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风起陇西(ふうきろうせい)第二十四計(最終話)「 李(スモモ) 桃に代わりて僵(タオ)る」荀詡(ジュンク)は司聞曹(シブンソウ)の部隊を率いて陳恭(チンキョウ)がいる李厳(リゲン)の別荘へ乗り込んだ。成藩(セイハン)は楊儀(ヨウギ)たちが機密について話し合っていると制したが、興奮した荀詡をこれ以上、止める術がない。その時、楊儀が現れた。「嫌疑人から供述を引き出したところだ、急いで丞相に報告する…では失礼」荀詡は不自由な足を引きずりながら陳恭の元へゆっくり歩いて行った。「なぜだ?…なぜだと聞いている?!」しかし陳恭は何も答えず、むしろどこかほっとしているように見える。「連れて行け!」荀詡は陳恭が連行されるのを見ながら、ふと床に広げられた地図があることに気づいた。一方、李厳は楊儀が成都への道をすべて封鎖したため、陳恭の言葉通り漢城を通るしかなくなった。すると待ち伏せしていた馬岱(バタイ)将軍が立ちふさがる。李厳は先帝に従ってから忠誠を尽くしてきたと嘆いて一度は剣を抜いたが、結局、捨ててしまう。「よかろう、諸葛(ショカツ)に会わせろぉぉぉ!」ひと月後、李厳の事変により諸葛亮(ショカツリョウ)の第二次北伐は曹魏(ソウギ)大将軍・王双(オウソウ)の斬殺、陰平(インペイ)と武都(ブト)の回復で終結し、20万の大軍が粛々と漢中へ撤収した。成都に戻った楊儀は諸葛亮に理路整然と事の顛末を報告、しかし諸葛亮は楊儀が司聞曹を利用して李厳を失脚させたことに憤慨する。楊儀は李厳を排除せねば朝廷に災いが起きると訴えたが、諸葛亮は政争にも限度があり、人には守るべき原則があると戒めた。「…よく考えよ、よく考えるのだ、何をしでかしたのかをな」「お待ちを!丞相!全て漢の復興のためにしたことです!」諸葛亮は李厳と面会した。すると李厳は諸葛亮が楊儀に命じて司聞曹を動かし、自分を死地へ追い込んだと責める。しかし諸葛亮は何も知らなかったと答えた。「確かに不当な手段だ…しかし手段は不当でも結果は正しい こたびの事変は楊儀が仕組んだものだった だが二心あって司聞曹に唆され曹魏と手を組み、東呉の侵略を偽って兵糧を断ったのであろう? そなたは徒党を組んで南征を主張し、蜀漢と東呉の同盟を破ろうとした 国の根本を揺るがしたのだ! そなたを捕えてこそ国は滅亡を免れる、これは国家存亡の危機、我々の私怨は関係ない!」「南征か北伐かは国策の争いだ、おぬしが北伐を断行して曹魏を滅ぼせる保証がどこにある?」「この世に万全の策はない…だが東呉と結べば蜀漢は少なくとも30年、平和を保てる もし東呉との同盟に背き荆襄(ケイジョウ)に侵攻すれば、曹魏は機に乗じ漢中を奪うだろう 敵に挟まれた蜀漢は3年もせずに間違いなく滅亡する! そうなればあの世で先帝に合わせる顔が?!そなたが言う天下の民はよりどころを失うのだ 我ら2人は大漢のために命を懸けて尽くすべき、己の名誉に何の価値があろうか?」李厳は諸葛亮の言葉にがっくり肩を落とし、力なく首を垂れた。↓(゚∀゚ノノ゙8888888888〜荀詡は事変に関わることを禁じられたまま、何の情報もなくひと月が経った。するとようやく楊儀が現れ、陳恭の事案が結審し、斬首の後さらし首が決まったと報告する。荀詡は呆然、どうしても陳恭に会わねばならないと懇願し、面会する機会を得た。大罪人の陳恭は牢の中でも拘束具で自由が利かなかった。「判決が下りた…斬首だ、陽長史が見守る」「そうか…遠路はるばる苦労をかけたな」「なぜだ?…聞かせてみろ」すると陳恭は燭龍となった経緯について明かした。郭淮(カクワイ)は陳恭が機密を盗む現場を押さえながらも咎めず、馮膺(フウヨウ)が父を売ったという証拠を見せたという。「お前も同じ文章を見て私を疑ったのだろう?」陳恭は青萍(セイヒョウ)計画に最適の人材だった。そこで折りよく天水に来た荀詡を騙して協力させ、南鄭に戻ることに成功したという。「南鄭に戻ったら馮膺を殺して李厳を裏切らせ、父を害した奴らを始末するつもりだった…」しかし荀詡は信じられないと言った。荀詡はこの1ヶ月、何度も繰り返し考え、ある結論を導き出していた。「街亭(ガイテイ)の事案を機に郭淮は青萍計画を発動 お前は父君を殺した馮膺に恨みを抱いたことで郭淮の信頼を得た 五仙道へ行く表向きの目的は連弩(レンド)の設計図を盗むこと だが真の目的は高堂秉(コウドウヘイ)と五仙道を犠牲にして馮膺の地位に取って代わることだ まさしく私の協力があったから青萍計画を遂行できた 郭淮は一層、お前を信頼した、だが思いがけぬことに楊儀と馮膺がお前に反間計を授けていた 青萍計画は最初からお前たちが目的を果たすための表看板 本当の目的は李厳を陥れて失脚させることだった、だがここで妨害が入る…それが私だ 郭淮が命じたのだろう、手ずから私を殺せと…曹魏に従う最後の証拠だ だから黄預(コウヨ)は西郷(セイキョウ)関を襲撃した、そうすれば私を誘き出し、殺す機会を作れる そこまでは想定内だったが、困ったことに楊儀も私を殺せと命じた 燭龍について捜査をやめない私が反間計を脅かしていたからだ 私が燭龍の事案を追求すれば李厳の失脚は合理性を疑われてしまう、丞相にも影響が及ぶだろう …確かにこれは憶測だ、だが私は誰よりもお前を理解している!」荀詡はあの日、双方に自分の殺害を迫られた陳恭が同時に林良(リンリョウ)にも矢を射させたと気づいた。林良は裴緒(ハイショ)が隠した自分を監禁、陳恭は任務さえ完遂すれば自分を殺さずに済むと考えたのだろう。しかし負傷した自分が逃げ出し、陳恭の作戦は破綻した。本来は馮膺が死ぬはずだったが陳恭は作戦を変更せざるを得なくなる。「私のせいで己を犠牲にするしかなくなったんだな?!」「…間諜には墓場まで持って行く秘密がある 兄弟同士で殺し合い、夫婦も共に暮らせぬ…そんな日々にはうんざりだ」「私の見立て通りか?…これでは…私がお前を殺したのと変わらぬぅぅぅ…」「考えすぎるな」荀詡は陳恭を死に追いやったのが自分だと知り泣き崩れた。すると陳恭は頼みがあるという。「もう捜査しないでくれ…ここまでにしろ、打ち切りにするんだ…もう終わりだ」…荀詡が別荘に乗り込んできた時、陳恭は楊儀に自ら馮膺の代わりに黒幕になると申し出た『曹掾の罪は全て私に着せてください、そうすれば曹掾は汚名をすすぎ復職できる』楊儀は反対した実は李厳を失脚させた後、陳恭を曹魏の上層部に潜り込ませる仕上げの計画があるしかし確かにこの方法なら誰も巻き込まず、全ての事態に説明がついた…荀詡たちは楊儀と共に陳恭の処刑に立ち会った。すると晴れて無罪となり、復職した馮膺が遅れてやって来る。馮膺は荀詡の隣に立ち、丞相からの任務を伝えた。「東呉へ向かい、建鄴(ケンギョウ)で新たな情報網を作れ」その時、いよいよ処刑の刻限が来た。陳恭は大きく息を吐いて執行台に身体を預けると、最後に荀詡へ笑顔を見せる。「…ひとつ頼みがあります」荀詡は馮膺に陳恭と翟悦を同じ墓へ埋葬するよう頼んだ。その時、ついに執行人が剣を振り下ろす。次に処刑場に向かっていたのは狐忠(コチュウ)だった。馮膺が司聞曹に戻ると、部屋を掃除していた孫令(ソンレイ)が出迎えた。「姐夫(ジェフー)…」一方、郭淮は陳恭が処刑されたと報告を受け、計画が全て台無しになったと知り茫然自失となる。また無事に南鄭から離れた柳瑩(リュウエイ)は荀詡と陳恭それぞれからもらった二つの令牌を眺めながら、物思いにふけっていた。荀詡は東呉へ発つ前、翟悦と陳恭の墓に寄った。…阿妹翟悦の墓…妹夫 の墓大罪人として死んだ陳恭の名前はなかったが、馮膺は約束通り夫婦を同じ墓で眠らせ、木碑を建てている。荀詡は献杯して立ち上がると、ふと翟悦と陳恭が仲良く手を繋いで旅立つ姿が見えた。荀詡は林良と一緒に水路で東呉へ向かった。「風が強いゆえ中で休んでは?」「いや構わない」すると林良は陳恭からの言づてを明かすことにした。陳恭は荀詡がひと月後も葛藤しているようなら真実を伝えるよう頼んでいたという。実は荀詡が穴蔵から脱出することは陳恭の思惑通りだった。穴蔵に茶碗を残したのも火打ち石を落としたのも、全て陳恭の指示だったという。陳恭は始めから抜け道がある穴蔵を見つけ、荀詡なら必ず見つけ出すと分かっていた。翟悦を死なせてから陳恭は己を責め、その時から死を求め出したという。この暮らしにへき易していた陳恭は燭龍を捕らえた後、翟悦と隠居するつもりだった。「…しかし悦児が死んだ日を境に計画を変えたのだな」「そうです」あの日から陳恭は己が決めた通りに動き、計画通りの結末を迎えた。荀詡は林良に船を降りる支度をするよう命じた。「こたびお前の立場は従者ではない 大鴻臚(コウロ)の治礼郎(チレイロウ)、つまり役人だ、礼儀に気を配れ」「承知した、手筈は整えている」完( ๑≧ꇴ≦)えー?!なぜ最後にこんな曲?! ←そこ?!
2022.12.17
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星汉灿烂 Love Like the Galaxy 第23話「皇宮へ参上」療養中の凌不疑(リンブーイー)を見舞うため父と凌府を訪ねた程少商(チォンシャオシャン)。しかし広大な屋敷はいかつい黒甲衛(コクコウエイ)が警固し、殺伐とした正殿はさながら軍営のようだ。「女子の使用人もいない…」「君が女子では?」その時、ふいに凌不疑が現れ、程始(チォンシー)と少商は緊張のあまり身体を硬直させた。「…女子は君一人で十分だ」(°_°)ハイ?凌不疑は少商の来訪を喜んだが、程将軍を見ると不機嫌になった。少商は足が震えてどうにも落ち着かず、早々に引き上げようと父に目配せする。そこで程始はゆっくり静養するよう社交辞令でごまかし、娘を連れて逃げるように帰った。しかしあと少しで門というところで梁邱起(リャンチゥチー)に呼び止められてしまう。「これは女公子の落とし物ですか?半分が見つからぬため探して欲しいと…」少商は例の割れた玉佩だと気づき、仕方なく引き返した。すると父だけ黒甲衛に囲まれ、足止めされてしまう。「程将軍は怪力の持ち主で十人力だとか、教えを乞うても?」程始は自分が邪魔なのだと察し、家で用事があると断って娘を置き去りにした。(^ꇴ^)ノ″<嫋嫋(ニャオニャオ)~気をつけるんだぞ!(°_°).oO(そういう感じ?凌不疑は玉佩で少商を脅し、連れ戻した。「私が怖いのか?父親を連れて見舞いに来るとは…」少商は自分一人で来なかったことが不服なのだと気づき、うつむいてしまう。「古傷を痛めたのに見舞いも渋々か…」「…まだ痛みますか?」「武術に支障がないか聞かないのか?」「武術ができるかどうかは二の次でしょう?」凌不疑は驊(カ)県でも痛いかどうか聞いてくれたのは少商だけだったという。「君は特別だな」すると思いがけず皇太子が裕昌(ユーチャン)郡主たちを連れて見舞いにやって来た。少商はこの機に乗じて帰ろうとしたが、皇太子たちがすぐ正殿に到着し、逃げる機会を失ってしまう。袁慎(ユエンシェン)は皇太子をけしかけ、一緒に見舞いにやって来た。すると王姈(ワンリン)が皇太子に楼(ロウ)家と破談になった程四娘子だと紹介し、次の目当ては凌不疑かと毒づく。しかも自分の奴婢が程氏客桟のそばで少商と男が密会しているのを見たと辱めた。袁慎は自分のことだと思い出し、師匠の伝言を少商に託しただけで他意はないと釈明する。ただでさえ居心地が悪い中、王姈に侮辱され踏んだり蹴ったりの少商。「男女の卑猥なことしか頭にないから誰もが淫らだと思うのかしら? 袁公子とやましいことがあれば馬車にひかれて死ぬわ! 凌将軍、どうぞお大事に!失礼します!」袁慎も袁氏の栄誉に関わる流言だと憤慨、改めて説明を求めると言って帰ってしまう。不疑は少商との時間を邪魔され怒りが収まらず、王姈を節穴だと罵しり追い返した。その頃、凌府にちょうど三皇子と側近の小越(ユエ)侯が到着した。すると正門から皇太子が慌てて出て来る。「何かあったのですか?」「裕昌が子晟(ズーション)のことで傷ついてな…思い詰めるやもしれぬ」三皇子たちは皇太子を見送ったが、その間に医者らしき男が凌府へ入ったかと思うと正門が閉められてしまう。「若主公は休んだばかりのためお待ちを…」「ならば戻るとしよう、舅父が上等の薬を求めた、子晟に煎じてくれ」実はその医者は15年も行方知れずだった霍(フォ)家軍の伝令官だった。韓武(ハンウー)は凌不疑と面会、逃亡兵としてどんな罰でも受けると拝跪した。しかし逃げ回っていたわけではなく、同袍と接触すれば殺される危険があり、名を隠して市井に紛れていたという。「″凌 将 軍″…ご無事で何よりです」孤城が破られ霍家が全滅した時、韓武は救援を求め城外にいた。当時、孤城の兵器は劣悪な物にすり替えられ、抵抗するのも困難だったという。霍将軍は仕方なく伝令官を近くの越氏部曲と乾安(ケンアン)王の軍に派遣したが、結局、援軍は到着せず、孤城は陥落した。実はあの日、城外に瘴気(ショウキ)がこもり、越氏と乾安王が進軍不能となって3日遅れたという。確かに小越侯は一隊を率いて瘴気を探りに行くも全滅したと報告したが、韓武は後日、出動した戦馬が兵営にいたという目撃証言を得ていた。「瘴気に毒あらば、なぜ人は死に馬だけ無事だったのでしょうか?」妙なことはもう一つあった。瘴気が散ってから軍医たちが検視のため林に入ったが、なぜか軍医たちは全員、失踪したという。「私に軍医たちの捜索をお命じください」「許可しよう」少商と袁慎の噂は皇帝の耳にも届いていた。すると文(ウェン)帝は立ち話だけで噂になる袁公子に比べ、命を助けた子晟とはなぜ噂が立たないのかと苛立つ。( ゚ェ゚)<いやそこですか?@皇后「ようやく子晟の目に適う女子が現れたのだ、仲を取り持ちたい」そこで早速、程娘子に参内を命じ、接見することにした。翌朝、程始と蕭元漪(シャオユエンイー)は少商を連れて参内することになった。凌不疑を見舞ったと思えばいきなり皇帝との謁見、蕭元漪は嫋嫋が何かやらかしたのではないかと気が気でない。そんな母の心配などどこ拭く風、少商は馬車に揺られながらこっそり持って来た焼餅(シャオビン)をつまんでいた。皇帝と皇后は正直で素直な少商を気に入った。蕭元漪は出征している十数年の間、娘の躾けが疎かになったと謝罪したが、皇后は学業が疎かになっていても賢いのかと感心する。「お褒めに感謝します、皇后ってなんて美しいのかしら…」少商は母と違ってありのままの自分を受け入れてくれる皇后を敬愛し、思わず口を滑らせた。慌てる蕭元漪だったが、皇帝はならば母と皇后ではどちらが綺麗かと聞く。「皇后!」「なかなか面白い子だ」皇帝は喜び、一家を家族の昼餉に招いた。そこへ万(ワン)将軍が参内して崇徳(スウトク)殿で待機していると知らせが来る。皇帝は程始たちも同行するよう命じ、少商は皇后の長秋(チョウシュウ)宮で休むことになった。長秋宮の偏殿、少商は普通の民家とは全く違う造りの宮殿に興味津々だった。書卓はどうやら楡(ニレ)の木で作られているらしい。「皇后は倹約しているのね…」その時、五公主がすごい剣幕で皇后の寝殿に入って行った。五公主は父皇が決めた縁談に不満があり、母を訪ねた。「父皇は越姮(ユエホン)とその子供しか眼中にない、朝廷内外でも越姮が真の皇后だと噂してるわ」「ふぁんすー(放肆)!」皇后は思わず声を荒らげ、人払いした。「誰が離間させるようあなたをそそのかしたの?」実は自由奔放な五公主は幕僚と称してお気に入りの郎君の出入りさせており、何かと噂が耳に入って来るという。皇后は縁談が決まった娘が郎君たちと往来することを叱責したが、五公主は縁談を断ると言い出した。「越姮の甥は三公主の宣(シュエン)氏駙馬にも劣ります、私には放蕩息子をあてがうなんて…」皇帝は娘を皇后の宣氏と越妃の越氏に嫁がせることで帝家の結束を強めたいと願っていた。三公主は母の寝宮を訪ね、五公主が慌てて長秋宮に駆け込んだと失笑した。自分が子晟を慕いながら父皇に命じられ泣く泣く嫁いだ以上、当然、五公主も断って良いはずがない。しかし宣氏駙馬は功績もあり清く正しい家門で人柄も立派、三公主にはもったいない相手だった。片や小越侯の息子は四六時中、花街に入り浸り、五公主でなくても嫁ぎたくないだろう。越妃は五公主に同情し、舅父の家で育った三公主が長秋宮への恨み言を吹聴されたせいで敵対するのだと分かっていた。「私の願いは静かで平穏な日々よ、騒ぎを起こさないで…でないと守ってやれないわ」五公主は凌不疑も身を固めていないと訴え、不公平だと言い出した。「実の子以上に寛容なんて…もしや凌不疑は父皇が外に作った子なのでは?!」皇后は娘の妄言に激高したが、わがままな五公主の暴言は止まらない。「霍翀(フォチョン)はたかが舅父ですよ?大勢死んでもそれは母方 自分の両親は生きているのに近づこうともせず、宮中に居座って私の両親を奪うなんて…」「お黙り!本当に罰を与えるわよ!」少商が偏殿の装飾品を見ていると、急に皇后の寝殿の門が開いて大きな声が聞こえた。<私は男子のごとく功績を立て、大事を成し遂げたいのです!婚姻を強要するなら死にます!<何ですって?!少商は何事かと様子を見てみたが、ちょうど激怒した皇后が五公主を置いてどこかへ行ってしまう。すると五公主が偏殿にいる少商に気づいた。「ちょっと!盗み聞きしたわね!…無礼者!」五公主は見知らぬ娘に罰を与えようとしたが、そこへ五公主の伴読が現れ、とりなした。つづく( ๑≧ꇴ≦)あははははは~腹抱えて笑った!パパが好きだわ〜
2023.09.01
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月升沧海 Love Like the Galaxy(第29話)最終話「輝く星河の下」程少商(チォンシャオシャン)は梁邱起(リャンチゥチー)たちと郭(カク)村に入った。郭村は天下の食糧庫、1年の生産でいくつもの都城を養うことができる。少商は貯蔵された油を回収して水源を探すよう命じたが、ふと王延姫(ワンイエンジー)の言葉が頭をよぎった。…皇太子が訪ねる郭村の道中に油を撒いたわ…少商は火が起これば高所から吹いてくる風に煽られ、村だけに留まらないと気づく。「田朔(ティエンシュオ)は峪(ヨク)州の食糧を焼き尽くし、民を飢えさせて国の根幹を崩すつもりね」その時、突然、村に火矢が飛んできた。一方、霍不疑(フォブーイー)は梁邱飛(リャンチゥフェイ)たちと皇太子を援護し、田朔を追いつめていた。しかし山の向こうから黒い煙が上がるのが見える。「霍不疑、私の術中にハマったな? 郭村には勇者200人がいる、油で広大な田畑を焼けば天下の民は死ぬしかない、ふふ 確か皇帝は仁義に篤いのであろう? 息子を救って民を見捨てたとなれば、衆口にどう向き合うのか見ものだな!」田朔は勝ち誇ったように笑ったが、不疑は郭村なら少商が守ると自信を見せた。驚いた皇太子は再び少商を失えば一生、後悔すると訴えたが、不疑は退こうとしない。「霍不疑…国や民を思う忠良を気取りながら、結局、権貴を選ぶのか?! 文(ウェン)賊に取り入り、無能な太子は救うが自分の女は見殺しか?!この偽善者め!」「少商と約束した、天下を第一に夫婦で肩を並べ戦うと… 少商は知恵と勇気で必ず郭村を守り抜く、私はそう信じている」不疑は田朔に襲いかかり、胸を突き刺した。「グッ…お前の手で死ねたら忠義の名に恥じぬ」「殺せと挑発を?…戻帝が臨終の際、名のある官員や宮人は全て殉死したな お前が生き延びたのは無名の虫ケラに過ぎぬからでは?」「黙れ!忠臣が虫ケラなわけがない!敵討ちのために私を生かしたのだ!」田朔は不疑を出し抜いたつもりだったが、逆に足下を見られ激しく動揺してしまう。「敵討ちを託したか…それとも名を覚えていないだけか?」結局、不疑は止めを刺さず、田朔から剣を引き抜いた。「郭村へ!」その頃、焼き討ちをかけられた郭村では少商や梁邱起たちが身を挺して民を守っていた。じりじりと迫る残党たち、しかし間一髪のところで知らせを受けた程家が駆けつける。「嫋嫋(ニャオニャオ)に指一本、触れるな!」少商が父の声に気づいて振り返ると、激しい煙の合間から両親や兄夫婦たちの姿が見えた。「嫋嫋!阿母が来たわ!」こうして程家は一丸となり郭村の民と田畑を守り抜く。霍不疑は必死に郭村まで馬を駆けたが、到着した時にはすでに戦いが終わっていた。「郭村は無事よ、私たちは勝った…」「勝ったんだな」再会を果たした2人は固く抱き合い、ようやく夫婦一心となった。深傷を負った袁慎(ユエンシェン)は軍営で静養していた。すると幕舎に不疑が現れ、いつまで寝ているのかとしつこく聞いてくる。「私はお前の家の居候か?口うるさいぞ?」「妻を心配させるからだ」袁慎は大事ないと安心させたが、最後に伝えたいことがあった。「私と少商は似ていると思って来たが、間違いだった 両親の影響で私は深い情愛を嫌悪していた 幼心にも誠実すぎる情愛は刃や劇毒も同じだと感じたのだ 前途ある己の足を引っ張り、志を奪ってしまうと… だが少商は違った、だからお前たちは情愛が深いのだな」「…お前が気に食わなかった、だがこの5年、少商が最も辛い時に見守ってくれた だが安心してくれ、もう彼女を辛い目には遭わせない」「どうだかな、さもなくば…」「その心配はない」袁慎は即答する不疑に失笑し、これで少商への想いにけじめをつけた。子晟(ズーション)と少商の復縁は皇帝の耳にも届いた。その夜、皇帝は越(ユエ)皇后と夜空を見上げながら、これも宣神諳(シュエンシェンアン)が静かに2人を見守ってくれたおかげだと感慨深い。一方、軍営でも少商と不疑が満天の星空を見上げていた。「故人は本当に星になるの?」「昔、私もこうして星河を見上げたものだ、父母や兄妹が星に姿を変えて私を見ていないかと… それで分かったんだ、彼らに語りかけていると、声が届いた時には星が瞬く」「…皇后?私です、少商です、聞こえますか?」すると驚いたことにある星が瞬いた。「皇后だ…阿父、阿母、彼女が一生を共にする相手です、見えますか?」不疑が家族に少商を紹介すると、いくつもの星が一斉に輝いた。「皇后は私たちの復縁を望んでいたわ、だからきっと喜んでいるはずよ」不疑は少商の手を取り、愛おしそうに見つめた。すると少商は不疑の手首にある″少商の弦″に目を留め、これを見るたびに胸が熱くなるのを感じたと明かす。「子晟、あなたは情が深く感情豊かで純粋な心を持っている、この天下で一番の郎君だわ あなたとの出会いはこの上ない幸せよ」「少商、君は最も純粋で善良だ、確固たる意志を持ち、この天下で誰より勝る女子だ 君に出会えて私もこの上なく幸せだ」2人は互いの真心を捧げ合い、唇を重ねた。しかしちょうど幕舎から出て来た程始(チォンシー)と蕭元漪(シャオユエンイー)に見られてしまう。程始は父として何とも複雑な気持ちだったが、愛妻に諌められて目をつぶるしかなかった。「えっへん…霍不疑よ、娘を託したぞ だがうちの嫋嫋に不義理をしたら程家が一丸となって殴り込む」「…ぜひ」その時、程頌(チォンソン)と万萋萋(ワンチーチー)、程少宮(チォンシャオゴン)、程姎(チォンヤン)、青蓯(チンツォン)も天幕から出て来た。曲陵(キョクリョウ)侯府では老夫人が夜空に手を合わせ、天の加護に感謝していた。少宮の手紙によれば大郎と嫁が再び功績をあげ、頌児夫妻まで手柄を立てたという。しかも霍将軍と四娘子はそのまま驊(カ)県で成婚するとあった。「婚約ではない、成婚よ?これで聘礼(ヘイレイ)の品も逃げないわね、ぶははははは~! 孫娘の成婚を阻む度胸のある者はいるかしら?!」実は2人の成婚を阻む者が宮中にいた。「驊県で成婚だと?!だが朕がその場におらぬぞ?!無効だ!絶対に許さぬ! 今すぐ2人を呼び戻せ!都で再度、婚礼をやり直す! あんまりではないか!この日のために長年、苦心して来たのは朕だ!」すると越皇后は呆れ果て、寝殿に戻ってしまう。そんな皇帝の嘆きなど知る由もなく、程家は揃って星河を見上げながら幸せに包まれた。完( ˙꒳˙ )終わった…ここはやはり不疑と少商の復縁てめでたしめでたし~♪と納得すべきでしょうかしかし管理人はそんな多数派の歓喜とは裏腹に…( ˙꒳˙ )え?こんな感じ?管理人的最終話は54となりました追憶のような最後を期待していたので、この安易なまとめ方にちょっと肩透かし途中でまさかの必殺早送りが出そうになりましたが、ここでウマーで駆けるウーレイ登場!ウーレイがコーナー攻める!攻める!wwwなるほど、全てはこの瞬間のためにあったのね! ←いや違うwもう内容はどうでもいい! ←え?wだってウーレイがカッコいいんだもの♡( ˶´꒳`˵ )
2024.01.03
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那年花开月正圆 Nothing Gold Can Stay最終話「愛を貫いて」周瑩(シュウエイ)は西太后と光緒(コウショ)帝に拝謁した。最初は上々だったが、最後にうっかり″変法″の標語を引用してしまう。「太后のご不興を買ったかも…」謁見を終えた周瑩は趙白石(チョウハクセキ)に申し訳なさそうに伝えたが、そこへ崔(サイ)太監が駆けつけた。皇太后が周瑩を気に入って褒美に東阿阿膠(トウアアキョウ)を与え、さらに爵位を授けると命じたという。周瑩は安堵すると、次は趙白石が拝謁する番となった。趙白石はこの機に沈星移(シンセイイ)から託された日昌和(ニッショウワ)の仕訳帳を提出、これを見た西太后と皇帝は郡王が戸部を利用して私腹を肥やしていたと知る。憤慨した西太后はこの件について他言無用と告げ、帰りに汴梁(ベンリョウ)を通る際に対策を講じると言った。趙白石は別院に周瑩を訪ねた。ついに皇太后が郡王を排除するという。周瑩はこれで死んだ人たちも浮かばれると感慨無量だったが、話はそれだけではなかった。「もう1つ、深刻な知らせだ… 沈星移が涇陽(ケイヨウ)の街で目撃された、奴から連絡は?」フル(・_・ ))(( ・_・)フル周瑩は沈星移が自分に会いに来ると期待したが、趙白石は恐らく狙いは皇太后と皇帝だと教えた。皇太后と皇帝の暗殺を企てている組織があるが、その組織の中心人物が沈星移だという。「いいか、これは一大事だ、決して感情で動くなよ? 沈星移の情報が入ったらすぐに知らせろ もし両陛下が東院で暗殺されれば、我らや懐先(カイセン)はもちろん、 呉家にいる全ての人間が打ち首になる」すると趙白石は懐先を自分の屋敷に連れて行くと決めた。「にゃん?!」「一緒に行って」「明日、両陛下が発御されたら懐先を返す」周瑩は没落した沈家を訪ねた。しかし荒れ果てた実家に沈星移の姿はない。周瑩は侍女として暮らしていた沈星移の寝殿に入ると、しみじみあれからずい分と遠くへ来てしまったと実感した。その頃、呉家の厨房に野菜を搬入する使用人の姿があった。男は野菜を届けると、こっそり身を隠す。その使用人とは西院の呉沢(ゴタク)だった。その夜、周瑩は胸騒ぎがして眠れなかった。なぜか沈星移が来る気がしてふと戸の前に立ってみたが、その時、使用人になりすました沈星移が本当に入ってくる。2人は固く抱き合い、再会をかみしめた。しかし周瑩はふと冷静になり、暗殺を思いとどまるよう説得する。「星移、革命のために私や自分を顧みずとも、他の人のことは考えて 暗殺は止めないけど、東院では手を下さないで」周瑩は呉家の人間が皆殺しになると心配したが、沈星移は策なら考えてあるという。「君や懐先はもちろん、東院の者にも害は及ばない…」すると突然、沈星移は短刀で周瑩の肩を突き刺し、衝撃を受けた周瑩に口づけした。沈星移は怪我をした周瑩を椅子に座らせ、縄で縛り始めた。これなら暗殺事件が起こっても、周瑩が責められることはない。しかしその時、夜回りしていた趙白石が周瑩の部屋の灯りに気がついた。「周瑩、まだ起きているのか?」「ぁ…もう休むわ、大哥も休んで!」「分かった、では行くよ」一方、時を同じくして、呉沢も西太后を暗殺すべく、東院へ向かっていた。沈星移は周瑩を縛り付け、ついに出て行くことにした。しかし戸を開けると、帳(トバリ)の内側で待ち構えていた趙白石が剣を突きつけ入ってくる。趙白石は先ほど周瑩が懐先のことを何も聞かなかったため、異変を感じたという。「趙白石、戸を閉めろ」すると沈星移は趙白石に銃を向けた。趙白石は仕方なく戸を閉めて剣を捨てた。そこで沈星移は正房まで案内するよう脅したが、趙白石は自分を撃てという。驚いた周瑩は沈星移にあきらめるよう訴えた。趙白石の性分なら自分の命に代えても暗殺を阻止するだろう。周瑩はこれ以上、家族を失いたくないと訴え、このままでは二人とも死んでしまうと嘆いた。「大哥、これは私からの最初で最後のお願いよ、星移を逃してあげて」周瑩の悲痛な叫びに沈星移は銃を下ろし、趙白石も沈星移を逃すと決める。しかし趙白石が戸を開けると、帳の向こうから官兵たちが刺客が現れたと話している声が聞こえた。(#≧ꇴ≦)もぉぉぉ!呉沢ーーーっ💢刺客が別院へ逃げ込んできた。趙白石は自ら刺客と剣を交え、刺客の覆面を外したが、その正体が呉沢だと知る。すると呉沢は趙白石が驚いて手を止めた隙に、周瑩の部屋に逃げ込んだ。趙白石は焦って官兵たちを制止、自分に任せろと叫んで部屋に入る。こうして周瑩の寝殿には奇しくも沈星移と呉沢、そして趙白石が揃うことになった。趙白石は呉沢を突き飛ばし、軽率な行動をとがめた。「呉家の人間が東院で暗殺だと?!」「陛下を救う最後の機会だ、行かせてくれ、皇上が政権を握れば国は救われる」しかしすでに屋敷は官兵が包囲していた。呉沢はもはや殺されるか捕まるかの二択しかない。このまま呉家の人間が刺客として捕まれば一族連座となり、呉家が滅ぼされること必至だ。「もう誰も逃げられぬ」趙白石は最悪の事態を覚悟したが、その時、沈星移が方法があると言った。沈星移は呉沢の覆面を外して自分の顔につけ、呉沢の剣を手にした。そして趙白石に銃を投げ渡すと、いきなり手刀で趙白石の首を突き、意識を失わせる。「星移…行ってはダメよ…」しかし沈星移は何も言わず、いきなり外へ飛び出してしまう。周瑩は呆然としたまま庭から聞こえる剣戟(ケンゲキ)の音や、官兵たちの怒号に胸が痛んだ。やがて外は静かになる。周瑩は沈星移の最期を悟り、ひとり涙に暮れた。翌朝、呉家一族は西太后と光緒帝の見送りに出た。すると皇太后はひざまつく周瑩に気づき、声をかける。「何年、寡婦を貫いた?」「お答えいたします、太后、14年です」「…私は39年だ」西太后は共に女として一族を支えてきた周瑩の苦労に共鳴し、呉家をあとにした。趙白石は呉沢を人知れず呉家から出し、埠頭まで送った。呉沢や呉家数百人の命を救った沈星移、趙白石はそんな沈星移の死を無駄にしないよう、これからは自身を大切にしろと助言する。「お前は?まだこの泥沼の中を漂い続けるのか?」「これからもこの道で踏ん張り続けようと思う」「…行くよ」「元気でな」周瑩は懐先(カイセン)の見送りで上海の埠頭にいた。すると一緒に来ていた趙白石から端郡王・載漪(サイイ)一家が新疆(シンキョウ)へ流刑処分になったと聞く。周瑩はふとあの時、東院でもし皇太后が殺されていたら、懐先をどうしていたのか尋ねた。しかし趙白石はただ懐先を我が子同然に思っているとだけ答える。そこへ懐先が戻ってきた。「にゃん!舅舅!そろそろ乗船します!」周瑩は懐先を船の入り口まで送ったが、複雑な心境だった。「私はこれまで多くの別れを経験してきたの、呉聘(ゴヘイ)、父上、私の父、そしてあの人… 今度はあなたとお別れするのね」「安心してください、僕はまた帰って来ます」「早く帰ってきて」「母上、2年などあっという間です!その時には僕もこの国も変わっているはずです!」こうして懐先は旅立って行った。…周瑩は1869年、陝西三原(センセイサンゲン)県の周家に生まれた…幼い頃から才知と人徳を兼ね備え…17歳で涇陽(ケイヨウ)安呉堡(アンゴホウ)村の呉家に嫁ぎ、呉聘の妻となる…結婚後は夫と義父を相次いで亡くし、幼い養子の懐先を抱え、呉家の商いを一手に担った…周瑩は仁義や信用を重んじ…人材を上手に使う柔軟な経営手腕で呉家東院を比類なき大商家にのし上げる…また学業支援や廟の建築、道路および橋の修繕、造船などに貢献…さらに災民や貧民を救済し、多くの慈善事業を行った…そして1908年、周瑩は40歳でこの世を去り、一品の誥命(コウメイ)夫人に封じられる…周瑩が商売で起こした奇跡や人助けの心…それらは陝西商人の新しい道を切り開く勇気や、信用を守る精神として今日まで伝えられている完( ๑≧ꇴ≦)長かった~!女子学堂の開校で終わりで良かったと思うな〜それにしても上海埠頭が小さ過ぎない?←最後の感想がこれかw
2020.04.21
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星汉灿烂 Love Like the Galaxy 第24話「一世一代の決断」長秋(チョウシュウ)宮で五公主からいきなり罰を受けそうになった程少商(チォンシャオシャン)。すると駱済通(ルオジートン)が現れ、皇帝が程娘子を宴に呼んでいるため遅れてしまうととりなした。おかげで難を逃れた少商だったが、穏やかな皇帝や皇后を思うと五公主がなぜあれほど横暴なのか分からない。実は駱済通は長水校尉・駱住(ルオジュー)の娘で数年前から五公主の伴読だった。五公主は天下平定後に生まれた末娘のため兄姉ほど苦労を知らず、裕福に育ったせいでわがままなのだという。「宮中は掟に厳しい、貴人の噂話はこの辺で…家族にも災いが降りかかるわ」「ご教示ありがとうございます、でも幸い2度と宮中に来ることはありません」駱済通は少商を宴の席に案内して下がった。隣の席にはあの意地悪な王姈(ワンリン)が座っていたが、もはや少商にとって嫌味な王姈を負かすのは朝飯前。すると思いがけず犬猿の仲の五公主と三公主が舌戦になった。少商は手持ち無沙汰で隠し持っていた焼餅(シャオビン)を食べ始めたが、五公主に見つかり、焼瓶の盗み食いとは何事かと叱責されてしまう。これに乗じて王姈は出征した両親が娘を躾けず少商はただの野生児だと蔑み、初めての参内で宮中の掟など知らないと馬鹿にした。しかし少商は怯まず、開き直ってさらに焼瓶を頬張る。「これは瓶ではなく黍(キビ)ナンです、皇帝と皇后が倹約されているのにご存じないと? 確かに公主は驕(オゴ)り高ぶる尊い娘、毎日、宮中に閉じこもっていれば見識も狭くなりましょう(うっ)何だかお腹が痛くなって来た…失礼します」少商は公主をやり込め回廊へ出た。しかし後を追いかけて来た侍女が少商の履き物を取り上げ、放り投げてしまう。少商は相手にするまいと胸を張って堂々と取りに向かったが、侍女がさらに遠くへ投げた。すると前と後ろから現れた侍女がいきなり花瓶を放り投げ、少商の足元は割れた破片だらけになってしまう。その様子を公主たちが笑いながら見ていた。少商は破片を避けて行こうとしたが、突然、背後から侍女に蹴られてしまう。「あっ!」破片の上に顔から落ちていく少商、その時、凌不疑(リンブーイー)が現れ、危ないところで少商を抱き留めた。( ๑≧ꇴ≦)アルソック発動!凌不疑は少商を欄干に座らせ、自ら履き物を履かせた。思わぬ援軍の登場にざわつく公主たち、しかし偶然その様子を見ていた駱済通は心中おだやかでない。実は以前、皇后は駱済通を凌不疑に嫁がせたいと明かしたことがあった。凌不疑は悔しがる公主たちを尻目に少商を自分の横の席に座らせた。三皇子は皇太子のそばに若い娘を座らせるとは何事かと呆れたが、五皇子は愛らしい少商が気に入り、自分の妾にならないかという。「五殿下、ご心配なく、少商にはもう縁談話があります」「子晟(ズーション)偽るな、楼(ルオ)家とは破談になったであろう?」「そうです、つまり私が娶れるようになったのです」(´゚ω゚):;*.’:;.. ブハッ!<凌将軍、落ち着いて…少商は凌将軍の発言に思わず咳き込むと、ちょうどそこへ皇帝が両親や万(ワン)伯父たちを引き連れてやって来る。程始(チォンシー)と蕭元漪(シャオユエンイー)は娘の姿を見つけて仰天、少商も目で父に助けを求めたが、話は意外な方向へ進んだ。凌不疑は席を立っていきなり御前で跪くと、皇帝に嘆願した。「陛下、陛下は私の親代わり、程四娘子へ縁談の申し込みを…」( ゚Д゚)゚Д゚)゚Д゚)ジェットストリームポカーン@程家皇帝は意外にも早い展開に大喜びし、早速、程将軍に縁談を申し込んだ。言葉に詰まる程始、その時、蕭元漪が撤回を求めた。蕭元漪は夫と共に跪くと、若き英雄である凌将軍に娘は不釣り合いだと訴えた。「娘は幼少より躾に欠け、目も当てられません 私の帰還後も学問、練武、どれもだめで、女徳にかけ、口さがない 厳格にしたくとも目上の者に従おうとしません もし娘が他人なら、こんな嫁を程氏は決して迎えないでしょう 程氏の他の娘が陛下のご厚情を賜れば、我らは心から誇りに思います 陛下、少商は好戦的で容赦ありません もし凌将軍に嫁いだら大きな災いを起こし、程氏一家に累を及ぼすやも… 陛下、素晴らしい縁談でも少商にとっては身に余ります」程始はそもそも出征で娘の躾を疎かにした自分たちの責任だと少商をかばったが、蕭元漪は容赦無く娘を貶めた。「凌将軍は娘と出会って日も浅い、娘は聡明そうに見えて口八丁で軽率でもあります」傍観していた三皇子もさすがに驚きを隠せず、思わず口を挟んだ。「子晟に嫁がせまいとこれほど我が子を貶めるとは… 都中の女子が競って子晟に嫁ぎたがるが、程家だけが皇命に逆らってまで拒む 程夫人が悩み抜いたあげくか、子晟を恐れているからか」すると衆人の前で顔を潰された皇帝は憤慨、程始に罰を与えようとしたが、慌てて皇后と凌不疑が止めた。少商はこのままでは家族を巻き込んでしまうと焦った。「陛下、母の言うように私は問題児です、到底、従順な妻にはなれません 凌将軍、あなたは将来、私より何千倍も素敵な妻を娶れるはずです 私は強情で人の話に耳を貸さず、服従もしない、それでも妻にしたいと望みますか?」「もちろん、君にとって私がそんなに立派に見えていたとは…君とて同じ 私にとって程少商はこの都城で最も素晴らしい女子だ」不疑は少商が世間の理想の妻と違っても、自分にとっては誰より勝る女子だと訴えた。「君は純粋で果敢、感情を惜しみなく表し、唯一、自分と肩を並べて歩める女子だ この凌不疑、生涯、他の女子を娶ることはない」すると少商は一世一代の決断を下した。「臣女、厚かましくも凌将軍に応じます!」皇帝はすっかり機嫌を直し、これで誰も2人の縁談を反故にできないと釘を刺した。曲陵(キョクリョウ)侯府へ戻った少商、すると蕭元漪は勝手に縁談を承諾した娘への怒りがふつふつと沸き上がった。しかし少商は楼垚(ロウヤオ)との縁談を壊すため凌将軍を持ち出し、凌将軍が求婚すればまた不満なのかと呆れる。「不満なのは私が選んだ相手?それとも娘の私ですか?」蕭元漪は激高して机を叩いたが、程始が鎮めて代わりに説明した。実は凌不疑の実母・霍君華(フォジュンホワ)は霍翀(フォチョン)の妹として栄華を誇っていたが、哀れな末路を迎えていた。15年前、霍将軍は皇帝が危機の際、孤城で戾(レイ)帝の20万軍を足止めしたという。しかし城門が破られ霍家はほぼ全滅、霍夫人と凌不疑は行方不明になった。城陽(ジョウヨウ)侯は結局、寄宿中の母方の従妹・淳于(チュンユー)氏を後添えに迎えたが、成婚後1年も経たずに霍夫人が凌不疑を連れて戻って来たという。霍家の功績を思えば本来、離縁させるところだが、淳于氏が汝陽(ジョヨウ)王妃と昵懇(ジッコン)のためできなかった。蕭元漪は淳于氏という姑など心配の種の一つに過ぎないと言った。むしろ心配なのは凌不疑本人、楼垚と違って揺るがぬ意志を持ち、決めたことは貫くという。「あなたも強情なのに、頑固者同士で夫婦になれると思う?」確かに城陽侯府は虎穴なのだろう。しかし少商はあの時、他に選択肢などなかったと言った。「阿母は厄介な婿を拒みたいあまり、私を価値がないほどまでに貶めた でも私にも自尊心や誇りがあり、堂々と生きたい …阿母、縁談の相手が堂姉なら今日のように衆人の前で辱めましたか?」「ゥッ…姎姎(ヤンヤン)は心配する必要もない!」蕭元漪は自分でもやり過ぎだったと分かっていたが、娘に煽られやり返してしまう。そこで程始はこれも皇帝を説得するための苦肉の策だったと言い訳した。「いくら傷ついたからと言って意地になって応じるとは…」「意地じゃない、真剣に考えました」少商は例え誰に嫁ごうと母の心配が絶えないのなら、早く嫁いで憂いをなくしたいという。「嫁ぐ相手を間違えたら一生、不幸になるのよ?!」「皇命に背いて一門が没落するより私一人が不幸な方がましです …放置されたことを恨んだこともありました、でも分かったのです、私も孝行娘ではありません だからお互いに負い目はない、私を置き去りにして得た栄華を壊す必要はないわ それでは私が生まれたこと自体、滑稽に思えて来る…」少商の言葉を聞いた蕭元漪は何も言い返せなかった。「自分で決めた縁談に悔いはない、迷惑はかけません」「はお…はお!いいわ、凌不疑に嫁ぎたいなら希望を叶えましょう」つづく(´-ω-。` )おう…少商があまりに不憫で初めて挫折しそうになった…善見が出てこなかったのにwでも原作通り中身がタイムスリップ?した人だと思うと腑に落ちるわ
2023.09.02
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风起霓裳 Weaving a Tale of Love最終話「嫁ぐ日」上元節、庫狄琉璃(コテキルリ)と裴行倹(ハイコウケン)は一緒に過ごせない代わりに手作りの切り絵を交換した。于(ウ)夫人はこれでは自分がまるで2人の仲を引き裂く西王母(セイオウボ)だと苦笑い、そこへ蘇定方(ソテイホウ)がやって来る。「実は守約(シュヤク)と賭けをした、守約が勝てば2人で外出してもいいぞ」蘇定方は琉璃と背格好が同じ侍女を4人ほど集めさせた。そこで琉璃を入れて5人にすっかり同じ白い外套を着せ、仮面をつけさせる。一見すると誰が琉璃か全く分からないが、これが裴行倹との賭けだった。「誰がお前か見抜ければ守約の勝ちだ」すると于夫人は琉璃のかんざしを外し、別の娘の髪に挿してしまう。蘇家は揃って灯籠祭りに出かけた。仮面のせいで美しい夜景が堪能できず落胆する琉璃、その時、舞を披露する一団が一行を取り囲む。その時、蘇定方は琉璃を連れ去ろうとする裴行倹に気づいた。「(はっ)こわっぱめ!」蘇定方は見事な軽功で裴行倹の行く手を阻んだが、仮面を剥ぎ取ってみると裴行倹の従者・阿成(アセイ)だと知る。実は本物の裴行倹はすでに琉璃を連れて姿を消していた。琉璃は裴行倹がなぜかんざしを挿していなくても自分だと見抜けたのか不思議だった。しかし裴行倹はどんな格好をしていようと琉璃の姿はすぐ分かるという。「君に会えない苦痛に耐えて来たが、こうして会うともっと苦しくなる…」「苦しい?苦しいなら耐えなければいいわ」すると裴行倹は琉璃に口づけした。裴行倹は臨海(リンカイ)大長公主が琉璃に屋敷を贈ったことを知っていた。確執があるとは言え河東(カトウ)公府に恩があるのも事実、別に屋敷を買えば盾をつくことになってしまう。何より吏部(リブ)に移動すれば配下の宿舎も必要になり、今の屋敷ではまかなえなかった。「屋敷を買おうと思っていたが手間が省けた、この件は私に任せてくれ」屋敷も決まり婚礼を待つだけとなった琉璃、しかしまだ側仕えの侍女が見つからなかった。そこで顔の広い伯父・安四郎(アンシロウ)に相談する。確かに中眷裴(チュウケンハイ)家の一族と河東公府の難しい関係を思えば如才ない侍女が必要だった。さらに琉璃は洛陽にある裴行倹の資産を密かに調査して欲しいと頼む。一覧を見た安四郎は莫大な資産に驚いたが、洛陽で長年、店を営んでいる琉璃の大叔父に現状を調べてもらうと安心させた。琉璃は実家から嫁ぐため、婚礼の前日に庫狄府に戻った。河東公府に嫁ぐと決まった珊瑚(サンゴ)は媵妾(ヨウショウ)とは言え県令の妻より上だと無視していたが、曹(ソウ)氏が娘の尻を叩く。「大長公主の命があるでしょう?」「(はっ!)そうだった!忘れてた!」庫狄延忠(コテキエンチュウ)は今頃になってやっと珊瑚が裴如琢(ハイジョタク)に嫁ぐと伝えた。琉璃は父が決めれば良いことだとあえて何も言わなかったが、珊瑚には嫁いでも分を守るよう釘を刺しておく。すると曹氏がこれまでの償いとして婚礼祝いに侍女を贈ると言い出した。しかし阿春(アシュン)と阿桃(アトウ)は身なりも身のこなしも上品で明らかにただの奴婢ではない。珊瑚は伯父が探してくれたと嘘をついたが、琉璃はこれが珊瑚に縁談を持ち込んだ大長公主の目的だと分かった。「伯父上が仕込んだ侍女なら琉璃が頂くわけにはいかないわ、珊瑚が連れて行くべきです」その時、安四郎が琉璃を訪ねて来た。明日の婚礼を前に安四郎も琉璃に侍女2人を贈った。焦った珊瑚は反対したが、安四郎になぜだめなのかと怪しまれ、口ごもってしまう。その時、琉璃は侍女が阿霓(アゲイ)と小檀(ショウダン)だと気づいて驚いた。阿霓は如意衣装店の番頭、琉璃は侍女にできないと断ったが、安四郎は阿霓が自ら申し出たと教える。実は阿霓は以前、高陽(コウヨウ)公主の側仕えの宮女として公主府を管理していた。しかし駙馬(フバ)の夜伽を断ったせいで不興を買い、人買いに売られたところを安四郎に救われたという。臨海大長公主は琉璃が自分の間者となる侍女を断ったと聞いて激怒した。崔(サイ)夫人はこれで珊瑚との縁談を破棄できると期待したが、大長公主は琉璃と犬猿の仲なら使い道があるという。「どうやら庫狄琉璃は痛い目に遭いたいようね…」翌日、裴行倹は花嫁を迎えに庫狄府へ向かった。琉璃は皇帝から賜った宝飾品で美しく着飾ったが、最後に母の形見である腕輪と耳飾りをつける。…喜びの日なのに阿母がそばにいないなんて、この心の痛みは言葉にできない…天から見守っていてね、愛する人と出会えて私は幸せよその頃、花婿一行が庫狄府に到着した。しかし花婿が迎えに来ても、慣例によりなかなか花嫁とは会わせてもらえない。まずは花嫁の部屋を探し出し、次に立派な雁(カリ)を贈る。そして美しい詩を詠んで客人たちが認めると、やっと美しい花嫁が姿を現した。裴行倹と琉璃は裴府に入り、拝礼の儀が執り行われた。そこへ宮中から孫徳成(ソントクセイ)と順子(ジュンシ)が駆けつけ、昭儀・武媚娘(ブメイニャン)からの祝辞と祝いの品を届ける。「しっかりやるのだぞ、もう義父も武昭儀もいないのだからな」「ご安心を、琉璃はこの裴行倹が守ります」琉璃は義父に拝礼して感謝を伝えることにしたが、孫徳成はひざまずこうとした琉璃を止めた。琉璃と裴行倹は晴れて夫婦となった。2人は固い絆で結ばれ、永遠に離れることはない。終わり終わった~!・:*+.\(( °ω° ))/.:+/.*・ って…え?!終わってねぇぇぇぇ~!そうです!実は2季があるんです!しかしまだ配信されていない?もしかすると裴行倹が実在の人物だけに検閲でダメだったのかもしれませんねえ~( ゚ェ゚)ま、いいか ←いいのかいw
2023.08.20
