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今日は、また「庭を漂う微小な羽虫」である。 一ヶ月程前のことになるが、ヒトスジシマカに膝小僧の辺りを刺されたので、ズボンをたくし上げてキンカンを塗っていたら、小さな羽虫が1匹その周りをフワフワと飛び回っていた。今まで見た羽虫とは何となく雰囲気が違うので、早速左手で掬い取った。 掌を少しだけ開いて見てみると、何かブユの様な虫、しかし、ブユ(ブヨ、ブト)よりも小さい。まだ、元気そうなので、逃げられない様にコールド・スプレーを吹きかけて、大人しくさせた。 気絶した(瀕死の)虫を紙の上に移して写真を撮る。コールド・スプレーのショックで産卵してしまった様である。死に際に産卵する現象は、ハエや蛾でも良く見られる。ヌカカ科の1種.恐らくForcipomyia(和名なし)属の1種コールド・スプレーのショックで産卵してしまったピクセル等倍(以下同じ)(2009/08/04) さて、この虫、何者か。一見、ブユの様だが体長は約1.7mm。ブユは普通2~4mm位で、もっと大きい。決定的な違いは触角の長さである。ブユの触角は短く頭幅以下。ブユに似てもっと小さく(多くは体長2mm以下)、触角が数珠状で長いのはヌカカである。 しかし、ヌカカと言うのは川筋や湿地に発生する虫だと思っていたので、こんな都会の住宅地でお目に掛かるとは一寸した驚きであった。翅脈が一番良く見える写真.翅は毛に覆われている様に見える触角は数珠状で、先端近くの節は基部寄りの節よりも長い(2009/08/04) ヌカカ科は九州大学日本産昆虫目録に拠ると224種、北隆館の圖鑑には20種が載っているが亜科や属への検索表はない。検索に拠らない単なる絵合わせは、特に双翅目の場合非常に危険なので、例によって双翅目のBBS「一寸のハエにも五分の大和魂」に御伺いを立ててみた。 やがてこのBBSの主催者であるハエ男氏から御回答を得た。「ヌカカの画像による同定は極めて厳しいです(たぶんヌカカ屋さんはここのBBSに出入りしてないと思います)」。やはり予想通りであった。 ヌカカやカ等の人吸血性昆虫を多く含むグループやその他の衛生昆虫の研究は、一般に昆虫学教室(農学部)ではなく感染症に関する研究組織(医学系)で行われている。例えば、2年ほど前に他界された感染症の大御所、東大医学部名誉教授(富山医科薬科大学名誉教授、富山国際大学名誉教授、その他色々)の故佐々学先生(私はこれまでにその謦咳に接したこともなければお教えを受けたこともないが、佐々先生の感染症に関する本を相当数読んで感銘を受けているし、また、極く親しい友人が東大で佐々先生の講義を受けたりしているので、常々僭越ながら先生とお呼びしている)は、カ科やユスリカ科の分類に関しても第一人者(先駆けと言うべきか)であった。 「一寸のハエにも五分の大和魂」に参加されている方々は昆虫学系や虫屋さんが殆どの様である。やはりヌカカは駄目かと思っていたところ、九大名誉教授の三枝豊平先生が助け船を出して下さった。腹側から見るとこんな感じ(2009/08/04) 先生の御話では、「写真のヌカカは恐らくForcipomyia[和名なし]属の1種でしょう」とのこと。吸血性でよく知られているCulicoides(和名なし)属などは、どちらかと言えば自然が豊かなところに生息するのが普通であるのに対し、Forcipomyia属は先生の仕事場のベランダに置いてある藻類や有機物の入った水槽などでもしばしば発生するそうである。また、「ヌカカの幼虫は淡水(止水,流水を問わず)や湿地のほかに,草や木の葉などが堆積して腐敗したような所でもチョウバエなどともに発生します」との御話。我が家の庭で発生しても別に不思議ではないと言える。 更に、写真のヌカカは北隆館の圖鑑に載っているモンヌカカ(Forcipomyia metatarsis)に一見似ているとの御指摘も受けた。モンヌカカは、体毛が密生し、翅全体がやや黒ずみ前縁中央に黄白色斑があることや、触角の大凡の形状、平均棍の大きさや色等では良く似ているのだが、圖鑑の記述では体長2.5~2.7mmとあるのに対し、写真のヌカカは1.7mmでその2/3しかない。双翅目昆虫の成虫の体長は、幼虫時の栄養摂取の違いでかなりの差が出るのが普通だが、やや差が大き過ぎる気もする。 また、九大目録で224種のに対し圖鑑では僅か20種、検索表で辿り着いたのではないので近縁の酷似種が居る可能性もある。其処で、此処では「一見モンヌカカ(Forcipomyia metatarsis)に似るが小さい」としておくことにする。全体的に毛深い.口器が良く見える(2009/08/04) ヌカカは漢字で糠蚊と書く。糠粒の様に小さい蚊と言う意味であろう。小さいので網戸を容易にくぐり抜け、これに刺されると、その時は何ともないが、かなり時間が経ってから酷い痒みと腫れを生じ、完治に1週間以上かかることも屡々ある。北海道開拓初期の記録を読むと、知床半島などでは、肌を出すと忽ちの内にビッシリとヌカカに被われ、まるで糠味噌を掻き回した後の手の様になったそうである。しかし、北方の吸血昆虫と言う訳ではなく、熱帯に産するものも多い。九大目録の224種の内、北海道に産するのは僅か20種である。 また、人や恒温動物に対して吸血性の種類ばかりでなく、カエルや昆虫の体液を吸ったりする種類も多く、更に、小昆虫を補食するもの、花蜜を摂るものなど、成虫の食物スペクトルは広い。ただし、これは蚊と同じで雌だけの習性だそうである。 ところで、Forcipomyia属は、九大目録に拠れば日本に61種も記録があり、また、その多くは非吸血性である。この写真のヌカカが人吸血性か否かは分からないが、この辺り(東京都世田谷区西部)でヌカカ的な痒みを感じたことはない(北海道に居た頃は野山で屡々刺された)ので、恐らく非吸血性であろう。写真のヌカカに一見似ているモンヌカカに関しては、北隆館の圖鑑ではその食性について何も触れていない。
2009.09.09
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かなり以前から、庭を漂う微小な羽虫類が気になっている。一見したところでは、埃と大した差がない様な連中で、虫に興味のない方の目には映ることも無いと思われる存在である。この類の羽虫、完全な空中静止は殆どしないが、何かあるとかなりの速度で飛んで逃げるので、浮遊中は何らかの作戦行動を執っているものと思われる。飛んでいるときの直径は2~3mm、色は様々で、虫の正体としてはアブラムシの有翅虫、アザミウマ、コナジラミ、小型の蚊やハエ、微小な寄生蜂等が考えられる。しかし、全く意外な虫が浮遊している可能性もある。 以前掲載した「ショウジョウバエの1種」等もこの仲間に入る。これは完全な空中静止をするので何とか撮影できたが、その他の羽虫は、空中静止はせずに少しずつ動き、しかも此方が近づけばその分だけ遠のくので、どうしても撮影することが出来ない。そこで、飛翔中の写真は諦め、捕まえて正体だけでも確認することにした。 先ず最初に捕まえた虫が下の写真。意外にもチャタテムシの1種であった。片手で握る様にして捕まえたので、掌を閉じるときに指の関節内側で挟まれてしまい、既に御臨終であった。手で捕まえたチャタテムシ.指の関節に挟まれて御臨終(2009/07/04) 体長1.5mm、翅端まで2.3mmと相当に小さい。私の手の指は成年男子としては平均的な大きさなので、上の様な写真を載せれば、虫の小ささが実感出来るであろう。飛んでいるときの直径は2.5mm位、オボロな輪郭を持つ茶色の玉の様であった。上の部分拡大.前翅と後翅がずれており翅脈が見やすい後翅のR脈とM脈は1横脈で結合しているのが分かる(2009/07/04) 下の写真はやはり手で捕まえたチャタテムシである。最初の写真と同一種と思われる。御臨終とはなっていない様だが、触角の片側が折れている。やはり、手で捕まえるのはダメで、捕虫網を使う必要があることを実感した。 さて、このチャタテムシ、何科のチャタテムシであろうか。一見して、以前紹介した月桂樹の葉裏に居たチャタテムシとよく似ている。月桂樹の葉裏は吸汁性昆虫の排泄物等で汚れていて、翅脈相が良く分からなかったが、今回は下地や周囲が綺麗だから、翅脈がハッキリと見える。これならば、何とか科まで落ちるかも知れない。別の個体.月桂樹の葉裏にいたチャタテムシとよく似ている(2009/07/04) しかし、チャタテムシ目の検索は、何れの検索表でも先ず触角の節数から始まる。その後も顕微鏡で見なければ分からない様な微小な構造の差異が問題となるので、幾ら翅脈が良く見えていても、等倍接写程度の写真では検索表を冒頭から引くことは出来ない。 其処で便法を使うことになる。先ず、写真のチャタテムシの前翅翅脈をよ~く見て、北隆館の圖鑑に載っているチャタテムシに同じ様な翅脈相を持つ種が無いかを調べる。・・・有った。マドチャタテ科のヒメマドチャタテとウスイロチャタテ科のクリイロチャタテが同じ様な前翅翅脈を持つ。後者の解説を読むと、クリイロチャタテは後翅の径(R)脈が中(M)脈と1横脈で結合していることでヒメマドチャタテと区別出来る、とある。ヒメマドチャタテでは径脈と中脈は直接接している。 2番目の写真を見ると、写真の虫では明らかに径脈と中脈は1横脈で結合している。この違いが科の違いなのかは分からないが、どうもこの虫はウスイロチャタテ科に属すらしい(ウスイロチャタテ科は以前はマドチャタテ科に含まれていた)。横から(2009/07/04) 実は、チャタテムシに関しては「日本産チャタテムシ目の目録と検索表」と言う文献がInternetで入手出来る。珍しく日本語の文献である。しかし、残念ながらこの検索表では、最初の方で「爪の先端近くに歯を持つ」と言う顕微鏡的な特徴の有無により、マドチャタテ科の属す系列とウスイロチャタテ科の属す系列の2つに分かれてしまうので、この両者を直接比較することが出来ない。 そこで外国のサイトでチャタテムシ目の写真を調べてみる。・・・すると、写真のチャタテムシに翅脈相や外観が似ているのはやはりウスイロチャタテ科以外にはない。かなりいい加減だが、以下は、写真のチャタテムシはウスイロチャタテ科に属す、と言うことで話を進める。前から.やはり漫画的な顔(2009/07/04) 前述のチャタテムシの文献を見ると、ウスイロチャタテ科にはEctopsocopsis属とEctopsocus属の2属しかない。しかも前者はクリイロチャタテ(E. cryptomeriae)1種だけである。この種は翅が赤紫色で、明らかに写真のチャタテムシとは異なる。従って、写真の虫はEctopsocus属に所属すると考えられる。そこで、次は検索表内のEctopsocus属を辿ることと相成る。しかし、此処でもやはり顕微鏡的な特徴の有無が問題となり、此処に載せた写真からの判断は困難である。 外国のサイトを見る限りEctopsocus briggsiと言うのが非常によく似ている。殆ど瓜二つと言う感じがする。東京都本土部昆虫目録を見てみると、この種は皇居で記録があるから、この辺りに居てもおかしくはない。しかし、外見が似ているからと言うだけで種を決めるのは些か無謀に過ぎる。Ectopsocus属は、九大の目録では4種だが、先の文献(此方の方が新しい)には未記載種を含めて8種が載っている。外見のソックリな種が他に居てもおかしくはないのである。 そこで此処では、Ectopsocus属の1種とした。本当は、ウスイロチャタテ科と言うのも余り確証が無いのだが・・・。オマケにもう1枚、斜めから(2009/07/04) それにしても、チャタテムシが空中を浮遊するとは知らなかった。「庭を漂う微小な羽虫」、これは思ったよりも面白そうである。
2009.07.14
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今日は余り可愛くない虫を紹介する。読者に嫌われるかも知れないが、このオナガウジの成虫であるハナアブ類は何回も掲載しているし、その解説の中でこのオナガウジについて頻繁に触れているので、一度写真を掲載する必要があると思ったからである。オナガウジ.ハナアブ類の幼虫だが、成虫が何かは分からない。尾っぽは呼吸管(2008/05/12) オナガウジは汚水に棲息する。我が家の庭には汚水など普段は有る訳ないのだが、私の不在中に誰も蹲踞(つくばい)の水を換えなかったので、水が腐りオナガウジが発生した。呼吸管の長さは可変。一番長いときは、この写真よりももっと長くなる(2008/05/13) 胴体の長さ15mm程度、尾っぽは呼吸管で、長さは可変。どの位変化するか良く分からないが、縮むと胴体と同じ位、伸びると胴体の8倍位にもなる。呼吸管を縮めた状態.緑褐色の太い管は消化管であろう(2008/05/13) 暗い日陰なのでストロボを焚いている。ストロボで撮ると器官の一部が妙に白く光ってネオン管の様に写るが、肉眼では全体として灰色っぽいボヤ~とした色である。 この白く光っているのは、気管系であろう。中に空気が入っているから光るのだと思う。呼吸管は後気門で、前方には前気門がある。右下の丸い部分は口だと思われる(2008/05/12) オナガウジは腐敗した動植物を餌とする、とされている。時々、数匹が団子の様に固まっていることがある。昆虫か何か水に落ちて死んだ後腐敗し、それに集っているのかも知れない。 頭を下にして壁面にくっ付き、ジッとしていることも多い。屹度、御休み中なのであろう。蹲踞の浅い部分で摂食中のオナガウジ.ストロボで気管?が光って見える.(2008/05/13) このオナガウジが一体どんなハナアブになるのか、気になるところである。1週間程飼育してみたが、餌が欠乏して痩せ細ってしまったので、元の蹲踞に戻してやった。食事中のオナガウジ.苔様のものを食べているのか、それとも、その中に棲む原生動物を食べているのか・・・(2008/05/13) ハナアブ類はヒラタアブ類と同じハナアブ科に属し、囲蛹を作る。囲蛹は幼虫の表皮が固まったものなので、囲蛹にもシッポがある。シッポ付きの囲蛹と成虫も出来れば紹介したいものである。
2008.05.21
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今日は、またハナアブの1種を掲載しようと思って原稿を書いていた。しかし、よく考えてみると、それではハナアブ科が3回も続いてしまうことになる。其処で、急遽主人公をハエトリグモに変更することにした。 当Weblogの表題は「我が家の庭の生き物たち」である。従って、家の中に居る生き物はその対象にならない。しかし、こうネタが少なくなってくると、(私自身を除いた)家の中の生き物も紹介しないと間が持たなくなって来る。ブルーベリーの葉上で大人しくしているアダンソンハエトリの雌最初は台所の流しのゴミ受け付近で溺れかけていた(写真クリックで拡大表示)(2010/11/02) このハエトリグモ、台所の流しにあるゴミ受け網の辺りでウロウロしていたのを見つけた。幸い、洗剤を使っていなかったので窒息死することはなかったが(洗剤=界面活性剤の入った水が体に付くと、水が気管や書肺の中に入り込んで虫やクモは窒息死する)、かなり弱っていた。 屋内で生活するアダンソンハエトリだと思って手で掬って良く見ると、頭胸部や腹部にあるはずの白い半月形の紋が無い。全体の色も黒ではなく茶色である。一体、何ハエトリ? 庭に居るクモや虫が服に付いて部屋の中に入ってくることは良くあることである。取り敢えず、陽の当たる、ベランダからの入り口に置いてある足拭きマットの上に逃がしてやった。真横から撮ったアダンソンハエトリの雌一番良く見えるのは後側眼(写真クリックで拡大表示)(2010/11/02) 良く見てみると、腹背に2本の筋がある。これは、本来屋内に生息していたが、最近はアダンソンに負けて屋外生活を強いられているミスジハエトリではないのか? 暫くすると、大分元気になってきた。其処で、ブルーベリーの葉に載せて写真を撮った。ハエトリグモの魅力は何と言っても双眼鏡の様な前中眼屋内に生息するせいか、他のハエトリグモよりも大きい(写真クリックで拡大表示)(2010/11/02) しかし、写真をコムピュータで拡大してみると、ミスジハエトリではない。ミスジハエトリの腹部の紋は一直線で他に紋はないが、このハエトリの紋はかなり曲がっているし、腹部にかなり細い縦筋が沢山ある。これ一体何者?? 調べてみると、直ぐに分かった。何てことはない、アダンソンハエトリ(Hasarius adansoni)の雌であった。アダンソンハエトリは屋内生活者、即ち、「家の中」の生き物である。同じ様な写真をもう1枚(写真クリックで拡大表示)(2010/11/02) しかし、我が家の屋内で見るアダンソンは黒地に白い筋のある個体(雄)ばかりである。かなり小さい個体でも模様は同じ。ヒョッとして幼体は雄に似ているのかと思って調べてみたが、そんなことはない。幼体は雌に近い配色をしている(かつて掲載していた)。 かなり以前から眼が悪くなっている(比較の問題で老眼ではあるが視力1.5はある.昔は2.0をかなり上回る時もあった)ので、今まで気が付かなかったとしか思えない。ヤレヤレと落ち込むこと暫し。斜め前方から撮るのを忘れてしまった.斜め上からで御勘弁を(写真クリックで拡大表示)(2010/11/02) ・・・と云う訳で、今回は「家の中」に居たアダンソンを無理矢理庭に出して撮影したことになってしまった。1種の「ヤラセ」だが、アダンソンは暖かい時期には屋外でも普通に見られるので、そう気にする必要もないかも知れない。 家の中には、庭に居るのとは別の虫達が居る。我が家の中は常に乾燥させているので虫は多くないが、多少は居る。その多くは「害虫」である。このアダンソンハエトリの雌を機会に、今後は家の中の「害虫」も紹介して行こうと思う(「ゴキ」は居ないので御安心を!!)。
2010.11.08
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さて、今日はトベラの葉裏で成長中のチャタテムシ幼虫[羽化するまで観察しヨツモンホソチャタテ(Graphopsocus cruciatus)であることが判明した]のその後を紹介する。3齢と4齢幼虫である。前回の2齢から1ヶ月近く経っているが、今日紹介する集団は前回のとは別の葉に居たもので、2齢に非常に時間がかかったと云うよりは、同一の卵塊からかなり遅れて孵化した連中らしい。 糸を張り巡らした共通の「巣」の中に、3齢幼虫2頭と4齢幼虫3頭の合計5頭が一緒に居た。トベラの葉裏で成長中のチャタテムシ(種不明)の幼虫左から4齢、3齢×2、4齢×2の合計5頭(写真クリックで拡大表示)(2010/04/10) 「巣」には、御覧の通り、チャタテムシの糞が無数と言っても良い程沢山絡んでいて、かなりバッチイ感じ。こう沢山あると、写真を撮るのにかなり邪魔になるが、チャタテムシの餌であるカビを生やすにはこの方が良いのかも知れない。3齢幼虫.翅の原基が後上方を向いた透明な突起として認められる(写真クリックでピクセル等倍)(2010/04/10) チャタテムシの幼虫に関しては今まで何らの情報もなかった。しかし、先日、英国の古本屋から「Handbooks for the Identification of British Insects」の一冊である「Psocoptera(噛虫目:チャタテムシ目)」を入手したので、少しは知識が増えた。 それに拠ると、長翅型のチャタテムシの多くは幼虫期が6齢まであり、翅の原基は3齢から6齢に至る間に次第に大きくなる、とのこと。 2齢幼虫では、翅の原基(胸部にある4つの茶色の部分)が少し起き上がった様にも見えたが、これは気のせいらしい。一方、3齢では明らかに後上方を向いた透明な突起として認められる(上)。これが、4齢ではもっと長い棘状の構造になっている(下)。4齢幼虫.翅の原基は長い棘状の突起に成長している(写真クリックでピクセル等倍)(2010/04/10) ところが、体長を計ると、何故か3齢も4齢も同じで1.5mm。2齢は0.9mmであったから、かなり成長していると言えるが、3齢と4齢で同じなのは何とも奇妙である。恐らく、3齢は4齢への脱皮直前で、4齢は脱皮直後なのであろう。 しかし、良く見ると眼の間隔と云うか頭部の幅は明らかに3齢と4齢で異なる。左右の複眼の最外側間を測定すると3齢では0.42mmであるのに対し、4齢では0.47mmである。眼の間隔は脱皮後基本的に変化しないが、体長は増加するものと思われる。両側が3齢、中央は4齢.体長は同じだが、眼の幅は異なる腹が黒っぽいのは食べた餌の影(写真クリックでピクセル等倍)(2010/04/10) 今日の写真も拡大すると何れもピクセル等倍となる。かなり酷い写真だが、実は、虫体全体にシッカリ焦点の合った写真は1枚もないと言ってよい。画像処理で誤魔化しているのである。100枚以上撮ったが、満足のいく写真は遂に撮れなかった。 これは、チャタテムシの居る場所が目の高さよりやや高い位置にあり、カメラを向けるとフラフラして姿勢が安定せず、写真が非常に撮り難いからである。少し下向きの姿勢で撮ればかなり楽なのだが、この幼虫は今後も観察しなければならないので葉っぱを切り取って安定した環境で撮影する訳にも行かない。全く困ったものである。左1頭が3齢(前の写真の右端)、他は4齢(写真クリックでピクセル等倍)(2010/04/10) この写真を撮った時点では、この5頭の他に、別の葉にもう1頭の合計6頭が居た。しかし今日調べたところ、もうこの集団は既に散開しており、別々の葉に5齢が1頭ずつ合計2頭が居るだけとなってしまった。回りの葉を調べてみたが、成長した幼虫は他には居なかった。 その代わり、全然別の場所に、極く若齢の集団と、まだ孵化していない卵塊を見つけた。恐らく同じ種類と思われる。こうなると、1回は失敗しても良いから飼育するのも一案である。長期間の飼育は葉が枯れかかった場合にどうなるか見当が付かないが、5齢から成虫までの期間ならば何とかなるかも知れない。この5齢の2頭を飼育箱に入れてしまうか、現在思案中である。[追記]この幼虫は無事成虫にまで成長し、ホソチャタテ科(Stenopsocidae)のヨツモンホソチャタテ(Graphopsocus cruciatus)の幼虫であることが判明した。表題や本文中にある[]の中は判明後に追加訂正したものである。以下に、これ以前と以降のヨツモンホソチャタテ幼虫の成長記録一覧を示しておく。 内 容 掲 載 日 撮 影 日 卵と初齢幼虫 2010/03/13 2010/02/25,03/12 2齢幼虫 2010/03/23 2010/03/22 5齢幼虫 2010/04/25 2010/04/18,20 6齢幼虫 2010/04/29 2010/04/20 成 虫 2010/05/11 2010/04/20,24
2010.04.19
