちは林良(リンリョウ)の案内で下山していた。しかし中腹あたりで曹魏軍の姿を目撃、自分たちを捜索していると知る。林良は別の山道を行くことにしたがもはや手遅れ、10人は身動きが取れなくなった。そこで密偵は自分たちがおとりとなり、林良を先に逃してくれる。山腹には猟犬を連れた曹魏軍がじわじわと迫っていた。一方、谷正は間軍司の尾行をまき、聴松(チョウソン)院に到着した。2階で待っていたのは″黒帝(コクテイ)″と名乗る間諜、2人は互いに自分の玉符を差し出し、合致することを確認する。その頃、小隴山にいた糜冲の元に梁倹から谷正に逃げられたと急報が届いた。「谷正と白帝が会うと…」驚いた糜冲は符(フ)将軍に捜索を任せ、生捕りにするよう指示して城内へ戻る。ちょうど同じ頃、天水郡治を出た陳恭は物陰にいる林良に気がついた。「どうしてここに来た?!」「一大事だ!」谷正は黒帝に蜀漢の匂い袋の残り香があることを見逃さなかった。「洛陽の者ではないな?…蜀漢を離れて半月足らずといったところか? 何が目的でこんな手の込んだことを?」荀詡は仕方なく身分を明かし、馮膺に遣わされたと教えた。これも谷正を試すためで、裏切ったのなら間軍司を連れて来るだろう。その頃、林良を逃した西蜀の密偵たちは曹魏軍に包囲され、逃げ場がなくなった。10人はついにここで国に殉じると決意、敵軍の衣を脱ぎ捨てると一矢を報いるために敵兵に襲い掛かる。しかし多勢に無勢、精鋭たちは次々と倒れ、最後の独りが自害しようとした。すると曹魏兵が咄嗟にその前に斬りかかり、生け捕ることに成功する。一方、谷正は自分がやっとの思いで城外へ運んだ白帝の情報が偽物だったと知った。実は丞相の敗北後、自分も白帝が罠にかかったのだという考えに至ったという。「いや、白帝の情報は正確だった…丞相に届く前にすり替えられた」「あり得ぬ、白帝は暗号文を使っている」「なぜ知っている?」「司聞曹が暗号文を使うのは慣例、解読用の木版は…はっ!」谷正はようやく自分が疑われていると気づき愕然とした。陳恭は急いで聴松院へ向かうことにした。しかし旧市街が封鎖され足止めされてしまう。珍しく激高し梁倹を殴ってしまう陳恭、そこへ糜冲が現れた。「危険なので私が送り届けてやろう、さあ行こう!」一方、谷正はものすごい剣幕で荀詡が自分を陥れに来たと非難した。そもそも白帝の暗号文は誰にも解けないはず、情報自体が偽りの可能性もある。「そこまで言うなら白帝と谷正先生を同時に尋問するしかない…」「…荒唐無稽だ!」谷正はいきなり席を立つと、荀詡は馮膺からもらった短刀を突きつけ引き止めた。その時、林良が現れ、間も無く間軍司が乗り込んでくると知らせる。荀詡は谷正が呼んだと誤解、いきなり腹を刺した。すると谷正は侮辱より死を選ぶと訴え、自ら荀詡の短刀を深く差し込んで自害してしまう。糜冲は兵士を連れて陳恭を聴松院まで送り届けた。すると陳恭が約束があると話していた通り、友人たちが女を侍らせ、すごろくで楽しんでいる。しかし別の部屋では谷正の遺体が発見されていた。「毒を塗った剣だな…」糜冲は遺体がまだ温かいことから、犯人はまだ近くにいると推察する。恐らく陳恭は時間稼ぎのため梁倹に因縁を付けたのだろう。偶然にしてはでき過ぎている。その時、糜冲は谷正の腰から玉符を見つけた。一方、陳恭は事件など何処吹く風、仲間たちとすごろくで盛り上がっていた。「誰か!酒を2甕(カメ)、持って来い」すると給仕に成り済ました荀詡が金を受け取り、静かに戸を閉めた。つづく(  ̄꒳ ̄)ぉぉぉ…【司聞曹】司聞司・・・情報収集を担う部署軍謀司・・・情報分析を担う部署靖安司・・・他国の間諜に対処する部署軍技司・・・武器を担う部署主記室・・・事務方
