Accel

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April 24, 2010
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 *****あらすじ*******
 沢山の少年達は、自分の意思とは関係なく毎日を闘いに駆り出される日を送っていた。
 それに疑問を持つきっかけを、数人が感じ、そしてその疑問を共有し、かくも窮屈で暗く陰湿な場所、このハーギーを脱出せんと団結した。
 そんな彼らに救いの手が見えてくる。
 それは、大人にも同じ思いの仲間がいたことであった。
 このハーギーの核、”赤”が面会するマンサガが来る警備の薄い日を狙い、とうとう少年らと大人は剣を手に同じ方向を見つめて足を進めんとしていた。
 ***************

 前方を歩くハーギーの青年はメンといって、しなやかな長身をそびえさせていた。
 メンの後ろには、まるで彼の子供のように、少年が5人1列になってについて歩いていた。

 一番後ろに陣取っているのが、メンに負けず劣らずといった身長の、蜂蜜色の髪を持った少年である。
 髪と同じく蜂蜜色の瞳を、ちらりと四方にぬかりなく放ちながら、黙って最後尾を歩いていた。


「おい」
 メンの声が小さく響いて来た。
「気をつけろ。
 あっちに二人いるぜ」


 メンは、左手で少年らを制し、その場に居るように掌で指示すると、すっと”仲間”の方に姿を出した。
「よう。
 お前たち、お疲れだな」
 メンがこうして堂々とハーギーの前に顔を出せるのはたわいもない理由であった。

 この点が、この”大人”のハーギーの最も利点とする面であった。
 これが、少年だと、話が違ってくるのである。
 少年達は、まだ”ハーギー”の一員としての最後の試練を潜っておらず、大人の仲間ではない。
 このような場面で、少年の誰かが”ここ”に現れるのは、かなりおかしい立場になる訳なのだ。
 まさに森の中の木、砂漠の中の石といった具合に、ハーギーという身分のメンは、違和感なくこの空間に融けこめていたのである。




「おお、メン。
 どうした?
 お前がこっちの塔に来るなんて、珍しい」
 するとメンは、急に体を”仲間”の方に寄せて、彼らの耳に小声で伝えた。
「牢に、とびきりいいのが来たんだよ・・・
 見に行って来ないか?
 俺がここに代わりに居てもいいぜ?」
「おい、本当かよ・・・へへ・・」

 大人の二人がだらしない声を発すると、動き出す。
 追いかけるようにメンが慌てて言った。
「おいおい、待てよ、ここに俺一人置くのかよ?
 一人ずつ行けよ。
 いい子は逃げていかねえからさ」

「それも、そうだ。
 じゃあ、どっちが先に行く?」
「見るだけだぞ?」
「よし、じゃあ俺だ」


 大人が一人・・・少年たちが隠れている方へと歩み寄る音がしてきた。
 と、蜂蜜色の瞳の瞳を揺らし、少年ニルロゼが音もなく、剣を抜いた。
 少年達が揃えて息を呑み、ニルロゼの表情を仰ぎ見るしかない。
 蜂蜜色の少年は、目で合図し、他の少年を下がらせた。
 つっ。
 ニルロゼが足を一歩。
 踏み出す。

 この呼吸は、あと三歩で相手がこちらへと来る!

 少年は剣を繰り出した!


 真横から。
 わき腹に。
 剣で、貫いた。

 相手のハーギーは・・・
 暫く泡を吹いていたが・・・
 こちら側へと倒れかかって来た。
 それを、受け止めた少年がいた。

 ひゅっ、
 ハーギーからニルロゼが剣を抜くと、向こう側でも、誰かが死んだ気配がした。
 メンが、残った相手の一人を、仕留めていた。



 少年達は、メンの方へと走り寄り、合流した。
 メンが、静かに言った。
「この扉の先には、三人いるはずだ。
 さっきのような方法は使えない。
 入りざまに、一気に行くぞ」
 メンは、彫りの深い顔を見せ、鋭くそう言った。
 少年達はそれぞれ、さらりと自らの剣を鞘から抜いた。





 一方、他の塔でも、順調に、少年達は敵のハーギーを減らしていた。
 こちらでも、仲間の大人にうまく囮になって貰いながら、進んでいた。
 東の塔では、とうとう、女性の部屋までたどり着いた。