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今日は「庭を漂う微小な羽虫」の第4回目である。 前回(3回目)は、ケシキスイ科デオケシキスイ亜科の虫をハネカクシと間違えたりしたが、今回は本物のハネカクシである。体長は1.7mm、等倍接写としては限界的な大きさで、今日の写真は何れもピクセル等倍である。当然、画質が悪いが、何卒御勘弁頂きたい。空中を浮遊していたハネカクシの1種.体長1.7mm背景の桃色のは私の掌.ピクセル等倍(以下同じ)(2009/09/01) 肉眼で見た感じは、第1回目のチャタテムシに似ており、直径2mm位の霞んだ玉の様に見えた。これもまた、左手で掬って捕まえた。やはり手で直接捕まえるのは虫体を傷つける様で、触角の片側が無くなっている。しかし、この程度に小さい虫を、径36cmの汚れたネットで採ると、大きな網の中の何処に虫が居るのか分からなくなり、ボヤボヤしている間に逃げられてしまうことが多い。それで、ついつい手で掬ってしまうのである。 触角は片一方になってしまったが、まだチャンと生きていて、逃げ出しそうな雰囲気であった。そこでコールド・スプレーを掛けたのだが、やや掛け過ぎだったらしく、始めは動いていたが、やがて動かなくなってしまった。どうもコールド・スプレーの使い方がまだ分かっていない様である。虫君には気の毒なことをしてしまった。腹側にも点刻がある.腹部には毛が多い(2009/09/01) 始めは左手にくっ付いたままのを撮ったのだが、まだ早朝で頭がシッカリしていないせいか、中々焦点が合わない。年を取ると、こうだから困る。そこで、白い紙を持って来てその上に虫を置いて撮影した。左手が空けば、テーブルの上にその肘を乗せてカメラを固定出来るので、焦点合わせがずっと楽になる。背側から見たハネカクシの1種.如何にもハネカクシらしい形小さな鞘翅(前翅)の中に後翅が畳まれている(2009/09/01) ハネカクシ科は鞘翅目(甲虫)に属すが、腹部の大半が鞘翅からはみ出していているし、細長いし、余り甲虫とは思えない変な虫である。大きさは1.0mm~20mmとかなりの幅があり、九州大学の日本産昆虫目録では1023種、しかし、実際にはその2倍近くが棲息しているらしい。 保育社の甲虫図鑑には、その内の363種が載っている。図鑑の性質上、余り小さい虫は載って居らず、2mmに満たない種類はほんの数種だけである。その中ではチビニセユミセミゾハネカクシ(Carpelimus exiguus、体長1.5~1.8mm)が一番似ているが、斑紋も無く特徴に乏しいので、そうだと決めつけることは出来ない。亜科への検索表も手元に無いので、此処では単に「ハネカクシの1種」としておく。横から見るとかなり反り返っている(2009/09/01) 楽天ブログでは、一つの記事に複数のカテゴリーを指定することが出来ない(ココログやウェブリブログでは可能)のは困ったものである。当Weblogは昆虫の分類学的なグループ名をカテゴリーとしているので、「庭を漂う微小な羽虫」などと言うカテゴリーは作れない。其処で、以下の様な索引を付けておくことにした。 「庭を漂う微小な羽虫」の記事索引: 1.ウスイロチャタテ科の1種(Ectopsocus sp.)?:チャタテムシ科 2.ヒラタアブラムシ亜科の1種(有翅形) :アブラムシ科 3.デオケシキスイ亜科の1種 :ケシキスイ科
2009.09.02
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今日はまた人気のないアブラムシを紹介する。ワタアブラムシ、極めて広食性で、しかも世界中に分布する、農業・園芸の害虫として最も悪名の高いアブラムシの一つである。我が家では毎年、春~初夏と秋の2回、フヨウの葉裏に発生する。昔、ムクゲの木があった頃は、その新梢が真っ黒になる位に集っていて、これが原因でムクゲという植物が嫌いになった程である。フヨウの葉裏に集るワタアブラムシの幼虫一昨日撮った写真(2008/11/13) 今、丁度ワタムシ(雪虫)の季節である。しかし、このワタアブラムシの名前は、寄生植物である植物のワタ(アオイ科ワタ属)から付けられたのであって、体に綿状の衣を纏うワタムシ(主にタマワタムシ亜科の有翅形)とは全く無関係である。 なお、以前紹介したエノキワタアブラムシは、ワタムシ同様、有翅形が綿状の衣を纏うので「ワタ」の名が付いているが、これはタマワタムシ亜科ではなく、マダラアブラムシ亜科に属し、寄主転換も行わない。アブラムシの名前も結構紛らわしい。無翅胎生雌の終齢幼虫(右)と成虫(左).角状管から、前者は黄色後者は黒っぽい液体を出している.体長は何れも1.5mm前後7月にテレプラスを使って撮った超接写写真(以下2枚も同じ)(2008/07/01) ワタアブラムシは、アブラムシ科アブラムシ亜科に属し、図鑑に拠れば、温帯では完全生活環(春~秋は単為生殖で増殖し、晩秋に有性世代が出て交尾、産卵する)を持つアブラムシとして代表的な存在だそうである。ワタやムクゲなどに冬寄生(晩秋~初夏)し、夏(真夏~秋)は多岐に亘る植物(主に草本)に寄生する。図鑑に拠れば、暖かい地方では、有性世代を生じないで、単性世代のまま越冬する(これを不完全生活環と言う)個体群もあるとのこと。終齢幼虫の拡大(2008/07/01) このアブラムシ、体色の変化が著しい。我が家に居る無翅成虫は黒と緑の斑だが、図鑑を見ると、黄、橙黄、緑、濃緑、殆ど黒などの個体もある。また、幼虫は別の色をしており、我が家に居る終齢幼虫は暗青灰色に白い粉を吹いた様な色をしている。無翅胎生雌成虫.角状管から出ているのは警戒フェロモンか?(2008/07/01) 多くのアブラムシでは寄生する植物が決まっている。しかし、このワタアブラムシは実に多くの植物(作物ならば、ワタ、タバコ、キウリ、カボチャ、サトイモ、ジャガイモ、ナス、ミツバ・・・、図鑑に小さい字で約2/3ページ分載っている)に寄生する。しかも、その色が様々なので、かつては別々の種類と見なされ、個々に固有の名前が付けられていた。シノニム(synonym:同じ種に付いていた別の学名)が41もあると言うからかなりのものである。 我国では、ムクゲアブラムシ、イモアブラムシ、イヌゴマアブラムシ、ビンボウカズラアブラムシその他の和名があり、それぞれに異なった学名が付いていた。このアブラムシの被害が、どれだけ広い範囲に及んでいるか御分かり頂けるであろう。因みに、北アメリカではメロンアブラムシ(melon aphid)と呼ばれているそうである。葉脈を歩く終齢幼虫(産卵雌の幼虫?)(2008/11/13) 大きさを書かなかったが、このワタアブラムシ、アブラムシとしては小さめである。無翅成虫の体長は1.5~1.7mm、有翅虫はこれより更に小さい。先日紹介したイバラヒゲナガアブラムシの1/2位である。図鑑に拠れば、春に出現するものは、これらよりもかなり大きいとのこと。それでも、アブラムシとしては小さい方に属す。 今日掲載した写真の内、2~4番目の3枚は、テレプラスを使って約2倍の倍率で撮影してある。その他は、普通の等倍接写なので、この3枚以外がやや見劣りするのはやむを得ない。 緑と黒の斑模様をしているのが無翅成虫である。角状管から何か液体が出ているのが見える。角状管はワックスやフェロモンを出す器官とされているので、警戒フェロモンを放出中なのかも知れない。くっ付いている葉っぱを散々に動かされたり、ストロボの光を浴びたりして、屹度アブラムシもビックリしているのであろう。背中にダニを付けた終齢幼虫.ダニの体長約0.13mm!!(2008/11/13) その小さいアブラムシの背中にずっと小さな黄色いものが乗っている(上の写真)。良く見てみるとダニの形をしている。此処には掲載していない隣接するコマを調べてみると、この黄色い「物体」はアブラムシの背中の上を少しずつ移動している。明らかに生き物であり、ダニであることは間違いないと思われる。 ダニの体長は約0.13mm。こんなに小さなダニは見たことがない。寄生性のダニには随分小さいのも居るものである。認識を新たにした。ワタアブラムシの有翅形.腹部に多少の模様があるが良く見えない(2008/11/13) このアブラムシ、普通はかなり密度の高い集団を形成するが、今はもう晩秋のせいか、最初の写真の通りかなり疎らである。しかも、幼虫ばかり。有翅虫を見る機会は余り多くないが、先日漸く見付けたので掲載することにしたのである。無翅虫だけだと、何となく物足りないと言うか、絵にならない。横から見た有翅形.虫が小さいのと通常の等倍接写なので画像の質が低い(2008/11/13) ワタアブラムシでは産性雌(有性生殖をする雌を産む雌)と雄の双方にそれぞれ無翅形と有翅形があることが知られている。この写真の有翅形が雄なのか、或いは、産性雌なのか、私には区別が付かない。 フヨウは冬寄生の植物である。だから、ここで産性雌が産んだ産卵雌(有性雌)と雄との間で有性生殖が行われ、産卵雌は越冬卵をこの辺りの何処かに産むはずである。と言うことは、今居る幼虫は産性雌の産んだ産卵雌(有性雌)の幼虫なのであろうか?それにしては、随分前から此処にアブラムシが付いている様な気がする。もどうも良く分からない。 そこで、もう一度フヨウを見に行った。・・・すると、何やらややこしいことになっていた。さて、何があったのかは、次回のお楽しみ。
2008.11.15
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先日、蹲踞(つくばい)の前を通ったら、イロハモミジの枝先から毛虫が一匹ぶら下がり、風に吹かれてユラユラ揺れている。所謂ブランコ毛虫、マイマイガの幼虫である。多分、3齢だろう。 今年は、我が家で一番高いクリの木を中心に、あっちに一匹、こっちに一匹という感じで、かなり方々の木に付いている。何となく、クリの木の高い所から拡がった様な気がする。食物スペクトルが非常に広く、木の葉ならば殆ど何でも食べてしまう毛虫なのでこういうことが起こり得る。針葉樹まで食べると言うから一寸驚きである。ブランコ毛虫=マイマイガの幼虫.3齢位であろう少しボケているのを画像処理して誤魔化した(2007/05/15) ぶら下がっているところを写真に撮ろうと思ったが、風が少し強く、左右前後に40cm以上も揺れるので、100mmマクロでは容易に撮影できない。そうこうしている内に、毛虫君、糸を手繰ってイロハモミジの枝先に余すところ30cmまで迫ってしまった。これでは写真が撮れないので、棒を持って来てもう一回糸を吐くように一寸チョッカイを出したら、糸が切れて下の草の上に落ちてしまった。 一般に毛虫や芋虫は直射日光が嫌いらしく、陽の当たる草の葉に落ちた毛虫君、必死で逃げようとする。こちとらはそれを追いかけて写真を撮る。マイマイガの幼虫.直射日光から必死で逃げようとしているところ(2007/05/15) 次は真横から撮ろうとしたが、地面に近すぎて撮れない。そこで、直ぐ横にある自然に生えてきたフリージアの葉に載せて撮ることにした。どちらが頭か分かり難いが、左が頭である。横から見たマイマイガの幼虫.毛は横方向には長いが、上の方は長くない(2007/05/15) 次に正面から顔を撮る。知らない間に絞りがF8になっていて、私としては珍しいボケの綺麗な写真が撮れた。頭の「ハ」の字がよく見える。これが、この毛虫君の「商標」。毛虫君の顔.「ハ」の字が「商標」(2007/05/15) オマケにもう1枚正面から。これは毛虫君が葉の先端に達して行き場が無くなり、これからどうしようかと迷っているところである。オマケにもう1枚、正面から(2007/05/15) マイマイガはドクガ科に属す。しかし、毛虫に毒針毛はない。ドクガ科(Lymantriidae)とは言うものの、この毛虫君(マイマイガ:Lymantria dispar)の属すLymantria属が模式属なのだから、本来はマイマイガ科と言うべきところである。この毛虫君、毒はないが、ドクガ科の代表なのである。 今日紹介したのは、まだ3齢幼虫位で、長さ約3cmと可愛らしい大きさ。終齢幼虫になると6cm近くに生長し、横幅もずっと拡がって相当な貫禄が出る。クリの木に張り付いているのが一匹いるので、その内紹介するかも知れない。
2007.05.28
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また、ハギの季節がやって来た様である。「ハギの季節」と言ってもハギの花が咲く訳ではない。昨年から閲覧されている読者は憶えておられるかと思うが、鉢植えの花の着かないニシキハギの上で、様々な虫たちが繰り広げる物語の季節が始まった、と言うことである。 例年夏ともなれば、このニシキハギにアブラムシがそう沢山付くことは無いのだが、今年は何故かビッシリと付いている。アブラムシが居れば、何処からともなくテントウムシの幼虫が現れて来てそれを食べ始める。しかし、アブラムシと捕食者との平衡がアブラムシの増殖の方に偏っていてアブラムシは増える一方、捕食者が更に必要の様である。 先日、何時ものベランダの椅子で一服していると、横に植わっているクチナシの葉表に5mm位の丸いものが付いているのが、葉を透かして裏側から見えた。ヒョッとして、と思い葉表を見てみると、案の定、クサカゲロウの幼虫が居た。これも強力なアブラムシの捕食者である クサカゲロウの幼虫の多くは、自分が食べた獲物の残骸や色々なゴミ?等を体の上に背負い込んで歩く。それで丸い影が出来る。尤も、昨年紹介した「クサカゲロウ類の幼虫」の様に、何も身につけない種類もある。アブラムシを捕まえたばかりのクサカゲロウの幼虫.(2007/07/13) 早速手の上に乗せて、ハギの方に移住して貰うことにした。中々手から葉に移らず苦労したが、移ったと思った途端、もうアブラムシを捕らえていた(上の写真)。流石強力な捕食者、すごい早業である。アブラムシを捕食するクサカゲロウの幼虫.上の写真の約1分後、既にアブラムシは萎んでいる(2007/07/13) クサカゲロウ類の幼虫は、アリジゴク(ウスバカゲロウの幼虫)と同じで大きな大顎を持っており、これでガッチリと獲物を掴む。 実は今まで、この大顎は只掴むだけでこれとは別に口吻を差し込んで体液を吸うのだと思っていたのだが、写真を見ると大顎で挟んでいるだけで何もしていない。しかし、アブラムシの体はアッと言う間(1分弱)に萎んでしまった。 調べてみると、この大顎は吸収顎と言うもので、この大顎の内側に細くなった小顎がはまりこんで管になっており、直接この大顎を差し込むだけで体液を吸い取ることが出来るのだそうである。残骸になったアブラムシを大顎から外そうとするクサカゲロウの幼虫(2007/07/13) アブラムシが充分に萎んで空になると、クサカゲロウの幼虫は頭を激しく振り回していた。アリマキの残骸を大顎から外す行動の様に見えたが、中々外れないで苦労している感じであった。 残念ながら、アリマキの残骸を背負い込む行動は確認できなかった。約30分後、周りにいたアブラムシを食べ尽くしたクサカゲロウの幼虫(2007/07/13) 30分程してまた見に行くと、クサカゲロウの幼虫は相変わらず同じ葉の上にいた。しかし、その葉の上にいた数頭のアブラムシは跡形もなく消え失せていた。全部食べられてしまったらしい。 その後このクサカゲロウの幼虫がどうなったか気にしているのだが、生憎の天候で良く分からない。アブラムシをシッカリ食べて、無事成虫になって欲しいものである。
2007.07.15
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これまで、卵と初齢、2~3齢、4齢、終齢幼虫と掲載して来たリタテハ・シリーズも今日は兪々最終回、前蛹、蛹、成虫の3つを纏めて紹介する。ルリタテハの前蛹.体を曲げるのはタテハチョウ科の特徴らしい(写真クリックで拡大表示)(2009/09/14) 先ずは前蛹、上の写真の様に胸部を曲げてJの字型になっている。ルリタテハ(Kaniska canace)の幼虫は、休むときには何時も丸まっているので、前蛹も丸まるのかと思ったが、よく考えてみると、ツマグロヒョウモンやコミスジの前蛹も胸部を曲げていた。こう言う蛹がぶら下がる形をとる種類(タテハチョウ科)の前蛹は、皆、こうなのかも知れない。前蛹になった直後はかなり曲りが強いが、時間と共に段々緩くなる。 前蛹になる時刻は夕方が多い様に思える。写真の前蛹は半日以上経った次の日の昼近く、脱皮して蛹になる直前に撮ったので、曲りがかなり弱くなっている。最初の写真の2時間後.脱皮して蛹になった(写真クリックで拡大表示)(2009/09/14) 上の写真は、最初の前蛹の写真の約2時間後、脱皮して蛹となった直後に撮ったものである。まだフニャフニャで、気を付けないと傷つけてしまいそうな感じであった。時間が経つと出現する銀色に反射する部分も、この時点では他の部分と見分けが付かない。充分時間が経った蛹.銀青色に光る部分がある(写真クリックで拡大表示)(2009/09/20 次は充分時間が経ってから撮った写真、但し、別個体である。7頭を一緒に飼育していたので、どれがどれだが分からなくなってしまい、この写真の蛹も羽化の何日前であったか定かでない。しかし、何れにせよ、1~3日以内に羽化したことだけは確かである。 キチョウやクロアゲハの蛹は、羽化が近づくと次第に色が変わり、羽化前日にはハッキリそれと分かる。しかし、ルリタテハの場合は、色が殆ど変わらない様である。何とも不確かな言い方だが、丁度この頃に個人的に些か面倒な事態が出来したのと、別に飼育していたクロアゲハの終齢幼虫の世話に気を取られ、蛹の色の変化は充分に観察していないのである。7頭の何れもが、気が付いたら羽化していた、と言う甚だ不注意な羽化のさせ方をしてしまった。羽化直後のルリタテハ.翅が伸びるのは速い(写真クリックで拡大表示)(2009/09/20) 羽化の瞬間も、7頭も居ながら、全て見逃してしまった。上の写真はその中でも、まだ翅がクシャクシャの状態で気が付いたのだが、写真を撮る為の準備をしている間に、前翅の先端付近を除いて殆ど伸びてしまった。ルリタテハの場合も僅か数分で翅の伸張は終わる様である。 羽化は殆どが10~12時の間に起こり、明るくなってから(部屋の厚いカーテンを開けてから)4~5時間後に羽化するものと思われる。羽化後数時間経ったルリタテハ(上とは別個体)飛べるが羽化当日は殆ど動かない(写真クリックで拡大表示)(2009/09/21) 羽化したルリタテハ。無理矢理サンザシの葉に留まらせて撮った写真である。 飼育した7頭は、何れも無事羽化した。孵化したのが恐らく8月27日、前蛹になったのは最も早い個体で9月10日、一番遅い個体が9月17日、多くは9月12~14日、羽化はそれぞれ9月19日、9月26日、9月20~23日である。 言い換えると、孵化後、最速15日で前蛹、24日で羽化、最遅が22日で前蛹、31日に羽化、多くは17~19日で前蛹、25~28日で羽化したことになる。ルリタテハの顔.サトキマダラヒカゲと同じく複眼には毛が一杯(写真クリックで拡大表示)(2009/09/21) 庭に残した数頭の幼虫は、飼育したものに較べて生長が遅かったが、その内でも比較的生長の早かった3頭は、9月19~22日にかけて前蛹となり、何れも10月1~3日の間に無事羽化した。ヤドリバエにほぼ確実に寄生されていると思っていたが、幸いにも大丈夫であった。しかし、生長の後れていた個体は、その後姿を消してしまった。原因は不明である。 孵化後の日数としては、24~27日で前蛹、36~38日で羽化したことになる。個体差が大きいが、飼育環境と比較すると、前蛹になるのが約1週間遅く、羽化は10日前後遅れたと言えるであろう。ルリタテハの横顔.眼の下から伸びる黒いものは前肢(写真クリックで拡大表示)(2009/09/21) 飼育個体7頭全部、屋外でも3頭、合計10頭のルリタテハが羽化して、一見万々歳だが、よく考えてみると些か気になることがある。屋外の個体は問題ないが、飼育個体は室内で飼育して居るので、何れも長日環境で生長したことになる。蛹越冬をするアゲハ類(Papilio属)の場合、秋になって気温が下がっても長日環境で飼育すれば、越冬蛹にはならず、年内に羽化してしまう。ルリタテハの場合は成虫越冬なので、羽化してしまえばもうそれで問題は無い様に思えるかも知れない。しかし、成虫越冬をするカメムシ等では、終齢幼虫の時に臨界日長以下の日長で育てば卵巣は発達せず休眠個体になるが、臨界日長を越えた長日環境で生育すると卵巣が発達することが知られている。この現象は、成虫越冬する昆虫では一般的なのではないかと思われる。もしルリタテハでも同じ様に、長日条件で卵巣が発達してしまうのなら、その個体が今後どういう運命になるのか良く分からない。秋の内に無理矢理産卵してしまうのか、越冬に必要な栄養を卵に費やしてしまって越冬を完了出来ないのか、或いは、卵を吸収して越冬の為の栄養に転化できるのか・・・、飼育をした者としては気になるところである。 これでルリタテハの飼育経過報告?は終わりである。これまでの記事の内容と掲載日を纏めると以下の通りとなる。 内 容 掲 載 日 1)ルリタテハの卵と初齢幼虫 8月29日 2)ルリタテハの2~3齢幼虫 9月 8日 3)ルリタテハの4齢幼虫 9月18日 4)ルリタテハの5齢幼虫 10月 6日
2009.10.19
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昨日、ギボウシの葉に大きな「バッタ」が留まっているのを見つけた。クビキリギス(Euconocephalus varius = E. thunbergi)の褐色型(緑色型は此方)、成虫である。クビキリギスと言えば、秋に成虫になる虫の筈だが・・・???。 そう云えば、クビキリギスは成虫で越冬する。一寸調べてみると、越冬成虫は7月位まで見られるとのこと。このクビキリギス、右の前肢が無いが、これは厳しい冬を乗り越えて来た名誉の負傷と云うところであろう。ギボウシの葉上にいたクビキリギスの越冬成虫.褐色型右の前肢が欠けている.名誉の負傷と言うべきか(写真クリックで拡大表示)(2010/05/28) 先日、「虫探検広場」の5月19日(2010年)の投稿記事に、9月に捕まえたオンブバッタを飼育したところ、まだ生きている、と云うのがあった。オンブバッタは卵越冬である。だから、成虫は初冬にはあの世へ行ってしまうのが本来なのだが、条件が良ければ随分と生き延びることが出来るらしい。クビキリギスは、本来オンブバッタよりも長生きの出来る成虫越冬である。条件が良ければもっともっと生き延びるのかも知れない。自然光で撮ったクビキリギス.翅の部分は少し暗い(写真クリックで拡大表示)(2010/05/28) クビキリギスはキリギリス科(Tettigoniidae)に属し、九州大学の日本産昆虫目録、東京都本土部昆虫目録、北隆館の大圖鑑などを見ると、クビキリギリスとなって居る(保育社の昆虫図鑑下巻ではクビキリギス)。冒頭で、「バッタ」と「」に入れたのは、バッタ(バッタ科)では無いからである(クビキリギスをバッタなどと呼ぶと三枝先生のお叱りを受ける)。しかし、私はどうもこの連中(直翅目)が好きではないので、皆引っくるめて「バッタ」と呼んでしまう傾向がある。同じく自然光で撮影.少しピーカンに過ぎた(写真クリックで拡大表示)(2010/05/28) 昨日は非常に天気が良かったし、被写体は大きいので、自然光でも撮影してみた。2番目と3番目がそれだが、自然光だけで虫を撮るのは、私としては極めて稀なことである。背面からのは、丁度撮影者(私)の陰になってしまうので、仕方なくストロボを使った。接写の方は、レンズが100mmだから、ストロボを使わなければ撮影出来ない。 自然光の方が緑色が自然に写る。しかし、頭部や胸背の陽の当たるところは白っぽくなっているのに対し、陽光にほぼ並行する翅の部分は暗くなり、光ムラを生じてしまった。こう云う時は、ストロボを銀レフ的に使って、横から少し光を足してやる必要があると言える。クビキリギスは口が赤いのが特徴(写真クリックで拡大表示)(2010/05/28) クビキリギスの大きな特徴は、上の写真の様に、「口が赤い」ことである。しかし、上の写真には赤い部分の他にも何やら色々とややこしい構造が見える。 以前から「バッタ」の口器はどうなっているのか少し気になっていた。其処で、北隆館の図鑑にバッタ(本当のバッタ)の頭部の模式図を参考に、これらの「ややこしい構造」が何かを調べてみた(バッタ科とキリギリス科で基本的な違いが無いと仮定)。 下の写真で、1:赤いのは大顎(大腮)、2:上唇、3:小顎(小腮)、4:??、5:小顎鬚(小腮鬚)、6:下唇鬚、となる(7は前肢の取れた傷口)。小顎鬚は非常に長く、クネクネと続いている。4はどうも良く分からない。位置的には下唇なのだが、これは写真では上から下へ延びる構造である。4の構造は逆に下から上に牙の様に飛び出している様に見える。下唇鬚は多分間違っていないと思う。この下唇鬚が下唇から分岐する所が見えれば下唇の位置が良く分かるのだが、丁度その部分が小腮鬚の影になって良く見えないのである。口器の各部を調べてみた.番号に付いては本文参照(写真クリックで拡大表示)(2010/05/28) 今日は、ガガンボの美麗種を見つけてしまった。ガガンボにもこんな美形が居るのか、と云う位綺麗な虫である。乞う御期待!!