2022.10.02
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风起陇西(ふうきろうせい)第二計「火に趁(ツケコ)んで打劫(ウバイト)る」蜀漢(ショクカン)の間諜・″白帝(ハクテイ)″こと陳恭(チンキョウ)は自分が司聞曹(シブンソウ)と曹魏(ソウギ)の諜報機関・間軍司(カングンシ)双方から疑われていると知った。ちょうど谷正(コクセイ)から会いたいと連絡が来たが断念、念のため林良(リンリョウ)に谷正にも警告を発しておくよう頼む。一方、陳恭の義兄弟・荀詡(ジュンク)は司聞曹の曹掾(ソウエン)・馮膺(フウヨウ)から裏切り者の白帝を始末するよう命じられ、天水へ向かっていた。すると国境で軍謀司(グンボウシ)司尉・高堂秉(コウドウヘイ)が待っている。抱き合って再会を喜ぶ2人、聞けば高堂秉は北伐失敗の後始末を任され、司聞曹と一緒に南鄭(ナンテイ)に移らず留まっていた。それにしても馮曹掾から凄腕を送ったと急報が届いたが、まさか荀詡だったとは…。「お前がなぜ外勤に?」「…馮曹掾に嫌われたのかなw」蜀漢・成都の丞相府。丞相府長史・楊儀(ヨウギ)は司聞曹が白帝を調べるため送り込んだ密偵が殺されたと諸葛亮(ショカツリョウ)に報告した。馮膺は損失を抑えるため荀詡を天水に派遣したという。荀家と言えば代々諸葛氏に仕える密偵、諸葛亮はふと幼い頃の荀詡に思いを馳せた。『劉備は太平の世を築けるのですか?』『私、諸葛亮が手を貸せば間違いなく築ける…荀詡、忘れるな この地に生きる誰もが値千金だ、大切にせよ』しかし未だ司聞曹に潜り込んだ曹魏の間諜の手がかりはなかった。「急いで突き止めよ、火種になり得る」高堂秉の話では白帝は張郃(チョウコウ)の作戦をつかんだ後、すぐ早馬を飛ばしていた。間軍司の司馬・糜冲(ビチュウ)はその動きを察知して暗殺部隊を派遣、使者は窮地に陥ってしまう。しかし使者は危ないところで次の使者に密書を託し、幸いにも楊儀の元に到着した。「だが白帝は暗号文を使っており、解読用の木版は馮曹掾が管理している 木版がなければ暗号文を解けるはずがない、つまり…」「ということは白帝に問題がなければ…馮曹掾が怪しいと?」「俺は言ってないぞ~w」すると高堂秉は荀詡から頼まれた精鋭たちは関所で待っていると教え、見送った。それから数日後、輔漢(ホカン)将軍・李厳(リゲン)は諸葛亮を弾劾する上奏文を準備、参内することにした。参軍の狐忠(コチュウ)はどうやら白帝が裏切ったらしいと報告、免職されて丞相を恨む李邈(リバク)から直接、聞いた話だという。「はお、これは突破口になる」実は弾劾は単なる芝居に過ぎず、司聞曹の掌握が目的だった。結局、皇帝への謁見は叶わなかったが、侍従の話では皇帝の耳にも曹魏の間諜が潜入している件が届いているという。「これより勅命を出し、将軍に司聞曹を引き継がせるそうです」李厳は皇帝から街亭(ガイテイ)の事案を捜査するよう命じられた。しかし諸葛亮の顔を立てて皇帝は楊儀を罰しなかったという。ともかく李厳は真相を突き止めるためにも人員を刷新すると決め、早速、狐忠と共に南鄭へ向かうことにした。天水の城門に雍(ヨウ)州・郭淮(カクワイ)都督の侍衛一行が到着した。