 一番の難関は、外への門だった。
 ここは、レガンが担当していた。
 一番やっかいな場所だった。
 門の周りは、10人以上のハーギーが居た。


 さて、どうしたものか・・・

 茶色の髪の生え際を自らの爪で掻きむしりながら、レガンは大きくため息をついた。
 自分たちの仲間にいる大人も10人いたが、彼らでさえも、あの門をどう攻めるか、決めあぐねている。
 こちらが姿を見せた以上は短時間で決着をつけねばならなないであろう。
 敵を確実に全員、仕留めなければ、誰かに逃げられればこちらの情報が漏れてしまうのだ。
 だが、あの門の前に出て行くまでに、かなりの距離が必要だった。
 誰にも不審に思われず、敵に近づいて、しかも相手と闘い、その間逃げる隙を与えない、そんな方法を考えなければならなかった。
 門が開かれなければ、外に出て行くことはできないのだから。



 じっと門を見つめていたレガンは、そこに張り付いている門番の顔を見ているうちに思いついた。
 そうだ、中から外に出ようとするから大変なのだ。
 逆に、外から中に入るのはどうだろうか・・・?

 レガンは、一番年少の少年に、小窓から外に出るよう指示した。
 それからしばらくすると・・・


「お願いします、俺をハーギーに入れて下さい!
 ぜひ、ハーギーで闘いたいんで!!!」
 必死に騒ぎ立てる声が響き渡って来た。

「お願いします!
 どうか俺もハーギーの一員に!」


 必死だが、まるで幼いその少年の声を聞き、門の周辺を守る大人の失笑が漏れた。

 けけけ
 一員になりてえってよ・・?

 門番達が、少年の声に気をとられていた時・・・


「な・・?」

 一人の門番が、目にした信じられない光景があった。
 それは、数十本の剣が閃いている光景だった。
 少年。
 そして、仲間のハーギーが手に持つ剣の輝きであった。

「ふんっ」
 と声を出し終わるまでもなく、一人のハーギーを刃にかけた男が、血塗られた剣を更に天に掲げた。
「な、なにを血迷ったか、ブナン」

 ブナンと呼ばれた男は、数人の仲間のハーギーが残りの門番を仕留め、そして、少年らが無事なのを確認すると、武骨な顎を小さく開けて言いのけた。
「血迷っていたのは、今までの俺さ」

 ブナンは幅広の剣を恐ろしい速度で、かつ的確に相手の急所へ振り落とした。



 このハーギーのどこもかしこもが・・・
 真っ赤な鮮血で・・・
 飛散していた・・・。




「ほほほ・・・」
 真っ赤な部屋で・・・
 赤い声が・・・笑った。


「感じる・・・」

 にたり、と赤い声が言った。



「あかのいろ・・・・」

 マンサガが・・・
 赤の声に、ゆっくり、同調した。



 赤い部屋で・・・
 ”赤”と、客人マンサガは、赤い色の箱を目の前にしていた。
 箱の中は、部屋の赤より更に赤い色をし、脈打つかのように見えていた。

 でろでろと、煮えたぎるように・・・
 ぐるぐると、呼吸するように・・・・

 延々と、赤いなにかが、箱の中で蠢くと、それを囲む者共も、益々と赤の色を享受しているかのようだった・・・。


********************
長らく更新をお休みしていて申し訳ありませんでした。
久々の小説で、文章表現力が落ちたかもしれません。
やはりマメに書かないと駄目なんですね、文章も・・・(泣)

モロッコの旅があたる(かもしれない)の答えは意外にも?3です!!!
↑でも、残念ながら、過ぎ去りし、です。

東京も行きたいし、行ってないけど金がなくなってアブナイ仕事をしていたのもかなり切羽詰まって当たってる俺・・・
結局ドレをとってもかなりあたってるけど(w)

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FTPが調子悪くて音楽がついてないけど、見てけらいん~☆ 海外の音色 さんの音楽は、多分3章くらいまで入ってマス★

最近のイラストは pixiv にのっけてます。よろしければ。





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Last updated  April 28, 2010 11:37:56 PM
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月夜見猫 @ 愛するケーナさまあはあと! おはようございます☆ >いつも本当にあり…
月夜見猫 @ オスン6757さん おはようございます。 >いつもありがと…
月夜見猫 @ もぷしーさん★ おはようございます。 >今まだうろうろと…
風とケーナ @ Re:「フィギアスケート選手を応援しよう!」(02/18) 月夜見猫さま、こんばんは♪ いつも本当に…
オスン6757 @ Re:「フィギアスケート選手を応援しよう!」(02/18) おはようございます。 いつもありがとう…

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