2010.05.29
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此処2週間ばかり、些かの事情があって更新が滞っている。今日は、もう少し古くなってしまったが、以前掲載したクロアゲハの2齢幼虫に引き続き、4齢幼虫を紹介する。3齢幼虫は、2齢のところで書いた様に撮りそびれてしまった。クロアゲハの4齢幼虫.4齢になったばかりと思われる体長は約2cmで、かなり小さい(写真クリックで拡大表示)(2009/09/10) 今回は大小2個体を撮影した。最初の3枚の写真は体長2cm、後半の4枚の写真は3.5cmだから、2倍近くも違う(正確には1.75倍)。更に体積の方は、単純計算でその3乗の5.5倍にもなり、感覚的な迫力は相当に異なるので、撮影時には前者が3齢、後者が4齢と思っていた。しかし、画像を良く比較してみると体の作りは基本的に同じであり、また、固い外骨格で被われ、脱皮しない限りはその大きさが殆ど変化しないと考えられる頭部の幅は殆ど同じ(何れも3.0mm)でなので、何方も同じ4齢と判断せざろうを得ない。上と同じ個体.腹部の白斑が顕著(写真クリックで拡大表示)(2009/09/10) 前胸(第1胸節)の角は、それまでの尖った構造から、相対的にかなり小さな先の丸い突起となっており、其処には短い毛が多数生えている。お尻の方(第9腹節)の角も極く小さな突起となり、やはり短い毛が生えているのが認められる。これも同じ個体.頭部の幅は体の幅の約60%(写真クリックで拡大表示)(2009/09/10) 第2胸節~第2腹節、第6~第8腹節の背側には、丸い疣状の低い突起が散在する。突起によっては、その中心部に更に小さな丸い突起があって、其処に短い毛が生じている場合もある。 この疣状の突起の分布は2個体で同じである。他のアゲハ類(Papilio属)に関しては、手元に4齢幼虫の写真が無いので困るのだが、他のサイトの写真(余り鮮明でない)と比較してみると、ナミアゲハやカラスアゲハにも同じ様な配置をした疣がある様に見える。クロアゲハの4齢幼虫(別個体).そろそろ5齢に脱皮する体長は約3.5cmで、上の個体の2倍近い(写真クリックで拡大表示)(2009/09/10) 背側や真横から見た大まかな形は、1番目と2番目の個体で余り違わない。しかし、頭部(本当の頭部、前方の膨らんだ部分ではない)の大きさが相対的に随分違っている。正面から見るとこれは非常に顕著で、1番目の個体では体の幅に対する頭の幅は約60%であるのに対し、2番目の個体では30%程度でしかない。 頭部の幅は殆ど(或いは、全く)変化しないと思われるので、その分だけ胸部、腹部が大きくなった訳である。特に、第3胸節と第1腹節が大きく膨らんでいる(この部分が遠目には頭の様に感じられる)。最初の個体と模様は似ているが、頭部の比率が小さくまた、第3胸節と第1腹節が大きく膨らんでいる(写真クリックで拡大表示)(2009/09/10) また、正面から撮ったこの2頭の写真を見比べると、2番目の個体の方では角が短い様に見える。その顕著な角の少し後にある突起(小さな低い角)の高さも、2番目の方ではかなり低くなっている。これは、その角のある部分(第1胸節)が生長した結果、これらの角の部分が相対的に小さくなったからであろう。正面から見ると、頭部の比率が小さい(体の幅の約30%)頭の上にある裂け目は臭角を出す為の構造であろう(写真クリックで拡大表示)(2009/09/10) 2番目の個体を正面から撮った写真(上)には、体の最前部となっている第1胸節の背側中央に口の様な裂け目が見える。恐らく、此処から臭角を出すのであろう。写真には写っていないが、クロアゲハ幼虫の臭覚は鮮やかな紅色である。斜めから見たクロアゲハの4齢幼虫(写真クリックで拡大表示)(2009/09/10) 今まで余りアゲハ類の若齢幼虫には興味が無かったのだが、この様に細部を見てみると結構面白い。幼虫の齢を判定する為に若齢幼虫の詳細な写真を検索してみたが、鮮明なものは殆ど無いのが実情の様である。今回は初齢と3齢を撮り逃したし、ナミアゲハも終齢以外は撮っていないので、今後機会があれば、まだ紹介していない各齢幼虫の詳細写真を掲載するのも、あながち無意味ではなかろう。
2009.10.03
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7月の末にクサギカメムシの初齢幼虫を掲載したが、今日は2齢幼虫を紹介しよう。 勿論、7月に掲載した初齢幼虫が2齢になったのではない。あの初齢幼虫が孵化したのは多分7月18日、クサギカメムシの孵化から成虫に至るまでの平均日数は夏では40日位だから、もうとっくに成虫になっている。クサギカメムシの2齢幼虫.体長約3mm(2008/09/05) 初齢幼虫は橙色と黒の派手な出立ちであった。変わって2齢以降は白斑と灰~黒だけの地味な配色と思っていたのだが、写真を拡大してみると背中の所々にまだ赤い部分が残っている。3齢からは各脛節の中央が白くなり少し雰囲気が変わるが、背中の赤い斑点はどうだろうか。 一昨年に掲載したクサギカメムシの記事に5齢と3齢の幼虫が載っている。それを見ると、5齢の背側は全体的にかなり赤っぽい色をしている。3齢の方は分かり難いが、別の写真(未掲載)を見てみると、やはり2齢と似た様な赤い部分がある。クサギカメムシの幼虫も思いの外オシャレな様である。触角の一部と腿節は白い.腹部背側の腹背盤の周囲が赤い(2008/09/05) ところで、読者諸氏はカメムシはどの位の期間生きるのか、御存知だろうか。 実は、カメムシ(カメムシ科)成虫の寿命は、見かけによらず?長い。この写真の2齢幼虫は、成虫になっても年内に産卵することはなく、来年の春にシッカリ栄養を摂った後、6~7月になって漸く産卵を始める。それが孵化したのが前回紹介した初齢幼虫である。カメムシの成虫はほぼ丸1年生きるのである。頭部の比率が大きい(2008/09/05) クサギカメムシは1頭がかなりの期間(2~3ヶ月)に亘って10回位産卵する。そのせいか、今、我が家の庭の中には、この2齢幼虫の他にも3齢や4齢の幼虫がウロウロしている。デュランタ・タカラズカにも居るし、先日紹介したオオクロセダカカスミカメが寄生しているツユクサや、ハリカメムシの好きなタデの生えている辺りにも居る。行き場が無くなって情けない格好(2008/09/05) この写真のカメムシ君、実は、初めから葉っぱの上に居たのではない。ネタ探しに庭を少し歩き回ってから、机に向かってキーボードを叩いていると、左足のふくらはぎの辺りがモゾモゾする。何か居るのかと思って、ズボンの裾をひっくり返してみたら、このカメムシが居たのである。カメムシの御家芸「おひけぇなすって」の練習中(2008/09/05) こう言うことは屡々ある。昨年紹介したシラヒゲハエトリも服に付いて来て書斎で一泊した後(一旦見失った)やっと見付けて庭に放した個体だし、今年はチビカマも2回位書斎でウロウロしているのを捕まえて庭に放してやった。 犬好きは犬に好かれる。虫好きも、やはり虫から好かれるのだろうか。
2008.09.08
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先日、トベラの葉裏にスカシクロバ(マダラガ科に属す半透明の黒っぽい羽を持つ小さな蛾類、近日中に紹介予定)の様な、全長7mm位の虫がいたので早速写真を撮った。葉裏の虫というのは、中腰で上向き、等倍接写をするには最悪の位置である。撮影時には、専ら焦点を合わせるのに気を取られてしまうが、それでもスカシクロバ類にしては小さ過ぎるし、何となくおかしいと思った。そこで、直ぐにコムピュータに移して確かめてみた。 すると・・・、触角が数珠状で、その1つひとつから放射状い剛毛が数本出ている。こんな蛾は居ない。体付きも蛾ではない。胸部が非常に細長く、翅がその下端に付いている。謎の虫(2007/05/08) それでは一体何か??トビケラは触角が糸状だ。ハエの中には奇妙キテレツな連中が居るが、やはり体付きが違う。また、トビケラもハエも翅脈はかなり複雑で、この虫の様な極めて単純な翅脈を持つものは居ない。 何の目(分類体系の目:Order)に属する虫なのかが分からない。こんなアホな話あるか!! もうすっかり疑心暗鬼になってしまって、再度トビケラ類やガ類、双翅目を調べ直す始末。しかし、数珠状で剛毛の生えた触角を持つ虫は見当たらない。 八方塞がり、すっかり考え込んでしまった。上の写真の部分拡大.数珠状で各「数珠玉」から放射状に剛毛が出ている.剛毛をハッキリさせるためにアンシャープを強くかけてある(2007/05/08) 目が分からないと言うのが何とも情けない。しかし、2~3日経って、ヒョッとすると図鑑に目の検索表もあるのではないかと気付き開いてみると、簡単な素描による検索表があった。ざっと見てゆくと、半翅目同翅亜目(セミ、ヨコバイ、ウンカ、アブラムシ、カイガラムシ等)に似たような触角と頭部胸部を持つ虫の絵があるではないか。横にある楕円形の虫と一緒に描かれている・・・。カイガラムシ?・・・カイガラムシの成虫の雄か!!! カイガラムシの雌成虫は昆虫としては特異で、小さな饅頭みたいな形をしていて一般に木の表皮に固着して動かない。一方、雄成虫は普通の虫で羽もある、と言うことは知っている。しかし、どんな虫なのかは知らない、見たことがない。アブラムシの近縁なのだから、どうせナヨナヨした虫だろうと漠然と思っていただけで、全く想像が付かない。頭の中が真っ白。 早速、Internetで「カイガラムシ 成虫 雄」をキーワードにして調べてみると・・・、いた!! 上の写真ソックリなのが、余り鮮鋭ではないが、幾つかのサイトに掲載されていて、オオワラジカイガラムシの雄成虫とある。 オオワラジカイガラムシなら我が家のアラカシやクリにも結構付いているから、その雄成虫が居て些かもおかしくない、と言うか、居る方が当然と言える。近縁種についての情報は無いが、オオワラジカイガラムシの雄成虫として良いだろう(図鑑の記載によると「触角は10節」とある。写真の数珠玉1個が1節ならば遙かに多く一致しない)。オオワラジカイガラムシの雌成虫.名前の通り草鞋にソックリ.上に触角、左側に脚が1本見える(2007/05/11) それならば、雌成虫の写真もあった方が良いに決まっている、と言うことで、早速クリの木を見に行く。丁度撮り易い位置に1匹居たので、直ちに御披露目の写真を撮った。しかし、余り御披露目に値するほど見映えのする虫ではありませんな。 この虫、カイガラムシの雌成虫のくせに、リッパな脚があってチョコチョコ歩き回る変なカイガラムシである(コナカイガラムシ科やワタフキカイガラムシ科の雌成虫は一般に歩行が得意らしい)。体長9mm程度、雄よりも大きい。 広い生物界には雄雌で大きく形態の異なる生き物が色々居るが、これ位違うのも一寸珍しい。しかし、雌の方は幼体の形態が殆ど変化せずに成熟すると考えれば、大して奇妙ではない。
2007.05.13
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最近はすっかりサボり癖が付いてしまって、更新を8日も空けてしまった。今日は、クロアゲハ・シリーズの最終回である。 先ずは、前蛹から。クロアゲハの前蛹.中々愛らしい(写真クリックで拡大表示)(2009/09/20) アゲハ類(Papilio属)の前蛹と言うのは、何とも可愛い。6cm程あった幼虫がその1/2位に縮まってしまう。何でこうも小さくなれるのか不思議である。どう見ても体積が減っている感じがするが、そんな筈はないだろう。一度体積を量ってみたくなる。前蛹の前半を等倍接写してみた.腹脚が何とも可愛い(写真クリックで拡大表示)(2009/09/20) 頭に近い方を拡大してみた。胸脚、腹脚共にキチンと揃えていて、大変御行儀が宜しい。次の日チャンと蛹になった.多くは緑色であったが茶色のもあった(写真クリックで拡大表示)(2009/09/21) 翌日は、チャンと蛹になった。5頭の内、木の枝で蛹化した4頭は写真の様に普通の緑色をしていたが、飼育箱の下に敷いていた白いコピー用紙のまくれ上がった端で蛹化した1頭だけは茶色の斑の蛹になった。 蛹の色が何によって決まるのかは色々研究されていて、昔何処かで読んだことがあるが、すっかり忘れてしまった。蛹化した場所の色で決まる、と言うような単純なものではなかった筈である。其処で一寸調べてみたら、「ミヤマカラスアゲハの本州西南低地での連続発生」と言う論文の中に「アゲハチョウやクロアゲハの蛹の多型に関与する刺激としては, 植物からの匂い, 蛹化面の幅・粗滑・曲率, 湿度, 温度, 日長など複数の要因が絡んでいるが, 背景色の影響は受けないことが明らかにされている」とあった。 クロアゲハの蛹は、ナミアゲハの蛹とは異なり、背中に突起がない・・・と言うか、ナミアゲハの蛹にのみ突起がある。クロアゲハの蛹.羽化5時間前.シッカリ黒くなっているまだ蛹殻との間に殆ど空気が入っていない(写真クリックで拡大表示)(2009/10/05) 最初に示した蛹は10月2日に無事羽化したが、一寸事情があってその後の写真は撮っていない。上の蛹の写真はそれより2~3日遅れて蛹化した個体の羽化当日に撮ったものである。クロアゲハの蛹は、羽化の前日から明らかに黒っぽくなって来る。上の写真は羽化の約5時間前で、既に真っ黒になっている。羽化3時間前.蛹と殻との間に空隙を生じているが腹部にはまだ達していない(写真クリックで拡大表示)(2009/10/05) 次は羽化の約3時間前。本体と蛹殻の間に空隙を生じ、其処に空気が入って白く光っている。しかし、まだ腹部の方は白くなっていない。羽化2時間前.腹部の方にも空隙が拡がってきた(写真クリックで拡大表示)(2009/10/05) 上はその1時間後(羽化の約2時間前)。腹部の方にも空隙が拡がって来ている。この後、ず~と羽化を待ったのだが変化なし、中々羽化しない。翅が伸びきった直後のクロアゲハ.翅はまだフニャフニャ暗いのでストロボを焚いたら青くなってしまった(写真クリックで拡大表示)(2009/10/05) シビレを切らして一寸他のことをしている間に羽化してしまった。何時もこうである。上の写真は丁度翅が伸びた位のところで、まだフニャフニャ。 雨模様の薄暗い日なので、ストロボを焚いたら、クロアゲハが青アゲハになってしまった。上の写真の約1時間後.無理をして自然光で撮ってみたこれが本当のクロアゲハの色(写真クリックで拡大表示)(2009/10/05) 上は一時間後に一寸無理をして自然光で撮ったもの。ブレ止め機構が無いし、レンズは100mmと焦点距離が長いので、雨模様の弱い自然光では撮り難いのである。少し逆光気味であるが、正しいクロアゲハの色が出ている。翅を拡げたクロアゲハ.前翅の地色が淡いので雌であろう(写真クリックで拡大表示)(2009/10/05) 羽化後1時間位したら時々翅を拡げるようになった。しかし、天候不順で気温が低いせいか、中々飛びだそうとはしない。 クロアゲハの雄には上の写真では見えない後翅表面の前縁に白条があるのだが(雌にはない)、このことをすっかり忘れていて、調べ損なってしまった。しかし、この個体は前翅の地色が薄いので雌であろう。中々飛ぼうとしなので、シオンの1種に留まらせて記念撮影(写真クリックで拡大表示)(2009/10/05) 夕方近くになっても、気温が低いせいか一向に飛ぼうとしない。其処で、一寸シオンの1種に留まらせて記念写真を撮った。一応、花に留まってはいるが、吸蜜はしていない。羽化後1日位は何も摂らない様である。クロアゲハの鱗粉.後翅裏面一番上(第7室)の赤色紋.右は前翅の裏面(写真クリックで拡大表示)(2009/10/05) 写真を撮った後、雨が本格的に降り出した。次の日は一日中雨であった。実は、写真に示した個体以外にもう1頭同時に羽化したのだが、2頭揃って我が家の庭先に2日間ジッと留まっていた。その次の日もまた雨模様であった。しかし、何れも知らない間にその姿を消していた。雨の合間に何処かへ飛んでいったらしい。 飼育した5頭は何れも無事羽化した。2齢幼虫の時に初めてその存在に気が付いたので、孵化の日付が分からないが、多分8月20~25日頃であろう。2齢から飼育環境になり、前蛹になったのは9月20~24日、羽化は10月2~7日である。孵化してから前蛹になるまで約1ヶ月、前蛹から羽化までは12日前後と言うことになる。ルリタテハの場合は、その多くが18日前後で前蛹となり、その後8~9日で羽化した。クロアゲハはルリタテハより大きいせいか、生長に時間がかかる様である。 これでクロアゲハの飼育経過報告は終わりである。これまでの記事の内容と掲載日を纏めると以下の通り。 内 容 掲 載 日 1)クロアゲハの2齢幼虫 9月14日 2)クロアゲハの4齢幼虫 10月 3日 3)クロアゲハの5齢(終齢)幼虫 10月 9日
2009.10.30
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今日はまたクロアゲハ(Papilio protenor)の幼虫を紹介する。2齢、4齢に引き続き、兪々終齢幼虫の登場である。先日、ルリタテハの終齢幼虫を掲載したが、やはり終齢幼虫は貫禄があり、また種特有の斑紋などが色々出て来るので、どうしても写真の枚数が増えてしまう。 先ずは、脱皮したての余り冴えないところから。脱皮したばかりのクロアゲハの終齢幼虫.まだ黄緑色だがやがて濃い緑色になる.体長は3cm強で、生長しきった4齢幼虫よりもむしろ小さい(写真クリックで拡大表示)(2009/09/15) 軸の折れた葉っぱの上で脱皮したので写真が撮り難く、手の上で撮影した。体長は3cm強、生長しきった4齢幼虫よりも少し縮んで小さくなっている。脱皮する前に暫く御飯を食べなかったからであろう。 色は薄く黄緑色で、体はまだ皺クチャ、その内色も濃くなり、皺も生長に連れて伸びて行く。生長したクロアゲハの終齢幼虫.体を伸ばしているので体長は約6.5cm.ナミアゲハとは異なり、体色は濃い緑色(写真クリックで拡大表示)(2009/09/20) 次は充分に生長した終齢幼虫。体を伸ばしているので、ジッとしている時より体長はかなり長く約6.5cm。5頭を個体識別せずに一緒に飼育したので良く分からないが、最初に示した個体とは違うのではないかと思う。しかし、背部の模様等は基本的に変わるところはない。ジッとしているクロアゲハの終齢幼虫.蛹化が近い第3胸節と第1腹節の膨らみが顕著(写真クリックで拡大表示)(2009/09/22) クロアゲハの終齢幼虫は、ナミアゲハとは幾つかの点で外見が異なる。 先ず全体的な体の色が違う。ナミアゲハの終齢幼虫は黄緑色だが、クロアゲハはもっと濃い緑色をしている。また、第3胸節と第1腹節の膨らみがナミアゲハよりも顕著である。 模様も随分違う。ナミアゲハでは、第3胸節の一見眼の様な紋の間に2重の輪を連ねた形の模様があるが、この輪がクロアゲハでは形が崩れ、また、その両端が切れた様な格好になっている。もっと目立つのは、クロアゲハでは、その第1腹節後縁、第4~5腹節、第6腹節、第8~9腹節に輪郭の白い不規則な模様を持つ茶色の帯があることである。これらはナミアゲハではその白い前縁と、模様のない色の濃い黒っぽい、或いは、時に殆ど他の部分と区別が付かない色のもっと単純な帯になっている。横から見たクロアゲハの終齢幼虫(写真クリックで拡大表示)(2009/09/22)別個体.この個体はもう最後の排泄をして蛹化直前その前の状態より縮んで短くなっている(写真クリックで拡大表示)(2009/09/22) 横から見ると、第1胸節~第2腹節までの腹側と胸脚は淡褐色をしている。この部分はナミアゲハの終齢幼虫では何れも体色と同じ黄緑色である。また、ナミアゲハの腹部側面下部には、黒い縁取りの明瞭な白斑があるが、クロアゲハの終齢幼虫にはその様なものは認められない。なお、気門の色は何方も同じで淡褐色である。正面から見たクロアゲハの終齢幼虫(蛹化直前)一番下の少し小さな茶色の部分が本当の頭部第1胸節が頭に覆い被さっている(写真クリックで拡大表示)(2009/09/22) 頭の色もナミアゲハとは異なる。クロアゲハの頭部は、上の写真で示す通り、胸部~第2腹節腹面や胸脚と同じ淡褐色をしているが、ナミアゲハではこの部分もやはり黄緑色である。頭部を出したクロアゲハの終齢幼虫頭部は縫合線を除いて単褐色であり副頭楯に接する頭頂部が黒くない(写真クリックで拡大表示)(2009/09/22) 頭部は縫合線が白い他は一様な淡褐色をしている。ナミアゲハの終齢幼虫では、頭頂の副頭楯に接した部分が筋状に黒くなっているが、クロアゲハではその様な筋は認められない。 また、上唇を含めた口器はナミアゲハでは青灰色をしているのに対し、クロアゲハでは上の写真の通り、頭部の他の部分と同じく一様に淡褐色である。頭部と第1~3胸節の拡大.頭頂側面に単眼が見える(写真クリックで拡大表示)(2009/09/22) 頭部から胸部にかけた部分を上に示す。殆ど全身黄緑色をしたナミアゲハの終齢幼虫と較べると、随分色合いが異なっているのがお分かり頂けるであろう。 最後に一見眼の様に見える模様(眼状紋)を等倍接写してみた。2頭の眼状紋を撮影したが、互いによく似ている。ナミアゲハの眼状紋と比較すると、先ず、ナミアゲハのものよりも少し大きい(比率)。更に、黒い部分の輪郭がハッキリしており、黒斑全体にわたってかなり細かい縦皺があるのが分かる(下)。ナミアゲハではこの黒斑の輪郭はあまり明瞭でなく、また、皺の様なものは認められなかった。黒斑には、これを斜めによぎる裂け目状の構造があり、この裂け目はクロアゲハでは淡褐色をしているが、ナミアゲハの場合は潤んだ様な白い色をしていた。 また、この黒斑の上に縁取りのある白い斑が2つと青色の斑が1つある(北隆館の日本幼虫圖鑑には「3小白紋」とある)。これは、或いは、漫画などで黒目に光が反射している様な白い斑を書き込むのと同じ効果をあげているのかも知れない。ナミアゲハではかなり離れたところに白斑が1つあるに過ぎず、この様な効果は無いであろう。第3胸節の一見眼の様に見える模様.黒い部分に縦の皺が認められる(写真クリックで拡大表示)(2009/09/22)別個体.基本的にその前の個体と同じ模様をしている(写真クリックで拡大表示)(2009/09/22) クロアゲハとナミアゲハの各終齢幼虫の間には、一見して色や形に違いがあるのが分かるが、詳細に検討すると思ったよりも随分多くの点で異なっていた。この手の比較を他のアゲハチョウ(Papilio)属(キアゲハを除く)にも拡げてみたら面白いのではないだろうか。しかし、この辺り(東京都世田谷区西部)には他にカラスアゲハとナガサキアゲハが居るだけで、しかも繁華街に近い我が家ではこれらの幼虫すら容易には得られない。精々食草を育てて気長に御到来を待つこととしよう。