金(キン)侍衛隊長は令牌を見せたが、門衛は郡守の命で西蜀の密偵を探していると断り、念のため馬車を調べさせてもらう。一方、糜冲は陳主簿への疑念を払拭できずにいた。腹心の梁倹(リョウケン)は牛記酒肆(ギュウキシュシ)から一足先に逃げ出した林良を見ていたが、記憶がおぼろげで似顔絵が上手く作れない。そんなある日、馬蹄の跡を調査していた配下が戻って来た。都督の役所から情報が漏れた日に5里圏内にいたのは軍馬のみ、しかし役所の南西にある林道でかすかに残った民間の馬の蹄跡があったという。当日、民間の馬で役所に来たのは陳恭だけ、糜冲は恐らく酒楼にいた男が協力者だと考えた。その頃、人けのない道を歩いていた陳恭は思いがけず雍州刺史・郭淮の侍衛隊に呼び止められた。陳恭は嫌な予感がして逃げようとしたが、いきなり殴られ拉致されてしまう。金侍衛隊長は郊外の山奥に穴を掘らせ、そこへ陳恭を放り込んだ。「お前は西蜀の間諜・白帝だな?すでに正体は露見している 今回お前は街亭に関する情報を盗んだ、証拠は明らかだ!」すると金侍衛隊長はその証拠に都督による直筆の書状と役所の令牌を見せ、仲間を吐けば命は助けると持ちかけた。しかし陳恭は頑なに濡れ衣だと否定、どんなに砂をかけられても決して口を割らない。その時、突然、荀詡が現れ、陳恭を助け出すよう指示した。( ゚д゚)え?おま…はっ!( ๑≧ꇴ≦)出ないぞっ!いくら白帝を調査するためとは言え、陳恭は荀詡の酷いやり口に腹の虫がおさまらない。そんな陳恭の顔を見た荀詡は相変わらずだと失笑した。一方、一向に手がかりをつかめない糜冲は苛立ちを隠せずにいた。しかし配下がついに民間の馬車の鮮明な馬蹄の跡を発見、報告に駆けつける。「ここに特徴的な溝があります!」「試してみる価値はあります」陳恭は荀詡を自分の家に案内し、しばらく工房の2階に隠れるよう勧めた。実は天水郡守・郭剛(カクゴウ)も白帝の正体を突き止めようと糸口を探しているところだという。荀詡は司聞曹の最高機密である″白帝″がなぜ漏れたのか首を傾げたが、陳恭は機密も何も司聞曹に曹魏の間諜が潜んでいると指摘した。「蜀龍(ショクリュウ)だ」恐らく荀詡の動向も筒抜けだろう。陳恭は確かに″張郃は番須(バンス)道を通り街亭を夜襲″と情報を送ったと訴えた。しかし丞相のもとへ届いた時にはすり替わっていたという。「司聞曹の者が来ることは予期していた…まさかそれがお前で、あんな方法を使うとはな」そこで荀詡は馮膺から渡された毒を塗った短刀を出した。本当なら尋問せずに始末するよう命じられたと明かす。陳恭は事情も調べず裏切り者だと決めつけられ、さすがに応えた。すると荀詡は自分も毒を飲んだと教え、白帝を殺さなければ毒消しをもらえないが、それでも真実こそ重要だという。その時、林良が工房の窓に石を投げて合図、慌てて姿を隠した。陳恭の家に突然、糜冲たちがやって来た。先の件で陳主簿を疑ったことを郡守からも叱られ、迷惑をかけた謝罪に来たという。陳恭は恐縮しながら母家へ案内しようとしたが、糜冲は勝手に納屋へ入り、荀詡がいる2階へ上がってしまう。万が一の時に備え金槌を隠し持った陳恭、しかし荀詡はいつの間にか1階に隠れて無事だった。陳恭は母家で糜冲に茶を振る舞い、率直に何を聞きたいのか尋ねた。すると糜冲は例の火事の件でいささか疑問があるという。「郡守にも聞いたが都督は病を患っており、ここ1年は郡守が手配した薬を陳主簿が毎月 届けていたそうだな、調合も手掛けていたとか」「司馬が調べた通りだ、で何を尋ねると?」