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Jan 5, 2007
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カテゴリ: 小説 上杉景勝
 彼は七歳となり、城下にある林泉寺にはいり、名僧で名高い天室光育(てんし

つこういく)禅師から、厳しい禅の修業と文武の講義をうけた。

 そうした修行で女犯戒、肉食戒、妻帯戒などの戒律を教えられた。

 それ故、心の不浄を悟り、熱心にこの教えを守ろうとつとめてきた。

 この謙信の女子にたいする、欲望の強さは長尾家の特徴でもあった。

父の為景も兄の晴景も、異常なほど酒色にふけった。景虎がそうであっても

不思議ではない。

 だが、彼は禅の世界に没入することで、いっさい女子を遠ざけた。

 そんな折に、姉の綾が二十四歳で上田ノ庄坂戸城の嫡男、政景(まさかげ)の



 政景は豪将で知られ、二十六歳の堂々たる武将であった。両家は国主の座を

めぐってたびたび相争ったが、これを機とし政景は景虎股肱の臣下となった。

 景虎もまた政景を副将として、大いに重用するようになった。こうして越後は

一時の平安をたもっていたのだ。

 三年がたち、越後は重大な危機に直面することになる。越後の敵である甲斐

の武田家、関東相模の北条家、駿河の今川家が三国同盟を結んだのだ。

 これを策した者が、今川家の軍師大原雪斉(たいげんせっさい)であった。

 今川家は上洛が目的であるが、遠征中に甲斐、相模から背後を衝(つ)かれる

恐れがあった。北条家は景虎(謙信)の関東侵攻をうけた時、甲斐の武田家が

北条家救援のため信濃に討ってでる、そうなると越後の謙信は動けない。

 甲斐の武田家は信濃攻略が念願の夢である、今川家と北条家が背後を固め



 三国ともに利があったのだ。

 こうして武田晴信(はるのぶ)は公然と信濃侵略にのりだし、越後の豪族にも

調略(ちょうりやく)の手を伸ばしはじめた。

 この時期、越後は国人領主たちの領土争いがたえなく、景虎の悩みのたねで

あった。それに乗じて北条高広(きたじょうたかひろ)が、武田家の内応をうけ兵を



る。高広は越後刈羽郡佐橋ノ庄の北条に土着して北条を名のっていた。

 景虎は高広と善根(よしね)の地で激突し、これを破り北条勢を鎮圧した。

 北条丹後守高広は降参し、許され再び上杉家に帰参した。

 景虎が国人領主たちの、掌握に苦慮している時期であった。

 そんな多難の年の十一月に、久しぶりに姉の綾が里帰りをしてきた。二十七歳

となった姉が、女盛りの艶姿をあらわしたのだ。

「いかがなされました、お顔の色が優れませぬな」

 ますます華やいだ雰囲気の、姉の眸にいたわりの色がみえる。

「いたって健やかです。姉上もお元気そうで結構です」 

 景虎は本丸の居間で大杯をあおっている。懊悩(おうのう)を忘れるために彼は

戒律の飲酒戒を、あえて破っていた。

 綾の優しいいたわりの声がわずらわしく聞こえる、忘れていた欲情がつのり

肉体が疼く。三年をえて、ようやく忘れさった姉が目前に座っているのだ。

 外は雪が舞っているのか、物音ひとつしない。

 景虎は火桶をかたわらとして黙々と飲みつづけている。

「そのように飲まれては躯をこわしますぞ」

「お小言は結構、折角のお里帰りくつろいで下され」 綾が寄りそい大杯を満たし

た。「姉上は、わたしに何時も優しくなされましたな」  幼き頃が蘇った。

「それは父上のせいですよ。父上は事ごとに貴方に辛くあたられましたな」

「私は母上と姉上のお蔭で今日(こんにち)があります」

「癇の強いお子でしたもの」  「わたしは姉上が好きでした」

 景虎が薬湯(やくとう)を飲むように苦く杯をほした。

「わたくしも貴方が好きです」

 たんなる姉弟の語らいであるが、今の言葉が景虎を苦しめる。

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Last updated  Jan 5, 2007 11:24:10 AM
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