2009.10.09
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先週の月曜日の昼過ぎ、丁度東京23区西部が雷雨に見舞われていた頃、突然我がコムピュータがInternetに接続できなくなった。始めは落雷でホストがダウンしたのかと思ったが、何時まで経っても復旧しない。夜になって調べてみると、どうやら雷雨は関係なく、単に家のモデムが故障しただけらしい。 次の日の朝、新しいモデムを送付して貰う手続きを取り、その翌日にはモデムを交換することが出来た。しかし、相変わらずホストとのリンクは取れない。プロバイダーに電話すると、回線に何らかの異常が発生したものと考えられるので、回線工事をやり直すとのこと。工事には約一週間かかり、その前のモデムの交換と合わせると約10日間、Internetなしの生活を強いられることと相成った。 探してみると、我が町にもInternetの端末を置いている喫茶店が見つかった。しかし、いい年をしたオジサンがその種の場所で何やらキーボードを叩いているのも余り見られた格好ではないと思い、Weblogは臨時休業にして、工事が終了するまで大人しく待つことにした。結果的に、読者諸氏には御迷惑をかけることになったと思ふが、何卒御寛恕願ひたい。 今日の16時頃、丁度カラーキャリブレーションをしている最中に、モデムのリンク状態を示すランプが点灯しているのに気が付いた。漸く回線が復旧したらしい。カラーキャリブレーションが終了すると、様々なプログラムの自動更新が一斉に動作を開始し、こちとらが起動したプログラムは殆ど動かない状態が暫く続いた。 さて、今日は前回掲載したクサカゲロウの繭の話の続きである。 クサカゲロウの繭を飼育箱(100円ショップで買ってきた只のプラスティックの箱)に確保してから丁度1週間経った日の夕方、箱の中にクサカゲロウが羽化しているのが認められた。体長11mm、翅端まで15mm、小さなクサカゲロウである。 しかし、もう暗くなっているので、箱から出すと燈りの中に入ってしまうかも知れず、写真を撮るのは次の日の朝まで待つことにした。日中ならば、大概の虫は明るい外の方に向かって飛んでカーテンに留まるので、写真が撮り易いのである。羽化したクサカゲロウ.触角が長い(2007/07/29) 次の日、箱の中から出してやろうとすると、まるでそれを待っていたかの様に激しく羽ばたいた。クサカゲロウがこんなに力強く飛翔するとは知らなかった。 カーテンに突進し、更に彼方此方飛び回っている。余りに元気なので、御披露目の写真が撮れない。暫くそのままにして疲れるのを待つことにした。カーテンに留まるクサカゲロウ.金緑色の体が美しい(2007/07/29) 10分程すると予想道理余り羽ばたかなくなり、漸く写真を撮ることが出来る様になった。 撮影を終わってから、やはり本来繭のあった所に放すのが良いだろうと思って、ニシキハギの所まで連れて行って放してやった。 ところが、手から離れた途端、体の後の方に飛んで行ってしまって、振り向いた時には、もう何処にも見当たらなかった。予想外の、余り面白くない別れ方。クサカゲロウの成虫もアブラムシを食べる。顔は精悍(2007/07/29) さて、Internetで調べてみると、クサカゲロウ類の羽化は一寸変わっている。繭の中から成虫が出てくるのではなく、蛹が繭を食い破って表にで、それから羽化するのだそうである。繭の近くに別に蛹の脱け殻があるとのこと。 早速繭の付近を調べてみたが、蛹の脱け殻は何処にも無い様であった。しかし、良く見てみると、繭の上に何か白っぽいものがくっ付いている。クサカゲロウの繭と蛹の脱け殻.この角度だと上に乗っているのが何だか分かり難い(2007/07/29) 直接カメラを覗いているだけでは一寸分かり難いが、コムピュータに移して拡大してみると、明らかに繭の上にあるのは蛹の脱け殻である。 繭を確保した時、蛹の横に何か橙色の寄生バチの卵の様な物があった(前回の2番目の写真)が、それはもう見当たらなかった。孵化はしたが繭に穴を空けて蛹に取り付くことが出来なかったのかも知れない。上の写真の左約90度から見たもの。蛹の脚、頭、腹部が識別できる(2007/07/29) ところで、このクサカゲロウ、残念ながら何クサカゲロウかは分からない。しかし、クサカゲロウがこんなに金緑色に光るとは知らなかった。翅脈も網目状で繊細な模様を成しているが、生憎後のカーテンの網目が邪魔でよく見えない。この次クサカゲロウを見付けたら、翅だけの拡大写真を撮ってみよう。
2007.08.07
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一昨日の昼過ぎ、ベランダのスレートの上に、普段この辺りでは見かけない大きなクモが居るのに気が付いた。大きいと言っても、体長(脚を含めない)は15mm位だが、タランチュラの様に脚が太く短い、如何にも強そうなクモである。 ジグモに似ているが、ジグモはもう少し縦長で、こんなにゴツクはない。キシノウエトタテグモ.所謂タランチュラに似ている左側には脚が5本ある様に見えるが、最先端のは蝕肢(2007/06/29) 何故か、クモさん、余り元気がない。種類はよく分からないが、何れにせよ、地面に穴を掘る仲間には違いないので、ジグモの巣の近くに置いてある石の上に移した。前から見たキシノウエトタテグモ.何故か、左右の第1歩脚を折り曲げている(2007/06/29) 数枚写真を撮ったところで、小さなアリがやって来た。アリが一寸チョッカイを出したら、クモさん、慌ててシダの茂みの中に逃げ込んでしまった。見かけによらず気が弱いのか、或いは、病気で戦闘意欲が無いのか、それとも、やはりアリは苦手なのか・・・。キシノウエトタテグモの顔.上顎が大きいが、ジグモではもっと大きい(2007/06/29) 図鑑で検索してみると、頭胸部の中窩はU字型で、第3脛節に窪みがなく、また、生息地から判断して、どうやらキシノウエトタテグモの様である。上記写真の部分拡大.中央に見える粒々が眼、よく見えないが全部で8個ある.ハエトリグモと較べると眼は非常に小さい(2007/06/29) トタテグモは、昔からこの辺りに居るとは聞いていたが、実は、見るのはこれが始めてである。 Internetで調べてみると、何と、環境省の準絶滅危惧種に指定されている。「準絶滅危惧種」とは、”(存続基盤が脆弱で)現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」として上位ランクに移行する要素を有するもの”だそうである。図鑑には、「東京、神奈川、名古屋、京都、大阪などの都心部に多産。他の県ではあまり見られない」と書かれている。この辺りにはまだ結構居るのかも知れない。横から見たキシノウエトタテグモ.頭胸部の中窩はU字型(2007/06/29) しかし、何故穴から出て来てベランダに居たのであろうか。クモが水に溺れて弱ったときに似ていたが、別段大雨が降ったわけでも無し、少しの雨で水没するような所に巣を作ったりはしないだろう。やはり病気なのだろうか? 本当のところは「御当人」に聞いてみなければ分からないが、何はともあれ、クモさんのその後の無事を願うばかりである。
2007.07.01
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先日、シソの葉に集るハダニ類を掲載したが、今日は其処に居た捕食者を紹介する。「日本原色植物ダニ図鑑」に拠れば、ハダニの天敵には、同じダニ目に属すカブリダニ類や、ハダニアザミウマ、ハナカメムシ類、ハダニカブリケシハネカクシ、キアシクロヒメテントウ等の他、タマバエ、オドリバエ、アシナガバエ、ハナアブの各科に属す昆虫が居るそうである。その他にも、クサカゲロウ類の幼虫もハダニの捕食者として知られている。葉脈の陰に隠れる(?)ハダニアザミウマの幼虫.ピクセル等倍(2007/08/25) シソの葉にはアザミウマ類の幼虫が何頭か認められた。前述の図鑑に拠れば、ハダニを食べるアザミウマはハダニアザミウマのみらしいので、此処ではハダニアザミウマとしておく。 1枚の葉に2~3頭程度の密度である。ハダニアザミウマ雌成虫の1日当たりの捕食量は、ハダニ卵なら約40個、ハダニ雌成虫で約9匹とのことなので、その程度の密度でも良いのかも知れない。ハダニアザミウマの幼虫.その2.ピクセル等倍(2007/08/25) 普通、アザミウマと言えば吸汁性の害虫である。それが此処では、ダニを補食する益虫となっている。餌が植物と動物では随分違う様に感じられるかも知れないが、植物の汁を吸うのがダニの体液を吸うのに変わっただけのことである。口器の形を基本的に変化させないで済むから、大した変化ではない。歩き回るハダニアザミウマの幼虫.ピクセル等倍(2007/08/25) アブラムシの中には兵隊アブラムシと言う兵隊アリの様な防御個体を持つ種類が居て、普通は植物の汁を吸う筈の口針で敵を刺す。カメムシの仲間には、ハナカメムシ科やサシガメ科ばかりでなく、多くは吸汁性のカメムシ科の中にも捕食性の種類が居る。これも植物の汁を吸うのが獲物の体液を吸うのに変わったと考えれば納得が行く。 考えてみると、吸汁性の害虫と体液を吸う捕食性の益虫とは、意外に近いところに位置する必然性が有ることになる。
2007.09.02
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また「謎の虫」が出たか、とその時は思った。 肉眼で見たときは、大きさと言い、全体の形と言い、カイガラムシの雄成虫に良く似ている。しかし、データをコムピュータに移して拡大してみると、かなり違う。頭部は丸く胸部と明確に分かれているし、翅脈はやや複雑、翅の付いている位置も違う。 触角はカイガラムシに似て数珠玉を連ねた様な糸状、しかし、全体の「雰囲気」はハエ類に近い。一体何だろう? 新たな「謎の虫」登場である。クロバネキノコバエの1種(2007/05/19) ハエやアブは双翅目の短角亜目に属し、触角が3節しかない。だから、この虫は短角亜目では有り得ない。双翅目で糸状の触角を持つのは糸角亜目、即ち、蚊の類である。 この虫、蚊には見えないが、双翅目と言うのは予想外の連中の居る目である。糸角亜目にも変なヤツが居るかも知れない。検索表を辿ってみることにした。 何分にも虫が小さく、単眼の有無とか、よく見えない重なった支脈基部の特徴など、少し困る所もあったが、なんとかクロバネキノコバエ科に落ちた。蚊の類でありながらハエの名が付いている。これだから双翅目はややこしい。 クロバネキノコバエ科はケバエ下目に属す。恥ずかしながら、今まで、ケバエが蚊の類(糸角亜目)であることを知らなかった(ケバエの触角は短く小さい)。クロバネキノコバエの1種と横に止まったハエの1種(2007/05/19) このクロバネキノコバエを撮っていた時、その直ぐ横にハエの1種が止まった。ハエを良く見る為にその背側に回ろうとした途端、2頭がほぼ同時にサッとクリスマスローズの茂みの中に飛び込んだ。余りに一瞬の出来事なのでよく分からなかったが、どうもハエがクロバネキノコバエを襲った様に見えた。 このハエ、写真では真っ正面しか写っていないので、私には何バエだか全く分からないが、捕食性のハエなのかも知れない。 双翅目と言うのは、実に色々な連中が居て、中々面白い目である。識別の難しい目だが、これからもこの仲間を出来るだけ紹介して行きたいと思っている。
2007.06.16
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このWeblogは「我が家の庭の・・・」なのだが、今日は「我が家」の生き物を紹介する。ジンサンシバンムシ(Stegobium paniceum)、屋内害虫の1種で、保育社の甲虫図鑑には「乾燥貯蔵動植物質の世界的大害虫」と書かれている。 シバンムシ科(Anobiidae)シバンムシ亜科(Anobiinae)に属す、体長1.7~3.0mm(同図鑑に拠る)の小さな甲虫である。世界中に分布する大害虫であるにも拘わらず、Web上に精緻な写真がない様なので、掲載することにした。ジンサンシバンムシ.この個体の体長は約2.7mm写真は何れもコントラストをやや強くしてある冷蔵庫で充分冷やしてから撮影(写真クリックで拡大表示)(2011/08/10) 此奴、実際に大変な害虫で、我が家に於ける被害は、金額的にも相当な額に達するであろう。 兎に角、食物スペクトルが広く何でも喰う。退治しようにも発生源を突き止めるのが容易でないのである。また、我が家の様に外国の食料サンプルを沢山貯蔵してある所では、複数個所から発生しているのが普通らしく、大発生している場所を見つけて退治しても、他の場所でも発生しているから、未だに根絶出来ない。全く困った虫である。 因みに、かなり以前に東南アジアから買って来た干メンにコクゾウムシの1種が付いていて、かなり我が家で繁殖したことがあるが、これは穀類かその加工品しか食害しないので、簡単に退治することが出来た。ジンサンシバンムシの腹側.常温に戻って暴れているところ図鑑に拠れば、「前胸腹板突起は短く三角形」とある矢印の部分が前胸腹板突起で確かに短く三角形(写真クリックで拡大表示)(2011/08/10) ソモソモ、このジンサンシバンムシが我が家に入って来たのは、今から20年程前のこと、ある大先輩に頼んでカルカッタから買って来て頂いたアサフェティダ(asafoetida、assafoetida、asafetida)と云う1種の香辛料に卵が付いていたのである。 アサフェティダは、Ferula assafoetidaを主とするセリ科植物の根元から採ったヤニ(樹脂)で、硫黄を思わせる強い異臭を持つが、インドやその近くの国では、これを野菜、特に豆のカレーに極く少量入れるのである。純粋なものは非常に高価で、インドでは固まりではなく、細粉にし乳糖か何かで10倍位?に薄めて缶入にしたものが一般的である。最近はInternetでも売られているが、これも同様であろう。 記憶に拠れば、頂いたのは7×3×2cm位の純粋なヤニの固まり、恐らく1000ルピー(1ルピーで野菜カレーが腹一杯食える)以上はしたと思われる。これを2つに割り、一つを砕いて料理用とし、こんな大きな固まりは珍しいので、残りの半分をサンプルとして保存して置いたのである。このサンプルの方からシバンムシが発生した。サンプルは結果的に穴だらけの火山岩の様になってしまった。少し斜め前から撮ったジンサンシバンムシ(写真クリックで拡大表示)(2011/08/10) 我が家で被害にあっているのは主に干メン類(蕎麦、うどん、素麺、スパゲッティ、米から作った干メン等)である。今まで30kg位は処分したと思う。しかし、記憶に拠れば、紫菜(支那式の岩海苔の干物)、干し椎茸、ダール(印度式の干豆、レンズ豆、ヒヨコ豆等)、小麦粉、東南アジアの黒砂糖と椰子砂糖、その他「こんな物も喰うのか!!」と驚く様なものまで食害された。正に、「乾燥貯蔵動植物質の世界的大害虫」なのである。 更に始末が悪いのは、成虫はかなり厚いプラスティックの袋でも食い破り、卵を産むのである。メン類などは、相当シッカリした容器に入れておかないと、未開封でもやられてしまう。正面から見たジンサンシバンムシ.やや警戒中この方向から見ると、触角先端3節は単純な[細長い球桿状]でない(写真クリックで拡大表示)(2011/08/10) 九州大学の日本産昆虫目録に拠ると、ジンサンシバンムシは1属1種だが、一見よく似た種に、やはりに世界的に分布する乾燥動植物質の大害虫であるタバコシバンムシがある。セスジシバンムシ亜科に属すので少し縁遠いが、体の外観はよく似ている。しかし、触角の先端3節が、ジンサンシバンでは写真の様に細長い球桿状であるが、タバコシバンでは鋸歯状なので容易に区別が付く。尤も、3mm程度の虫の触角を調べるのは一般的には一寸難しいかも? 尚、ジンサンシバンムシの「ジンサン」とは朝鮮人参の人参(ginseng)のことである。私は朝鮮語を解しないので分からないが、ginsengの本当の発音はジンセンよりはジンサンに近いのかも知れない。北京官話の「eng」は、日本人にはエンよりはアンに近く感じられる。図鑑には「各上翅は11本の点刻を含んだ細条溝をもつ」とあるが、勘定するとチャンと11本ある(写真クリックで拡大表示)(2011/08/10) 今日はジンサンシバンムシの被害についてばかり書いて、形態的特徴の方は本文中には殆ど書かなかった。代わりに写真の下に形態学的な説明を少し入れて置いた。
2011.08.11
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かなり以前から、写真を拡大表示出来る様にしたが、その為には平均的に解像力を少し上げる必要があり、結果として絞りを以前よりも少し拡げなければならない。絞りを拡げれば焦点深度が浅くなり、当然の結果として焦点合わせが微妙になり、撮影枚数が増えてしまう。 枚数が増えれば、撮った写真の選別(ピクセル等倍にして必要な部分の端から端まで調べる)に相当な時間を要すことになり、また、安全を見越して撮影するので使える写真の枚数も以前よりは多くなってしまい、掲載用に調整しなければならない写真も増える。 ・・・と云う訳で、最近は原稿を書く閑がない、と言うか、写真の調整だけで疲れてしまい、原稿を書く気力が出ない。こう云う時は、写真1枚だけの日を間に挟んで、間を持たせることにする。 幸い、昨日の朝、変なハナアブを撮った。直ぐに逃げられてしまったので、この写真1枚しかない。アシブトハナアブと思ったのだが、腹部には細い黄色横帯があるだけで、この種に見られる筈の第2腹節背板の幅広い黄帯に囲まれた「エ」の字形(「二」の場合もある)の黒斑がない。これ、本当にアシブトハナアブ??アシブトハナアブ(雌:黒化型).前回と同じくハナアブ科(Syrphidae)ナミハナアブ亜科(Milesiinae)だが、ナミハナアブ族(Eristalini)腹部第2節背板の黄色帯が極めて細い(写真クリックで拡大表示)(2010/11/03) しかし、市毛氏の「ハナアブ写真集」を見ると、アシブトハナアブ(Helophilus virgatus)以外には考えられない。其処で、Web上でアシブトハナアブの画像を片っ端から見てみた。しかし、これ程第2腹節の黄色帯が薄くなっている個体は見付からなかった。挙げ句の果ては、例によって「一寸のハエにも五分の大和魂・改」にお伺いを立てる次第と相成る。 早速、pakenya氏から「アシブトハナアブのメスですね」との御回答を得た。これで一安心、Weblogのネタとして使える。pakenya氏に感謝!! 氏に拠れば、「あまり注意してみていませんが、暗色傾向の強いものもしばしば見られます.たまに、横縞がほとんど見えないものもあり、さすがにこのようなやつに出会うと何者?!ってな感じにどきっとします」とのこと。此処に載せた程度の黒化は、ハナアブを見慣れた人にとっては、驚くに足らない程度の変異らしい。 ハナアブ類の腹部背板の模様は、安定して変化の少ない種類もあるが、このアシブトハナアブの様に非常に変化に富む種類も多い。ハナアブ類の種類を見極める時は、余り腹部の模様を頼りにしない方が無難な様である。
2010.11.04
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昔はクサカゲロウと言うと、夏の晩、毎日の様に燈火に誘われて網戸に張り付いていた体長15mm位の小さな緑色のカゲロウのことであった。よく網戸の桟に卵、所謂「うどんげの花」、を産んでいった。 しかし、最近はこの小型のクサカゲロウは全く姿を潜め、写真の大型のクサカゲロウしか見ない。体長3cm位ある。この大きな種類は昔は見なかった様な気もするが、カゲロウなどに特に興味もなかったので余り定かではない。クチナシの葉にとまるクサカゲロウの1種(2006/10/08) クサカゲロウ類は保育社の図鑑に1種しか載っていないし、大して種類もいないのだろうと高を括っていたら大間違いで、日本に50種近くおり、普通種だけでも10種は居るそうだ。クサカゲロウの文献なぞ、当然持っていないから、このクサカゲロウは「クサカゲロウの1種」とするしかない。クサカゲロウの1種.青い幻色を生じている(2006/10/08) このクサカゲロウかなり屡々見かける。しかし、写真を撮ろうとすると、直ぐに葉裏に隠れてしまって写真が中々撮れない。今回はどういう訳か、葉表に暫くとまったままだったので、何とか写真を撮ることが出来た。葉裏に隠れたクサカゲロウ(2006/10/08) しかし、ストロボの光に驚いたのか、やはり葉裏に逃げ込んだ。しかし、頭隠して尻隠さず。クサカゲロウの智恵もこの程度の様ですな。
2006.10.18