その頃、林良は物陰から糜冲の配下たちが馬の蹄を調べているのを見ていた。「気をつけろ、その馬は蹴り癖があるぞ?」陳恭が警告した途端、梁倹はいきなり蹴り飛ばされてしまう。「糜司馬、これが謝罪なのか?」「失礼した…しかし馬と言えば不審な点がある」糜冲はあの日、役所の5里圏内にいたのは軍馬のみ、陳恭の馬車だけが違ったと言った。そこで役所の南西の林道で見つけた馬蹄の跡を見せる。「例えばの話だ…陳主簿が情報を送りたいなら情報を預けた従者を馬で行かせればいい そうすれば留置中の7日間で嫌疑を晴らすと同時に情報も送れる」「そこまで言われたら協力するしかないな」しかし陳恭の馬は全て馬蹄を新しく換えていた。郭剛は勝手に陳恭の家を捜索した糜冲に憤慨した。実は郭剛は陳恭に恩がある。かつて天水が奪われた時、当時の郡守・馬遵(バジュン)が無能なばかりに郭剛の軍が孤立した。郭剛は死を覚悟したが、その時、援軍を率いて現れたのが陳恭だったという。「命の恩人だが、だからと言って庇ったりはせぬ、調べるがいいさ、ただし真実を明かせ!」荀詡は曹魏が白帝にここまで肉薄していることに驚いた。「ひとつ気になる点がある…白帝の暗号文を知るのはお前と馮膺だけ、燭龍はどう偽情報を作る?」「本人に尋ねるしかあるまい…とは言え郭剛に情報を送る際、手がかりを残しているはず」情報を迅速かつ安然に送る方法は早馬しかない。曹魏は早馬の記録を残していたが、さすがにひと月も前の記録は残っていないだろう。しかし陳恭は数日前、燭龍が蜀漢の密偵に関する情報を送って来たことを思い出した。蹄の件で出し抜かれた糜冲だったが、配下が新たな成果を報告した。当時、上邽(ジョウケイ)は防衛線を3つ設け西蜀の間諜を警戒、各防衛線で通行証を確認していたという。そこで出火した時点から翌日の夕方、西蜀の間諜を殺した時点まで上邽を出た馬車と人々をしらみ潰しに調べてみたところ、翌日の巳の刻、入城する者に紛れ、城外へ出た馬車を見つけた。どうやら西蜀の間諜は検問の穴を突き、入城する馬車に成り済ましたのだろう。通行証に問題があれば、おのずと城外に出されてしまう。「これが白帝が情報を送り出した方法か…」その馬車の御者は吉利車馬行(キツリシャバコウ)の谷正、交易と消して魏と蜀を行き来していた。つまり白帝は盗んだ機密を南西の林にいた腹心に届け、腹心が谷正に渡したのだ。一方、谷正は漢中から届いた急報を赤帝(セキテイ)に渡し、吉利車馬行に戻っていた。白帝からはひと月も音沙汰なし、何かあったのだろうか。陳恭は妻・翟悦(テキエツ)が大巴(ダイハ)山にこもっていると聞いた。五仙道(ゴセンドウ)が勢いを増しているため、丞相から制圧を命じられたという。「張魯(チョウロ)の残党か?」「ああ、名こそ違うが実体は同じだ」荀詡は連絡するのは自分だけで他に知る者はなく、心配はないと安心させた。その夜、寝衣になった陳恭は肌身離さず持っている平安符を握りしめた。翟悦の平穏無事だけを願って来た陳恭、しかし結局、翟悦は危険と隣り合わせの道を進んでいる。この平安符は任務へ旅立つ朝、翟悦がくれたものだった。翟悦は元気でいるだろうか。つづく( ー̀ωー́ )これが白帝が情報を送り出した方法か~って…どれが( ゚ェ゚)?!よもや2話目でつまずくとはw↓あくまでイメージで
2022.09.28