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风起霓裳 Weaving a Tale of Love第8話「結納合戦」娘の縁談を壊されたと因縁をつけてきた曹(ソウ)氏。玉児(ギョクジ)こと庫狄琉璃(コテキルリ)は珊瑚(サンゴ)の自業自得だと呆れたが、曹氏は悪態をついた。「お前のような疫病神は命があるだけで感謝すべきよ! 人目を避けて姿を消すべき身で庫狄家の娘をかたるとは何事?!」今や庫狄家は河東(カトウ)公府と都尉(トイ)府の両家から娘を側室にと望まれ、てんやわんやだという。「私も庫狄家の一員だわ、なぜ隠れる必要が? 例え私が死んでいたとしてもあなたたちの罪は消えない 黄泉の国で一家団らんしたいなら世間に聞こえるように騒いだらどう?私は構わない」すると後ろ暗い曹氏は口ごもった。「とにかく続きは奥で話しましょう」偶然にもその場に居合わせた裴行倹(ハイコウケン)はあの絵師が恐らく庶子で、日陰者として育ったのだと推察した。阿霓(アゲイ)は気まずそうに屏風の件なら自分が説得してみると伝えたが、裴行倹は話が終わる頃を見計らって出直すという。曹氏は河東公府と都尉府が縁談を申し込んだ相手が実は琉璃だと知った。世間では庫狄家の娘は珊瑚だけ、それで誤解されたのだろう。「安心して、あなたたちさえ黙っていれば私は素性を明かさないし、迷惑もかけない いずれ長安を離れるの」しかし曹氏は自分たちに尻拭いをさせるつもりかと激怒、役所へ行って琉璃が生きていたと明かすと脅した。琉璃は開き直り、全てを白日の下に晒して曹氏たちも道連れにするという。「私から役人に話すわ、庫狄家が私をかくまう代わりに母の称号を利用したとね! どんな罰を受けるかしら?どう?試してみる?」焦った曹氏は殊勝になった。琉璃は怒り心頭だったが、それでも家族であることは事実、結局、何か手立てを考えると約束する。「でも忠告しておく、私を潰そうなどと思わないことね」曹氏が帰ると再び裴行倹がやって来た。「まだいたの?!」琉璃は思わず声を荒らげたが、裴行倹は意味ありげに笑う。「私に頼み事があるかと思ったが…気が変わったら中眷(チュウケン)裴家の裴宅まで来い、では…」阿霓は目を丸くした。まさかあの男が長安の疫病神と名高い中眷裴家の跡継ぎ・裴行倹だったとは…。すると琉璃は確かに裴行倹は裴如琢(ハイジョタク)と裴炎(ハイエン)の友人だと思い出した。その夜、琉璃は人目を避けて裴宅を訪ねた。しかしいけ好かない裴行倹に頭を下げるのが嫌で、あくまでこれは商談だと言い張る。「2人に縁談をあきらめさせてくれたら屏風をの注文を引き受けるわ」「悪くない、だが…庫狄家の庶子ならなぜ玉の輿に乗って正妻を見返さぬのだ?」( ๑≧ꇴ≦)<私が庶子ですって?!ヒィッ!Σ(°∀° ノ)ノ.oO( 間違ってたぁぁぁ!琉璃は裴行倹が誤解していると気づいたが、素性がバレるのを恐れて否定しなかった。「…私には心に決めた人がいるの、だから誰にも嫁がない」「ますます意味不明だ、なぜその男に嫁がぬのだ?」「(面倒くさ~)それが…好きな人って言うのは宮中で亡くなった従兄なの」琉璃はまさか裴行倹が街で暴走した馬車の一件を全て見ていたとは知らず、嘘をついた。「(´゚ω゚):;*.’:;.. ブハッ!想い人を亡くしたばかりか…申し訳なかった で、従兄はどんな職だった?」「太医院で医官だったわ…あなたに盗られた遺品は従兄の形見よ」琉璃は遺品を今回の交渉には使わず、改めて取り戻すと断言した。裴行倹は同じ裴姓とは言え2人とは深い付き合いがなかった。そこで策は考えるが縁談は自分で断れと言って、小瓶を差し出す。「長安で一番、効く傷薬だ」裴行倹は店を訪れた時、絵師の右手が傷だらけだと気づいていた。すると琉璃は問題が解決したらこの薬を使い、屏風を作り始めるという。「貸し借りはなしよ!」翌日、庫狄延忠(エンチュウ)は助けに来てくれた琉璃を暖かく迎えた。しかし琉璃は曹氏と珊瑚が母の遺品を身につけていると気づき、やはり帰るという。曹氏はやむを得ず耳飾りを外して返したが、珊瑚は悔しまぎれに腕輪を投げ捨て、さらに踏みつけようとした。すると激怒した琉璃が珊瑚を引っ叩き、昨日の宴で珊瑚に手を踏まれたせいで思い切り叩けなかったという。廷忠は珊瑚の振る舞いを知って困惑したが、ともかく号泣する珊瑚を言い含めた。河東公府の仲人と五娘(ゴジョウ)が結納品を持って庫狄宅に到着した。曹氏は琉璃の指示通り、主なら出かけたまま戻っていないと嘘をつく。すると五娘と仲人が縁談を取り合って言い争いに発展、役所で戦うと言い出した。珊瑚は庭に並ぶ結納品を見ているうち断るのが惜しくなったが、琉璃に強引に押し出されてしまう。「…姑姑、裴炎と崔(サイ)氏は本来、仲むつまじく、側室は苦肉の策です 姑姑が苦心して私を嫁がせても崔氏は感謝しません 役所沙汰になって裴炎の前途を妨げでもしたら姑姑の立場は悪くなります 何より仲人様の障りは姑姑よりもずっと深刻です 縁談をまとめられない上、役所沙汰になって河東公府の怒りを買えば、仕事ができなくなるかも」珊瑚は涙ながらに自分のせいで両家を反目させたと詫びた。曹氏も幸薄い娘が嫁げば両家に不幸を招くと嘆き、両家の名誉を傷つけないよう珊瑚に決して両家に嫁ぐことはないと誓わせる。五娘は確かに争いの種になるような娘を娶るわけにいかないと納得、一方、仲人も裴府が捨てた娘などいらないと言って引き上げた。裴宅に屏風の注文を受けたと連絡が来た。裴行倹は絵師が嫁がずに済んだと分かり、思わず笑みがこぼれる。「お喜びのご様子ですね」従者の阿成(アセイ)に見透かされた裴行倹は珍しく動揺し、絵師に嫁がれたら困るからだと取り繕った。皇帝を怒らせてしまった皇太子・李治(リチ)は才人・武媚娘(ブメイニャン)の咸池(カンチ)殿を訪ねた。実は巣に戻した雛が人の匂いがついたせいで結局、親鳥に見捨てられてしまったという。「世話を頼めるか」媚娘は雛を引き取り、皇太子に名前を付けて欲しいと言った。「…宝児(ホウジ)と」すると媚娘はカッコウが卵からかえると他の卵を巣から落として育つ環境を確保すると例え話を聞かせた。李治は親鳥がそれを見過ごすことに驚き、なぜ兄弟を思いやれないのかと憤る。「これが自然の摂理であり、世の中には分け合えないものもあります 太子の座、皇帝の座もそうです…焦ってはなりません、時期に備えるべきです」しかし李治は武才人の忠告を聞かず、謁見を願い出てしまう。卓錦娘(タクキンジョウ)は掖庭を訪ね、守銭奴と揶揄される副総管・潘秦海(ハンシンカイ)に賄を渡して手懐けた。そこで孫徳成(ソントクセイ)を順子(ジュンシ)に会わせないよう頼み、尋問はせず拷問を続けるよう助言する。「数日も経てば師父は頼りにならないと気づくでしょう、そうなれば生きるために白状するはずです」皇帝は皇太子に会おうとしなかった。総管・高全(コウゼン)の話では科挙改革の一件で大勢の反感を買ったせいで、皇太子が酒色に溺れているという讒言まで届いているという。「お力にはなれませぬ、ひとまずお引き取りください…」その時、ちょうど武才人が皇帝の看病へやって来た。追い詰められた皇太子は思わず武才人を呼び止め、再び助言を求める。すると媚娘は逸る血気を抑えられないなら写経でもしてはどうかと言った。「修養を積むと同時に陛下のご安泰も祈願できます、言葉で訴える前に態度で示されるのです」媚娘は誠意を見せれば道が開けるはずだと諭した。掖庭では順子の拷問が続いていた。2日も眠っていない順子は体力の限界に来ていたが、それでも小豆子(トウシ)のことなど知らないとごまかす。…師父、助けてください、もう死にそうです…一方、孫徳成は内侍院で藩副総管を待ち伏せし、順子の解放を訴えた。「順子はまだ子供だ、死で償うほどの罪ではない!」「確かに重罪ではない、悪いのはお前だ、よく考えるのだな、誰を敵に回したのか…」孫徳成は卓錦娘だと気づいた。つづく( ๑≧ꇴ≦)ペイさんだらけでわけわからんw
2023.03.15
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星汉灿烂 Love Like the Galaxy 第22話「天子のやきもき」皇帝に招待され、涂高(トコウ)山の祭典にやって来た程(チォン)家。易占に傾倒する少商(シャオシャン)の双子の兄・少宮(シャオゴン)は喧騒を離れ、独り林の中で妹の縁談を占っていた。「お?嫋嫋(ニャオニャオ)は楼垚(ロウヤオ)以上のご縁に恵まれそうだな」←( ゚д゚)おっ!そこへ突然、道に迷った班嘉(バンジア)が現れる。「すまない!山道はどこか分かるか?」少宮はせっかく並べた卦(ケ)を蹴散らされ、これで良縁がおじゃんだと落胆した。←( ๑≧ꇴ≦)えー!騎射場へやってきた少商は思いがけず楼垚と何昭君(ハージャオジュン)にかち合った。するとここぞとばかりに王姈(ワンリン)と楼縭(ロウリー)が少商たちの隣の席に移動して嫌味を言う。「破談になってもよく顔を出せるわね~」憤慨した楼垚は思わず席を立ったが、冷静な何昭君が制止し、結局、2人は静かに帰って行った。萋萋(チーチー)は少商をかばって王姈と喧嘩になり、2人は騎射で勝負することになった。もはや止める気力もない少商、すると萋萋の席に天敵の袁慎(ユエンシェン)が座る。「平素より得意満面の程娘子(ニャンズー)も意気消沈する日がきたか?」相変わらず嫌味な師匠に少商も視聴者もへき易、相手をする気分ではないと席を立ってしまう。程姎(チォンヤン)は思いがけず想い人と2人になれる好機を得たが、袁慎は少商を追いかけて行った。しかし少商が袁慎を足止めしようと企む。「あ!袁善見(シャンジエン)公子よ!」すると息女たちが一斉に袁公子を取り囲み、袁慎は身動きが取れなくなってしまう。( ತ _ತ) 本当イラつくわ〜w一方、少宮は方向音痴の班嘉を連れて騎射場へ戻ろうとしていた。やがて山道が見えると、ちょうど息女たちに追い回されている袁慎を見かける。班嘉は人が多いと怖いと訴え、息女ならなおさらだとぼやいた。しかし一行の姿が見えなくなると、独りぽつんと取り残されている息女が見える。班嘉が一目惚れしたのは姎姎だった。少商は気晴らしに馬で散策に出かけた。やがて石段を見つけて登ってみると、雁回(ガンカイ)塔という建物にたどり着く。建築に興味がある少商は見事な柱の作りに感激し、そのまま階段を登った。窓から見る景色は壮観、不思議と破談などたわいない事だと思えて来る。しかしその時、最上階から誰かの話し声が聞こえて来た。…何楼両家を縁組させた陛下は楼家に対し後ろめたいゆえ、さらに楼一族に肩入れするだろう…平素より楼太傅が東宮を笠に来て寒門出身の官吏を抑えつけていることも追求せぬ…東宮は無能だ、必ずや廃嫡を働きかけねば少商は思いがけず反太子派の密談を耳にし、慌てて戻ることにした。その時、うっかり腰牌を落とし、音を立ててしまう。「誰だ?!」少商は玉佩をあきらめ、階段を駆け降りた。すると突然、凌不疑(リンブーイー)が現れ、少商を捕まえる。不疑は咄嗟に窓から飛び出し、少商を抱えたまま片手で屋根にぶら下がった。その時、密談者たちが窓を開けて外を確認する。「この辺りから聞こえたはずだが…どこへ消えた?」「下へ行くぞ」ありがとうアルソックw凌不疑と少商は屋根によじ登り、無事に塔の中へ戻った。しかし無理をした不疑は驊(カ)県での古傷を痛めてしまう。少商は密談者の話を聞いていたが、不疑はここへ来たことも全て忘れるよう言い聞かせた。一方、萋萋と王姈の騎射勝負は萋萋の圧勝だった。「王姈、最後を射たところで負けだし、条件を下げてあげる 馬を止まらせたままで的に当ててもいいわ~ふふふ」すると王姈は矢をつがえたかと思うと、突然、萋萋の馬の足元に向かって矢を放ってしまう。驚いた馬は萋萋を乗せたまま暴走、咄嗟に馬にまたがった頌児(ソンアル)が追いついたが、止めることはできなかった。このままでは崖から転落してしまう。頌児は仕方なく萋萋に飛びつき、2人は坂道を転げ落ちた。頌児のおかげで萋萋は無事だったが、萋萋をかばった頌児は足を怪我してしまう。「阿頌!歩けなくなったら私が一生、養うから!」軍営で血を見慣れている萋萋は頌児の怪我を確認しようと衣をめくり上げたが、思いがけず下履きが破れて太ももがあらわになっていた。(; ꒪ω꒪ ;)<ぁ…( ̄▽ ̄;)<無理やり見るからだろう?一生、責任とってくれよ?凌不疑は少商が落とした玉佩を持っていた。「あ、私のです、幼名も刻まれているわ」「…弱弱(ルオルオ)?面白い幼名だな」「ルオルオ?違うわ嫋嫋(ニャオニャオ)よ」実は少商が落とした玉佩は真っ二つに割れ、不疑が拾った玉には女偏がなくなっていた。少商は玉佩を取り返そうとしたが、不疑は自分が預かると言って返してくれない。一方、文(ウェン)帝は騎射場や袁公子の騒動を聞いて憤慨していた。皇后・宣神諳(シュエンシェンアン)は一族の娘である王姈の失態を詫びたが、越(ユエ)妃・越姮(ユエホン)は皇后の責任ではないとかばう。「そもそも大したことではありません、私たちも若い頃は色々ありましたよ?」天幕の外では王将軍、万将軍、程将軍が子供たちと一緒にひざまずいていた。その時、曹(ツァオ)常侍(ジョウジ)が慌てた様子で天幕へ入って行く。「陛下!凌将軍が戻りました!しかも程四娘子と一緒です! 何でも程四娘子を命を賭して助け、古傷が再発したそうです! 程四娘子は涙を流し、凌将軍に命で償うと…」皇帝は子晟(ズーション)がまた程娘子を助けたと聞いて急に機嫌が直った。「そうかそうか…まあ今日の目的は祈祷と娯楽だ、若い頃は行き過ぎてしまうこともある」すると皇帝は嬉しそうに天幕を出ると、なぜか程始(チォンシー)だけ連れて行ってしまう。程始は訳もわからず皇帝に同行し、凌将軍の天幕へやって来た。すると驚いたことに嫋嫋が一緒にいる。不疑と少商は崖から落ちそうになったところを助けてもらったと口裏合わせしていたが、いざ皇帝を前にすると少商は言葉が出なかった。子晟の想い人に興味津々の皇帝、しかし何を聞いても子晟が口を出す。仕方なく皇帝は程父娘に子晟への恩を一瞬たりとも忘れず感謝し、その恩に報いるよう命じて帰した。ウーレイのモフモフ皇帝は子晟を宮中で静養させるつもりだったが断られた。子晟が屋敷で治療したがるのは程娘子が原因だろう。しかし見たところ程娘子は凡庸だった。すると黙って聞いていた越妃は子晟が禁欲過ぎれば心配し、ようやく想い人が現れれば凡庸だと難癖をつけると呆れ、面倒臭くなって皇帝を追い出してしまう。皇帝は仕方なく皇后の天幕を訪ねたが、慎ましやかな皇后は何を聞いても皇帝の決定に従うとしか言わなかった。「朕の苦しい心中を誰が知ろうか…まったくどいつもこいつも役に立たん!」皇帝一行は帰京した。程始と蕭元漪(シャオユエンイー)は凌将軍がまた嫋嫋を助けたと聞いて動揺を隠せない。偶然にしてはあまりに不自然だが、皇帝から恩を忘れぬよう命じられた手前、挨拶に行かねばならなかった。「ここはお前が付き添っては?」「将軍、今でなければいつ父親の出番が?」家塾の講義にも身が入らない少商。やっと退屈な時間が終わって席を立ったが、袁慎に呼び止められ、独りだけ居残りになった。「人としての道理を学びなさい、婚姻を利用し自由を求めるなど、何と浅はかなのか 嫁げれば一族を逃れ、束縛されないとでも?別の者に束縛されるだけだ しかも門閥世家だぞ?楼家の件で何も学ばぬとは… そんなに急いで凌不疑に近づく必要があるのか?!」少商はとんだ言いがかりにふつふつと怒りが込み上げてきた。「誰が婚姻を利用した?いつ凌不疑に近づいたのよ?…あなたどうかしてる」(# ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾<そうだ!どうかしている!すると袁慎はあくまで学のない少商への忠告だと言い訳し、凌不疑から離れるよう説得した。その時、少宮が駆けつけ、父が呼んでいると伝える。「少商、阿父が凌将軍府へお礼に行くから一緒に来るようにって…」袁慎は口惜しさから思わず背を向けた。「両親の命では夫子も阻めないのでは?」「…程娘子は破談の傷が癒え、痛みも忘れたようだ、将来、後悔しないように」少商は激情に駆られ拳を振り上げたが、思い留まって出て行った。o(`ω´ )o<なぜ殴らなかった!殴ってくれたらすっきりしたのに!wつづく
2023.08.26
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星汉灿烂 Love Like the Galaxy 第25話「妻のお披露目」凌不疑(リンブーイー)の母・霍君華(フォジュンホワ)は孤城での凄まじい体験から正気を失い、今も少女時代を生きていた。「もし真相を伝えたら文(ウェン)家阿兄は我らの無念を晴らしてくれるかしら?」不疑は祠堂にいる母に外套をかけ、因果は応報するもの、いずれ画策した者に罰が下ると安心させる。「悪人はまだ世にのさばっている…逃がさないで」「阿母…妻を娶ることにしました」その時、回廊から招かれざる客の声が聞こえた。「子晟(ズーション)、縁談の話を阿父が最後に知るとは…まだ私を恨んでいるのか?」凌不疑が回廊へ出ると父がいた。護衛の梁(リョウ)兄弟が止めるのも聞かず上がり込んだ城陽(ジョウヨウ)侯・凌益(リンイー)は、今日になって夫人・淳于(チュンユー)氏から息子が程(チォン)娘子に求婚したと聞いたという。当然、何の権勢もない曲陵(キョクリョウ)侯の娘など反対、それより家柄も血筋も良い裕昌(ユーチャン)郡主を選ぶべきだと諭した。しかし不疑はとりつく島もなく、けんもほろろに追い返されてしまう。「阿母が言ったはずだ、己の視界の中に入ってくれるなと…お見送りを」その時、突然、母が祠堂から出てきた。すると霍君華は夫の前まで歩いて来たかと思うと、いきなり凌益を引っ叩いてしまう。「何様のつもり?!基盤もない無名の輩が求婚だなんて… 私は霍氏の一人娘、お前など私の履物取りにも値しない!懲らしめてやる!」凌益は興奮した霍君華に何度も殴られ、顔を真っ赤に腫らして帰って行った。その夜、凌不疑は霍家軍伝令官・韓武(ハンウー)を祠堂に案内した。「将軍…参上しました…15年も遅れて…」←見事なジャンピング土下座!韓武は位牌の前で泣き崩れたが、孤城の真相を突き止めることで亡魂の無念を晴らせという若主公の言葉で奮起する。あれから小越(ユエ)侯の麾下(キカ)の軍医を追っていた韓武、実は行方を突き止めていた。その軍医は早々に名を変え、都の郊外にある西(サイ)村で隠居中だという。不疑は配下を一緒に行かせると言ったが、韓武は慎重を期して独りで行くと断った。「3日以内に戻ります、しかし戦況は瞬時に変化するもの 霍将軍は身近な物で隠密裏に伝達させました 例えば枝を4本折り、そのうち1本だけ短ければ危険、長短2本ずつなら無事です」すると韓武はなぜ慌てて孤城の生き残りを探しているのか聞いた。不疑は孤城陥落に裏があると踏んでいたが、実は急ぐのには別の理由があるという。「慕う者ができた、調査から戻れば結納に間に合うだろう」「成婚なさると?…めでたい!将軍もあの世でお喜びでしょう」不疑は許嫁が普通の女子ではないと教えた。「私のように過去に縛られる人間は本来は孤独の身 だがもしこの苦難の道を共に歩める人がいるなら彼女だ…試す価値はある」但倘若一路艰辛里 同行之人是她( ;∀;)やだ、そうだったの〜って…イヤイヤイヤ~何も知らずに試される方の身にもなってよwその頃、蕭元漪(シャオユエンイー)はなかなか寝付けずにいた。すると少商(シャオシャン)が吹く笛の音が聞こえて来る。まさか娘が冷徹な凌将軍より母親である自分を何万倍も恐れていようとは…。親の苦心など子に分かるはずもないが、母娘ともに強情で一歩も引かず、最も人を傷つける物言いを選び、容赦がない。蕭元漪は娘を置き去りにしたことが全ての元凶だと分かっていたが、これも因果応報なのだろう。縁談が決まった以上、あとは娘が凌将軍と仲睦まじく、共に白髪になれるよう祈るしかなかった。( ゚ェ゚)うーん、どうもママンの心情がつかみ切れない言ってることも何となく的外れなような…字幕だと端折られちゃうせいかな~明日はいよいよ楼何(ローハー)両家の成婚、袁慎(ユエンシェン)は一緒に行かないかと母を誘った。すると袁夫人梁(リャン)氏は他家の縁談など興味ないという。「では私の婚姻は?」袁慎は程家のように干渉する親を羨んだ。そこで自ら縁談相手の絵姿を持って来たが、母は息子の婚姻にも無関心、自分で決めろと冷たく突き放されてしまう。( ゚ェ゚)そうか、善見も親が仮面夫婦で屈折してたっけ…ってだからって同情するかゴルァ!w翌朝、凌不疑はまだ寝ていた少商を起こし、楼何両家の成婚の宴に同行させた。久しぶりに顔を合わせた少商と楼垚(ローヤオ)、すると早速、袁慎がからんでくる。「少商も鞍替えが早い、たった数日で新しい相手とは… 怖いもの知らずの程娘子がついに権勢に屈する日が来るとはね〜「あなたには関係ない」すると不疑は少商から袁慎を遠ざけるため、席に案内して欲しいと頼んだ。( ๑≧ꇴ≦)殴ってくれ、頼む!w楼垚は凌将軍と善見(シャンジエン)を男家族の部屋に案内することにした。そこで安成(アンセイ)君・何昭君(ハージャオジュン)が少商を女家族の宴席に連れて行くことにしたが、少し話がしたいと回廊を遠回りする。「阿垚を返してくれたこと、感謝しているわ」かつては横暴でわがままだった何昭君、しかし馮翊(ヒョウヨク)郡での壮絶な体験で人を見る目もすっかり変わったという。「今なら分かる、男は性根が良く温厚な人がいい、あなたも…多少は誠実ね」「分かればいいの…今や阿垚は私の兄長、虐げたら許さないから」「私にとって弟を除けば阿垚だけが家族、うまくやっていける、あなたと凌不疑もね」すると何昭君は喪中のため宴席には顔を出せないと断り、そこで引き返した。一方、凌不疑は何かと突っかかる袁慎を警戒した。「今後、程家の家塾は私に任せよ、もし暇で仕方がないなら仕官に推薦しよう」「必要ない、すでに恩師・皇甫儀(ホワンフーイー)が推薦してくれた」/(^o^)\オワター!凌不疑と袁慎はこれから朝堂で顔を合わせることになった。不疑は少商との成婚には祝い酒を飲んで欲しいと優位に立ったが、袁慎は少商と楼垚が破談したことを持ち出し、成婚するまで何があるか分からないと牽制する。「袁公子は程氏で師を務め、今度は私と少商の縁談を聞きつけた… まさか私の妻に邪(ヨコシマ)な思いがあるのではあるまいな?」「ふっ、程少商に男女の情など分からぬ、計算ずくなだけ 私は婚姻に打算的な者が一番嫌いだ、程少商には何の私情もない」「と言うことは標的は私だけか?」「見てみたいだけだ、腹に一物ある女を好む男がどんな末路を辿るか…」「私と少商の心は一つ、末長く添い遂げる 袁公子のごとく狭量で口さがない者にそんな日は訪れまい」「凌将軍、私は文官、あなたより長生きだ、本当に添い遂げられるとでも?」一触即発の様相となる不疑と袁慎、そこで楼垚が割って入り話を止めた。(  ̄꒳ ̄)ここで一服の清涼剤少商は宴席に到着、万萋萋(ワンチーチー)や程姎(チォンヤン)と合流した。すると早速、王姈(ワンリン)と楼縭(ロウリー)が次の縁談が決まった少商を中傷、言い争いになってしまう。破談にしたそばから婚約なんて…>(*´・ω・)(・ω・`*)ネー( ತ _ತ)<お前は皇帝から賜った縁談を断れんのかバカ!一方、凌不疑は楼犇(ロウベン)と再会、改めて仕官を勧めた。しかし楼太傅が聞きつけ、楼垚が何昭君を娶れたことが皇帝の一番の恩寵だと圧力をかける。楼犇も伯父に反発できず、仕官は望んでいないと断るしかなかった。そこへ王延姫(ワンイエンジー)がやって来る。「阿延?なぜ男客の席へ?」「程四娘子に頼まれたの、凌将軍の馬車に外套を忘れたと…」不疑は大公子夫人の目配せで少商に助けが必要だと気づいた。王姈は萋萋から凌不疑に相手にもされないと馬鹿にされ、思わず少商を女狐と蔑んだ。その時、宴の席に突然、黒甲衛(コクコウエイ)が現れ、騒然となる。すると向かいの男客の宴席から凌不疑が出て来た。「恥を知り礼儀を知るは何か教えてやろう」男の客人たちは凌将軍に守られる程娘子は幸運だと噂した。しかしそれを聞いた袁慎は急に不機嫌になり、わざと料理をひっくり返して客人の衣を汚してしまう。(  ̄꒳ ̄)ホント、器の小さいヤツw凌不疑は男女の宴席を隔てる衝立を倒し、少商を女狐と呼んだ王姈を非難した。「そう言えば先月、五皇子に2人の美女を贈られてな 君の兄長王が羨んでいたため譲ったが、数日後、君の阿父が2人を受け取ったと聞いたよ 狐媚風情と言うならこの2人に使うべきでは? 私の妻を貶めようとする前に考えたらどうだ?その2人を阿嫂と呼ぶのか、阿母と呼ぶのか…」王姈は家族の恥を晒され笑い者になった。しかし少商は黙ったまま視線を落とし、不疑と目を合わせようとしない。そこで不疑は少商の杯を持ち、堂々と妻を紹介した。「私と程娘子の婚約の件は聞き及びのはず、成婚の暁にはどうか各位の来臨を賜りたい」( ๑≧ꇴ≦)アルソックの圧が強いのよwwwつづく
2023.09.08
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星汉灿烂 Love Like the Galaxy 第26話「縁談ぶち壊しのすゝめ」楼何(ローハー)両家の成婚の宴。凌不疑(リンブーイー)は掟を破って女家族の宴席に乗り込み、あらぬ中傷を受ける許嫁・程少商(チォンシャオシャン)を守った。凌将軍の権勢におののいて口をつぐむ招待客たち、そんな中、袁慎(ユエンシェン)だけは独り歯ぎしりしている。しかし少商もまた何とも言いようのない苛立ちを感じていた。帰りの馬車の中、凌不疑は浮かない顔をして押し黙っている少商を訝しんだ。「なぜ黙っている?」「…今日、権勢とは何かを見たわ」少商は何を言ってもしつこく絡んでくる令嬢たちに手を焼いていたが、凌将軍は一瞥をくれるだけで容易に黙らせることができた。「権勢は嫌いか?」「だってあなたの権勢だわ」「夫婦は一心同体、成婚後、私のものは君のものだ、それが悪いと?」確かに悪いとは言わないが、そんな風に夫に従い生きて行くなら、もはやそれは程少商ではない。少商は気を紛らせるため焼餅(シャオビン)を出して食べようとした。しかし不疑が腕をつかんで止める。「もう遅い、就寝前に食べるともたれる」少商は正論でねじ伏せる不疑に反感を抱き、例え自分のためであっても束縛されるのが一番嫌いだと訴えた。そこで焼餅を持ち替えて食べようとしたが、不疑が再び腕をつかんで制し、身体に悪いと知りながらなぜ食べるのか教えて欲しいという。「全てに理由があるわけじゃない、あなたが求婚したのも同じ、その理由は何?」不疑が言葉に詰まると、護衛の梁邱起(リャンチゥチー)が車に声をかけた。「若主公、西(サイ)村から急報です」不疑はそこで車を降りたが、少商は結局、焼餅を食べる気分ではなくなった。西村へ向かった韓武(ハンウー)が約束の3日を過ぎても戻らなかった。梁邱起が調査したところ、不審者の痕跡があったという。凌不疑はその足で西村へ行くことにしたが、明日は程家で聘礼(ヘイレイ)だった。「…私に考えがある」今日は凌家と程家の聘礼の儀。程老夫人董(ドン)氏は早朝から中庭を片付け、凌家から届く聘礼品を楽しみに待っていた。すると凌家から城陽(ジョウヨウ)侯夫人淳于(チュンユー)氏の体調が悪いため訪問できないと知らせが届く。ガーン!(꒪ꇴ꒪〣)<オワタ…せっかく決まった縁談がまた壊れるかも…私の聘礼品ががが…しかし老夫人の落胆を他所に蕭元漪(シャオユエンイー)は淳于氏の仮病だと気づいていた。案の定、その頃、淳于氏は汝陽(ジョヨウ)王府で子晟(ズーション)の縁談をいかに壊すか浅知恵を絞っていた。裕昌(ユーチャン)郡主は勅命では断りようがないと落胆したが、汝陽王妃は孫のため皇帝に直談判すると意気込む。すると侍女がやって来た。何でも凌不疑は自分に父がいないと称して皇帝に婚儀の進行を嘆願、皇帝も応じたという。「老王が礼官として明日、聘礼品を届けるとか…」( ゚Д゚)゚Д゚)゚Д゚)<何だって!汝陽王妃はよりによって夫が礼官として程家に行くと知り激怒した。「あなたと山に入り、田を耕してどれだけ苦労したか…私なくして夫と陛下を養えたと?! 朝臣も農民上がりの頃から知っています! 陛下とて私が米一口、水一口惜しんで立派に育てたのよ! 文(ウェン)家の男どもは良心もないのね!」悍婦(カンプ)に罵られ、孫娘からは出家すると脅され、汝陽王はやむなく縁談を壊すと安請け合いした。翌日、曲陵(キョクリョウ)侯府に城陽王がやって来た。婚姻に不満が募る少商は蓮房(リエンファン)を手伝いに行かせて大工仕事で鬱憤を晴らしていたが、そこへ汝陽王が現れる。汝陽王はまさか座卓を力任せに壊しているのが女公子だとは思わず、程少商がどこにいるのか聞いた。「孫娘は昨夜、夫を奪われ泣き腫らしておった、なぜ玉の輿に乗りたがるのか聞きたくてな」「誰もが凌不疑に嫁ぐのは玉の輿だと言う、でも私はこんな不公平な婚姻、惜しくもないわ!」実はその粗暴な娘が程少商だった。程少商は驚いたことに都中の女子が慕う子晟との縁談を自ら壊そうとしていた。何でも最初から不公平な婚姻で、平等に尊重し合えないのなら独りの方がましだという。そこで汝陽王は必ずしも平等とは限らないと諭した。「私と女房は成婚して50年だが少しも話が合わん、互いに敬いも尊重もせずだ ただ長年の修行で悟った、無為に争わぬ道を追究せよと…ゆえに耐えるしかない」「王爺、離縁できないのを修行のせいにしませんように 明らかに権勢が怖いだけでは?陛下のご不興を買うと…」「そなたこそ、不公平な婚姻だと思うなら、なぜ断らぬ?」「ゥッ…私も怖いのです、権勢が…(はっ!) 王爺?!郡主を助けたいなら聘礼品を全部、持ち帰っては? 婚姻はぶち壊しになり、どちらも満足です」しかし汝陽王は自分をそそのかして破談にさせようとしても無駄だと笑った。「私も子晟の成長を見て来た、婚姻を是非、実現させてやりたい」こうして汝陽王は無事に聘礼品を届け、皇宮へ報告に向かった。(; ゚ェ゚)<…まだ耄碌(モウロク)してないわ(ボソッ汝陽王妃は縁談を壊さなかった夫に激怒した。しかし少商の話を聞いて吹っ切れたのか、汝陽王はこれから自分のために生きたいと願い、離縁するという。もはや祖母の脅しさえ効かなくなったと知った裕昌は御前で首を吊ると言い出した。これに汝陽王は激高、始めて孫娘に手を挙げてしまう。「バカもん!両親が早世し哀れに思って甘やかして来たが、不満がある度に死ぬと騒ぐとは… 自分を大切にしなければ夫に尊重されるわけがない! 凌不疑のことはあきらめよ、程少商とは雲泥の差だ、勝てぬ!」思わぬ夫の反乱に汝陽王妃は呆然となった。そこで夫に殴りかかりながら、皇帝に恩を思い出させてやるとわめき散らす。「もうたくさんだ!何かにつけ一口、食わせて救ったと言うが、天地は知っているぞ? あれは腐っだ飯、お前も食わぬ飯だった! それと引き換えに十余年の栄華を得たなら元は取れたであろう?」すると汝陽王は裕昌に別の相手に嫁ぐか出家するか、自分で選べと言い放った。一方、西村に到着した凌不疑たちは依然、韓武の消息をつかめずにいた。しかし軍医の屋敷の周りには足跡どころか馬蹄の跡もない。不疑は短時間で跡形もなく片付けられるのは軍だと気づき、韓武が残した手がかりを探すことにした。その時、やけに土が柔らかい場所を見つける。「掘れ…」すると土に埋められた包みを発見、中から折れた枝が出て来た。「長短2本ずつ…つまり韓武は無事だ」不疑は追っ手に気づいた韓武が合図を残して逃げたと知り、安堵して急いで都へ引き返すことにした。「聘礼に伺えなかった詫びに行かねば…」「若主公…その殺気では詫びというより断罪に行くような…」梁邱起が申し訳なさそうに指摘すると、梁邱飛(リャンチゥフェイ)も思わず頷いてしまう。「もっと笑ってみては?」「…お前、笑い話はあるか?」翌朝、程家の食卓はどこか殺伐としていた。程頌児(チォンソンアル)と程少宮(チォンシャオゴン)は聘礼に凌不疑が来なかったせいで嫋嫋(ニャオニャオ)の機嫌が悪いと誤解している。「私のことなんてどうせ二の次よ、だから阿母は破談を口にもしなくなった ねえ、権勢がどんなものか分かる?!知らないでしょう?!」少商は今さら母に八つ当たりし、兄たちに噛みついた。驚いた程姎(チォンヤン)は伯母なら心配で眠れず食欲もないとかばったが、蕭元漪は話を止めただけでいつもの勢いはない。その時、突然、屋敷が黒甲衛(コクコウエイ)に包囲された。程家の食卓に凌不疑が現れた。その迫力に度肝を抜かれる程家の面々、すると不疑は軍務で聘礼に間に合わなかったと謝罪する。蕭元漪は青蓯(チンツォン)に九騅(キュウスイ)堂を片付けて凌将軍の食事を用意するよう命じたが、不疑はここで一緒に食べると座った。(  ̄꒳ ̄)<皆さん、どうぞ堅苦しくならず、子晟、こう見えて気さくなんです( ゚Д゚)゚Д゚)゚Д゚)ぉおうすると不疑は早速、阿飛から教えてもらった笑い話を披露した。全く面白くない上、落ちがない話、仕方なく少宮が切り出してみる。「で最後、舟に乗っていた書生はどうなったのです?」「もちろん溺死しました、わっはははは!」しかし笑ったのは不疑と梁邱飛だけだった。その時、唯一、凌不疑を恐れない強者が現れる。「アイヨー!あなたが凌家の郎君?!眉も目も鼻も口もやっぱり際立ってるわ~」老夫人は馴れ馴れしく不疑の隣に座って上機嫌、少商は目も当てられず、そっぽを向いた。「程老夫人はさすが叡智(エイチ)があります」「そう!そのエイチ~!ぶっははははは~♪」(・Д・)<…って何それ?美味しいの?少商は父や兄たちと買い物に出かけ、沢山の荷物を抱えて屋敷に戻った。すると突然、正門で門衛に止められ、包みを確認するという。困惑する少商たち、そこへ凌不疑が現れた。「少商と婚約したからには程家は私の家族です これからは私の親衛が毎日、出入りを調べて安全を守ります(キリッ!」つづく( ๑≧ꇴ≦)VIPアルソック!見ているこっちまで息苦しくなって来たわ…やっぱりルースー上手いね~
2023.09.09
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月升沧海 Love Like the Galaxy(第26話)第53話「長秋からの旅立ち」霍不疑(フォブーイー)に嫁ぎたいと願うも手酷く追い返された駱済通(ルオジートン)。これも全て程少商(チォンシャオシャン)のせいだと逆恨みし、長秋(チョウシュウ)宮に少商を訪ねた。少商は殊勝にも先のぶしつけな態度を謝罪する駱済通を追い返せなかったが、どちらにしても助けることはできない。「彼とはもう関わりたくないし、とりなす気もない、成婚を勧めることもね…あなたの問題よ」「今日はあなたに伝えに来ただけ、北西に戻って余生を過ごすわ、これで永遠にお別れよ 明日にも出発する、ただやり残したことがあるの…」宣神諳(シュエンシェンアン)の心疾(シンツウ)は悪化の一途をたどり、今朝は身体を起こすこともできなくなった。そんな宣神諳の元に帰京した霍不疑が見舞いにやって来る。「子晟(ズーション)なの?」「私です」不疑は宣皇后が力無く伸ばした手を取り、頬に当てた。「少商ならまだ婚約していない…少商の心の中にはまだあなたがいるわ」「知っています、私の過ちです、一生かけて贖罪すると決めました」その時、宣皇后が重い身体をどうにか起こした。「少商は幼き頃、最も愛が必要な時に家族がそばにいなかった 愛しているなら少商の心に欠けたものを補ってあげて… あなたの決断を理解させるのではなく、相談し合って初めて肩を並べて進めるのよ?」「はい、今後、少商には全てを明かし、語り尽くします、隠し事はしません」「だけどもう私には時間がない、2人の成婚を見届けられないわ」「私は不肖者です…ご心配をかけて…」不疑は育ての親でもある宣皇后への不孝を思うと涙があふれ出した。すると宣神諳は子晟の涙を拭い、来世では子晟と少商を息子と娘にしたいという。「そして長生きして2人に養ってもらいながら笑顔で晩年を送るの これこそ満ち足りた人生というものよ」そこへ翟(ジャイ)媪(ウバ)が現れた。「霍将軍に急務だと…」宣神諳は最後に少商としっかり話すよう念を押し、必ず許してくれると励ました。不疑が寝殿を出ると翟媪が待っていた。梁邱起(リャンチゥチー)から知らせがあり、少商が都を離れる駱済通の馬車に同乗して郊外に向かったという。実は駱済通は宣皇后の心疾を治せる神医に心当たりがあると嘘をつき、少商を連れ出していた。少商はなかなか到着しないことを訝しんでいたが、やがて駱済通が本性を現す。「…幼き頃より彼を慕うも身分の差で明かす勇気はなかった その後、互いに婚約して望みは絶えた、でも天は私を哀れみ北西で再会させてくれたの あなたに分かる?愛する人がいながら別の人を世話する気持ちが…」駱済通は不疑への思いの丈をぶちまけると、少商に隠し持っていた短剣を突きつけた。「彼は女に目もくれないのにあなただけは別、なぜ霍不疑の目にはあなたしか映らないの?! 彼のためなら何だってやる、夫だって殺したのよ?でも彼は私を愛してくれない でもあなたを殺せば彼は私を忘れられなくなる、恨まれても本望よ」御者は崖に向かって馬を走らせた。しかし背後から凌不疑の馬が追いつき、驚いた御者は飛び降りてしまう。その時、短剣を振り上げる駱済通の姿が窓から見えた。不疑は無我夢中で手を伸ばし、素手で短剣をつかんで取り上げる。その間も馬の暴走は止まらなかった。不疑は何とか馬車に飛び移ったものの間に合わず、咄嗟に車から少商を抱きかかえ脱出、駱済通は馬車と共に谷底へ転落してしまう。( ;∀;)ァァァ~ウマーの扱いィィィィィ~不疑は少商の手をつかみ、かろうじて岩肌にしがみついた。しかし少商は不疑の手から流れる鮮血で真っ赤になった自分の手に気づき、覚悟を決める。「手を放して、あなた独りなら登ることができる」少商は自ら手を放したが、不疑は少商の手を握りしめて決して放さなかった。「独りで生きるつもりはない、君に許してもらえるとも思っていない だが歯形の誓いから君は私の妻になった、君が生きれば私も生きる、君が死ぬなら私も死ぬ!」その時、2人を探していた黒甲衛(コクコウエイ)が到着、不疑と少商は無事に引き上げられた。少商は不疑の手の傷を心配してくれた。不疑は包帯を巻けば支障はないと安心させ、皇宮まで送りたいと申し出る。しかし少商は必要ないと断った。落胆しながら馬の元へ歩き出した不疑、その時、宮中から早馬が駆けつける。「霍将軍!程娘子!すぐ皇宮へ!宣皇后が危篤です!」少商と不疑が長秋宮に戻る頃には激しい雨となった。2人はびしょ濡れのまま寝殿に駆けつけ、一番後ろで静かにひざまずく。文(ウェン)帝は枕元で付き添いながら、自分が宣神諳の一生を台無しにしたと涙した。しかし宣神諳は皇帝と出会えて幸せだったという。「分かっています…阿姮(ホン)妹妹が流した涙が私より多いことを… これからは彼女と手を取り合い暮らして欲しい…私という存在がなかった頃のように… 陛下、阿姮と話をさせてください」越姮(ユエホン)は宣氏一族のことなら心配ないと安心させた。しかし宣神諳が話したいのは自分たちのことだという。「我が子は19歳の時に襲われたけれど、あなたを疑ったことはないわ」「分かっています…あの年、私の息子も4ヶ月で夭折しました でも疑ったことはありませんでした」「分かってる、決して私を疑わないから外の流言も恐れることなく子供たちを受け入れてくれた」「…私たちは姉妹同然でした」「普通の家の姉妹だったらどれだけ良かったか…」すると宣神諳は子供たちを呼ぶよう頼んだ。皇帝は宣神諳を抱き起こして子供たちの顔を見せた。すると宣神諳は最後の望みとして父が隠居した山で眠りたいという。「この身体は皇陵に葬るしかない…だからお願いです 私の髪を一束ほど切って少商に燃やさせてください、その灰を埋めて欲しい」「分かった、全て望みのままにしよう」そして東海(トウカイ)王には闊達に生きるよう諭し、翟媪の面倒を頼んだ。嫁いだ五公主にはしっかり生きて欲しいと願い、美しい歳月を大切にして欲しいという。「子晟…」不疑は宣皇后に負い目があった。しかし宣神諳は子晟も苦汁をなめて生きて来たと理解を示す。「私が逝った後は過去のことは水に流すといいわ…あなたも自分を許してあげて… 少商、ここへ…」少商は寝台へ近づくと、宣皇后の手を握りしめた。「少商、あなたを巻き添えにし、5年も無駄にさせたわ…」「巻き添えなんて…少商が望んだのです、5年でも10年でも…」「バカな子ね…私のために多くを犠牲にしてしまった だから将来の日々は自分のために生きなさい…私のように無意味な余生を送らないで欲しい 母としてはあなたたち2人の縁がそのまま続いて欲しい… ただ情理を知る目上の者としては婚姻が強引に求められないことも分かる だから万事、心に従えとしか忠告はできない…今を大切にして悔いなきように…」すると宣神諳は苦しくなったのか大きく息を吸い込んだ。「陛下…来世では太平な盛世に生まれ、放浪の苦を免れますように… 来世では両親が健康で長生きして憂患の苦を免れますように…ハァ… あなた…あなたに嫁げて幸せでした… でもどうか来世では…あなたと会うこともないように…」宣神諳は夫婦の情を得られぬまま不遇の人生を終えた。悲しみに包まれる長秋宮、その頃、心の支えを失った少商は呆然と宮中を歩いていた。やがて憔悴した少商は激しい雨の中で倒れてしまう。不疑は意識を失った少商を曲陵(キョクリョウ)侯府へ送り届けた。突然のことに困惑する程始(チォンシー)と蕭元漪(シャオユエンイー)、聞けば宣皇后が逝去したという。「…私は送って来ただけ、すぐ失礼します」「霍不疑、待たんか!」程始は娘を簡単に捨てた霍将軍への怒りが爆発、5年前に娘は死にかけたと明かした。今でも裏庭の離れには作りかけの棺が残っているという。不疑は思わずその場にひざまずき、少商を傷つけたことを謝罪した。「ゆえに2度と邪魔はしません…」しかしどんなに謝られても失った5年間は戻ってこない。蕭元漪は長秋宮にこもっていた嫋嫋を思うと胸が痛んだ。「私が重病を患った時も、阿兄が妻を娶る時も、堂姉が嫁ぐ時にさえあの子は帰らなかった 嫋嫋の選択はあなたのためよ、霍不疑!」不疑は床に頭を打ちつけるように叩頭した。「私の過ちです、少商の一途な情を裏切り、程家の信頼を裏切った 少商と程家には負い目があります、その償いは一生かけても終わらない 北西で戦死できればと思っていたが死ぬ勇気もなく、彼女の恨みも消せず… 私には死ぬ資格さえない」しかし蕭元漪も決して霍将軍に自責の念を植え付けたいわけではないという。そもそも自分たちにも娘が幼い頃に構ってやれなかった苦い経験があった。「今後は嫋嫋の望み通りにさせるわ あなたと娘は互いに情があっても天に翻弄されてしまった 今後も縁が続くかどうかはいずれ答えが出る」つづく( ;∀;)宣皇后…泣けたわ〜
2023.12.22
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风起陇西(ふうきろうせい)第十五計「東に声して西を撃つ」高堂秉(コウドウヘイ)は古澗(コカン)渓へ到着、約束通り樟(クスノキ)で連弩(レンド)の設計図を見つけた。しかし筒の中は空っぽ、その時、突然、男が現れ、右胸を刺されてしまう。「設計図は私の手にある…やっと会えたな」「ゥ…あなたは?」「白帝(ハクテイ)だ…お前には生き地獄を味わってもらう」陳恭(チンキョウ)は手始めに傷口に指をねじ込むと、高堂秉は激痛のあまり悲鳴を上げた。馮膺(フウヨウ)はようやく司聞曹(シブンソウ)へ戻った。すると門の前で待っていた陰輯(インシュウ)が連弩の設計図が奪われたと報告する。しかも荀詡(ジュンク)が自分の官印がある通行証を手に軍技司(グンギシ)に忍び込み、譙峻(ショウシュン)校尉に捕まっていた。驚いた馮膺は荀詡の引き渡しを頼むため急ぎ照会状を書くことにしたが、役所で予想外の人物と再会する。「白帝?!」「曹掾(ソウエン)…設計図は私が」一方、定軍(テイグン)山では荀詡が拷問を受けていた。孫令(ソンレイ)は直ちに荀詡を司聞曹へ戻すよう掛け合ったが、自分の命が掛かっている譙峻が認めない。そこへ馮膺たちが到着したと報告が来た。譙峻は馮膺の頼みでも荀詡を解放するつもりはなかった。しかし思いがけず設計図が戻って来る。馮膺の話では曹魏(ソウギ)の間諜・燭龍が軍の指揮系統に潜入、荀詡たちのおかげで捕まえたという。こうして荀詡は解放されることになったが、なぜかなかなか牢から現れなかった。痺れを切らした陳恭は強引に中へ入ると、血まみれになった荀詡が倒れている。「おい!起きろ!燭龍を捕まえたぞ!」「…良かった…お前が戻るまで耐えられないかと…」すると荀詡は再び意識を失った。陳恭と荀詡は街亭(ガイテイ)の真相を明らかにするため一計を案じていた。そこで陳恭は青萍(セイヒョウ)計画の実行役として五仙道に潜入、設計図を受け取りに来た燭龍を捕らえたという。すると高堂秉の屋敷から複製した白帝専用の木版が見つかった。馮膺は入手経路を聞いたが高堂秉は依然、口を割らず、何でも荀詡でなければ証言しないという。しかし荀詡は動くこともままならなかった。胸を痛めた馮膺は孫令から荀詡の偽造した通行証の扱いを聞かれたが、自分が渡したことにする。「燃やしてくれ」陳恭は荀詡の家を訪ねた。するとちょうど裴緒(ハイショ)が華佗(カダ)唯一の後継者である華医者を見送りに出て来る。裴緒は荀詡の意識が戻ったと報告したが、医者は全快するかは運次第だと言って帰った。実は荀詡は拷問で経路が傷つくほど足を打たれており、ゆっくり歩けるまでには戻れるという。陳恭の顔を見た荀詡は笑顔になった。それにしても陳恭の次に親しかった高堂秉が燭龍だったとは、人間とは分からないものだと嘆く。「お前が尋問に来るまでしゃべらないと言っている」「混乱している、考えを整理しないと…ところで曹掾から官職の褒美は?」「何も…祝宴を開く話も断った」陳恭はそれより気がかりを片付けたいと言ったが、これ以上、荀詡に打撃を与えるわけにいかない。しかし荀詡は陳恭にとってもっとの気がかりなのは翟悦(テキエツ)だと分かった。「まさか…悦児の身に何か?」「…ああ」「なぜ露見した?!」「お前と会っているのを高堂秉が見ていた、あいつが五仙道に警告したんだ」荀詡はたった1人の親族を、しかも自分のせいで失ったと聞いて全身を震わせながら泣いた。「お前は悪くない…迎えに行って来る、必ず会わせてやるから、まず身体を治せ」。゚(∩ω∩`)゚。狐忠(コチュウ)は李厳(リゲン)に白帝が街亭の事案の真相を暴いたと報告していた。幼い頃に両親を失った陳恭を引き取り、親代わりでもあった李厳は内弟子の功績に鼻が高い。かつて皇帝に陳恭を推挙しようとしたが、陳恭は退屈な役人が嫌で書き置きを残し、姿を消していた。まさかよりによって司聞曹に入って曹魏に潜入していたとは思いもよらず、何年も連絡がなかったのも頷ける。一方、庶民に降格となった楊儀(ヨウギ)は丞相の言い付け通り読書に明け暮れていた。しかし何とも落ち着かず、身が入らない。すると諸葛亮(ショカツリョウ)が現れ、燭龍の件が解決したと教えた。「白帝は裏切っていなかった、荀詡と協力して燭龍を捕らえたそうだ 捕まったのは高堂秉、白帝の情報をすり替えていた、証拠もある」「そんな簡単に解決する事案でしょうか?」楊儀は長年、競ってきた曹魏の諜報は慎重かつ智謀に富むため、まだ何か裏があると疑った。荀詡は翟悦が命を懸けて手に入れた情報を解読した。五仙道と燭龍が交わしていた暗号文は軍技司が夜回りで使う合言葉の番号だったという。曹掾の決める変更順を通達するのは軍謀司、裴緒はやはり高堂秉に間違いないと言った。「高堂秉に…会いたい…」李厳は陳恭の生還を知り感慨深かった。実は陳恭の父・陳黻(チンフツ)は資中(シチュウ)県での謀反で李厳の影武者となって李厳を成都に逃し、戦死している。「あれから10年、今でも悔やまれてならない」しかし陳恭は父が国に殉じたということ以外、詳しいことは知らないはずだった。その日、南鄭は激しい雨になった。陳恭は翟悦の亡骸と一緒に城門に到着、すると松葉杖をついた荀詡が表妹を出迎える。その様子を密かに柳瑩(リュウエイ)が見ていた。陳恭と荀詡は見晴らしの良い山に翟悦を埋葬し、屋敷に戻って位牌を置いた。すると陳恭は翟悦がくれた宝剣を見せ、いきなり自分の左手の小指を切り落としてしまう。驚いた荀詡と裴緒は慌てて陳恭の指を止血した。「この剣で黄預(コウヨ)を殺し、この指を一緒に埋葬する…」間諜が迎える最期などろくでもないと割り切っていたが、まさか己の手で愛する妻を送ることになるとは思いもよらなかった。荀詡はまだ高堂秉に会っていなかった。頭が切れる高堂秉から証言を引き出すには準備がいるという。すると荀詡は陳恭に黒幕がいると言い出した。「谷正(コクセイ)を覚えているか?燭龍が陰輯だったなら納得がいく、しかし高堂秉とは…」谷正と接点があるのは司聞司、軍謀司の高堂秉が谷正を知るはずもなく、谷正も軍謀司の司令を受けるはずがない。「陰輯も仲間だと?」「いいや…馮曹掾だ」しかし陳恭は馮膺が曹魏の間諜なら自分と翟悦の正体はとうに暴かれていたはずだと否定した。荀詡も当初は疑っていなかったが、疑念が湧いたのは李厳に近づいてからだという。「燭龍の正体を知っていた上で謀略のために泳がせたのかも…」「つまり曹掾は間諜ではないが、間諜を使って曹魏と取り引きしたと?」「そうだ、証拠はある」五仙道からの押収品を見た荀詡は黄預を平南将軍に封じる書状を書いたのは誰か聞いた。陳恭は郭淮(カクワイ)が起草し、曹叡(ソウエイ)自ら署名したと教える。「やはりな、去年、郭淮の字を曹掾の机の上で見た」荀詡は以前、馮膺に陽平閣からの検問依頼書を届けた時、床に落ちていた文を拾って机に戻したことがあった。「白帝の木版を高堂秉が持っていた、分かりやすい証拠が出ればそちらに目が向く これで馮曹掾の思うままだ」野心のある馮膺が権力を得るため曹魏と結託したと疑う荀詡、一方、陳恭は指が痛むのか落ち着きがなく苛立っていた。「確かな証拠が見つかるまで、今の話は誰にもするな」つづく(  ̄꒳ ̄)おう?まだ折り返し地点で燭龍の敗北宣言ですかこれはやはり・・・
2022.11.10
