同じ大きさの文字や文体の言葉は一つのシンボルの塊となって連想ゲームのように挿入されていきます。 字体を小さくなればなるほど、挿入節の挿入節の挿入節という入れ子状態になるわけです。 極論的に言うと、『骰子一擲』は最初の「UN COUP DE DÉS JAMAIS N'ABOLIRA LE HASARD(骰子の一振りは偶然を決して排除しない)」と最後の「Toute Pensée émet un Coup de Dés(すべての思考は骰子の一振りを生み出す)」だけで意味は完結しているとも言えます。 そのほかは、それに付随する「意識に浮かび続ける一連の象徴的な言葉やイメージ」の羅列とみるわけです。
さらに面白いのは、この詩がもたらす潜在意識への言葉やイメージの刻まれ方です。
そしてその3ページ先くらいに「N'ABOLIRA」という同じ大きさ、同じ書体の文字が目に付くので、「UN COUP DE DÉS」を主語とする動詞であることに気づきます。 さらに5ページ先に同様に「LE HASARD」が出現しますので、それが動詞の目的語であることを不意に思い出すようになっています。