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风起陇西(ふうきろうせい)第一計「梁(ハリ)を偸(ヌス)み柱を換(カ)う」…3世紀、曹魏(ソウギ)・蜀漢(ショクカン)・東呉(トウゴ)が天下を三分して鼎立(テイリツ)蜀漢の皇帝・劉備(リュウビ)が崩御した後、丞相・諸葛亮(ショカツリョウ)は兵馬を鍛えつつ侵攻の好機を待っていたそして西暦228年、諸葛亮は曹魏への北伐を開始する北伐軍陣営、諸葛亮は将軍たちが集まった幕舎で間諜からの密報を受け取った意外にも張郃(チョウコウ)の軍は番須(バンス)道を通らず、瓦亭(ガテイ)道から蕭関(ショウカン)へ向かうという諸葛亮は自ら主力を率いて瓦亭道で敵軍を迎え撃つと決め、念のため街亭(ガイテイ)の守りを参軍である馬謖(バショク)に任せ、副将に王平(オウヘイ)、また魏延(ギエン)と高翔(コウショウ)を後詰めとして万一に備えさせた『皆の者、この一戦で張郃を破ってこそ長安を落とせる、北伐が成功するのだ!』しかし情報に反し張郃の軍は瓦亭道を通らず、夜を徹して番須道を抜け街亭を奇襲、馬謖は大敗を喫し、街亭を失った王平は命懸けで馬謖と魏延、高翔を救出腹背に敵を受けた諸葛亮はやむなく全軍を漢中(カンチュウ)へ撤退させ、第一次北伐は失敗に終わるそしてこれを機に蜀漢の司聞曹(シブンソウ)と曹魏の間軍司(カングンシ)による諜報機関の暗闘が幕を開けた…曹魏軍は蜀軍に大勝し天水(テンスイ)を取り戻した。城楼から感慨深げに空を眺める天水郡守・郭剛(カクゴウ)、すると天水郡の主簿で盟友でもある陳恭(チンキョウ)が吉兆だと喜ぶ。「郡守は天水を起点として隴西(ロウセイ)で大事を成せるでしょう」「そうなるよう願おう…」その時、まるで急を告げるように風が巻き起こった。漢中に撤退した諸葛亮の軍営では戦機を誤ったとして馬謖が処刑された。例え参軍であっても軍法を厳守しなければならないという諸葛亮、すると丞相府長史・楊儀(ヨウギ)が″白帝(ハクテイ)″の情報にも誤りがあったと指摘する。「我々の重要部署に曹魏の間諜が潜り込んだのかと…司聞曹に大きな穴が生じています」「調べ上げよ」そこで楊儀は早速、南鄭(ナンテイ)の司聞曹に駆けつけた。曹掾(ソウエン)・馮膺(フウヨウ)は暗号文がすり替えられた可能性は低いと言いながら、白帝が謀られた可能性もあるという。実は曹魏も昨年、司聞曹をまねて地方官府に制約されない中書省が司る機関・間軍司を作り、偽りの情報を流しては司聞曹を撹乱していた。確かに楊儀にも曹魏の間諜が司聞曹にいると内通があったという。「一体、どこで問題が起きたのだ?!」「白帝の調査に密偵を遣わしましたが、まだ報告がありません」すると楊儀は声を荒らげ、一刻も早く解決するよう迫った。北伐の失敗で丞相は追い込まれ、朝廷では北伐派と南征派が紛糾、誰かが責を負わねば混乱は避けられないだろう。その頃、天水に潜入している蜀漢の間諜・林良(リンリョウ)が密書を受け取っていた。…牛記酒肆(ギュウキシュシ)か…その日、郭剛は陳恭を誘って久しぶりに金御瑶(キンギョヨウ)で羽を伸ばした。それにしてもあの知謀に長ける諸葛亮がなぜ罠にはまったのだろうか。陳恭は読みを誤ったのだろうと受け流したが、郭剛が否定した。「違う、我々には″燭龍(ショクリュウ)″がいる」「燭龍?」「ふっ、張郃の出陣は蜀漢の間諜・白帝によって10日前には漏れていた」「ははは…″白帝″など伝説上の存在に過ぎません」しかし郭剛は白帝が街亭を奇襲するという情報を盗んで祁(キ)山の蜀軍に届けたと知っていた。その実、密報は燭龍がすり替えた偽物だったという。