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安乐传 The Legend Of Anle第36話韓燁(ハンイェ)を失った衝撃から昏睡状態となった帝梓元(ディヅユアン)。苑琴(エンキン)と苑書(エンショ)は付き切りで介抱していたが、梓元は薬も受け付けようとしなかった。すると知らせを聞いた洛銘西(ルォミンシー)が密かに任(レン)府へ見舞いにやってくる。「君には心配ばかりさせられる」洛銘西の手には肌身離さず持っている玉佩があった。梓元はこの玉佩の意味を知らなかったが、実はこれは梓元が生まれた日、靖安(セイアン)侯・帝永寧(ディエイネイ)が″娘を妻とする証し″として洛銘西に渡したものだという。まだ幼かった洛銘西はいつか梓元を妻として迎える日を楽しみにしていたが、思いがけず太祖が崩御、梓元を皇太子妃にすると遺詔を残していた。父は慌てて玉佩を帝家に返そうとしたが洛銘西は反対、そして今も大切な思い出として手元に残してある。「十分に休んだら私と靖南へ帰ろう」そんなある日、ついに梓元が目を覚ます。しかし梓元は想像を絶する苦しみに晒されたせいで、美しい黒髪が真っ白になっていた。回復した梓元は皇帝に謁見した。嘉昌(カショウ)帝・韓仲遠(ハンチュウエン)は白髪の帝梓元に驚き、韓燁への想いがこれほど深かったことを知る。すると梓元は洛銘西だけでなく弟・帝燼言(ディジンイェン)も生きていると明かし、身分回復を嘆願した。「太子殿下が五柳街から救い出し、温朔(ウェンショウ)と命名を…」実は梓元も韓燁の失踪後に本人から素性を明かされたばかりだという。皇帝は帝家の継承者が生きていたことに激しく動揺したが、皇太子に欺かれたとあっては梓元を責めようがなかった。「いいだろう、帝燼言と名を戻すが良い、だが朕からも1つ条件がある」皇帝は帝燼言を人質として生涯、都に留め、帝梓元は今後一切、都へ入ることを禁ずると命じた。「…まだそんなことを?」梓元は皇帝が未だ帝家の台頭を恐れて猜疑心にとらわれていることにへき易してしまう。「幼い頃、私は父にじゃじゃ馬でも婚家で気に入られるかと聞いたことがあります すると父は陛下の話をしてくれた 私が生まれてすぐ頻繁に会いに来るほど陛下は気に入っていたと… 父がなぜ言い訳もせず自刎したのか分かりませんでした でも父の言葉を思い出してやっと分かったのです、″嘉昌帝は徳があつく英明な方だ″と… 父は死ぬまで陛下に忠誠を尽くし、陛下を信じていた、玉座を望んだことなどありません!」梓元は皇帝がまだ見ぬ混乱を恐れて帝家を断罪したのかと思うとやるせなくなった。「帝梓元は靖国の臣下となりましょう、帝家が簒奪を企てることなどないと誓います 太子殿下の目指す天下太平と民の幸せのために… ただし、私たち姉弟の今後は自分たちで決めます」梓元は弟を連れて伏翎(フクレイ)山の帝盛天(ディセイテン)を訪ねた。「燼言、姑祖母よ、ご挨拶して」大伯母と初対面した燼言はその場で叩頭し、礼を尽くした。「梓元、その髪は…簡宋(カンソウ)を迎えにやったのに遅かったのね」「昏迷していたのです、簡宋は生きていると?」簡宋は蒼(ソウ)山で身を投げたが、偶然にも帝盛天に助けられ、生涯、仕えることになったという。「梓元、今までよく頑張ったわね」帝盛天は眼下に広がる美しい都を眺めながら、かつて韓子安(ハンシアン)と共に力を尽くして太平の世を作り上げるはずだったと話した。しかし韓子安は早世し、その夢は叶わなかったという。「それで良かったのよ…でもあなたたちは違う、韓燁が生きていたら手を携えて歩みなさい」その頃、韓燁も長い昏睡からようやく目覚めていた。韓燁を救ったのは北秦の莫霜(モーシュァン)公主。しかし莫北(モーベイ)の目潰しで光を失った韓燁は恩人の姿が見えなかった。「誰だ?ここはどこだ?」「私よ、莫霜よ?ここは人里離れた庵なの…まさか、見えていないの?」莫霜は目が見えない韓燁に付き添うことにした。実は莫霜は自分が戦の元凶となり、姉のように慕ってた安寧(アンニン)を死に追いやってしまったと責任を感じている。しかし韓燁は皇族に生まれた以上、国のために役目を課せられると理解を示し、それより家族を失って各地をさまよう両国の民のため、責任を果たすべきだと諭した。「ウン!安心して、罪を償うため戦禍を被った民を救うわ」莫霜の献身的な看病にもかかわらず、韓燁の目は治らなかった。韓燁はそろそろ帰るよう促したが、莫霜は韓燁をひとり残してはいけないと拒む。「見えるようになるまでお世話します、せめて安楽(アンルー)姐姐が迎えに来るまで…」「知らせたのか?!」「いいえ、戦の後は両国の往来が途絶えたから伝える術がなくて…」すると韓燁は自分の生存を漏らさないで欲しいと頼んだ。皇帝は梓元の動向を探らせていた。そんなある日、趙福(チョウフク)から梓元が弟を連れて伏翎山へ出かけたと聞く。「伏翎山?…あの者が戻ったのか?!」すると皇帝はじかに聞きたいことがあると言って、趙福が止めるのも聞かず出かけてしまう。10年ぶりに再会した帝盛天は当時と変わらぬ姿だった。「皇帝としての務めをよく果たしているわね…韓子安が今の靖国を見たら安堵するでしょう」しかしそんな帝盛天の素直な称賛も韓仲遠をさらに疑心暗鬼に陥らせてしまう。「心にもないこと…皇帝を廃する取り決めがなければ帝永寧を恐れることはなかった そなたたちが朕を追い詰めたのだ!」「誤解よ、そんな勅書はなかったわ」その時、帝盛天は気づいた。当時、病に侵された韓子安は息子に帝王学を施す余裕がなく、あらゆる状況を想定して策を講じたのだろう。「どうやらあなたの疑い深さまでは想像できなかったようね… しかも臣下を疑ったあげくに帝家を取り潰しにするとは!」「ではなぜ皇帝を廃する権利をそなたに与えたのだ?!」「…あの時、帝家が滅ぼされても私は敵討ちに行かなかった 韓子安と約束したからよ、今後一切、都に足を踏み入れないとね!」皇帝はにわかに信じられなかった。しかし帝盛天は帝家の宝剣に真実があるとだけ教え、帰ってしまう。宮中に戻った韓仲遠は洛銘西が献上した帝家の宝剣を自分の剣で真っ二つに割った。すると刃の間から太祖の勅書が出てくる。…帝盛天の都への立ち入りを禁ず…先帝が残したのは帝盛天に皇帝を廃する権利を与える勅書ではなく、韓仲遠の皇位を守るための勅命だった。「朕は思い違いをしていたのか」…私と韓子安は初めからあなたを靖国の世継ぎとすると決めていたのよ…韓仲遠は帝盛天の言葉を思い出し、呆然となった。「朕は間違っていた…」莫霜の別苑、韓燁はその日、莫霜が天灯を作っていると知った。「願いを込めて飛ばすと天が思いを受け取って願いを叶えてくれるって だから目が治るよう願掛けするわ」「ありがとう、私も飛ばしたい」その夜、2人は天灯を飛ばした。莫霜は何を願ったのか聞いたが、韓燁は黙ったまま飛ばしてしまう。実は天灯には″帝″とあった。つづく( ๑≧ꇴ≦)簡宋まで生きてんのかーい!wもう途中からずっと皇帝に「お前のせいやん」って言い続けてたわwそれより莫霜はどういう経緯で韓燁を助けたんだろう?まさか下で待ってたのか?( ̄▽ ̄;)
2024.05.30
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风起霓裳 Weaving a Tale of Love第9話「善なる謀」結納騒動で琉璃(ルリ)の生存が庫狄(コテキ)家の知るところとなった。安四郎(アンシロウ)は万が一のことを考え、琉璃を店に出すのをやめて屋敷にいるよう命じる。一方、曹(ソウ)記衣装店では玉の輿に乗り損ねた珊瑚(サンゴ)が鬱々としていた。母は胡(コ)商大会で優勝して名誉を回復すれば縁談も沢山来ると言うが、琉璃と阿霓(アゲイ)擁する如意衣装店に勝てるはずがない。しかし曹氏は尚服局にいる遠縁の鄧七娘(トウシチジョウ)から宮中の衣の図案を聞き出し、すでに同じ物を作っていた。「さすが母上ね!」曹氏は自分たちの話を聞いていた甥・曹吾(ソウゴ)を警戒した。すると思った通り曹吾が大会用の衣をこっそり持ち出そうとする。曹氏は阿霓に見せるつもりだと知り激怒、しかし曹吾は自分が阿霓を娶れば商売敵の番頭を引き抜くことになると釈明した。「確かにその通りだわ」そこで曹氏は自ら阿霓に縁談を持ちかけ、安氏の技を嫁入り道具にしろと迫る。阿霓はふざけた物言いに呆れ果て、有無を言わせず曹氏を店から叩き出した。一方、宮中では皇太子・李治(リチ)が今日も皇帝への挨拶に来ていなかった。すでに後宮にも皇帝と皇太子の関係悪化が知れ渡り、自暴自棄になった皇太子が酒浸りだという噂まで流れている。才人・武媚娘(ブメイニャン)は皇帝が楊(ヨウ)妃と曹王・李明(リメイ)だけを残して全員を下げたことから、嫌な予感がして皇太子を訪ねた。皇帝は曹王府に今や東宮を凌ぐほどの人が集まっていると耳にした。すると李明は誤解を招かぬよう、皇太子が科挙の改革案を出したせいで不安を覚えた貴族たちが訪ねてくると釈明する。「改革の志は良いと思います、ですが…改革は民の向学心をあおる反面、貴族たちの忠心を失います」李明は皇太子が部屋にこもって酒を飲んでいるため、諫言もできないと嘘をついた。媚娘の予想通り総管・高全(コウゼン)が皇太子を迎えに来た。亡き皇后に恩があり皇太子に忠誠を誓う高全、そこで皇帝が噂を信じて皇太子に不信感を募らせていると警告しておく。「では外でお待ちしております…」高全が出ていくと脇殿に隠れていた媚娘が現れた。皇太子は父皇に謁見、先日から断酒していると報告した。安堵した皇帝だったが、隣に立っていた李明は皇太子から酒の匂いがすると気づく。その時、ちょうど皇帝の薬湯が届いた。李明はわざわざ李治に薬を渡して父皇のそばへ行くよう仕向けると、案の定、李治は手の震えから薬をこぼしてしまう。「断酒して部屋にこもり修養していただと?!」皇帝は酒臭い李治に激怒、ついに皇太子に唐の将来を任せられないとまで口走った。すると李治は手が震えた原因は写経だと釈明し、一心に書き続けたため右手の筋を痛めたという。酒臭いのは震えを抑えようと側仕えに勧められた薬酒を使ったせいだった。「まさか今日、拝謁するとは思わず、手に塗ってしまいました」そこで皇帝はすぐ太医を呼ぶよう命じた。皇太子に策を授け、薬酒を渡したのは媚娘だった。皇太子への誤解が解けることを願いながら朗報を待つ媚娘、その時、大事なことを思い出す。「玉柳(ギョクリュウ)、宗(ソウ)太医を呼んできて…陛下から薦められたと言えば断れないはずよ」李明は宗太医を呼ぶよう手を回したが、あいにく咸池(カンチ)殿に呼ばれて留守だった。代わりに駆けつけた蒋(ショウ)太医は確かに皇太子の手の震えは酷使したことが原因だと診断する。皇帝は皇太子の孝行心に感激し、噂だけで疑ったことを反省した。すると李明がたった数日で100編も書けたのかと疑う。李治は今日までに88編を書き終えたと答えたが、李明はぜひ見てみたいと頼んだ。その時、すでに準備していた王伏勝(オウフクショウ)が現れ、皇太子の写経を持って来たと報告する。「陛下、是非ともご覧ください」皇子たちは皇帝から勅諭を賜った。李治が寝食も忘れて写経に励み、右手を痛めるほどの孝行は天地を感動させるという。…太子はおごらず、また不屈の精神を持つ…聖賢の気風があり、朕の心を安らかにした…ここに皇太子の孝行を広く天下に知らしめる…皇子たちは太子を模範とし、天下の民も太子を見習うべし李明は皇帝と皇太子の離間を企んだが、奇しくも皇太子を模範にすると頭を下げる羽目になった。曹吾は阿霓を怒らせたと知り、屋敷の前で大声で謝罪していた。「阿霓!今日は君に曹記の衣を見せるつもりだったんだ!胡商大会で優勝したいんだろう?! 君に味方するよ!」気がつけば屋敷の前には人だかりが出きていた。焦った阿霓は仕方なく門を開け、妙な小細工などいらないと怒鳴って追い返してしまう。「あなたに好意はないわ!」琉璃は曹記衣装店の曹吾が阿霓を好きだと知った。しかし阿霓は店の評判を落として妨害するつもりだと憤慨する。その時、琉璃はその手があったと思い付いた。商売人にとって店の評判が大切なように、官人である裴行倹(ハイコウケン)も評判はこけんに関わる。琉璃は裴行倹が盗みを働いたと公にすれば四学門を追い出されるはずだと考えた。一方、媚娘は皇帝の政務に付き添っていた。皇帝の裁定が終わった奏状を片付ける媚娘、その時、ちょうど積み上げられた冊子の上に皇太子の奏状を見つける。そこでわざとぶつかって床に落とすと、皇帝が皇太子の奏状だと気づいて見たいと言った。媚娘の賭けは吉と出るか凶と出るか。すると皇帝は気が進まなかったはずの科挙の改革に前向きになった。「確かに道理にかなう、唐の百年の計と言えよう、太子は学識が深い さすが朕と亡き皇后の息子だ」皇太子は誠実で志があり、自信に満ちている姿は入内した頃の媚娘とよく似ていた。しかし志だけでは理想を実現することはできない。媚娘は皇太子がこのまま埋もれてしまうのが忍びなく、つい肩入れしていた。皇太子の奏上のおかげで皇帝は科挙の旧弊を改めると決めた。裴行倹は唐にとって喜ばしいことだと浮かれていたが、四門学の雰囲気は重苦しい。実は四門学は曹王の勢力圏であり、曹王は科挙の改革に大反対していた。裴行倹は偶然、薛旭(セツキョク)と博士の話を立ち聞きした。「例の物が届きます、四門学で受け取りましょう」「薛助教は耳が早いようだな」「私は曹王派に身を投じたばかりですが、博士のために働く機会をお与えください」「あれは重要な物なのだ、慎重に頼むぞ」「もちろんです!」つづく
2023.03.16
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风起霓裳 Weaving a Tale of Love第7話「予期せぬ求婚劇」皇帝・李世民(リセイミン)の体調がすぐれない中、皇太子・李治(リチ)は朝議で科挙の改革を上奏した。しかし大臣から皇帝には静養が必要だと諌められ、政敵である曹(ソウ)王・李明(リメイ)にも揚げ足を取られてしまう。「私は太子殿下に遠く及ばず、父皇の身体を心配する以外に何も考えられません(ニヤリ」李治は才人・武媚娘(ブメイニャン)の助言を思い出して後悔したが、父皇の自分を見る目は厳しかった。一方、卓錦娘(タクキンジョウ)は医館の小豆子(トウシ)を血眼になって探していた。手ぐせの悪さで不禄(フロク)院に落とされた魏林はこの騒ぎに目をつけ、卓大家に取り入ろうと企む。そこで卓大家に豆医官の失踪には裏がありそうだと密告した。実は孫徳成(ソントクセイ)が怒って豆医官を追い出したのではなく、それを口実に逃したという。証拠はないが、ちょうど豆医官と仲が良かった順子(ジュンシ)が掖庭(エキテイ)に収監されていた。「たぶん順子は共謀者です」如意衣装店に裴八娘(ハイハチジョウ)と崔玉娘(サイギョクジョウ)がやって来た。2人は玉児(ギョクジ)こと庫狄琉璃(コテキルリ)が仕立てた衣をたいそう気に入り、闘花宴に招待してくれる。すると当日、都尉(トイ)府の門前で馬車を降りた琉璃は庫狄珊瑚(コテキサンゴ)と出くわした。驚いたことに珊瑚の衣は自分が作った物とうり二つ、恐らくあの時、図案を盗み見て真似たのだろう。珊瑚はまさか裴炎(ハイエン)夫人の衣装だとは知らず、琉璃が着替えたほうがいいと助言しても聞く耳を持たなかった。裴炎の詩会には裴行倹(ハイコウケン)も招かれていた。中庭では崔氏が名門の令嬢たちを集め、闘花に興じるという。裴炎はまだ子がいないため、妻が自分に妾を選ばせる計画だと白状した。「そうだ、守約(シュヤク)兄は私より年上だ、後添いはもらわぬのか?」「私か?…疫病神と言われる男に嫁ぎたい娘はいるまい」中庭に都尉府の女主人である裴炎の正妻崔氏が現れた。すると珊瑚と夫人の衣がそっくりなことからその場は騒然、令嬢たちは身の程知らずだと珊瑚を中傷する。その時、夫人のもとへ琉璃が挨拶にやってきた。妹たちは衣を作った玉児に八つ当たりしたが、琉璃が事情を説明する。「あれは曹(ソウ)記衣装店の娘です、昨日、店に来た時に夫人の衣の図案を盗み見て真似たのでしょう」寛大で慎ましい夫人は美しいものを真似るのは常だと許してくれた。しかし琉璃は実は衣がまだ完成ではないという。「いくら形を真似ても品格や風格までは真似できません どうぞあちらへ、これからこの世に2着とない衣に仕上げます」あずま家には琉璃が侍女に頼んで届けてもらった牡丹の鉢植えがあった。「夫人が髪にどの花を挿すのか分からなかったので…今から衣を仕上げます」すると詩会に来ていた裴立顕(ハイリツケン)が琉璃に気づき、慈恩寺で裴如琢(ハイジョタク)を黙らせた娘だと教える。「あの横暴な河東(カトウ)公世子が黙らされた?!そりゃすごい!」話を聞いた書生たちは面白い女子だと感心し、そんな知己が欲しいと笑った。琉璃は崔氏が夫からもらった珍しい墨玉という牡丹の花をいきなり切った。妹たちは憤慨したが、崔氏は黙って見守っている。すると琉璃は牡丹の花びらで衣を飾りつけ、美しい衣を作ってみせた。珊瑚は面目丸潰れ、しかも琉璃に曹記が″天下第一針″を受け継いだのは嘘だとバラされてしまう。妹たちは姉を喜ばせてくれた玉児に感謝し、これから裴府の衣は如意衣装店に頼むと約束した。崔氏は聡明な玉児を気に入り、自分と同じ牡丹の花を髪につけてやった。その様子を見ていた裴炎は夫人と目配せ、どうやら絵師を側室に決めたらしい。琉璃はふと屋敷の方を見ると、そこにはあの裴行倹がいた。…なぜ行く先々にあいつがいるのかしら?!…一方、書生たちも絵師を側室に選ぶよう裴炎に勧めていた。しかし裴立顕の話では裴如琢がすでに崇化(スウカ)坊の庫狄延忠(コテキエンチュウ)の娘だと探り当て、腹いせに妾にするつもりだという。裴行倹はどんなに賢い娘だとしても河東公府に入れば酷い目に遭うと同情した。崔氏は皆で庭を散策することにした。すると恥をかかされた珊瑚はわざと足を出して琉璃を転倒させ、琉璃の手を思い切り踏みつける。驚いた崔氏が駆けつけ手を貸したが、怪我をした琉璃はそこでお暇することにした。裴行倹は都尉府の帰り、如意衣装店を訪ねた。阿霓(アゲイ)は3日前に夾纈(キョウケチ)染めの屏風(ビョウブ)を依頼され保留していたが、店の者と相談した結果、断ることになったという。「短期間で大型の狩猟図を描くのは難しいのだな…仕方ない、長安中の店に断られたのだ」すると奥の部屋で聞いていた琉璃が5割増しなら注文を受けると言った。裴行倹は快諾、満足できる図案なら不当ではないという。「上乗せした分は加工する職人の取り分です、私の取り分は変わらないわ」琉璃の言い分に納得した裴行倹は早速、図案を相談するため奥の部屋に向かった。しかし琉璃は注文したのが裴行倹だと知り、阿霓に自分の財物を盗んだ男だと教える。「この仕事は断るわ!どうぞお引き取りを…」一方、珊瑚は縁談が絶望的になり、消沈して屋敷へ戻った。しかし父と母が縁談が失敗したと聞いて大喜び、聞けば思いがけず河東公府から縁談が舞い込んだという。すると叔母の五娘(ゴジョウ)が訪ねてきた。実は裴炎も″庫狄延忠の娘″が気に入り、側室に迎えたいという。驚いた延忠と曹(ソウ)氏は格上の河東公府から縁談があり、恨みを買うわけにいかないと辞退した。五娘は二股をかけられたと誤解、面目を潰されと憤慨して帰ってしまう。廷忠は確かに妙な話だと気づいた。すると珊瑚が都尉府に如意衣装店が最近、雇った絵師も来ていたと説明し、正妻はその絵師を気に入っていたはずだという。「そうだ、先日、家の前で父上に道を聞いた娘よ」廷忠は琉璃の仕業だと疑い、仕方なく曹氏と珊瑚に事情を話した。「生きていたの?!」裴行倹は2倍の価を出してもいいと交渉した。しかし琉璃は財物を返さなければ何倍だろうと断るという。「盗んでいない物をどう返せというのだ?…あ、そうだった 都尉府に嫁ぐ君にとって私が払う額などはした銭に過ぎぬな」「何の話?!私は嫁ぐ気などないわ!名門だからって嫁ぐつもりもない 阿霓、お客様がお帰りよ!」阿霓は仕方なく裴行倹を送り出そうとしたが、話には続きがあった。実は河東公世子が先日の報復に琉璃を娶るつもりだという。琉璃はようやく慈恩寺で夫人に騙されたと知り、うっかり父の名前を漏らしたことを思い出した。曹氏が如意衣装店に怒鳴り込んできた。確かに新しい絵師は若い頃の安氏にうり二つ、琉璃に間違いない。「お前の母親には迷惑をかけられた、今度は縁談を潰すつもり?!」「図案を盗み見たのはそっちでしょう?自業自得よ…なぜ反省もせず私を責めるの?」つづく(  ̄꒳ ̄)ライトのせいなのか、時々メイクが大惨事になっていますw
2023.03.14
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月升沧海 Love Like the Galaxy (第1話)第28話「神像に嫁ぐ心得」自分の気持ちと向き合い、改めて凌不疑(リンブーイー)との婚姻を決めた程少商(チォンシャオシャン)。そうとは知らず、少商にこっ酷く追い返された不疑は城楼で独り、少商のために作った悪酔いしない酒をあおっていた。すると眼下で刺客から逃げ惑う韓武(ハンウー)の姿を見つける。不疑は急いで駆けつけ韓武を助けたが、刺客の最後の1人を始末しようとしたところで止められた。「生き証人にっ!」韓武は当時、小越(ユエ)侯の陣営にいた軍医を発見、接触していた。思った通り軍医は瘴気(ショウキ)を調査した将士の馬を陣営で目撃したという。瘴気を浴びて馬だけ無事とは考えられず調べを進めてみると、実は将兵たちが刀で斬られて死んでいたと分かった。恐れた軍医は名を隠して帰耕(キコウ)していたが、結局、若主公と会わせる前に殺されてしまう。「一体、何者だ?」韓武は若公主が踏みつけている刺客の覆面を外して顔を見た。その時、刺客が口に含んでいた毒針を放ち韓武の額に命中、不疑も驚いた一瞬の隙を突かれて足を斬られてしまう。しかし不疑は落ちていた剣を咄嗟に蹴り飛ばし、刺客を殺した。韓武は即死だった。刺客は身分を示す物を何も持っていなかったが、暗器の針には毒を入れる空洞があり、普通の鉄匠(テツショウ)が作れるとは思えない。「軍で使われる物だ…」当時、小越侯は瘴気が消えてから救援するよう乾安(ケンアン)王に提案していた。自軍の兵士を口封じしてまで瘴気があると主張したのは、孤城への救援を遅らせて陥落させるためだろう。「韓武が殺されたのも小越侯が察知したからだ、この先はあからさまに調査できなくなった さらに慎重を期さねば…」その夜、文(ウェン)帝は寵姫・越姮(ユエホン)の永楽宮で過ごしながら、怪我をした子晟(ズーション)を心配していた。いつも無駄口を叩かない子晟が驚くことに″落馬した″と見え見えの嘘をついたという。「6歳から自在に馬を走らせていた子晟が落馬だと? 実は負傷する前、程娘子(ニャンズー)に会っていたらしい」皇帝は怪我の原因が程娘子だと考え、自分が罰するのを恐れて子晟が程娘子をかばったのだと深読みした。「今や子晟の心には程娘子だけ…朕は排除された(ボソッ」するとは越妃はそれが若さだと懐かしんだ。かつて皇帝も首を蚊に刺されただけで、あらゆる手段を使って自分に知らせようとしたことがあったという。「でももし程娘子が何も知らないなら…子晟は負傷したかいがないですね」「( °◊° )ピコーン!なら朕が知らしめてやろう!」そこで皇帝は早速、少商と子晟を参内させることにした。「程娘子には朕と同じくらい子晟を愛おしんでもらわんとな!」参内した少商を案内してくれたのは五公主の伴読・駱済通(ルオジートン)だった。すると運悪く回廊で三公主と出くわしてしまう。「程娘子、また会ったわね、その顔で十一郎を誘惑したのね」「…誘惑とはどういう意味でしょうか?」掟を知らない少商はうっかり聞き返し、三公主を怒らせた。「口答えしたわね、誰か、頬を叩いて」「やめないか!」その声は凌不疑だった。アルソック不疑キタわ~!‹‹\(´ω` )/››‹‹\( ´)/››‹‹\( ´ω`)/››三公主は少商など十一郎の妻に相応しくないと訴え、人を惑わせ、足まで怪我をさせたと非難した。許嫁に因縁をつけられた不疑は嫌悪感をあらわにし、三公主こそ倹約する皇帝と皇后を顧みず強欲だと非難する。「私も今年で齢21、少商と出会ってやっと妻帯する気になった この生涯で少商以外の誰かに心が動くことはない」すると不疑は呆然と立ちすくんでいる少商の手をつかみ、連れて行ってしまう。凌不疑の仕打ちに憤慨する三公主、実は駱済通も人知れず深く傷ついていた。凌不疑は少商が縁談を辞退するつもりだと誤解していた。しかし少商は自分が足を怪我したと知って心配してくれる。「一応、未婚妻として気遣わないと陛下の怒りを買うでしょう?」少商の物言いは相変わらず容赦ない。「あなたは熱過ぎる、修造?…違う、神像みたい、畏怖され崇められる その神像と成婚して一緒に住むのよ?誰だって躊躇するわ」「少商、妻と決めた以上、私には君しかいない 破談にしたいなら陛下に申し出よ、だが私は決して応じない」すると少商はあっけらかんと破談にするつもりはないと言った。「幼い頃から愛されず、愛することも知らない、だから下心を疑ってしまうの でもあなたは私によくしてくれたわ」「…少商、君は私の妻、私の持つ全ては君のものだ…全力で君を守る、いずれ信じてもらえる」「信じるかどうかはあなた次第ね~」そこで不疑は少商の好物の焼餅(シャオビン)を出した。「今後は好きな時に食べるといい」皇帝と皇后は皇太子夫妻を同席させ、少商と引見した。すると心配した凌不疑が現れ、一緒に話を聞くという。皇帝は不疑を静養させるつもりで呼んだが、不疑は頑として動かず、仕方なく2人に足を崩すよう促した。皇帝は少商を皇后に預け、花嫁修行させることにした。しかし少商はうつむいたまま黙ってしまう。不疑は何でも正直に言えば良いと助言したが、少商は何を思ったのか急に訴えたい人がいると言い出した。朝廷では皇帝への諫言や上奏は大ごと、一つ間違えば重罪となる。「朝廷のことは分かりません、でも凌将軍は陛下が寛大で実父も同然だと… あ、礼に適っていないのなら言いません」すると不疑が大丈夫だと答えたため、皇帝も認めざるを得なかった。「…臣女が訴えたいのは車騎将軍・王淳(ワンチュン)の娘・王姈(ワンリン)です 楼(ロウ)家の婚礼で私を中傷したからです」皇太子妃は少商の思わぬ訴えに目を白黒させた。まさかよりによって皇后の従姉妹・文修君(ウェンシウジュン)の娘を訴えるとは。文修君と言えば、ちょうど屋敷を訪ねてきた寿春(ジュシュン)の使者から鋳造権を無心されていた。かつては権勢を誇った乾安王府も皇帝の天下取りで老王が亡くなり没落、弟の小王が地盤となる寿春で不遇の日々を送っているが、それを支えているのが使者の家主である彭坤(ポンクン)だった。「天下は本来、乾安文氏のものだった、なのに我ら姉弟がかくも苦労するとは…」そこへ客人とは知らず王姈が現れた。すると使者は美しい王姈を気に入り、父親ほど歳の離れた家主に嫁がせたいという。「…お忘れなきよう、家主がなぜあんな身体になったのか 家主が瘴気も顧みずに乾安王を背負って戻ったからでは?! ずっと子宝に恵まれぬのもそれが原因です!」少商は王姈たちから大勢の前で女狐だと中傷されたと訴えた。もし自分が訴え出なければ凌将軍は女狐に惑わされたとの名折れになるという。「陛下の家は国に関わる、家が乱れれば国も危うい、国のために訴えるのです 私も根に持ちたくはありませんが、王娘子は子晟のことで絡むのをやめません」すると皇太子も確かに王姈が人目もはばからず子晟の縁談に何度も憤慨していたようだと明かした。皇帝は更なる災いを防ぐため王姈に戒めを与えると言ってくれた。少商も皇后の長秋宮に住み込むことになったが、まだ幼い少商は戸惑いを隠せない。そこで不疑は少商がようやく両親と過ごせるようになったことから、自宅から通わせてはどうかと提案した。「また別れを経験させたくありません、私が毎日、送り迎えします」「子晟自ら送迎とは…」皇帝は仕方なく許可した。「では毎日、辰時前に長秋宮に入って申時末に皇宮を出る、10日に1日が休みよ」一方、王姈は母から舅父のいる寿春へ嫁げと言われ、号泣していた。「程少商は凌不疑に嫁ぐのに、なぜ私は未開の地の年寄りに嫁ぐのですか!」しかし彭坤は乾安王一族の恩人、無下にはできない。将軍は娘をかばい婚姻に反対したが、文修君は未だ自分の境遇に納得できなかった。「我ら乾安王一族がいなければ陛下は大軍を得て戾(レイ)帝を平定できたと思う? 皇后とて我が家に身を寄せたから今日があるのよ! 我が一族が犠牲となり、残っているのはお前の舅父だけ…天下が我が家に恩があるの!」その時、曹(ツァオ)常侍(ジョウジ)が皇帝の命を伝えにやって来た。気位の高い文修君は皇帝の言葉とは言え、決して宦官の前で跪こうとはしなかった。仕方なく曹常侍は程少商を辱めた王姈に父娘で自省するよう伝えたが、これに激怒した文修君は娘を引っ叩いてしまう。「横暴でも何でも良いが恥をさらすのだけは許さない!」文修君は程氏をかばった皇帝だけでなく、それを諌めない皇后への怒りが爆発した。「もし私と陛下が同族でなかったら、私が皇后だった!」つづく( ತ _ತ)文修君の金切り声でテンションが下がるわ___それにしてもずーしょん21歳なのか?!にゃおにゃおが15歳だから、せいぜい18歳くらいかと思ってたェェェェェ…( ̄◇ ̄)( ̄◇:;.:... ( ̄:;....::;.:. :::;…
2023.09.16
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月升沧海 Love Like the Galaxy(第27話)第54話「母娘の雪解け」宣(シュエン)皇后は程少商(チォンシャオシャン)と霍不疑(フォブーイー)の縁が再び結ばれることを祈って旅立った。主を失った長秋(チョウシュウ)宮の夜。不疑は少商の飴糖(トウイ)作りを手伝いながら、彼女の言葉を待っていた。やがて少商は静かに自分の胸の内を明かす。「捨てられて恨んだわ、独断専行で死を選んでも共に歩もうとしなかった 私は本音で接したのにあなたは嘘ばかり…でも5年が経ち、苦労の末に吹っ切れた 今はどうしても心を預けられない、信頼できないの」「少商…すまない、君がどう決めようと尊重するよ 君が捨てられることを何より恐れていると知りながら、私は最も傷つける方法を選んでしまった これまでの20年間は恨みの中で生きて来たが、この先の余生は悔恨の中で生きる できることなら心を取り出し、君にあげたい…でも私にはその資格がない…」すると少商は居たたまれなくなり、黙って部屋を出て行った。少商は回廊から満天の星空を見上げた。すると霍不疑が現れ、隣に並ぶ。「以前、皇后に言ったの、郎君が陽光で万里を照らすなら、私たち女は明るい星、星河に輝く 日月と星河に高低は関係なく、互いが欠かせない、共存することでこの天地を成すと… 私もしっかり生きるわ、皇后の髪を埋めたら遊歴に出る、私も天地の広さを見たいから」「私も度田令の任務が終わったら北西に戻って国境を守る、世の星河を守るために… これからは自分を大切にする、お互いにしっかり生きよう」少商と不疑は笑顔で別れた。しかし互いに相手の姿が見えなくなると立ち止まり、こらえ切れず涙してしまう。。゚(∩ω∩`)゚。少商は曲陵(キョクリョウ)侯府に戻った。すると母が初めて少商の好物を手作りしたという。5年の月日が流れ、ようやく親子3人で過ごす穏やかな時間、しかし蕭元漪(シャオユエンイー)は急に点心を食べている娘の手を止めてしまう。「もういいわ、どうせ上手じゃないから」「嫋嫋(ニャオニャオ)は何も言っていないだろう?」程始(チォンシー)は相変わらず自分に厳しい妻に失笑した。「嫋嫋、阿母が悪かった…初めての女の子だったから… 兵の指導とどう違うかも分からなかった、息子を育てるのとはもっと違うし… 娘の成長はあまりに早過ぎた、どう改めていいのかも分からなかったの 私が間違っていた、もう一度やり直せるなら決してあなたを置き去りにしない 自分のそばに置くわ、家族で生死を共にするのよ」少商は母の涙にほだされ、長年のわだかまりがゆっくり解けて行くのを感じた。少商は母の手作りの点心を甘い物に目がない祖母に届けることにした。すると偶然にも過去を悔やむ祖母の話が聞こえてくる。当時は二房の葛(ゴー)氏にそそのかされ、老夫人は父と母を支配しようと躍起になっていた。その結果、幼い嫋嫋が最も被害を被ることになったという。「やり直せるなら嫋嫋によくしてあげたい、だって私の孫だもの… 私が死んだら蓄えた金銀財宝は全てあの子に残すわ もし一生、嫁がなくても暮らしていけるようにね、本当にあの子に申し訳ない…」少商は複雑な心境になり、結局、引き返した。少商は蓮房(リエンファン)と東屋に腰掛けた。思えば田舎の別宅に送られた時、蓮房の献身的な世話がなければ今頃、自分の墓が建っていたはずだ。「あなたは私が唯一、信頼できる人だった」「もう昔のことです」少商は祖母とも仲良くなりたかったが、どうにも近寄りがたかった。程家の危機では祖母も身を投げ打ち、徐々に家族になれたと思ったが、やはりまだどう向き合えば良いのか分からない。しかしこれからは誰が自分を憎み、嫌うのかではなく、自分を大切にしてくれる人のことを考えようと決めた。「それが生きる活力になる…人は良い事を考えないと… そうしないと余生をしかと生きられなくなってしまう」蓮房はすっかり大人になった女公子の言葉に大粒の涙をこぼした。。゚(∩ω∩`)゚。 少商は宣皇后の故郷に向かう前に参内、袁慎(ユエンシェン)に別れを告げた。実は善見(シャンジエン)も外地に赴任することになり、皇帝に挨拶したところだという。「2年前、父が義兄を救出するため部隊を離れ、味方が不利な状況に陥ってな 霍不疑は父を助けるため駆けつけ、死にかけたんだ しかし陛下の恩情で父は降格の上、膠東(コウトウ)に戻るだけで済んだよ」父は祖先に面目ないと身体を壊したが、これを機に母も夫を気遣うようになってすっかり夫婦仲が改善されたという。「2人は出発前、我らの縁談を案じていた」「…ごめんなさい、望みには応えられない」「残念だな~将来、私は三公に並び称される、三公夫人になり損ねたな?」袁慎はかつてのように茶化して笑ったが、初めから不疑に勝つ見込みがないと分かっていた。この5年、少商を見守り続けた袁慎、最後は少商の立ち去る姿を見送りながら未練を断ち切った。袁慎が城楼から都を眺めていると霍不疑がやって来た。「決めたのか?」「そうだ、父のためお前は死にかけた、これ以上、競っては恩知らずになる」実は不疑も度田令の推進のため、各地を巡察し、監督すると申し出たという。袁慎は不疑が程将軍の代わりに戾(レイ)帝の残党を掃討するつもりだと気づいた。しかし少商の父や兄を助けるのはまだ分かるが、なぜ恋敵の自分の父を命懸けで救ってくれたのだろうか。すると不疑は少商が袁慎を案じているからだと明かした。「お前が達者でなければ少商は安心できない、楼垚(ロウヤオ)を推挙したのも同じ 彼女は口とは裏腹に情に篤いからな…関心を持つ者が達者なら彼女は安心できる 私がお前たちを守れば、彼女はようやく自分の道を模索できる」「お前は私より情が深く、愚かだ…彼女の愛に値する」袁慎は最後まで少商に寄り添える者がいるとしたら、不疑であって欲しいと願った。。゚(∩ω∩`)゚。不疑…サイコーか宣皇后の四十九日が過ぎ、少商は双子の兄・程少宮(チォンシャオゴン)と一緒に宣皇后の故郷へ向かった。やがて驊(カ)県から十数里の山道を進んでいたが、その時、待ち伏せしていた馬車が一行を足止めする。馬車に乗っていたのは都を追われた楼太傅の娘・楼縭(ロウリー)だった。楼縭は楼垚が少商に今の驊県を見てもらいたいと願い、招待したいという。「ありがとう、でも宣皇后の郷里に向かっているのでごめんなさい」しかし少宮はここで待っているので行ってこいと背中を押した。楼垚と何昭君(ハージャオジュン)は少商の来訪に驚いていた。どうやら自分は招待されたわけではなく、楼縭が勝手に連れて来たらしい。しかし夫婦は両親を相次いで亡くした楼縭を気遣っていた。すると空席がひとつある。何かおかしいと警戒する少商、その時、身重の何昭君が急に苦しみ出した。「お腹が痛い…産まれそう」予定日はまだ先のはずだったが、楼垚はともかく産婆に連絡するため慌てて出ていってしまう。一方、巡察に出発した霍不疑一行は道中の山林で襲撃に遭った。黒甲衛(コクコウエイ)は賊を一掃、すると付近の溝で数十人の死体が見つかる。「驊県の侍衛の鎧を着ていました、他には…袁家の部曲の身なりに酷似を…」驚いた不疑は行き先を驊県に変更した。楼縭は少商に手伝いを頼み、何昭君を連れてなぜか廟に入った。「県衙(ケンガ)に廟を立てるなんて、誰かが修行でもしているの?」少商は困惑したが、その時、突然、楼縭が隠し持っていた短剣を抜き、襲いかかって来る。「少商!」つづく( ;∀;)イイハナシダ〜って、え?これが最終回かってくらい良かったのに今さらローリーって…ないわ___w
2023.12.23
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月升沧海 Love Like the Galaxy(第28話)第55話「肩を並べる時」楼縭(ローリー)は程少商(チォンシャオシャン)に協力を頼み、産気づいた何昭君(ハージャオジュン)を連れてなぜか廟に案内した。違和感を感じて殿内を見回す少商、するとふと安置された神像に目が留まる。その時、楼縭が隠し持っていた短剣を取り出し、突然、少商に襲いかかった。「程少商!あなたが従兄を自害に追い込み楼家は没落した、命をもらう!」少商は間一髪で楼縭の腕をつかみ助かったが、そのまま揉み合いとなった。「何昭君!神像を調べて!隠し扉があるかも!」少商の予想通り何昭君が神像を動かすと後ろの壁が開いた。少商は楼縭の足を思い切り踏みつけ、楼縭が怯んだ隙に何昭君と一緒に密室へ逃げ込んだ。すると思いがけず鉄鎖で拘束された傷だらけの袁慎(ユエンシェン)を発見する。度田令の推進中だった袁慎は油の買い占めに気づき、巡察中の皇太子が通過する郭(カク)村に貯蔵されていると突き止めた。そこで急いで知らせに向かうはずが、途中で戻(レイ)帝の残党に捕まってしまったという。少商はともかく袁慎を解放するため鍵を解錠することにしたが、袁慎は無駄だと止めた。「最も難解な連環鎖(レンカンサ)だ、解けやしない、早く逃げろ、私のために命を捨てるな」「この天下に私の解けない仕掛けはない、だから黙っていて」ちょうどその頃、外套を目深にかぶった女が廟に入って来た。楼縭は復讐を果たせなかったが、女は少商を誘い込めただけで上出来だと労う。「でも全てやり遂げてくれたのならもう用なしね…」女はいきなり楼縭の腹を刺した。「霍不疑(フォブーイー)と程少商以上に楼大房が憎い…あの世で父や母と再会するが良いわ」「阿父と阿母を殺したのは…あなた…」楼縭はようやく両親の敵に気づいたが、そこで事切れた。霍不疑一行は急遽、驊(カ)県に入った。一見、穏やかに見える城内、すると民に成りすましていた残党がいきなり襲いかかり、不疑を配下から引き離して孤立させてしまう。その頃、少商は解錠に成功し、何昭君と袁慎を連れて密室から脱出しようとしていた。しかし突然、床が開いて地下室へ落下してしまう。袁慎は自分に構わず逃げろと言ったが、天井が閉まる寸前に誰かが飛び降りて来た。「少商?!無事か?!」「なぜあなたがここに?」不疑は巡察中に異常を察知、驊県に駆けつけたところ戻帝の残党に県庭へ追い込まれたという。「ここに私を誘い込んだのは私の一番、大切な者が罠にかかったからだ」「罠だと知りながら飛び込むなんて…救援を求めてから敵を討てばいいのに!」「失ってからでは敵討ちに意味はない…生きていることが重要なんだ」その時、楼縭を殺した女が現れた。「餌には釣られないと思ったのに…ふっ、情愛にどっぷり浸かると英雄も愚鈍になるのね」少商は女の声で行方知れずとなった王延姫(ワンイエンジー)だと分かった。王延姫は面紗を外して正体を明かした。「今日、お前たちには私が作った墓場で死んでもらう 川で救われたあの瞬間から敵討ちを誓った、やっと果たせる…」地下室には楼犇(ロウベン)の位牌が安置され、床には藁が敷き詰められていた。どうやら王延姫は不疑だけでなく少商たちまで道連れにして死ぬつもりらしい。「少商、楼家で良くしてあげたのに、どうして夫を追い詰めたの? 袁慎、お前は知り過ぎたわ、計画を阻止する者は殺すしかない」少商は自分たちを逆恨みする気持ちは分かったが、身重の何昭君は無関係だと憤る。しかし王延姫は楼垚(ロウヤオ)を自由にするためだと言った。「楼垚は彼女を愛していない、無理やり娶らされたの、夫は死ぬ間際まで弟を案じていたわ 義姉として助けてやらなくては…子なら別の女が産む」その頃、楼垚は楼縭に騙されたとも知らず、従者と清(セイ)県にいた。産婆は夫の実家へ戻ったと聞いて訪ねてみたが見当たらず、従者は楼縭の勘違いではないかという。仕方なく楼垚は激しい雨の中、片っ端から医師をあたり、ようやく対応してくれた医師をなかば強引に連れ出した。夫の後を追って入水した王延姫を救ったのは田朔(ティエンシュオ)だった。復讐のため賊に寝返った王延姫、すでに皇太子が訪ねる郭村の道中にも油を撒いたという。「妻より野心を選んだ男だ、そんな者のために命を懸ける価値があるのか?」「あなたこそ少商より痛快に報復することを選んだくせに」「凌益(リンイー)を殺した後、少商を一目見て後悔した、夫婦は同心で肩を並べるべきだと… この5年、後悔しない日はない、復讐が難しくとも成婚すべきだった 共に明るい道を歩むべきだった」不疑の言葉を聞いた王延姫は夫もこうして悔い改めてくれたらと思うとやるせなくなった。「あなた…どうして私だけ置いていったの?」すると少商が楼犇も後悔していたと明かした。楼犇は少商に地形図を贈る際、窮地の時は心を縛られず天地を見いだせるようにと戒めたという。「その言葉をあなたに送るわ」しかしもはや夫の言葉も心に響かず、王延姫はついに火を放ってしまう。王延姫は積み上げておいた油を次々に倒し、地下室はあっという間に激しい炎に包まれた。すると王延姫は自ら煙に巻かれて倒れてしまう。その時、黒甲衛が駆けつけ、天井をこじ開けた。「若主公!」梁邱起(リャンチゥチー)は縄梯子を下ろし、身重の何昭君と負傷した袁慎を次々と引っ張り上げる。そして2人に続いて少商も無事に脱出、登ってくる不疑に手を伸ばしたが、突然、不疑の足に王延姫がしがみついて邪魔した。「…連れて行け、彼女を連れて行くんだ!」少商を守るため苦渋の決断を下した不疑。梁邱起は涙をのんで少商を床から引き離すと、ついに黒甲衛も力尽き、床は再び固く閉ざされてしまう。「子晟!子晟nnnnnnnnnnnnnnnn!」梁邱飛は少商を密室から逃がし、仲間たちも一斉に避難した。その時、地下室が爆発、少商たちは吹き飛ばされながらも九死に一生を得る。しかし不疑は…。少商は絶望の中、頑なだった自分を責めた。「子晟、後悔しているのでしょう?私の手を離さないと言ったのに! 私を散々つらい目に遭わせたから、この先はずっと私に尽くすのでしょう? 分かった、もう許すわ、だから返事をして、お願いよ!」不疑を失った悲しみに耐えられず絶叫しながら泣き崩れる少商、しかし、うなだれていた梁邱飛(リャンチゥフェイ)が物音に気づいて門を見た。「若主公…」霍不疑は生きていた。不疑は王延姫が中へ入れたのなら出られると判断、激しい煙の中で抜け道を探し当て、はい出したという。「少商…私を許してくれるのか?撤回しないでくれ」少商と不疑は硬く抱き合い、5年間のわだかまりが溶けて行くのが分かった。その時、ようやく清県から戻った楼垚が飛び込んで来る。「昭君!私と連れ添うと約束しただろう?共に子を育てると…約束を破ってはダメだ?!」崩れた密室の前で呆然となる楼垚、しかし何昭君は無事だった。「…楼垚?私ならここよ」「(はっ!)良かった!」楼垚は妻の手を握りしめ涙を流し、何昭君も楼垚の心に自分がいると分かって安堵した。田朔の陰謀を阻止するため、霍不疑と少商は共に立ち上がった。しかし不疑は道中の皇太子の元へ、少商は郭村で民を守ることになる。「少商、危険な任務になるぞ?」「大勢の民や天下に比べたら私たちの愛憎なんて微々たるものよ」「少商、君は唯一、私と肩を並べる者だ」こうして2人は県庭の前で別れた。郭村を目指してた皇太子一行の前に田朔が立ちふさがった。「三皇子、息災のようだな?」皇太子は今度こそ田朔を捕えようと意気込んだが、その時、伏兵が現れ、包囲されてしまう。劣勢を強いられた皇太子は自ら剣を抜き応戦するも負傷、満身創痍で田朔と対峙した。「国の後継者として死ぬのは戦場のみ…決して退かぬ!」「では主公に代わり正義の鉄槌を下す!」しかし危機一髪のところで霍不疑が駆けつけ、皇太子を守った。「霍不疑?!生きていたのか!王延姫の役立たずめが!」田朔は計画が失敗したと気づいて悪態をついたが…。つづく( ̄▽ ̄;)ちょっと田朔の声www最終話が不安になって来たw
2024.01.03
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月升沧海 Love Like the Galaxy(第25話)第52話「歳月を経て」15年前の孤城陥落の真実と凌不疑(リンブーイー)の出自が明らかとなり、大きな節目を迎えた宮中。文(ウェン)帝は宣神諳(シュエンシェンアン)の希望を叶え廃后とし、皇太子も降格となった。これで越姮(ユエホン)が皇后に冊封されれば、三皇子は滞りなく東宮へ入れるだろう。一方、程少商(チォンシャオシャン)は恩人である宣皇后に終生、付き添うと決めて長秋宮へ戻った。淡々と流れていく歳月、その頃、北西に駐留する霍不疑(フォブーイー)は再び殺戮に明け暮れていた。しかし今でもその右腕には少商の弦がある…。そんなある日、少商は父からの書簡を受け取った。程家で慶事があり、二兄・程頌児(チォンソンアル)と万萋萋(ワンチーチー)、堂姉・程姎(チォンヤン)と班嘉(バンジア)、そして使用人の蓮房(リエンファン)と符登(フードン)、さらに姎姎の父で二叔父・程承(チォンチョン)と青蓯(チンツォン)が成婚したという。やがて二兄夫妻は双子に恵まれた。長秋宮でも嫁ぐ五公主を送り出し、穏やかな日々が続く。こうして5年が経った。正月の夜は雪となった。宣皇后は今年も家に帰らない少商を心配したが、少商の話では程家でそれぞれの夫婦に子が生まれ、自分が戻っても座る場所さえないという。すると宣皇后は新年の願い事で少商が良人と出会い、嫁いで子を産む姿が見たいと言った。しかし少商は一生、嫁ぐつもりはないという。「まだ吹っ切れないの?」「いいえ、ただ許せないだけ…縁が切れて別れたのです、もう有り得ません」宣皇后は少商と子晟(ズーション)の復縁を願っていたが、やはり少商は簡単に自分を曲げることはない。「ではこう願うわ、私の死後、あなたの余生に同伴がいるようにと…」「縁起でもない…」「少五が嫁いで行った今、1番の心残りがあなたなの…あ、見て、こんなに雪が降って来たわ」宣皇后は寝殿に入ることにしたが、その時、ついに倒れてしまう。孫(スン)医官は宣皇后の余命を早くて1ヶ月、長くても春までと診断した。しかし頑なに皇帝と越皇后の見舞いを拒み、長秋宮を明け渡したいと申し出る。「本来なら東海(トウカイ)王と属地に移り、東海太后と名乗るべきだと…」少商は越皇后に長秋宮を返したい旨を伝えたが、越皇后は住み慣れた永楽(エイラク)宮を移動したくないと断った。「呼び名も変えなくていい、これ以上、蒸し返すことがあれば私を不快にさせるだけよ」「越皇后に感謝します」 袁慎(ユエンシェン)が回廊で待っていると少商がやって来た。この5年、袁慎は宮中に留まる少商に付き添って縁談を全て断って来たが、待っていた甲斐はあったのだろうか。「少商、宣皇后も望んでいる、伴侶を持つ気はないか?ならば私を選べ 家柄も合うし、互いに伴侶が必要だ、いっそ宣皇后を安心させるため一芝居、打つのはどうだ」「袁善見(シャンジエン)、あなたの想いには応えられない」「少商、そなたの縁談が潰れてばかりなのは目先が利かぬからだ 私は両親からも放任されて育った、自由を望むなら都で私ほど自由な者がいるか? 我らこそ最適なのに私の望みに応えられぬと?」袁慎は互いに生まれながら誰にも関心を持たれず、病友であり盟友でもあると訴えた。利が一致すれば互いに信頼し合い、裏切ることはないという。「私は某人より自分を大切にするし、危険にも近寄らぬ、ゆえに私の方が最適だ」病床の宣皇后が薬を飲んでいると、少商が戻って来た。何やら考え事をしているのか、衝立て越しでも上の空だと分かる。実は皇帝は余命わずかとなった宣皇后のため、北西にいる霍不疑を呼び戻していた。…近いうちに到着する…複雑な面持ちで寝殿に入った少商、確かに宣皇后の言う通り、わだかまりに捉われていては更なる苦しみに陥ってしまうだろう。…過去は過ぎ去るもの、今と将来を大切にして、そのためにはわだかまりを突き破る必要がある…少商は袁慎に自分の心に″彼″がいても娶るのか聞いていた。…待つよ、そなたが奴を忘れるまで待ち続ける、いつか振り向いてくれるまで…「皇后、皇宮を出る許可をください、袁善見と婚約しようと思います」霍不疑が5年ぶりに宮中へ戻った。ますます義兄に似て来た子晟の姿に思わず目が潤む皇帝、しかし軍装でも生傷が絶えない身体だと察しがつく。「なぜ1番の精鋭を都に残したのだ?皇宮を出られない少商には必要ないであろう?」不疑は梁邱起(リャンチゥチー)を少商の護衛のために残し、梁邱飛(リャンチゥフェイ)だけをそばに置いていた。邱飛の報告では5年前、王(ワン)将軍が戾(レイ)帝の残党に襲われ、若主公が救出に向かうも敵は死士、多勢に無勢で負傷したという。「袁善見の父親が兵を率いたはずだが?」「分かりません、そして2年も経たぬうちに若主公は蜀へ討伐に行きました その時、襲撃に遭った程頌(チョンソン)将軍を…」「もういい」不疑は邱飛の話を遮ったが、皇帝は凱旋した程頌が褒美をもらいに来ない理由が分かった。「少商は知っているのか?…もしや兄を助ければ復縁できると期待したのか?」「…私は過ちを犯しました、少商の許しなど求めるはずがありません 少商に知られたら、かえってもっと疎まれてしまうでしょう」皇帝は子晟に下心がないと知って安堵し、今後は度田令を監督している皇太子を補佐して欲しいという。実は少商は5年ぶりに皇宮を出ていた。袁善見との縁談を進めるためで、近々、成婚するという。「お前はどうする?崔祐(ツイヨウ)さえ正室の座は空けて妾を取ると決めたぞ?」「皇父、ご心配には及ばぬかと…」皇太子は北西の軍営で駱済通(ルオジートン)が献身的に子晟の面倒を見ていたらしいと伝えた。噂では駱済通が都へ戻って子晟と成婚すると宣言しているという。しかし不疑は憤慨、成婚などあり得ないと否定した。霍不疑は阿飛と宮中を後にした。これから直ちに霍氏の墓と祠堂を修繕し、妻は娶らず子もなさぬと祖先に報告するという。(´ ・ω・)<若主公~それってどうみても吹っ切れてないっていうか~するとちょうど外出していた袁慎たちが城門に入って来た。袁慎は馬を降りて少商を馬車から降ろしたが、その時、2人は子晟の姿に気づいて呆然となる。しばし見つめ合ったまま立ちすくむ少商と不疑、袁慎はただ黙って待つほかなかった。霍不疑は意を決して少商に向かって歩き始めた。すると少商はどう接したら良いのか分からず、咄嗟に袁慎の馬に飛び乗ってしまう。その時、不疑がまたがった少商の足を支え、大事そうにあぶみに乗せた。まるで第9話で初めて馬にまたがった少商の足をあぶみの中に通してくれた時のように…。「感謝します、霍将軍…でももう昔の程少商ではない、あぶみがなくても乗れる」少商は馬を駆けて去って行った。安堵した袁慎だったが、霍将軍が戻ったからには少商を諦めないつもりだと疑う。「少商の中で私はお前に及ばぬ、しかし少商の性分ならお前を選ぶとは限らない」しかし不疑は黙ったまま拝礼して帰って行った。北西の賈(ジア)家に嫁いだ駱済通が長秋宮に挨拶にやって来た。宣皇后と少商は都に戻った駱済通を歓迎したが、どこか言葉の端々に棘がある。「あなたは幸運ね、私なんて不遇の身… 夫が重病で四六時中、世話ばかり、再嫁を狙っていると陰口まで叩かれたわ だから私も意地になって夫の死後も賈家の君舅君姑に奉仕した でも子晟にも前を向けと言われたの 厳しい人だけれど私には寛容で、私だけ天幕に入らせ、酒や食事を届けさせた その後、天幕に入れなくなったけれど、私に苦労させないためね」駱済通は恐らく子晟が都で求婚してくれると自慢したが、宣皇后も少商も当てつけだと分かった。「…皇后が病となり吉事に水を差しましたね?」「いいえ、そういう意味では…」「分かっています、皇后が在位中は駱家を何度も庇護してきました 恩人の前で恨み言など言えるはずない、もし本音なら畜生も同然です」そこへ翟(ジャイ)媪(ウバ)がやって来た。「駱娘子、早く実家へ戻らないと…先ほど実家から連絡がありました 霍将軍が2台分の嫁荷に加え、巨大な銅鏡を届けて長老に命じたそうです ″駱娘子の嫁ぎ先をすぐ探すように″と…」「銅鏡?鏡とはね…」少商は思わず失笑した。翌日、霍不疑が屋敷へ戻ると駱済通が待っていた。駱済通は北西で連れ合った自分への仕打ちに憤ったが、不疑は確かにかつて連れ合いがいたことはあったという。あの時、駱済通は負傷した子晟の意識がないのを良い事に勝手に介抱していた。結局、すぐ軍営から追い出されたが、駱済通は外に住み着き、再び忍び込んで洗濯をしたという。「私は顔も見ていない 都へ戻る時も軍の後ろを追って来たそなたとは話もしていないぞ? それのどこが連れ合いだ?」「でも3年前、天幕にも入れてもらえなかった私が今はこうして顔を見てもらえます」駱済通は妾でも構わないと食い下がった。すると不疑が馬から降りて来る。実は不疑はとうに気づいていた。駱済通の亡夫・賈七郎(ジアチーラン)は病弱だったが、20歳の若さで死ぬほどの病ではない。「お前が謀って殺したな?その方法は言うまでもない」子晟が北西に駐留すると知った駱済通は夫の薬湯に毒を盛っていた。「…程少商のため?だから私を拒むの?」「程少商がいなくてもお前に情はなかった」つづく(ˇ꒳ˇ *)今回もいい話だったわ〜でもここにきてラクダさんが闇堕ち?せっかくしみじみしてたのにな〜
