天の王朝

プロフィール

白山菊理姫

フォローする

フリーページ

出雲族と大和族の話（パート２）

サイド自由欄

設定されていません。

< 新しい記事

新着記事一覧(全6146件)

過去の記事 >

2006.01.11

▼確信と疑念

　「私はデタラメな情報なんて話してないわ」とロレンツは怒って言った。

　「ロレンツさん。私はちょっと前にあなたの証言について慎重に吟味しました。そしてあなたは、ピッグズ湾事件の前にリー・ハーヴィー・オズワルドに確かに会ったと我々に証言したのですよ」
　「そう証言しました」

　「二度も証言しましたよ」
　「はい」

　「リー・ハーヴィー・オズワルドはその期間ずっとソ連にいたのです」
　「そんなことは知りません。知らなかったんです。私が会ったリー・ハーヴィー・オズワルドは写真の男とも隠れ家にいた男ともフランクが知っている男とも同じ人物です。彼があなたの情報によるとどこにいたか何て私は知りません。知りません。彼について言われている、そうした仮説など読んだこともないんですから」

　「それは仮説などではありませんよ」

フィシアンはさらに皮肉を込めて、ロレンツを突き放した。「我々も完全で誠実な証言さえ得られればね」
　ロレンツは訴えるように言った。「ちゃんと証言したじゃないですか。私はあなたたちに完全で誠実な証言をしたんです。私はほかの人のことは知りません。私には失うものはないし、隠し立てすることもありません。何もありません」

　フィシアンは言った。「あなたは、隠れ家やエバーグレーズの訓練場で出会った人物がダラスで会った人物と同一であると確信していると証言しましたね？」
　「実際、そうです」

　「モーテルで会った人物と」
　「そうです」

　「同じ時期に二人のリー・ハーヴィー・オズワルドが存在するのをどう説明するのですか？」
　「説明できません。だけど私は、自分が会った男のことを知っています。彼は嫌なやつで、私は彼が嫌いでした。私はここにいる必要なんて全くないんですよ。何も得るものがないんですから」

　ロレンツ証言の信ぴょう性が崩れ落ちるのを見て取ったフィシアンは勝利の味をかみしめながら言った。「ありがとう。これで終わります」
（続く）

お気に入りの記事を「いいね！」で応援しよう

最終更新日 2006.01.11 09:44:04
コメント(2) | コメントを書く

[米外交史] カテゴリの最新記事

米大統領選の感想 2016.11.15
ニクソンの「汚い小間使い」が明かすＪＦ… 2014.06.12
JFK暗殺の実行犯とその背後の動機について 2008.02.21 コメント(6)

■コメント

Re:カストロが愛した女スパイ１６４(01/11)

ほわいとさん

白山菊理姫さん、こんばんは。

下から３行を拝読したとき、まるでロレンツと同じ立場にいるような錯覚を起こしました。 (2006.01.12 00:17:55)

返事を書く

Re[1]:カストロが愛した女スパイ１６４(01/11)

白山菊理姫

ほわいとさん

＞下から３行を拝読したとき、まるでロレンツと同じ立場にいるような錯覚を起こしました。

ロレンツは愛すべき主人公ですね。武器庫襲撃を手伝ったり、偽札を使ったりするなど犯罪に手を染めた時期もありましたが、基本的には自分が正しいと思うことをやってきた。そのために命令にも背きましたね。物語ではこの後、カストロと再会するのですが、そのときの理由も自分のためというより、キューバの人々のためでした。
ロレンツに惹かれる理由はその辺にあるようです。 (2006.01.12 09:28:49)

返事を書く