こうして燭龍の手柄で形勢を逆転できたが、白帝は郭剛にとって依然、悩みの種だった。「司聞曹が天水に密偵を遣わしたらしい、目的は″白帝″を調べ、街亭の事案を解明することだ」闇に潜る燭龍の正体を知るのは都督と郭剛だけ、これが白帝を生捕にできる絶好の機会になるだろう。その頃、間軍司の司馬・糜冲(ビチュウ)は大街に配下を忍ばせ、西蜀の密偵を追跡していた。郭剛はあと1時辰(トキ/2時間)で面白い余興が見られると教えた。すると陳恭が舞姫を下げ、ならば白帝を捕らえる前祝いだと言って2人の新入りの妓女を呼ぶ。ちょうどその時、向かいにある牛記酒肆に林良が現れた。2階にはすでに西蜀の密偵が待っていたが、ふと窓から金御瑶の店先に2つの花籠が掲げられるのを見る。林良は罠だと気づいて踵を返し密偵に指で合図、慌てて店を脱出した。しかし密偵は客になりすましていた間軍司に足止めされ、結局、殺されてしまう。成都(セイト)に戻った諸葛亮は皇帝に謁見、自ら罰を請うた。蜀漢皇帝・劉禅(リュウゼン)は勝敗など兵家の常だと見逃したが、輔漢(ホカン)将軍・李厳(リゲン)は追及の手を緩めない。「これまでの功を笠に着た丞相は先帝の東呉への遺恨を顧みず、 身勝手にも大軍を率いて北伐を断行したのです!」結局、皇帝は諸葛亮を右将軍に降格した。その頃、白帝の調査を始めた馮膺は司聞曹で靖安司(セイアンシ)副司尉・荀詡(ジュンク)を水責めにしていた。しかし荀詡は何度、聞かれても答えは同じだと訴える。陳恭は若い頃、奇門遁甲(キモントンコウ)に熱中しており、李厳の門生だった。司聞曹に推薦したのも荀詡だという。荀詡と陳恭は義兄弟の契りを結び、表妹・翟悦(テキエツ)は陳恭の妻、翟悦も荀詡の属下として五仙道(ゴセンドウ)に潜伏していた。「靖安司における役目は各教派の情報を収集すること… 連絡を取るのは私だけで他に知る者はいません」…翟悦と陳恭が結婚した3人で囲む夕食、しかし荀詡は縁者になると分かっていたら陳恭を司聞曹に推挙しなかったと後悔する『間諜は死ぬまで間諜だ、夫婦で過ごす日々は短い…』しかし翟悦は婿になったのなら家風を受け入れなければならないと笑った荀家と翟家は琅邪(ロウヤ)の諸葛氏に仕えて百余年、代々、密偵として働いている今や両家の生き残りは2人だけ、荀詡にとって陳恭と翟悦だけが家族だった…その頃、役所に戻った李厳は参軍の狐忠(コチュウ)から思わぬ報告を聞いた。実は2時辰前に楊儀が現れ、李厳を驃騎(ヒョウキ)将軍に昇進させ、息子には江州を任せるよう奏上したという。「楊儀によれは丞相がこう言ったそうです、国ために耐えて和を尊ぶのだと…」「信じるものか?!」李厳は憤慨しながら、司聞曹に潜り込んでいるという曹魏の間諜の件を聞いた。しかし司聞曹を作ったのは楊儀、狐忠も内情を探るのに手間取っているという。荀詡は拷問でどんなに苦しめても陳恭が裏切るはずないと訴えた。根負けした馮膺は荀詡の信念を曲げない頑固さを評価し、重要な任務があると教える。実は荀詡は掟の通り陳恭とは一切、連絡を取っておらず、どこで何をしているか全く知らなかった。馮膺の話では陳恭は南鄭を離れた後、曹魏に派遣され、副都督・郭淮の軍門に下ったという。そして軍功を重ねて校尉になり、やがて天水の主簿に着任、兵糧の管理を請け負っていた。「しかし実際は司聞曹の間諜・白帝、これは最高気密だ」( ゚д゚)<陳恭が白帝?!陳恭は曹魏に潜伏し、大量の情報を送り続けてきた。