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先日、ベランダの椅子で一服していると、目の前のイボタの葉裏に何か黒っぽい小さなY字型のものがくっ付いているのが見えた。何処かで見たことのある形、だが、一体何であったか、忘却の彼方に霞んで良く思い出せない。ず~と昔、まだ中学生の頃なら知っていたと思う。 近づいて見ると、小さな蛾である。随分妙な格好をして止まっている。はは~ん彼奴か、と思っても、はやり名前は思い出せない。葉裏に止まるカバイロトガリメイガ.Y字型をしている.脚が長い(2007/07/09) こういう妙な格好をした被写体は、深度が深過ぎて撮影し難い。かなり引かないと、100mmレンズでは全体に焦点が合わないのである。引けば、写りは小さくなり、結果的に解像度は低くならざるを得ない。バイロトガリメイガ.型が美しい(2007/07/09) 眠りに入っているらしく、葉っぱをひっくり返して撮影しても全く反応しない。背面、正面、側面の他、斜めからも撮ってしまった。横から見たカバイロトガリメイガ.眼の模様はストロボの反射に因る(2007/07/09) 一通り写真を撮ってから、名前を調べる。一寸調べるだけで、昔取った杵柄と言うか、1種の嗅覚と言うか、妙な勘が働いてトガリメイガ(Endotricha属)の1種であることは直ちに判明した。そうか、この連中がこういう変な格好で止まるのだったか!! この仲間は種類が大して多くないので、その中のカバイロトガリメイガと言うのに良く似ていることも直ぐにわかった。例によって確証は無いが、カバイロトガリメイガとしておく。 昆虫の名前を調べるには餌が手がかりになるが、このカバイロトガリメイガの食草については余りよく分からなかった。「様々な樹木の古い葉」とか「枯れ葉」と書いているサイトがあっただけである。カバイロトガリメイガ.舞子の如し(2007/07/09) しかし、面白い止まり方である。何か踊りを踊っている一瞬を止めた様な姿。葉裏でこんな格好していても誰も見てくれないよ、と言いたくなる。カバイロトガリメイガ.足の先に吸盤でも付いているのだろうか(2007/07/09) トガリメイガ類は、必ずしもこの様な形で止まるとは限らない。普通の止まり方をすることもある。何故、こんな変な形で止まるのか? 良く分からないが、モンシロチョウの交尾拒否の姿勢に似ている。
2007.07.17
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我が家の庭に何時もいる蝶の1つは、キチョウ。これは食草のハギが2個所にあるからである。1個所は庭の真ん中にあり、ミヤギノハギ(ナツハギ)で枝や葉柄に圧毛を密生する。もう一方は、花が一度も咲いたことがないが、古い葉の表面にも圧毛があり、先端は下垂しないのでニシキハギと思われる。自然に生えてきたのを植木鉢に移し、スレート張りの中庭の奥に置いてある。デュランタ・タカラズカで吸蜜するキチョウ(2006/09/07) 庭が狭いので色々な植物を植木鉢に植えてみたが、いくら水をやっても植木鉢では花がよく着かなかったり、生長が悪かったりする種類が結構ある。メドーセージなどはその典型で、茎の先端の最初の花は咲くが、丁度その頃に暑くなって来て、葉腋から出る枝には全く花が着かない。秋になって涼しくなると、また花を少し着ける。 ハギも根が暑くなるのが苦手らしく、植木鉢に移したニシキハギは花が着かない。そんな花の着かないハギを何故そのままにしているかと言うと、一寸した理由がある。 庭の真ん中にあるナツハギにもキチョウは産卵するが、幼虫は途中で居なくなる。こんな事は食痕を見れば直ぐに分かる。中庭の奥にある「ニシキハギ」にも当然キチョウは産卵し、これはよく育ってチャンと羽化する。何故?? 始めはハギの種類の違いが原因かとも思ったが、ミヤギノハギ(ナツハギ)でも飼育した場合には全く問題なく羽化することから、ハギの種類は関係ない様だ。 ある時「ニシキハギ」の方に余りに沢山幼虫が付いたので、このままではハギが丸坊主になると思い、庭の真ん中にあるミヤギノハギの方に移した。しかし、蛹にならないうちに少しずつ数が減って来て、蛹化したのは1/5位であった(キチョウは殆ど移動せずに蛹化する)。デュランタ・タカラズカで吸蜜するキチョウ(2006/09/07) 庭の方にあるミヤギノハギの辺りでは、アシナガバチがよく「遊弋」しているのを見かける。どうやら、ミヤギノハギに付いた幼虫は殆どがアシナガバチに肉団子にされてしまうらしい。「ニシキハギ」の方はスレート張りの中庭の奥にある。アシナガバチはスレート張りが苦手の様で、滅多にここまでやって来ることはない。それで中庭の「ニシキハギ」の方ではキチョウがよく羽化する、と言うことらしい。 花の着かないハギを棄てずに置いてあるのは、実にこのキチョウの保護の為なのである。
2006.09.16
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双翅目が続くが、今日は前回とは違って「汚い」アブを紹介する。アメリカミズアブ、堆肥を作っていれば、必ずと言っても良い程その周りを飛び交っているアブである。 私が子供の頃のゴミ処理と言えば、庭の裏の方に一辺1.5m位の穴を掘って其処に生ゴミを棄て、一杯になれば埋めてまた別の所に穴を掘ったものである。何しろその頃は、酢や醤油等の液体は、瓶を持って買いに行く量り売りだったし、肉屋で豚肉百匁(375g:6人でたったこれだけ、それでも肉があれば大御馳走)買っても包むのは経木であった。当時は、まだプラスティックと言うものが普及していなかったのである。だから、紙くずなどの燃える物は風呂を沸かすときの焚き付けとして使い、燃えない物や燃やし難い物はこのゴミ溜めに棄ててしまうと、もう残るゴミは殆ど無かった。 その穴を掘っただけのゴミ溜めに行くと、必ずいたのがこのアブである(尤も、スイカの皮を棄てておくと、カブトムシが来ることもあったが・・・)。アメリカミズアブ.戦後進駐軍と共に入って来た外来種コウカアブにやや似るが、脚の白いのが目立つし触角が長い体長は15mm前後(2007/08/25) 当時は、もう1種汚いアブがいた。コウカアブである。コウカとは後架と書き、雪隠、憚り、御不浄、厠のことである。このアブもゴミ溜めの辺りに何時も飛んでいた。 しかし、コウカアブの方は圖鑑に載ってたが、もう一方の今日掲載しているアブは載っていなかった。何故、こんな普通種が載っていないのか、随分不思議に思ったものである。生ゴミや厠に集る汚いアブだが、身繕いはチャンとする(2007/08/25) その圖鑑に載っていない理由が分かったのは、かなり後になってからのことである。この汚いアブ、アメリカミズアブと呼ばれているそうで、戦後になって進駐軍と共に米国からやって来た新参者の外来種なのであった。私が子供の頃使っていた圖鑑は、叔父が学生の頃に使っていた戦前の圖鑑である。朝鮮や台湾の昆虫は載っていたが、戦後に入って来た外来種が載っている筈がない。眼に青い模様がある.昨年後から撮った写真(2007/08/25) 子供の頃、このアメリカミズアブの標本は作らなかった様に思う。汚い虫には触りたくなかったのであろう。御蔭で、つい最近まで、このアブの眼に奇妙な紋様のあることを知らなかった。 最近、世の中が清潔になり過ぎて、この20~30年コウカアブを見たことがない。アメリカミズアブも随分減ったが、この辺りの住宅地でも時々は見かける。昨年の夏、久しぶりに我が家にやって来たので何枚か撮ったのだが、その時、眼に青い紋様のあることを初めて知った。しかし、アブの後ろ姿しか撮れなかった。眼の模様は、やはり前から撮りたい。前から撮れたらこのWeblogに掲載しようと思った。アメリカミズアブの顔.アブにしては触角が長い(2008/09/24) 漸く撮れたのは、昨日である。しかし、非常に敏感なヤツで、真っ正面からは遂に撮れなかった。仕方なく、斜め前からの写真で我慢することにした。 眼の部分拡大を下に示す。アブやハエには眼に紋や斑を持つものがかなり居る。一昨年に紹介したツマグロキンバエやオオハナアブの眼にも模様がある。しかし、これ程派手な色をした模様は他に知らない。 それにしても、眼にこんな模様があったら、見るのに邪魔にならないのだろうか。一体何の為に眼に模様があるのか、人間は大いに訝るが、そう言う風に進化したのには、それなりの理由があるに違いない。但し、その理由は、人間の浅知恵では到底図り知ることの出来ない奥深い世界に属すものと思われる。上の写真の拡大.個眼の配列は模様とは無関係(2008/09/24) このアメリカミズアブが我が家に来たのは、例の虫寄せバナナと関係があるらしい。但し、目当てはバナナの果肉ではない様である。ベランダの片隅に、一寸した庭木の剪定や除草をしたとき等に枝葉を入れておくバケツが置いてあり、其処にバナナの皮を棄てておいた。これが腐敗してアメリカミズアブを呼んだらしい。昔、ゴミ溜めに集っていたのと同じ理屈である。
2008.09.25
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今日はクサギカメムシの初齢幼虫を紹介する。赤と黒の派手な色彩の幼虫である。クサギカメムシの成虫と幼虫(終齢と若齢)は、一昨年に紹介した様に、全体的に黒っぽい地味な色合いである。この初齢幼虫も2齢になるとそれらと同じ黒っぽい色になる。クサギカメムシの初齢幼虫.孵化直後は無色(透明)と黄色で1時間後には無色、青、黒となり、その後赤と黒になる(2008/07/19) 多くのカメムシは、孵化後卵上やその近くに集団をなして留まり、数日を過ごす。この間、餌らしい餌は摂らず、やがて脱皮して2齢になる。 飯を食わないで何をしているかと言うと、見ていてもまるで動かないので良く分からないが、文献に拠れば、卵の表面に付着している「魔法の薬」を食べたり、葉っぱの上に溜まった水を飲んだりしているそうである。上の写真の部分拡大.殆ど真ん丸.体長約1.8mm(2008/07/19) 植物から師管液を吸汁して生きる虫は、自分独りでは生きて行けず、常にある種の細菌と共生する必要がある。師管液に含まれるアミノ酸は量が少なく、また、ヴィタミン類も不足している。更に、アミノ酸を含んでいるからと言っても、必須アミノ酸をバランス良く含んでいる訳ではない。師管液だけでは、栄養不良になってしまうのである。そこで、師管液に比較的多量に含まれている糖類を摂取して必須アミノ酸やヴィタミン類等を産生する細菌と共生する必要が出て来る。アブラムシの場合は、ブフネラと言う共生菌を発生のかなり早い時期に母胎内で供給され、それを体内に飼っている。次の日.卵殻の跨っている個体は居ない卵殻に付いている洋凧の様なものは卵殻破砕器これをどう使うのかは調べても分からなかった(2008/07/20) 先の「魔法の薬」とは、親が産卵時に肛門から排泄したもので、これに子供の必要とする共生菌が含まれているのである。カメムシはアブラムシの場合とは異なり、初齢幼虫の時に親の排泄物を食べて、その中に含まれている共生菌を腸の盲嚢に送り込む。 草食性のカメムシは、師管液よりはずっと栄養価の高い種子を主に吸汁する種類が多い。種子にはアミノ酸はかなり豊富に含まれているはずだが、ヴィタミン類は足らないのかも知れない。或いは、適当な種子の無い時期に師管液や果汁を吸汁して生き延びる為の用意なのだろうか。上の写真で右側に居る個体.昨日より少し伸長し体長約2.2mm(2008/07/20) このクサギカメムシが孵化する一月半ほど前には、ガラス戸に付いていた卵塊2個からチャバネアオカメムシが孵化してきた。我が家としては珍しいことである。今年はカメムシの流行り年かもしれない。
2008.07.31
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少し前のことになるが、ベランダの椅子の近くにあるセイタカアワダチソウの葉上に、何か、バッタの類が居るのに気が付いた。 良く見てみると、アオマツムシ(Truljalia hibinonis (Matsumura, 1928))であった。今まで我が家で見た記憶の無い虫である。体長は2cmを少し越えた程度、綺麗な緑色をしているので、遠目にはキリギリスの仲間の様に見えるが、コオロギ科マツムシモドキ亜科に属す。セイタカアワダチソウに居たアオマツムシ産卵管が見えるので雌である(写真クリックで拡大表示)(2009/09/29) この個体は、上の写真から明らかな様に、産卵管を持っており、雌である。背中の網目模様(翅脈)を見ると、かなり規則的(下)。これは雌の特徴で、雄の方は翅を擦らせて発音する為か、網目がもっと不規則な奇妙な模様になっている。どうもこの手の虫には詳しくないので良く分からないのだが、この様な雌雄による翅脈の違いは、スズムシやマツムシでも同じであり、この仲間では普通の事らしい。背側から撮ろうと少し突っついたら、こんな格好になってしまった綺麗な緑色だが、標本にすると黄褐色になる(写真クリックで拡大表示)(2009/09/29) ところで、このアオマツムシ、以前紹介したウスグモスズと同じく、外来種である。しかし、ウスグモスズよりずっと古参で、北隆館の新訂圖鑑に拠れば、1917年に東京で発見されたとある。一方、Wikipediaには「日本での初記録年月日も1898年(明治31年)という説と1908(明治41年)年ごろという説があり、データの付いたタイプ標本が残っていないため判然としていない。ただし、初記録地は東京都の赤坂榎木坂である」と書かれている。何方が正しいのか判断材料に乏しい。側面から見たアオマツムシ.前翅の前縁部が直角に畳まれている(写真クリックで拡大表示)(2009/09/29) 原産地もハッキリしない様で、北隆館の圖鑑には東洋熱帯(中国)と推定されるとあるが、Wikipediaでは「中国大陸より日本に入り帰化した外来種という説が一般的だが、原産地ははっきりせず」と書かれている。 しかし、外国での記録がないウスグモスズとは異なり、九州大学の昆虫目録には、その分布に「HONSHU,KYUSHU;China」とあり、少なくとも中国は含まれている(尚、九大目録の学名はCalyptotrypus hibinonis)。アオマツムシの横顔.中々愛嬌のある顔をしている(写真クリックで拡大表示)(2009/09/29) このアオマツムシ、見付けたのは雨模様の日の昼過ぎであった。日中はそのままジッとして動かず、次の日(一日中雨)には同じセイタカアワダチソウの別の場所に居た。それからかなり経って、台風18号の通過した日の夜に、デュランタの枝にそれらしき虫が留まっているのを見付けた。暗くて分かり難かったが、体の輪郭や触角の長さから判断してアオマツムシと思われる(但し別個体の可能性が高い)。かなり活発に動いており、やはり夜行性の虫は、昼と夜で動きが随分違うことを実感した。正面から見たアオマツムシ.触角は洗濯機のホースの如し(写真クリックで拡大表示)(2009/09/29) セイタカアワダチソウは勿論草本だが、名前の通り背が高い。アオマツムシはウスグモスズやサトクダマキモドキと同じく樹上生活者だそうである。セイタカアワダチソウを木と間違えたのだろうか。 これまで当Weblogで紹介した直翅目昆虫の多くは樹上生活者であった。私は草の根を分けて虫を探すことをしない(蚊に喰われる)ので、撮影する直翅目昆虫はどうも樹上生活者に偏る様である。上から見たアオマツムシの顔(写真クリックで拡大表示)(2009/09/29) アオマツムシの雄は「リーリーリー」と大きな高い音で鳴くとのこと。今、夜になると色々な虫が庭で鳴いている。しかし、どうも直翅目昆虫に興味のない私には、カネタタキを除いてこれらの虫の音が全く区別出来ない。其処で、「虫の音WORLD」と言うサイトで虫の音を調べてみると、どうやら我が家の近くに最も沢山居り、また一番元気に鳴いているのはアオマツムシの様で、ツヅレサセコオロギと思しき声も時々聞えている。それならば、一生懸命探せばアオマツムシの雄も見つかるかも知れない。しかし、コンクリートに囲まれた庭では音が反響して何処から聞こえてくるのか甚だ分かり難い。探すのは一寸無理な様である。 最後にアオマツムシの聴器を示す(下)。余り外見はパッとしないが、中は空洞になっているはずである。2又になったサトクダマキモドキの聴器とは全然違う構造をしている。クダマキモドキは別科(キリギリス科)なので、この程度の違いは当然なのだろうか。アオマツムシ(雌)の聴器(左:前、右:後)脛節上部の膨れた部分に聴器がある(写真クリックで拡大表示)(2009/09/29) 実は、先日の台風18号でハナモモの木が倒れてしまった。地面が柔らかく、3年前の台風でも倒れたので支えがしてあったのだが、生長が速すぎて支えきれなくなり再度倒れてしまったのである。お金をかけて直しても、また台風が来れば倒れる可能性が高く、兄と相談した結果、可哀想だが片付けてしまうことにした。デュランタにアオマツムシが来ているのを見たのはその日の夜である。同じ日にサトクダマキモドキの雌も見た。或いは、これらの樹上生活者は、ハナモモの木に棲んでいたのかも知れない。[訂正]当初は、我が家の周辺で一番元気に鳴いている虫をツヅレサセコオロギとしていたが、これはアオマツムシの誤りであった。「虫の音WORLD」では音量が分からないので間違えてしまったのである。本文を訂正しておいた。(2010/10/12)
2009.10.12
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昨日今日と、少し暖かい日が続いている。しかし、我が家の庭にはユスリカの類が時折飛んでいる程度で、撮る気の起こる虫は現れない。昨年の暮れに撮ったネタもあるが、これは英国の古本屋に注文した文献が届いてから掲載したい。・・・と云う訳で、今日は昨年の今頃撮った土壌生物を紹介することにする。 普通、土壌生物を採集するにはツルグレン装置と云うものを使用する。それなりの店に行けば完成品を売っている(通販でも買える)が、白熱電球のスタンド、篩、大きなロートとコップがあれば、自分でも作れる様な簡単な装置である。その内、徹底的にネタ不足になったら自作するかも知れないが、今のところは作るのも面倒なので、土壌生物を探す時には、シャーレに土を入れ、少しずつ掻き分けて調べる程度にしている。 そんな簡単な操作?でも色々と奇怪な虫が出て来る。今日、紹介するのはそうやって見つけたヤスデの幼体である。ヤケヤスデ(多分)の幼体.体長は約7mm胴節は18節ある様に見える(写真クリックで拡大表示)(2010/01/25) 体長は約7mm。この辺り(東京都世田谷区西部)に居るヤスデと云えば、ヤケヤスデ(Oxidus gracilis)位なもので、成体の体長は20mm程度だから、これはその幼体であろう。この幼体は色が極く薄いが、成体は背面が焦茶色乃至海老茶色で、腹面と肢はかなり淡い色をしている。危険を感じると丸まって防御態勢に入る。これは、フサヤスデ等の一部の目を除いたヤスデ類(倍脚綱)の特徴である。ヤケヤスデの幼体で間違いはないと思うが、確証は無いので、一応「?」を付けておくことにした。尚、似た様な種にアカヤスデと云う別属の種が居るが、これは成虫越冬なので、その幼体である可能性はない。 村上好央氏の「ヤケヤスデの生活史」(動物学雑誌 71(8), 1962)に拠れば、ヤケヤスデは秋に繁殖活動を行い、5~7齢の幼体で越冬し、翌年の初夏に成体になるとのこと。他に、春に繁殖行動をし、成虫で越冬する別の系統(strain)があるとしていたが、これは後に同著者により別種であることが明らかになった(村上好央(1966) ヤケヤスデの生活史についての訂正, 動物学雑誌 75(2))。少し横から撮った写真.第2~4胴節には各1対以降の胴節には各2対の歩肢がある(写真クリックで拡大表示)(2010/01/25) ヤスデの体は、頭部と胴部に分けることが出来る。写真の幼体の胴節数を数えると(胴部の第1節と最後の2節程度は、その間の部分とは少し形が異なる)、胴部は18節から成る様である(最初の写真)。 ヤケヤスデはオビヤスデ目ヤケヤスデ(Paradoxosomatidae)科に属し、「日本の有害節足動物」では、成体の胴節数は20とされている。渡辺力著「多足類読本」に拠ると、オビヤスデ目は完増節変態を行う。これは加齢(脱皮)と共に体節数が増加し、成体になると脱皮を止め、同時に体節数の増加も止まる変態形式である。丸まって防御態勢に入ったヤケヤスデ(多分)の幼体頭部を内側にして守っている(写真クリックでピクセル等倍)(2010/01/25) 写真の幼体の胴節数はまだ18なので、これは今後脱皮により節数が2つ増加すると云うことである。体長は約7mmで、まだ成体の1/3程度だが、「多足類読本」には、ヤケヤスデは7齢を経て成体となると書いてあるので、6齢位の幼体なのかも知れない。防御態勢を解除しつつあるヤケヤスデ(多分)の幼体頭部が内側になっているのが良く分かる歩肢には折れているものが多い(写真クリックでピクセル等倍)(2010/01/25) ヤスデは、一般に第2~4胴節には各1対、以降は最後の2節を除いて各胴節に2対ずつの歩肢を持つ(第1胴節に肢はない)。ヤスデは、この世で最も肢の多い生き物である。最大はカルフォルニア産のIllacme plenipesで、何と、750本もの肢を持つと云う。 一方、ムカデ類では、後部の胴節でも歩肢は各節に1対しか持たない。ムカデは漢字で「百足」と書く。しかし、ジムカデ目以外のムカデ類では、歩肢数は最大で46本、100本には遠く及ばない。100本に達する歩肢を持つのはジムカデ目のみで、最大は191対(382本)の種類があるそうである。しかし、何故か、歩肢対の数(=肢を持つ胴部の節数)は何れも奇数ばかりで、偶数の歩肢対数を持つ種類は知られていない。100本の肢、と云うことは歩肢対数は50で偶数であり、この様な歩肢対数を持つムカデは未だに知られていないのだそうである(以上、何れも「多足類読本」に拠る)。第1胴節は他の胴節と形が異り肢もない触角の先端2節は色が濃い(写真クリックでピクセル等倍)(2010/01/25) ある種のヤスデは時々大発生し、これが大群を成して線路を渡り、それを踏んだ汽車の動輪がヤスデの脂で空転して汽車が動かなくなる、と云う記事を新聞などで見ることがある。この種の騒動を引き起こすのは、普通、その名もキシャヤスデ(汽車馬陸)と云う種類なのだが、今日のヤケヤスデも汽車を止めることがあるらしい。「新島溪子(2001):ヤケヤスデ列車を止める,Edaphologia (68)」に拠れば、平成12年7月19日に大糸線平岩駅の近くでヤケヤスデが大発生し、臨時急行列車「リゾート白馬アルプス」は2時間半に亘る停車を余儀なくサルルノ已ムナキニ至レリ、とのことである。 ヤケヤスデなど、何処にでも居る「つまらない」ヤスデだと思っていたが、時には、中々やるモンですな!!
