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2004.11.27
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ミッドキャリア

ハーバード・ケネディ行政大学院には社会人になってから入る学生が多い。私が取った修士課程も、ミッドキャリア(mid-career=つまり社会人)のための行政学修士号のコースだった。社会人として約10年以上のキャリアがある人を対象としたものだ。

大学を出たばかりの若い人が取得する修士号と違うところは、彼らが2年で卒業するのに対して1年で卒業できること。高額な授業料(年約2万ドル)のことを考えると、「半額で卒業できるのでバーゲンみたいなものだ」と冗談を言う同級生もいた。

その同級生だが、世界中から集まってきている。平均年齢は36~38歳。大臣経験者も少なくとも三人はいた。ウガンダの国務大臣、アルゼンチンの文部大臣、それにコロンビアの大臣(何大臣だかは忘れてしまった)だ。局長経験者や外交官、国連職員も多い。私のようなジャーナリストも、米国人が3人ほど、韓国から二人、フィジーから一人来ていた。中国から逃れてきた核物理学専攻の学生もいた。

先の日記にも書いたが、二〇〇〇年の大統領選で暗躍した(マイノリティーへの選挙妨害など不正のかぎりを尽くしたといわれている)悪名高いフロリダ州務長官キャサリン・ハリスも、残念なことに私のクラスメートだった。当時ハリスは共和党下院議員で、週末はよく自分の選挙区であるフロリダに帰っていたようだ。ハリスがあのような悪辣なことをするのがわかっていたら、あの時いじめておくのだったと後悔するばかりだ。

日本からは、役人が80%ぐらいを占め、大蔵省、通産省、防衛庁、運輸省(いずれも当時)の出身者がいた。後の20%ぐらいが、ソニーやNTTといった民間企業の社員や私のようなジャーナリストだ。日本の役人の授業料や生活費はすべて我々の税金(血税)から出費されている。「ああ、私の税金も彼らの授業料を払うために使われていたのか」とぼやきたくなる。

日本の役人にとっては、どちらかと言うとこうした留学は「ご褒美」のようなもの。彼らの言う「滅私奉公」を何年かした後、あるいは主計局など激務の職場を経験した後、その苦労に報いるシステムの一環として留学制度があるようだ(もちろん当局は否定するが)。その間、ちゃんと給料ももらえて、私から見れば至れり尽くせりのように見えた。私の場合は、授業料も生活費もすべて自分で稼いだ金(血と汗)をつぎ込んだ。

さて、ミッドキャリアは人生の途上という意味でもある。私たちの間で流行っていたのは、「ミッドキャリア・クライシス」という言葉。人生の途上で、自分がこれから何をやっていけばいいかわからなくなり、パニックを起こすといったような意味だ。人生の危機とも訳せる。会社や役所から派遣されている学生と違って、私は会社を辞めてボストンに来たので、危機感はもっていた。これから私がどうなるかは「神のみぞ知る」だった。しかし、人生の一時期をハーバードで過ごしたことは、いろいろな意味で非常に価値があった。

これとは別に流行った言葉に「ミッドナイト・クライシス」というのもあった。これは明日までにやらなければならない宿題やペーパーが一向に進まず、真夜中になってパニックを起こすといった意味だ。こちらのほうは、すべての学生が多かれ少なかれ味わう危機感・焦燥感だろう。





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最終更新日  2004.11.27 09:29:18
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