当初、丞相の第一次北伐は順調そのもので攻略できなかったのは広魏(コウギ)と隴西のみ、その状況に危機を感じた曹魏は張郃に関中から隴山を越えるよう命じる。張郃がどの道を通って隴山を越えるかは曹魏の最高機密、考えあぐねていた諸葛亮に白帝から情報が届いた。まさかその情報が偽りだったとは…。結果、諸葛亮は街亭を失い、北伐の大業は頓挫した。郭剛はせっかくの余興を台無しにされ不機嫌だった。糜冲の報告ではすべて燭龍の情報通りだったが、想定外にも何者かが密偵に警告したという。すると陳恭は道すがら白帝が天水にいるならいずれ捕獲できるとなだめた。「…そう願おう、軍務が忙しくしばらくは付き合えぬ、独りで遊ぶなよ?」「ハハハ~もちろん、ではこれで」郭剛は陳恭と別れると、再び糜冲と合流した。「疑念は晴れたな?」「…いえ、現場にいなくても白帝と無関係とは限りません」西蜀に機密が漏れていると知った糜冲は機密に接する高官を調べていたが、最後に残ったの1人が陳恭だった。そこで郡守に頼んで陳恭を妓楼まで誘き出してもらったが、結局、尻尾をつかめない。思えば出陣の10日前、都督の役所で火事が発生したが、その日に機密が漏れていた。「その場に陳恭がいました」しかし郭剛は自分が陳恭に頼んで叔父である都督に薬を届けさせたと教え、自分を疑っているのかと激高する。そもそも火事の現場にいた者は皆、留置され、陳恭が解放された7日後には祁山に機密が届いていた。「もし陳恭が白帝ならどうやって情報を送った?飛んだとでも?!」盟友の陳恭を誠実で裏表のない男だと評している郭剛、まさか陳恭が本当に白帝だとは知る由もなかった。一方、荀詡も陳恭を信頼し、恐らく正体を暴かれ、離間策に利用されたのだと訴えた。しかし馮膺の話ではひと月前、街亭の事案を調べるため密偵を天水に遣わしたが、密偵は曹魏に見つかって酒楼で襲われ落命したという。実はその密偵の居場所を知るのは馮膺を除いて陳恭だけだった。馮膺は荀詡を天水に送り込むことにした。「調査を終えたら始末しろ」そこで猛毒が塗ってある短剣を差し出し、実は荀詡が飲んだ茶にも毒が入っていると暴露する。「戻ったら毒消しを渡す」( ̄▽ ̄;)<そこまでするか?普通…(  ̄꒳ ̄)<外勤の掟だ、仕方がない陳恭が屋敷に戻ると林良が待っていた。酒楼は切迫していて間軍司に気づかれたかどうかまで確認できず、怪しまれた可能性もあるという。「お前を知る者は少ない、すぐには正体を突き止められぬはず、良かった」すると林良は密書を渡した。谷正(コクセイ)が会いたいと言ってきたが、陳恭は念のため会わないと決める。あの様子では間軍司も白帝について調べを続けるはずだ。「今日の分析会で糜冲に聞いた、密偵が天水に来ることは燭龍が知らせたそうだ 郭剛の話では我が軍が街亭で負けたのは私が送った情報がすり替えられたからだと…」「まさか、あり得ぬ!」しかし司聞曹が情報のすり替えなど信じるはずもなく、陳恭は自分が裏切ったと判断されると分かっていた。恐らく西蜀から来た密偵は自分を調べに来たのだろう。その密偵が殺されたとなれば陳恭への疑惑はさらに強まる。今や両国に追われる身となった陳恭、しかし何より恐れたのは曹魏の間諜が司聞曹の中枢に潜り込んでいることだった。「私の経路も危うい…何とかして司聞曹に燭龍の存在を知らせねば…だが、そうすれば…」つづく( ゚ェ゚)…何だか疲れたw文句言いながら宮廷物語を見ていた頃が懐かしいw
2022.09.23
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