2023.12.09
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse最終話「終わらない伝説」淑容(シュクヨウ)妃・緹蘭(テイラン)が誘拐された。やきもきしながら一報を待つ旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)、すると捜索していた陳哨子(チンショウシ)が戻って来る。陳哨子は昶(チョウ)王府で監禁されている淑容妃を発見していた。しかし中には大勢の反乱軍がおり、淑容妃が身重のため下手に動けなかったという。「淑容妃は無事です、首謀者は索蘭(サクラン)王子でした」褚仲旭は自ら緹蘭を救出に向かうと決めた。陳哨子と穆徳慶(ボクトクケイ)は皇宮で待つよう諌めたが、褚仲旭は2度と妻を失えないという。そこで皇宮の指揮を陳哨子に任せ、意表をついて裏門から20人の精鋭だけ連れて出ることにした。褚仲旭はこれまで尽くしてくれた穆徳慶に別れを告げ、万一の時は財宝を持って故郷へ戻れという。しかし穆徳慶は最後まで皇帝に仕える覚悟だった。「陛下…私は長年、陛下のおそばで過ごし、故郷などとうに忘れてしまいました 帰る場所などありません」緹蘭の侍女・碧紫(ヘキシ)は注輦(チュウレン)王に命じられ、公主の情報を密かに送っていた。実は宮女が落とした薬に毒を入れたも碧紫だという。あの時、皇帝が懐妊した淑容妃を守るため愈安(ユアン)宮を禁足とした。注輦に知らせを送れなくなった碧紫は気が急き、毒騒ぎを起こせば皇帝が公主を移動させると考えたという。「信じられないかもしれませんが何もかも公主のためです! 公主を大徴(ダイチョウ)で最も尊い女性にすると言われて…それで王子に手を貸したのです まさか謀反のために公主を利用するなんて…」緹蘭は浅はかな碧紫に激高したが、今は逃げ道を探すことが先決だった。「…碧紫、まだ私の命に従う気はある?」碧紫は見張り番に公主が苦しんでいると訴えた。驚いた兵士が中へ入ると、碧紫が後ろから殴りつけて倒すことに成功する。しかし物音に気づいたもう1人の兵士が駆けつけた。緹蘭と碧紫は呆然、すると兵士は突然、矢に射られて死んでしまう。その時、驚いたことに褚仲旭が自ら緹蘭を助けにやって来た。「びーしゃあ?!」褚仲旭は緹蘭を馬車に乗せて皇宮へ急いだ。しかし反乱軍を率いた施霖(シリン)が現れ、道をふさぐ。実は施霖は注輦の人間、今日のためにこれまで屈辱に耐え忍んできたという。「旭帝よ、もう逃げられぬぞ…殺(シャー)っ!」褚仲旭はわずかな精鋭たちと反乱軍に応戦した。その時、白い影が飛び込んで来たかと思うと、敵を蹴散らして褚仲旭の隣に方鑑明(ホウカンメイ)が立つ。生きてたのかーい!>ʕ•̫͡•ʕ*̫͡*ʕ•͓͡•ʔ-̫͡-ʕ•̫͡•ʔ*̫͡*ʔ-̫͡-ʔ<ザワザワ…死んだはずの清海公(セイカイコウ)の姿にその場は騒然となった。すると馬車の中から緹蘭の悲鳴が聞こえる。「お急ぎください、ここは私が」方鑑明は施霖たちを引き受け、褚仲旭を先に逃した。↓\\\\٩( ‘ω’ )و ////バーン!褚仲旭は産気づいた緹蘭を民家に避難させた。しかし安心したのも束の間、索蘭率いる注輦軍が追いついてしまう。覚悟を決めた褚仲旭は穆徳慶と碧紫に緹蘭を任せ、戦いの渦へ飛び込んだ。わずかな精鋭たちが全滅、褚仲旭は孤軍奮闘した。やがて日も暮れる頃、民家から元気な産声が聞こえる。緹蘭は産後の身体を引きずりながら何とか外へ出たが、そこには致命傷を負って血まみれとなった褚仲旭がいた。驚いた緹蘭は褚仲旭に抱きつくと、褚仲旭は碧紫の腕に抱かれた元気そうな男の子に気づく。「…我らに…そっくりだ…」その時、索蘭はこの機に姉と子を奪えと命じた。褚仲旭は緹蘭を守ろうとしたが、緹蘭が身を挺してかばい、褚仲旭の代わりに刺されてしまう。「緹蘭?…緹蘭!!うわあぁぁぁぁーっ?!」その時、白い影が現れ、一瞬の隙に索蘭の首をかっ切った。方鑑明は一刻も早く褚仲旭を皇宮へ連れ帰ろうとした。しかし褚仲旭は絶命した緹蘭を離そうとしない。「緹蘭が言った…朕のいない世を生きるつもりはないと… もう疲れた…このまま何もしたくない…」すると褚仲旭は大徴の民と息子を方鑑明に託し、愛する緹蘭と一緒に旅立った。城門を死守していた張承謙(チョウショウケン)だったが、いよいよ限界に近づいていた。その時、夜空に照明弾が上がる。反乱軍を指揮していた湯乾自(トウカンジ)は後ろを振り返り、先頭を駆けてくる方海市(ホウハイシー)の姿に気づいて驚愕した。援軍の到着に気づいた張承謙は開門を指示、突撃を命じて援軍と合流する。海市たちは城外で反乱軍と交戦し、湯乾自を生捕りにして決着した。すると任勇(ジンユウ)が駆けつけ、城内の状況を報告する。「索蘭が死にました!しかし…淑容妃も争いの中でお亡くなりに…」海市は任勇から龍尾神の護符を受け取り、湯乾自を激しく責めた。「お前は索蘭と手を組み、緹蘭を死に追いやって天啓の民を不安にさせた!」その時、愛する緹蘭の死に絶望した湯乾自は兵士の長槍を握って自ら身体を突き刺し、自害した。緹蘭の子供は早産のせいか生まれつき身体が弱く、李(リ)侍医は長くは生きられないと診断した。一方、海市はようやく皇宮に駆けつけ、城門で待っていた穆徳慶から旭帝の崩御を知る。「陛下は淑容妃と旅立たれました、混乱と動揺を招かぬよう清海公がまだ内密にせよと… しかも清海公は皇子のため、再び柏奚(ハクケイ)の契りを結ばれたのです」海市は無我夢中で昭明宮に向かった。すると憔悴した方鑑明が寝台に寄りかかって座っている。「来てくれたのか…」海市は鑑明の隣に腰を下ろしたが、何も言えずにいた。「越(エツ)州には戻れない…皇子がお生まれになった…朝廷が不安定な今、正当な補佐が必要になる」「…斛珠(コクジュ)夫人として私が支えるわ」「優しいのだな」鑑明はしみじみ海市にもっと早く会いたかったと漏らした。「私が若い頃に出会えていたら…良かったのに…」「ある書物で読んだわ、この世界には並行する別の世界が存在していると… 別の世界では私たちは同じくらいの年でもっと早くに出会っているかもしれないわ」…別の世界にいる海市と鑑明は宮中で行われた投壺(トウコ)の試合で初めて出会った海市の投げた矢が鑑明の頭を直撃、負けず嫌いの2人は言い争いになってしまう初めこそ鑑明は海市に意地悪だったが、やがて互いを意識するようになり、年頃になると2人は婚姻を約束した…「そして私は何人か子供を産むの、2人で子供を育てゆっくり年老いて行く」「卓英(タクエイ)を忘れているぞ?」「忘れていないわ、この世界では私が年上だから…卓英には師娘(シジョウ)と呼ばせる」鑑明は出会いが遅くなったことを謝り、まだやり残したことがたくさんあると言った。しかし自分でもこれからどうなってしまうのか分からないという。「…海市、少し疲れた、眠らせてくれ」鑑明は横になり、愛する海市の膝枕で眠ることにした。「必ず起こしてくれ…長く眠らないように…」天享(テンキョウ)16年、大徴の順武(ジュンブ)帝が崩御、元号は景恒(ケイコウ)と改められた。忘れ形見となった皇子・惟允(イイン)は淳容(ジュンヨウ)妃を皇太后と呼んで敬っている。やがて順武皇帝は陵墓に葬られ、宗廟の前で大徴高祖の名が贈られた。一方、鵠庫(コクコ)では右王の額爾済(ガクジセイ)が病で逝去した。後継者の奪罕(ダツカン)は他部の帰順を受け入れ瀚(カン)州を統一、自ら渤拉哈汗(ボツラコウハン)と名乗る。″渤拉哈″とは黒いたてがみ″烏鬃(ウソウ)″を意味していた。奪還は早速、大徴と同盟を結びたいと書簡を届け、摂政である皇太后宛に直筆の文を送る。「そうだ、哥哥からひとつ知らせがある」実は方卓英はついに鞠柘榴(キクシャリュウ)と再会を果たしていた。それから5年が経った。惟允は母后がかつて龍尾神を天啓に呼んだと師匠から聞いたが、鮫が怖くなかったかと尋ねる。「鮫人のいるところには鮫が出没するとか、鮫は怒ると船まで噛んで壊すそうですね」「鮫は怖いわ、でも守りたい人がいたから仕方がなかったの」海市は惟允にも困難や危険に立ち向かい、自分の信念に従って民を守って欲しいという。すると惟允は師匠と同じ言葉だと笑った。「今から老師に会いに行きます、母后も一緒に行きましょう!」「老師はお身体の具合が悪い、独りで行きなさい」「以前より回復されました…母后が行けば老師も喜びますよ?」「そうね」その頃、昭明宮では仮面をつけた老師が満開の霽風の花をながめていた。完( ̄▽ ̄;)意地でも海市と師父を一緒にしないという執念だけは伝わったw何だかんだ言いながらも、いざ終わってみると寂しい〜(´・ω・)
2022.12.16
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月升沧海 Love Like the Galaxy(第23話)第50話「我が名は…」文(ウェン)帝の命を受け、崖から落ちた凌不疑(リンブーイー)の捜索に向かった三皇子。深手を負った不疑はかろうじて山肌の蔓に絡まり生きていた。三皇子は懸命な救出作業を見守っていたが、程少商(チォンシャオシャン)の心配が的中し、左(ズオ)将軍が引き上げを手伝うふりをして縄を切ろうとする。しかし目を光らせていた三皇子が気づき、あっけなく捕まった。「…呼応する仲間を待っているのか?だが奴らは永遠に来ないぞ 収監して拷問せよ!死んでも構わぬ!」凌不疑は崖から引き上げられ、三皇子が急いで宮中に運び込んだ。皇帝と三皇子が見守る中、医官たちの懸命な治療が続いたが、不疑は琴の弦を握りしめたまま離さず、なかなか手当が進まない。「琴の弦?」「少商の弦です…意識を失っても誰にも触らせないとは…」皇帝は老三の話を聞いて少商がいないことを思い出し、すぐ呼ぶよう命じた。曹(ツァオ)常侍(ジョウジ)は程娘子ならすでに回廊にいると伝えたが、本人曰く凌将軍とは縁が尽きたので会えないという。「首に縄をつけても連れてこい!」しかしその時、殿外から少商の笛の音が聞こえてきた。凌不疑は叶わなかった少商との成婚の夢を見た。…もし私を独りにするなら一生許さない、来世も、来来世も許さないから!…このまま死を選べば2度と少商は許してくれないだろう。走馬灯のように蘇る少商との思い出、それが不疑の生きる希望となった。…それから別院に花畑を作る、琴と笛で合奏するの、私たち2人で共白髪となり生死を共に…すると不疑は弦から手を離し、それまで無意識に受け付けなかった薬を飲み始めた。こうして不疑は峠を越え、夜が明ける。「もう凌将軍は大丈夫です!」医官の声を聞いた少商は部屋の中をのぞき、不疑の無事を見届けてから倒れた。少商が目を覚ますと皇后が付き添っていた。「せっかく子晟が目覚めたのに、そんな様子では心配になる」「…彼とはもう終わりです」少商は自分が子晟でも同じ選択をしたと理解を示したが、何が真心で何が計略なのか分からなくなったという。「あんな仕打ちは承服できない、敵を殺したいのなら、そう言って欲しかった 私も一緒に行く、たとえ黄泉だとしても一緒に行くのに… でも私を独りにするのは許せない、しかも私のためだなんて… 幼い頃は両親に捨てられ、今度は愛する人に捨てられた 陛下と皇后から教わりました、夫婦は一心同体だと…そうでしょう? でも私だけが一心で彼は隠し事ばかり、一心だったことがあったのでしょうか?」「…もう決めたのね?」「決めました」すると皇后は納得できるまで調べるよう勧めた。全てが分かった時、少商がどんな選択をしても支持するという。「余とは違ってあなたの人生は順当であって欲しい、余の分までしっかり生きるの」少商は袁慎(ユエンシェン)に頼んで淳于(チュンユー)氏と会うことにした。実は淳于氏は血の海の城陽侯符を目撃し、衝撃のあまり錯乱してしまったという。人を見ても暴れるだけで会話もできず、今は廷尉獄に収監されていた。実は少商は兼ねてから城陽侯夫妻が仲睦まじく見えず、凌益(リンイー)がなぜ非難されると知りながら後添えを迎えたのか疑問だったという。「そうか、弱みを握られ、娶るしかなかったと…」少商は淳于氏に凌益が死んだと教えた。「当時、あなたが流産した理由を知ってる?家職に聞いたの 凌益はあなたの飲食に薬を盛らせた、長年、服用すれば身ごもれなくなるわ 彭坤(ポンクン)と結託した証拠を握れば城陽侯夫人になれると思ったの? 凌益のごとき奸人が脅されたままで甘んじるはずない あなたが寄る辺もなく孤独に死ぬのを望んでいたのよ、そうしてこそ脅す気力も失せる …でも錯乱しているなら真相を知っても苦痛じゃないわね」淳于氏は激しく動揺すると、ふいに凌益に叩かれた時の事を思い出した。あの時、あまりの理不尽さに憤り、いつも手を合わせていた神像を三才観の汝陽(ジョヨウ)王妃に届けるよう頼んでいる。すると淳于氏は急にその場にひざまずき、手を合わせて一心不乱に祈りを捧げ始めた。「三才観の女媧様!私にどうか子供をお授けください…」袁慎は結局、淳于氏が錯乱しているのか偽りなのか分からなかった。すると少商はどちらにせよ生き延びるには錯乱するしかないという。「因果応報よ、これから三才観へ行く」意識を取り戻した凌不疑は朝堂で15年前の孤城陥落について証言することになった。皇帝は念のため医官を待機させ、その場で薬を煎じさせている。すると廷尉(テイイ)府・紀遵(ジーズン)が口火を切った。「教えてくれないか、当時、孤城で一体、何が起きたのか…凌将軍?」「私は霍(フォ)だ、凌ではない」今も忘れられない、あれは杏の実がなる頃だった…あの日、阿猙(アージョン)は身体が弱い阿狸(アーリー)のため、木に登って好物の杏を採ってやったしかし木から降りる時、うっかり衣が引っかかって破れてしまう『阿母が用意してくれた衣なのに…見つかったら罰を与えられる』『見せて…大丈夫、僕と衣を替えよう』阿狸は衣を交換して舅父・霍翀(フォチョン)が気づくかどうか試そうと提案した衣なら自分が破ったと言えばいいという『この杏は舅父と舅母に渡して、そうすれば阿母の前で僕をかばってくれる』阿猙は阿狸の衣を着て父の部屋に入り、書卓に杏を入れた袋を置いたすると外から父たちの声が聞こえ、咄嗟に衝立ての裏に身を隠す衝立ての隙間から見えたのは父の背中の傷を手当しながら撤退するよう説得している姑父・凌益の姿だった『援軍が遅すぎる、文氏は我らを見捨てた…将軍、孤城を守ってやる必要はありません』しかし霍翀は一蹴し、妹婿という立場に免じて聞かなかったことにすると言ったその時、阿猙は凌益が背後からいきなり父を刺すところを目撃する『ぐっ…やはり敵と通じていたか…』『なぜ降伏せぬのだ?英雄になるため我らまで道連れにすると?! 援軍は来ない、いや来られぬのだ、誰も来ない…』阿猙は父の最期を目の当たりにしながら、嗚咽が漏れないよう必死に自分の口を押さえた…「凌益の結託した相手が誰なのか謎のままでした しかし寿春(ジュシュン)で突き止めたのです、凌益と共に孤城を陥れたのが彭坤だと…」…阿猙が息を潜めて隠れていると、誰かが入って来た『投降の説得では?なぜ殺した?!』『霍翀は強情だ、絶対に投降などしない…殺さねばいつか報復される だが家族は見逃せるだろう?』『誰が見逃すと?霍翀がいなくなったのなら攻める絶好の機会だ 孤城が陥落すれば文帝の敗北を決定づける、共に主公を入城させるぞ』『騙したのか?!家族は見逃すという約束だ』『お前だけだ、どちらにせよ兵が殺す』すると凌益たちは出て行った阿猙の足元まで流れて来た霍翀の鮮血、すると建物に火が放たれ、阿猙は煙を吸い込んで気を失ってしまうしかし運良く、その日は孤城に大雨が降った阿猙が目覚める頃にはすっかり日も暮れ、外は見渡す限りの骸と血の海が広がっていたすると突然、父の妹・霍君華(フォジュンホワ)が現れ、生き残った2人は身を隠すことにするその時、稲光が暗闇を照らし、城門が見えた霍君華は悲鳴を上げ、咄嗟に甥の顔を手で覆ったが、阿猙は姑母の指の隙間からその情景を見てしまう城楼には父や叔父たちの生首が並び、その中に阿狸の顔があった…「衣を替えた阿狸は私の代わりに死んだのです」2人は賊軍がいなくなるまで丸二日、飲まず食わずで死人の山に隠れ、城門を逃げ出した。我が子の無惨な姿を見た霍君華は時に錯乱し、時に呆け、ずっと息子の名を叫びながら、都へ戻ろうと言い続けたという。そして2人は何度となく死にかけること2年、やっと都へ到着し、皇帝に謁見した。実は当時、霍君華は甥が凌益に殺されないよう阿狸と呼んでいたという。『童よ、そなたは…』皇帝はあの時、不疑に名を聞いた。しかし錯乱した婦女と幼子に過ぎない自分たちに闘う術などなく、不疑は身分を偽ったという。『私の名は…凌不疑』不疑は敵を討つために阿狸の身分でいるしかなかった。賊を父と見なし、本名を隠したのも全ては仇を葬り去るためだったという。「父のため、霍一族のため、孤城の民のため、孤城陥落に関わった者には代償を払わせる! それも達成間近と思えた… 都へ戻った私は密かに探り始めるも、凌益が次々と証拠を隠滅、そして結局、私は負けた 凌益は関わった者を彭坤も含めて全て殺害、姑母も身体が持たずに無念のうちに病死した… こうして証人が全て消え、望みは潰えた 正当に凌賊を捕らえられぬなら、自ら手を下すのみ…」「これぞ同害報復…」皇帝は不疑の前まで歩いて行くと、もう一度、あの時と同じように聞いた。「童よ、自ら言ってみよ、お前の名は?」「私の名は…霍無傷(フォウーシャン)」つづく。゚(∩ω∩`)゚。 しゃんしゃ〜ん!
2023.12.03
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星汉灿烂 Love Like the Galaxy 第21話「それぞれの選択」一族の敵を討ち、肖(シャオ)世子の首を取った何昭君(ハージャオジュン)。程少商(チォンシャオシャン)はその境遇に同情しながらも、やはり楼垚(ロウヤオ)を譲ることはできないと伝えた。しかし何昭君はもはや情愛など問題ではないという。「阿父は最期に私の頬を叩いて言ったわ ″もう何家でお前を守れる者はいない、将来の何家と幼い弟にはお前だけが頼りだ″と… 程少商、もう昔の私とは違う… 私が阿垚を好きだと思う?私だって自分の幸せを犠牲にするの 父や兄が戻ってくれるなら楼垚なんて惜しくもない!」その時、凌不疑(リンブーイー)が現れ、程娘子(ニャンズー)に食ってかかるなと割って入った。「ふっ、こんな憐香惜玉な十一郎(ジュウイチロウ)を見るのは初めて… 程少商、凌将軍がいるんでしょ?なのに楼垚まで奪うの?!」何昭君の怒号が響き渡り、少商は思わず身をすくませた。すると不疑は少商に自分の馬車で送ると伝え、先に車に乗せる。「安成君、父兄の忠勇に今は皆が何家姉弟を哀れむが、時は移ろうもの… 敵を作るか、善意で接するかは安成君の心がけ次第だ」アルソックw少商は馬車の中で凌将軍から馮翊(ヒョウヨク)郡の話を聞いた。馮翊郡は何将軍たちの命懸けの抵抗があり、驊(カ)県のような惨劇は免れたという。「だからと言って破談を勧めているわけではない 私の本音はひとつ…程娘子がどう選ぼうと全て正しい」すると少商はなぜ自分ばかり運が悪いのかと号泣してしまう。( ;∀;)ァァァ…にゃおにゃお…楼垚は曲陵(キョクリョウ)侯府の前で少商を待っていた。すると少商がなぜか凌将軍の馬車で帰って来る。実は少商は何昭君と一緒に肖世子の処刑に立ち会っていた。「何だって?!抗議して来る!」しかし少商が止める。「阿垚…しばらく来ないで、独りで考えたいの」楼垚は少商の背中を見送ったが、思わず呼び止めた。「少商…点心の新しい店ができたんだ、落ち着いたら食べに行こう」少商は笑顔を見せたが、うなづくだけで精一杯だった。楼垚は夜まで曲陵侯府の前に立っていたが、少商が現れることはなかった。…少商、約束しただろう?決して離れないと…程始(チォンシー)と蕭元漪(シャオユエンイー)は楼垚の一途な想いに胸を痛めたが、結局、嫋嫋(ニャオニャオ)とは縁がなかったのだろう。しかし程家には楼家との縁談をどうしても諦められない者がいた。程老夫人董(ドン)氏は先走って孫が皇太子の夫子の家に嫁ぐと言いふらし、破談に反対して楼家からの聘礼(ヘイレイ)を手放そうとしない。蕭元漪は仕方なく今日は婚姻の相談に行くだけだとごまかしたが、そこへ少商がやって来た。「阿父、阿母、大母…阿垚とは破談にします」(꒪ꇴ꒪〣)ガーン!@老太太少商は両親と共に楼家を訪ね、破談したい旨を伝えた。寝耳に水の楼垚は少商が何昭君から脅されたのだと疑ったが、少商は否定する。すると少商にまで見限られた楼垚はこれまでの鬱憤が爆発した。「誰もが大義をかざして仁義の行いや恩に報いることを説く… でも我慢を強いられるのはいつも私だけ! 私の代わりにもなれぬくせに、なぜ私だけを犠牲にするんだ? 少商、なぜ君まで私を追い詰める?」楼垚の苦しい胸の内を誰より理解しているのは少商だった。「阿垚、2人だけで話があるの」 ( ;∀;)あーやお…楼垚は激しく反発、破談にはしないと断言した。しかし少商は悲しみをこらえ、楼垚を説得する。「前に何昭君のことは嫌いだけど何将軍には可愛がられたと話してくれたわね 五公子とも親しい間柄で、弓術を教わったのでしょう?」少商は馬車の中で凌不疑から聞いた何家の壮絶な死に様を教えた。実は五公子は賊から数十の矢を受け、回収した亡骸は穴ばかりだったという。他の息子たちは馬に踏まれ、亡骸の欠けている者もいた。「今回、馮翊郡の民は驊県とは違ったそうよ 何将軍が息子5人を率いて矢面に立ったから、民を守り災いを阻むことができたの 何将軍は国のために散った、将軍の前では男女の情なんて取るに足りないことだわ」そうは言っても犠牲になるのは楼垚、少商は代われるものなら自分が代わってあげたいと涙した。「…少商、君は正しい」楼垚は驊県での辛い体験から民を守れるようになりたいと誓っておきながら、少しの我慢もできないと反省する。すると少商が未来なら変えられると励ました。「阿垚、何昭君を娶ったらただの夫ではなく、兄であり、寄る辺となる だから大切にして教え導くのよ、彼女が過ちを犯したら譲歩してはだめ、言いなりにならないで」「…また強情を押し通せば何将軍の墓前で反省させるよ」楼垚は少商と一緒に破談を決めたと報告した。安成君を娶ればこの先、十余年は何家の部曲が二房の指示に従うことになる。楼垚は大房の干渉を牽制し、もはやこれまでの怯える二房公子の面影はなかった。「程叔父、程叔母、今後は私を身内と見なしてください…少商、これからは私を兄と呼んでくれ」「はお、今後は順風満帆で、いつか外地で仕官し、高く飛べるように祈っているわ」「私も祈っている、君が良い人に出会い、共白髪となって添い遂げ、情愛を貫くと…」こうして2人は笑顔で別れた。汝陽(ジョヨウ)王妃は孫の裕昌(ユーチャン)と凌不疑の仲を取り持つため、城陽(ジョウヨウ)侯府を訪ねた。しかし城陽侯凌益(リンイー)が皇帝に上奏して息子を呼び寄せていたにもかかわらず、子晟(ズーション)は現れない。王妃と郡主は仕方なく帰ることにしたが、話題は自然と楼家の縁談話になった。裕昌はさすがに巻き込まれた程娘子に同情し、もう良縁はないだろうという。すると汝陽王妃は強情で品行が悪い程少商の心配など必要ないと冷たかった。その時、ちょうど門前に凌不疑が現れる。「皇帝が望んでまとまった楼何両家の縁談にとやかく言うのは天下の罪人だ …先日、陛下より半年の俸禄を召し上げられた、その理由をご存知か?」慌てた城陽侯妃淳于(チュンユー)氏は中で食事をしようと話題をそらしたが、不疑はそんな気分ではないと一蹴した。「皇帝を煩わせずとも今後は頻繁に会いに来るつもりだ そうだ…程娘子の縁談だが心配には及ばない、彼女の婚姻は私が責任を持つ」←唐突に何?wその頃、曲陵侯府では老夫人が楼家との破談を知って大泣きしていた。 皇帝は涂高(トコウ)山での祭典に曲陵侯と夫人、子供たちの随行を認めた。程始はちょうど嫋嫋の気晴らしになると喜んだが、少商は祭天の儀にも出ずにひとり鬱々としている。そんな少商を心配した万萋萋(ワンチーチー)は少商と程姎(チォンヤン)を騎射場に誘った。「班(バン)侯がひ孫を紹介したくて若い息女たちを招待したの でも班侯もお気の毒よね、戦乱で子も含めて一家が亡くなり、5人の孫まで失うなんて… だから唯一の子孫・班嘉(バンジア)を宝のように溺愛しているらしいわ でも身を固める年頃になって初めて遠出し、都も不案内ときてる」すると少商は何昭君と似たような境遇だと気づき、かえって気落ちしてしまう。騎射場の貴賓席には少商がお目にかかる機会などない公主たちが座っていた。唯一、天下平定後に生まれた五公主は末娘ということもあり溺愛され、天敵の王姈(ワンリン)と仲が良いという。五公主と犬猿の仲なのは越(ユエ)妃の娘・三公主。生まれてすぐ小越侯に育てられ、派手好きは萋萋と良い勝負に見えた。実は皇帝が宣(シュエン)越両族の婚姻を決め、五公主は三公主の従兄に嫁ぐことになっている。「従兄を怒らせないことね、気が短いの、屋敷の″幕僚″をどう片付けるのか考えたら?」一番、落ち着いて見えるのは二公主だった。二公主は騎射を見ないなら駙馬と囲碁でも打てと三妹を叱り、五妹をかばう。その中でただ一人、装飾品も身につけない質素な貴賓がいた。実は皇帝が天下平定前に皇太子に娶らせた太子妃だという。「実家は貧しく田舎の出身でね…」その時、程頌児(チォンソンアル)が萋萋の頭をこずいた。「口は災いの元だ、嫋嫋に皇族の秘話など吹き込むな」すると運悪く騎射場に何昭君と楼垚がやって来た。つづく。゚(∩ω∩`)゚。 ←思いの外、あーやおショックが響いている管理人w
2023.08.25
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月升沧海 Love Like the Galaxy (第2話)第29話「偏愛される喜び」宮中での花嫁修行が決まった程少商(チォンシャオシャン)。皇后・宣神諳(シュエンシェンアン)は早速、長秋(チョウシュウ)宮に少商の部屋まで準備し、自ら案内してくれた。思わぬ厚遇に少商は母でもここまでしてはくれないと目を丸くしたが、皇后は女将軍として戦った母では子にも厳格になるものだとかばう。実は皇后は少商が凌不疑(リンブーイー)の未婚妻であること以外にも、その生い立ちに共感していた。皇后もかつて少商と同じような境遇に身を置いたことがあり、苦労が痛いほど分かるのだという。「だから哀れに思い大切にしたくなるの、たとえ言葉が過ぎたとしても無礼には感じないわ あなたを偏愛する余(ヨ)の心が分かる?」少商は皇后がなぜ一族の王姈(ワンリン)を訴えた自分に寛大なのか納得し、思わずひざまずいた。「ありがとうございます、皇后」日も暮れた頃、長秋宮を出た少商は凌不疑と一緒に城門へ向かっていた。実は不疑は少商が皇帝と皇后の出方を見ようと王姈を訴えたことに気づいていたという。まだ幼く怖いもの知らずの少商、不疑は危険を冒さず、2人の性分が知りたいのなら自分に聞けばいいと言った。しかし少商は例え殺し合いになろうとも座して死を待ったりしないと威勢が良い。「では私について何か聞きたいことはあるか? 私は長秋宮で育った、知りたくないか?私がどんな人間なのか…」そこで不疑は少商の手を引っ張って城楼へ連れて行った。凌不疑は幼い頃、何度もここに来ては眼下に広がる世の灯火と燦爛(サンラン)と輝く星を眺めた。「心から望んでいた、この灯火のうちわずかな光でもいい、自分のものであったならと…」それは一見、簡単なことのように見えて、不疑にとってはとても難しいことだった。実は従軍したのは皇帝の恩に報いるためだったが、戦場に身を置くことで、この世の星河を守りたかったという。すると少商は目を輝かせながら話す不疑の顔をまじまじと見つめた。「…どうした?」「見たいの…その瞳に映っている星が…」少商は思わず不疑の顔をのぞき込んだ。「もっと近づけばよく見えるだろう、私の瞳に映る一番、輝く星は君だ」不疑はふいに少商を抱き寄せ、おでこにそっと口づけした。その夜、少商は床に入っても不疑のことが頭から離れず、なかなか寝付けなかった。おかげで翌朝、蓮房(リエンファン)に叩き起こされ何とか迎えの馬車に乗り込んだが、護衛の梁邱飛(リャンチゥフェイ)もあくびが止まらない。「昨夜、月を眺めながら散歩する若主公にずっと付き添っていたんだ…眠いったらないよ~」「初めて口づけすれば興奮もするだろう」梁邱起(リャンチゥチー)は阿飛も口づけすれば同じようになるとなだめた。「今後も早起きは続くぞ、未婚妻を心配する方がいるからな…」( ;∀;)<誰か~助けてくれ~いつまで続くんだ~@飛凌不疑は眠い目をこすりながら毎日、少商を送迎していた。一方、少商は厳しい掟や難しい教えに戸惑い、身が入らず一向に進歩しない。確かに典籍など幼い少商が理解するには難しく、実際に役立つわけでもなかった。そこで皇后は試しに九連環を渡してみると、少商はあっという間に解いて見せる。皇后は誰にも得手不得手があるものだと考え、少商の長所を伸ばしながら、苦手な読み書きや掟は少しずつ学ばせることにした。少商は物作りの才能を伸ばし、そのおかげで詩や典籍も楽しく学べるようになった。「皇后、実は仕掛け作り以外にも得意なことがあるんです」門で控えていた皇后の側仕え・翟(ジャイ)媪(ウバ)は皇后の悲鳴を聞いて慌てて寝殿に飛び込んだ。「程娘子!なんたることです!皇后の背中を蹴るとは!」「ぁ…これは骨開きです、これで重かった腰や背中が軽くなるんです」すると皇后は確かに身体が楽になったと喜んだ。ちょうど菓子の差し入れに来た駱済通(ルオジートン)はやり方を教えて欲しいと頼んだが、翟媪から嫁ぎ先の夫のためかとからかわれてしまう。「許されるなら程娘子のように皇后にお仕えしたいわ、そうすれば遠くへ嫁がなくて済むのに… 幸運な程娘子が羨ましい」「幸運なんて初めて言われたわ」幸運とは最も縁遠い少商、まさかこれが凌不疑に未練が残る駱済通の本音だとは知る由もなかった。その時、突然、誰かのけたたましい声が聞こえてくる。「…あれは文修君(ウェンシウジュン)だわ」駱済通の言葉に皇后と翟媪の顔から急に笑顔が消えた。↓さすがにこれはダメだろうwww文修君が王姈(ワンリン)を連れて長秋宮に乗り込んできた。少商は自分が王姈を訴えたせいだと気づいて皇后を守ろうとしたが、宣神諳は人払いしてしまう。仕方なく部屋に戻った少商、すると後をつけてきた王姈が入ってきた。相変わらず傲慢な王姈だったが、少商は平然と王姈のことが好きだという。「だって愚かだから…」少商は王姈がその愚かさゆえ、口を開けば弱みを握られるのだと呆れた。文修君は宣神諳が程娘子を可愛がるのも無理はないと嘲笑った。「夫に愛されず、息子は無能、娘は良心もないと来てる… だから慈しみを他人に注ぐしかないものね」「妹妹、わざわざ余を辱めに来たの?」すると文修君は本題に入った。実は弟の小乾安(ケンアン)王から文があり、寿春(ジュシュン)での生活が苦しいため銭を鋳造したいという。宣神諳は相談する相手が違うと断ったが、突然、文洲君が怒鳴り始めた。「乾安王一族からの恩を忘れたの?!養ってやったでしょう?!」少商と王姈は文修君の怒号に驚き、寝殿に駆けつけた。外で控えていた翟媪は言い争いになっていると話したが、皇后から誰にも中に入れないよう命じられたという。しかし少商は激しく罵倒される皇后を案じて思わず中に飛び込んだ。その時、ちょうど文修君が怒って燭台を倒し、少商は咄嗟に皇后をかばって腕に怪我をしてしまう。興奮冷めやらぬ文修君は殿門を開いて恩知らずな皇后の過去を知らしめてやると叫んだ。少商は皇后が殿門を閉めたのは文修君を守るためだと言い返し、口汚い言葉が外に漏れたらただでは済まないはずだと牽制する。「…ふん、私が死を恐れるとでも?」「では直接、陛下に文句を言って死んではいかがですか?皇后は無関係です!」すると文修君はさすが凌不疑が選んだだけあって弁の立つ娘だと鼻で笑った。「程少商、何様のつもり?!お前の夫も離縁され錯乱した女の息子 宮中で育てられて皇子だと勘違いしている」「子晟(ズーション)の功績は戦場で命を懸けて勝ち取ったもの、陛下の偏愛ではないわ 一族の権勢を笠に長秋宮で無礼を働くよりはましです!」その話をちょうど長秋宮を訪ねた文(ウェン)帝と凌不疑が聞いていた。文修君は新参者の少商の無礼に激高し、掟を教えてやると手を振り上げた。しかし皇后に腕をつかまれ止められてしまう。「鋳造権も渡さず、小娘さえ懲らしめられないと?やはりあなたは恩義を忘れた裏切り者よ!」「もうよい」そこへ皇帝が凌不疑を連れて現れた。( ๑≧ꇴ≦)まさかのアルソック皇帝皇帝はなぜそこまで執拗に皇后へ恩を着せるのか理解に苦しんだ。確かに皇后の父が亡くなった時、乾安王が夫人を哀れんで母子を引き取ったが、そもそも文修君の祖父が難に遭った時に死線を潜り抜けられたのは宣氏全族の助けのおかげ、乾安王はその時の恩を返したに過ぎない。「奏上したければなぜ車騎(シャキ)将軍を通して朝堂で訴えぬ? 長秋宮で皇后を困らせるのは、皇后がそなたに寛容だと知っているからだ 今日の皇后への不遜、行き過ぎた言動と不敬の数々はどんな罪になる?」驚いた皇后はそれとなく不疑に助けを求めた。「では文修君、お選びください、ここで陛下の処罰を待つか、私と共に皇宮を出るか」文修君は凌不疑と宮中を出たが、全く懲りていないように見えた。しかし不疑は城門への道すがら思わぬ情報を得る。「あなたのように両親の情も解さず冷酷な者には私のやり方は理解できないでしょうね? 陛下が父を孤城へ救援に行かせねば、勝利する前に父が死んだと思う?」「文修君はご存知なのか?乾安王が亡くなった理由を…」「もちろんよ」文修君の話では小越(ユエ)侯が乾安王に先んじて瘴気(ショウキ)を調査させるも、調べた兵士が死んだので報告してきたという。それでも乾安王は孤城を救おうと危険を冒して瘴気の中へ入り、結局、命を落とした。「あなたの舅父(キュウフ)を助けるために父は荒れ地で死んでいったのね 父が生きていたら今頃、天下は誰の手にあったかしら」「この件には裏がありそうだ、これ以上、利用されぬことです 小越侯と宣氏は不仲、小越侯の言葉は鵜呑みにできない それに陛下は小乾安王に義理を尽くしている、鉱山があれば困らぬはずだ 過分な望みは持たず、一方だけの言葉を信じぬように…」しかし文修君は不機嫌そうに帰ってしまう。実は小越侯は宣氏が皇帝に嫁いだせいで妹が后位を逃し、乾安王を恨んでいた。「…小越侯を見張り、調査を続けよ」三公主はちょうど馬車に乗ろうとしていた文修君母娘を見かけた。「長秋宮を追い出されたのは文修君だったのね~ 鋳造権の件で嘆願に来たとか…よほど切羽詰まっているのかしらん」「三公主こそ足元を見られませんように」すると文修君は逃げるように帰ってしまう。その様子を城楼から凌不疑が見ていた。つづく( ゚ェ゚)え?ずーしょんのママは離縁されてたのか…今さら?w
2023.09.24
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月升沧海 Love Like the Galaxy(第24話)第51話「それぞれの区切り」凌不疑(リンブーイー)は15年間という長い歳月を耐え、ついに本当の名を明かした。「私の名は霍無傷(フォウーシャン)」「霍兄、すまなかった、今まで気づかぬとは…許してくれ」文(ウェン)帝は亡き義兄の忘形見を抱きしめ号泣したが、不疑は己の罪を認め、死を望むという。すると左(ズオ)御史中丞がこれ幸いと即座に死を賜るよう上奏、皇帝の逆鱗に触れても追及の手を緩めなかった。そもそも凌益(リンイー)が敵と通じた証拠がないという。しかし思いがけず廷尉府の袁慎(ユエンシェン)が証拠を持ってやって来た。凌益の妻・淳于(チュンユー)氏は職人に作らせた女媧像を汝陽(ジョヨウ)王妃に贈っていた。「その中に彭坤(ポンクン)と凌益の書簡が隠してありました、孤城を占領した証拠になるかと…」皇帝は書簡を確認、左御史に投げ渡した。しかし左御史は霍将軍にはまだ東宮の虎符を盗んで軍を動かした大罪があると食い下がる。すると今度は三皇子が駆けつけた。左御史の弟である左将軍は子晟(ズーション)の救出を邪魔しようとして捕まっていた。将軍は拷問により何もかも自供、左家は田(ティエン)家酒楼の番頭・田朔(ティエンシュオ)に大金で抱き込まれていたという。実は田朔は戾(レイ)帝付きの内侍で、腹心中の腹心だった。朝廷から戦神・凌不疑が消えれば安心して山河を奪い返せると考えたのだろう。内侍は田朔と名を変えて商人として潜伏、この数年は酒楼を隠れ蓑にしていたが、朝廷の官員も多く往来していた。「雍(ヨウ)王や小越(ユエ)侯とも結託していたのです! 父皇、彼らは田朔にそそのかされ、国と民に害を及ぼしたかと…」「田朔は霍将軍に恨みがあると言っただけ…戾帝の内侍など知りませぬ!」左御史は無実を訴えるも後の祭り、朝堂から引きずり出されてしまう。「厳しく拷問を科せ!死んでも構わん!」しかし三皇子の報告で田家酒楼はすでにもぬけの殻、謀反の証拠をつかむも田朔に逃げられてしまったという。( ๑≧ꇴ≦)ノ″ さようなら、おじいちゃ~ん!皇帝は奥殿に子晟と三皇子を呼んだ。確かに今回、子晟が虎符を使ったせいで皇太子は弾劾され、名声まで地に落ちている。三皇子は必要に駆られて使ったのだろうと庇ったが、皇帝はすでに気づいていた。「太子の手にあった虎符は偽物だ、小越侯に盗まれた虎符を子晟が取り戻し、そのまま持っていた お前たち2人は最初から…」「そうです」もはや隠し立てできないと悟った三皇子は皇兄ではこの国を担えないと訴え、楼犇(ロウベン)の事件も正しく賞罰しなかった皇兄が原因だという。実は子晟も同じ意見だった。子晟の話では皇太子のそばにいたわずか数ヶ月で東宮の全てを掌握できてしまったという。「太子が即位後、私さえ望めばすぐにでも政を乗っ取れる…そんな場面を見たいと? もちろん二心などありません、しかし私が思うに太子では重責を担えません」「よく言ったわ」すると皇后・宣神諳(シュエンシェンアン)が現れた。皇后は確かに子晟の言葉は理に適っていると認めた。一連の事件は立太子を誤った皇帝、凡庸で才のない皇太子、志を抱く三皇子、深い恨みを持った子晟、そして息子を溺愛した自分自身に関係があるという。「しかし少商(シャオシャン)は?この件と何の関係が?なぜ巻き込んだの?まさかこれも国のためだと? あなたの言葉は全て正しい、小さな情を捨て、天下を潤す なら聞くわ、あの日、城陽(ジョウヨウ)侯府に赴いた時、少商を捨てると決意していたの?」その時、子晟の頬を一筋の涙が流れた。「…はい」「今の言葉は本心?今回の件を悔いてはいないと?」「悔いていません」皇后は不疑の返答に深く失望し、そこで少商を呼んだ。「少商…」子晟は少商が自分の答えを聞いていたと知り、動揺した。「少商、許しを求めるつもりはない、だが信じている、分かってくれると…」「分かっています…でもあなたは私を分かっていたかしら?」すると少商は皇帝と皇后に破談を申し出た。「少商、聞いてくれ…」「今度はあなたが聞く番よ…私は昔から運が悪かった、真心なんて信じなかったわ でもあなたに出会い、言われるがまま好きになり、頼れと言うから頼った 信じろと言うから信じたのよ?でもあなたは? あの時、伝えたはず、私を捨てたら一生、許さないと… 霍将軍、どうか旧情に免じて私を解放してください」( ;∀;)シャンシャン…崇徳(スウトク)宮を出た少商は後宮へ続く長い回廊を歩いていた。すると途中で少商を心配して待っていた袁慎と出くわす。「少商、家に帰るんだ、奴が虎符を使った以上、太子と皇后も廃されるだろう」「廃されてもそれは皇后が自ら願い出たからよ、きっとお疲れのはず… 私も疲れたわ、もう家に帰りたい」少商はとりつく島もなく、会話をさっさと切り上げて行ってしまう。一方、宣神諳は皇帝に皇后の印璽を差し出していた。皇太子を廃し、母としての責任を取って皇后の座を降りたいという。「これまで流されるまま生きて来ました… その昔、陛下に妻がいると知りながら、舅父に言われるまま嫁いだ 私を皇后に立てると言われた時も、后位が荊の道だと知りながら受け入れたのです 太子は父の性格によく似ていました 本来なら書や学説で名を馳せられたはず、でも太子となったばかりに毎日、寝食もままなりません どうか国のために私たちを廃してください 越姮(ユエホン)が皇后なら三皇子も正当に東宮へ入れるでしょう」しかし皇帝は廃后だけはどうしても認められないと拒んだ。「太子に比べて皇后の非がどこにあるのだ?!廃す理由があるか?!」すると宣神諳は初めて思いの丈をぶちまけた。「もし私にも恨みがあったと言えば? この数十年、陛下と阿姮が笑ってふざけ合う姿を見るたび、心が蝕まれる思いでした 本当はいつも嫉妬と恨みに駆られていたのです! もううんざりです、后位に就く限りこの苦しみを味わう! 想い合える夫の愛を望んでいたのに、私は仲睦まじい2人を鷹揚として受け入れるしかなかった もし陛下が私に少しでも夫婦の情があるなら、これ以上、苦しめないでください 一度でいい、宣神諳として生きてみたいのです!陛下!」( ;∀;)皇后ォォォォ~皇太子は東海(トウカイ)王に降格、皇帝は宣神諳の望み通り長秋宮での軟禁を命じた。また凌家は取り潰しとなり、凌益の三兄弟は斬首になったという。霍無傷は凌不疑の分も生きたいと名を引き継ぎ″霍不疑″と改名、償いとして北西に7年の駐留を申し出た。そんな中、曲陵(キョクリョウ)侯府に梁邱起(リャンチゥチー)を通して不疑からの伝言が届く。本日、北西に発つため少商にひと目だけでも会いたいというのだ。しかし少商は双子の兄・程少宮(チォンシャオゴン)に見送りを頼み、巾着袋を託した。「遠き地にいればもう会わなくて済む、過去は断ち切るわ」少商は父と兄たちに散歩に行くと言って出かけた。蕭元漪(シャオユエンイー)と青蓯(チンツォン)は偶然、正門へ向かう少商の後ろ姿を見かける。「女公子はすっかり変わりましたね」「以前は少しでも落ち着いて欲しいと思ったのに、今やあそこまで落ち着き払って別人のよう 何だか以前のように勝ち気で他人を圧倒し、騒ぎを起こしている方が安心する 青蓯、初めから私が間違っていたのかしら?」「成長したのです、母ならば誰もが離れゆく子の姿を見る、一生は付き添えません」少商が馬車に乗ろうとすると、母たちが追いかけて来た。「少商?どこへ行くの?」「長秋宮です」「宣皇后は廃后後、自ら軟禁を申し出た、行ってどうするの?」「そんな時こそおそばにいなくては…阿父と阿母が孤城救援のため私を家に置いたのと同じです どうか忠義を全うできるよう私を長秋宮へ」一方、霍不疑は城門で少商が来るのを待っていた。梁邱飛(リャンチゥフェイ)はそろそろ出立するよう伝えたが、不疑は動こうとしない。その時、馬を駈けて程少宮がやって来た。「少宮、少商は?」少宮は黙って巾着を投げ渡すと、縁が切れた以上は強引に求めないで欲しいという。「…少商は他に何か?」「″もう会うこともない″と…」巾着には不疑が出征する時に託した凌府の印が入っていた。…裏切れば一生許さない、それが彼女だ…不疑は涙を拭うと、北西に出発した。( ;∀;)ウーレイィィィィィィィィィィ! ←違うw少商は母と程姎(チォンヤン)に別れを告げ、宮中に向かった。黙って馬車を見送る蕭元漪、しかし長秋宮が冷宮同然だと知りながら忠義を尽くすと言った嫋嫋(ニャオニャオ)の様子が引っかかる。…まさか、戻らないつもりでは?永遠に冷宮に留まると…「早く!馬車を準備して!」蕭元漪は急いで娘の馬車を追いかけたが、嫋嫋はすでに城内へ入っていた。その時、ちょうど馬車から降りてくる嫋嫋が見える。「嫋嫋!嫋嫋!行ってはダメ!母が間違ってた!母が謝るから…嫋嫋…」蕭元漪は必死に叫んだが、虚しくも城門は閉まってしまう。つづく(⸝⸝ ˘ω˘ )いやあぁぁぁぁ~良かったこれは琅琊榜ep26と東宮最終話に続く名場面かも〜何より皇后が良かったわママ?うーん、ママは…w
2023.12.08
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风起霓裳 Weaving a Tale of Love第10話「曹記衣裳店の策略」裴行倹(ハイコウケン)は偶然にも博士と薛旭(セツキョク)の密談を耳にした。四門学で受け取る″例の物″とは一体、何なのか。そこで裴行倹は先回りして四門学に届いた車8台分の荷物を独断で荷改めし、林苑庫に運び込ませた。中身は四門学で使う巻紙だったが、なぜ兵部が厳重に護送したのだろうか。すると薛旭が出しゃばった裴行倹を叱責、荷改めを任されたのは自分だけだと知らしめた。荷物を護送したのは参軍・莫坤(バクコン)だった。裴行倹は薛旭の手前、莫坤に合図して知らないふりを通し、改めて裴宅で顔を合わせる。「兵部が荷を運ぶなどかつてないことだ、なぜ厳重な護送を?」莫坤の話では上官に尋ねたが回答がなく、全部で20台分が参軍2人に任され、遅れた分が明日にも届くという。裴行倹はならば明日の荷物に問題があると疑った。「実は太子が皇上に科挙改革の推進を訴えられた、曹(ソウ)王は太子を邪魔するは気だ 兵部まで駆り出すとはただ事ではあるまい…」」その時、如意衣装店の絵師が訪ねて来た。「すぐ戻る、待っていてくれ」庫狄琉璃(コテキルリ)は4枚の図案を仕上げ、これをつなぎ合わせて1枚の屏風にすると説明した。絵を見た裴行倹は想像以上だと喜び、求婚を逃れる策を授けたことで恩を着る必要はないという。「借りは全部、返せたのか聞きたいの」「そこまでこだわるとは…確かにもう貸しはない」そこで琉璃は改めて財物を返して欲しいと迫ったが、裴行倹はあくまで盗んでいないと言い張った。琉璃はならば何があっても逆恨みしないで欲しいと念を押し、帰ってしまう。琉璃は四門学の門前で薛助教を捕まえ、裴行倹への訴状を託した。まさに渡りに船、裴行倹に頭を悩ませていた薛旭はこれで生意気な裴行倹を排除しようと企む。一方、曹記衣装店の曹氏もまた胡(コ)商大会で優勝するため手を回していた。実は史(シ)番頭が阿霓(アゲイ)に卸した生地には退色や縮みを防ぐ処理が施されていない。大会では型の美しさ以上に生地の品質を重視するため、洗った後に色落ちがないか、型崩れがないかを調べることになっていた。偶然にもこの話を聞いた曹吾(ソウゴ)は阿霓に知らせることにしたが、曹氏に止められてしまう。「阿霓を娶りたいなら黙っていたほうがいい 大会で優勝して長安一と認められれば、阿霓もお前を見直して嫁ぐ気になるわ」曹吾は一度はあきらめたが、その夜、やはり居ても立ってもいられなくなって阿霓に知らせた。すでに真夜中だったが、琉璃と阿霓は慌てて完成した花籠裙(カロウクン)を水につけてみた。すると水は真っ赤になり、衣も縮んで型崩れしてしまう。阿霓は絶望し涙に暮れたが、琉璃は最後まで努力しようと励ました。「もうこれ以上は色も形も変わらないわ」阿霓は泣き疲れていつの間にか眠っていた。やがて朝になりふと目を覚ますと、琉璃が作り直した花籠裙が飾られている。驚いたことに琉璃は三時(トキ)でまるで花のような美しい衣に作り直していた。一方、裴行倹は残りの荷物を怪しみ、早朝に林苑庫へ向かった。しかしすでに薛旭が荷物を運び入れてしまったと知る。「車12台だな?」「いいえ、20台です」裴行倹はなぜ8台も多いのか訝しみ、門番に倉庫へ入りたいと頼んだ。「アイヤー、昨日、家伝の玉佩を失くしたのだ、多分、倉庫の中だ、すぐに済む」こうして倉庫へ潜入した裴行倹は荷物の封印を剥がして手を突っ込んでみた。すると箱の奥で革らしき物に触れる。その時、運悪く薛旭が現れた。「捕らえよ!部外者の立ち入りは許さぬ!」「学生の私を部外者とはバカな!」実は玉児(ギョクジ)という娘が裴行倹を訴え、博士が裴行倹を即刻、停学としたという。…チッ!愚かな絵師め…四学門を追い出された裴行倹は安宅を訪ねた。門は固く閉ざされていたが、偶然にも曹吾が通りかかる。「阿霓たちなら胡商大会へ行ったよ、一緒に来るといい」「かたじけない」その頃、琉璃は阿霓と一緒に西市の胡商市場に到着していた。如意衣装店の2人は大歓迎され、琉璃は母が残した技のおかげで世間では名が通っていると知る。しかし如意衣装店の控え室に突然、裴行倹が現れた。裴行倹は自分への誣告(ブコク)を取り下げるよう迫ったが、琉璃は腹痛を訴え逃げ出してしまう。琉璃はうっかり大会に出す衣装を持ったまま出て来たことに気づいた。すると子供が物欲しそうに露店のしんこ細工を見つめている。そこで荷物を届けてくれるならしんこ細工を買ってもいいと持ちかけたが、追いかけて来た裴行倹に荷物を奪われた。琉璃の計画は失敗、しかし子供はしんこ細工が欲しいと琉璃の手をつかむ。困った琉璃は子供の商売を奪った裴行倹にしんこ細工を買うよう迫り、裴行倹は仕方なく子供にひとつ買ってやった。琉璃はついでに自分も買って欲しいと頼んだが、買う義理はないと断られてしまう。琉璃は会場に戻るしかなくなった。道すがら裴行倹は本当に遺品を盗んでいないと訴えたが、突然、大会の主催者だという男が現れる。男は参加者の衣を預かって登録を済ませていると説明、琉璃は裴行倹から衣を取り返して託した。しかし裴行倹はその男が偽物だと気づく。琉璃は確かに他の参加者が荷物を持っているのに自分だけ預けたと分かった。「どうだ?訴状を撤回するなら荷物を取り戻してやる」「騙そうとしても無駄よ!確かめてくる!」「おい!間に合わないぞ?!」そこで裴行倹は独りで衣を盗んだ男を探すことにした。胡商大会が始まった。琉璃は騙されて衣を渡してしまったと阿霓に説明、曹記の仕業だと激怒する。しかし阿霓は何の証拠もなく曹記衣装店を責めればかえって非難を浴びてしまうとなだめた。琉璃は裴行倹にわずかな望みをかけたが、いよいよ出番が近づく。やがて困り果てた琉璃たちを冷笑しながら曹記衣装店が舞台に立った。次の出番は如意衣装店、阿霓は仕方なく主催者に棄権を伝えることにしたが、その時、衣を持った裴行倹が現れる。つづく( ̄▽ ̄;)グリナザ、伏し目がち位でちょうどいいみたい
