もうだいぶ経ってしまいましたが関西に行った大きな目的のひとつであるドイツワイン飲みについて書きます。
ドイツワインのかなり深い飲み手である 緑家 さんと大阪で飲みたいと思っていてちょうど日程があったので約束をしたのです。
緑家さんの行きつけのフレンチの ル・コントワール デュ グー での持ち込み会となりました。料理は 緑家さんのブログ で紹介していますのでそちらをご覧ください。最初からそのつもりで僕はほとんど写真を撮ってないのですが、緑家さんが期待以上の見事な載せ方をしていて感謝です。というかすみません・。
一言で済ませるのは申し訳ないですが、おいしくて満足でした。繊細で凝っているというわけではないですが、凝りすぎず素材を活かした調理法でそういう系統ではかなりレベルが高い方だはと思いました。ワインと合わせてひとつになるという個性が強すぎない料理なのも僕にあっていました。
緑家さんと僕の他にもうひとり参加予定だったのですが体調不良により二人の会となりました。
僕はふだんは許容量は750mlちょっとくらいなのですが、今回は2人で4本も飲みました(僕は半分も飲んでいないと思いますが。店員さんも少し飲んでます)。それでもべろべろにならなかったのは赤がない、アルコール低め、好みのワインばかり、だったからでしょう。

では一本目から。
記憶が消えてきているので抽象的なイメージでの表現が多いことをご了承ください。
Ansgar Cluesserath
Trittenheimer Apotheke Riesling trocken 2010
最近の傾向のように辛口にはシュペートレーゼなどの等級はつけていなくてこの畑名ワインがこの造り手の一番上のクラスの辛口ワインのようです。
酸のたつ2010年ということとモーゼルの辛口ということで硬めなものをイメージしていたのですがやわらかくてなめらかな飲み心地でした。やさしい味わいというのは違ってやわらかめだけど主張があって一本筋のある味わい、といったかんじでそれは収穫量を落とした葡萄からの凝縮感がそうさせているのだと思います。
残糖があるかと感じるようなやわらかい味わいの辛口ワインは大好物です。ただし先に書いたような凝縮感がないとやわくてただの貧弱なワインになってしまうのでこういったワインに容易に出会えるわけではないのです。
緑家さんはこのワインを自分が飲んだ2010年のモーゼル辛口の中でベストのレベルに入ると語っていて辛口のスペシャリストがそこまで言うのにはびっくりしましたが、ドイツ好き以外に出しても恥じないそしてドイツにしか存在しないタイプのワインだと思いました。
トリッテンハイムのワインはそこそこは飲んでいるのですが分析というレベルでの理解ができていないので次回ドイツに行ったらこの土地でも醸造所を訪れたいと思っています。
トラーベン・トラーバッハと同様にこの地域も日本ではあまり重要視されていなくて良いワインがあまり入ってきていないのでドイツでしっかりと勉強したいです。
Peter Lauer
Ayler Kupp 'Kern" Riesling 2010
この ブログでも何度も登場している
ザールの大好きな造り手ペーター・ラウアーです。
穏やかな飲み口だけど内に秘めた力強さがあるというのは2009年のと同様で地形、土壌か来るものでしょう。
2010のStirnも残糖が多めでしたがそれよりは酸はあまり強く感じませんでした。そのバランスの点で今飲むならKernかなと思いました。といってもどちらも数年(二年くらい以上?)経つと複雑さが増してもっとおいしくなるとは想像しています。
ただこのまったりとした飲み口のKernが熟成して劇的に変化するところは想像ができないのです。もう一本持っているので数年寝かせてみます。そこで初めてこのKern(クップの畑の中の区画の名称)のポテンシャル、特性を理解できると思っています。
緑家さんはこのやわらかい飲み口には少し物足りないようでした。トロッケンに近いハルプトロッケンもいくつかリリースしていて輪郭のはっきりした、でもやさしい味わい、というワインもあるのでそういうのなども飲んでこの醸造所の魅力を感じてほしいと強く思いました。
また、こういうタイプだったら09のkernほうが深みがあって面白いのかと思いました。しかし09は単体で飲むもの、10は食事に合わせて効果が出るもの、という用途の棲み分けを感じました。今回飲んだ10のkernは強めの味のドレッシングのサラダやメインディッシュではない濃いめ、甘めのソースのものとの相性が良い気がしました。
