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2006.12.25
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カテゴリ: 不思議な世界
きっかけ


しかし、不幸中の幸いなことに、そのオートバイ事故に遭遇した主人公は命を落とすことはなかった。そのかわり、左目はそれ以来二度と、光の影像をとらえることができなくなった。左の視力は完全に失われたのだ。

その前兆はあったと、事故を振り返りながら、その主人公の内田秀男は言う。
1951(昭和二十六)年7月28日、当時NHK技術研究所に勤務していた内田が、普段と変わりなく勤め先から東京・上北沢の自宅に帰ってくると、妻が不思議なことが起きたという。

午後二時ごろ、家の中を掃除していると、突然玄関から全長二・五メートルくらい、胴体の直径が約六センチもあろうというヘビ(青大将)が入ってきて、内田の愛用している机の下から本棚のうしろの方にかけて、のさばって動かなくなったというのだ。追い払おうとすると、かま首を上げて、細長い舌をチョロチョロ出してどうにもならないので、隣家のおじいさんを呼んできて、やっとのことでつまみ出した。

ちょうどそれから一年後の1952(昭和二十七)年7月28日朝、いつもと変わりなく、その頃飼っていた「バンビ」という小犬を連れて散歩に出ようとしたところ、どうしたはずみか、小犬につないである鎖が左足に巻き付いて、小犬に引き倒され、水溜りにしりもちをついて、一張羅のズボンから上衣まで泥だらけになったのである。内田は不吉な予感を覚えた。

嫌だなと思いつつも、「科学的になんらの根拠のなしに(迷信の類を)信用することは大嫌いな方なので」、その日はいつもどおりに勤め先のNHK技術研究所に出勤した。ところが不安は的中し、その日の夜、帰宅途中に左目を失明するという大事故を起こしたのだ。
(続く)





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最終更新日  2006.12.25 20:59:47
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