2023.03.20
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月升沧海 Love Like the Galaxy (第4話)第31話「天下の母の苦悩」霍(フォ)将軍の命日。汝陽(ジョヨウ)王妃は愛孫を出家へ追い込んだ程少商(チォンシャオシャン)と凌不疑(リンブーイー)への腹いせに家族の宴へ乗り込んだが、皇帝の寵姫・越姮(ユエホン)から辛辣な言葉を浴びせられてしまう。「子晟(ズーション)、あなたの妻に難癖をつける者などくそ食らえよっ」文(ウェン)帝も子晟が望む者を娶れば良いとかばったが、汝陽の怒りは収まらない。「確かに陛下が決めた縁談なら誰も口を挟めません ただ淳于(チュンユー)氏にはしかるべき対応があっても…」すると越妃は急に話を遮り、子晟と少商だけを残して皇太子夫婦と皇子たちを下げた。汝陽は霍君華(フォジュンホワ)と因縁がある越妃がなぜ淳于氏の肩を持たないのか分からなかった。当時、霍君華は越妃を誘き出して匪賊(ヒゾク)に襲わせたことまであったという。しかし越姮は淳于氏も劣らずろくでもないと言い放った。「叔母、まだ淳于氏をかばうなら叔母の″功績″を評価させてもらいますよ?」すると頃合いを見ていた皇后・宣神諳(シュエンシェンアン)が助け舟を出した。「昔の出来事は私も口を挟めないわ…食事を中断したことだし、そろそろ奉先(ホウセン)殿へ…」こうして人騒がせな汝陽王妃も退散するしかなくなった。少商は祭壇に供物を並べながら霍将軍の絵姿に見入っていた。そこへ皇太子妃が薫物(タキモノ)を届けにやってくる。「子晟は霍将軍によく似ていますね…」「舅夫に似ることは珍しくないわ…すぐ気づくとは子晟と情が深いのね」「太子と太子妃には到底、及びません 殿下は朝臣から側妃を娶るよう進言されても応じないとか…」皇太子妃は愛想笑いで誤魔化したが、運悪く三公主が現れた。「皇兄が応じないのは夫婦の情が深いからではなく、″旧知″が忘れ難いからよ~」すると三公主は少商が持っている薫物に目をつけた。「母后は宮中の倹約を求めているけれど、儲妃の実家は普通の農民… 用度品を削られ困窮しているのでは? 供養向けのも薫物も安くはない、銭をかき集めても足りないかと心配したほどよ? 夫に嫌われているから助けてもらえないものね~」三公主は勝ち誇ったように偏殿へ向かうことにしたが、その時、少商が咄嗟に薫物を床にばら撒き、足を滑らせた三公主は転倒してしまう。その時、少商は三公主のめくれた裾の下からちらりとのぞく赤色を見逃さなかった。(´・ω・`)<三公主、お怪我はありませんか?(`ω´ )o<しらじらしい…程少商、いずれ片をつける!霍将軍の法要が始まった。皇帝は改めて今日の栄華を与えてくれたのが霍氏であると知らしめ、粛々と焼香が始まる。抹香(マッコウ)を渡す役目の少商は祭壇の横に控えていた。やがて三公主の順番になると、三公主は差し出された抹香にわざと息を吹きかけ、少商の顔に浴びせかける。「あら、少商妹妹、気をつけて〜粉は目に入りやすいわ」少商は黙って耐えたが、三公主が焼香している間にこっそり腰飾りの紐を燭台の足に絡ませておいた。すると焼香を済ませた三公主が立ち去ろうとしたその時、引っ張られた燭台が倒れ、衣に飛び火してしまう。火はすぐ消されたが、皇后は侍女たちに急いで三公主の上着を脱がせるよう指示した。しかし三公主は慌てふためき、自分に触るなと拒む。越妃は実は娘が着替えていなかったと気づいて激怒、すぐ上着を脱がせろと命じた。すると案の定、上着の下から赤い衣が現れる。五公主は犬猿の仲である三公主の失態を喜び、ここぞとばかりに追い詰めた。「父皇、三駙馬の表哥の俸禄は1年で300貫ほど、でもその身なりは百金は下らぬはず 最近の三姉は羽振りが良いようで、新品の装飾品も多いわ〜」金の出どころを怪しまれた三公主は酒楼を開いたと誤魔化した。しかし思いがけず同腹の三皇子に裏切られてしまう。「父皇…これは三妹の領地で流通した贋金(ガンキン)です」実は貨幣を運搬する者を捕らえて尋問したところ、贋金は寿春(ジュシュン)で鋳造されたものだと分かった。三公主は知らずに使ったと言い訳し、寿春は小乾安(ケンアン)王の封地で管理しているのも配下の彭坤(ポンクン)、つまり宣家の仕業だと訴える。すると皇帝は凌不疑に紀遵(ジーズン)と共に調査するよう命じ、小乾安王から鉱山を召し上げるよう指示した。「父皇!小乾安王を殺さないのは皇后の恩人だからですか?!」舅父から入知恵されて育った三公主は思わず口を滑らせた。「黙れ!この後に及んで反省もせず、他人を巻き込むとは…ワナワナワナ…」皇帝は激怒して三公主を引っ叩き、杖罰を命じた。小越侯は知らせを聞いて慌てて永安宮に駆けつけた。三公主は程少商が罠にはめたと泣きわめいたが、越姮は娘を心配するどころか、そのおかげで面汚しが止まったと感謝する。実は越姮は三公主が贋金を意図的に使ったと見抜き、愚かな娘が文修君(ウェンシウジュン)を利用して金を稼ぐ方法など思いつくはずないと分かっていた。「陛下が厳しく追及せぬのは私たち越氏の面目を残してくれたからよ」しかし小越侯は長秋宮の顔を立てて小乾安王を許した皇帝への不満を募らせた。当時、越氏が追随した時、皇帝は無一文で、挙兵した時も越氏が支えた。皇帝は妹に一目惚れして妻にすると誓ったが、幼馴染の情も天下の偉業には勝てず、宣氏の財を借りて兵馬を使うため宣神諳も娶ることになる。それだけならいざ知らず、天下平定後、皇帝は宣氏を立后し、妹は妃嬪に成り下がった。「不公平だ!」「…宣氏は陛下の覇業のため身代まで潰した、追随した霍氏も一族は死に絶えたわ でも越氏は我ら兄妹が残った それに陛下は私を慰めるため両宮を同位と命じたわ、天下の母である皇后にとって公平かしら? 錯乱した霍君華にとって公平だと思う?」越姮は自分の望みなら叶ったと話し、また面倒を起こせば兄妹の情を断ち切るとまで言い放った。一方、凌不疑は母が暮らす杏花(キョウカ)別院の祠堂にいた。母と越妃に因縁があると知った不疑は母に越氏を怒らせたのか聞いたが、霍君華は悪びれる様子もない。「越姮を襲わせたの、二兄と文兄が助けなければ終わりだったのに… でもあの日から文兄は私を避けるようになったわ」←当たり前w不疑は実は母が小越侯の恨みを買っていたと知り、顔を曇らせた。梁邱起(リャンチゥチー)と梁邱飛(リャンチゥフェイ)は庭で若主公を待ちながら、少商を絶賛していた。「程四娘子が暴いてくれて幸いだ」「こんな報復上手な若女君は実に痛快だ!」実は三皇子に贋金の情報を流したのは不疑だった。梁兄弟に調べさせたところ予想通り文修君は小越侯に利用され、小乾安王に貨幣を鋳造させるよう指示したと分かる。結局、皇帝は三公主、文修君、小越侯に関わることから公平さを鑑みて軽い処分に留め、小越侯を追い詰める事はできなかった。ただ乾安王の子女が死罪を免れたことを思えば、これで舅夫への恩は返せたことになる。しかし不疑は命拾いした文修君が全く懲りていないと知った。そんなある日、少商は皇后が皇帝と囲碁に興じている間、苦手な刺繍に手こずっていた。皇帝は皇后から自分の寿誕の宴の差配を少商に任せたいと聞いたが、嫁荷の刺繍さえままならない少商では心配になってしまう。「そんな手際で務まるのか?」「陛下、もちろん無理です! それに私は陛下の指導を毎日、胸に刻み、凌将軍とも愛を語り合いませんと…」少商はとても重積に耐えられないと訴えたが、かえって皇帝から責任逃れのために自分を言い訳にしたと叱られてしまう。「決めたぞ!嫌でもそなたに仕切らせる!」一方、梁兄弟から報告を聞いた凌不疑は皇太子を訪ねていた。実は文修君が息子・王隆(ワンロン)に名を上げさせるため勝手に山賊の討伐を命じ、全軍が捕虜になってしまったという。不疑はこの機に乗じ、車騎将軍・王淳(ワンチュン)に責任を取らせて辞官させるよう提案した。しかし皇太子は壮年の王将軍が官を辞するのは忍びないと難色を示し、不疑にこっそり救出して欲しいという。「殿下、独断で出征するのは君主を欺く大罪ですぞ?」「だが王将軍は親戚でもある」「殿下、天子は群臣を操るもの、操られてはなりません そもそも王淳は将の器ではなく、殿下が職位を与えねば遠く値しない 皇位を継ぐのなら、一家や一族だけ顧みるのではなく、天下の民を見なければ… 君主として身びいきは御法度です」少商は皇帝から差配を命じられ、慌てて辞退しようとした。すると皇后はいずれ凌府の差配を一手に担うことになり、避けて通れないと説得する。「あなたならできるわ、もう辞退しないで」(゚ェ゚(。_。(゚ェ゚(。_。*)コクコクその時、皇太子が駆けつけ、急用のため謁見したいと願い出た。皇后は少商と自分の寝殿に戻ったが、正殿から皇帝の怒鳴り声が聞こえてくる。心配そうに正殿を眺める皇后、実は皇帝の叱責は初めてではないと明かした。「太子は優柔不断で身内に甘く、母譲りの性分に育ってしまったわ」少商にはそれのどこが悪いのか分からなかったが、皇后はしみじみ普通の母子でいられたらどれだけ良いかとため息をついた。その夜、蕭元漪(シャオユエンイー)は宮中から戻った娘が回廊で物思いにふけっている姿を見かけた。「どうしたの?何も羽織らないで…」蕭元漪は娘に外套をかけた。すると少商は自分が産まれる前、娘がどんな子になるのか考えたことがあるかと聞いてみる。「急になぜそんなことを?」「皇后が言ったの、太子が普通の子ならたとえ凡庸でも、楽しく平穏に暮らせれば一番だって(あっ)阿母は堂姉のような物分かりのいい子が好きだったわ 阿母を失望させましたね…ではもう寝ます」程始(チォンシー)は回廊で物思いにふけっている夫人を見つけた。「どうした?こんなところで」蕭元漪は娘が皇后から聞いた話を伝え、嫋嫋(ニャオニャオ)もようやく親の苦労が分かるようになったと感慨深い。しかしその苦労が自分たちの苦労ではないと思うと複雑だった。「夫人?…親の苦労を感じ取らせた皇后に嫉妬しているのか?」すると図星だった蕭元漪は怒って寝殿に戻ってしまう。つづく( ˘ω˘ )皇后と少商のシーンはいいわ〜
2023.09.29
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星汉灿烂 Love Like the Galaxy 第27話「本当の気持ち」凌不疑(リンブーイー)の権勢に反発しながらも聘礼(ヘイレイ)の儀を済ませた程少商(チォンシャオシャン)。すると不疑は程家も自分の家族だと言って黒甲衛(コクコウエイ)に曲陵(キョクリョウ)侯府を警固させた。「これからは私の親衛が毎日、出入りを調べて安全を守ります(キリッ!」(๑•̀ㅂ•́)و✧<お任せください!( ゚Д゚)゚Д゚)゚Д゚)アルソック?さらに翌日は早朝から屋敷の人間が中庭に集められ、厳しい訓練が始まった。2人の兄はもちろん、堂姉・程姎(チォンヤン)や侍女まで体力作りのためだと鍛錬を強いられてしまう。凌将軍の威光に程始(チォンシー)も逆らえず、穏やかな姎姎さえ生まれて初めて反抗したくなったと嘆いた。喉が渇いても身体が冷えるからと白湯しか飲ませてもらえず、夜になっても護衛の目が光り気が休まる時がない。やがて家族は限界に達し、凌将軍の対応を嫋嫋(ニャオニャオ)独りに任せると決めた。その夜、少商は塀をよじ登って脱出、万萋萋(ワンチーチー)と酒を飲んで憂さ晴らしした。「以前は書を読めと見張られたけど、今はみんな凌不疑から隠れるのに必死でそれどころじゃない 今や阿母の代わりに凌不疑が干渉するの、母の干渉なんて凌不疑に比べたら可愛いもんだったわ 鍛錬って…ケッ!屋敷中を集めて訓練を始めたのよ?!(# ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾ バンバン!」しかし軍生活に慣れている萋萋は確かにその病弱で非力な姿を見れば鍛えるべきだと失笑した。少商は何も指図しなかった楼垚(ロウヤオ)を懐かしみ、食事にまで口を出す凌不疑への不満が爆発する。「あの笑い話、何なの?あれは嫁がなければ一家が死ぬっていうおどしよ!凌不疑は極悪非道!」「でも…凌不疑は色々と尽くしてる…で、あんたは凌不疑が好きなの?嫌いなの?」「好きってどんな感情?」「そうね〜たとえば目を閉じても顔が浮かんでくるとか…」少商は目を閉じて考えてみたが、ふと目を開けると凌不疑の顔があった。凌不疑が泥酔した少商を背負って帰って来た。家族は凌将軍が少商を酔わせたと誤解して非難したが、聞けば少商が屋敷を抜け出して萋萋と酒を飲んでいたという。「少商だけでなく馬車で万娘子が寝ています」すると驚いた程頌児(チォンソンアル)が馬車の様子を見に行った。蕭元漪(シャオユエンイー)はいくら許嫁とは言え成婚前だと指摘、ともかく夫に少商を渡すよう頼んだ。しかし凌不疑は無理だという。「離したくないわけではなく、ご覧ください」すると不疑は両手を離してみせた。どうやら少商は凌不疑を馬だと思い込んでいる様子、しがみついて離れようとしない。「程夫人、私が運びます」一方、馬車でも泥酔した萋萋が程頌児に絡んでいた。手を焼いた程頌児は萋萋を押さえつけ、静かにさせるため口づけしてしまう。↓(*≧∀≦)ノ<ジィァ! ヒッ!(゚ロ゚ノ)(゚ロ゚ノ)ノ翌朝、少商は蓮房(リエンファン)から凌不疑におぶさって帰って来たと聞いた。すると早速、凌不疑が酔い覚ましの汁物を届けに来る。「私が酒を止めるのが気に食わなくて痛飲したのか?」そこで凌不疑は宮中の医官に生薬で作らせた桃花釀(トウカジョウ)を差し入れた。「これなら悪酔いしない、酒を飲みたい時はこれを… 自由を奪う気はない、身体を大切にして欲しいだけだ」「これは嫌い…生薬配合なら養命酒の方が好き」←とは言ってないw「もしや嫌いなのは酒ではなく私か?…少商、私は努力している、なぜ避けるのだ?」蓮房は仕方なく女公子の代わりに酔い覚ましと桃花釀を受け取り、出て行った。少商は自分たちの住む世界が違うと訴えた。「こればかりはどうにもならないわ、それにここは私の家で私の家族、あなたのものじゃない」「確かに…」不疑は幼少より軍で育ったため、命令を第一に考えるきらいがあった。決して強制したり支配するつもりはなく、ただ相談する習慣がないという。不疑には長年、家族もおらず、誰かと打ち解ける機会もなかった。「だから学びたい、私が権勢で抑圧したと言うが、私も普通の人間だ 君と普通の暮らしを送りたいと願っている」「でも私にとっては抑圧なの、桃花釀もいらない、私や家族への過剰な気遣いも不要よ そもそもあなたは普通の人じゃないし、私たちは平等じゃなかった あなたは私の気持ちも確認せず陛下に婚姻を頼んだわ、私を尊重していると言える? あなたのやり方は息が詰まるの…」すると凌不疑は何より自分のことをどう思っているのか聞いた。「私を好きか?…好きではないのか?!」しかし少商はこれまでの不満が一気に爆発してしまう。「あなたの言う″好き″とはあなたに服従して監視されることなの? 行動や食べる物も管理され、朝から一家中で鍛錬を強いられ怯えることが? それが″好き″だと言うなら私には耐えられない!永遠に望まぬ日々よ!」「では君が望む日々とは?」「それはあなたのいなぃ…(はっ!)」「それが本音か…」「嘘偽りなくね…私の家から出て行って、ここで別れてお互いに別々の道を行きましょう」「…帰るよ」蓮房は女公子に朝餉を運んだ。「あれだけ吐いたらさすがに空腹でしょう?」聞けば凌不疑は昨夜から一睡もせず少商を介抱していたという。その上、少商は一晩中、笑ったり泣いたり、しまいには凌不疑を叩くは蹴るは噛みつくはで、蓮房は激怒した凌将軍に殺されやしないかと怖かったと笑った。少商は何も覚えていなかったが、ともかく両親の部屋を訪ねることにする。すると寝殿の前に新しい履き物が置いてあった。「あ、これは女公子の足が冷えないように凌将軍が大蛇の皮で作らせたそうです 熱がこもらず、四季を通して履けるとか」程始は凌不疑に何ら非はないとかばった。そもそも人生はままならぬもの、凌不疑に嫁がなくても自分の望むまま生きて行けるとは限らない。蕭元漪は自分で応じておきながら躊躇するのは君子の所業ではないと呆れたが、ただ娘の幸せのためなら全てを捨てて縁談を断る覚悟はあると言った。「だから阿母にあなたの本音を聞かせて。凌不疑が本当に嫌いなの? この世に完璧な人間などいない、好きになっても全て意に沿うとは限らないわ 阿母と阿父さえ、ぶつかり合いながら円満な夫婦になったの 心を動かせる人に嫁げることだけで貴重なのよ?ちゃんと考えてから決めなさい」すると最後に程始は嫋嫋がどんな結論を出そうと賛成すると言った。少商は部屋に戻り、初めて凌不疑とのことを真面目に考えた。やがて日も暮れ、蝋燭に火を灯す。確かに凌不疑は不器用だが常に自分を守り、尊重してくれた。あの優しいまなざしも大きな背中も、いつの間にか少商の心の中に深く刻み込まれている。すると少商は凌不疑への本当の気持ちに気づき、部屋を飛び出して母屋へ走って行った。「阿母、阿父!決めました!…嫁ぎます!」つづく( ;∀;)やっぱり親の愛を越える愛はないのね~
2023.09.15
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月升沧海 Love Like the Galaxy (第7話)第34話「役者揃う婚約の宴」婚約前に程少商(チォンシャオシャン)を母に会わせた凌不疑(リンブーイー)。しかし急に錯乱した霍君華(フォジュンホワ)から激しく手を噛まれてしまう。少商は中庭で手当てしながら、不疑がなぜ冷酷無情で親不孝と噂されても城陽(ジョウヨウ)侯と夫人を嫌うのか分かった。「子晟(ズーション)、あなたは無情なんかじゃない… それに心配しなくても阿母(アームウ)のそばには優しい叔父(シューフー)がいるじゃない」その叔父とは崔祐(ツイヨウ)将軍だった。実は将軍は霍君華を娶ると心に決めながら、母親に成婚を強いられて諦めたという。結局、夫人は難産で亡くなり、程なくして霍君華も凌益(リンイー)から離縁された。「それで崔叔父は誓ったのだ、後添えは取らず、母のために独り身を貫くと…」「そんな一途な郎君がいるのね…その篤い情義は万金でも代え難い」「少商、君への情義もかくの如しだ」不疑は今後、頻繁に母に会う必要はないと安心させた。しかし少商は未来の君姑(クンコ)に覚えてもらえるよう杏花(キョウカ)別院を訪ねたいという。不疑はそんな少商の気遣いが嬉しかった。すると少商はこれから宮中への送迎なら不要だと断り、代わりに自分が早起きして宮門で落ち合おうと提案する。「だがそれでは君が早起きしないと…」「皇后の前で居眠りすればいいわ」「私のために支障が出たら…」「心は2つに割れない、宮中の任務だけに捧げるか、あなたに捧げるか、あなたが選んで」「私に捧げてくれ」不疑はそんな少商が愛しくなり、明日にでも婚約の宴を開きたいと言った。「いいわ」「ふっ、ちょっとからかっただけだ、さすがに宴の準備には最低でも3日はかかる 早く当日になって欲しい、婚約すれば安心できるよ」「安心?どうかしら、以前も大勢の人を招いたのに、結局、縁談は…」その時、突然、不疑が少商に口づけした。「もし耳障りな話をしたら、また口を塞いでやる」( *´꒳`* )ふふふ… ←勝手に参加している気分w屋敷に戻った少商は婚約の宴が3日後に決まったと報告した。蕭元漪(シャオユエンイー)や程姎(チォンヤン)は慌ただしすぎると難色を示したが、少商は全て凌不疑に任せれば大丈夫だと太鼓判を押す。すると耳ざとい城陽侯夫人・淳于(チュンユー)氏が早速、曲陵(キョクリョウ)侯府にやって来た。淳于氏はすっかり態度を軟化させ、婚約の宴について相談したいと切り出した。どういう風の吹き回しかと思えば、礼品として少商に2人の侍女を贈るという。「城陽夫人って面白い人…ふふ 私が子晟の寝所も触っていないうちから美しい侍女と夫の寝所を享受しろと?」淳于氏の魂胆は見え見えだった。呆れた少商は城陽侯夫人が姉も同然だった霍君華から夫を寝取ったと言い放ち、淳于氏は激怒して帰ってしまう。蕭元漪は娘がわざと城陽侯夫人を挑発したと分かった。しかし凌不疑の実母でなくても名義が立つため、家に面倒を招くかもしれないと嫌味を言う。侍女・蓮房(リエンファン)も未婚妻が婚約の宴で門前払いされたら笑い物になると心配した。「阿母、昨日、霍夫人に会いました、あの人のせいで子晟母子は苦しんでいます 私は横恋慕が大嫌い、あんな人におべっかは使えません …見てなさい、どちらがどちらの家で門前払いされるか」婚約の宴の当日、淳于氏は少商に凌府の敷居をまたがせまいと意気込んで出かけた。しかし婚約の宴が行われるのは曲陵侯府、しかも招状を持っていなければ入れないと知る。その頃、曲陵侯府にはすでに多くの招待客が集まっていた。凌不疑の姿はまだなかったが、その時、蓮房が宴席にいる女公子の元へ駆けつける。「凌将軍から伝言です、すぐ着くので焦らなくて良いと、それから… ″今日、誰に会い、何が起きても怖がらず、好きなだけ啖呵を切れ″と…」少商は何のことか分からなかったが、その意味をすぐ知ることになった。曲陵侯府に袁慎(ユエンシェン)の馬車が到着した。従者は賑やかな場所を嫌う主がなぜ他人の婚儀の見物に来たのか分からなかったが、袁慎は師匠として弟子を苦海から救いに来たという。「この世で人を溺れさせるのが成婚、このまま危険に飛び込ませられぬ」公子の屁理屈に呆れる従者、その時、ちょうど汝陽(ジョヨウ)王妃が淳于氏を連れて曲陵侯府にやって来た。門衛は招状を確認しようとしたが、王妃の侍衛に追い払われてしまう。「…これで私が手を出すまでもないな、ふっ」宴席に汝陽王妃と淳于氏が乗り込んできた。汝陽王妃は少商を見つけるなり跪けと命じ、未来の君姑である淳于氏への無礼を罰するという。しかし少商は拒否、蕭元漪と万萋萋(ワンチーチー)が咄嗟に盾となって少商を守った。「君姑なら2日前にお会いしました、今は杏花別院で療養中です 今日、来た君姑とはどなた?…ああ~外従兄の寝床に入り込んだ人のこと?」「何て言い草なの?!しかと指導してやらなくては…誰が私を阻めると?!」「叔母(シュームウ)?…余(ヨ)が阻むと言ったら?」その時、皇后が現れた。↓( ๑≧ꇴ≦)アルソック皇后!少商は皇后の顔を見ると自然と笑顔になった。その様子を見た蕭元漪は2人の間に深い絆があると気づき、何とも複雑な気分になる。「今日は子晟と少商の婚約を祝いに来ました 程伯夫人、他に静かな場所はある?ここでは客人たちの興を削いでしまうわ」「はい、ご案内します」「叔母、城陽侯夫人(フーレン)、行きましょう…少商、あなたもよ?」「はい」蕭元漪が偏殿を出ると戸が閉まった。程家も客人たちも露台に集まり固唾をのんで見守ったが、その時、皇帝が越(ユエ)妃や凌不疑を連れてやって来る。慌てて平伏する程家と客人たち、すると皇帝は礼を免じて偏殿に入った。汝陽王妃は皇帝に程少商の無礼を告発、放任してはならないと訴えた。ちょうど汝陽王も一緒にいたことから自分に加勢するようけしかけたが、けんもほろろに断られてしまう。汝陽王妃は仕方なく数日前、城陽侯夫人を辱めた落とし前をつけるよう少商に迫った。その時、越姮(ユエホン)が凌不疑の未婚妻である少商に立つことを許す。皇帝も目配せして少商を立たせた。「感謝します…陛下にお答えします、私は事実を述べたまで、辱めたりしていません」「陛下!本当です!命を懸けて誓います!」焦った淳于氏が泣きつくと、汝陽王妃も城陽侯夫人の方が信頼できるという。「…王妃、それは違います 私は目上の方に従い婚約しました、自ら画策して嫁いだ人とは違います 長年、霍家の世話になりながら機を見てその地位を奪った… 私の誓いは信じられても、あの方は信じないように」「程少商にここまで侮辱される謂れはありません、陛下が咎めぬのなら私は命を断つしか…」「城陽侯夫人…十数年前もなぜ同じように振る舞わなかったのですか? そうすれば霍夫人も離縁されず、様々なことが今とは違っていたのに…」越姮は少商の言葉に深く感銘を受けた。確かに霍君華とは因縁があったが、成婚後の霍君華は凌家に尽くし、夫にも情義は深く、惜しみなく支えていたという。それに比べ凌益は妻子が行方知れずとなって1年も経たずに淳于氏と深い仲になった。「母子でさまよっていた時、霍君華は皮衣を子晟に着せ、わずかな食物も子晟に与えた 戻った時の霍君華は骨と皮だけで誰か分からないほどだったのよ? 良い母親だったことに違いない」越姮は淳于氏を嫌って参内を禁止すると命じた。しかし汝陽王妃が反発、自分の命の恩人である淳于氏への侮辱は自分への侮辱だと訴える。「もし納得のいく説明がなければ…」「(はっ!)死ぬのか?死ぬのか?それは良かった!」汝陽王は早合点して喜ぶと、王妃は外で嘆願するだけだと慌てて否定した。汝陽王はもはや癇癪持ちの王妃に耐えられなかった。「陛下、ご覧の通り、手がつけられません! 少しでも気に食わぬと叫びまくる!当時もそうでした」実は汝陽王が修行に出たのは皇帝からの提案だった。当時、皇帝は糟糠(ソウコウ)の妻を捨てないよう汝陽王を説き伏せ、修行と称して別居させたという。しかし王妃は相変わらず、汝陽王も我慢の限界だった。「縁を切る!これで終わりだ!」「こんな仕打ちをするとは!」王妃はひとしきり汝陽王を叩きまくると、その場で泣き崩れた。すると皇帝は儒教が盛んな今、離縁を持ち出せば儒生たちに非難されるのは必至だと叔父をなだめる。その時、越姮に名案が浮かんだ。「世俗を好む叔父が修行してどうします?むしろ叔母が三才観で修行すべきでは?」皇帝は汝陽王妃が耄碌(モウロク)して暴挙を重ね、御前で失態を犯すに至ったとし、三才観での静養を命じた。また淳于氏は禁足を命じられ、今後は屋敷から出られなくなってしまう。程家の面々は偏殿から連れ出される汝陽王妃と城陽侯夫人の姿を見送りながら、少商の無事を確信して胸を撫で下ろした。つづく( ๑≧ꇴ≦)キィャアァァァァァァ〜!ウーレイ!思うところは色々あったのですが、ウーレイがカッコよすぎて全て吹っ飛びましたwww
2023.10.09
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风起霓裳 Weaving a Tale of Love第11話「忍び寄る謀反の影」胡(コ)商大会の当日、作品を紛失した如意衣装店は棄権を余儀なくされた。落胆する玉児(ギョクジ)こと庫狄琉璃(コテキルリ)、しかし思いがけず裴行倹(ハイコウケン)が駆けつける。「衣ならここにある!」その頃、壇上では曹(ソウ)記衣装店の作品が宮廷の風格を漂わせる衣だと好評を博していた。これで優勝は間違いないと確信する曹氏と珊瑚(サンゴ)だったが、棄権したと思っていた如意衣装店が壇上に現れる。琉璃は歓声に迎えられた阿霓(アゲイ)を見守りながら、衣を取り戻してくれた裴行倹に感謝を伝えた。その美しい笑顔に裴行倹は思わず見惚れてしまったが、慌てて自制心を取り戻す。「いいか?私たちはまだ敵同士だからな」「分かってる、取られた物は必ず取り戻す、今日は利子を返してもらっただけよ」琉璃と裴行倹は会場に出て如意衣装店と曹記衣装店の一騎打ちを見守った。すると珊瑚が曹記の宮廷風に比べると如意の衣は俗っぽいと指摘する。驚いた琉璃は咄嗟に壇上へ駆け上がり、曹記の衣装は物静かな漢人の女子には似合うが、如意の衣は活発で踊りが好きな胡人の女子のために考えたと説明した。「この衣は胡人が来てこそ真価が分かるというもの… 私は唐で生まれ育ったけれど胡人の血を引いています 今日は自らこの衣を着て皆さんに披露しましょう」琉璃の舞いは商人たちを魅了、一等を獲得した。壇上にいた琉璃は立ち去って行く裴行倹の姿を見つけ、なぜか不思議と寂しさを感じてしまう。しかし控え室に戻ってみると、机の上に裴行倹にねだったしんこ細工の人形が置いてあった。その夜、阿霓は優勝の喜びに浸っていたが、琉璃はなぜか冴えない様子だった。「私、裴行倹のことを誤解していたのかしら…」「確かに悪い人には思えないわね」実は琉璃は裴行倹に濡れ衣を着せてしまったのではないかと不安になっていた。…そう言えば阿翁と順子(ジュンシ)は無事かしら…掖庭(エキテイ)では卓錦娘(タクキンジョウ)が手を回し、順子の拷問が続いていた。水も飲めず意識が朦朧としてきた順子、そこへ頃合いを見計らっていた卓錦娘が現れる。「師父はお前と縁を切ったと聞いたわ、見捨てたのね…」卓錦娘は嘘をついて水をちらつかせながら豆子(トウシ)の居場所を白状するよう迫った。すると順子は水欲しさについに豆子が皇宮を出たと白状してしまう。しかし居場所はもちろん、他には何も知らなかった。「幼なじみでしょう?親が誰か、なぜ衣が作れるのか知っているはずよ?!」「知りません、確かに衣は作れるけれど師父はいない…ぁ、前に言っていました ある妃嬪の副葬品の中に裁縫の奥義書があり、読んでから焼き捨てたと…」薛旭(セツキョク)はその夜、密かに荷物を曹(ソウ)王府に届けた。四門学を見張っていた裴行倹と莫坤(バクコン)は荷物を追跡、王府の屋根に登って殿内の様子を探る。すると曹王が開けた荷物の中から甲冑(カッチュウ)が出て来た。甲冑の闇取引は謀反も同罪だった。莫坤の話ではまだ濮(ボク)州から巻紙が届くという。しかし裴行倹は自分たちが訴え出たところで権力者に揉み消されるのがおちだと分かっていた。皇帝に伝えるためには信頼できる人物を通さねばならない。「…太子だ」裴行倹は莫坤に濮州の動向を探るよう頼み、皇太子との接触は自分に任せて欲しいと言った。卓錦娘は内侍院に頼んで豆子に追っ手を差し向けることにした。それにしてもなぜ皇宮を逃げ出すほど尚服局へ来るのが嫌なのか。卓錦娘は何か裏があると疑い、孫徳成(ソントクセイ)なら豆子の居場所を知っていると考えた。安四郎(アンシロウ)は大会で優勝した衣装を展示、如意衣装店は大盛況となった。すると庫狄五娘(コテキゴジョウ)が現れ、自分も評判の絵師に衣を注文したいという。安四郎は玉児ならすでに店を辞めたと嘘をついてごまかしたが、五娘はその帰り、曹氏に捕まった。曹氏は縁談の一件で機嫌を損ねてしまった義妹を何とかなだめようと必死だった。しかし五娘は曹氏が″天下第一針″を名乗のりながら阿霓に負けたと揶揄する。「ふん、一介の奴婢に何ができるというの?あの娘のせいよ!」「あの娘?…あの絵師のことね?!」うっかり口を滑らせた曹氏は動揺し、急に話を切り上げ、店に戻ってしまう。その時、ちょうど通りかかった娘たちが絵師の噂話をするのが聞こえた。「…絵師のおかげで勝てたそうね」「知ってるわ、安宅で阿霓と一緒に住んでいる人でしょう? 胡人だからてっきり安家の親族かと思ったわ」五娘は安四郎と曹氏がなぜ絵師を隠すのか訝しみ、まさか琉璃ではないかと疑った。一方、裴行倹は皇太子に上奏しようと皇宮へ向かった。しかしやはり腰牌がなければ検問を通れず、かと言って簡単に手に入るものでもない。裴行倹はあきらめて帰ることにしたが、その時、手配書を見て驚いた。「彼は…玉児の従兄か?」安宅に五娘が訪ねてきた。阿霓は琉璃に隠れるよう伝えてから門を開けたが、五娘は強引に入ってしまう。すると屋敷から声が聞こえた。「構わぬ、どうぞ部屋の中へ」しかし中にいたのは医官の衣に着替えた琉璃だった。男装した琉璃は如意衣装店の評判を聞いて宮中から仕入れに来たと説明した。阿霓も咄嗟に話を合わせ、店では人が多く、曹記の目もあるため屋敷まで来てもらったという。「夫人から曹記に伝わるのも心配で、店の秘密を隠さずにはいられなかったのです」驚いた五娘は無礼を謝罪、こうして琉璃は堂々と安宅を出て行った。琉璃は時間をつぶすため西市に出かけた。そこへ偶然にも皇宮から引き返した裴行倹が通りかかる。裴行倹は豆医官だと気づいて呼び止めたが、驚いた琉璃は逃げ出した。しかし馬の後ろに隠れていたところで捕まってしまう。裴行倹は豆医官を連れて酒楼の個室に入った。「お前は従妹の絵師にそっくりだな?」どうやら裴行倹は豆医官が玉児だと気づいていないらしい。すると裴行倹は豆医官の包みを拾って玉児に返したが、玉児は自分が中身をすり替えたと疑っていると訴えた。「開いてすらいないのに…財物を返せと責め立てる どうやらお前たち、共謀して銭を巻き上げようとしたな?!」驚いた琉璃は誤解だと訴えた。従妹に会うため棺に隠れて皇宮を出たが、門を出た所で棺がひっくり返り、慌てて逃げたので包みを忘れてしまったという。包みの中は確かに自分の全財産が入っていたはず、玉児が書き置きを見て四門学へ行ってくれたが、中身がすり替えられていた。「だが落とし主から逃げないばかりか逆に追い回すとは…確かに盗んだとは思えないな」琉璃はもし誤解だったなら訴状を取り下げると伝え、帰ることにした。しかし裴行倹は訴状を撤回するより、誣告(ブコク)の償いとして腰牌を貸して欲しいという。つづく( ゚ェ゚)あれ?裴行倹は棺から逃げて行く医官を見たと思っていたけど違うんだw
2023.03.21
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月升沧海 Love Like the Galaxy (第6話)第33話「夫婦のあり方とは」皇帝から虎符の管理を任された皇太子。しかしその重責から寝食もままならなくなってしまう。見かねた皇太子妃は人の多い宮中ではなく、紫桂(シケイ)別院に預けてはどうかと提案した。皇太子は妙案だと喜んだが、これが思わぬ事件を引き起こしてしまう。凌不疑(リンブーイー)に叱られた程少商(チォンシャオシャン)は書卓で考え込んだままいつのまにか眠っていた。すると朝の支度にやって来た侍女・蓮房(リエンファン)が床で倒れている少商を見つける。「女公子?どうしたんですか?そんなところに寝て…今日は凌将軍とお出かけですよね」「…行かない」「また喧嘩ですか?…ふふ、都で誰もが知る″鉄面将軍″と喧嘩できるのは女公子だけですよ~」そこへ使用人の符登(フードン)が現れた。皇太子妃の使いから連絡があり、すぐ参内して欲しいという。皇太子は皇太子妃の従兄・孫勝(スンション)に命じて虎符を別院へ運ばせた。しかし道中で虎符が紛失、万(ワン)将軍の出征は2日後に迫っている。知らせを聞いた凌不疑は慌てて東宮へ駆けつけた。「なぜ動かしたのですか?!東宮に置くよう念を押したはずです!」不疑は全て皇太子の身びいきが招いた結果だと呆れたが、そこへ皇太子妃が現れた。「私たちにはお手上げでも、陛下が溺愛する子晟(ズーション)なら造作ないのでは?」「確かに難しくはない、ですが太子妃から陛下に謝罪してください 全ては己の過ちで太子を巻き込んだと…」その話をちょうど東宮に到着した少商が聞いていた。「男が揃って責任転嫁ですか?」「少商?休みの日だろう?なぜ東宮に?…出ていろ」不疑は皇太子妃がこの大事に少商を巻き込んだと知って驚き、思わず語気を強めた。すると憤慨した少商は自分を呼んだのは皇太子妃だと反発、焦った皇太子妃は母后から信頼されている少商に力になってもらいたかったとかばう。「私のせいで争わないで…少商、行きましょう」皇太子妃は少商を連れて回廊へ出た。自分を追い出した凌不疑への不満を漏らす少商、すると皇太子妃は同情を引くため自分が罪を認めれば済むと漏らす。「殿下には想い人がいたの、私が座を譲れば想いを遂げられるわ…」「儲妃…」少商が何か言いかけた時、不疑が回廊に現れた。しかし不疑は黙って城門の方へ歩いて行ってしまう。珍しく不疑に無視された少商は困惑、急いで後を追いかけたが、城門で待っていたのは馬車だけだった。梁邱起(リャンチゥチー)は若主公から命で少商を送ると伝えた。若公主は王隆(ワンロン)救出の件で万将軍に呼ばれたという。しかし少商は車に上がる踏み台がないことに気づいた。「なぜ踏み台がないの?」「踏み台があると若主公が若女君を抱き上げることができません…ぁ!」梁邱飛(リャンチゥフェイ)は慌てて口をつぐみ、自分の背中を使うよう促した。困惑した少商は必要ないと拒否、歩いて帰るという。するとふいに引き返して来た不疑が少商を片手で抱え、馬車まで連れ戻した。「うわっ!りんぶーいー!降ろして!」「…少商、君を責めたことは謝る、ただ虎符の件は一大事だ 語気を荒らげたのも君を巻き込まないため、この件は私に任せてくれ、いいな?」しかし少商は横暴な不疑に憤慨して返事もせず、宮中に戻ってしまう。( ・ノェ・)コショッ<若女君、怒ってる?@飛(# ー̀ωー́ )<シッ!@起梁兄弟は2人の仲を心配したが、不疑は簡単に納得したら少商ではないと言った。「東宮を見張れ、特に儲妃をな…」少商は長秋(チョウシュウ)宮を訪ねた。すると寝殿からちょうど皇后と翟(ジャイ)媪(ウバ)の昔話が聞こえてくる。皇后は二子三女を出産したが、皇太子が生まれた時は皇帝の大業がまだ道半ばで、10時(トキ)もの難産でようやく生まれたという。「陛下が虎符を授け、異論がある者を震撼させた…これで太子の座も安泰ね 確かに太子が後継者にふさわしいとは思わない でも廃された皇家の子の末路は自害するか殺されるかよ お腹を痛めて産んだ子が後継争いで非業の死を遂げたら、私の余生もそこで終わりとなる…」少商は敬愛する皇后を案じ、結局、そのまま引き返して太子妃を訪ねた。「虎符の形を見たことはありますか?」いよいよ万将軍が匪賊討伐へ出征する朝、皇太子は皇帝の前で万将軍に虎符の片割れを授けた。その様子を遠目から少商と皇太子妃が固唾をのんで見守っている。すると小越(ユエ)侯が万将軍を呼び止めた。「虎符には磁石が入っており、ぴたりと合う…念のため調べてはどうか」小越侯は明らかに虎符が偽物だと疑っていたが、不疑が皇太子の虎符と万将軍の虎符を合わせると、驚いたことにぴたりと吸いついた。皇太子は大役を果たし、万将軍を見送った。しかし少商は困惑する。…私が作った虎符は形だけが同じで磁石は入っていない、なぜぴたりと合ったのかしら…その時、少商は点将(テンショウ)台にいた凌不疑と目が合った。『私に任せておけ』昨夜、凌不疑は梁兄弟から少商がやはり東宮を訪ねたと聞いた。『彼女らしい、自分の敵は許さず、よくしてくれた者に報いる…』実は小越侯は孫勝を抱き込み、難なく虎符を手に入れていた。不疑はもはや皇太子では収拾できないと考え、かつて皇帝が溺愛する霍(フォ)家だけに授けた虎符を使うことにする。『若主公、霍将軍の唯一の遺品ですよ?渡せば霍氏の遺物がなくなってしまいます』梁兄弟はさすがにそこまでする必要があるのかと訴えたが、不疑は虎符が偽物だと露呈すれば少商に行き着くと分かっていた。『少商と約束した、何をしようと私が守ると…そしてこたびも例外ではない』少商は再び凌不疑に救われた。しかし2人の関係は一進一退、自分の意思を通すこともできず、もはや成婚そのものに疑問が湧いてくる。そんな中、少商の堂姉・程姎(チォンヤン)にも縁談が舞い込んでいた。実は22話で姎姎に一目惚れした班嘉(バンジア)が毎日のように屋敷を訪ねて来るという。蕭元漪(シャオユエンイー)は良縁を喜んで姎姎の気持ちを確認したが、姎姎は自分の意思で何かを決めたことがなかった。「好きな人には好かれていないし…(ボソッ)でも伯母が嫁げというなら喜んで嫁ぐわ」(・Д・)<それでいいの?!@嫋嫋一方、万萋萋(ワンチーチー)と少商の二兄・程頌児(チォンソンアル)は口づけ以来、急接近、2人は婚姻の約束を交わしていた。萋萋は自分が嫁ぐのではなく婿を娶ると話し、夫唱婦随(フショウフズイ)ならぬ婦唱夫随だと笑う。( ー̀ωー́ )<…聞くだけ無駄だった@嫋嫋すると萋萋はあれこれ悩むなど少商らしくないと鼓舞し、男女の間柄など本来は至極、単純なものだと諭した。「好きなら一緒にいる、嫌いなら別れる…で、凌不疑が好きなの?よく考えてみて 相手といる時、嬉しいと感じる方が多いか、それともあんたを怒らせる方が多いか」少商は早速、良いことと悪いことを順番に思い出しながら数え始めた。しかし早々に萋萋から止められてしまう。「ちょっと~それじゃ不公平よ? 惚れた弱みにつけ込んで相手だけ尽くすのが当然のことだと思っているの?」萋萋は命を懸けて少商を救った凌不疑と比べれば、少商の不満など大したことではないという。姎姎も自分が危険な時に命を顧みず救ってくれたり、助けがない時に守ってくれる人なら好きになるに値する人だと言った。「絆を築くのは真心を捧げ合うことよ?深い情を無下にしないで」少商は萋萋と姎姎の言葉で目が覚めた。そこで慌てて凌不疑に会いに行こうと決めたが、門を飛び出すと不疑の姿がある。少商は今さらながら不疑がこうしていつも自分を見守っていたのだと気づいた。「これまで妥協して譲歩した気でいた、でも妥協して譲歩していたのはあなたの方だったのね」「私が好きなのは勇敢な君なのに、君を束縛して干渉してしまった… 嫋嫋、私が好きなのはありのままの君だ」「…実はふたつ伝えたいことがあったの、この先は精一杯、あなたによくする」「はお、ひとつ目は覚えておく、でふたつ目は?」「共白髪になるまであなたの優しさと今日のことを忘れない」すると不疑は少商を抱き寄せ、婚姻を早めたいと言った。凌不疑は少商を連れて杏花(キョウカ)別院の母を訪ねることにした。「少商、中に入って何を見聞きしようと、まずは黙って合わせてくれ あとで説明するよ、いいね?」屋敷に入った2人はちょうど中庭にいる霍君華(フォジュンホワ)と崔祐(ツイヨウ)を見つけた。しかし不疑は母を女公子と呼び、甥として挨拶する。どうやら霍君華は錯乱し、自分が16歳だと思い込んでいるらしい。「待ってるがいいわ!越姮(ユエホン)の顔に泥を塗って笑い物にしてやる!」少商は越妃の昔話を思い出し、2人の間に因縁があったのが事実だと分かった。そこで崔祐は天下には文(ウェン)兄以外にも男がいるとなだめる。「他の男にも嫁げるぞ?」「そうね、あの″凌″って男、顔は見るに堪え得る… でも田舎から避難して来て薬代もままならないほど貧乏よ あ、兄長が援助すればいいわ!兄長?…兄長はどこかしら…兄長…(はっ!)兄長は死んだ!」霍君華は兄が亡くなったことを思い出し、急に興奮した。すると不疑を凌益(リンイー)だと勘違いして激高、不疑の手に噛みついてしまう。崔祐は慌てて霍君華を不疑から引き離すと、あとは自分に任せて手当てをしろと言った。つづく( ๑≧ꇴ≦)念願の片手抱っこ来たわ!やっと想いが通じ合いめでたしめでたし?とはいかないのでしょうな〜
2023.10.07
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风起陇西(ふうきろうせい)第十四計「無中に有を生ず」青萍(セイヒョウ)計画当日、燭龍(ショクリュウ)・高堂秉(コウドウヘイ)は陰輯(インシュウ)に譲ってもらった定軍(テイグン)山の巡視へ出発した。一方、荀詡(ジュンク)も腹心の裴緒(ハイショ)に当直の代わりを頼み、偽造した通行証を持って南庭(ナンテイ)を発つ。やがて日も暮れる頃、定軍山の関所に到着、荀詡は譙峻(ショウシュン)校尉へ急報を伝えに来たと嘘をついて総成部へ急いだ。荀詡は途中で馬を草むらに隠し、巡回の兵を避けてついに総成部の正門に到着した。そこで門衛に見つからぬよう橋の下を伝って堀を渡り切り、そこから崖伝いに裏門へ回る。同じ頃、陳恭(チンキョウ)と五仙道の精鋭たちは蜀漢の兵士に扮し、黄預(コウヨ)の指示通り総成部の向かいにある崖を下っていた。計画では黄預が西側の谷底で倉庫を燃やし、その後、信徒を率いて東側の谷底に撤退、設計図を盗んだ糜冲(ビチュウ)と合流することになっている。直前には黄預に燭龍から今夜の暗号と倉庫の鍵が届き、陳恭は準備万端だった。荀詡は崖を上って裏門に到着、鍵をこじ開けた。その時、西側の倉庫から火の気が上がり、兵士たちが慌ただしくなる。「倉庫が燃えた!消火に向かえ!」すると総成部の正門が開き、兵士たちが飛び出して行った。「行くぞ!」陳恭は精鋭たちに合図、火事騒ぎのどさくさに紛れて正門から侵入することに成功する。不意を突かれた守衛たちは次々と倒され、陳恭は難なく軍技司の密室へ到着、設計図を手に入れた。しかし敵襲に気づいた蜀軍が戻って来てしまう。関(カン)長老は陳恭を援護し、東の崖へ案内した。ここから竹鵲(チクジャク)で脱出すれば、ちょうど大祭酒たちと合流できるという。その時、陳恭がいきなり関長老を刺して逃げた。関長老は虫の息となったが、急を知らせるためにも最後の力を振り絞って崖から転落してしまう。その頃、兵糧の基地を視察した高堂秉は馬岱(バタイ)将軍の酒席に招かれていた。すると急報が届き、総成部が襲撃され、譙峻校尉から援軍の要請が来たという。「あんな奥地に敵兵が?」「状況は不明です」しかし朝廷の掟で兵糧の基地では勅命や兵符がなければ一兵卒さえ動かせなかった。高堂秉は五仙道の青萍計画だと不安を煽ったが、将軍たちは自分たちを誘き出す作戦かもしれないと警戒する。そこで高堂秉に白羽の矢が立った。馬岱は自分の配下の手練れ200人を高堂秉に預け、軍技司を救うよう頼む。「拝命します」こうしてすべては燭龍の思惑通りに進んで行った。陳恭は翟悦(テキエツ)の指示通り荀詡が開けてくれた裏門から脱出、竹鵲で崖から飛び降りた。一方、荀詡は急いで南鄭へ戻ることにしたが、帰りの関所で暗号を言えず足止めされてしまう。実は総成部が襲撃され、譙峻校尉は定軍山の周囲20里を封鎖していた。「ここでお待ちください、譙峻校尉に確認してもらいます」荀詡は譙峻校尉に偽造した馮膺の通行証を見せた。通行証には確かに馮膺の官印があったが、念のため譙峻は合言葉を聞いてみる。荀詡は言葉につまり、馮膺から聞いていないとごまかした。「あり得ぬ、合言葉は馮曹掾が決めた、発案したのはお前ではないか!」譙峻校尉は荀詡の嘘に困惑し、馮膺の確認が取れるまで拘束すると決めた。南鄭の司聞曹に軍技司の使者が駆けつけた。しかし馮膺が留守のため孫令が対応する。何でも荀詡が曹掾の命で譙峻校尉に機密を伝えに行ったというのだ。孫令はすぐ確認したが記録はなく、しかも今夜は荀詡が当直だと分かる。そこで靖安司に駆けつけると、荀詡の衣を来た裴緒がいた。「誰か!こいつを捕らえろ!」孫令は馮膺の代わりに定軍山へ行くことになり、戻ってから裴緒を尋問することにした。その頃、馮膺は柳瑩(リュウエイ)を連れて李厳(リゲン)の幕府を訪ねていた。李厳は柳瑩の見事な演奏を聞くと、ふと昔を思い出して涙ぐんでしまう。あれは建安23年、先帝・劉備(リュウビ)は陽平関で曹操配下の夏侯淵(カコウエン)らと対峙、一方、曹操は長安に赴き、陣頭指揮を執っていた。その隙をついて馬秦(バシン)や高勝(コウショウ)が謀反を起こし、当時、まだしがない資中(シチュウ)県の県令だった李厳はわずか4千の兵士で対抗したという。「柳姑娘の演奏を聞いて当時の激戦が目に浮かんだ…馮曹掾、よくぞ逸材を見つけてくれた」そこで馮膺は柳瑩を幕府に残し、独りで帰ることにした。夜が明けても糜冲は黄預たちが待つ東の谷底に現れなかった。しかし崖下で関長老の骸が見つかる。もし落ち合えなければ糜冲が燭龍に直接、設計図を渡してくれるはず、長老たちはこれ以上、留まれば逃げられないと訴えた。その時、偵察から戻った信徒が現れ、すでに西郷(セイキョウ)の小道を塞がれ、古澗(コカン)渓には行けないと報告する。すると黄預はついにあきらめ、重い腰を上げた。「天水(テンスイ)へ行く」夜が明けると総成部の凄惨な現場が明らかになった。昨夜の奇襲は五仙道の精鋭で、倉庫の火事は目くらましだったという。「狙いは設計図だったようです」「荀詡め!」激怒した譙峻は荀詡を尋問するため牢へ向かった。すると一足先に尋問していた孫令が荀詡は一言も発しないと教える。極秘任務で留守の馮膺にはまだ確認は取れていないが、明らかに軍技司への命は嘘だった。「当直でありながら腹心を替え玉にし、我々を欺いたのだ」譙峻は顔見知りの荀詡の裏切りに深く失望した。設計図が盗まれたとなれば自分の命がかかっている。その時、ようやく荀詡が口を開いた。「譙峻校尉、命にかけて保証しよう、設計図はいずれ戻る…ただ詳しいことはまだ打ち明けられぬ」しかし痺れを切らした譙峻は荀詡の胸ぐらをつかみ、五仙道を手引きしたのかと迫った。驚いた孫令は掟通り司聞曹で尋問すると止めたが、譙峻は孫令を追い出して拷問を始めてしまう。一方、陳恭は無事に着陸、竹鵲を壊して草むらに捨てた。そして古澗渓へ向かうと、確かに入り口に大きな樟(クスノキ)がある。燭龍が設計図を取りに来るのは巳の3刻だ。つづく(  ̄꒳ ̄)おじいちゃん、イチコロな件それにしても意味不明…見逃したかな?( ̄▽ ̄;)