2011.02.05
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テントウムシは、丸くて小さくて、チョコチョコ歩く可愛い虫である。しかし、捕食者から見ると、苦くて不味い「食えない虫」らしい。鳥やトカゲなどもテントウムシは食べないと聞いている。 そのせいか、世の中にはテントウムシに擬態する連中が色々いる(本当に擬態なのかは此処では論じない)。昆虫ばかりでなく、クモ類にもツシマトリノフンダマシとかサカグチトリノフンダマシの様な、テントウムシに擬態したものが居ると言うのだから一寸驚く。 無論、昆虫綱にはよく似たのがゴマンとは言わないが沢山居る。分類学的にかなり離れたところでは、キボシマルウンカと言うウンカの仲間とか、ゴキブリの中にもテントウムシにソックリなのが居るそうである。テントウムシが属す鞘翅目には、テントウムシダマシ科の様な科のレベルで似たようなグループがあるし、テントウミジンムシ(ミジンムシ科)、テントウノミハムシ(ハムシ科)、テントウゴミムシダマシ(ゴミムシダマシ科)の仲間もテントウムシと間違え易い。その他にも、小型のヒメテントウ類に類似する甲虫は色々な科に存在する。テントウノミハムシの1種.触角が長い(2007/10/19) 今日、紹介するのはその中のテントウノミハムシの1種である。ブルーベリーの葉裏に止まっているのを見たときは、てっきりテントウムシだと思った。しかし、マクロレンズで覗いてみると、触角が違う。テントウムシの触角は何れも短くて「先太り」である。この虫の触角は糸状で長い。一寸触ったら、ピンッと跳ねて何処かへ行ってしまった。ノミハムシの仲間であった。横から見ると頭の形はテントウムシ的でない(2007/10/19) 大きさと鞘翅の模様は、ヒメアカホシテントウにソックリ、全く良く真似たものである。しかし、良く見ると、触角ばかりでなく、頭部と胸部の形がテントウムシとは明らかに異なる。この程度では、テントウムシを見慣れた人間には簡単に見破られてしまう。斜めから見ると如何にもハムシ的(2007/10/19) テントウノミハムシ属(Argopistes)には、只のテントウノミハムシ、ヘリグロテントウノミハムシ、ヒメテントウノミハムシ等、互いによく似た4種があるとのこと。残念ながら、この写真だけでは種の判別は無理である。「テントウノミハムシの1種」とする他ない。
2007.10.21
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今日は「繋ぎ」として植木鉢の下にいたトビムシを紹介する。 普通はもう少し大きい種類(個体)も居るのだが、今日紹介するのはかなり小さい方で、体長約1.1~1.2mm。写真はピクセル等倍なので、鮮明ではない。 昆虫類全体を把握している読者を別にすると、そもそもトビムシとは何ぞや、を解説する必要があるかも知れない。・・・と言う私も、実のところ、トビムシを真顔で撮ったのは今回が初めな位で、大して良くは知らない。 トビムシは落葉の下から土壌のかなり深い所にまで棲息する最も原始的な粘管目に属す昆虫である。多くは1~3mm、尾端にある叉状器というエビのシッポの様な構造を使って跳躍する種類が多いので、トビムシと呼ばれる。しかし、「跳ぶ」と言っても、多くは体長の10倍程度をピョコンと跳ぶだけで、蚤の様なものを連想されては困る。 幾つかの点で、普通の昆虫とは異なるところがあり、最近では六脚虫上綱には属すが、カマアシムシ(原尾目)やコムシ(双尾目)と共に昆虫綱とは別のグループとする学者が多い。 何処が普通の昆虫と違うかと言うと、翅がない、、変態をしない、成虫になっても脱皮を繰り返して成長する、交尾をせず雄が土の上に精包を置くと雌がこれを生殖口に収めると言う間接受精を行う、複眼単眼は無く8個の小眼より成る眼斑を持つ(多足類に似る)、多くは気管系を欠く、マルピーギ管を欠く・・・と色々ある。植木鉢の下に居たトビムシの1種.体長約1.2mm叉状器が見えないが腹の下に折り畳んでいるのかも知れない(ピクセル等倍、以下同じ)(2008/01/24) ある文献によると、日本には約400種のトビムシが記録されているが、なお多くの未記載種を含むとのこと。例によって写真で示したトビムシの種類は分からない。アブラムシと同様、顕微鏡で細部を見ないと種の判別は難しいが、トビムシの場合は全体像を知らないので、種どころか、どの科に属すのかすら分からない。こんな不鮮明な写真2枚では、検索表による科の判別は不可能というものである。トビムシの1種.シロトビムシ科かも知れないが良く分からない(2008/01/24) トビムシの多くは、腐植や菌類を咀嚼して食べている(分解物を液体として吸汁したり、少数だが捕食性の種類もあるとのこと)。こう言う小さい連中が土の中にゴマンと居り(実際に日本の森林土壌では1平方メートル当たり数万から10万棲息すると言われている)、陸生等脚類(ヒメフナムシ、ダンゴムシ等)、ササラダニ、ヒメミミズ等と共に有機物分解者として食物連鎖の末端を担っている訳である。 土壌中の生き物は直接眼に触れることは少ないが、それなりの方法を使えば容易に捕えることが出来る。ネタが無くなったら、土でもほじくるか・・・。
2008.01.29
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今日はルリタテハ(Kaniska canace)の終齢幼虫を紹介する。漸くのお出ましである。 幼虫も終齢になると貫禄が出て来る。また、4齢以下とは形態や色が変わることも多い。アゲハの幼虫では4齢以下の「鳥の糞」型から目玉模様のある緑色に変わるし、このルリタテハの場合も4齢以下の黄と黒の2色刷から、赤、黄白、黒の3色刷に変わる。体長は45mm程度。ルリタテハの終齢幼虫.体を丸めて休すむのは若齢と同じ赤、黄白、黒の3色になっている.左下が頭(写真クリックで拡大表示)(2009/09/10) 色は変わっても、葉裏で体をU(C、J)字型に曲げて休む習性は同じである。何とも奇妙な習性で、どの様な利点があるのか良く分からないが、個体によって体を曲げる方向が決まっているかも知れない。印を付けて調べてみれば分かることだが、メンドーなので「実験」はしなかった。ストロボの光に反応して動き始めた.左下が頭(写真クリックで拡大表示)(2009/09/10) 4齢以下では基部を除いて黒かった肉棘が、終齢幼虫では、大部分黄白色に変わる。しかし、先の方は黒いままである。また、若齢ではかなり柔らかかった棘が、終齢では皮膚の弱い所に当たれば傷みを感じる程度に固くなっている。棘の先には剛毛が生えているので、その剛毛が太くなって容易に曲がらなくなるのであろう。 この棘状突起は第1胸節には無く、第2胸節から第10腹節にかけて存在する。各節に於ける本数は、写真からは良く分からないが、北隆館の古い「日本幼虫圖鑑」に拠ると、アカタテハ等とおなじで、第2~3胸節では各4本、第1~8腹節では各7本、第9~10節には各2本有るのとのこと。何時も丸まっているので、こう言う真っ直ぐな写真は少ない棘状突起は第2胸節から第10腹節にある(写真クリックで拡大表示)(2009/09/10) 胴体の色は、4齢幼虫では黒と黄であったが、終齢ではこの黄色い部分が鮮やかな赤となる。遠目には余りよく分からないが、拡大してみると、赤、黄白、黒の3色が、中々塩梅良く配置されている。終齢幼虫の頭部.長い剛毛が沢山生えている(写真クリックで拡大表示)(2009/09/10)御食事中の終齢幼虫.上唇の溝に葉の端を入れて食べる(写真クリックで拡大表示)(2009/09/10) 終齢幼虫の期間は4齢以下よりも長く、食欲も甚だ旺盛で、5頭(全7頭の内、1頭だけ生長が速くて先に蛹になってしまい、また、遅いのが1頭居た)も居ると1日数回ホトトギス(1本の茎に4~5枚葉が付いている)を与える必要があった。しかし、余りに速く食べ尽くしてしまうので、花瓶に挿す必要は無く、その点では楽であった。 ルリタテハの終齢幼虫の魅力は、何と言ってもその棘状突起にあると思う。そこで、等倍で接写した棘の写真を数枚並べることにした。棘の各先端に剛毛が生えているのが良く分かる。また、基部に近い黄白色の部分には微毛が無数に生えているのが見える。この様な微毛は4齢幼虫には無かった様に思うが、4齢では等倍接写をしていないので、分解能が低くて見えなかっただけなのかも知れない。ルリタテハ終齢幼虫の棘状突起.先端に剛毛が1本ずつ生えている(写真クリックで拡大表示)(2009/09/10)ルリタテハ終齢幼虫の棘状突起(その2)(写真クリックで拡大表示)(2009/09/10)ルリタテハ終齢幼虫の棘状突起(その3)(写真クリックで拡大表示)(2009/09/10) さて、この次は兪々蛹化と羽化である。しかし、まだ写真の調整が全然出来ていない。掲載まで今少しお待ち願いたい。[追記]これらの幼虫は全て無事成虫に羽化した。以前、以降の記録は下記の通り。 内 容 掲載日 卵と初齢幼虫 8月29日 2~3齢幼虫 9月 8日 4齢幼虫 9月18日 前蛹、蛹と成虫 10月19日
2009.10.06
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正月も7日を過ぎて、もうしめ飾りにもお引き取り願ったのだが、ネタは全然現れない。この冬は何故か毎年1~2頭は居る筈のホソヒラタアブですらも全く姿を現さない。この分だと1月の更新は無い、と云うことにもなりかねないので、非常の手段を執ることにした。 地面に直に置いている植木鉢の下に居る連中である。余り可愛い生き物は居ない。多足類(ムカデ、ヤスデ、ゲジゲジ)やダンゴムシ、或いは、もっと不気味なコウガイビル・・・、何れも新年早々のネタとしては相応しくない。其処で、今日はその中でも比較的マトモなカタツムリの1種を紹介することにした。植木鉢の下に居るトクサオカチョウジガイ(写真クリックで拡大表示)(2010/01/08) 縦長の筆状のカタツムリで、殻高は1cm前後、小さな陸生貝類である。実は、始めはキセルガイの1種だと思っていたのだが、調べてみると、キセルガイは左巻きで殻口に上板と下板と云う2つの突起が有るのに対し、この貝は多くのカタツムリと同じ右巻きで殻口は平滑である。 縦長で右巻きの陸生貝類には、キセルガイモドキやオカチョウジガイその他のグループがある。保育社の「原色日本陸産貝類図鑑」の図版を見てみると、どうやらオカチョウジガイの仲間(オカクチキレガイ科)らしい。図鑑には同科に属す3属7種が載っている。 因みに、キセルガイ科はこれよりずっと大きな科で、日本には200種近くが棲息するとのこと。最初の写真左端の個体を拡大(写真クリックで拡大表示)(2010/01/08) しかし、図鑑を持ってはいるものの、カタツムリ類に関しては超ド素人である。図鑑の図版は小さいし、解説も余り詳しく書かれていない。其処で、関西学院大学の「微小貝」と云うHPを参照してみた(オカクチキレガイ科は8種あり)。・・・すると、写真の貝が最もよく似ているのはトクサオカチョウジガイ(Paropeas achatinaceum、Allopeas javanicumとしているサイトもある)であった。 貝殻の形(尖り方)と質感(不透明で光沢がない)や色彩、殻表の生長線が粗いこと等がよく似ている。また、この貝は平地に多産するそうなので、その点でも一致する。我が家の庭の貝は大きさにかなりの変化があるが、恐らく生長度の違いであろう。しかし、何となく自信が持てないので「?」を着けておくことにした。 トクサオカチョウジガイは、アフリカマイマイ超科オカクチキレ(ガイ)科に属し、関東以南に分布する。外来種(移入種)だそうで、分布拡大中とのこと、要注意種かも知れない。最初の写真とは別の場所に居た(写真クリックで拡大表示)(2009/01/08) この貝、植木鉢の下の土にワンサと居るが、皆既に死んでいる。生きている貝は居ない。今年は余り多くなかったので、丁度1年前に撮った写真を下に示した。多くの貝はまだ土の中に埋もれており、その儘放置して雨に晒し、12日後に撮ったのがその次の写真である。 かなり沢山の貝殻が写っている。しかし、この間に40mm以上の雨が降っており、しかもかなり強い降雨があったので、土の上にあった貝殻の多くは流れてしまったものと思われる。昨年の1月上旬に撮った写真.16~17個の細長い貝殻が認められる丸い微小なカタツムリも左右に見える(写真クリックで拡大表示)(2009/01/08) 其処で、どの程度の密度で貝殻が存在するのかを調べてみた。植木鉢直下の約7cm四方の土を、深さ約1cm(約50cc)まで採取し、泥を洗い流して貝殻のみを取り出した。一つ前の写真の12日後に撮影、雨に洗われて土の下から合計40前後の貝殻が現れた(写真クリックで拡大表示)(2009/01/20) 何と、71個もあった(下の写真)。1リットル当たり、約1400個と云うことになる。印象として今年は昨年よりも数が少ないので、昨年ならばもっと沢山の貝殻が見つかったかも知れない。約50ccの土の中にいたトクサオカチョウジガイ全部で71個体、大きさにはかなりの違いがある(写真クリックで拡大表示)(2010/01/07) しかし、これらの貝殻、全部中身はない。全て死んでいる。恐らくこの貝は1年生の卵越冬で、秋に産卵した後、風の当たらない湿り気の多い植木鉢の下に移動し、其処で一生を終えるのであろう。 しかし、普段は何処で生活しているのか? 朽木や落葉等の腐植質を食べているのだろうが、暑い時期に見た記憶がない。尤も、夏には余り植木鉢の下など調べないから、気が付かないだけなのかも知れない。大きいもの(殻高約9.5mm)と小さいもの(殻高約5.0mm)を1個ずつ拡大してみた.大きさや巻数が違うのは生長度の違いか?なお、左右の写真の拡大率は同一(写真クリックで拡大表示)(2010/01/07-08) 新年早々余りパッとしない生き物の残骸を紹介した。しかし、こうも新顔が少なくなると、今後は地表や土中の生き物を探すしかない。何分にも酷いネタ不足なので、暫くこの手の生き物の紹介が続く可能性が高い。[覚書]:編集中に何回(合計5~6回)もIEが予告無く落ちた。御蔭で更新作業に1時間半もかかってしまった。システムをリセットしても同じで、どうもこの楽天ブログの編集ページにあるスクリプトに何らかのバクがあるのではないかと思われる。編集途中で「下書き保存」を4回も行って、何とか作業を完遂できた。
2010.01.09
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前回に引き続き、2番目のニセアシナガキンバエを紹介する。田悟(2010)(「関東地方にて採集したアシナガバエ科の記録」,はなあぶ No.30-2,1-96)で、ウスグロエダナシアシナガバエの新称を与えられた、ホソアシナガバエ亜科(Sciapodinae)のMesorhaga sp.1である(今日の写真の種については、田悟氏から確認を頂いた)。 実は、一昨年の夏に「ニセアシナガキンバエ」を掲載した時から、どうもこの辺りに居る「ニセアシナガキンバエ」には複数種が含まれている様な気がしていた。其処で、以前に撮影した写真を調べてみると、遠目にはソックリだが、翅脈相の大いに異なる種が見つかった。撮影当時は、「ニセアシナガキンバエその1」であるウデゲヒメホソアシナガバエ(Amblypsilopus sp.1、以下ウデゲと略す)と区別が付かなかったらしい。 尚、Web上にある「アシナガキンバエ」の写真を1時間余り調べてみたが、明確に本種と思われる写真は見つからなかった。ウスグロエダナシアシナガバエ(Mesorhaga sp.1)の雄M1+2脈は分岐せず、緩やかに湾曲する背中の真ん中付近に中刺毛が見える(写真クリックで拡大表示)(2007/05/28) このアシナガバエは、2007年から毎年(日本不在の09年を除く)自宅やその近く(東京都世田谷区西部)で撮影されており、興味深いことに、撮影日は何れも5月17日から5月28日までの約10日間に限られていた。昨年は、写真は撮ったものの、「身柄の確保」に失敗したので、双翅目の掲示板「一寸のハエにも五分の大和魂・改」に御伺いを立てるのは控えた。同種の雌.上の個体とは異なり青味が強い(写真クリックで拡大表示)(2010/05/28) 其処で、今年こそはと思い、5月の中旬から自宅や近くの緑地で、その出現を待っていたのである。今冬は寒さが厳しかったせいか、虫の出や草木の開花が、種類によってはかなり遅れた。今年の初見は5月31日、最終は6月8日で、2週間程ずれているものの、やはり出現時期は極く狭い範囲に限られていた。同一個体.この手のアシナガバエはみな精悍な顔をしている雌の場合、中刺毛は不明瞭、乃至、見えない(写真クリックで拡大表示)(2010/05/28) ニセアシナガキンバエその1であるウデゲと「遠目にはソックリ」と書いたが、このウスグロエダナシアシナガバエ(以下、ウスグロと略す)は、その名前の通り翅がやや暗色で、光線の具合によっては殆ど透明に見える時もあるが、青やかなり黒い色に見えることが多い。同一個体の超接写写真(約1.5倍).この程度の倍率で撮影すると、中刺毛が微かに認められる(写真クリックで拡大表示)(2010/05/28) このウスグロの第1の特徴は翅脈である。本種の属すMesorhaga属では、写真でお分かりの通り、M1+2脈は分岐せずに緩やかに湾曲し(翅脈についてはこちらの5番目の写真を参照されたい)、他属のホソアシナガバエ亜科(Sciapodinae)の様に、M2脈を生じることはない。和名に含まれる「エダナシ」は、このことを意味する。 この様な翅脈相はホソアシナガバエ亜科の中では極めて特異的である。今年撮影した赤味の強い雄.かなり分かり難いが中刺毛が片側2列あるのが認められる(写真クリックで拡大表示)(2011/06/07) 九州大学の日本産昆虫目録を見ると、Mesorhaga属には、M. janataと、現在ではCondylostylus属に入れられているマダラホソアシナガバエ(マダラアシナガバエ)の2種が属すのみで、M. janataがどんな特徴を持つのかは、調べてみたが良く分からなかった。田悟(2010)にも何も書かれていない。また、田悟(2010)に載っているMesorhaga属は、本種1種のみである。上の個体の標本・頭部拡大写真(約3.5倍).2方向から撮影後単眼刺毛(poc)は3対に見えるが、他に極く短い刺毛もある略号については本文参照のこと(写真クリックで拡大表示)(2011/06/08-0703) さて、次にこのウスグロの細かい特徴を見ることにする。写真は何れも5番目の赤味の強い個体で、日付は撮影日であり、採集日(2011/06/07)ではない。 単眼刺毛(oc)は1対、後単眼刺毛(poc)は、田悟(2010)では4対と書かれているが、写真(上)では3対の様に見える。しかし、角度によっては極く細い刺毛らしきものが1本見えていたりするし(上写真の小白矢印)、写真で刺毛の数を数えるのはかなり困難である。頭頂刺毛(vs)は1対で、これは前方を向き少し下に曲がる。 他に、頭頂付近には後眼刺毛列に続く多数の曲がった長刺毛があり、後頭頂刺毛はそれらからの区別が難しい。尚、このウスグロでは、前回のウデゲとは異なり、頭部刺毛に関する雌雄の差は基本的に認められない。 また、触角第2節(梗節)からは短い刺毛が多数生じている。同一個体の胸部.中刺毛(ac)2列(ac1とac2)背中刺毛(dc)は1列で6本見える(写真クリックで拡大表示)(2011/07/02) 胸背の刺毛は、田悟(2010)に拠れば、中刺毛(ac)が(片側)2列で4~6対、背中刺毛(dc)が1列で5対以上、中刺毛はかなり不規則に並んでいる(上)。しかし、生態写真からは、中刺毛は、雄では細かいながらも認められるが(1、5番目の写真)、雌では不明瞭(2,3番目)、乃至は、疎ら(4番目)に見える。やはり、生態写真で刺毛を確認するのは相当に困難である。同一個体の胸部.記号については本文参照のこと(写真クリックで拡大表示)(2011/07/02) 胸部肩側の刺毛は、肩刺毛が無く(小毛は存在するとのこと)、肩後刺毛(ph)1、背側刺毛(np)2、横溝上刺毛(su)1、翅背刺毛(sa)2、翅後刺毛(pas)1、小楯板側刺毛(is)2となっており、これらは写真からも認められた。尚、刺毛の称呼については異説も色々有るらしいが、これらの名称は田悟(2010)に拠る。 尚、写真は省略するが、前脚付節先端の爪の間からほぼ垂直に伸びる1長毛があり、これはその中央付近で前方へ湾曲する。同一個体の尾端(交尾器).末端の尾角(cercus)の形状は独特横に伸びる長い刺毛が両側にある(黒矢印)(写真クリックで拡大表示)(2011/06/08) 最後に雄の尾端を示す。先端部の尾角(cercus)は先端が2つに分かれる独特の形をしている。また、その側面には強く長い1対の刺毛が認められる(黒小矢印)。 田悟(2010)を見ると、ホソアシナガバエ亜科には、他にも「ニセアシナガキンバエ」の候補が幾つかある。しかし、これ以上書くと楽天ブログの文字制限に引っ掛かってしまうので、これらについては、また別の機会に紹介することとする。
2011.07.22
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先の連休中のある日、中庭のスレートの上に妙な虫が居るのを見付けた。翅長25mm位はある大きなアミメカゲロウの様な虫で、翅に模様がある。ハタハタと頼りない飛び方をする。 留まったところを良く見ると、驚いたことに、トビケラである。トビケラの幼虫は例外なく水生、何でこんな水の無い住宅地のど真ん中に居るのか?? トビケラと云う虫は川の傍にしか居ないと思っていたのだが・・・。ヒゲナガカワトビケラ.水生昆虫が住宅地のド真ん中に出現!!(写真クリックで拡大表示)(2010/05/03) 少し前までは、トビケラに関して全く無知であった。しかし、今年もう一つのWeblogで初めてトビケラを2種紹介したので、少しは分かる様になった。 先ず、北隆館の新訂圖鑑にある検索表で科まで落とす。概略を記すと、小型種でない→単眼がある→小腮鬚は5節→小腮鬚の第5節は第4節に較べて2倍以上の長さで鞭状になる→触角は長く、大型種で、前翅にハッキリとした茶褐色の斑紋がある、と云うことでヒゲナガカワトビケラ科(Stenopsychidae)に落ちた。ヒゲナガカワトビケラの頭部.1~5は小腮鬚の節を示す「L」は下唇鬚だが、トビケラの分類には余り関係ない(写真クリックで拡大表示)(2010/05/03) 少し解説をすると、先ず、上の写真で、頭の上にまるで対空探照灯の様な大きな単眼が見える。単眼は3個あり、これは5番目の正面から見た写真の方がより良く分かる。小腮鬚は小顎鬚、小顎肢(最近よく使われるが、誤解を招く不適切な表現)とも呼ばれ、口器の一部である。これが、トビケラ類では非常に大きい。上の写真で番号を振ってあるのがそれで、全部で5節、第5節は第4節の数倍以上も長く、鞭状になっているのが分かる。 なお、虫の種類によっては、小腮鬚と紛らわしいものに下唇鬚がある。上の写真で「L」で示したのが下唇鬚である。尤も、これはトビケラの分類には余り関係しない。上の写真と同じ.前肢に距が3本ある(矢印)(写真クリックで拡大表示)(2010/05/03) さて次は、種へ落とせるか?である。九州大学の日本産昆虫目録に拠れば、ヒゲナガカワトビケラ科は6種、その内本州に産するのは5種、一方、東京都本土部昆虫目録を見ると、ヒガナガカワトビケラ只1種のみである。 北隆館の圖鑑には2種、他にチャバネヒゲナガカワトビケラが載ってる。まァ、この辺りに珍種が居る可能性も無いので、図鑑に載っている無印ヒゲナガカワトビケラか、このチャバネの何れかであろう。真上から見たヒゲナガカワトビケラ(写真クリックで拡大表示)(2010/05/03) 圖鑑の解説を読むと、決定的な違いは、脛節にある距の数である。また、少しややこしいことになるが、トビケラの分類では、距式と云うものを使って、脛節にある距の数を表す。もし仮に、前肢脛節には距が無く、中肢脛節では2本、後肢脛節では4本、であれば、距式は0-2-4と表される。圖鑑に拠れば、チャバネの距式は雄が0-4-4、雌が2-4-4、一方、無印ヒゲナガカワトビケラでは、雌雄共に3-4-4である。頭の上に航空探照灯の様な3個の単眼が見える(写真クリックで拡大表示)(2010/05/03) 写真のトビケラではどうか? 3番目の写真や此処に示していない写真から総合的に判断すると、前脚には3本,中脚には4本の距が認められる。後肢の距は良く見えないが、前肢、中肢で3-4だから、これは明らかにチャバネではない。無印ヒゲナガカワトビケラの解説を読むと、「産地から平地に広く分布し、全種[チャバネ]よりも分布も広く密度も高い」とある。圖鑑に載っていない珍種である可能性は、論理的には否定出来ないが、まァ、無印ヒゲナガカワトビケラ(Stenopsyche marmorata)として良いであろう。トビケラは毛翅目だが、この種では翅に毛が少ない(写真クリックで拡大表示)(2010/05/03) しかし、何故に水生昆虫のトビケラが我が家に現れたのか。私の住んでいる町は、東西を互いに約1km離れた2本の川に囲まれている。我が家はその中央よりやや東に位置するが、近い方の川でも400m位は離れており、また、何れの川も崖を下った所を流れている。其処から、自分で飛んで来たとは思えないし、また、風が強い日があった訳でもない。 圖鑑に拠ると、ヒゲナガカワトビケラは灯火によく飛来するそうである。川から明かりを求めて飛んでいる内に迷子になり、挙げ句の果てに、我が家の庭に現れたのであろうか。翅の付け根辺りには長い毛が多い(写真クリックで拡大表示)(2010/05/03) 今日、朝のコーヒーを飲む為にベランダの椅子に座ったら、ヒトスジシマカが数頭現れた。今年初見である。早速、横に置いてあるネットで掬い取って処分したが、兪々蚊の季節に入ったらしい。蚊、特にヒトスジシマカは大嫌いである(好きな御仁はまァ居ないだろうが・・・)。しかし、それでも寒いのよりは暖かい方がずっと宜しい。
