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Jan 7, 2007
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カテゴリ: 小説 上杉景勝
 その頃、景虎は大軍を擁し関東一円を席捲(せっけん)していたが、翌年の

八月十六日、越後の精兵一万三千名を率い、武田勢の守る海津城の背後に

位置する妻女山に着陣した。

 景虎は善光寺に五千名の後詰と、大小の荷駄(にだ)を残しての出戦であった。

 上杉勢動くの知らせをうけ、武田信玄は一万六千名の軍勢で甲斐を出陣した。

 高坂弾正(こうさかだんじょう)の籠もる海津城には、八千名の武田勢が守りを

固めている。

 景虎は妻女山に軍勢を登らせ、眼下の海津城を見下ろし悠然と小鼓をうって

酒を楽しんでいる。対陣一ヶ月、信玄は本隊八千名を率い八幡原に陣をしいた。



 九月十日の夜明けを迎え、その日は霧がわき一寸先も見えない情況である。

 景虎は武田の動きを察知し、ひそかに下山し信玄の待つ八幡原に向かった。

これが有名な第四次川中島合戦の、序曲であった。

 まさに景虎は乾坤一擲の勝負をかけたのだ。

 霧のなかに一発の銃声が轟き、上杉勢の全軍が八幡原に殺到した。竜虎の

本格的な合戦が霧の中で始まったのだ。

 左翼を固めていた信玄の弟、武田信繁(のぶしげ)の陣に、越後の猛将で知ら

れた柿崎景家(かげいえ)が猛然と襲いかかった。

 それを合図に上杉勢は猛攻を繰りかえし、景虎は単騎で武田勢の本陣を衝き

信玄に手傷を負わせた。

 戦略の裏をかかれ、不意を衝かれた武田勢は、信玄の弟の武田信繁や武田



 緒戦を飾った上杉勢は犀川を渡河し、善光寺に引き揚げを開始した。

 その引きぎわを武田の別働隊に襲われた、緒戦は上杉勢が後半は武田勢が

勝利を飾ったが、両軍の損害は甚大であった。

 三年後に再び両軍は川中島で相対するが、本格的な合戦とはならず、これが

最後の景虎(謙信)と信玄の戦いとなった。




の連続であった。己は平凡な風貌をした小男で、左の脛(すね)が気腫(きしゆう)

で曲がり、歩行時には少し足をひきずる。そんな男が、これから天下を臨む合戦

に往く。旭日天をのぼる勢いの織田信長との合戦を前にし、関東の覇者北条と

勝負を決せんと出馬をひかえた今、心気を萎えさせ往時の人倫の道を外した思

いに悔いを残しているのだ。

「謙信、我なくて誰が天下を静謐(せいひつ)にいたす。臆(おく)したか?」

 毘沙門天の怒りの叱責が聞こえてくる。

「実の姉と契り、人の道を踏み外した男に天下がとれますか」

 堂内で無言の会話を続けている。

「そちは十分に償いをした、喜平次を庇護し希代の軍師を拾いあげた。吾を信ぜ

よ」  「ははっ」  思わず謙信が毘沙門天の像に拝跪(はいき)した。

「戻って気運を盛り上げるのじゃ、明日には無の境地となれる」

 護摩の煙のなかで毘沙門天の両眼が、かっと見開かれている。

 謙信が堂からあらわれた。

「お屋形さま、ながいご祈祷にございましたな」

 白皙(はくせき)長身の颯爽とした若侍が待ちうけていた。  「与六か」

「お堂から出られる頃と思うて、お待ち申しておりました」

「大儀じゃ、わしは疲れた」

 謙信は、この若者のもつ才幹(さいかん)を愛し、喜平次の小姓として彼の将来

に嘱目(しょくもく)していた。

 与六は坂戸城から、春日山城に出仕してきた若者であった。姉の綾が利発さ

に目をとめ、喜平次の小姓に取り立てたのだ。

 名を樋口与六兼続と名乗り、十八歳の眉目秀麗の若者であった。

 喜平次が五歳年上であったが、まことの兄弟のように仲睦まじく、文武の学問

に興じていた。

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Last updated  Jan 7, 2007 09:29:14 AM
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