2022.11.04
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月升沧海 Love Like the Galaxy (第5話)第32話「予期せぬ波紋」文修君(ウェンシウジュン)が独断で息子に山賊の討伐を命じ失敗、全軍が捕虜となった。皇太子は凌不疑(リンブーイー)から身びいきを諌められたが結局、王淳(ワンチュン)を罷免できず、皇帝からも厳しく叱責されてしまう。これをきっかけににわかに廃太子の憶測が流れ、途端に小越(ユエ)侯に取り入ろうとする輩が増えた。皇后の寿誕の宴の差配を任された程少商(チォンシャオシャン)は東宮で皇太子妃の協力を仰いだ。何事もてきぱきこなせる少商だが、さすがに文武百官の家族の席順まで決めようがない。( ;∀;)<十一郎の妻になるのは驊(カ)県の管理より大変よ〜皇太子妃は思わず自分も夫が皇太子になるとは思わなかったと吐露した。実家の一族は娘を当てに出世を望むが、自分にそんな力などない。「祖先を捨てたと罵られようと、誰が私の苦しい胸の内を分かってくれるというの…」しかし少商は優しい皇太子夫婦をかばい、周りが欲深いだけだと慰めた。その時、東宮に五公主が現れる。実は昨夜、五公主は酒楼で偶然、小越侯と出くわした。小越侯は息子の未婚妻が幕僚と称する男たちと遊んでいる様子に眉をひそめたが、ふと思い立ち、番頭に頼んで廃太子の噂を吹き込むよう頼む。寝耳に水だった五公主は憤怒、早速、東宮へ駆けつけ、優柔不断な皇兄を厳しく追求した。「王隆(ワンロン)なんて死なせておけばいい!父皇を怒らせて廃されたいの?! 太子でなくなったら我ら長秋宮の子女は何を拠り所にしろと?! 私が男だった皇兄に役目は回ってこなかったのに!」皇太子は妹の暴言にも罰を与えることはなかったが、その代わり越氏に嫁ぐ時には嫁荷を奮発すると嫌味を言った。皇兄と話してもらちが明かない五公主は長秋宮で母后に不満をぶちまけた。これに皇后は激高、娘を追い出すと寝込んでしまう。駱済通(ルオジートン)が差し入れた粥にも口をつけず、翟(ジャイ)媪(ウバ)もお手上げだった。しかし東宮から戻った少商が事情を知り、一計を案じる。「皇后にお願いが…これは家で育ててみた胡瓜(キュウリ)です 胡瓜は西域の朝貢品、皇后なら味をご存知のはずです 西域の胡瓜と同じ味か比べてみてもらえませんか?」皇后は仕方なく一欠片だけ食べてみたが、塩気が強過ぎた。そこで少商は塩辛ければ粥で薄めるよう提案、見事に粥を食べさせることに成功する。「悪知恵が働く子ね…まだしょっぱいわ」皇后は少商の機転で笑顔になり、不思議と食欲が戻った。安堵した翟媪は駱済通を連れて寝殿を出た。「2人の邪魔をしないようにね、皇后が宮中で心を開ける人に出会えて良かった 十一郎も良い妻を選んだわね」嬉しそうに仕事へ戻った翟媪、しかし駱済通の侍女・春笤(チュンティアオ)は程娘子が主から皇后と凌将軍を奪ったと恨みを募らせた。駱済通も心中穏やかではないが噯(オクビ)にも出さず、これも運命だとなだめる。「実に幸運な人ね…想い人に嫁ぎ、帝后の庇護も得られるなんて」少商を幸運だと羨む者がいれば、皇后はどうすれば少商のような利口な子に育つか両親に教えて欲しいと羨んだ。すると少商はすぐ両親を呼び寄せ、2人の前で思い切り自分を褒めて欲しいと懇願する。「そうすれば悪いのは私ではなく、我が子を大切にせず他人の子を羨んでいると気づくはずです 皇后のように我慢強く諭すのがいい親だと知らしめなくては…」しかし皇后は少商も間違っていると諭した。「世の親は我が子が一番だと思うものよ、他の家の子を羨むのは教えの一環に過ぎない」親も当然、子から恨まれると分かっているが、人生に2度目はなく、やり直しができないという。「子が強くなる分、親も安心できるの、子に強いることは自分に強いることも同じなのよ」少商が寝殿を出ると皇太子が中庭で待っていた。皇太子は父皇を失望させて母后を傷つけたと意気消沈し、合わせる顔がないという。しかし少商は皇后が傷ついているのは自分が息子を守ってやれないためだと話した。「殿下は太子である前に陛下と皇后の息子です 太子として王将軍を助けるのではなく、子の立場で従兄の嘆願をすることはできます 確かに陛下は冷徹になれない太子に失望するでしょう でも父親なら情け深い子に失望するはずがない この件で両親と疎遠になれば、かえって子の指導が誤っていたと失望させるだけです」「…程娘子、ありがとう」朝臣たちは先走って後継者の交代を上奏し始めた。その夜、皇帝は野心をあらわにした臣下たちに怒り心頭だったが、そこへ皇太子がやって来る。皇帝は息子もようやく尻に火がついたと思ったが、皇太子は碁盤を運んできた。「寝付けないので一局どうかと…」すると皇帝はまだ幼い皇太子に碁を教え始めた頃を懐かしんだ。当時は皇太子が少しもじっとしておらず、碁盤のそばに貼り付けようと必死だったという。一方、少商を迎えに行った凌不疑は少商の様子がいつもと違うことに気づいた。「機嫌が良さそうだ、何か良いことでもあったか?」「そうでもないわ、ただ問題を解決できて痛快なの」すると不疑は三公主が禁足になったことも痛快かと聞いた。少商はやはり自分の仕業だとばれていたと知り、法事をぶち壊したことを謝罪する。「君は私が強引だと怒るが、君こそ独断で決める、あまり無茶をされると心配になる」「…怒らないの?」「私を信じるならやりたいことは私に任せて欲しい、敵への報復も…」確かに必ず守ると約束はしたが、不疑はせめて機会が欲しいという。そこで少商は皇后が廃太子の噂を聞いて心を痛めていたと報告し、雁回(ガンカイ)塔で皇太子を悪く言っていた人と関係があるのかと訝しんだ。不疑は驚き、皇太子に不満を抱く者も多く、広範囲に及ぶため関わるなと釘を刺す。「君も東宮へは行かないほうがいい…で、痛快だったとは何のことだ?」「ぁ…皇后が粥を食べてくれたの…」少商は皇太子に助言したことを言い出せなかった。皇太子は途中で手を緩め、わざと負けた。もちろん皇帝には見抜かれていたが、皇太子は囲碁を学び始めた当初、父も同じように手加減して負けてくれたという。「父皇は勝ち負けより私の気持ちを考えてくださった、今日の私も同じです」皇太子は勝敗より家族の気持ちが大切だと訴え、全てに負けたとしても我が手に悔いはないと言った。翌日、皇帝は朝儀の場で皇太子に虎符の管理を任せると宣言した。皇太子は事実上、全軍を動かすことが可能となり、皇帝は暗に廃太子の意思がないと示したことになる。結局、皇帝は大軍を危険にさらした王隆(ワンロン)を罷免するに留め、父の王淳には罪を問わなかった。匪賊の討伐については凌不疑と将軍たちに任せ、出征の時には皇太子が点将(テンショウ)台で将兵を遣わすよう指示する。しかし不疑はなぜ皇帝が急に譲歩したのか分からなかった。朝儀が散会、子晟(ズーション)を連れて東宮に戻った皇太子はようやく従兄を救出できると喜んだ。すると子晟が皇帝をどうやって説得したのかと訝しむ。皇太子は少商から助言されたことを明かし、昨夜、父皇と碁を打ちながら昔話をしたと教えた。「父皇は我ら父子の情に免じて王将軍と私に機会を与えてくれた お前たち夫婦は余(ヨ)の幸運の星だな」凌不疑は昨夜、少商の機嫌が良かった理由を知った。その夜、少商を迎えに行った凌不疑は改めて皇太子に助言したのかと確認する。少商は認めたが、皇太子を助けたのではなく、皇后の力になりたかったと説明した。しかし皇后のためを思ってしたことが、実は皇后と皇太子を追い込むことになると知る。「君の献策のおかげで陛下は王家を見逃した 少商、何度も言ったはずだ、宮中や朝廷の争いに巻き込まれるなと…なぜ耳を貸さない? もう一度だけ言っておく、宮中では少し触れても全体に及ぶ、簡単なことではない」不疑は厳しく戒めておいたが、少商は最も難儀なのは宮中ではなく凌不疑だと反発した。「あなたの計算や考えを何も教えないくせに何を気をつけろって言うの? そもそも私は関わる必要などなかった 普通の夫に嫁いで普通に暮らせるはずだったのに、あなたが引き入れたのよ? それでも一緒になると決めてから受け入れようとしてる でもあなたは複雑な世界に愚かな私は関与するなという」「君を思ってのことだ」「阿母からもよく言われたわ、あなたのだめだと…私が不十分だからそう言うのね?」少商はまた分からなくなった。ありのままの自分でいながら周りの期待に応えるためにはどうしたら良いのだろうか。「…失望させたわね」すると少商は不疑が引き止めるのも聞かず、独りで帰ってしまう。 屋敷に戻った少商は凌不疑の話を思い出し、悶々とした。…少商、自分は正しいとでも?…陛下が王家を追及しないことで朝臣らの恨みや不満が皇后と太子に向けられる…東宮位を狙う者がいる以上、君の行動は太子を助けるどころか不利にする…しかも皇后も巻き込む、彼らを生贄にするも同じだ「はあ〜凌不疑との成婚は面倒ね」つづく( ゚ェ゚)うむ、確かに少商の不満は分かるな
2023.09.30
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月升沧海 Love Like the Galaxy (第10話)第37話「報復の流儀」程少商(チォンシャオシャン)は池に落ちてびしょ濡れになった五皇子を長秋(チョウシュウ)宮で着替えさせることにした。五皇子は誰かに見られたらあらぬ誤解を受けると心配したが、嫌な予感は的中する。「あらあら、本当に皇兄と程娘子が密会していたのね~」五公主の勝ち誇った顔を見た少商はこれが五公主の仕業だとすぐに分かった。五公主は父皇と母后の前で五皇子と少商を追及した。焦った五皇子は五公主の取り巻きから鏡心(キョウシン)池で佳人が待っていると聞いたと訴えたが、肝心の証人の姿がない。少商も池に落ちた五皇子を助けただけだと釈明したが、五公主はそんな言い訳を誰が信じるかと鼻で笑った。「ごぅら(够了)っ!」皇后は思わぬ騒ぎに不快感をあらわにし、宴に戻らず長秋宮に帰ってしまう。皇帝は祝宴を台無しにされ怒り心頭だった。しかし皇后の寿誕に免じて今日のところは不問に付すという。こうして一同が引き上げ、五皇子も逃げるように帰って行った。すると凌不疑(リンブーイー)がやっと少商に声をかける。「大丈夫か?」「私を信じる?」「もちろん」「よかった、私は皇后のところへ行くわね」少商はそれ以上、何も言わずに急いで戻って行った。皇后は結局、寝付けないまま朝を迎え、付き添ってくれた皇帝を見送りに出た。するとまだ夜が明けたばかりというのにどこへ出かけていたのか、少商が長秋宮に戻ってくる。「少商、宴の準備で大変だったわね…早く支度して家に帰りなさい」「ありがとうございます、陛下、皇后」その時、五公主が凄まじい剣幕で長秋宮に乗り込んできた。「程少商!殺してやる!」五公主はなぜかびしょ濡れで、全身が真っ黒に汚れていた。五公主は息女たちと飲み明かし、朝方に瓏園(ロウエン)へ戻った。しかし息女が扉を開けた途端、仕掛けてあった桶が飛び出し汚水をぶちまけ、さらに勢いよく放たれた荊が身体を打ち、最後には灰を浴びせられたという。五公主は全て少商の仕業だと訴えたが、皇后は証拠がないと退けた。これに五公主は憤怒、なぜ娘ではなく少商の肩を持つのかと嘆く。そこへ越(ユエ)妃が現れた。「母后の干渉を嫌がって公主府で悠々自適に暮らし、孝行することもなかったくせに 何を今さら…」越姮(ユエホン)は自分の瓏園で起きた騒ぎのため座視できないという。すると五公主は日頃の越妃への鬱憤が爆発、暴言を吐いた。「母が皇后だと忘れている!四六時中、父皇と睦み合い、長秋宮を…」その時、越妃が五公主を平手打ちした。「私を叩いたわね…ワナワナ」「母親の寿誕の宴で程少商を陥れたのよ?ぶたれて当然では?」「嘘よ!証拠があるの?!」「あるとも!」凌不疑が五皇子を池に誘い出した息女を連行した。すでに息女は全て五公主の所業だと白状したという。「五公主は我が新婦が池に行くと知り、五皇子を誘い出して彼女の名声を辱めようとしました」しかし御前に突き出された息女は恐怖のあまり、証言する前に気絶してしまう。五皇子は全て五妹の指示だったと告発した。これに激怒した五公主は兄である五皇子を″雑種″呼ばわりしてしまう。「父皇、私は長秋宮の嫡出、なぜ卑しい者の言葉を信じるのですか?!」皇后は傍若無人な娘の姿に唖然とし、全ては自分の過ちだと嘆いた。「余は若い頃、苦労を重ねた分、子には楽をさせたかった…まさかここまで思い上がるとは… 兄弟への情がなく、越妃に不敬を働き、父皇も尊ばない しかも余の寿誕の宴で少商を陥れるなんて…誰かっ!」驚いた五公主はひざまずき、悪いのは何の因縁もない自分に報復した程少商だと訴えた。しかし五皇子が因縁ならあるとばらしてしまう。「先日、息女たちと程少商を池に落としたくせによく言うよ」何も知らなかった凌不疑は驚愕、少商がまた独りで行動を起こしたと知った。少商は自分が罠を仕掛けたと認めて謝罪した。確かに五公主に池に落とされたが、皇后の寿誕の宴を目前に控えていたため、終わるのを待って報復したという。「池に落とされたから汚水をかけ、宴をぶち壊しにしたから″荊の杖を背負う罰″を負わせたのです 五公主、少しは目が覚めました?…どうやら無駄だったようですね」「程少商っ!こんなことなら毒蛇を放って殺しておけば良かった!(はっ!)」激情に駆られた五公主はうっかり口を滑らせたが、開き直って武将の娘など死なせれば済むことだと言い放った。「公主の私が殺すのは蟻を潰すも同じ、彼らの命に価値はない! 父皇、母后、娘ではなく他人に味方するのですか?!」「…お前はどうかしている、どうかしているぞ!」増長した五公主の悪辣な行動は皇帝と皇后の逆鱗に触れた。皇后はすぐに消えろと叫び、怒りのあまり卒倒してしまう。そこで皇帝は五公主を皇陵に閉じ込め半日ほど反省させるよう命じ、今後は許可なく公主府を出るなと厳命した。皇帝は人払し、皇后を心配して寝殿に入った。すると越姮が引き上げようとした駱済通(ルオジートン)を引き止める。「五公主は帝后が罰する、では密会だと騒ぎ立てた春笤(チュンティアオ)は?」「心ある奴婢を留めて置くことはできません、父兄に頼んで辺境へ売ってもらいます」「ふっ…あなたを侮っていたわ、これほど果敢だったとはね」凌不疑は少商を連れて長秋宮を出た。「あの夜、泣いていたのは辱められて悔しかったからだったのか…いつまで隠すつもりだった? なぜ自分だけで動く?私が信じられないのか?」不疑は縁談が決まった時、これからは少商の後ろ盾となり、知己となって、少商の恐怖や孤独を共有しようと思っていたという。しかし結局、少商にとって自分は恐れ多く、近づきがたい存在のままだった。「楼垚(ロウヤオ)なら君は怯えずに済み、自由気ままでいられた だが私は君を宮中に閉じ込め、恐れを抱かせてしまう…嫌悪感すらも…」不疑は今さらながら少商を留めるべきではなかったと後悔し、独りで行ってしまう。「凌子晟(ズーション)!私は一匹狼、やられたらやり返す!そんな私が好きなのよね?! なのになぜ急に変われと強いるの?!私は程少商よ!凌子晟の新婦というだけじゃない!」すると不疑がふと立ち止まって振り向いた。「分かっている、そのままでいい」少商は皇宮も不疑も受け入れているつもりだった。…それなのになぜこのままの私を受け止めてくれないの?…少商は長秋宮に戻り、改めて皇帝と皇后に謝罪した。すると自分がめちゃくちゃにした瓏園を凌不疑がすでに配下に命じて修復させたと知る。驚いた少商は自分で責任を取ると言ったが、その時、ふせっていた皇后が身体を起こした。「少商、子晟があなたの未婚夫なら余と陛下はあなたの君姑(クンコ)であり君舅(クンキュウ) 誰かに陥れられたのに相談もせず自分で動くとは… 私や陛下を親とも思わず、子晟に愛も注がぬのなら、皆の心を失望させるだけよ?」「…もっと早く教えてくださればいいのに、今さら手遅れです(ボソッ」少商は思わず恨み言を漏らしたが、皇帝は不疑への真心を学ぶことなら今からでも間に合うと諭した。一方、凌不疑は五皇子を待ち伏せし、少商を池に落とした息女たちを全て教えるよう迫った。すると不疑は宮中にいる息女の父親を次々と捕らえ、引き回しの刑にしてしまう。「世に知らしめなければならぬ、これが我が子を躾けぬ親の末路だとな」その夜、曹(ツァオ)常侍(ジョウジ)は皇帝の命で五公主を公主府まで送り届けた。しかし五公主に反省の色は見えず、父皇と母后の容赦ない罰もしょせんは自分を怯えさせたいだけだと侮っている。その余裕も屋敷に入るまでだった。前庭には公主をそそのかして愚行たらしめた罪により死を賜った幕僚たちの亡骸が並んでいる。五公主はようやく自分の過ちの大きさに気づき、その場で泣き崩れた。五公主の″情夫″に死を賜るよう上奏したのは凌不疑だった。そのせいで都中に五公主が情夫を囲っていたと噂が広まり、小越侯は将来の君舅として面目丸潰れとなる。怒り心頭で酒楼に閉じこもった小越侯、すると番頭の田朔(ティエンシュオ)が現れ、いずれ吉報が届くとなだめた。「三皇子は品行方正で厳正中立、陛下も絶賛しておられるとか 君子とは真っ直ぐで邪のない者、三皇子は天子になる運命かと…」「…だが太子という邪魔者がいるかぎり、吉報が届くのは無理だろうな」皇太子と皇太子妃は母后を見舞った。すると皇太子妃が五妹の悪い噂が都に広まっていると報告、皇太子と少商は眉をひそめる。「…母后、どうか気に留めないでください」皇太子は五妹も少しずつ改めるはずだと安心させたが、皇太子妃は罰してこそ教訓になるため溺愛は禁物だと諫言した。「儲妃、少し遠慮しては?良かれと思っても、その言い方は人を不愉快にさせるだけ 慈悲深い皇后は怒りませんが、もし越妃だったらどうなると?」見かねた少商が釘を刺すと、皇太子妃は気まずくなって口をつぐんだ。皇太子妃は東宮に戻ってから皇太子に叱責された。いくら五妹と確執があるとは言え、父母が娘のことで胸を痛めている時に火に油を注ぐなという。皇太子妃は失言を詫びたが、皇太子はあきらかに悪意があったと指摘した。すると皇太子妃は報復するとすれば相手は五妹ではなく、我が子を死なせた曲泠君(チューリンジュン)だという。「曲泠君と殿下が怪しい仲でなければ、私も体調を崩して子を失いませんでした… 彼女は宴であなたに何度か視線を向けた、それだけでこの数日、殿下は心ここにあらずです」皇太子妃はそもそも自分を娶ったのが間違いだと嘆いた。曲泠君に未練があるなら入内(ジュダイ)させて良娣(リョウテイ)に封じれば自分も苦しまずに済むという。皇太子は疑心暗鬼に陥った皇太子妃を持て余し、無益な争いは好まないと言い捨て出て行った。つづく( ゚ェ゚)え?また振り出しに戻るの?ってか今さら阿垚を持ち出すとかエェェェ…そもそも不疑ソックの不具合が原因なのに…w
2023.10.22
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月升沧海 Love Like the Galaxy (第11話)第38話「愛を叫んで」凌不疑(リンブーイー)の企みにより情夫を囲っていたことが都中に知れ渡ってしまった五公主。程少商(チォンシャオシャン)は五公主の噂をわざわざ皇后の耳に入れた皇太子妃に憤ったが、皇后は皇太子妃の胸中をおもんばかった。思えば皇太子妃は五公主から日常的に侮辱を受けており、平静でいられないのも仕方がない。何より寿誕の宴で美しい曲泠君(チューリンジュン)の姿を見れば心中、穏やかではいられないだろう。実は皇太子にはもともと想い人がいた。曲泠君は皇太子妃より家柄や品格に優れ、当時は頻繁に宮中に来て皇太子ら兄妹と遊んでいたという。「2人が想い合っていることは誰の目にも明らかだった ただ陛下が故郷にいた頃に婚約を決めていたの、権力を得た後に破棄すれば信用を失う だから太子は約束通り孫(スン)氏を娶るしかなかった」「太子は約束を守らなければ良かったのに…」「子晟(ズーション)も同じことを言ったわ… 幼いながらも私や陛下にこの縁談は太子にとって害になるとね」しかし結局、皇太子は孫氏を娶り、曲泠君も別の人に嫁いでしまう。「聞くけれどあなたは心から子晟のことが好きなの?」「…好きです、以前は彼のことを天上の明月のような遠い存在だと思っていました でも彼も私と同じように血が通い、喜怒哀楽もある、想いは深まりました」「陛下は子晟が身を固めぬことを案じ続け、余は子晟を理解できる者が現れるだろうかと案じた 子晟があなたを選んだのは正解だったわ」その時、翟(ジャイ)媪(ウバ)が血相を変えて寝所に駆けつけた。「皇后!大変です!十一郎が陛下を怒らせ、杖(ジョウ)刑に処されると…」少商が駆けつけるとちょうど凌不疑が皇帝から叱責されていた。何でも不疑は少商を落水させた八家の息女を突き止め、その父兄を殴打したという。実は皇帝は五公主に加担した息女たちが普段から傍若無人に振る舞っているのではと懸念した。そこで父兄らが権勢を笠に着ていないか調査させていたが、賄賂をもらっていたことが発覚する。すると不疑はこの機会を利用し、廷尉府を無視して自ら制裁を加えていた。皇帝は皇権を乱用した私刑だと激怒、厳しく罰すると怒号を響かせた。驚いた少商は許しを乞うたが、不疑は嘆願なら必要ないと冷たい。「己の罪は己で償う…君と同じように私にも矜持(キョウジ)がある、これが凌不疑だ」少商は自分への当てつけだと気づき、無茶をして婚約を台無しにするつもりかと言いかけた。その時、不疑の口から思わぬ言葉が飛び出す。「辞官して君と隠居したい、君の求める田舎でな」凌不疑の無謀な行動は全て少商のためだった。そこで少商は昨日、自分と言い争ったことが原因だとかばったが、かえって皇帝からなぜ喧嘩ばかりするのかと責められてしまう。「今度、言い争ったら何だ、朕の崇徳(スウトク)殿を襲うのか?!」すると皇帝は罰として杖刑100回後、流刑に処すと命じた。少商は何とか見逃してもらおうと必死だったが、不疑はあっさり拝命すると告げて出て行ってしまう。「ちょ…凌不疑っ!」刑場はちらちらと雪が舞い始めた。少商は皇帝と共に城楼から刑の執行を見守ったが、やがて耐えられなくなり刑場へ降りてしまう。すると知らせを聞いた皇后と越(ユエ)妃が城楼へ駆けつけた。皇后は皇帝の非情な仕打ちに心を痛めたが、越姮(ユエホン)はこれが皇帝の謀だと気づく。実は軍営での杖刑には一見、血みどろに見えても大して支障のない打ち方があった。そうとは知らず刑場に入ろうとした少商は衛兵に止められながら、なりふり構わず叫んでいる。「子晟!誓うわ!2度とあなたと喧嘩しない! いくら私に怒っていても自分の身体を犠牲にしてまで意地を張るなんて馬鹿なことしないで!」そこで皇帝は少商を止めている衛兵の手を緩ませ、子晟に近づかせるよう命じた。少商は執行台へたどり着くと、杖を振り下ろそうとした衛兵を突き飛ばして刑を止めた。「子晟、今後は何事もあなたに相談すると約束するから… これからは真心をあなたに捧げる、私のために馬鹿な真似はやめて、いいわね?」すると少商は思わず凌不疑を抱きしめた。「もうとっくにあなたを愛していた…なぜ気づかないの?」「…今、何と言った?朕は聞こえなかったぞ?!何だって?!」城楼では皇帝が少商の気持ちを確認しようと必死だった。しかし越姮は聞こえずとも見れば分かると呆れる。安堵した皇帝は刑の中止を命じたが、皇后は皇帝のやり方に反発して帰ってしまう。凌不疑は幼い頃に過ごした長秋宮で静養することになった。夜になっても不疑が心配で落ち着かない少商、しかし皇后は医官がついているとなだめる。「翟媪に安神薬を用意させたわ、ずっと泣き続けて声も枯れたでしょう? 薬を飲んで早く眠りなさい」しかし少商は矢も盾もたまらず、こっそり不疑の部屋へ行ってしまう。不疑は少商の姿を見ると嬉しそうに身体を起こした。負傷した割には元気そうな不疑、少商は思えばあの時、子晟があまりにあっさり皇帝の罰を拝命したことに気づく。「負傷したのは芝居なの?」「なぜ芝居だと?」「私が心を傷めれば目的を果たせる」「…少商に心を痛めてもらえるなんて、こんな幸せはない」少商は子晟が愛しくなり、おでこに口づけした。すると2人は見つめ合い、自然と顔を近づけて唇を重ねる。「こんなことは成婚まで待つべきか?」「それは私の台詞でしょう?」少商は子晟に笛を吹いて聴かせた。すると不疑は灯会(トウエ)で初めて少商の顔を見た時のことを思い出す。「あの時も今のように君は美しかった」「だったらなぜ後日、会いに来なかったの?」「あることを遂げるまで娶る決断ができなかった」「一目見ただけで娶ると?」「一目で十分だ…一度、見ただけで分かった、余生を共にするのは君だけだとね」「この先、欺かれない限りこの少商、あなたを裏切らないわ」こうして何度もぶつかり合いながら愛が深まった少商と不疑。その頃、曲陵(キョクリョウ)侯府では蕭元漪(シャオユエンイー)がなかなか戻ってこない嫋嫋(ニャオニャオ)に苛立っていた。少商は皇后から賜った外套を母に届けたが、蕭元漪は皇后に懐いてすっかり母を忘れた娘からの贈り物に見向きもしない。程始(チォンシー)は思わず失笑し、会えなくなると気がかりになるのかと揶揄した。「夫人、嫋嫋は凌不疑と一緒になってから、さほど問題は起こしていない」「そうね、誰が予測できた?凌不疑の方が嫋嫋より常軌を逸しているなんて…」凌不疑が報復した八家のひとりは御史中丞だった。皇帝は不疑が乗り込んでめちゃくちゃにした御史台の修理を命じたが、不疑はこの機に乗じて15年前の越氏の軍報を持ち出すことに成功する。すると予想通り軍報には戦馬の損傷は記載されていなかった。「恐らく兵の死因も瘴気ではない、小越侯は嘘をついている」しかし証人の軍医が死んで韓武(ハンウー)も殺され、当の小越侯は狡猾でなかなか尻尾を出さない。「奴がボロを出さねば…仕向けるまでだ」つづく( ˘ω˘ )さすがに真心うんぬんはもう飽きてきた…それにしても今回は上手い人が多いね~
2023.10.24
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月升沧海 Love Like the Galaxy(第22話)第49話「捨てられし者の矜持」自ら凌益(リンイー)に手を下し、宿願の復讐を果たした凌不疑(リンブーイー)。しかし静まり返った城陽(ジョウヨウ)侯府に突然、程少商(チォンシャオシャン)が現れる。寝殿は骸で埋め尽くされ、おびただしい鮮血が窓紗を染めていた。「…なぜ来た?」「あなたは誰?凌不疑?それとも霍無傷(フォウーシャン)?」「私が誰であろうと君への真心は変わらない」「でもなぜ今日だったの?…なぜ私に教えてくれなかったの?」一族を殺された仇は必ず討たねばならなかった。しかし成婚してから敵を討てば程氏一族を巻き込んでしまう。凌不疑は自分の始末は自分でつけると言ったが、その時、外から左(ズオ)将軍の怒号が聞こえた。「凌不疑!勝手に虎符を使い兵を動員したな?!謀反を画策した罪は許されぬ! 今日、この門を出ようものなら容赦なく殺す!」退路を断った凌不疑はすでに自分の命で贖うと覚悟していた。「少商…ここでお別れだ、もう会うこともない」すると不疑は満身創痍の梁邱起(リャンチゥチー)と梁邱飛(リャンチゥフェイ)には生きて欲しいと伝え、独りで屋敷から出て行ってしまう。少商は引き止めることもできず呆然と立ちすくみ、ただ泣きじゃくっていた。門前では凌不疑と因縁のある左将軍がすでに兵を率いて待ち構えていた。そこには捕縛された程家の姿もある。不疑は深手を負いながらも警告を無視して門から出た。すると弩から放たれた弓が不疑の肩に命中する。不疑はそれでも無視して一歩ずつ左将軍へ近づくと、今度は膝に弓が刺さった。「来啊っ!」「殺ーっ!」その時、馬のいななきとともに少商が現れた。門前は騒然、さらに梁兄弟が駆けつけ馬に体当たり、左将軍を落馬させてしまう。少商は凌不疑を連れて逃亡、しかしやがて崖に追い詰められた。「少商…これは私一人で進んだ道、同行させるわけにいかない」「なら答えて、歯型の誓いは何だったの?!私たちは生死を共にすると約束した 程家もあなたを救うために来たわ…今は恨みを捨てて私のことを考えて!」「少商、君には15年前の国の悲劇だろう、だが私には長年、心に巣食ってきた深い恨みなのだ 毎夜、眠りに就く時はいつも亡魂の叫び声が耳に響く そして目の前には無惨に殺された一族と血の海が広がっている あまりに重すぎる…あまりに重すぎて捨てることができない…きっとこの先も… すまなかった、君には本当にすまないことをした 天下の大罪人となった今、私が死んでこそ君や家族を守れる…」「…もし私を独りにするなら一生許さない、来世も、来来世も許さないから!」「許してくれとは言わない…程少商、私と君の縁は尽きたのだ」その時、じりじりと迫っていた左将軍が程娘子ともども殺せと命じた。「少商…しかと生きろ、すまない」すると不疑は少商の背中を押し、独りで崖に落ちてしまう。「リンブーイィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!」程家は屋敷での軟禁を命じられた。少商は衝撃のあまり意識を失って運び込まれたが、家族の懸命の介抱もむなしく目を覚まさない。すると三皇子が兵を連れて曲陵(キョクリョウ)侯府に乗り込み、程少商を渡せと迫った。家族は嫋嫋(ニャオニャオ)の部屋の前に立ちはだかり抵抗、蕭元漪(シャオユエンイー)は娘の閨(ネヤ)に外部の男を立ち入らせることはできないと拒否する。しかし三皇子は会えるまで帰らないと食い下がった。「子晟(ズーション)が程娘子にどれだけ尽くしたと?今日は何が何でも子晟を助けてもらう!」「裏切ったのは向こうだ!」娘を傷つけた凌不疑に憤懣やるかたない程始(チォンシー)、その時、寝台の少商がようやく長い夢から目覚めていた。三皇子が家族と対峙していると、少商が青白い顔でふらふらとやって来た。すると三皇子は子晟の父殺し、兵の動員、虎符の使用で朝廷に激震が走り、重臣18名が連名で弾劾、死罪を上奏していると教える。しかし少商は三皇子が来なくても参内するつもりだった。家族は止めたが、少商は自分に与えられた大役を果たさねばならないという。少商は皇宮に到着、輿を降りて三皇子と長い宮道を歩いた。「三皇子と子晟はいつから良朋に?」実は少商は雁回(ガンカイ)塔で密談していたのが三皇子と子晟だったと気づいていた。三皇子の話では幼い頃、池に落とされた子晟を救ったのは皇太子ではなく自分だったという。「私も子晟も独りを好み群れを嫌った、あの時も独りでいる時に溺れている子晟に気づいたのだ」「つまり幼い頃から2人は手を組んでいたと?」すると三皇子は人払いした。「バカを言うな!皇后と母妃は対立したこともない!」雁回塔では舅父の小越(エツ)侯が子晟に補佐を勧めたが、子晟は断ったという。それにしても程娘子はなぜ自分たち2人がいたと気づいたのだろうか。少商は凌不疑が杏仁を食べて倒れた時に看病したと明かした。その時、不疑が首から下げている玉佩を見たという。よく見るとその玉佩は少商が雁回塔で失くしたものだった。「あの時、2人の声が聞こえた、だから2人だと思っていたけれど、実は3人だったのね 3人目が子晟だった…」少商はようやく分かった。凌不疑が今回、皇太子の虎符で兵を動かせば当然、皇太子の位も危うくなる。つまり不疑が宿願を果たしたことで、図らずも三皇子の念願が叶ったのだ。少商はさすが抜け目のない凌不疑だと嫌味を言いながら歩き始めた。「それで?子晟を助けられるのか?」三皇子は程娘子があまりに冷静で淡々としている様子に困惑してしまう。「取り乱したり、共に尽きる気概はないのか?!」すると少商は急に立ち止まり、鬱憤を爆発させた。「いくら女でも自分の夫が何者かも知らず、蚊帳の外に置いてもいいと?! 成婚の2日前に気づいた、でも彼が話してくれるのを待ったわ もう憤ることも恨むこともできないのに、さもなければ薄情で身勝手だと思われる… 私の身体を切り開いて彼に心を見せてあげたい、彼が真心を捧げたなら、私とて彼に心を捧げた 彼に救われた命だからこの命で報いる、彼が助からないのならこの命で相殺する 死など恐れていなかったのに… 死ぬとしても生きているのに飽きたから、決して誰かと生死を共にするわけじゃない 凌不疑はこの世で最も好きな人よ、でも私は…やっぱり私なんです」その頃、朝堂では崔祐(ツイヨウ)が凌不疑への恩情を求めていた。しかし不疑に恨みがある左御史中丞は凌不疑が亡くなった母のために父を殺したと断罪する。袁慎(ユエンシェン)は左大人が早々に経緯を知っていたことを訝しんだが、返って廷尉府は凌不疑を庇うのかと非難を浴びた。寵愛する子晟の思わぬ暴挙に頭を抱える文(ウェン)帝、すると三皇子が程娘子を連れて現れる。左大人はここぞとばかりに凌不疑の父親殺しは明白であり、酌量の余地などないと訴えた。「…凌不疑は父親を殺していません、大層な意気込みですが最初から間違っているわ」「程氏、未来の夫のために嘆願に来たのだろうが、凌不疑ならやりかねん」御史台で散々な目にあった左大人は程氏も収監して尋問するべきだと訴えたが、皇帝は少商の言葉が引っかかった。「今、何と言った?なぜ父親を殺していないと?」「陛下にお答えします…なぜなら凌益は子晟の父親ではないからです 子晟の実父は霍翀(フォチョン)将軍、子晟は霍翀将軍の忘形見である霍無傷です」(O_O)言ったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~子晟は確かに城陽侯に似ておらず、どこか霍将軍の面影があった。少商の話では杏子が好物のはずの子晟が霍君華(フォジュンホワ)の手作りの杏仁菓子を食べ、熱を出したことがあったという。「霍無傷は杏仁に触っただけでも赤く腫れるとか、それで私は疑念を持ったのです そして宴の夜、本人から告げられました、自分は霍侯の息子・無傷だと… 陛下、凌益は孤城の陥落を企て、霍将軍を惨殺した黒幕、子晟は父の敵を討っただけなのです」全てを聞いた皇帝は呆然、腰が抜けるように少商の前で座り込んだ。崔祐は何も知らなかった霍君華を思うとやるせなくなったが、少商は臨終の時を思い出せば分かるという。あの時、霍君華は子晟に自分たちの敵を忘れるなと遺言を残した。そして最期は確かに天を見つめながら我が子の名を呼んでいる。「阿狸(アリ)や…阿母も行きますよ…」霍君華は全て分かっていた。すると左御史中丞が新婦である程氏の言葉では証拠にならないという。少商はようやく凌不疑の苦悩を理解した。自分が誰の子かも証明できず、城陽侯が死ねば証人も消え、生かしておいても実子だと断定すれば反論しても無駄になる。「陛下、子晟は仕方なくあんな下策を…」しかし皇帝には凌不疑が阿狸か阿猙(アージョン)か証明する方法があった。「阿猙が子供の頃に見たことがある、身体に変わった形のあざがあった」「虎の頭では?!耳が3つある…子晟の腰の半寸下にありました 子晟の身体を拭こうとした時に偶然、見たのです!」「そうとも、3つの耳がついていた!ぁぁぁぁ〜早く捜索に遣わせ! あの青二才を崖から救うのだ!医官も連れて行け!食料もだ!」三皇子は直ちに崖へ向かうことにした。すると少商が追いかけて引き止める。「子晟の命を狙う者がいます あの日、左将軍は私たちを追い詰めて矢を放てと命じ、それで子晟は崖に…」「分かった…今日のことは感謝する 今後、子晟は愛するそなたのいいなりだな、ふっ」しかし少商の顔に笑顔はなかった。一方、崖から身を投げた凌不疑は蔓にからまり、かろうじて岩肌に留まっていた。どうやら不疑が手首に巻いていた少商の弦が蔓に引っかかり、運良く助かったのだろう。「少商…」つづく( ́ඉ .̫ ඉ ̀)ァゥァゥァゥァゥァゥァゥァゥァゥ…私のガオハン、美しかったわ~ ←そっちw
2023.12.01
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月升沧海 Love Like the Galaxy (第12話)第39話「積もる痴情のもつれ」皇帝に呼ばれて参内した小越(ユエ)侯。すると崇徳(スウトク)宮には杖刑で負傷した凌不疑(リンブーイー)の姿もあった。「越卿、実はそちに相談があってな…五公主とそちの末息子を早く成婚させたい」小越侯は困惑した。今や都中が五公主の噂でもちきり、そんな中で成婚すれば越氏まで影響を受け兼ねない。しかし皇帝は越氏があえて今、五公主を嫁に迎えることで噂が嘘だと示し、五公主の名誉を守りたいという。小越侯は皇帝の命に背くこともできず拝命するしかなかったが、これが凌不疑の差し金だと分かった。一方、皇太子の想い人だった曲泠君(チューリンジュン)は旧友と積もる話もできないまま慌ただしく宮中を出た。夫・梁尚(リャンシャン)が曲泠君をぞんざいに扱う様子を目の当たりにした五皇子妃は、かつて仲良く遊んでいた友の境遇が気がかりでならない。しかし程少商(チォンシャオシャン)は常識的で誠実だと評判の梁(リャン)州牧(シュウボク)が義兄なら夫人も大丈夫だと安心させた。その頃、梁尚は苛立ちながら曲泠君を連れて城門を出ようとしていた。すると東宮の使いが現れ、辞別の品を届ける。曲泠君は夫の手前、辞退したが、使いは皇太子が別れを惜しんで自ら授けた品だと釘を刺した。そこで代わりに梁尚が化粧箱を受け取ったが、中身が皇太子の手巾だと知るや馬車に乗り込むなり曲泠君に暴行してしまう。走り去る馬車から漏れ聞こえる曲泠君の悲鳴、皇太子妃はその声を城楼で耳にしながらほくそ笑んでいた。そんなある日、凌不疑が長秋宮にやって来た。少商はちょうど皇后や皇太子夫妻と談笑していたが、驚いたことに曲泠君が夫を殺したという一報が入ったという。「廷尉府が捕らえに向かいました、殺めたのは昨日の午の時の頃だとか 曲泠君が食事を届け、その後、刺された梁尚を下僕が発見しました」しかし皇太子が殺したのは曲泠君ではないと断言した。実はその時間、皇太子と曲泠君は紫桂(シケイ)別院で会っていたという。一方、梁府では廷尉府侍郎である袁慎(ユエンシェン)が舅父・梁無忌(リャンウージー)と対峙していた。袁慎は不明な点が多いため廷尉府が遺体と容疑者を預かると決めたが、公にしたくない舅父に邪魔されてしまう。「お前の母も梁家の嫡女だ、母方の名声にも関わる、連行はさせられん」結局、袁慎は伯父に阻まれ断念、改めて人を遣わすことにした。皇太子妃は皇太子と曲泠君が密会していたと知り深く傷ついた。「それほど彼女は魅力的ですか?再会しただけで理性を失わせ、醜聞を引き起こすとは… しかも死人まで出して、とても取り繕えない」皇太子妃は曲泠君が皇太子と復縁するため夫を殺したと決めつけると、ついに皇太子は堪忍袋の尾が切れた。「彼女と会ったのは梁尚から十余年も乱暴されていたからだ 曲泠君の悲惨な境遇もそなたのせいだ!答えよ、余の手巾がなぜ曲泠君の手に?」実は皇太子妃の嫌がらせは今日に限ったことではなかった。皇太子は皇太子妃がこの十余年、自分の名義で梁家に事ありげな品を贈り続けていたことを把握していたという。これでは梁尚が自分たちの関係を疑い、乱暴するのも当然だった。少商は衝撃の事実に驚愕、その時、初めて東宮を訪れた時のことを思い出し、はっとする。あの時、確かに皇太子妃は自分のかんざしを外し、梁夫人に渡すよう指示していた。しかし皇太子妃は原因なら皇太子にあると反発する。「曲泠君にとってこの十余年は生き地獄だったしょう、では私はどうだったと? 枕を同じくしても殿下の心は遠く離れていた…私の心が痛まないとでも思いますか?」「縁は切れたと言ったであろう?!成婚した時に誓った、そなたと余生を歩むと… だかそなたは改めもせず、結果、今に至り、余が好まぬばかりか、宮中の誰にも尊敬されぬ」すると皇太子は皇太子妃に最後の機会を与えた。「望むなら曲泠君のために陛下の前で余と一緒に嘆願するのだ 望まぬのならすぐに消えうせろ!」「…曲泠君はまるで私と殿下の心に刺さる棘のよう あんな女、今すぐ廷尉府の牢に入れられ死ねばいいのよ!絶対に嘆願などしない」皇太子妃は積年の恨みをぶちまけ、皇后に拝礼して長秋宮を出た。その夜、皇太子は父皇に事情を説明し、廷尉府に曲泠君の潔白を証明してほしいと嘆願した。皇帝は臣下の妻と密会していた皇太子に激怒、すぐ廃することもできると怒号を響かせる。「男女が別院で密かに会いながら潔白だと主張して誰が信じるというのだ?! 天下の見本になるべき太子が男女の情などで己の名声を壊すとは!」すると皇后が矢も盾もたまらず、涙ながらに母として子を信じると訴えた。「陛下は父として息子を信じてくださいますか?」結局、皇帝は東宮と天下のために示しをつけるとし、子晟(ズーション)に真相解明を命じた。凌不疑は拝命して寝殿を出た。すると物陰で聞き耳を立てている少商を見つける。ばつが悪い少商だったが、調査に行くなら一緒に行きたいと頼んだ。本当のところ不疑は嫁選びを誤り、自分の首を絞める結果になった皇太子に呆れているという。しかし少商は皇太子の果敢な決断に敬服すると言った。「太子が自分の名誉のために曲泠君の苦難を見過ごせば、それこそ失望するわ …ねえ、行ってもいいでしょう?」「分かった、だがかき乱さないと約束してくれ」「いつ私がかき乱したの?」「いつもだろう?」凌不疑は黒甲衛(コクコウエイ)を引き連れ、梁家の捜査にやって来た。梁州牧と梁尚の同腹の弟・梁遐(リャンシア)が現場となる部屋に案内したが、まだ生々しい血の痕が残っている。不疑は同行した少商を気遣い、曲泠君の様子を見て来るよう頼んで外へ出した。「私は梁州牧に話がある、事は梁府の男全員に関わる…全員に同席してもらおう」その頃、曲泠君は子供たちと引き離され、君姑から容赦ない制裁を受けていた。「お前を打ち殺してくれる!息子の敵討ちだ!」驚いた侍女・幼桐(ヨウトン)は咄嗟に主に覆い被さってかばったが、そこへ少商が駆けつけ止めた。「老夫人、調査中なのに私刑に処すとは…」しかし老夫人は少商が皇后付きだと知り、皇后が息子を助けるため送り込んだと誤解してしまう。「自分の息子は大事で、私の息子は死ねばいいというの?そんな理不尽なことがあると?」老夫人は興奮して再び曲泠君を打ち据えろと叫んだが、その時、袁慎が母を連れてやって来た。袁夫人は早速、長老を呼び集め、嫡女として一族の掟に従い審理を始めた。当時はまだ父の側女だった庶母、寒門の出なのはともかく、狭量で私心しかなく、到底、父の妻とは認められないという。すると老夫人は正妻となっても一族に見下されていたと不満を漏らした。溺愛する梁遐を仕官させたくても一族が推挙してくれず、家主にしようとしても年功序列だと言って機会を与えてくれなかったという。しかし袁夫人はそもそもこんな騒動となった発端は老夫人にあると指摘した。実は老夫人が正妻になったのは梁尚を産んだ時ではなく、梁遐を産んだ時だったという。そのため老夫人は梁尚が庶出だと知られるを嫌って梁遐にばかり目をかけ、そのせいで梁尚は神経質で疑り深い性格に育っていた。「末子に家主を継がせたいから曲泠君の断罪を急いだのね 梁家がなければ甲斐性なしの2人の息子の命など何の価値もないけれど…」袁夫人は聡明な曲泠君がなぜ虐げられても訴え出なかったのか訝しんだ。実は曲泠君は何度か離縁を申し出たが、梁尚から皇太子との醜聞を言いふらすと脅され断念したという。子ができてからも離縁を考えたが、出て行くなら子を置いて行けと迫られ諦めていた。すると袁夫人は事件当日、梁尚に食事を届けたのは誰なのか確認する。「侍女の幼桐です」その頃、凌不疑は梁家の男たちを集め、この中に犯人がいると踏んでいた。女が背後から一太刀(ヒトタチ)で胸を刺し、命を取るのは難しい。しかも梁尚は交友がなく、終日、部屋に閉じこもって金石の彫刻に没頭していた。「彼に恨みがあり、利害を争うのは外部の人間ではない、梁家の者だけだ 本件は太子に関わり、たった1日で都中に広まった 犯人の手際がいいのも呼応する者がいたからだ それに梁尚は梁家家主、家主が死んで夫人が犯人となれば梁尚の子は家主の座を継げない つまり取って代われる者こそ、犯人の可能性がある…梁州牧、あなたが真犯人では?」つづく( ゚ェ゚)… ←皇后も所在なさげw
2023.10.28
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月升沧海 Love Like the Galaxy (第20話)第47話「歯形の誓い」孤城陥落の真相を知る彭坤(ポンクン)を北軍獄に連れ去り、拷問を続ける凌不疑(リンブーイー)。すると翌朝、廷尉府侍郎・袁慎(ユエンシェン)が駆けつけ、国の法を守り、掟に従うべきだと諫言した。「程少商(チォンシャオシャン)との成婚も間近であろう?朝堂で口実を与えるな 妻に迷惑しかかけぬのなら、私が取って代わっても構わんぞ?」実はその頃、少商は御前で左(ズオ)御史中丞から追及されていた。凌不疑が彭坤の身柄を勝手に奪ったことが発覚、崇徳(スウトク)宮に皇太子や三皇子、城陽(ジョウヨウ)侯・凌益(リンイー)らが集まった。左御史中丞の話では程娘子が夫のため嘆願に来た身重の王姈(ワンリン)に乱暴したという。しかし少商は子晟(ズーション)を貶められて手巾で口を塞いだだけだと釈明した。皇帝は頭を抱えたが、そこへ凌不疑が現れる。「左大人は打たれ足らず、私の新婦に難癖を?」左御史中丞は凌不疑が勝手に彭坤を拷問したと非難した。するとすかさず少商が彭坤も孤城陥落に関わっているからだと反論する。驚いた左御史中丞は城陽侯の顔色をうかがったが、凌益は視線を逸らした。「小越(ユエ)侯が捕らわれたのが引き金です 乾安(ケンアン)王を陥れた彭坤は孤城の件も隠せないと悟り、造反したのです でも当時、一介の副将に主帥を陥れる度胸があるでしょうか?首謀者は別にいるはずです」少商は全て王姈から聞いたと明かした。夫は都の者と往来があり、密かに夫と接触し続けた者こそ黒幕だという。事情を知った皇帝は子晟も廷尉府と一緒に捜査することを認めたが、拷問させないよう三皇子に監督を任せた。凌不疑は自分を無視して足早に帰って行く少商を何とか引き留めた。「少商!」「…小越侯を泳がせていたのね? 文修君(ウェンシウジュン)への仕打ちも、御史台への報復も、全て私のためだと思っていた でも実際は私はただの口実だった」少商は裏で画策していたのが不疑とも知らず、皇后や皇太子を救うため奔走していたと思うと悔しくて涙が出た。しかし不疑がいくら諌めても皇太子は王淳(ワンチュン)や楼(ロウ)太傅を重用し、このままでは過ちを繰り返すだけだったという。「少商、誤解しないでくれ…君への行動は全て真心からだ」「なら教えて、将来、枕を共にし、子をなす相手の真の姿を…成婚するのに私はあなたを知らない 子晟、大切なことを隠していない?話してくれたら信じる」少商は核心に迫った。しかし不疑が何か言おうとしたところで東宮の侍従が駆けつける。「凌将軍、太子殿下がお呼びです」凌益は皇太子に頼んで東宮に子晟を呼んだ。皇太子は親切心で父子の対面に協力したが、父の顔を見た凌不疑は捜査があると断って引き返すことにする。すると凌益は息子を引き留め、成婚前に父子で話がしたかっただけだと訴えた。「私が彭坤を調べることになぜそれほど焦っている?審理を引き延ばしたいと?」「お前の身体を心配しているだけだ」しかし不疑は偽善など必要ないと捨て台詞を吐いて出て行ってしまう。皇太子は力になれなかったと落胆したが、凌益にはこの短い時間で十分だった。王姈は少商の嘆願のお陰で夫との面会が認められた。しかし独房ですでに息絶えた夫の無惨な姿を発見する。検視の結果、彭坤は独房に舞い込んだ花びらで喘息発作を起こし、急死していた。王姈の話では夫は重度の喘息持ちで、草花も嗅げなかったという。凌不疑が呆然と亡骸を見ていると、知らせを聞いた凌益が皇太子と一緒にやって来た。「明らかに報いだな、乾安王を陥れたことで孤城の陥落を招き、お前の舅父一族は惨殺された …これで肩の荷が降りたであろう、少商と成婚して憂なく暮らせ」その時、激情に駆られた不疑が凌益の胸ぐらをつかんだ。「お前だな!お前が殺したんだ!」驚いた皇太子が慌てて子晟を止めると、不疑は皇太子の手を払い退けて出て行った。その夜は激しい雨になった。憤懣やる方ない凌不疑は人けのない大街で酒をあおりながら、怒号を響かせる。その時、少商がやって来た。少商はへたり込んだ子晟に寄り添い、自分がそばにいるとなだめる。しかし不疑はもはや望みは絶たれたと泣き崩れた。「結局、私は何もできなかった…少商、目を閉じると見えるんだ 全身が血まみれになった彼らが私を責め続ける、なぜ敵を討ってくれないのかと… 本当は私も死んでいた、十数年も耐え続けたのに…全て無意味だった… 退路は絶たれた、少商、それでも私のそばにいてくれるか?」「何が起きてもあなたを助ける、どんな時もあなたの味方でいる」「程少商…実は…私の名は…」「若主公ォォォォォォォォォォォ~ッ!」その時、梁邱起(リャンチゥチー)と梁邱飛(リャンチゥフェイ)が駆けつけた。「大変です!夫人が…夫人が…」凌不疑と少商が杏花(キョウカ)別院に駆けつけると、崔祐(ツイヨウ)が霍君華(フォジュンホワ)に付き添っていた。霍君華はもはや虫の息だったが、驚いたことに我を取り戻している。「思えばあの時、あなたに嫁ぐべきだった、あなたに嫁いでいたらこんな末路は迎えなかったわ」その時、霍君華は崔祐の肩越しに凌不疑の姿を見つけた。「…こちらへ」霍君華は不疑をそばに呼ぶと、最後の力を振り絞って身体を起こし、顔を近づけた。「…忘れてはならない、我らの仇を」「約束します、決して忘れません、この仇は必ず討ちます」すると安心したのか、霍君華は最期に阿狸(アリ)の名を呼んで旅立った。凌不疑は一睡もせず母の棺に付き添った。心配した少商は薬湯を届けたが、不疑はどこか達観しているように見える。「少商、私が驚天動地の挙に出ても私への気持ちは変わらないか?」「棺の前で誓うわ、私、程少商は凌不疑を決して裏切らず、彼が離れない限り諦めないと誓います」すると少商と不疑は互いの腕を噛んで歯形を残し、誓いの印とした。「互いに噛んで誓った、この傷が互いの心を結んでる、改めて聞くわ、私に何か話はない?」不疑は喉まで出かかったが、結局、真相を明かすことはできなかった。「…何もない」≡≡≡ ⊂⌒~⊃。Д。)⊃ ズコッ!言わないのかーい!中庭から崔祐の怒鳴り声が聞こえた。凌不疑が外へ出てみると、崔祐が凌益と淳于(チュンユー)氏に激怒している。崔祐は思わず凌益を殴りつけたが、不疑に止められ、その場を離れた。「母の霊前に何か用か?」聞けば7日後は凌益の五十路の生辰、凌氏一族も集まるため霍君華を招待に来たが、思いがけず訃報を知ったという。凌益は宴を中止にすると言ったが、不疑は決まっているなら開けばいいと勧めた。「当日は私も礼品を持って伺おう」その話を回廊で少商が聞いていた。つづく(Ŏ艸Ŏ)息を止めて子晟の告白を待ち…(๑≧ꇴ≦)その度にプハーッとなって…そしてまさかの3段落ちw
