2012年11月20日
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カテゴリ: アニメ [映画、TV]

- アニメ映画レビュー -

​旧シリーズでは不可能だった
現代社会に切り込む真の 『シン意』 とは・・・​

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q

前作『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』より、実に3年ぶりの新作登場です
今回は 緊急レポートとしまして、私が鑑賞した所論を述べる急遽更新となります



ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q
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△▼△▼△

さて、劇場には若者に混じって 初老の方々の姿もチラホラ確認出来
改めてファン層の広さを実感しました
監督自身50の初老ですので、当然といえば当然でしょうか

売店には
ネルフ本部のエレベータをイメージした万年カレンダーなどのグッズが目を引き
思わず購入しようかと思いましたが

又ガラクタを買って来たのかとの謗りを家族に受けるのは必至でしたので
その衝動は押し留めましたw


さて、作品が どんな感じだったかと申しますと

前作 『 新劇場版:破 』 からの続きとしては 余りの 様変わり に
鑑賞して間もなく 見知らぬ別世界に放り出された感覚に襲われます

TV版のリニューアルだった前2作に対して、完全新作の本作は
正に 前2作を知る観客を 特に旧作をよく知るファンを

突き放すようなオープニングに衝撃を受けたままの90分余りだと言えるでしょう


ストーリはここでは一切触れませんので 御鑑賞予定の方も以下ご参考下さい


本作は前作のラスト 『サードインパクト』 その後を描いたものですが

キャラクター達の これまで作品の中で 見た事の無い空気感 と
あまりの観る者への 突き放し方 に
観客は気持ちの落ち着く場の無い鑑賞を強いられます

そして居心地の良くない鑑賞の中で 唯一気の置けない場所となったのは
『 渚カヲル 』 が登場する場面でした

それはまるで主人公シンジの境遇を観客が追体験する様な
安堵感に満ちたシーンとなっている様な印象がありました。

これは
制作者の 確信犯的 な演出の一環の様に感じられましたが

旧作を知る観客にとっては 怪物 の様に感じていた 渚カヲル の存在を
シンジが心を許す 友 として見える様に描く事は

旧作を完膚無きまでに壊した造りとなった本作の
一つの 鍵 だったとも捉えられるものがありました。


■
庵野監督が 『 アノ 』 様な世界を 突然押し付ける様に提示し
この先の展開を知る由もない見た事もない物語の中へ観客を放り出したのは


一つは、意図しない流れを突き付けられた観客が
5感を削がれた様な状態 になり

何を拠り所にすれば良いのか分からず混乱した後に
唯一 旧作と同じ立ち位置の 渚カヲル が現れた時に感じる

碇シンジが渚カヲルに感じる様な 安堵感 を得られる境地に
観客を意図的に導く狙いがあった為と思わせるものがありました。


この様な意図で放り出された観客が 渚カヲルとの一連のやり取りを
フックとして繋ぎ止める クサビ の様に感じる様に導くには

ともすれば、作品の主役が助演に移りかねない状況になる可能性という
危ない橋を渡る様な アクロバティックながらも精密な計算を伴う演出が必須であり

加えて、主役の境遇に観客がリンクする様にリードする
稀有な脚本力があって 初めて実現する事でしたが

そのどちら備わった 庵野作品あっての
本作の狙いへと繋がった様に感じられました


なぜ今回この様な内容になったのかですが

それはこれまで描かれてきた
「君と僕のセカイが直結」した「自分の大事がセカイの大事」となる
いわゆる「セカイ系」のアニメの代名詞として語られてきたエヴァが

前作で綾波レイを個人的に救う事を選んでサードインパクトを引き起こし
世界を巻き込んだシンジに受難を与える展開を取り

旧劇場版では「アニメファン」「オタク系」を否定した庵野秀明が
今回は 「セカイ系」 を根底から 否定 する意図からの

急展開が狙いだと言えます

同時に 渚カヲル の様な心休まる存在として頼る
シンジの精神的危うさを体現させた後「アノ」顛末に至る事で


これまでジャパニメーションが当たり前の様に描いてきた
「主人公がヒロインを救うために周りが巻き込まれる」

その展開を推挙する事を否定して
同時に 個人的な思惑で周りを巻き込む事の

「それは許されるのか」という

「大勢の大事が個人に直結」する 日本の社会 に向けての
