ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン& オペラとクラシックコンサート通いのblog

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン& オペラとクラシックコンサート通いのblog

PR

×

サイド自由欄

QLOOKアクセス解析

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

Verdiさん

Verdiさん

カレンダー

コメント新着

Verdiさん @ Re[1]:9/14 N響定期公演 (2024年9月 Aプロ1日目)(09/14) Maybe.さんへ >隣の席のテーブルマナ…
Maybe.@ Re:9/14 N響定期公演 (2024年9月 Aプロ1日目)(09/14) 誰がどうであれ、感動したなら構わないけ…
Verdiさん @ Re[1]:3/30 東京春祭トリスタン(04/01) emigmaさんへ ああ、ヤノフスキですね。ま…
emigma@ Re:3/30 東京春祭トリスタン(04/01) ひぇっ!ヤンソンスがN響ふったんですか!…
Verdiさん @ Re:12/3 N響定期公演 (第1971回 2022年12月Aプロ1日目(12/04) NHKで録画が放送されたのを観てみました。…

フリーページ

2008年07月01日
XML
カテゴリ: クラシック
 もう既に先月の話なのではありますが、新日本フィルの音楽監督、クリスティアン・アルミンクの、2010/11年シーズンまでの契約延長が決定したとの発表がありました。2003/4年シーズンから、3シーズン毎の更新をして、今回はいよいよ2シーズンの更新。ということは、流石にこの契約を以て完了となるのでしょう。と、いきなり「更新の発表」をベースに「辞める時」を話すのも妙ではありますが。
 いずれにせよ、これでアルミンクは8年間の長期に渉って新日フィルを率いる事になります。これは、近年の在京プロオーケストラでは珍しい事態と言っていいと思います。しかし、音楽監督とか常任指揮者というものの意味を考えれば、本来なら、こういう事例はもっとあって然るべきだと思うのです。

 近年のパターンでは、新日フィルは、年8回の定期演奏会をサントリーホールとすみだトリフォニーホールでそれぞれ行います。それと同様、「名曲シリーズ クラシックへの扉」も8回。この内4公演ずつをアルミンクが指揮する。つまり、年間公演の大体半分を音楽監督であるアルミンクが振る勘定になります。勿論、それ以外の公演も沢山あるのですが。日程的には、アルミンクは、シーズンの最初と最後、それに途中の一回、来日してオケと付き合う事になります。
 実は、音楽監督なり常任指揮者なりが、これだけまとまって指揮するケースは他ではあまりありません。日本人をトップに頂くオーケストラでも、定期演奏会の半分がそのトップの指揮、というのは無いでしょう。しかし、冷静に考えてみると、それでは音楽監督といったポストにいる指揮者は、オケとの関係が稀薄な中で、何を監督するのでしょう。

 日本のオーケストラで、常任指揮者や音楽監督があまり指揮をしなくても済んでいるのは、やはり聴衆の側にニーズがないからです。極論すれば日本で求められるのは「看板」であって、看板が立派であればそれでよく、その時々で名のある指揮者が振ってくれさえすればそれでいい、というのが実態ではないかと思います。
 この点、もっとも顕著なのがN響でしょう。デュトワにせよアシュケナージにせよ、年9回程度の定期演奏会で2回ほど振っておしまい。それで成果が出たも出ないもないというものです。にも拘らず、「レパートリーが増えた」「アンサンブルが弱くなった」などとしてその「功罪」を語るというのは、むしろ滑稽というものです。

 日本のオーケストラの演奏評などを見ると分かるのですが、音、例えばオーケストラの音色や響きに関する言及が少ないのです。まぁ、自分も最近人のことは言えないのですが。でも、これが妙な話であることに変わりはありません。
 曲の解釈にせよ音楽の表現にせよ、それらが音を通じてもたらされる以上、縦の線が、とかいった「演奏の上手い/下手」というようなこととは別に、音の良し悪しというようなことはごく基本的なことなのではないかと思うのです。
 でも、実際には、オーケストラの音についてはあまり議論されません。理由ははっきりしませんが、結果として音色や響きについて、端的に言えば無視されているのは否めません。しかし、あるオーケストラがどのような音を持っているか、というのは、そのオーケストラを考える上でごく基本的な事です。


 いや、ある意味では上手い下手ということにもなりますが、つまり、そのオーケストラがどのような音を自分達の標準とするのか、ということが、「固有の音」ということです。もうちょっと言えば、自分達のオーケストラが基本的にはどんな音を出すか?ということについての団員達のイメージがあって、それが如何に同じ方向に向いていて、しかも実際に出来ているか、ということです。