2010.05.22
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今日は以前予告したキタヒメヒラタアブの「曲芸的」身繕いを紹介しよう。 このアブ、先週辺りからは何故か急激に少なくなって来たが、一時は我が家の庭の至る所で見られた最普通種であった。体長は8~11mm、以前紹介したフタホシヒラタアブとほぼ同じである。しかし、体はフタホシよりも細いので、全体としてはもっと小さく見える。特に雄は体が細い個体が多く、虫に興味のない人の目には映らないかも知れない。キタヒメヒラタアブの雌.眼と眼の間隔が広く、互いに接していない体長8.5mm(2007/05/14) 実は、このキタヒメヒラタアブにはホソヒメヒラタアブと言う非常に良く似た近縁種が居て、正確には交尾器を見ないと判別できない。虫屋泣かせなのだが、体長8mm以上のホソヒメヒラタアブは居ないらしいので、此処ではキタヒメヒラタアブとしてある。まァ、何とも、いい加減な根拠ではあるが・・・。キタヒメヒラタアブの雄.両方の複眼が接している.体長9.5mm雄としては体が太い(2007/05/21) さて、身繕いの方である。下の写真は両後肢を同じ高さに上げて翅を擦っているところ。背側から見れば、左右対称になっているはずである。何か、体操でもしている感じ。キタヒメヒラタアブの身繕い.両後肢を揃えて翅を擦っている(2007/05/14) 次がスゴイ。手前の後肢は上の写真と同じで羽を擦っているが、反対側の後肢の先端は胸の上部から突き出て、少し頭の方へ向いている。胸部を擦っているのだろうか? 基節と腿節の繋ぎ目を180度位回転させないと、こんな芸当は出来ない。或いは、腿節と脛節の間も回転出来るのだろうか?曲芸的なキタヒメヒラタアブの身繕い.反対側の後肢の先が変な方向を向いている(2007/05/14) 次は、両後肢を揃えて、お腹を絞っている?ところ。腹部を綺麗にしたいのか、或いは、腹具合でも悪いのか? 腹部が相当変形している。脚の力がこんなに強いとは思わなかった。お腹を絞る?キタヒメヒラタアブ(2007/05/14) このキタヒメヒラタアブが留まっていたのは、以前紹介した北米原産シオンの1種である。この場所がお気に入りの様で、その後もずっとこの場所に留まっていた。夜になって11時頃にもう一度見に行ったら、同じ場所で寝ていた。 しかし、次の日の朝はアブさんの方が早起きであった。見に行ったときにはもう居なかった。
2007.06.17
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木曜日の夕方に旅行から帰った。しかし、その後の天気は不順で虫は殆ど来ない。それまでに撮った写真も丁度使い果たしていたので、ネタ切れになっていた。 今日になって漸く良い天気となり、虫どももやって来たが、何れも掲載済みの種類ばかり。そこで、以前から居間の入り口の傍で巣を造っているクモを取り上げることにした。 体長5mm強の小さなクモである。名前は知らないが、コガネグモ科に属すことは明らかである。ギンメッキゴミグモ.体長5mm強.羽虫を食べているところ(2007/11/04) 調べてみると、ギンメッキゴミグモ(銀メッキ塵蜘蛛)と言う何とも奇妙な名前のクモであった。確かに腹部が銀色をしている。他の部分は、飴色をしている所が少しあるが、大部分は真っ黒。 こう言う手合いは撮り難い。ストロボを使うと、腹部の明るいところは直ぐに白飛びしてしまうし、黒い部分は背景と区別が付かなくなる。 そこで、灰色の厚紙を左手でクモの後にかざし、右手でカメラを持って撮影した。だから、今日の写真の背景は総て灰色である。網にかかった虫に向かうギンメッキゴミグモ(2007/11/04) 丸い巣(円網)を張るクモは、普通頭を下にして巣の中心に陣取る。しかし、このギンメッキゴミグモやその近縁種は頭を上にする。これは、種類を識別する際の手立ての一つになる。 最初写真を撮ったときは、丁度アブラムシの有翅虫の様なものを食べているところであった。其処へ以前紹介したミドリグンバイウンカが網に引っ掛かった。慌てふためいて出動するのかと思ったら、意外にも、ゆるりとお出ましになった。横で何やら怪しげな光をピカピカさせている不審者(私)が居たせいかも知れない。ミドリグンバイウンカを襲うギンメッキゴミグモ.腹部の裏側は螺鈿(らでん)細工の如し(2007/11/04) 普通は獲物を糸でぐるぐる巻きにするはずだが、この時は何故かしなかった。しかし、写真を見ると、腹部から糸を何本も獲物の方に出しているのが見える。下にその部分拡大を示した。上の写真の部分拡大.腹から糸が何本も出ているのが見える(2007/11/04) 毒液を注入されたらしく、ウンカは直ぐに動かなくなった。するとクモさん、ウンカを其処に置いたまま、また巣の真ん中に戻り、それまで食べていた羽虫に再び取り付いて、御食事を継続。ウンカに口を当てている.毒液を注射しているのかも知れない(2007/11/04) ウンカは食べないのか、とも思ったが、暫くして見に行くと、今度はウンカを巣の中央の運んで食べていた。「ウンカを捕まえた」と言うことを、クモはチャンと憶えていた訳である。
2007.11.04
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今日は昨日掲載した「謎の繭」の続きである。 繭をコップの中に入れてから丁度1週間後、その中で何か小さいものが動いているのに気が付いた。 コップを取り上げて良く見てみると・・・アメバチらしい。体長9.5mm、触角を入れると約15mm、普通のアメバチとしてはかなり小型である。 ご存じの方も多いと思うが、アメバチは他の昆虫に寄生するヒメバチ科(寄生蜂)に属す。「蛾の繭」に寄生したアメバチが出て来たのだから、もうこの「謎の繭」の正体は分かり様がない、と思った。 残念だが仕方がない。まァ、私は大のハチ好きだから、ヤドリバエが出て来るよりはずっと良かった、と自分を慰めた。「謎の繭」の破口(2006/10/29) しかし、よく考えてみると、ハチにも先日のコマユバチの様に繭を作るものがいる。ヒメバチ科はボーダイなグループだし、アメバチ類はその中でも固有の特性を持っているのだから、中には繭を作るものもあるかも知れない・・・、と思って「アメバチ 繭」のキーワードで検索してみた。 一発で、「ホウネンタワラチビアメバチ」と言うのが出て来た。普通はイネを食害するフタオビコヤガやセセリチョウなどに寄生するハチとして知られているが、実際には相当広範囲の鱗翅目(蝶、蛾類)の幼虫に寄生するらしい。ちなみに、「ホウネン」は「豊年」のことで、この虫が沢山発生するとイネの害虫が減って豊作が期待出来るからだそうである。他に、ホウネンタワラヒメバチ、ホウネンタワラバチなどの異称もあるとのこと。 正確にはホウネンタワラチビアメバチなのか、その近縁種なのか不明な点が多いが、ここでは「ホウネンタワラチビアメバチ」としておこう。ホウネンタワラチビアメバチ.体長9.5mm、触角を入れて約15mm(2006/10/29) 最初からハチの繭だったのだ!! しかし、コップの中にいるのをどうやって写真に撮るか? 少し考えた。部屋の中で放てば、ハチは多分明るい方へ行くだろうからカーテンにとまったところを撮ればよい、と思いハチを放すことにした。 予想通り、ハチはカーテンにとまったので、シッカリ写真を撮ることが出来た。しかし、何分にもカーテンが白いレース地の為、肝腎のハチが少し見え難くなっている。ホウネンタワラチビアメバチ.横から(2006/10/29) このハチは普通のヒメバチと異なり、芋虫の体から抜け出して繭を作る。だから、繭のぶら下がっていた辺りに芋虫の干からびた死骸があるはずである。しかし、繭を保護した後で鉢を移動したので、どの枝に繭がぶら下がっていたのかもう分からなくなっており、残念ながら死骸を見つけることは出来なかった。 見つかった繭はたった1個である。この秋にキチョウの幼虫が見られない原因の一つに、このチビアメバチも関係していたのかどうかは、実のところ良く分からない。
2006.11.21
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本当はWeblogの原稿を書いている閑など無いのだが、前回の更新から2週間も経ってしまったので、簡単な記事を載せることにした。 前回紹介したスイセンハナアブと同じ日に撮影したツゲノメイガ(Glyphodes perspectalis)である。「柘植之螟蛾」ではなく「柘植・野螟蛾」で、現在はツトガ科(Crambidae)ノメイガ亜科(Pyraustinae)に属す。以前は、例えば手元にある保育社の古い蛾類図鑑(昭和32年発行)では、メイガ科ノメイガ亜科の所属となっている。柿の木の葉裏に留まったツゲノメイガ(写真クリックで拡大表示)(2011/05/20) 庭を歩いていたら、足許からモンシロチョウ位の大きな白っぽい蛾が飛びだした。しかし、直ぐに近くにある草の葉裏に逃げ込んでしまい、姿は良く分からない。近づくとまた飛んで逃げる。何回か、追いかけっこをした結果、少し高く飛んでカキの木の葉裏に留まった。これなら姿が良く見える。 開張5cm位あるかなり大きな蛾である。白地で黒枠と云う模様から、ヨツボシノメイガ(ヨツホシノメイガ)や、お尻の先をクネクネさせるので有名なワタヘリクロノメイガ等と近縁の「アレ」であることが直ぐに分かった。真上にいる虫を撮るのはシンドイ.翅の左の部分はボケている(写真クリックで拡大表示)(2011/05/20) 早速図鑑を開いてみると、ツゲノメイガであった。しかし、この古い図鑑では、上記の2種の他に、ミツシロモンノメイガ、クワノメイガ等、何れも同じDiaphania所属となっているが、「みんなで作る日本産蛾類図鑑」に拠ると、ツゲノメイガとミツシロモンノメイガはGlyphodes属、ヨツボシノメイガはTalanga属、クワノメイガはGlyphodes属で、Diaphania属に属すのはワタヘリクロノメイガ1種のみとなっていた。 まァ、昭和32年の図鑑だから、現在の状況と大いに違っていても些かもおかしくはない。真上なので、今度は体を180度回転させて撮影前の写真よりもストロボの反射がより強く画像処理で誤魔化した為、色調がヘン良くない写真の例として載せた(写真クリックで拡大表示)(2011/05/20) こう云う純白に近い部分を持つ蛾は、自然光で撮らないと、白い部分の反射が強く露出過度になるし、構造色が出て本来の色と違ってしまう。しかし、頭上のカキの木の葉裏では、逆光で自然光での撮影は難しい。仕方なく、ストロボを焚いた。 その結果として、構造色で白い部分が青っぽくなったり、黒の筈が赤味を帯びた金色になっている所が随分ある。また、露出過剰で白飛びした部分を画像処理で誤魔化しているので、かなり変な色調になっている。特に最後の写真など、翅の後縁が妙に霞んでいるが、これは白飛びしている部分の明度を画像処理で無理矢理下げた副作用である。同様に、腹部胸部に見える淡い模様も、本来は存在しない人工産物(artifact)で、本当は全体に真っ白である。 今日の拡大写真は、何れも焦点が翅全体に合っていない。何しろ、カメラを真上に向けて撮らなければならないので、撮る方としては実にシンドイ。それに、余り体を反り返らせると、脊柱管狭窄症に非常に良くないのである。
2011.06.11
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昨年の大晦日にツマグロヒョウモンの越冬幼虫を掲載したが、実はその時、植木鉢の下にもう1種類越冬している虫を見付けた。この虫、余り世間様に歓迎される質の虫ではない。しかし、拡大して見ると思いのほか綺麗なので、これも一興かと思い、掲載することにした。 クロゴキブリの若齢幼虫である。掲載するつもりが無かったので、写真は1枚しか撮っていない。クロゴキブリの若齢幼虫.体長5mm2本の白帯があり、触角の先端部も白い(2007/12/31) 昭和3年に建った昔の家にはクロゴキブリが沢山居た。何しろ、昔の木造建築の構造は東南アジア等にある高床式の床を70cm位に低くした様なものなので、ゴキブリは何処からでも侵入できる。身を隠す隙間も無数にあった。昔の我が家は、ゴキブリから見れば正に格好の住処であったに違いない。 これが20年程前に鉄筋コンクリートの西洋長屋に建て替えられた。ゴキブリの侵入できる隙間は何処にもない。ゴキブリも、昨今は住み難くなった、と嘆いているに違いない。御蔭でゴキブリ母さんも室内に入って産卵できず、ウロウロしている間にベランダ辺りで産気づいたらしい。 普段は越冬中の虫には同情的なのだが、やはりゴキブリには余り同情心が起こらない。このゴキブリの幼虫、塵取りに掃き入れられ、バケツ、ポリ袋を経て世田谷区の焼却場へ送られてしまった。
2008.01.20
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もう大分前のことになるが、ゲッケイジュの葉裏に、ハエの様な妙な小昆虫が沢山いるのを見付けた。マクロレンズで覗いて居ると、丁度虫と目が合った。忘れもしないこの漫画的な顔、チャタテムシである。ゲッケイジュの葉裏に居たチャタテムシの1種漫画的な顔?をしている(2008/05/30) 体長2mm強、翅端まで2.5mm、小さな虫である。此処に掲載した写真では、かなりコントラストを上げて虫の存在が目立つ様にしているが、実際はかなり背景に溶け込んでおり、見分けが付き難い。ある1枚の葉の裏にかなりの数のチャタテムシが居たが他の葉では見つからなかった(2008/05/30) チャタテムシは、多くの人にとって余り縁の無い虫ではないだろうか。一部のチャタテムシは屋内害虫としてかなり有名とのことだが、生まれてこの方自宅で発生したことはない。尤も、小さ過ぎて気が付かなかっただけなのかも知れないが・・・。 実はつい最近まで、チャタテムシと言う虫を見たことがなかった。今年の冬に近くの緑地に生えているタラヨウの葉裏に居るのを見付けたのが最初である。この虫も体長僅か2mm、翅が長いので翅端までは3.5mmあったが、やはり小さな虫であることには変わりがない。 しかし、図鑑を見ると「普通」と書かれた種が沢山あり、家の庭で見たことがないのも、屋内同様、居ても気が付かなっただけの可能性が高い。横から見たチャタテムシの1種翅脈が見えそうだが、やはりよく分からない(2008/05/30) Wikipediaに拠ると、チャタテムシはかつては独立のチャタテムシ目に属していたが、最近ではシラミやハジラミと一緒に咀顎(そがく)目に入れられて居り、その中のコチャタテ亜目、コナチャタテ亜目、チャタテ亜目の3亜目が旧チャタテムシ目に相当する。 室内害虫として知られているチャタテムシの多くは、コチャタテ亜目やコナチャタテ亜目に属し一般に無翅で小さく体長2mm以下。有翅チャタテムシの殆どは、チャタテ亜目に属し、一般に屋外で生活する。大きさは様々で、図鑑を見ると、オオチャタテの様に雌の前翅長が8mmに達する大型種もある。正面から見たチャタテムシ.面白い顔をしている(2008/05/30) チャタテムシは一般にカビや地衣類などを餌とする。屋内に発生するのは、通気の悪いところに生えたカビが餌になるからである。乾燥食品や動物標本、書籍等に集るのも、其処に生えたカビを食べる為らしい。斜めから見たチャタテムシ(2008/05/30) ところで、このチャタテムシ、例によって種も分からなければ、科も分からない。小さ過ぎて細部の構造は判別不能だし、翅脈もよく見えない。日本産は100種位記録されているらしいが、北隆館の大図鑑でも僅か20しか載っていない。チャタテ亜目に属すと思われるが、それ以上は「チャタテムシの1種」とする以外に手がない。 屋外で撮影したチャタテムシの写真を検索してみると、その殆どが「チャタテムシの1種」かそれに類する表題になっている。皆さん、何れも小さ過ぎるのと資料不足でお困りの様である。チャタテムシの幼虫.不完全変態をする(2008/05/30) このチャタテムシを見ていると、カイガラムシと思われるもの(2番目の写真の右端)の周辺を探索?していたりするので、ヒョッとして捕食性!?かと思った。しかし、調べてみると、捕食性のチャタテムシと言うのは何処にも出て来ない。やはり、古い葉裏に沢山付いている寄生性昆虫の排泄物などに生えたカビ目当てと考える方が順当らしい。チャタテムシの幼虫と目が合ってしまった(2008/05/30) なお、チャタテムシは漢字で書くと、「茶立虫(茶点虫)」となる。これは、ある種のチャタテムシが抹茶をたてるときの様な音を出すからだそうである。北隆館の大図鑑には「発音器として後脚基節内側のヤスリ状器官と尾端部、口器が挙げられている」と書かれている。こんな小さな虫が一体どんな音を立てるのか、聞いてみたいものである。
2008.07.14
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毎日冴えない天気が続き、虫の方はサッパリである。良いネタがないので、今日もサボろうかと思っていたところ、内玄関横の外壁にチョウバエが止まって居るのを見付けた。 横幅約4mm。「チョウバエ」(蝶蠅)と言っても、触角は糸状で長いからハエの仲間ではなく、蚊の仲間(糸角亜目)である。ハエ、アブは触角が通常3節しかない。 図鑑やInternetを調べると、この写真の虫はどうも普通のオオチョウバエよりも毛深い。チョウバエの仲間は日本に30種も居るそうなので、別種の可能性もあるが、翅の紋は基本的にオオチョウバエと同じなのでオオチョウバエとしておいた。余り自信はない。オオチョウバエ.横幅4mm(2007/10/03) オオケチョウバエ、オオケチョウカの名前もある。浄化槽、排水溝、汚水槽、下水管等で発生し、普通は風呂場や台所に居る虫である。それが何故か屋外に居た。屋外に居ればリッパに「我が家の庭の生き物」で、このWeblogに載せることが出来る。 この虫、どの書物にも載っている有名な衛生害虫で、当然、日本の在来種だと思っていたら、1962年に神奈川県で初めて見いだされた外来種とのこと。結構意外な虫が外来種で、時々驚かされる。頭の方からみたオオチョウバエ.角度が違うと色が違って見える(2007/10/03) 実のところ、こんな衛生害虫は余り載せたくない。早く秋らしく爽やかで、日差しも心地よく、虫の沢山来る天気になって欲しいものである。
2007.10.03
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余り新春に相応しいとは言い難いが、今日は大晦日に撮ったオオワラジカイガラムシの初齢幼虫を紹介する。この虫の成虫(雄、雌)は一昨年(2007年)の春に掲載済みである。 昨年最後の書き込みは12月30日である。その時は、もう一度大晦日に更新する積もりで居たので、新年を迎える挨拶は何も書かなかった。ところが、その後掃除その他に時間がかかり過ぎ、更新する時間が無くなってしまった。まさか、正月早々に旧年中に撮った余り好感をそそらないカイガラムシの写真を載せる訳にも行くまい。そこで、今まで倉庫に入れて置いたのである。オオワラジカイガラムシの初齢幼虫.寝ている?仲間の上を歩く体長約1.7mm(2008/12/31) 大晦日に、何かネタはないかと+3の強老眼鏡を掛けてクリの幹を調べていたら見つかった。体長は約1.7mm、成虫は1cm前後あるから、これは相当の若齢幼虫である。 調べてみると、オオワラジカイガラムシは6月頃に産卵し、卵は夏から初冬の間は休眠していて、12月~1月にかけて孵化するとのこと。これから一番の寒さに向かう時期に孵化するとは、一寸珍しい生活環である。それならば、これは初齢幼虫であろう。 カイガラムシの多くは、先日のタマカイガラムシの様に、孵化したばかりの幼虫は歩くことが出来るが直ぐに固着生活に入る。これに対して、このオオワラジカイガラムシの属すワタフキカイガラムシ科やコナカイガラムシ科の連中は、成虫(雌)になってもかなり活発に歩き回る。 写真でお分かりの通り、この初齢幼虫は普通に歩行する昆虫に引けを取らない立派な脚を持っている。クリの樹皮上を活発に歩くオオワラジカイガラムシの初齢幼虫(2008/12/31) 我が家は20年前に全面改築した結果、大きな樹は1本も無くなってしまった。若木の樹皮の窪みや割れ目を探しても越冬中の虫はそう容易くは見つからない。更新は勿論今後も続けるが、その頻度はかなり低下するであろう。
2009.01.06
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先日、少し遅く帰って来たら、玄関の横の壁に体長1cm位のクモが1匹居るのを見付けた。我が家に多いハエトリグモではなく、地表性のクモの様に見える。折角のネタだが、もう遅いし、タイルに張り付いた写真では味気ないし・・・で、明日までシャーレの中で一泊して貰うことにした。 次の日、まだ多少寒い(動作が鈍い)内に、デュランタ・タカラズカの根元に放して撮ったのが以下の写真。ヤチグモの1種.メガネヤチグモである可能性が高いがシモフリヤチグモの可能性も否定できない(写真クリックで拡大表示)(2010/01/24) 実は、この手のクモは(特に)よく知らない。地面を走り回るクモには、ヤチグモ科、コモリグモ科、ワシグモ科等の他、よく知らない小さなグループも幾つかあるらしい。普段は使わない保育社の「原色日本クモ類図鑑」には科への検索表があるが、細かい形態が指標になっているので、とても使えない。其処で、頭胸部の形態に注意しながら文一総合出版の「日本のクモ」のページをめくって行く。幸いなことに、始めの方にあるヤチグモ科(Coelotidae)が写真のクモの特徴を持っていた。横から見たヤチグモの1種(メガネヤチグモ?)(写真クリックで拡大表示)(2010/01/24) 「日本のクモ」には、ヤチグモ科は現在約30種が記録されている、と書かれているが、図版には9種しか載っていない。しかも、よく似ている種類が多い。しかし、その中でもメガネヤチグモ(Paracoelotes luctuosus)が一番よく似ていた。 解説の方を読むと、「人家、倉庫、神社、寺院などお建造物の周囲、壁の隅、板のつぎ目、すき間、壁の隅、窓枠の隅、植木鉢の下、石垣のすき間などに管状住居を作り、入り口に小さな棚網を張る。都会型のクモで公園や庭園などに多く、産地や樹林地にはほとんど見られない」とある。我が家の環境にピッタシではないか!!正面から見たヤチグモの1種(メガネヤチグモ?)(写真クリックで拡大表示)(2010/01/24) しかし、その次にあるシモフリヤチグモも同様の環境を好み、大きさ、色彩や斑紋も似ている。調べてみると、この2種は、雌の腹の裏側にある外雌器の形状を調べないと区別が出来ないそうである。 ・・・と云う訳で、今日の表題は「ヤチグモ科の1種(メガネヤチグモ?)」として置くことにした。斜めから見た写真も1枚載せておく(写真クリックで拡大表示)(2010/01/24) しかし、このクモ、クモ相?が宜しくない。上顎の毛が顎髭の様に見え、凶暴なヴァイキングを思わせる。可愛らしさとか愛嬌と云うものが、まるで感じられない。まァ、クモの方としては遺伝子に従ってこの様に生まれ、他に選択の余地は無いのだから、クモ相が悪いと言われても困るであろうが・・・。ヴァイキングを想い出させる凶暴な顔をしている少し拡大し過ぎて荒れている(写真クリックで拡大表示)(2010/01/24) 多くのクモには単眼が4対8個ある。このクモの眼を見ると、前中眼と前側眼がほぼ一列に並び、その後に後中眼と後側眼が、少し弧を描きながら、やはりほぼ一列になっている。各眼の大きさには殆ど差が認められない。 こう云う眼の配列や大きさは、科の特徴と言っても良く、近縁種間で差は殆ど認められない。 逆さに、各科の眼の特徴を知っていれば、科の同定に役立つ。但し、科が違っても眼の配列がよく似ている場合もあるので注意が必要。頭胸部を拡大.面白い形をしている(写真クリックで拡大表示)(2010/01/24) 前方中央にある前中眼は光っていないので、その位置が少し分かり難い。角度の違いもあると思うが、これは眼の構造上の違いが原因となっている可能性が高い。多くのクモでは、前中眼(主眼とも呼ばれ他の眼とは構造が違う)以外の眼(副眼と総称される)の眼底にタペータムと呼ばれる反射層を持っている。これにより副眼は真珠色に光って見えるが、タペータムを欠く前中眼は光らないのである。 タペータムは1種の集光装置で、これにより暗い所でも眼がより良く見える様になるらしい。但し、明るい所に住む昼行性のハエトリグモや、全く光の届かない洞窟に棲む種にはタペータムを持たない種が多いとのこと。以上は、吉倉眞著「クモの生物学」からの丸写しである。木の葉で突かれて防御態勢に入ったヤチグモ(写真クリックで拡大表示)(2010/01/24) 最後の2枚の写真(上と下)では、クモさんは脚を体に引きつけて縮こまっている。これは、デュランタの幹の間に逃げ込んだクモさんを木の葉で突いて追い出したからで、防御の態勢である。 クモの脚は簡単にとれてしまうが、容易に再生される。トカゲの尻尾と同じで、自切によることが多い。体を脚で囲んでいれば、攻撃を受けて外側の脚に被害が出ても、体は守れるし脚はやがて再生されるから、こう云う格好をするのであろう。横から見た防御態勢のヤチグモ(写真クリックで拡大表示)(2010/01/24) 此処暫く、一段と寒い毎日である。しかし、昨年掲載した枝垂梅は今満開だし、まだ一度も紹介していないジンチョウゲやボケの蕾も膨らんできた。これからは、もう少し更新の頻度を上げることが出来そうである。