問い掛けを行う事が目的だったと思われます


しかしそれはまるで これまで
日本の特撮映画のオマージュを作家性として作品作りを続けて

今後もそんな形で作品作りをする事に対して
「それは許されるのか」という

あたかも作家庵野秀明自身が自身の 「作家性の否定」 という
極めて個人的な思惑で作られた様な印象があり

それが今回の、突き放した様な作風の追い詰められた焦燥感の理由だと
言えるものがありました

■
あと シリーズ全てについて言える事として
エヴァンゲリオンという作品が持つ独特の息苦しい 閉鎖感 ですが

それは一切の市民描写が無い所にひとつの理由があるとしても
本作では その度が外れた扱いに

もはや主役達だけによる舞台劇の様相が色濃くなったという
『 夢の遊眠社 』 による 野田秀樹 の戯曲でも見ているかの様な

シェークスピア悲劇の様相を持った鑑賞感すら起こるものがあり

テレビシリーズ版最終回を見ても分かる様に
元々演劇性の強い演出を好む庵野作品ではありますが

それがエヴァンゲリオン特有の 社会から隔絶 された所で描かれる
社会とは異なる価値観で描かれてきた作品ならではの

「セカイ系の世界観」 と言えるものがありました


それが今回の様な 攻撃的な程に観客を突き放した様な内容になったのは

渚カヲルの様な存在に頼る碇シンジを突き放し
誰にも歓迎されない社会で孤立させる

それを観客も同じ様に追体験するという

思うに庵野監督は、97年の劇場公開時では不可能であった
万人が一つのものを共有する事が可能となった現在のネットの発達により

スマホなどのモバイル端末によって
手のひらサイズで全世界一斉共有を実現を可能にした

共有する感覚 というものが誰でも当たり前の様に身に付いた
ネット社会となった現代において

もしこのモバイル端末を失いネットから閉め出されて
今やっている事の全てが一切何も立ち行かなくなった時
一体何を拠り所にするのか、 といった様な

誰もが「5感を削がれる様な感覚」 を
理解出来る時代になった事により

初めて 5感を削がれる感覚 の 鍵 が手に入り

閉鎖感をもたらす世界観を 単なる設定としてでは無く
その「鍵」によって 強烈な閉鎖感を演出で再現したという

実存感を持って物語に組み込んだ事が狙いだったと
思われるものがありました。

それは 作家 庵野秀明の 創作上の苦境を
追体験する旅 の様でもあると 言うことだったのかもしれません


■
エヴァ誕生10周年として始まった映画プロジェクトは
3作共に話題作となり記録的大ヒットを続けておりますが

なぜ エヴァンゲリヲン を 又映画でやらなければならないのか
真意 が掴めないでいましたが

一つは旧劇場版での「アニメファン」との「セカイ系」的繋がりの否定から

ネット社会となり人との関わり合いが大きく変化した現代に
アニメやSNSを含めた「ネットユーザー」との「ネット社会」的繋がりの否定という

21世紀の社会となっても「人と社会との関わり」を問い続ける
庵野秀明にとってのライフワークとしての取り組みだという

印象を受けるものがありました


エヴァンゲリヲンのテーマは、 作品の内容が大きく変わった新劇場版においても
『 人と人とのコミニュケーション 』 である事は 変わり無く続いており

本作が持つ 庵野秀明作品特有の 閉鎖感と焦燥感による 「息苦しさ」 が

人が人としての繋がり に感じられるのでは 無く
人との共有された人では無い何か によって感じられる 事が

ネット社会が発達した現在にして ようやく表現出来た、
そんな作品になっている様に思った 鑑賞後感でした



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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破
EVANGELION:2.22
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▼△▼△ 旧劇場版記事 ▼△▼△




改めて 『旧映画シリーズ』 の 『あの』 ラストの 『真意』 を探る


『 Air/まごころを君に 』

記事はこちらから>>


多数の 『定説』 が、必ずしも 『真意』 とは限らない・・・



▼△▼△ オススメ アニメ記事 ▼△▼△

まるで「尾道3部作」
『 劇場版 涼宮ハルヒの消失 』

記事はこちらから>>


もはや『実写神話』は
本作によって崩壊したと言っても過言ではない・・・







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最終更新日  2022年09月27日 08時02分50秒
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