Van Volxem
Wiltinger Braunfels -Vols- Riesling 2001
このワインはブラインドで出されて試されたのですがザールということすらわかりませんでした。ザールということがわかってから熟成して残糖が落ちた2001年であるというところだけ当てて何とか一矢を報いたのでした。
正解がわかって納得、 飲んだことがあるVols醸造所
のこの畑のワインと似たニュアンスで広がりがあって親しみやすい味わいでした。
熟成によって落ちて甘さはほとんど感じないけれどハルプトロッケンのタイプにみられるやわらかい飲み口なので心地よく飲むことができます。残糖がない若い辛口ワインとは異なり熟成にいり複雑さもありこの深みがとてもよいです。この深みがフォアグラや豚のグリル(下記画像)と絡み合ってすごくあいました。こういう味わいのドイツリースリングが一番食事と万能だと思っています。
酸が前に出ているとあわせられる料理は限られるのですが熟成して穏やかになりそして深みがあると一気に範囲が広がる気がしました。
そして豚肉とドイツリースリングとの相性の良さも再確認したのでした。

緑家さんと熟成したハルプトロッケンについて少しメールでやりとりをしていたのですが、残糖がそこそこあるけれどしっかりとした造りのファインヘルプやハルプトロッケンは10年くらい寝かせるとやわらかい飲み口で飲みやすいけれど複雑さを増して輝きを増すというものが多く、そして食中酒として効果を発揮するというのが良くわかりました。これは前から言っている甘口カビネットを10年以上寝かせて残糖が落ちるというのと同じ考え方です。
とはいえポテンシャルのないワインだと甘みが落ちるだけで深みはないしおいしくないということは付け加えておきます。
今ラウアーやルーヴェンシュタインの10年経ったものをたくさん飲みたい衝動にかられています。
そしてラスト。
緑家さんが僕のために持ってきてくださった今回の目玉ワインです。
Fritz Haag
Brauneberger Juffer-Sonnenuhr Riesling Spaetlese -Versteigerung- 1997
僕の大好きなフリッツ・ハークの競売会出品用のもので通常のシュペートレーゼより質が高い(とされている)ものです。
これもブラインドだったのですが、モーゼル中域でベルカンステルやヴェーレンの地域ではないというところまでしか特定できませんでした。
オークションワインは味筋が違うので、アウスレーゼというところから探っても全く思い浮かばなかったのです。オークションワインといわれた瞬間にハークのシュペートレーゼというのが思い浮かびました。
15年経っているとは思えない爽快感と甘さの飲み口とまとわりつかないきれいな甘さがオークションワインという高貴なイメージを感じさせてくれました。そして。甘さは強くはないれど熟成しての重さが心が落ち着かせてくれます。甘さを強く感じなくても締めとして最適な味わいでした。古酒感がそんなにあるわけではなくといってもフレッシュでもなくてすごく良いバランス感がありました。。
緑家さんの心意気とワインのおいしさで本当にうれしかったです。
僕は2005年のハークの競売会用シュペートレーゼを購入していてあと一本残っているのですがこの味わいを知ってしまうと最低でもあと5年は寝かしたほうがよいというのが判明してしまいました。忘れたように保管しておきます。
ということで種類は多くないけれど重要なポイントだけを押さえた充分すぎるほど満足できたラインナップとなりました。
モーゼル、ザールくくりいうことは事前に決まったのですが、この狭い地域だけでも同じリースリングで4本が全く異なる味わいというドイツワインは本当に幅が広くて魅力的なのです。
ワインだけでなく緑家さんとの会話や料理も含めてとても濃密で楽しい5時間(!)となりました。
ブログ以上に緑家さんのリースリングに対するストイックを知ったり新たな一面が垣間見れたり(笑)会えて本当に良かったです。こういう場とワインを提供してくださった緑家さんに心から感謝しています。去年に引き続き二度目となりましたが一年に一回くらいは一緒に飲みたいと思いました。
3月の 名古屋のテンカワさん
もだし僕の好みをわかってのお宝ワインを持ってきてくださるのには僕は人に恵まれていると思いました。
今までの活動のご褒美だと思ってそしてこれを糧にこれからもがんばろうと思ったのでした。
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