2023.11.24
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月升沧海 Love Like the Galaxy (第3話)第30話「招かれざる客」皇后をかばって手首を痛めた程少商(チォンシャオシャン)。帰りの車の中、凌不疑(リンブーイー)は少商を手当てしながら、今後は己の力の及ばぬことに首を突っ込まないよう釘を刺した。いくら文修君(ウェンシウジュン)が愚かでも限度はわきまえているはず、燭台を倒すにしても皇后に当たらない方向だったはずだ。「高貴な2人の争いに君の保護が必要だと思うか?」しかし少商はカチンと来てつい言い返してしまう。「つまり皇后は私の保護など必要としていないと?確かに皇后はこの上なく尊いわ でも彼女が文修君(ウェンシウジュン)に蔑まれていた時、あなたと陛下はどこにいたの? なぜ強い人は守る必要がないって思うの?」「では君はどうなんだ?少商、君のように強い人はなぜ私の保護など必要ないと思う?」その時、馬車が曲陵(キョクリョウ)侯府に到着した。少商は馬車を降りると、不貞腐れたまま門に向かった。すると不疑が少商を呼び止める。「君が私と話をする時の縛られぬ姿が好きだ、権勢も苦難も恐れぬ君が好きだ 覚えておいてくれ、君が先に仕掛けたと…」少商は慌てて言い訳しようとしたが不疑に遮られた。「私は簡単に真心を委ねぬ、だが一度、委ねたら撤回はしない だが君が私に真心を委ねることができないというなら、私の真心を引き払うこともできる」結局、翌日の朝、凌不疑は用事があって少商を迎えに来なかった。一方、三公主は舅父(キュウフ)・小越(ユエ)侯と酒楼で密談していた。何も知らず皇宮から逃げるように帰っていった文修君、まさか舅父の妙策で小乾安(ケンアン)王が鋳造(チュウゾウ)権に食いついたとも知らず皇后に無心に来たのだろう。実は舅父はすでに文修君の腹心も手なずけていた。「いずれ贋金(ガンキン)は安値で我らの手に入る、その際はお前も封地で使うがよい」貨幣の偽造は謀反と同罪だった。しかし鉱山があるのは寿春(ジュシュン)で鋳造するのは小乾安王、もし追求されても過って贋金を使ってしまったとごまかせば良いという。独りで参内した今日に限って少商は意地悪な三公主と遭遇した。少商は掟通り拝礼したが、三公主は自分の許可なく頭をあげたと難癖をつけ、ひざまずけと命じる。「私は身の程知らずが一番嫌いなの」すると侍女たちが少商を無理やり平伏させ手を踏みつけ、頬を引っ叩いた。しかし運良く皇太子妃が通りかかり、少商を助けてくれる。「宴が始まるのに程娘子(ニャンズー)がいないと母后が案じていたわ、何と説明するつもり?!」「それほど慌てること?ちょっとふざけていただけよ~」皇太子妃は東宮で少商の腫れた手首を冷やしてくれた。2度も同じ手を負傷した少商、しかし多忙な皇后を煩わせることはできず、かと言って凌不疑には意地でも頼りたくない。すると皇太子妃が三公主の性分を教えてくれた。三公主は皇帝の寵姫である越妃の娘で、兄の三皇子も有能なため長秋(チョウシュウ)宮も東宮も眼中にないという。小越侯のもとで育ったせいか贅沢を好み、傍若無人なのも仕方がないのだろう。幼い頃は子晟(ズーション)を見下していたが、功績を残すようになると急に気に留めるようになった。恐らく子晟を好きというより、容貌と権勢に執着しているだけだという。「子晟も宮中に入った時は蔑まれ、あなた以上に酷い目に遭ったのよ? ある時、川に突き落とされてね…幸い太子が助けたの その頃の子晟は宮女を連れて食事に付き合わせるのが好きだった 家族と座して食事をしたことがなかったから… 幼い頃は毎年、必ず灯会(トウエ)に出かけ、灯火の見える高台で世の人々の団らんを見渡していたわ」一方、皇太子は長秋宮での騒ぎを知り、凌不疑を呼び出していた。車騎(シャキ)将軍・王淳(ワンチュン)も凌不疑も大事な右腕、婦人の諍いで離間して欲しくないという。しかし不疑は恨みではなく、王淳の能力では任に耐えられないと諫言した。「後継者として親族を重用するのではなく、国事を第一にお考えください 太子妃の従兄も遊びにかまけ酒で事を誤る、東宮侍衛の首領など務まりません できるだけ早く最適な人選を…では他に用件もありますのでこれで」「あ、お前の未婚妻が東宮に来ているぞ?」皇太子妃の寝殿に侍女が礼品の受け取りにやって来た。皇太子妃はすでに準備していた礼品を渡したが、ふと思い立って自分のかんざしを外し、梁(リャン)夫人に渡すよう頼む。「太子妃、それは殿下への朝貢の品では?」「殿下の物なら功績ある大臣に与えるのが一番だわ」やり取りを見ていた少商はしみじみ皇家の妻を務めるのは至難の業だと漏らした。「確かに宮中など身を置かぬ方が良い、でも今となっては突き進むしかありません 彼がここで成長したのなら、私も同じ道を歩んでみたいのです」その話をちょうど皇太子と凌不疑が聞いていた。凌不疑は少商の言葉が内心、嬉しかった。そこで手を取って連れて帰ろうとしたが、少商は思わず顔を歪ませてしまう。驚いた不疑が袖をまくってみると、少商の手はひどく腫れていた。気が強い少商は相変わらずなぜ負傷したか言おうとしなかった。すると凌不疑は少商を欄干に座らせ、隠しても自分で調べれば分かることだという。「それからもうひとつ、少商、今後、東宮や太子妃とは距離を取れ」「なぜ?太子妃は威張らず、東宮では侮辱されたりしないわ」「参内して日の浅い君にはまだ分からないことがある 宮中の内情はそう簡単ではないし、心の善悪も一目では見抜けないものだ 利害がなければ誰もが善良だが、権勢が絡むとそうもいかない」東宮と言えば争いの渦中、雁回(ガンカイ)塔での一件もあり、不疑は宮中のもめ事から少商を遠ざけたいという。しかし少商は凌不疑の未婚妻になって遠ざけられるのかと聞いた。「あなたのために順応しているのよ?あなたの直面する全てに私も直面するのだから あなたが宮中で経験したことを私も少しずつ理解するつもり だって未来の夫がどんな人か知りたいから…」「それはつまり…全ては私のためだと?」「違う、自分のためってことよ」「分かった、望むままやってみればいい、私が守る」すると2人はわだかまりが解け、見つめ合った。( ๑≧ꇴ≦)アップデートしたアルソックw三公主が真紅の衣に豪華な装飾品で永楽宮に現れた。越姮(ユエホン)はつくづく皇帝に追随して出征するため娘を三舅母(キュウボ)に預けたことを後悔し、俗っぽく山猫のようだと揶揄する。「でもなぜ急に豊かになったの?」「ささやかな商売を始めただけ、都の酒楼よ」三公主は母に牡丹の金のかんざしを献上したが、越姮は全く興味がなかった。「今日は霍(フォ)将軍の命日よ、昼は長秋宮で宴があり、午後は陛下が弔いを行う お前も奉先(ホウセン)殿へ…」すると越姮は侍女に命じ、三公主を白い衣に着替えさせろと命じた。長秋宮での宴、少商も凌不疑の未婚妻として列席した。少商の斜め後ろには相変わらず風来坊のような五皇子がいる。当時、皇帝が酔った勢いで徐(シュ)美人を寵愛し産ませたのが五皇子、その過ちを深く反省した皇帝はそれ以来、后妃と曹(ツァオ)常侍(ジョウジ)しかそばに置かなくなった。他にも駙馬や皇子の夫人たちも顔を揃えていたが、気性の激しい三公主や五公主と違い、二公主や五皇子妃は穏やかで少商を家族として歓迎してくれる。しかしその様子を見た三皇子が思わず失笑した。「今や誰もが子晟に擦り寄るとはな…」皇帝は亡き義兄を思うと酒を飲む気分にもなれず、沈み込んでいた。そんな中、宴に招かれざる客が現れる。汝陽(ジョヨウ)王妃は家族の宴を理由に参内し、愛孫の裕昌(ユーチャン)を出家に追い込んだ少商と孫を捨てた凌不疑への鬱憤を晴らしにやって来た。そこで普段は宴に参加しない越妃の席に勝手に座ったが、珍しく越姮がやって来る。「叔母(シュームー)、そこは私の席です、空けていただけますか?」越姮は叔母の席を用意するよう命じ、汝陽王妃を移動させた。越姮は孫を甘やかす汝陽王妃を牽制するため、子女たちに厳しい戒めを与えた。三公主には騒ぎを起こせば食邑(ショクユウ)や奴婢を全て召し上げると脅し、二公主が妹をかばえば、女媧(ジョカ)に頼んで三妹のような愚かな娘を産ませると容赦ない。皇太子妃に至っては自分の手の内を管理しろと叱られ泣き出す始末、五公主はひどいクマができていると指摘され、今夜は独りで過ごしたらどうかと揶揄された。さすがに汝陽王妃は残酷過ぎると呆れたが、越姮は子女たちを教育しているだけだという。すると越姮は駙馬や公主たちを下げてから昔話を始めた。「当時、長公主は懐妊中で身体が弱るも、叔母は肉を買う金も貸さなかった 陛下は姉のために獲物を狩ろうと凍える雪の日、山に入るしかなかったのです 霍翀(フォチョン)兄が駆けつけた時、陛下は凍えていたとか その後、霍翀兄が金を出して長公主と凍傷の陛下を世話してくれました…」汝陽は慌てて皇帝が山に入ったことなど知らなかったと言い訳したが、皇子たちの目は冷たい。「…子晟、私と陛下はあなたの成婚を待ちわびてきた 子孫がいれば舅父一族を供養し、亡き彼らの魂が孤独にさまようこともない あなたの妻に難癖をつける者など、くそ食らえよっ」つづく( ;∀;)ずーしょん…やっぱり相当、拗らせてるね〜 ←そっちwそれにしてもこの手の長台詞は耳触りが合わないとキツいわ( ̄▽ ̄;)
2023.09.24
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月升沧海 Love Like the Galaxy (第8話)第35話「月と星の関係」袁慎(ユエンシェン)は程少商(チォンシャオシャン)と凌不疑(リンブーイー)の婚約の宴から追い出される汝陽(ジョヨウ)王妃と城陽(ジョウヨウ)侯夫人を目の当たりにした。「程娘子の婚約は慶事と言えなくもないが、汝陽王にとっては大慶事だな…」「″言えなくもない″って何よ?」少商は回廊にいた袁慎の失礼な物言いを聞き逃さなかった。「そんなに嫌味ったらしいのは嫉妬しているから?前の縁談が潰れてもすぐ次が決まった 善見(シャンジエン)公子なんて子晟(ズーション)と同年代なのに妻もいない 今日は世家の娘が大勢来ているから私が取り持ってあげましょうか?」すると憤慨した袁慎は低俗だと言い捨てて行ってしまう。万松柏(ワンソンバイ)が凱旋、匪賊を討伐して無事に人質だった王隆(ワンロン)を解放した。事情を聞かれた王隆は、持ち場を勝手に離れたのも父・王淳(ワンチュン)の軍令に従ったからだと釈明したという。皇太子は自分が慎重に調査すると申し出たが、その時、廷尉(テイイ)府・紀遵(ジーズン)が自分たちに任せて欲しいと嘆願した。「善見、陛下にご挨拶を…」仕官した袁慎は御前で拝礼し、見解を述べようとした。すると凌不疑が話を遮り、実は昨夜のうちに調査を済ませたという。実は王隆への軍令は文修君(ウェンシウジュン)が夫の文として偽造し、印章も偽物だった。しかも文修君は寿春(ジュシュン)にいる弟・小乾安(ケンアン)王を援助するため、銭の鋳造をそそのかしたという。皇帝もこれ以上かばい立てできず、文修君の封号を剥奪して自害を命じ、また王父子は官位を剥奪され庶民に落とされた。朝議が散会した。すると朝堂を出た凌不疑に少商からの差し入れが届く。何とも微笑ましい様子に紀遵は目を細めたが、袁慎は内心、面白くなかった。「善見、お前もいい年だ、身を固めないのか?」「縁談に興味はありません」↓善見ザマアァァァwww王姈(ワンリン)は長秋(チョウシュウ)宮へ駆けつけ、皇后に母の命乞いを続けた。しかしちょうど母の見舞いに来ていた五公主が現れ、立ち去らなければ宮廷を騒がせた罪で打ち据えると脅す。驚いた少商はそこまでせずとも自分が追い払うと約束し、王姈を助けた。「死にたくなければ黙って…事は重大よ、私たちでは何もできない」その夜、少商は寿春料理を作って皇帝に届けた。皇帝は舌鼓を打ちながら老乾安王を懐かしんだが、少商が遠回しに嘆願に来たと見抜く。すると少主は嘆願が皇后のためでもあると言った。「皇后は乾安王に養育されました 文修君がどれほど横暴で不敬な態度でも耐えて来たのは、ひとえに故人を偲んでのこと 文修君が死を賜ることになり、皇后はまた病に伏されました、きっとお辛いはずです」皇帝は子晟からも同じことを言われたと明かした。老乾安王は霍(フォ)兄のために亡くなり、文修君と弟はその乾安王が残した唯一の血脈だという。「…いいだろう、幸いひどい事態は招いておらぬ、死は免じよう」 王姈は彭坤(ポンクン)へ嫁ぐことが決まり、その前に生涯軟禁となった母を訪ねた。夫や娘を顧みず大罪を犯した母、しかし未だ過ちを認めず、気概がない娘を引っ叩いてしまう。すると王姈はついに母を見限った。「阿母、舅父は陛下への書状で全ての罪を阿母に着せたわ 自分は貨幣のことも知らず、軍を動員したこともないと… 最初、陛下は自害を命じた、でも皇后に免じて監禁に留めてくださったのよ」結局、文修君は自分が守ろうとした弟に裏切られ、恨んでいた相手に命を救われることになった。それでも文修君は弟をかばい、全ては大局を考えてのことだと訴える。王姈は哀れな母に深くし失望し、寿春へ行ったら毎日、皇帝と皇后のために祈ると言った。「あなたは永遠に実現しない夢を見ながら、この部屋で一生、過ごすのね」五公主は病み上がりの母后を訪ね、寿誕の宴を自分に任せて欲しいと頼んだ。父皇は少商を指名したが、母后から推薦して欲しいという。しかし皇后は娘が宴の予算に目をつけ、自分の懐を潤すつもりだと分かっていた。五公主は悪びれる様子もなく、幕僚たちを養う元金が必要だと訴える。その時、どこからともなく甘い匂いが漂って来た。「(クンクンクン…)何の匂いですか?」少商が新しい甘味を作っていると、皇后と五公主が様子を見にやって来た。「また子晟に食べ物を?」実は大臣たちも少商が子晟の馬車に差し入れを運ばせているのを目撃し、今や賢妻と評判になっているという。「でも孝行者とは聞かないわね~」皇后が遠回しに嫉妬すると、少商は今回の試作が皇后のためだと教えた。早速、試食した皇后は甘くて美味しいと笑顔、そこへ皇帝が凌不疑を連れてやって来る。「…誰かさんは朕より皇后を喜ばせられるようだな」少商は皇帝にも新しい甘味を勧めた。飴糖(イトウ)は高価なため甘蔗(カンシャ@サトウキビ)を絞り、小豆と糖汁を煮詰めたという。すると少商は五公主を尻目に不疑にも甘味を渡した。「ご安心を、甘蔗は自腹で買いました、皇后を喜ばせるため一文なしです、ふふふ~」「そなたは孝行者だな、子晟、お前の新婦は出来がいい」皇帝は喜んで不疑に食邑200戸を授けたが、少商はなぜ自分ではなく不疑が褒美をもらえるのか分からなかった。↓(๑・᷄ὢ・᷅๑)何でなん?五公主は娘の自分を差し置いて父皇と母后に寵愛される少商が面白くなかった。すると帰りの道すがら回廊で偶然、駱済通(ルオジートン)と出くわす。「あなたは私の伴読を務め、翟(ジャイ)媪(ウバ)を支えて宮中の雑務を行って来たわ でも母后は差配を程少商に任せるそうよ? …母后はあなたを十一郎に与えると思ったのに、まさか先を越されてしまうなんてね~」駱済通は寛容な対応を見せたが、内心は少商に激しく嫉妬していた。その気持ちを見透かすように侍女の春笤(チュンティアオ)は皇后の寵愛があっさり少商に移ったことに不満を漏らす。しかし何にせよ誰が皇后の意向に異論を唱えられるというのか。その夜、少商は皇后に今日の皇帝の褒賞について尋ねた。「陛下は私を褒めたのに、子晟に褒美を与えました… 200戸が惜しいわけではなく、私の出来が良かったのになぜ子晟の手柄になるのですか?」すると皇后はかつて楼(ロウ)家で少商が皇帝から表彰されたのは子晟が願い出たからだと明かした。当時、子晟は自分の褒賞を求めず、少商が楼家で見下されぬよう嘆願したという。何も知らなかった少商は驚いたが、ただ周りから子晟の妻としか見られず、自分自身がないことに納得できなかった。皇后はならば皇帝の麾下(キカ)である将士や大臣たちなど自分の居場所すらなくなるという。「良策を立て戦に勝利しても陛下の領土を広げただけ、自分たちとは何も関係ない 策が悪く、破れれば陛下の落ち度になる…でも古(イニシエ)よりこの満天の星の下では 合従(ガッショウ)や連衡を唱えて来た名将や策士も同じ星の河に名を連ね、明るくその輝きを放つ…」皇后は孤独に育った少商がこれまで自分の栄辱ばかり考えて来たが、成婚すれば別のやり方が必要だと諭した。「…皇后の言うとおりです、郎君が陽光で万里を照らすなら、私たち女は明るい星、星河に輝く」少商は日月と星河に高低は関係なく、互いが欠かせない、共存することでこの天地を成すのだと理解した。程家では一家が宮中から戻らない嫋嫋(ニャオニャオ)を恋しがっていた。嫋嫋がいない食卓は火が消えたようだったが、老夫人だけは気にかける様子もなく食欲が落ちることもない。すると朝餉の時間というのに突然、凌不疑が尋ねて来た。実は少商が皇后の寿誕の宴を仕切ることになり、皇帝に命じられて宮中に留まることになったという。「宴が終われば帰れるかと… それで少商が暮らしに困らぬよう、使い慣れた小物を取りに伺いました」程始(チォンシー)は了承したが、凌将軍は全ての荷物を運び出し、少商の部屋は空っぽになってしまう。つづく( ゚ェ゚)そしてまた独り消えた…ようやく原題の意味が出て来ましたね
2023.10.14
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月升沧海 Love Like the Galaxy (第9話)第36話「負けず嫌いの涙」凌不疑(リンブーイー)は宮中に留まる程少商(チォンシャオシャン)を気遣い、曲陵(キョクリョウ)侯府から少商の荷物を運び込んだ。少商は届いた荷物を見ると家が恋しくなる一方だとぼやいたが、皇后は単に宮中での暮らしが窮屈なだけだと見抜く。思わず顔を見合わせて失笑する皇后と少商、しかしそこへ五公主が現れ、寝殿のなごやかな空気は一変した。五公主は珍しく殊勝な様子だった。「どんな貴重な礼品も父皇と母后の権勢を借りて得たもの そこで自ら舞人を招いて演舞を編成し、長く練習しました」「母后はあなたの孝心を知っているわ」少商の前で褒められ得意げな五公主、しかし喜んだのも束の間、母后から弘農(コウノウ)郡で広大な田畑を荘園にしたことを咎められてしまう。「でも放置されている荒れ地です 荘園にして水路を開き流民に開墾させれば、食糧も増え、民も安心かと…」「天下は王の領地ゆえおのずと開墾する民もいる、心配には及ばない」しかし五公主は少商のすることには援助しても自分は叱責されると恨み言を漏らした。皇后は少商なら自腹であり私欲でもないと呆れ果て、話をそこで終わらせてしまう。病み上がりの皇后は五公主が宴に招いた世家の息女たちが煩わしく、越(ユエ)妃の永楽宮へ預けることにした。少商は駱済通(ルオジートン)と一緒に五公主たちを瓏園(ロウエン)まで案内することになったが、庭園の橋を渡っている時、五公主の取り巻きに突き飛ばされて池に落ちてしまう。すると五公主は少商を怖がらせようと池に蛇を投げ込ませた。驚いた少商は必死に逃げ惑いながら岸に上がったものの、足首をかまれてしまう。蛇には毒がなく少商は無事だった。五公主はびしょ濡れのまま逃げるように長秋宮へ戻った少商の姿を見て溜飲を下げ、駱済通に口止めしておく。「嫁ぐ前に公主を怒らせて騒ぎを起こせばどうなるかしら…」思わず口ごもる駱済通、その時、物陰から音が聞こえた。「何の音?!出て来なさい!」全てを見ていた五皇子は申し訳なさそうに姿を現したが、嫡子の五公主には頭があがらない。五公主も父皇が過って宮人に産ませた五皇子など歯牙にも掛けず、余計なことは言うなと釘を刺しておいた。少商が湯浴みから上がる頃にはすでに夜になっていた。すると急に凌不疑が訪ねてくる。「宮中なら昼夜、会えると思ったが、君はずっと忙しくて差し入れも使いをよこす 以前よりも会うのが難しくなるとはな…それで今夜はどうにも恋しくなって会いに来た」少商はかろうじて笑みを浮かべたが、涙があふれそうになって背を向けた。「今や朝堂では誰もが私を羨む、賢恵な女子を妻にできると… 陛下すらも君が賢く有能だと褒めた、長秋宮を見事に差配しているとね 君は誰かに尽くすと決めたら全身全霊でその人のために献身する、たとえ自分が辛くても…」不疑の称賛の言葉を聞いた少商はかえって悔しさと惨めさが募り、ついに泣き出した。「嫋嫋(ニャオニャオ)?どうした?」少商は思わず不疑に抱きつき、泣きじゃくってしまう。驚いた不疑は少商を強く抱きしめながら理由を聞いたが、少商は家が恋しいだけだと嘘をついた。凌不疑はそれ以上、追求しなかった。その代わり少商を抱き寄せる口実に、背中にある急所・命門(メイモン)の場所を教える。「…他に教えられることがある?例えば誰かに虐げられた時、応戦する方法よ」「私がいる、誰も虐げない」「でもいない時は?!」「何を学びたい?」「こんな風に後ろから押されたら?」少商が不疑の背中を押そうとすると、不疑はあっさり避けて少商の腕をつかんで見せる。「じゃあこうしたら?」すると不疑は攻撃を華麗にかわし、少商を捕まえて寝台の上に押し倒した。「どうだ?」「…使えるのは手一本よ」「はお」不疑は片手だけでも軽々と少商の手を封じてしまう。「手一本も使わないで」そこで不疑は両手を使わず、少商に覆い被さった。思いがけず唇と唇が触れ合いそうなほど接近してしまう2人…。少商は恥ずかしくて視線をそらしたが、その時、不疑が少商の手を取って自分の背中に回した。「この先、私の命門は君に託した…嫋嫋、何が起きたんだ?」「…ひとつお願いがあるの」「君が望むなら全て叶える」皇后の寿誕を祝う宴、少商は見事に取り仕切って見せた。最初の余興は意表をついて凌将軍が琴を披露、実は不疑は皇帝に頼まれても腕が鈍っているからと断り続けて来たという。どうやら不疑を弾かせる気にさせるのは少商だけらしい。次に三皇子がちょうど皇后の寿誕前に封土で新たな鉱脈を発見したと報告した。「これも母后の福がもたらしたものでしょう」皇帝が上機嫌になったところで今度は皇太子と皇太子妃が西域で購入した玉麒麟(ギョクキリン)一対を献上した。しかし皇太子妃がうっかり銀銭をつぎ込んだと口を滑らせ、失笑を買ってしまう。倹約を推奨する皇帝の前での失言に顔を引きつらせる皇后と皇太子、その時、少商が助け船を出した。少商は皇太子妃の隣にひざまずき、皇太子からの祝いは他にもあると上奏した。実は今日の酒は皇太子が西域から取り寄せた種から実った果実で作ったという。「果実酒なら浪費にならず存分に飲めます」また料理も皇太子が求めた胡桃の油を使っていた。「胡桃は腹持ちするため欠かせぬ食物なのです、太子に感謝します」少商の機転で皇太子は面目を保ち、皇帝も民の心が分かる皇太子だと喜んで褒賞を授けた。安堵して席に戻った皇太子、しかしふいに向かいの席にいる想い人に気づく。2人はしばし見つめあったが、それを見た皇太子妃は激しい嫉妬に苛まれた。五公主は二公主と駙馬(フバ)が奏でる音楽に合わせて群舞を披露した。しかし人数が多すぎたせいか途中でぶつかり合い、転んでしまう。皇帝は意気消沈する小五を慰めるため褒美を出すと言ったが、宴席は何とも言えない微妙な雰囲気に包まれた。凌不疑と少商からの祝いの品は書簡だった。皇后は献上された書簡を早速、開いてみると、それが亡き父が記した詩文だと分かり、思わず涙ぐむ。宣(シュエン)太公は詩文を好んでいたが、記した詩文を惜しむことなく友に贈り、屋敷には書簡が残っていなかった。「…父の墨宝は2度と見られないと思っていたわ」皇帝は心がこもった礼品だと感激し、皇后も子晟(ズーション)と少商が自分を心から気にかけていることを知っていると感謝した。宴席で並んで座る凌不疑と少商はすでに夫婦のように仲睦まじかった。皇帝はそんな2人の様子を見て目を細めたが、袁慎(ユエンシェン)や駱済通は内心、穏やかでない。そうとは知らず、少商と不疑は同じ杯の酒を分け合いながら飲んでいた。その時、少商は不疑の右薬指に巻いた包帯に気づき、琴の練習のせいかと尋ねる。しかし不疑はなぜか黙ったまま何も答えなかった。少商はふいに昨夜、不疑が自分を押し倒した時のことを思い出し、何とも言えない愛おしさが湧き上がる。すると少商は衝動的に不疑の横顔に口づけし、照れくさそうに宴席を出て行った。駱済通の侍女・春笤(チュンティアオ)は五公主が取り巻きの娘を呼んで悪巧みしていることに気づいた。すると令嬢が早速、五皇子に何やら耳打ち、五皇子は千鳥足で宴席から出て行ってしまう。春笤はこっそりあとをついていくと、五皇子が庭園で少商を待ち伏せしていた。五皇子は酔った勢いで少商にちょっかいを出そうとしたが、少商は凌不疑を真似て五皇子の腕をつかむと池に落としてしまう。「俺は泳げないんだぞ!助けてくれ!」しかし少商は泳げなくても岸へたどり着けることを知っていた。すっかり酔いが覚めた五皇子は激怒、少商の悪辣さは凌不疑と同じだと批判した。実は五皇子は幼い頃から凌不疑にいじめられていたという。「奴は陰湿で必ず報復する、手段も選ばない、そなたとお似合いだな!冷酷で無慈悲だ!」出自のせいで卑屈な五皇子は少商まで軽視すると嘆いたが、少商は五皇子が独特な見解を持っていると知っていた。「五皇子は異国の風土の話がお好きだとか? …朝堂に無益と知りながら探求しようとするのは純粋な心からです 誰にも称賛されないからって何です?自分が好きならそれでいい その点で私と五皇子はよく似ています」「…そこまで言うならもう難癖はつけまい」「はお、では今日から私たちは友ですね」駱済通はせめてもの思い出に凌不疑と別れの杯を交わしたかった。そこでちょうど少商が席を離れた隙に凌将軍に声をかける。「北西に嫁いだら今度はいつ会えるか…私から将軍に一献を…」すると春笤が慌てた様子で戻ってきた。「大変です!…五皇子と程娘子が鏡心(キョウシン)池で密会しています!」つづく。゚(∩ω∩`)゚。 にゃおにゃお〜それにしても3も5も声が上手いわ、意地悪だけどw
2023.10.16
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虚颜 A Familiar Stranger(日本語字幕編集版)最終話ついに自分の素性を明かすことにした十七(シーチー)。蕭寒声(シャオハンシォン)は人払いして寧王(ニンワン)・子衡(ズーホン)を居所に案内した。「で、どう証明するのだ?」「…沈沁(シェンチン)の右目が見えないことはご存知でしょう?」沈沁は子供の頃に兄と見に行った花火で右目に火傷を負っていた。「嘘だと思うなら確かめて下さい」そこで子衡は書卓で字を書き、沈沁に見せた。十七は左目を隠し、右目だけで小さな文字を読んでみせる。「″悔やまれるかな″です…それから本物の沈沁に泣きぼくろはありません 王爺の想い人は私ではなく本物の沈沁です」「違う…」子衡は混乱したのか、よたよたしながら帰ってしまう。十七は貧血気味だと診断されたが、母体も腹の子も無事だった。そこで十七は改めて将軍に事情を明かすことにする。「″拾柒(シーチ)″、これが私の名前です、気を失っている間に顔を奪われました 沈沁は姉を盾にして私を脅し、子を産んだら顔を返すと言ったのです あなたとの再会を夢見て何年も探して来ました やっと会えたのに名乗る勇気もなく、正体を知られることが恐かった でも将軍府にある全ての物や皆と… つまり圓宝(ユァンバオ)や軍師、茯苓(フーリン)たちと離れがたくなったのです」すると十七は将軍府に累が及ばぬよう寧王に話してくると断って席を立った。しかし蕭寒声が急に腕をつかんで引っ張り、抱きしめる。「どこにも行くな、腹の子と共に私のそばにいろ」「将軍、なぜ子供のことを?」「それだけじゃない、君の本当の名が″十七″だということもな」蕭寒声は沈沁ではなく十七を娶れて嬉しいと言った。一方、子衡は泥酔して王府に戻った。そこには十七の顔をした沈沁がいたが、自分が恋焦がれる沈沁とは違うと拒絶、酔い潰れてしまう。「子衡…私はあなたから離れない」晴れて幸せな夫婦となった蕭寒声と十七。すると蕭寒声は″将軍″ではなく″寒声″と呼んで欲しいと頼んだ。「寒声…ふふ」しかし十七にはまだ気掛かりなことがある。「寧王と沈沁、姉のことがまだ解決していません」蕭寒声は顔のことだと気づき、皇太子急逝の切り札となる玉佩をあきらめ、その代わり十七の顔を戻してもらうと決めた。そこへ圓宝がやって来る。「阿娘、赤ちゃんは大きくなった?…猫年の赤ちゃんがいい!」「ふっ、圓宝、猫年はない、阿娘の赤ん坊は寅年だ…(はっ!)」その時、蕭寒声と十七は思わず顔を見合わせた。「玉佩の謎を解く鍵は干支か?」十七は沈沁の合図を見て芊影(センエイ)山荘を訪ねた。そこで本物の玉佩を差し出し、代わりに姉と顔を返すよう迫る。「玉に虎の彫り物があるでしょう? 太子殿下は干支の図柄を施した玉佩を廉(リィァン)王と瞿(ク)王にも贈っていたわ これは寧王の玉佩なのでは?」すると沈沁の顔色が一変、思わず香炉で玉佩を割ってしまう。「奥の部屋にあなたの姐姐がいるわ」約束を果たしたた十七は席を立って歩き始めた。その時、突然、背後から短剣を抜いた沈沁が襲いかかる。「あなたがずっと邪魔だった!」「誤解よ?!」「子衡まで奪ったくせに!」十七は咄嗟に沈沁の腕をつかんで難を逃れたが、そこへ蕭寒声が現れる。「十七?!」咄嗟に帯剣に手をかける蕭寒声、しかし物陰からふいに子衡が現れ、沈沁の頭を殴りつけて十七を守った。十七は沈沁が倒れた拍子に将軍の胸へ飛び込んだ。「将軍?なぜここに?」すると蕭寒声が懐から赤い布を出して見せる。「帰ろう」「あ、待って!姐姐を助けなくては…」一方、子衡は沈沁が落とした短剣を拾い、沈沁の首に突きつけた。「あの女を守るのね…私を見ても何も感じないの?」「騙されぬぞ、沈沁はあの女だと言え!」「名前など関係ない、あなたのそばにいるのはこの私だけ…」沈沁は自ら短剣に首を押し付けたが、結局、子衡は十七の顔をした沈沁を殺せなかった。十七の姉は鎖につながれ監禁されていた。急いで奥の部屋に駆けつけた十七と蕭寒声、しかしそこで2人が見たものは十七と沈沁の顔を交換した邪術師に馬乗りになり、匕首でめった刺しにしている姉の姿だった。十七は姉を将軍府に連れて帰った。しかし姉はひどく興奮して食事も取らず、着替えも拒み、誰も近寄らせようとしない。十七は姉が警戒しているのは自分が分からないせいだと気づき、人払いした。「私は沈沁じゃない、顔を交換されたの…阿姐、私よ?妹の十七よ」「十七?」すると姉はようやく腑に落ちたのか、重い口を開いた。「違う、沈沁は私よ、顔の交換術師が言っていたわ、顔は元に戻せないとね」本物の沈沁は何年も前、川で溺れたところを誰かに救われていた。しかし意識が戻ると顔が別人に変わっていたという。「あの女は私をずっと山荘に監禁していた、肩の梅の入れ墨もあの女が彫ったのよ あの女が誰なのか今まで知らなかった、でもあなたに会って分かったわ」「でも…沈沁には入れ墨がない」「私に成り済ますため、入れ墨を消したのよ、私の目の前で、あの激痛に耐えてね」実は沈沁こそ十七が探し続けていた姉だった。夜更けというのに突然、沈沁が将軍府にやって来た。「子衡をどうするつもり?!」蕭寒声は姉妹で話をさせることにしたが、心配で回廊から様子をうかがっていた。すでに事実を知ってしまった十七、実は姉が妓楼に売られたのは十七の病を治すためだったという。「私の苦しみが分かる?梅の入れ墨を彫られた時の痛みを知っている? 過去の屈辱を忘れられる唯一の方法が顔を替えることだった あなたも私に感謝すべきよ、将軍に嫁げたのだから」「私を恨んでいたのね、知っていたら姐姐から離れたのに…」そこへ蕭寒声がやって来た。「太子選びが近づき廉王と瞿王が先手を打った 明朝、寧王の一件は陛下の耳に入るだろう 太子が逝去した経緯を陛下に話すよう説得してくれ、そうすれば死罪は免れる」「子衡が死んだらあなたたちを恨むから!」翌朝、目を覚ました子衡は寝所で何かを必死に探していた。沈沁は参内して皇帝に事情を説明するよう必死に訴えたが、子衡は聞く耳を持たない。するとようやく枕の下にあった長命鎖を発見、子衡はこれから沈沁に渡しに行くという。沈沁は思わず子衡を引っ叩いて目を覚まさせようとしたが、子衡は参内したら二度と沈沁に会えないと訴えた。その時、大急ぎで沈沅(シェンユェン)が駆けつける。「大変です!廉王と瞿王が…」しかし子衡は無視して出かけてしまう。「何があったのだ?」「…王爺は錯乱したの」子衡は将軍府に忍び込み、沈沁を脅して一緒に逃げることにした。しかしすでに屋敷は衛兵が包囲、驚いた子衡は沈沁を盾にして匕首を突きつける。すると蕭寒声が現れ、弓を構えた。「王爺、今すぐ陛下に釈明すれば助かります」「うせろ!」蕭寒声は弦を弾いたが、十七は寧王が死んだら姉が生きていけないことを知っていた。「将軍!やめて!」十七は姉のために時間を稼いだ。「王爺、話があるなら私が伺います」「悪かった…君を傷つける気はない」すると子衡は匕首を持ち替えて刃を外側に向けた。「君のことを聞かせてくれないか?」「私は絵師でした、絵を描くのが好きで、甘味が好きです」「そうか、最後にひとつ教えてくれ、これまでに一度でも私を愛したか?」「いいえ」「分かった…実は私は喘息で苦しむ皇太子に薬を渡さなかった、罪を犯したんだ」「でも殺していないのなら死罪は免れます」「ふっ…違う、やはり偽物の沈沁に私の気持ちは分からぬな、私は決して許しを請わぬ」子衡は突然、十七を突き飛ばし、蕭寒声の元に返した。すると自ら腹を刺し、自害してしまう。「十七…来世では…騙さないでくれ…」血まみれになった子衡の手には長命鎖があった。その時、子衡を探し回っていた沈沁が駆けつける。しかし一足遅く、子衡はすでに事切れていた。子衡にしがみつき号泣する沈沁…。十七は姉を心配して近づこうとしたが、沈沁は咄嗟に子衡の匕首を拾って突きつけた。「十七、許して…この顔は来世で返す」そして絶望した沈沁は愛する子衡の後を追った。「阿姐ェェェェェェェェェ!」十七は無事に男の子を出産、福宝(フーバオ)と名付けられた。その夜、久しぶりに圓宝を連れて夜市にでかけた十七と蕭寒声。しかし姉と姉の子を思うと十七は胸が痛んだ。「2人はこの世のどこかにいて、そばには寧王もいるかもしれぬ」蕭寒声は十七を慰めると、圓宝のために山査子飴を買いに行った。都は雪になった。「阿娘!雪よ!」圓宝が喜んで道に飛び出すと、十七は慌てて傘を広げる。その時、通りすがりの人の傘と傘がぶつかった。「ごめんなさいね」振り返った女子は沈沁と瓜二つ、しかも彼女を追って来た公子は寧王にそっくりだった。十七は幸せそうな夫婦の背中を見送った。すると山査子飴を買った蕭寒声が戻って来る。「寒声…この世には同じ顔の人がいるのかしら?」完※中国版16~18話( ๑≧ꇴ≦)あっという間の8話、3ターン目ながら飽きないドラマでした!本国配信では1話が10分前後×18話ですこれはストーリーと言うより低予算ながら演出と演技の勝利でしょうか?それにしても女主の後頭部の形、良かったわ~ ←そこかw
2024.05.29
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风起霓裳 Weaving a Tale of Love第14話「刺繍に隠された文字」掖庭(エキテイ)に捕らわれた医官の豆子(トウシ)こと庫狄琉璃(コテキルリ)。記憶を頼りに図案を書き出すという約束でようやく食事にありつけたが、ふと裴行倹(ハイコウケン)との約束を思い出して慌て出した。このままでは皇太子に身の危険を伝える手立てがない。一方、後宮では武媚娘(ブメイニャン)が皇帝の見舞いにも行かず写経に勤しんでいた。それにしてもたった二時(フタトキ)の写経で腰が痛むとは、皇太子はさぞ疲れているのだろう。武媚娘はふと思い立って筆を走らせ、尚服局に腰当ての図案を届けるよう命じた。「そうだわ、やはりこの図案は不禄(フロク)院に届けて、豆子に作らせてちょうだい」しかし侍女・松涛(ショウトウ)の話では豆医官はその腕を見込まれて尚服局へ移動したという。松涛は図案を届ける道すがら、偶然、尚服局の鄧七娘(トウシチジョウ)を見かけた。そこで七娘に図案を託して豆子を指名したが、豆子は今、掖庭に入っているという。松涛は仕方なく誰が作るか任せると言って帰ったが、七娘はこの機会に豆子を助けようと思いついた。しかし卓錦娘(タクキンジョウ)は武才人の指名だと聞いても、豆子が自分に従わない限り掖庭から出られないという。琉璃は卓錦娘に急かされ、図案を書き出した帳面を渡した。喜んだ卓錦娘だったが、よく見てみると、どの題材も死装束に使う図案だと気づく。「豆子、どうしてくれようか…」その時、庭園で宦官が今が盛りの牡丹を刈り取っているのを見た。聞けば潘(ハン)副総管の指示だという。実は楊妃(ヨウヒ)の宮殿に最も美しい牡丹を植えるよう指示したが、後に庭園で咲いた牡丹の方が見事だった。植え替えるには時期が悪く、潘副総管はやむを得ず庭園の牡丹を掘り起こすことにしたという。「そうすれば錦楽(キンガク)宮の牡丹が最高になり、楊妃娘娘の不興も買いません」その話を聞いた卓錦娘は急に機嫌が良くなった。…豆子がいなくなれば私が宮中一の腕を持つ存在でいられる…七娘はこっそり掖庭の豆子を訪ねた。琉璃は卓大家の側近を警戒したが、七娘は親戚の友人である裴行倹と阿霓(アゲイ)に頼まれたと明かす。驚いた琉璃は2人に危険を冒さないよう言付けを託し、それより皇太子を呼んできて欲しいと頼んだ。七娘はさすがに皇太子への伝言など無理だと断ったが、ふと才人から引き受けた仕事があったと思い出す。「才人にあなたの事情を伝えれば助けてくれるかも?」しかし琉璃は恩人である武媚娘を巻き込むことを恐れ、断った。「分かったわ、何とか仕事を引き受けてここに持って来る」「ありがとう」「曹吾の友人の頼みだから、これで曹吾にも顔向できるわ」卓錦娘は自ら武才人の腰当てを作り始めた。そこで七娘は大家が夜なべしてまで作ることはないと訴え、自分が代わると申し出る。「私が直接、才人にお届けし、その際に忙しい師父が寝ずに作ったと報告します」喜んだ卓錦娘はそこで切り上げ、続きを七娘に任せて休んだ。琉璃は七娘から腰当ての材料を受け取った。しかし胸当ての鳩の刺繍を見て、あの時、母が直すことになった褘衣(キイ)の刺繍と同じだと気づく。…阿娘に刺繍を直させたのは卓錦娘だったのね、そのせいで阿娘は死んだ…翌朝、七娘は豆子が仕上げた刺繍を受け取り、そのまま咸池(カンチ)殿に届けた。武媚娘は出来栄えに満足し、豆子の代わりに誰が作ってくれたのか尋ねる。すると七娘はひざまずき、豆子が恩返ししたいと訴えたため、掖庭で作らせたと明かした。驚いた武媚娘は改めて刺繍を確認すると、鳩がとまっている木の模様が文字になっていると気づく。…太子に難あり…武媚娘は慌てて掖庭に豆子を訪ねた。「あれはどういう意味なの?」「宮外で裴行倹と知り合い、太子の危機を知りました 裴行倹の身分では宮中に上がれず、私が医官だと知ると僅かな可能性に賭け、伝言を託したのです でも私は捕まってしまい…」「すぐ太子に会うわ」皇太子・李治(リチ)は武家と裴家に交遊があり、武才人が裴行倹と幼馴染だと知った。武媚娘は裴行倹の人柄を良く知っていると訴え、信じられない話だが、全く根拠がないとは思えないという。一方、卓錦娘は潘副総管に賂を届け、豆子に死罪を申し渡すよう頼んでいた。しかし潘副総管は流石に命までは取れないと銭を返し、どうしても手を下すなら目をつぶるという。「ただし証拠は残さないでくれ」すると卓錦娘は結局、口止めに賂を渡し、魏林(ギリン)を使うことにした。居眠りしていた琉璃は裴行倹の夢を見た…『玉児!玉児!私だ!』裴行倹は皇太子に伝言が届き、面会を許してもらえたという琉璃は上手くいったと喜んだが、裴行倹は浮かない顔をした実は獄卒から今日の午時に豆子が死罪だと聞いたという『阿翁も順子も救えた、太子に危機を伝えることもができた 戻ったかいはあったわ、これで死んでも琉璃に悔いはない…』琉璃はうっかり口を滑らせた驚いた裴行倹だったが、そこへ獄卒が来て連れて行かれてしまう『君は誰なんだ!秘密を抱えたまま逝く気なのか?!本当に悔いはないのか?』…そこで琉璃は目を覚ました。「そうよ、このまま死ぬわけにいかない」琉璃は母の敵を討ち、無実の罪を晴らすと誓った。そしていつか全てを白日の下に晒し、自分こそ″天下第一針″の真の後継者だと知らしめるのだ。玉児を救出できずに悶々としていた裴行倹、すると裴宅に突然、華天(カテン)が訪ねてきた。「主がお話があるそうで、まもなくこちらに…」裴行倹は酒や詩作に付き合う気分ではないと断ったが、そこへ白馬にまたがった男が侍衛を引き連れて駆けつける。「久しぶりだな、火急の事態を伝えたのはお前の方だが?」「九公子、酒も飲まぬうちから酔っているのか?」「無礼な!学生ふぜいが太子殿下の御前で何と偉そうに…」従者に叱られた裴行倹はようやく酔香楼で知り合った九ちゃんの正体が皇太子だと知った。裴行倹は曹(ソウ)王・李明(リメイ)が密かに甲冑を入手していると密告した。実はこれまで権力におもねる者を軽蔑してきたが、こうして国家の危機に際し、主君の役に立ちたいと切望しながらも、この身分のため拝謁の術もなかったと嘆く。「″真に才ある者は隠居せず″という」李治は俗世を離れれば身を清く保てるが、正義を貫いてこそ真の男だと言った。「今回の手柄に褒美を取らす」すると裴行倹はその場で平伏し、豆医官を掖庭より救って欲しいと嘆願した。「手柄を立てたのは私ではなく豆医官なのです、私は何も頂けません」李治は豆子が武才人に伝言を託した医官だと気づいた。「武才人でしたか…豆子は一介の医官でありながら大義の前には死も恐れない その気概には頭が下がります 嘘がつけないお人好しで、優れた裁縫の腕を持っています 宮中に馴染めず逃げ出そうとしたのですが、私と出会って太子殿下の危機を知り、自首したのです まさか本当にやり遂げるとは…」「分かった、必ず助けよう」つづく( ゚ェ゚)松涛の方がメイニャンっぽいのにね~
2023.06.21
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风起霓裳 Weaving a Tale of Love第12話「知られた秘密」医官の豆子(トウシ)を捕まえた裴行倹(ハイコウケン)は皇宮へ入るため腰牌を貸して欲しいと頼んだ。琉璃(ルリ)は協力できないと断ったが、驚いたことに″豆子″の手配書が出回っていると知る。その時、2人がいる酒楼に捕吏が駆けつけた。裴行倹は腰牌を貸すなら、脱出を助けると持ちかけた。やむなく琉璃は取り引きに応じ、腰牌は玉児が持っているとごまかす。そこで裴行倹は咄嗟に衣を交換して豆子を逃すことにしたが、豆子が頑なに拒否した。裴行倹は仕方なく豆子を抱えて2階から脱出、馬で逃走する。やがて馬を乗り捨て物陰に隠れた2人、しかし裴行倹は豆子を抱き止めた際に胸に触っていた。「君は何者だ?」琉璃は仕方なく裴行倹を連れて安府に戻り、玉児の姿に戻ってから事情を説明した。実母はある宝物を持っていたため命を狙われ、玉児だけが恩人の助けで不禄(フロク)院に隠れて生き延びたという。しかし実父は冷たい人で玉児が邪魔になり、黙って去ることが孝行だった。話を聞いた裴行倹は玉児の敵が強大な権力者だと察したが、ふと従兄と恋仲という話も嘘だと気づく。玉児は良縁など興味などないが、信じさせるため出まかせを言ったと明かした。喜んだ裴行倹は思わず口元がゆるんだが、慌てて話を戻す。「目立つのにどうして医官の格好で外出を?」「知人の目をごまかすためだったの、あなたに話せるのはここまでよ」そこへ琉璃を探していた阿霓(アゲイ)が帰って来た。阿霓は裴行倹が秘密を知ったと聞いて驚き、ひとまず琉璃を連れて中庭に出る。すると琉璃は母の身分までは明かしていないと教え、安心させた。玉児は本当に腰牌を持っていなかった。落胆する裴行倹だったが、琉璃は義父と順子(ジュンシ)を心配し、宮中に戻るつもりだという。「なぜ皇宮に入りたいの?力になれるかも…」裴行倹と阿霓は無駄死にするだけだと反対したが、琉璃は計画を練ってから行くとごまかした。すると裴行倹は皇太子に謁見したいと明かし、皇太子の身が危険だと知らせたいという。孫徳成(ソントクセイ)は毎日、差し入れを持って掖庭に順子を訪ねたが、未だ会わせてもらえずにいた。その帰り道、誰かがつけて来ると気づいて物陰に隠れると、魏林(ギリン)だと知る。さらに内侍院が豆子の捜索を始めたことが分かり、街中に豆子の手配書が貼られたと聞いた。動揺が広がる不禄院、もしや順子が豆子を告発したのだろうか。孫徳成は順子を信じながらも、琉璃が心配で眠れなかった。すると第4話で琉璃が無事に城門を出た時は城壁に目印を残すよう頼んだことを思い出す。…明日は私が街へ出られる日だ、印を確かめよう、さもないと安心できない…翌朝、魏林は尚服(ショウフク)局の大家・卓錦娘(タクキンジョウ)の居所を訪ねた。どうやら孫徳成の耳にも豆子の手配書の件が届いたようだという。実は今日が慣例により孫徳成が街へ出る日、もし豆子が宮中を出たのならこの機に接触するはずだ。しかし自分の尾行に気づいた様子、どうすべきか相談に来たという。すると卓錦娘は鄧七娘(トウシチジョウ)に任せることにした。「見失わないで、しっかり頼んだわよ」琉璃は義父に会うため、阿霓の目を盗んで屋敷を飛び出した。慌てて琉璃を探しに出かけた阿霓、するとちょうど安宅を訪ねるところだった裴行倹と出くわす。裴行倹は玉児が勝手に出かけたと聞いて困惑したが、阿霓は孫内侍に会いに行ったと気づいた。実は毎月5日は不禄院の内侍が街へ出る日で、確か玉児は都を去る時に城門に印をつけると約束したという。すると偶然、曹吾(ソウゴ)が裴行倹と一緒にどこかへ急ぐ阿霓を見かけ、慌てて後を追った。市場は大変な人出だった。そこで裴行倹と阿霓は酒楼の露台から玉児を探すことにしたが、なかなか見つからない。すると阿霓が玉児は帷帽(イボウ)をかぶっているはずだと気づいた。「はっ!玉児だ!」一方、琉璃は義父を見つけ、嬉しそうに手を振りながら人混みをかき分けて走り出した。孫徳成を尾行していた七娘にはよく見えなかったが、急ぎ始めた孫徳成を慌てて追うことにする。その時、突然、従兄の曹吾が現れた。「数年ぶりですね~家に寄って行きませんか?」足止めされた七娘は孫徳成を見失い、ちょうど告示板にいた官兵に協力を頼んだ。琉璃はもう少しで義父と再会できるはずだった。しかし裴行倹が突然、玉児の腕をつかんで横道に引っ張り込む。その時、七娘から通報を受けた官兵が孫徳成を捕縛、琉璃は義父が連行される姿を黙って見ていることしかできなかった。琉璃は義父と順子を助けるため、宮中に戻ると決めた。驚いた裴行倹は興奮する玉児を点穴して眠らせ、阿霓にくれぐれも外へ出さないよう頼む。その夜、裴行倹は玉児のことばかり考えて眠れなかった。…あの賢くて不思議な娘が気にかかる…しかし琉璃に付き添っていた阿霓はうっかり眠ってしまう。翌朝、阿霓は琉璃の書き置きを持って慌てて屋敷を飛び出した。するとちょうど様子を見に来た裴行倹と出くわす。「玉児が行ってしまった、太子殿下にあなたのことを伝えておくと書き置きが…」裴行倹と阿霓は急いで宮門へ向かった。しかし一足遅く、医官姿の豆子が永安門に入って行く姿が見える。琉璃は腰牌を持っていなかったが、門衛に自分の手配書を見せていた。一方、副総管・潘秦海(ハンシンカイ)は孫徳成を一晩、掖庭で反省させてから尋問することにした。孫徳成は相変わらず豆子の居場所が分からないの一点張りだったが、その時、豆子が現れたと報告がくる。つづく( ̄▽ ̄;)グリナザ…もうこれ以上、目をでかくしないで欲しいw
