Accel

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July 6, 2012
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「え?泊まって行きなよ」
 これから自分の家に戻るというハダッドを、引き止める声がした。
 その声は無論、家の主であるギニューである。
 ギニューの家では、ギュワーサ、デール、ハダッドが今までのんびりしていたが・・・、
 夕食も終わり、そろそろ夜となるので、ハダッドが帰ろうとしているのだ。

「だけど・・・?」
 ハダッドは、ちらり、とギュワーサを見た。
 見られたギュワーサは、ぎく、と、なぜか赤くなる。


 ギニューは笑いながら言った。

 家に男二人の中一人で寝ろっていうの?あなたは?」
 デールもそれに加担した。
「おう、そうだそうだ。
 お前が泊まれば、男女の人数が丁度よくなる。
 やったね!久しぶりに葡萄酒でも開けようぜ!」
 そういうデールはもう葡萄酒を手に持っている。
 ギニューは特になにも言わなかったが、葡萄酒はギニューの家のものである。

 このデール、交易では長くの間、一緒に旅をし、気心の知れた男だ。
 こうして家に泊まっていくのも、交易から帰れば毎度のことである。
 今更葡萄酒の1本2本で、なんだかんだと言うようなことではない仲なのだ。


 ギニューは小さい声でハダッドに耳打ちした。

 デールがいるから、村の人だって、おかしく思わないってば・・・
 それにあなた、一人で戻らない方がいいわよ・・・
 そうでしょう?」

 ハダッドはちょっと赤くなって頷いた。
 前までは、住んでいた家には仲間が居たが、今交易で出ている。

 女一人では、確かに、こころもとなかった。



 デールは、飲む速さが半端ではなく、一人で勝手に出来上がってしまった。
「ちぇっ、いいなーーーーギュワーサよ。
 俺は、お前ほど色男じゃないからなーーー
 俺にもいい女いないかなーーー」
 ここでいきなりデールは、ギニューの手首をひっぱった。

「おっ、そうそう、ギニュー、お前、どーだー??
 そうだなーー、ギニューも悪くないなー」
「煩いわね、デール。
 思い出したように言わないでよ、いきなり。
 大体あなたは、メイラが好きなんじゃないの?」
「あー、そうだったなー」

「そうだったなーじゃないでしょー!」
「メイラはオギルが好きだってさーーーー
 世の中うまくできていないのよーーーーーー」
「ああ、煩い煩い」

 盛り上がっているデールとギニューの脇で、なにを言っていいやら、ちらりと目を合わせてはまた俯くを繰り返すギュワーサとハダッドは、いつまでもモジモジしていたが、少なくなった葡萄酒を自分の杯に注いで飲むと、ハダッドは笑った。
「楽しそうね、デールは」

 ギュワーサは、ハダッドの横顔をこっそり見た。
「あ、今見たわね」
 急に、ハダッドは振り向いた。
「そんなに警戒しなくていいわよ。
 なにも、取って食おうってんじゃないから。
 はい、あなたも飲んだら」
 細い腕で、ギュワーサに葡萄酒を差し出す。
 ギュワーサは受け取りながら、考え込んだ目つきで言った。
「あのとき・・・」

「・・?」

 ギュワーサは、濃い青の瞳を、ハダッドに投げかけた。
「あのとき、黒くて長い髪をしている少女が、教えてくれたんだ。
 君がいる場所を・・・」
 彼はぐいっと葡萄酒を飲み干した。

「俺は、君が同じ時に船に乗っていたことも、知らなかったし、
 君があそこにいたのも、もちろん、その時まで知らなかった。
 あの素晴らしい黒髪の少女が、君の事を押してくれたんだ、
 だから君の所にいけた・・・それだけだよ。
 だからね、、もし君が感謝するなら、あの少女に、だよ・・・
 かといって、俺も、あの少女のことは、なにも知らないけれど」

 やや上気した頬のギュワーサに、ハダッドは笑いかけた。


「・・・あなた、助けられたから、あなたを好きになったと思っているのね・・・」

 ハダッドは、ギニュー達の方に目をやりながら言った。
「でも、助けに来てくれたから、好きになったのは、ひっくり返せないわね・・・
 とっても嬉しかったわ。
 頼もしく見えたわ。
 女って、単純かしらね」

 彼女はまた葡萄酒に口をつけた。


「もしデールがきてくれたら、きっとデールが好きになったのかしら?
 そうなのかもね。
 でも、来てくれたのはギュワーサだわ。
 あたしの手を引いてくれて・・・」
 ハダッドは必要以上に赤くなった。
「あ、あたし、もう寝る」
 さっと立つと、奥の部屋へ引っ込んでしまった。


「あーらら、おんなをなかせちゃ、だめなんだー」
 ギニューが酔っ払った声で近づいてくる。
 どうやら、デールは寝てしまっているらしい。
「まあ、いきなり~
 気持ちをわかれとはいわないけど~????
 あんたが嫌なら嫌と~
 はっきりいわないとおおおおおおお
 だめ!だぞおおお」
 ふらり、
 姉の足元がおぼつかない。

「はい、はい。
 姉貴も寝なよ、あっちで」
「あらーーーーー
 あたしに指図する気~????」
 ギュワーサは頭を深深と下げ、腕を胸に当てて言った。
「お姉さま、あちらにどうぞ。
 ハダッドもいるから寝ていてください」

「よくできました」
 ギニューはふらり~と奥の部屋へ行った。


 ギュワーサはいびきをかいているデールを覗き込んだ。
 デールは今まで数人の女性を好きになったことがあるという。
 好きになる、とは、どういうものだろうか。

 ギュワーサは、ほてった体を冷まそうと、家の外に少し出た。
 それは月のない夜だった。
 家の脇に生える樹に右手をつけ、よりかかると・・・・


 急に、背後からざわつくなにかを感じ取った。
 ごくり、とギュワーサの喉が鳴った。
 そして・・
 あたりは急に
 漆黒の闇に包まれ・・・・
 重苦しい瘴気がまとわり・・・
 ねばつく言葉が投げかけられた。
「今度はこれだ」


 樹の向こう側から・・・・
 ”黒の人”の気配がした。

 ギュワーサは、酔いが一気に飛んだ。




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Last updated  July 10, 2012 10:32:56 PM
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月夜見猫 @ 愛するケーナさまあはあと! おはようございます☆ >いつも本当にあり…
月夜見猫 @ オスン6757さん おはようございます。 >いつもありがと…
月夜見猫 @ もぷしーさん★ おはようございます。 >今まだうろうろと…
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