2006年03月16日
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内田 百ケン著  『柳ケンコーの小閑』  「東京日記 他六篇」

まずは、この物語の中の会話を一部、引用してみる。

「一体に眼の悪い方は吸わないようですね」
「火の始末が危ないからでしょう。又煙を見ないと煙草の味がしないと云う話も聞いたが、そんなものですか」
「成る程そうかもしれませんね。目をつぶったり、暗闇で吸ったりしたら煙草の趣はなくなるかも知れませんね。」

ぼくも昔タバコを吸っていたのであるが、はたして煙を見ないとタバコの味がしなかったかどうか、定かではない。
たしかに、夜タバコをすったことはあるけど、まったくの暗闇の中で吸った経験は無い。
それに、これもぼくの経験でしかないが、ここで言われているように、目の見えない人がタバコを吸うのも見たことが無い。

嗅覚と味覚の関係は強い。

だから嫌いなものを食べるのに、小さい子でも鼻をつまんで食べたりする。
このときは匂いが強く影響しているのだと思う。

一方視覚はどうかといえば、やはりそれなりに味覚に影響を与えると思う。
ただし、嗅覚と違って視覚は直接的ではなく、間接的に味覚に影響を与える。
なにか食べ物を見たとき、その味を脳が覚えており、うまそうだとかまずそうだとか判断し、その判断が少なからず味覚に影響を与える。
もちろん、見かけよりおいしいこともあれば、見掛け倒しのときもある。

また、味の記憶だけでなく、純粋に見た目の美しさが味覚への判断基準となることも少なくない。
これは最近のWBSでやっていたのであるが、俗に言うデパチカの惣菜屋さんで、陳列ケースの中の惣菜を見栄えよく陳列したところ、一人当たりの客単価が100円も上がったそうだ。
たしかにきれいに盛り付けられている方がぐちゃぐちゃに乗せられているよりもはるかにうまそうに見える。
お腹に入れば同じとはいえ、いや、同じだからこそ、おいしく気持ちよく食べたいものである。

ところが、ここで取り上げられているのは煙である。

とすれば、煙を見て思い出すのは味というよりは、ニコチンによる神経の弛緩状態なのではなかろうか。
他人の吸っているタバコの煙を見たときに抱く感覚も、やはりニコチン欲しさからくるのだと思う。

そう考えると味覚というものは嗅覚、視覚、快楽など、さまざまな要因によって影響を受け、それらの結果として形成されるものといえるのかもしれない。
それだけはない。
そのときの体調にも大きく左右される。


増してや身の回りで起こっている事象を認識するのにはそれこそ気の遠くなるような数のパラメータが作用しているのではなかろうか。
だからほんのちょっと普段とは違う感覚を研ぎ澄ましてみるだけでも、劇的に世の中が違って感じられるかもしれないね。





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最終更新日  2012年04月15日 11時21分48秒
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