2023.06.20
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风起霓裳 Weaving a Tale of Love第31話「曹王の駒」豆子(トウシ)が刺繍した龍袍(リュウホウ)を奪って腕比べに勝利した卓錦娘(タクキンジョウ)。いよいよ采章(サイショウ)署で金針を祭る儀式が始まり、豆子の目の前で″天下第一針″の称号を得る時が来た。琉璃(ルリ)は最後の最後まで抵抗、何があっても卓錦娘の″天下第一針″を認めないと反発し、卓錦娘から板打ち20回を命じられてしまう。一方、裴行倹(ハイコウケン)は琉璃を救うため、急ぎ皇太子に助けを求めた。しかし皇帝の見舞いで妃嬪や皇子らが甘露之殿に集まる中、皇太子の李治(リチ)が抜け出すことはできない。裴行倹は諦めて尚服局へ駆けつけたが、すでに豆子は板打ちの罰を受け、意識が朦朧としていた。裴行倹は皇太子が豆子を呼んでいると嘘をつき、罰を止めた。しかし今日から妃嬪と皇子たちが御前に詰めていると知っていた卓錦娘は嘘だと見抜く。琉璃も裴行倹への恨みが深く、自分に関わるなと突き放した。そこで裴行倹は豆子が皇太子から頼まれた皇帝に贈る外套の龍の刺繍ができなくなると訴え、林(リン)尚服を牽制する。「互いに譲歩するべきでは?強行な姿勢が尚服の特になるとは思えぬが…」その意味を悟った林尚服は豆子の罰がちょうど済んだと認め、解放した。裴行倹は琉璃の安全のため不禄(フロク)院で静養させることにした。心身ともに深い傷を負い、うなされ続ける琉璃。そこへ鄧七娘(トウシチジョウ)が豆子の着替えと寝台の下に隠してあった化粧箱を届けてくれる。箱の中に入っていたのは琉璃と裴行倹に良く似たしんこ細工の人形だった。琉璃の心にも自分がいると知って思わず笑顔になる裴行倹、その時、ようやく琉璃の意識が戻る。安堵した裴行倹は早速、薬を飲ませることにしたが、琉璃は器を払いのけた。「帰って…顔も見たくない」曹(ソウ)王・李明(リメイ)は潘秦海(ハンシンカイ)を総管に登用し、皇帝の毒殺を命じていた。しかし怖気づいた潘秦海はなかなか手を下せず、業を煮やした李明は蒲巴弩(ホハド)に命じて脅しをかける。すると蒲巴弩が潘秦海に褒美と称して父親の指を渡した。潘秦海は親不孝を嘆き、必ず任務を果たすと誓ったが、蒲巴弩にも警告する。「事が成就すれば曹王は禍根を残さぬため口封じする 私も覚悟はしているが、だがお前も無事ではいられまい、お前も曹王の駒でしかないのだから…」裴行倹は皇太子に豆子のため街の名医を呼びたいと頼んだ。豆子は身体の傷より心の傷が深く、何でもその名医は外傷だけでなく心の病も治せるという。李治は許可したが、実は最近、曹王が頻繁に甘露之殿に来ていると話した。「曹王が暴挙に出るやもしれぬ…用心が必要だ」すると裴行倹は前総管・高全(コウゼン)が急死し、すぐ楊(ヨウ)妃が潘秦海を推挙したことも怪しいと指摘する。その時、侍女がやって来た。今日に限ってわざわざ藩総管から皇帝が目覚めたため、甘露之殿に来て欲しいと連絡がきたという。実は追い詰められた潘秦海は皇太子を呼び出し、全てを明かすことにした。裴行倹は腹心の莫坤(バクコン)に留守を頼み、街に出かけることにした。その時、城門で錯乱し暴れている蒲巴弩を目撃、手を焼いている衛兵に加勢し捕縛する。「陛下がご病気の間、秩序を乱す者は厳罰に処す、則を破った蒲巴弩は太子に差し出す」李明は今日も甘露之殿に現れた。皇太子が皇帝に薬湯を飲ませる様子を見守る李明、すると李治が急に思い立ったように手を止める。「ご快復を願って写経をしているせいで、また手が震えてしまって… そうだ、これから陛下のお世話は14弟に任せよう」李明は断ることもできず、薬湯を受け取ったが、咄嗟に器を落とした。李明が甘露之殿を出ると六子(リクシ)が待っていた。「殿下、蒲巴弩が面倒を…薬のせいで暴れ、裴行倹に捕らえられました」「あの役立たずめ!」蒲巴弩は薬の禁断症状が出ていた。裴行倹は曹王が来るまでに蒲巴弩の口から証言を引き出そうとしたが、蒲巴弩も口が硬い。つづく(  ̄꒳ ̄)太子の返し、上手い!まあ〜琉璃の怒りは仕方ないな~裴行倹もせめて最初に説明しておけばね
2023.08.01
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风起霓裳 Weaving a Tale of Love第5話「再会の光と影」皇宮を脱出し、11年ぶりに父と再会した庫狄琉璃(コテキルリ)。しかし庫狄延忠(コテキエンチュウ)は後添いの曹(ソウ)氏と琉璃の異母姉妹・珊瑚(サンゴ)の手前、他人のふりをして追い返してしまう。「あの娘さんに道を聞かれたんだ」琉璃は実父に拒絶された衝撃から伯父の店に入るのをためらった。しかしふと母との懐かしい記憶が蘇り、居ても立ってもいられなくなって如意衣装店に飛び込んでしまう。店にはまだ母が織った懐かしい生地があった。琉璃は伯父に迷惑をかけまいと名乗らずに店を出たが、安四郎(アンシロウ)が正体に気づいて追いかけてくる。(」゚ロ゚)」<琉璃~!琉璃~!安四郎と琉璃は感動の再会を果たし、人目もはばからず抱き合って涙した。安四郎は琉璃を店に連れ帰り、これまでの経緯を聞いた。琉璃は罪人の娘として11年前に死んだことになっていたが、不禄(フロク)院で義父と順子(ジュンシ)に守られ生きてこられたという。しかし実父にも見捨てられ、伯父にも迷惑をかけたくなかった。安四郎は素性を隠して暮らせばいいと言ってくれたが、琉璃は母の遺言通り西州に行きたいという。そこで安四郎は数ヶ月ここで我慢してくれれば、商隊を組んで故郷へ送り届けると約束した。一方、裴行倹(ハイコウケン)との約束を反故にした皇太子は改めて酔香楼に呼び出した。「私が裴行倹です、やっとお会いできました、何とお呼びすれば?」「私は九男なので九ちゃんと…」皇太子は身分を隠したまま、公然と科挙制度を批判した裴行倹の詩について尋ねた。すると裴行倹は衆人を目覚めさせるため一石を投じたと話し、官府が問題視すればより注目が集まるという。「採点の際には不正の余地があります、挙子(キョシ)の評判や家族の権勢が採点に影響し、腐敗の原因に… 各学問所は名門の子弟に独占され、その中でおのずから派閥が生まれます 公正を保つためには答案に書かれた氏名を隠すべきです」他にも明経科の試験は暗記さえすれば誰でも及第できることや、進士科をもっと重んじる必要があることを指摘した。皇太子は率直な裴行倹を気に入ったが、その時、華天(カテン)が慌てて入ってくる。ヒソヒソ…(ノ°д°(; ̄Д ̄)アンダッテ!「急用ができた、また5日後に…」卓錦娘(タクキンジョウ)は医官の小豆子(トウシ)を尚服(ショウフク)局に迎えた。しかし鄧七娘(トウシチジョウ)が駆けつけ、小豆子が姿を消したと報告する。「何でも移動を告げられた豆医官は口答えして大酒を飲み、その後、いなくなったと… 孫徳成(ソントクセイ)はてっきり尚服局へ行ったと思っていたそうです 見つけ次第、すぐ送ると言っていました」その頃、孫徳成は安氏の位牌に手を合わせ、琉璃が楽しく穏やかに暮らせるよう守って欲しいと頼んでいた。皇帝が急に血を吐いて倒れ、甘露之殿の前に妃や皇子たちが集まっていた。すると総管・高全(コウゼン)が現れる。高公公は皇帝が数日前から不調だったが内密との命で、皇太子だけが知っていたと説明した。実は皇太子がずっと付き添っていると聞いた楊(ヨウ)妃は焦り、息子の曹(ソウ)王・李明(リメイ)を連れて寝所へ入ってしまう。他の妃や皇子たちも続こうとしたが、高公公が止め、解散するよう頼んだ。李明は父皇の世話を変わりたいと申し出た。「太子殿下が陛下を害するのではと心配なのです」「十四弟?!どう言う意味だ?」「陛下は長寿のため丹薬を飲んでいた、丹薬に酒気は禁忌だとか… 太子殿下は日頃より酒と詩を好み、酔香楼に通い詰めだと聞いています 私はこの1年、酒を絶っております!」すると皇帝は楊妃に世話を頼み、皇太子と李明を追い出した。琉璃は玉児(ギョクジ)と名を変え、絵師として店を手伝うことになった。店の番頭・阿霓(アゲイ)は奴婢だったが、天涯孤独だと知った安四郎が従妹にしてくれたという。そこで安四郎は阿霓と一緒に住むよう勧めた。阿霓は安氏を尊敬していたと話し、娘の琉璃を大歓迎してくれる。そんなある日、安四郎は琉璃を連れて大慈恩寺を訪ねた。大慈恩寺は皇太子が生母・長孫皇后を追悼して建造し、玄奘(ゲンジョウ)法師が住持を務めている。「あ、子供の頃に来たことがあるわ!」琉璃は幼い頃、正門前にある椿を手巾に刺繍したことを思い出した。琉璃は安四郎が住持を訪ねている間、境内を散策することにした。しかし偶然、通りかかった書生たちに絡まれてしまう。その中には裴行倹もいたが、世子の取り巻きたちとは一線を画していた。「…近頃は胡(コ)の女子も街で客引きをせず、寺に姿を現すのか?世の中も変わったな」「本当に、最近の殿方は国策も論じず、女子を侮辱するのですね」琉璃は世子をやり込め立ち去ろうとしたが、裴如琢(ハイジョタク)が立ちはだかった。「先ほど人目がないのを見計らい、壁画をなぞっていたな?名人の技を盗む気か?」「そうよ」「盗みは大罪だぞ?」「あら、世子は手本で字を稽古しなかったのかしら?手本を真似たならそれも盗みでは?」裴行倹は娘の上手い返しに思わず失笑したが、取り巻きの書生は卑しい胡人が世子を侮辱したと憤慨した。「私は胡人だけど卑しくない、胡人が卑しいと言うなら長孫皇后への不敬なのでは?」これにはさすがに誰も言い返せず、琉璃はようやく解放された。すると世子が取り巻きに何やら耳打ちして行かせる。裴行倹は世子が悪巧みしていると気づき、師匠の用があるからと断って別れた。琉璃はかつて母の無事を祈った仏堂を訪ねた。今度は義父と順子が巻き添えにならぬよう願って籤(セン)を引いたが、飛び出した籤を戻してしまう。そこへ偶然、夫人がお参りにやって来た。「なぜ見ないで戻したの?」「11年前、大吉の籤を得てぬか喜びしたの、だから見ても意味はない…」「占いは菩薩様の本分じゃないわ、父上のご加護を願ってみなさい ここで父上の名前と住まいを伝えて祈れば、必ずご利益があるはずよ」すると琉璃はうっかり父の名前を言ってしまう。実はその夫人は琉璃の居場所を調べるため書生が送り込んだ女だった。甘露之殿を出た皇太子は李明を呼び止めた。「最近、曹王府はにぎやかだそうだな?国士監や弘文館の学生を門客として招いたと聞く、本当か?」「本当です、しかし招いた訳ではありません 太子殿下が科挙の改革をなさると聞いて慌てて皆が私の元へ身を寄せて来たのです」すると李明は平然と上流層の特権を守ることがひいては李家の天下と一族を守ることになると言いのけた。皇太子は科挙の弊害は国家を損なうと激怒したが、李明は李治(リチ)にそんな主張をする資格などないという。「あなたは功績や才覚で太子に選ばれたわけではない、年長の皇子であり、嫡子というだけだ そんな特権の最大の受益者が私の姿勢を責めるのですか?」「まさか陛下と私をそんなふうに見ていたとは…残念だよ」皇太子は14弟に深く失望し、帰って行った。阿霓は琉璃を連れて家に戻った。そこはかつて安氏が使っていた工房で、琉璃は母と来たことがあったと懐かしむ。つづく
2023.02.27
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风起霓裳 Weaving a Tale of Love第6話「失われた財物」亡き母の工房で阿霓(アゲイ)と一緒に住むことになった庫狄琉璃(コテキルリ)。しかし一文無しでは外出もままならず、荷物を拾ってくれた四門学の裴行倹(ハイコウケン)を訪ねた。正門で裴行倹を待つ琉璃、その時、荷物を持った男が来るのが見える。…はっ!何てこと?!河東(カトウ)公の世子の友だちだわ…琉璃は大慈恩寺で絡まれたことを思い出し、咄嗟に面紗で顔を隠すことにした。琉璃は裴行倹に宮中で亡くなった従兄の遺品だと嘘をついた。疫病にかかって亡くなった従兄の骸と遺品を運び出してもらったが、馬が暴れて人混みで棺がひっくり返ってしまったという。「亡骸は届いたけれど、遺品はなかった、街であなたの書置きを見つけて来たの」「あの者が君の従兄?…初めて見たはずなのになぜこれが遺品だと?」「中には巾着が3つある、巾着は緑に赤、青よ」そこで裴行倹が袋を開いてみると、確かにその通りだった。琉璃は無事に荷物を受け取った。しかし帰りの道すがらうっかり包みを落とし、実は中身がただの石ころだと気づく。激怒した琉璃は四門学に乗り込み、裴行倹が自分の財物を盗んだと騒いだ。四門学の助教・薛旭(セツキョク)は思いがけず裴行倹の弱みをつかんだとほくそ笑み、琉璃に近づく。「代わりに私が裁きましょう」そこへ裴行倹が何食わぬ顔で現れた。裴行倹は最初から財物などなく、琉璃をたかりだと罵る。「とにかく包みなら返した、まだ騒ぐなら役人を呼ぶ」「待ちなさいよ!私の財物を盗み、国子監(コクシカン)の名を汚したくせに!」すると薛旭が博士に公正な裁きをしてもらおうと提案した。琉璃は薛旭について行くことにしたが、裴行倹が背後から琉璃を点穴し、動きを封じてしまう。「全部、でまかせです、追い出した方が身のためですよ」裴行倹は琉璃を荷車に乗せ、家の場所を聞いて送って行った。点穴が自然に解けるまで3時間、裴行倹はそれまで反省しろとからかって帰ることにする。「…人の物を盗むなんて、さすが河東公世子の腰巾着だけあるわね!必ず取り戻してみせるわ!」怒りが収まらない琉璃は思わず口を滑らせ、寺で壁画を見ていた娘だとばれてしまう。「君か?…私は何もせぬが世子はやるだろうな、君の素性を調べていた、嫌がらせされるぞ」裴行倹はあの時の聡明な娘だと知り、念のため警告しておいた。一方、宮中では孫徳成(ソントクセイ)が順子(ジュンシ)を救うため奔走していた。どうやら誰かが副総管・潘秦海(ハンシンカイ)に順子が巾着で荒稼ぎしていると密告したらしい。子弟たちは順子の銭を集めて助けようとしたが、すでに手癖の悪い魏林(ギリン)が密かに順子の蓄えを持ち出していた。翌朝、身支度を整えた琉璃は早速、荷物を取り返しに行こうとした。義父と順子が苦労して貯めた銭と母の遺品をこのままあきらめるわけにいかない。大切な金針も幼い頃にやむを得ず手放し、これ以上、何も失うわけにいかなかった。しかし事情を聞いた阿霓が引き止める。「まず周到に策を練らないと…」琉璃は仕方なく断念、するとちょうど阿霓が縫っている美しい花籠裙(カロウクン)に気づいた。実は阿霓はこの作品を胡(コ)商大会に出品する予定だという。これも自分を従妹として迎え入れ、番頭にしてくれた安四郎(アンシロウ)への恩返しだった。胡商大会とは年に一度の品評会で、色々な商品が優劣を競うという。その頃、庫狄府では曹(ソウ)氏が娘・珊瑚(サンゴ)の支度に余念がなかった。これから裴家に嫁いだ媵妾(ヨウショウ)の叔母がやって来る。曹氏は嫡子の裴炎(ハイエン)が側室を探していると知り、娘を都尉(トイ)府に嫁がせようと躍起になった。庫狄五娘(ゴジョウ)は裴炎の縁談の件で呼び出されたと分かった。しかし縁談を言い出したのは自分ではなく、正妻・崔(サイ)氏の提案だという。実は正妻は嫁いで3年経ったが子ができず、肩身が狭くなって自ら夫に側室を娶るよう勧めていた。確かに側室であっても珊瑚が運良く息子を産めば、その子が裴家の後継ぎになれる。「いいわ、姪のために人肌、脱ぎましょう」阿霓は胡商大会で優勝し、店の名誉を取り戻したいと言った。安氏が陥れられて間もなく曹氏の兄が近所に曹記衣装店を開店、勝手に″天下第一針″の称号を掲げたという。しかも店を預かっている曹氏は自分が安氏の技を継いだと吹聴し、客を奪っていた。阿霓は大会で何としてでも曹記を倒し、少しでも安氏の恨みを晴らしたいという。「阿霓…母に代わってお礼を言うわ」「そうだ、あなたも一緒に作らない?あなたが真の継承者だもの」五娘は都尉府に珊瑚を招待した。明日は裴炎が屋敷で詩会を開くが、崔氏も闘花(トウカ)の名目で名門の娘たちを招いたという。そこで夫に側室を選ばせる計画だ。「珊瑚、衣装と化粧は趣向を凝らしてね、私の姪の名に恥じない装いでなければ困るわ」皇帝の病が公となり、後宮では子供がいない妃嬪たちが眠れぬ夜を過ごしていた。才人・武媚娘(ブメイニャン)も自分の行く末を思うと心がふさぎ、独りで庭園を散策することにする。その時、偶然、皇太子・李治(リチ)が通りかかった。すると武才人が巣から落ちた雛を心配そうに見ている。皇太子は雛をすぐ巣に戻せば大丈夫だと声をかけ、自ら木に登った。媚娘は皇太子がうっかり落とした奏状を拾った。どうやら皇太子は皇帝に科挙の改革を提案するらしい。すると皇太子が雛を巣に戻して降りてきた。媚娘は奏状を返したが、その時、皇太子の手から血が出ていると気づく。そこで手巾で手当てしたが、思いがけず互いの顔が接近し、2人はハッとなった。「では私はこれで」「ぁ、太子殿下?病の時は気が立つものです、政の話より孝行される方がよろしいかと…」「はお」如意衣装店に裴八娘(ハチジョウ)と崔玉娘(ギョクジョウ)がやって来た。阿霓は2人に琉璃を紹介、新しく入った絵師の玉児(ギョクジ)だという。すると八娘は明日の闘花宴で兄嫁が着る衣が欲しいと頼んだ。「実を言うとやむを得ず側室を迎えることになったの、宴と言っても一種のお見合いよ 大勢の若い娘が装いを凝らして集まるわ、姉も美しく装わないとますます哀れに見える でも姉は着飾るべきは自分ではないと言って…だから内緒で作りに来たの」阿霓は妹たちの気遣いに感激したが、本人がいなければ採寸もできず作りようがない。しかし琉璃は半日あれば作れると快諾した。一方、曹記衣装店では珊瑚が気に入った衣を見つけられず苛立っていた。そこで参考になりそうな衣を探そうと通りに出てみる。その時、偶然、馬車に乗り込む裴八娘と崔玉娘を見かけた。「如意衣装店の絵師は名人ね、闘花宴にふさわしい見事な衣ができそうだわ」琉璃は崔氏のだいたいの体型や好みを聞いて図案を描いた。時間がないため形は簡素にし、その代わり配色と素材にこだわるという。夢中で生地選びをする琉璃と阿霓、するといつの間にか店に入ってきた珊瑚が勝手に琉璃の図案を盗み見していた。「庫狄娘子(ニャンズー)?!…うちの店に何の用?!」珊瑚は図案を気に入ったが、阿霓に取り上げられてしまう。珊瑚は新しい絵師に気づいて驚いた。「あら?…あなたなの?この前、家の前で父に道を聞いたでしょう?」珊瑚は絵師が琉璃だと気づかず、自分の店に来ないかと引き抜いた。しかし琉璃は曹記が″天下第一針″の称号をかたって商売していると非難し、路頭に迷っても世話にはならないという。阿霓は大会まで揉め事を起こさぬよう琉璃をなだめ、工房へ行かせた。「それで娘子、何の用で?」「ぁ…従兄があなたとの縁談を望んでるわ、代わりに気持ちを聞きにきたの」「ほお?曹吾(ソウゴ)のことなら何とも思っていないわ、諦めるよう言ってください」すると珊瑚は怒って帰ってしまう。一方、皇太子は才人の助言を無視し、朝議で皇帝に科挙の改革を上奏した。大臣たちは体調がすぐれない皇帝を心配し、急いてはならないと諫言する。つづく(  ̄꒳ ̄)これグリナザが浮いてるからこそ視聴できる気がしてきたw
2023.03.13
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风起霓裳 Weaving a Tale of Love第38話「縁を結ぶ白い鳩」永徽(エイキ)5年。皇帝・李治(リチ)は寵愛する昭儀・武媚娘(ブメイニャン)と尚服局の大家・庫狄琉璃(コテキルリ)を連れて万年宮にいた。避暑にやって来たものの連日の雨、そんな中、長安の県令・裴行倹(ハイコウケン)が急に訪ねて来る。拝謁の目的が琉璃だと察した王伏勝(オウフクショウ)は帰るよう説得したが、裴行倹は激しい雨にもかかわらず、梃子でも動かなかった。困り果てた王伏勝は翌朝、ちょうど回廊に出ていた武昭儀に事情を説明し、判断を仰ぐ。すると武媚娘は皇帝には知らせないよう命じ、侍女・玉柳(ギョクリュウ)にある頼み事をした。李治は琉璃が献上した新しい衣に袖を通した。王伏勝の話では庫狄大家が暑がりの皇帝のために改良した絹の紗(シャ)で夏用の衣を作ったという。未だ琉璃を手放すことができない李治、しかし琉璃は避暑に来ても皇帝を避けるように山頂の梳粧(ソショウ)楼に移っていた。そこへ武媚娘がやって来る。「陛下、宝児(ホウジ)がいなくなりました」その頃、玉柳は主に頼まれた通り裴行倹に鳥籠を渡していた。万年山は7日間も雨が降り続いていた。鄧七娘(トウシチジョウ)は止むどころか激しくなっていると心配したが、琉璃は山道がぬかるめば誰もここまで来ないと安堵する。その時、王伏勝が差し入れを届けにやって来た。「炭と油が御入り用だとうかがったので…陛下は夜が寒いのならふもとへ連れ戻すようにと仰せです」琉璃は笑って炭も油も絵を描くために使うと教えたが、そこへふもとから使者が駆けつけた。「県令の裴行倹が用あって拝謁を賜りたいと…」裴行倹が昭儀の鳩を発見、万年宮に届けた。皇帝が宝児を探していると知って感業(カンギョウ)寺へ向かったところ、そこで見つけたという。喜んだ武媚娘は裴行倹のもとに駆け寄って鳥籠を受け取りながら、あせらず時機を待つよう警告した。裴行倹は助言に従ってすぐ引き上げることにしたが、その時、激しい雷鳴がとどろく。「この悪天候だし、夜道は危険ね…」武媚娘が機転を利かせると、李治は裴行倹に一晩、泊まっていくよう勧めた。裴行倹が通された部屋は客室ではなく、琉璃が使っていた部屋だった。しかし今は梳粧楼に移り、この雨では訪ねる人もいないという。裴行倹は窓から山頂を見上げると、雨で霞みながらもわずかに明かりが見えた。聞けば琉璃は静寂を好み、皇帝の宴にも参加せず、絵ばかり描いているという。一方、琉璃も窓辺に座り、主殿を見下ろしていた。すると当初、使っていた自分の部屋に明かりがついているのが見える。「彼だわ…間違いない」その時、雷鳴の合間にかすかに地鳴りがした。「大変よ、山津波だわ!」琉璃は侍女たちに大きな音を鳴らして警戒を呼びかけるよう命じた。その時、ふもとに裴行倹がいると思い出し、危険を承知で主殿に戻ることにする。必死に止める鄧七娘を振り切り飛び出した琉璃、するとうっかり足を滑らせ転びそうになってしまう。その時、裴行倹が駆けつけ、琉璃を抱き止めた。七娘は抱き合って涙する2人の姿を目の当たりにし、思わずこのまま逃げろと叫んでしまう。「山津波でたくさんの人が流されるわ!今なら誰にも気づかれない!」一方、万年宮では李治たちが逃げ遅れていた。王伏勝はすぐ裴行倹を呼ぶよう頼んだが、侍女・書蘭(ショラン)の話では部屋にいなかったという。すると李治はこれも天意だと漏らした。「すでに琉璃と逃げたのだろう、それも良い」しかし思いがけず裴行倹が現れる。「陛下、遅くなりました!すぐに避難を!」その頃、琉璃はちょうど倉庫に届いていた油と炭で梳粧楼に火を放ち、避難して来る民たちの道標にしていた。万年山に快晴が戻った。李治は裴行倹の忠誠心に深く感銘を受け、ついに琉璃を手放す決心がつく。そこで山津波から多くの民を救った琉璃の功績を認め、望み通り皇宮を出て愛する者と自由に暮らすことを認めた。それだけでなく妃嬪にのみ許される豪華な宝飾品を授ける。「皇宮を出たらもう守ってはやれぬ、無事で暮らせ」すると李治は最後にようやく裴行倹の玉を琉璃に返した。武媚娘は琉璃を見送りに出た。その様子を李治は王伏勝と一緒に回廊からそっと見守っている。「あの頃にはもう戻れないのだな…」「陛下、後悔しておいでですか?」「2人が幸せなら3人が苦しむより良い」李治はようやく素直に琉璃と裴行倹が結ばれることを願えるようになった。琉璃はついに自由の身となり、裴行倹のもとへ駆けつけた。あの日、一緒になれる唯一の機会をあきらめて皇帝たちを助けに向かった裴行倹、もし皇帝の恩賞がなければ一生、後悔するところだったという。「あなたが大勢の命を犠牲にするはずないと分かっていたわ」「人助けは後悔しない、だが君を失えば必ず悔いが残ったよ 琉璃…君を娶りたい、ずっと一緒にいよう!」「いいわ!」裴行倹は師匠の蘇定方(ソテイホウ)と于(ウ)夫人に琉璃を紹介した。将軍夫妻は琉璃を歓迎、両親を亡くして家族がいない守約(シュヤク)のため、婚礼を自分たちが執り行うという。そこで婚礼前日まで琉璃を蘇府で預かることにした。琉璃は蘇府に迷惑をかけられないと遠慮したが、実はここに留めるのは琉璃だけでなく親族を守るためでもあるという。「琉璃よ、お前がひとたび守約に嫁げば河東(カトウ)公府と中眷(チュウケン)裴一族に目の敵にされるだろう」 最初の妻・陸琪娘(リクキジョウ)は連中に殺されたようなものだ」琉璃は裴行倹が妻をもったことがあると知った。実は裴行倹が琉璃と初めて出会ったのも、科挙と婚約のため上京した時だったという。「黙っていたのは話す機会がなかったのもあるが、それ以上に私にとって心の傷だったからだ」裴行倹の父と兄は隋(ズイ)に刃を向け、王世充(オウセイジュウ)に殺された。その時、裴行倹の母は威望が厚い西眷(セイケン)裴の宗主・魏(ギ)国公を頼ったという。おかげで裴行倹の父は封号を賜り、宗主の口添えで資産の返却まで認められた。資産は婚礼と同時に裴行倹に戻る条件で、母は中眷裴一族を養うため、息子と琪娘の縁談を決めたという。琉璃は魏国公の位を河東公の長子が継いだと知っていた。「確か夫人は陛下の叔母君である臨海(リンカイ)大長公主ですね?」その頃、臨海大公主は裴行倹に再び縁談があると聞いていた。つづく( ゚ェ゚)若作りめいにゃん、無茶してんな〜w
2023.08.16
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月升沧海 Love Like the Galaxy (第13話)第40話「首謀の尻尾」梁尚(リャンシャン)殺害事件は私事として袁(ユエン)夫人が審理を取り仕切ることになった。曲泠君(チューリンジュン)は無実を主張、あの日、夫の部屋に食事を届けたのは自分の外套を来た侍女・幼桐(ヨウトン)だったという。そのため下僕たちはてっきり夫人が部屋に入ったと誤解したのだ。程少商(チォンシャオシャン)は審理を見守っていたが、自分に調べさせて欲しいと嘆願し、袁夫人も認めてくれる。すると袁慎(ユエンシェン)がまた難癖をつけて少商を挑発した。「自分を有能だと思っているのか?…学もないのに捜査したいとは笑わせる、ふっ」しかし少商は言い返しもせず、袁夫人に拝礼して出て行ってしまう。「おい!本気なのか?!」肩透かしを食った袁慎は自分も調べてくると母に断り、慌てて少商を追いかけた。袁慎は相変わらず減らず口を叩いていたが、内心では女子の身で現場に入った少商が心配だった。「あいつの捜査を待ったらどうだ? …それにしても穏やかになったな、以前ならすぐ言い争いになったのに」「子晟(ズーション)のおかげね、彼は私を溺愛し、大切にしてくれる、だから私も他人と争わなくなった 彼に嫁ぐなんて想像もできなかったけれど、でも考えてみたの もし彼と出会えなければ一生の心残りだとね…って、あなたに言っても無駄よね」少商は袁慎も早く妻を見つけるよう勧めた。意中の相手がいないため、自分たちのように仲睦まじい夫婦が気に食わないのだという。「あ、でも理想は下げた方がいいわ、私のような優秀な娘は見つからないから」袁慎の気持ちを知ってか知らずか痛い所を突く少商、すると捜査の妨げとばかりに袁慎は部屋から追い出されてしまう。少商は現場の部屋が外観に比べてやけに狭いと気づいた。そこで回廊を歩いて外周を図ってみたところ26歩、しかし部屋の中は20歩だと判明する。「残りの6歩はどこ?」壁には梁尚が大事にしていた金石で作った彫刻が飾られていた。その頃、凌不疑(リンブーイー)は真犯人に目星をつけ、梁家の男全員を集めていた。「梁尚は梁家家主、家主が死んで夫人が犯人となれば梁尚の子は家主の座を継げない つまり取って代われる者こそ、犯人の可能性がある…梁州牧(シュウボク)、あなたが真犯人では?」「私は梁家の養子に過ぎぬ、梁尚に代わり家主を務めているだけ 梁尚と梁遐(リャンシア)は同腹の兄弟で梁太公の血脈だ 梁尚を埋葬してから家主の位は三弟の梁遐に引き継がれる…」梁無忌(リャンウージー)は三弟に話を振ろうとしたが、梁遐はいつの間にか姿を消していた。少商は壁を叩きながら歩いているうち、音が違う場所を見つけた。そこで力一杯、壁を押してみると、隠し部屋に潜んでいた梁遐に引き込まれてしまう。「三公子…あなたが犯人ね?」隠し部屋には血だらけの衣があった。梁遐は凌将軍の捜査が自分に及ぶと恐れて密かに隠し部屋へ戻り、証拠となる衣を処分しようとしたのだろう。すると梁遐は少商の首に短刀を突きつけ、少商を殺して逃げると言い出した。少商は咄嗟に自分を人質にして交渉すれば逃げられると提案したが、梁遐は信じようとしない。その時、突然、外から凌将軍の号令が聞こえた。「部屋を壊せ!」現場を捜査していた少商がこつぜんと姿を消した。報告を受けた凌不疑は黒甲衛(コクコウエイ)に離れを破壊するよう命令、追い詰められた梁遐は仕方なく少商を人質にして外へ出る。驚いた袁慎は思わず身を乗り出したが、袁夫人は息子を止めた。「君子、危うきに近寄らずよ…行っては駄目」すると凌不疑はちょうど集まっていた梁一族を包囲し、少商を放せば一族も母親も見逃すと条件を出す。その時、少商が真犯人は三公子だと暴露した。退路を失った梁遐は少商を道連れにすると言い放ち、母親など殺せばいいと開き直る。そこで凌不疑は梁母を引きずり出し、目の前で腕を捻り上げた。母の悲鳴を聞いた梁遐はさすがに気が動転、その隙を突いて凌不疑が短剣を放ち、見事に梁遐の手に命中させる。少商は梁遐の手が離れた瞬間に逃げ出し、不疑は無事に少商を奪還した。↓少商、いつの間に護身用の刀を出したの?黒甲衛は梁遐の両膝に矢を放ち、逃亡を阻止した。老夫人は溺愛する梁遐に抱きついて悲しみに暮れたが、当の息子は母が自分のために何もしてくれなかったと嘆く。父は養子である長兄の無忌を州牧に推挙し、家主には二兄の梁尚を指名した。これも一族に有能な子弟がいなかったせいだが、梁遐は嫡子で志もある自分だけ何も手に入らなかったと母に八つ当たりする。「俺がこうなったのもお前のせいだ!いちいち騒ぎ立てるから収拾がつかなくなっただろう?!」凌不疑も少商も梁遐が誰かにそそのかされて急に事を起こしたと分かっていた。そこで不疑は廷尉府に梁遐を連行し、首謀者の名を聞き出すことにする。しかし梁遐が何か言いかけた時、上階から梁無忌が放った矢が喉を貫通した。皇帝は梁州牧が証人の口を封じをしたと知り激怒した。これでは自ら首謀者だと明かしているようなものだが、梁無忌はこの件を追及しても大局にとって利なしだと訴える。皇帝も子晟もその意味を悟っていた。そこで皇帝はひとまず梁州牧を下げる。「子晟…首謀者はもしや太子妃の従兄では?別院の警護を任されておるし」「孫勝(スンション)ならもう捕らえました、解放すれば数日も生きられないでしょう 首謀者が誰なのか、陛下もすでにお気づきかと…」その夜、越姮(ユエホン)は永楽宮に三兄を呼びつけ、厳しく追及した。「亡き大兄の半分でも知恵があったら太子を陥れようなんて愚かなことはしない!」「不服だったのだ… もともと饟(ジョウ)県越氏は安泰だったのに、なぜ文(ウェン)氏と共に造反せねばならなかったのか」小越侯は妹から何度、諌められても諦めがつかず、恨み言を漏らした。本来なら妹が皇后となり、三皇子が世継ぎとなって次の皇帝になれたはずだという。しかし越姮は三兄が自分たち母子のためではなく、自分が国舅(コッキュウ)になりたいだけだと分かっていた。「霍翀(フォチョン)に代わって不満を言える立場?! 三兄、なぜ孤城に遅れて到着したの?瘴気(ショウキ)を口実に霍翀を死に追いやろうとしたのでは?」「言いがかりだ!」すると越姮は凌不疑のこと、貨幣の鋳造の件も韓武(ハンウー)に刺客を送り込んだことも、少なからず証拠を揃えているはずだという。それでも上奏しないのは越氏の面子を考えて三兄の自首の機会を与えてくれたのだろう。「なぜ瘴気に毒があると言いながら馬だけは無事だったの?なぜ軍報には記されてなかったの? 答えなさいっ!」「…救援の要請を受け出征後、道中で前方に瘴気があると知ってな しかし調査した斥候が瘴気は問題ないと報告した ちょうどその頃、乾安(ケンアン)王の軍も急いで向かっていた そこで考えた、乾安王の救援の時間を遅らせることができたら陛下は宣(シュエン)氏を咎めるとな だから斥候を殺した」その話を皇帝と凌不疑が聞いていた。凌不疑は越妃の公正な判断のおかげでついに小越侯の尻尾をつかんだ。あの時、乾安王は長年、不仲だった小越侯を信じられず、自ら一隊を率いて瘴気を調べに向かったという。やがて配下の彭坤(ポンクン)から乾安王が瘴気に侵され、密林で死んだと報告を受けた。しかし瘴気に毒はなかったはず、つまり彭坤がこの機に乗じて乾安王を殺害し、兵権を奪ったのだろう。一方、孤城は雍(ヨウ)王が兵器をすり替えたせいで10日は持ちこたえられる所、2日で陥落していた。孤城の惨劇は奇しくもそれぞれの私心が重なり招いた結果だった。小越侯は武器のすり替えなど知らなかったと否定、確かに援軍が遅れるよう画策したが、たとえ数日、遅れても間に合うと確信していたからだという。「乾安王を殺してなどおりません!ましてや兵器のすり替えなど… 陛下、私は孤城陥落とは無関係です!」しかし15年前ならいざ知らず、皇太子を失脚させるべく罠にはめたことが皇帝の逆鱗に触れた。兄との今生の別れを覚悟し、そっと目を閉じる越姮。すると皇帝は越氏一族の忠誠と生き残った兄妹に免じて命は奪わず、爵位を剥奪して皇陵の墓守を命じるという。越姮はむしろ皇帝の優柔不断さに驚いたが、凌不疑は反発する様子もなく、ただ黙っていた。凌不疑が長秋宮に戻るとまだ少商がいた。少商は今日のことを両親が知れば説教されるため、帰らなかったという。「無茶をするなと言ったのに、なぜ危険を侵す?」「私でなければ誰が皇后と太子の汚名をそそぐの?…助けたかったの、だから怒らないで」「はぁお、責めないよ、でも君に何かあったら自分を許せない」すると少商は凌不疑の眉間の皺を伸ばした。「孤城の件は決着したのに嬉しくないの?」「少商…家族を傷つけた相手を法で裁けないとしたらどうする?」「まだ敵がいるの?」「いや、仮定の話だ」「私はやられたら必ずやり返す、家族を傷つけた人は許さない、千倍にして返すわ」「ではもし復讐することで愛する人を傷つけるとしたら?」「…人生は取捨選択、重要な方を選ぶ」その答えを聞いた不疑は思わず少商を抱きしめた。一方、屋敷へ戻った袁夫人は息子に妻を選ぶよう勧めていた。母の思わぬ言葉に驚く袁慎、実は夫人は息子の意中の相手が程娘子だと気づいたという。袁慎は少商が婚約してから何度も縁談を探したが、満足する相手が見つからなかったと話した。「今になって思えば、面影が重ならぬからかも…一手の遅れが運の尽きでした しかし程少商が成婚しても私は日々を生きていかねば」↓(´ω`)しょぼん凌不疑は越妃に呼ばれて再び永楽宮を訪ねた。実は越姮が兄を誘導して処罰させたのは霍家と霍兄、そして何より子晟のためだという。「兄に対する処罰に不満でしょうね… でもあなたには長年のわだかまりを捨て成婚して欲しい、普通の暮らしをするべきよ」しかし不疑は小越侯の処分に不満はなかった。舅父は小越氏の手で死んだわけではなく、越氏とて大勢が亡くなっている。「皇帝が厳罰を避けた心情を子晟も理解できます 今後は越氏に償いは求めません、ただし黒幕の罪は一生を費やしても償いきれないでしょう」すると不疑は帰ってしまう。つづく( ๑≧ꇴ≦)うわっ!不吉な予感!w子晟、どうやら黒幕を知っているみたいだねそれにしても袁慎がらしくなくてちょっとつまらないw
2023.10.30
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风起霓裳 Weaving a Tale of Love第19話「東宮での腕比べ」才人・武媚娘(ブメイニャン)は思い出の鳩・宝児(ホウジ)を連れて皇太子の見舞いにやって来た。「殿下の退屈な日々にお慰めできればと…」皇太子は素直に喜んでいたが、才人の侍女・玉柳(ギョクリュウ)は主の心の変化に戸惑っていた。李治(リチ)は豆子(トウシ)を東宮に呼びたいと考えていた。しかし武媚娘は貴重な人材だからこそ尚服局に置く方が良いという。尚服局の動きも分かり、何より豆子の才能も生かせるからだ。李治は納得し、明日の侍衛選びに向けて裴行倹(ハイコウケン)を参内させることにする。一方、曹(ソウ)王・李明(リメイ)は東宮の動きを怪しんでいた。皇太子は確かに静養中だが、殿内の詳しい様子が分からない。従者は采月(サイゲツ)が頻繁に生地を取りに行っていることから傷は重いはずだと言ったが、李明は確信がもてなかった。「太子が本当に危険な状態なら腕比べの延期を願い出るはずだ」そこで蒲巴弩(ホハド)を連れて東宮の様子を探りに行こうと決めた。王伏勝(オウフクショウ)が裴行倹を嘉徳(カトク)之殿に案内していると、ちょうど見舞いにやって来た曹王たちと出くわした。「曹王殿下のお見舞いです!」王伏勝の前触れを聞いた李治は咄嗟に重症を装い、咳き込みながら前殿に姿を見せる。すると李明が明日の腕比べを延期してはどうかと提案した。しかし李治は皇帝の不興を買うだけだと拒否し、久しぶりに外の空気を吸うのも良いとごまかす。思いがけず明日の決戦を前に顔を合わせることになった裴行倹と蒲巴弩。蒲巴弩は挨拶の際にわざと拱手をぶつけて裴行倹の武功を試したが、明らかに自分が劣っていると分かった。そこで帰りの道すがら正直に裴行倹に勝てる保証はないと申し出る。驚いた李明はどんな手を使ってでも勝たねばならないと迫り、王府に戻るとある策を講じた。皇太子の近侍を選ぶ腕比べと聞いて宮中はにわかに騒がしくなった。皇帝が侍衛や内官、宮女たちの観戦も許したとあって尚服局でも繍女たちが休みをもらおうと仮病を使う。しかし大家に見抜かれ、かえって仕事を抜け出せば重罪を与えると脅されてしまう。琉璃(ルリ)は腕比べなど興味なさそうに黙々と仕事をこなしていた。するとちょうど刺繍糸が足りなくなり、鄧七娘(トウシチジョウ)に糸を取りに行くと断って采章(サイショウ)署を出る。しかし豆子はなかなか戻ってこなかった。琉璃は尚服局を抜け出し、東宮で開かれる腕比べを見に行った。見学に来ている宮女たちのお目当ては裴行倹、すでに眉目秀麗な裴行倹は噂の的になっている。するといよいよ皇帝が試合の開始を宣言、裴行倹は剣を選び、蒲巴弩は得意な鉄錘を選んだ。腕比べは裴行倹の優勢で進んだ。すると蒲巴弩が鉄錘に仕込んだ毒を放出、顔に粉を浴びた裴行倹は身体の異変に気づく。「何の毒を使った?」「力が入らぬのだろう?次第に意識が遠のくぞ 私自身も力を増強する薬を飲んでいる、命が惜しければ早く負けを認めるのだ」しかしここで諦めたら皇太子は曹王に手を下されることになる。裴行倹は気絶しないよう自ら腕を斬って奮起したが、防御だけで精一杯だった。「卑怯な手を使うなら遠慮はせぬ、負けを認めねば曹王を殺す、道連れだ!」追い詰められた裴行倹は曹王に向かって飛び出した。蒲巴弩は慌てて武器を捨て負けを宣言した。曹王は無事だったが、裴行倹は暗殺を企てたとして捕縛されてしまう。驚いた李治は皇帝に謝罪し、裴行倹を処罰する前に理由だけでも聞いて欲しいと懇願した。そのお陰で裴行倹は釈明の機会を与えられ、実は対戦中に持病の発作が起きて戦えなくなったという。「しかし近侍の任務は命をかけて太子殿下を守ることです 実践ならば太子殿下の安全を第一に確保すべき、そこで相手に負けを認めさせる策を講じました」楊(ヨウ)妃は息子を狙った裴行倹に激怒し、推薦した皇太子への罰も嘆願した。そこで皇帝は聡明な武才人に意見を聞いてみる。武媚娘は無知な自分がうかつなことは言えないとしながらも、皇帝の登用の妙は世に知れ渡っていると絶賛した。「凌煙(リョウエン)閣に名を残す24人の功臣を始め、太子洗馬の魏徴(ギチョウ)を重用された件も…」楊妃と曹王は武才人が遠回しに裴行倹をかばっていると気づいた。結局、皇帝は危機にも乱れぬ知勇を評価して裴行倹を皇太子の近侍と認め、蒲巴弩はそのまま曹王付きとする。「龍泉(リュウセン)の地より献上された宝剣を2人に下賜しよう」すると安堵した裴行倹は意識を失い倒れてしまう。楊妃は武媚娘への激しい嫉妬に駆られた。李明は皇帝の覚えがめでたい武才人が皇太子の参謀となれば自分が殺されると警戒する。「耐え忍ぶのも今日で終わりよ…私たち母子の未来は戦って勝ち取ってみせる」一方、李治は東宮で裴行倹を静養させた。しかし太医院に信頼できる医者がおらず手をこまねいている。「これも私が勢力を育ててこなかったせいだ…」すると武才人が再び武家の医者を連れて現れた。実は武媚娘も腕比べで裴行倹の様子がおかしいと気づいていたという。医者の話では裴行倹はやはり毒にあたっていた。幸い一時的な毒のため静養すれば回復するという。琉璃が尚服局に戻ると卓錦娘(タクキンジョウ)が待ち構えていた。琉璃は素直に東宮で腕比べを見ていたと白状し、罰を請う。すると卓錦娘は二時ほど抜け出したので四時の間、ひざまつくよう命じ、夕食は抜き、さらに今日の仕事を全て終わらせろと指示した。「できなければ明日はまた倍の罰を与えるわ!」李治は武才人を門まで見送りながら東宮への気遣いに心から感謝した。母を亡くしてから皇宮では孤独だった李治、武才人のように自分を支えてくれる存在はいなかったという。武媚娘はまだ若く大志を抱く皇太子が入内したばかりの自分の姿と重なると懐かしんだが、思えば宮中での日々は残りわずかだと言った。「もうすぐ感業(カンギョウ)寺で御仏にお仕えすることになるでしょう‥わびしい余生ですわ」つづく( ̄▽ ̄;)めいにゃんからの静かなる圧力がw
2023.07.04
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风起霓裳 Weaving a Tale of Love第30話「奪われた称号」武媚娘(ブビジョウ)は出家することで楊(ヨウヒ)妃らの魔の手から逃れることに成功。しかし皇帝・李世民(リセイミン)の病状が再び悪化すると、曹(ソウ)王・李明(リメイ)の怒りの矛先は皇太子派の高全(コウゼン)総管に向かった。「武媚娘は名ばかりの霊薬で命拾いしたのだな? お前の密告で武媚娘が命の危機を知った、高全、どぼけても無駄だぞ?」一方、鄧七娘(トウシチジョウ)は師匠が密かに出入りしている隠し部屋を突き止め、地下牢に閉じ込められた豆子(トウシ)を発見した。「助けに来たわ!」七娘は鍵を壊せる物がないか探したが、琉璃(ルリ)は逃げないと拒む。「ここにいても卓錦娘(タクキンジョウ)を負かすことができます」そこで豆子は七娘にある物を持ってきて欲しいと頼んだ。皇帝は昏睡し、残された時間はわずかとなった。李明はこのまま皇帝が崩御すれば皇太子・李治(リチ)がおのずと即位し、自分を殺すに違いないと焦る。「今こそ覚悟を決めなければ…」追い詰められた李明は義母に皇帝を毒殺し、その罪を皇太子に着せようと提案した。さすがに楊妃はためらったが、李明は非情でなければ権力は握れないという。その時、楊妃は激しく咳き込み、李明は慌てて背中をさすった。「大丈夫よ、座って…」楊妃は李明を安心させたが、手巾についた鮮血を見て決心した。「いいわ、あなたの思う様にやりなさい」李明は副総管の潘秦海(ハンシンカイ)を呼びつけ、母の信頼の厚い潘秦海を内侍総管に登用すると言った。実は高全が転倒して頭を打ち、急死したという。潘秦海は拝命したが、高全の死が曹王の仕業だと知って動揺を隠せなかった。しかも皇太子に皇帝暗殺の罪を着せるため、潘秦海が皇帝に毒薬を飲ませて欲しいという。潘秦海は驚愕、どんな命令でも従うが、人を殺めることだけはできないと涙ながらに訴えた。しかし断れば高全の後を追うことになる。潘秦海は結局、毒薬を受け取るしかなかった。七娘は豆子に頼まれた品を渡し、急いで戻った。すると夜も更けた頃、卓錦娘が差し入れを届けにやって来る。腕比べまであと二時、そこで卓錦娘は衣桁にかけてある龍袍を柵の間から渡し、早く完成させろとせっついた。琉璃は薄暗くて針が刺しづらいと嘘をつき、卓錦娘に燭台を集めさせている隙に七娘がくれた粉を龍袍へ振りかける。「あれ?何だ?龍の頭が変だ…」琉璃は卓錦娘に龍袍を返し、明るい場所で確認してくれと頼んだ。仕方なく卓錦娘は豆子に言われるまま燭台の近くで龍の刺繍を見たが、確かに龍の顔に褐色の汚れがついている。卓錦娘は汚れを叩き、息を吹きかけて飛ばした。その時、ろうそくが龍袍に飛び火、燃えてしまう。琉璃は燃えやすい燐(リン)を七娘からもらい、龍袍に振りかけていた。これで琉璃が刺繍した龍袍は台無し、卓錦娘の作品は未完成のため提出するものがない。卓錦娘は怒り心頭だったが、急に失笑した。「燃えたのは私の龍袍よ…あははは~!」そこで卓錦娘は包みから琉璃の龍袍を出して見せた。「毎日、昼間はお前の刺繍を見て学び、夜は戻って見た通りそっくり真似ていたの 完璧ではないけれど八分どおり覚えたわ、私を騙したい一心で気づかなかったのね? …まさか焼くとは思わなかったわ 阿碧(アヘキ)の目ざとさに助けられたのよ、七娘の裏切りに気づいてくれたわ」卓錦娘は阿碧から七娘がこの密室に気がついたと聞いていた。しかし豆子がなぜか逃げ出さず、自分のために龍袍の刺繍を続けていることに違和感があったという。「何か裏があると思ったわ、それで用心のため、完成していた龍袍の目を解いておいたの そしてお前が寝ている間にすり替えておいた、おかげで罠にはめられずに済んだわ」卓錦娘は自分が″天下第一針″になる瞬間を豆子に見せるため、解放することにした。総管となった潘秦海は甘露之殿で皇帝に付き添っていた。いよいよ皇帝の薬の時間、すると皇太子が見舞いに現れ、父に生涯かけて仕えた高全を手厚く葬って欲しいと頼む。「薬は私が差し上げる」潘秦海は皇帝に毒薬を飲ませる機会を失った。しかし曹王の護衛・蒲巴弩(ホハド)が甘露之殿に張り付き、潘秦海に早く任務を果たせと迫って来る。そこで潘秦海は皇太子が頻繁に見舞いに来て皇帝に薬を飲ませるため、その薬に毒薬を混ぜると報告した。尚服局では卓錦娘が見事な龍袍を披露していた。太妃たちは卓錦娘が安(アン)氏から受け継いだ染色、仕立て、刺繍の技術、いずれも神業の域に達していると絶賛、″天下第一針″の称号にふさわしいと認める。しかしそこに豆子の姿も龍袍もなかった。采章(サイショウ)署で金針を祭る儀式が始まった。七娘は憔悴した豆子を心配して儀式があると教えなかったが、卓錦娘が豆子の姿がないことに気づく。仕方なく七娘は昨夜から豆子が高熱を出して下がらず、休んでいると報告した。卓錦娘は豆子がいざ罰を受けることになったら逃げ出したと非難、七娘に豆子を呼びに行けという。その時、豆子が現れた。琉璃は高熱でふらふらになりながら工房へやって来た。そこで金針を祭るために用意された祭壇を指さし、制衣の始祖の前で正直に答えろと卓錦娘に迫る。「腕比べに勝った龍袍は誰が刺繍した?! …あなたは私が刺繍した龍袍を奪って太妃を欺き、天下第一針の称号をだまし取った!」一方、七娘は隙を見て尚服局を飛び出し、東宮へ駆けつけた。しかし一介の宮女では皇太子に謁見できず、門衛に追い返されてしまう。その時、運良く任務を終えた裴行倹(ハイコウケン)が戻って来た。琉璃は林(リン)尚服に秘密の地下室に閉じ込められていたと訴えた。確かにこの数日、豆子が姿を消していた間、卓錦娘もあまり見かけていない。林尚服は思えば龍袍の刺繍も今までの卓錦娘の作品とは全く趣が違っていると指摘した。焦った卓錦娘は林尚服に近づき、豆子をかばえば楊妃を敵に回すことになるとささやく。林尚服は安氏事件の苦い経験を思い出し、楊妃と反目すれば命がないと気づいた。裴行倹は皇太子に助けを求めることにした。しかしちょうど皇帝が目覚めたため、妃嬪や皇子たちが甘露之殿に集まっているという。王伏勝(オウフクショウ)は仕方なく殿内の様子を見て来ることにしたが、その頃、尚服局では林尚服が保身のため態度を一変させていた。七娘が急いで戻ってみると林尚服は正式に卓錦娘の勝利を認め、天下第一針であると宣言してしまう。衝撃のあまり倒れそうになる琉璃、そこへ七娘が駆けつけ身体を支えた。すると卓錦娘はこの機に怠け者の七娘に変わって阿碧を弟子にしたと公表する。つづく( ๑≧ꇴ≦)ナザも卓錦娘もイっちゃってるwwwww
2023.07.27
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