2010.02.06
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最近は、昔撮った写真の整理をしている。昔、と言ってもそんなに古いものではなくここ数年分の写真である。一枚では些か物足りない写真でも、何枚か集まれば、何とか掲載出来る。・・・と言う訳で、今日はコクロヒメテントウの幼虫を紹介する。 この辺りに居るテントウムシの幼虫は、以前紹介したナミテントウの幼虫の様な形をしているものが多い。しかし、テントウムシ類の幼虫は極めて変化に富んだ形態をしており、中にはアカホシテントウの幼虫の様にブキミな怪獣の如き連中もいれば、兵隊アブラムシや平らなカイガラムシにソックリなもの、或いは、このコクロヒメテントウの幼虫の様に、コナカイガラムシやワタフキカイガラムシに擬態している(とされている)ものもある。コクロヒメテントウの幼虫.左側のアブラムシが少し萎んでいるのはこの幼虫に囓られたからかも知れない.左端はアブラムシの脱皮殻(2007/05/16) 上の写真は一昨年(2007年)の5月中旬に撮ったものである。クチナシの若葉に付いたアブラムシが目当てでやって来たらしい。体長は、約2.1mm、ブワブワした衣で被われているので正確な体長が分からないが、まだかなり小さい。左側に居るアブラムシが萎びているのは、このコクロヒメテントウの幼虫に少し囓られたのかも知れない。捕食者を撃退するはずのハリブトシリアゲアリと一緒に居るコクロヒメテントウの幼虫(2009/06/13) 次の写真は、毎回拙サイトを御覧になっている読者諸氏にはお分かりのことと思うが、以前ハリブトシリアゲアリを掲載したときに一寸写っていた個体である。アリマキを捕食者から守るはずのアリと一緒に歩いている。体長は約2.2mm、余り綿状の衣が発達していないところを見ると、脱皮してからまだ日が浅いのかも知れない(別種の可能性もある)。 佐々治寛之著「テントウムシの自然史」に拠れば、この綿状の物は幼虫自身が分泌する蝋物質で、物質的にはワタフキカイガラムシ類のものと相同だそうである。曲がっているが、体長は約5.5mm、終齢幼虫と思われる(2007/06/09) 上の写真も一昨年に撮ったもので、体長は約5.5mm、終齢幼虫であろう。珍しく草本植物であるカクトラノオの上を忙しく歩き回っていた。それを横から撮ったのが、下の写真。口、3本の脚、腹部の体節が見えている。 捕まえて、蝋物質を剥がしたり、裏返しにしてみれば、もっと良く体の構造が分かるのだが、気の毒なので止めておいた。上と同一個体.口、脚、腹部の体節が見えている(2007/06/09) 幼虫はかなり特異な形をしているが、成虫の方はどうかと言うと、体長2mm前後、暗色でお尻の辺りだけが茶色い目立たない甲虫である。ヒメテントウ類は、名前の如く一般に小型で2mmを越える種類は少なく、また、普通のテントウムシよりもずっと縦長なので、一般の人が見てもテントウムシとは思えないかも知れない。 ヒメテントウ類は、庭を「探索」している間にそれらしき姿を見かけることがある。しかし、何時も写真を撮る前に逃げられてしまう。尤も、写真を撮っても、それだけではヒメテントウ類の同定は難しいだろう。 尚、前述の文献に拠れば、ヒメテントウ族の幼虫の大部分は、綿状の蝋物質を出すとのこと。写真の幼虫は最普通種である「コクロヒメテントウの幼虫」として置いたが、或いは、別のヒメテントウの幼虫である可能性も否定は出来ない。
2009.07.25
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今日は、前回予告したガガンボの美麗種を紹介する。ホリカワクシヒゲガガンボ(Ctenophora bifascipennis)、ガガンボ科(Tipulidae)ガガンボ亜科(Tipulinae)Ctenophorini(クシヒゲガガンボ族?)に属す、翅長約15mmの中型ガガンボである。 隣家との境になっているブロック塀の表面を這い回っていた。目の高さよりも上に行きそうになったので、左の掌で前を遮ると、飛んで逃げることもなく大人しく進行を停止した。その後、撮影の最中に電池が切れたが、新しい電池に交換して戻ってきても、まだ同じ場所に留まっていた。中々律儀?なガガンボである。ブロック塀に留まるホリカワクシヒゲガガンボ(雌)翅の模様が特徴的な美麗種(写真クリックで拡大表示)(2010/05/29) 背景がブロック塀とは何とも味気がないが、こればかりは何とも致し方ない。もっと綺麗な背景の場所に移ってくれれば良いのだが、逃げられては元も子もない(後述)。何卒御勘弁頂きたい。 なお、上の写真は、拡大すると背景から虫体が浮き上がって見えるので、その様にして御覧頂ければ幸いである。横から見たホリカワクシヒゲガガンボ何故か左前肢を空中に持ち上げている(写真クリックで拡大表示)(2010/05/29) ソモソモ、私はガガンボ(カガンボ、ガガンポ)は苦手でよく知らない。しかし、このホリカワクシヒゲガガンボだけは、幸いなことに、以前、双翅目の掲示板「一寸のハエにも五分の大和魂・改」に投稿があり、私も若干関与したので、それだと直ぐに分かった。 この種は手元の図鑑には載っていない。掲示板での投稿が無かったら、種名までは分からないところであった。もう少し近づいて・・・.尖ったお尻が印象的(写真クリックで拡大表示)(2010/05/29) この個体、名前は「櫛鬚」だが、下の写真の通り、触角は数珠状で櫛状ではない。これは、この個体が雌だからで、クシヒゲガガンボ類の雄は、名前の通り、櫛状の触角を持つ。数珠状の触角、頭の後側には毛が多い(写真クリックで拡大表示)(2010/05/29) 実は、昨年の8月末に、同種雄の残骸を庭で見つけた。この辺りでは見たこともない鮮やかな模様のガガンボだったので、かなり酷く破損した個体ではあったが、一応撮影して置いた。下の写真がそれである。チャンと櫛状の触角をしている。昨年の夏に見つけたホリカワクシヒゲガガンボ(雄)の残骸雄の触角は名前に違わず櫛状で大きい残骸なのでかなり褪色している(写真クリックで拡大表示)(2009/08/30) 前述の掲示板での投稿に回答されたのは、九大名誉教授の三枝先生である。先生の御話では、ホリカワクシヒゲガガンボは暖地に多い種で、市街地などにも時々現われるとのこと。また、クシヒゲガガンボ類の多くは朽木に穿孔してこれを食べるが、本種の雌は、腹の先にある細く尖った産卵器で腐葉土中に産卵し、幼虫は腐葉土を食べて生長するそうである。ホリカワクシヒゲガガンボの横顔小腮鬚が複雑に折り畳まれている(写真クリックで拡大表示)(2010/05/29) 先生は飼育についても書かれている。「メスを採集すれば飼育は簡単で,腐葉土を十分に湿らせたのを厚くいれた容器にメスを放せば盛んに産卵し,幼虫は腐葉土を摂食して成長します。幼虫はかなり大型なので,多数を飼育する場合は頻繁に腐葉土を入れてやる必要があります。桜などの葉を乾燥させたものを細かく砕いて腐葉土にまぶしてもいいでしょう。羽化は蛹が地上に上半身を出して脱皮します。なかなか美しいガガンボですので,メスを採集したら飼育を試みられたらと思います」とのこと。飼育の詳細は、「川瀬勝枝・三枝豊平,1984.ホリカワクシヒゲガガンボの飼育記録。まくなぎ,(12):31-34.」を参照すれば分かるらしい。モミジの葉上に移ったホリカワクシヒゲガガンボ残念ながら、葉の反射が一寸強過ぎた左に葉があるので少し斜めに撮影(写真クリックで拡大表示)(2010/05/29) 一通り写真を撮ってから、背景が余りに無粋なので、何処か葉の上にでも誘導出来ないかと思い、一寸チョッカイを出してみた。慌てて逃げることはなく、緩やかに飛んで彼方此方移動したが、小さな木の葉や枝などは留まり難いらしく、やがて重なったモミジの葉上に留まって動かなくなった。しかし、撮影してみると、葉からのストロボ光の反射が強過ぎる(上の写真)。 其処でもう一度チョッカイを出した。すると・・・、あらら摩訶不思議、ガガンボの姿が消えてしまった。こんなに大型でしかも緩やかに飛ぶ虫が突如見えなくなるとは何とも理解し難いが、兎にも角にも、居なくなってしまった。蛾などはポトリと落ちて突如眠りに入ることがあるので、下の方も探してみたが、やはり見付からない。 ・・・と云う訳で、綺麗な背景の写真は遂に撮れなかった。飼育の方も、親が居なければ諦めるしかない。
2010.05.31
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最近はどうも新しい虫が来ない。花の方はカクトラノオ(ハナトラノオ)が満開となり、「キク科の雑草」(友禅菊の類他)も咲き始めているが、やって来るのはデュランタに来ていたのと同じイチモンジセセリ、キチョウ、モンシロチョウ、ツマグロヒョウモン、オオスカシバ、ホシホウジャク、ハラナガツチバチの類、戻って来たハラビロカマキリ・・・。 仕方ないので、カクトラノオで吸蜜をしていたオオスカシバの写真を掲載することにした。オオスカシバの成虫は、昨年紹介したが、それは数年前にコンパクトカメラで撮った写真であった。今回のは撮りたてのホヤホヤである(新しいからと言って、別に大して有難くもないが・・・)。カクトラノオで吸蜜するオオスカシバ(2007/09/24) 写真は山程有るので、今日は特に大盤振る舞いである。 オオスカシバは我が家の「三大害虫」に認定されてはいるものの、本来は私の好きなスズメガ科の蛾である。先日はハラビロカマキリの餌食として甚だ面目ない形で登場させたので、今回は名誉挽回を図ってやらなければなるまい。 以下、オオスカシバ君のカッコイイ飛行姿と、可憐なる表情を御覧頂きたい。花粉が飛び散っている(2007/09/24)次の花に狙いを定める(2007/09/24)オオスカシバの口吻はホシホウジャクの1/2位しかなく頭を突っ込まないと蜜が吸えない(2007/09/24)花の周辺を遊弋中(2007/09/24)花に向かって突撃!!(2007/09/24)頭を突っ込む(2007/09/24)別角度から(2007/09/24)蜜を吸う前か、吸った後か?(2007/09/24)空中静止は御家芸(2007/09/24) 如何であろうか、オオスカシバ君の華麗なる飛行と愛らしくひたむきな姿を御堪能頂けたであろうか。 虫達にとって、害虫、益虫と勝手に決め人間は、ネロにも勝る暴君に違いない。私もその「暴君」の1人ではあるが・・・。
2007.09.27
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余り時間もないので、今日も手のかからない虫を紹介しよう。 オオカマキリ(Tenodera aridifolia)褐色型の終齢幼虫である。「北米原産シオンの1種」の上に居た。体長は既に約7cmとかなり大きい。Web上で調べると、褐色型は特に珍しいものでもない様だが、この辺り(東京都世田谷区西部)でオオカマキリの褐色型を見た記憶がない。其処で、どんな成虫になるか早速捕まえて飼育箱(100円ショップのパンケース)の中へ。オオカマキリ褐色型の終齢幼虫体長は約7cmでかなり大きい(写真クリックで拡大表示)(2011/08/06) 実を言うと、オオカマキリかチョウセンカマキリか、幼虫での区別の仕方を知らない。しかし、この辺りでチョウセンカマキリを見たことがないので、オオカマキリであろうと推測している訳である。何れにせよ、成虫になればハッキリする。少し横から撮ってみたが上と余り違いがない(写真クリックで拡大表示)(2011/08/06) 現在では、カマキリは螳螂目(Mentodea)に入れられている。しかし、私が子供の頃使っていた戦前の昆蟲圖鑑では、バッタと同じ直翅目に属していた。ゴキブリも一緒である。今でもカマキリ目とかゴキブリ目(Blattodea)と云われると、何となく変な感じがする。ズミの枝にぶら下がるオオカマキリの終齢幼虫(写真クリックで拡大表示)(2011/08/06) 捕まえたのは一週間程前のこと。飼育中の餌は鶏肉、小さく切って、ピンセットで抓んで目の前をブラブラさせると飛びかかってくる。しかし、結構気が弱く、余り激しく餌を振り回すと、逃げ出してしまう。まだ幼虫で自信がないせいか?「蟷螂の斧」を振りかざして威嚇する様なことは全くない。 写真は「やらせ」ではなく、庭に一寸放して「散歩をさせている」時に撮ったものである。逃げ足は速いが、草むらの中に入り込んで逃げる、と云う様なことをしないので、簡単に再捕獲されてしまう。まだ幼虫だが、顔は殆ど一人前(一匹前?)のオオカマキリ(写真クリックで拡大表示)(2011/08/06) 蟷螂の斧を振りかざす様なことはしないが、顔を見ると、既にリッパなカマキリである。オオカマキリらしく、以前紹介した緑色型の成虫と同じ「恐い顔」をしている。ハラビロカマキリは、顔の輪郭が丸くオニギリ型で、何となく愛嬌があるが、オオカマキリやチョウセンカマキリの顔は可愛げを感じさせない。顔の拡大。成虫の顔と殆ど差がないが、単眼が発達していない(写真クリックで拡大表示)(2011/08/06) 成虫と同じく恐い顔をしているが、良く比較してみると、幼虫と成虫では単眼が異なる。触角より少し上にある、左右の触角の間に見える3つの黄色い構造が「単眼」である。単眼もレンズ眼なのだが、写真ではレンズ的な感じがしない。恐らく、幼虫ではまだ「単眼」ではなく、単眼の原基に過ぎないのであろう。終齢幼虫なので、翅芽が発達している.模様が綺麗(写真クリックで拡大表示)(2011/08/06) 翅の原基(翅芽)が綺麗なので、ほぼ等倍で接写してみた。成虫になると、前翅と後翅では全然質が違うのだが、原基では、幅は違うが同じ様な構造をしている。 横から見たのが下の写真。但し、方向を反対にして撮影してしまったので、比較しやすい様に写真の左右をひっくり返してある。下の写真に写っている翅芽は、上の写真では上側にある。横から見ると、前翅と後翅で翅脈にかなりの差があることが分かる。横から見た翅芽.左右を反対に撮影してしまったので鏡像にしてある手前の翅芽は上の写真では上側の翅芽である(写真クリックで拡大表示)(2011/08/06) 今日は久しぶりに朝から暑い。昨日までカラミンサにワンサと集っていたハナバチ類が、今日は余り姿を見せていない。ある程度以上暑くなると、虫の方も「今日はアチーなー」とか言って何処かで休んでいるらしい。
2011.08.07
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最近は、朝晩は寒くても、日中陽が射せばぽかぽかと春らしい陽気となってきた。啓蟄も過ぎて、虫が色々出て来てもおかしくない頃だと思うのだが、庭を飛んでいるのは常連のホソヒラタアブ、クロヒラタアブ位なものである。 しかし只一つ、今年は例年にはない「異変」が認められた。まだ、寒い1月下旬か2月上旬辺りから、時折ミツバチがやって来るのである。花に来ている様子はなく、木の細い枝や葉に留まり、30秒も経つと何処かへ飛んで行ってしまう。 それが、数10株もある庭のクリスマスローズが咲き始めた頃から急にその数が増え、昨日などは10頭余りが庭を飛び交っていた。クリスマスローズの花は下向きだから、訪花しているハチは花に隠れて見えないことを考えると、20頭以上は来ていたのではなかろうか。 こんなことは、我が家始まって以来?のことである。我が家でミツバチが現れるのはもっと遅くなってからだと思うし、こんなに沢山のミツバチがやって来たことは、生まれてこの方、記憶にない。しかし、良く見てみると、どうもニホンミツバチより少し大きい感じがする。また、腹部の黒い部分が少ない。ヒョッとして、これはセイヨウミツバチではないのか?背景用の厚紙の上を歩き回るセイヨウミツバチニホンミツバチよりも腹部が黄色い(写真クリックで拡大表示)(2011/03/05) セイヨウミツバチかニホンミツバチかは、翅脈を見れば簡単に分かる。しかし、クリスマスローズの花は下向きなので写真が撮れない。花を起こせばハチは逃げてしまう。其処で一計を案じた。 生け捕りにして冷蔵庫で冷やし、動けなくしてから写真を撮るのである。早速、捕虫網で1頭を捕らえ、網の中でシャーレに入れて冷蔵庫行き。このミツバチ達は越冬しているのだから、冷蔵庫程度の低温で死ぬことはない。ミツバチの翅脈.左:ニホンミツバチ、右:セイヨウミツバチ白と黒の矢印で示した部分が異なる(本文参照)(写真クリックで拡大表示)(2011/03/05) 1時間程よ~く冷やしてから取り出すと、ミツバチはシャーレの中でひっくり返っていた。一見死んだ様に見えるが、死んではいない。翅を畳んだ状態なので、此の儘写真を撮っても余り翅脈の見易い写真にはならない。其処で、動き出すまで暫し待つことにした。 やがて、脚と触角がゆっくりと動き始めた。更にもう少し経つと、今度はチャンと起き直って翅を少し拡げた。撮影のチャンスである。急いで翅の写真を撮った頃には、もうかなり元気になっていて、机上で接写をする時に使う台紙の上を歩き始める有様(最初の写真)。 しかし、翅脈が綺麗に撮れていることを確認するまで開放する訳には行かない。また、シャーレに戻って貰って、冷蔵庫行き。ノースポールの花に載せられたセイヨウミツバチ普段、ミツバチはこの花にはやって来ないそれでも赤い口吻を花に差し込んでいる(写真クリックで拡大表示)(2011/03/05) 1回目はピンぼけ写真だったが、2回目にはチャンと翅脈が撮れていた。やはり、セイヨウミツバチ(Apis mellifera)(ミツバチ科:Apidae、ミツバチ亜科:Apinae)であった。2番目の写真で、右がセイヨウミツバチ、左がニホンミツバチ(Apis cerana japonica)である。ニホンミツバチでは後翅のM脈末端がRs脈との接点(正確にはr-m脈)以降も少し伸びている(白い矢印)が、セイヨウミツバチにはそれがない(M脈はRs脈との接点で終わる)。 これは、晶文社の「あっ!ハチがいる」の検索表や、色々なWebサイトで示されている両種の見分け方である。しかし、他にもう一つ翅脈上の違いを見つけた。ニホンミツバチの前翅のr-m(?)脈にある「枝」(黒い矢印)である。セイヨウミツバチにはこれが見当たらない。この様な翅脈上の枝は、時として個体変異として現れることがあるらしいが、数年前に撮った別の写真にもチャンと写っていたし、また、Web上を探すと、同様な枝を持つニホンミツバチの写真が見つかった。まァ、例数が少ないので、今後ニホンミツバチを見つけたら出来るだけ写真を撮って確かめてみよう。似た様な写真をもう1枚.赤い口吻が印象的(写真クリックで拡大表示)(2011/03/05) さて、写真もチャンと撮れたので、ミツバチ君(雌だが・・・)を開放することにした。まだ飛べないので、取り敢えず、ヒラタアブ類の餌として植えてあるノースポールの花の上に置いた。ミツバチはクリスマスローズには沢山やって来るが、このノースポールは全く無視されている。従って、ノースポール上のミツバチは不自然で、ヤラセと言える。しかし、それでもお腹が空いたのか、将又、仕事熱心なのか、何回も筒状花に口吻を差し込んでいた。元気になってきたセイヨウミツバチ中脛節端の黄色い輪が気になる(写真クリックで拡大表示)(2011/03/05) やがて10分もすると、午後の日に照らされて体も充分温まったらしい。プーンと一気に飛び上がり、2度程小さな輪を描いてから、北の方へ飛んで行った。 数10年前読んだ本に、ミツバチは太陽の位置を判断して飛行の方向を定めると書いてあった。太陽が隠れていても、青空さえ見えれば、偏光を感知して太陽の位置を知ることが出来ると云う。しかし、身柄を確保してから2時間は経ったと思うので、太陽の位置は30度も西にずれている。間違った方向に帰って迷子になるかも知れない。少し心配になったので調べてみると、ミツバチは帰巣に際して視覚を有効に活用しているらしい。多分、チャンと帰ることが出来るだろうが、まァ、仮に迷子になったとしても、餌もねぐらも何処にでもあるのだから、死ぬことはあるまい。 セイヨウミツバチは、この数10年間、我が家では見ていないと思う。一体、何処からやって来たのであろうか。ミツバチの行動範囲は半径数km(通常2km位)にも及ぶと云うが、我が家のクリスマスローズ程度の蜜源に遠くからやって来るとは考え難い。この辺りには500坪を越える御宅もかなりある。何処か近くに、庭で養蜂を始めた蜂好きの御人が居られるに違いない。
2011.03.06
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この頃はすっかりサボり癖が付いてしまい、気が付くと前回の更新から1ヶ月近くが経っている。まァ、ネタらしいネタが無かったのだから仕方がないが・・・。 実は、先月の25日にトベラの葉裏にチャタテムシの卵塊を見付けた。しかし、チャタテムシの卵塊の上には母虫が張った網がかかっていて余り綺麗な写真にならないし、やはり孵化した虫を撮らなければ面白くないであろう。そう思って、孵化を待っていた。 卵の内部には既に黒い筋が見えていて、孵化は間近と思ったのだが、これが中々孵化しない。昨日になって、漸く4頭が孵化したので、早速写真を撮り掲載することにした次第。トベラの葉裏で見付けたチャタテムシの卵塊卵の長径は0.50~0.55mm(写真クリックで拡大表示)(2010/02/25) チャタテムシの卵塊を我が家の庭で見付けたのはこれが始めてである。卵は全部で12個、今まで見た卵塊に較べるとかなり小さい。チャタテムシの種類により違いがあると思うが、普通葉裏に見られる卵塊は20~30位のものが多いと思う。 卵の長径は約0.50~0.55mm、卵塊の上にかかっている網の主要部が3×4mm位だから、肉眼では殆ど何だか分からない存在である。孵化したチャタテムシの初齢幼虫体長は0.75mm.卵塊の傍から離れない(写真クリックで拡大表示)(2010/03/12) 孵化した初齢幼虫は体長0.75mm、ルーペ代わりの+3度の強老眼鏡を掛けても、単なる粉と殆ど区別が付かない。それでも何やら動いているので、漸く虫だと分かる程度。ストロボの光を浴びて、右往左往していたが、卵塊から遠く離れることはなかった。チャタテムシの幼虫は可愛い.如何にも赤ちゃんと云う感じ(ピクセル等倍、拡大不可)(2010/03/12) このチャタテムシの種類は当然分からない[羽化するまで観察しヨツモンホソチャタテ(Graphopsocus cruciatus)であることが判明した]。我が家でチャタテムシを見たのは、月桂樹の葉裏に集団で居たのと、空中を浮遊していたものの2回だけで、何方もウスイロチャタテ科に属すと思われる。しかし、この科の虫は何れも小さく、成虫の体長は1.3~2.2mm(「富田・芳賀:日本産チャタテムシ目の目録と検索表」に拠る)だから、初齢幼虫が0.75mmと云うのは幾ら何でも大き過ぎる。 葉裏に産卵してあるのだから、成虫が葉裏で生活するホソチャタテ科かケチャタテ科の可能性が高いと思う。しかし、確証は全く無い。奇跡的に運が良ければ、このまま成長を観察出来るかも知れないが、全部無事孵化したとして12頭、トベラの木全体に分散してしまえば、先ず見付からないだろう(ホソチャタテ科やケチャタテ科の虫は集団を作らず単独で生活する)[ホソチャタテ科(Stenopsocidae)であった]。寂しいのでもう1枚出すが、実は後ピン写真(ピクセル等倍、拡大不可)(2010/03/12) 尚、ホソチャタテ科、ケチャタテ科の虫や、チャタテムシの卵塊、或いは、母虫が網を張っているところ等を御覧になりたい方は、こちらをどうぞ。 今日の気温は20℃を超え、昼過ぎには22℃近くまで上昇した。春も直ぐそこまでやって来た、と云う感じである。このまま、暖かい日が続けば良いのだが・・・。[追記]この幼虫は無事成虫にまで成長し、ホソチャタテ科(Stenopsocidae)のヨツモンホソチャタテ(Graphopsocus cruciatus)の幼虫であることが判明した。表題や本文中にある[]の中は判明後に追加訂正したものである。以下に、その後のヨツモンホソチャタテ幼虫の成長記録一覧を示しておく。 内 容 掲 載 日 撮 影 日 2齢幼虫 2010/03/23 2010/03/22 3、4齢幼虫 2010/04/19 2010/04/10 5齢幼虫 2010/04/25 2010/04/18,20 6齢幼虫 2010/04/29 2010/04/20 成 虫 2010/05/11 2010/04/20,24
2010.03.13
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