 これを仕上げるには、どうしても二つの役割が必要です。自分達がオーケストラとしてどんな音を出しているかを聞かせる、つまりは団員達が聞くように仕向ける役回り。そして、もう一つが、オーケストラに対し「固有の音」のイメージを与える役回り。
 これが、オーケストラを作り上げる、ということの本質だと思います。
 団員達の意識と総合的な技倆が非常に高ければ、お互いに聞き合い、どのようなオーケストラの音になっているか、常に意識する、ということも可能になるでしょう。しかし、「固有の音」のイメージは、通常、明確な指導者が居なければ、殆ど得る事は難しいと思います。
 これがオーケストラだけで文句無しに出来ているのは、世界でも唯一ウィーン・フィルだけでしょう。しかし、彼等にして、「固有の音」は自分達が作ったものというよりは、長年受け継がれているもの、と解するべきでしょう。自然に変遷する事はあり得ても、意図的に変える事、作る事はほぼ不可能でしょう。お互いに聞き合う事は、まぁ、彼等は本来が世界一のオペラハウスの楽員ですから、そのくらいの仕事は当たり前にしているでしょうが。もう一つ言えば、オルフェウス室内管もそうですが、彼等の評価は微妙な所なのでは?私は嫌いじゃないですが。

 で、そう言っちゃなんですが、こんなハイレベルな事を出来ている日本のオケなんてありません。N響だって無理です。
 ついでに言えば、コンサートマスターにこんな仕事出来ません。これは「トレーニング」であり、「指導」なのです。しかも、「固有の音」という方向性まで打ち出す事など到底無理。必要なのは強烈な指導力。それを、あくまで「同じオケの一員」に務まるものではありません。なので、正直、コンサートマスターが誰それ、という話、私は殆ど興味がありません。まして、コンサートマスターの演奏技倆など割とどうでもよろしい。どうせそれなりの技倆はあるんだろうし、そもそもそんなのコンサートマスターの仕事じゃない。コンサートマスターの仕事は、音楽監督や常任指揮者によって与えられる「戦略」、或いはその時々の指揮者によって指示される「作戦」を、まぁ小隊長か中隊長レベルで如何に上手く持って行くかを考える「戦術指揮官」なのです。

 あくまで個人的見解ですが、この20年くらいの日本のオーケストラで、この「固有の音」を持てていたオーケストラは、恐らく、一時期の東フィルくらいだと思います。この数年は駄目。もう、固有の音と言うべきほどのものは半ば失われてしまった。チョン・ミュンフンを音楽監督的に冠に置く限り、本格的な再建は難しいと思います。チョン・ミュンフンはそういう指揮者ではないですから。東フィルの良さと言うのは、独特の、歌うように合奏が出来る弦だったのです。多少合わなくっても、ちゃんと歌として同じ方を向いている。そんな演奏が出来ていたのです。管が外すとか縦線があってないとか、つまらないことを言っていた人は大変多かったけれど。
 もう一つ、このオーケストラビルディングの過程を歩み始めていたのが、デプリースト指揮下の都響。でも、愚かにも都響はデプリーストを早々と捨ててしまった。後にインバルを持って来ても、インバルがそんなに振ってくれる訳でなし。これでまた都響は後退して行くと読みます、私は。日フィルがラザレフを呼んだ?年二回で一体何させるんでしょうね。東響......頑張ってないとは言わないし、指揮者陣も安定してるけど........船頭多くして何とやら、じゃないかなぁ。

 長くなりましたが、この、オーケストラビルディングを果たしつつあるのが、新日フィルとアルミンクのコンビなのです。勿論、レジデンツホールであるすみだトリフォニーホールの存在も大きいですが。
 正直、2000年頃の新日フィルは荒っぽいオーケストラでした。雑だし。それが、アルミンクを音楽監督に戴いてから、随分と変わったのです。相変わらず音の大きいオーケストラで、ずっと私は嫌いだったのだけれど、いつのまにか、その音の大きさ、派手さはそのままに、すみだトリフォニーの鳴り過ぎのホールトーンのお化粧の下で、然しながら、デュナミークの付け方を覚え、弦の響きの質を合わせるようにし、歌うように、と、年々オーケストラとしての質を上げていったのです。

 今シーズンは違いますが、前シーズンまではアルミンクは古典派中心のプログラムを組んできました。彼自身が好きだということかも知れませんが、古典派というのは各声部がはっきり分かるような書かれ方をしているので、演奏する側は誤摩化しが効きません。同じパートの音を揃えること、同じ声部を弾く他のパートとどう溶け合わせるかを考えること、それぞれの声部がどのように対立しつつどのように噛み合って行くか。どんな音楽でもあることですが、見えやすいだけに誤摩化しが効かない。しかも、御丁寧に、一昨年はブリュッヘンまで呼んで、ハイドンなんかやってます。そりゃ、オーケストラにしてみりゃしんどかったかも知れませんが、明らかにオーケストラの音は纏まって行きました。
 何より、アルミンクの指揮で聞く古典派の音楽の何と面白いことか!

 後3年で辞めちゃうんだ、次はどうするんだろう......という気持ちが半分、残り半分は「やった!もう2年延びた!」という気持ち。こっちの方が大きいかな。

 このアルミンクの遺産で(井上某とか某有名日本人指揮者が今更引っ掻き回したりしなければ)新日フィルは放っておいても5年はこの音が維持出来るレベルに至ると思います。その次が難しいだろうとは思うんですけどね。まぁ、次は、本当に難しいけれど、その先へ進める指導力のある指揮者を上手く得られて、アルミンク並に仕事をして貰えれば、本当の意味で世界クラスの日本のオーケストラが出来るかも知れないな、などと思うのであります。
 でもなぁ、有名な人は金掛かるしなぁ.....








お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2008年07月03日 00時38分01秒
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: