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2009年11月20日
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カテゴリ: 読書の周辺
 その名を知ったのは高校生時代の恩師松川永郎先生から、日本の推理小説が遂に世界のトップ水準に達したと言われた時だった。推理小説を一時程熱心には読まなくなっていた頃のこと。理由は簡単、池袋の近く東長崎の下宿の近所の貸本屋が、多分まとめ買いしたかそれとも家人が収拾したのか、早川ミステリーが多分当時の全巻、他にも推理小説以外が殆ど無い様な妙な貸本屋だったから。当分毎日通ったのだが少し疲れた頃だったから。

 更にこれは大分後のことだが、「砂の器」が映画になり、テレビ・ドラマ化もされ、
しかもどちらも見事な出来だったと思う。恐らくこの手の類は清張をしのぐ人物は当分でないだろう。
 元々恩師松川永郎先生は多才な方で廣津和雄の弟子であったこともあり、そのころの作だと言って高校時代に半七捕物帖張りの捕物帖を読まされた事もあって、推理小説を読んでおいででも不思議とは思わなかった。名にしろ田舎の高校生に松川先生は眩しい存在だったには違いない。戦前の京都帝大全優組、語学はドイツ語を筆頭に英語、フランス語も、俳句はホトトギスの常連、経済史を基盤とした歴史、哲学は唯心論から唯物論へと兎に角ただ唖然としてお説を拝聴するのみだったが、噛んで含めるように噛み砕いて分かり易く、私の他にも結構意外なところにファンが大勢居たようだ。先生は戦後間も無くの「白昼の死角」高木昭光のものもそれなりに評価されていたようだが、これはその時代の時代感覚の把握を評価されたのであろう。
 まあそれは兎も角も、上記の三冊を読んだ頃から先生の言われる意味がなるほどとなり、以後私も一時期清張様々の時代がある。
 師の話をすれば長くなるのではしよるが、やがて私は清張から自然に遠ざかるようになった。熱中していた頃の彼の作が殆ど傑作揃いだとは今でも思っているし、今以て映画化やドラマ化され続けているだけの値打ちがある巨人だとは思う。多分私の根が子供っぽい所以でもあろうか、映画の西部劇に対する想いと共通するものがあって、一時期全盛を誇った勧善懲悪式或いは単純なストーリーと西部という未開の地の詩情がメイン・テーマだった西部劇が、「友情ある説得」や「追跡者」と言った社会派的命題を取り込むようになって大衆は西部劇から離れて始めた。

 戦前の「鞍馬天狗」や「快傑ゾロ」西部劇で第七騎兵隊の突撃ラッパに拍手した痛快さは薄れていったから。理屈でない快感の魅力の中に理屈を取り込んだのだからまあ早晩その運命は決まっていた。ほんの一時期マカロニウエスタンが喝采を得たがその上の栄光は取り戻せずに終わった。大衆といえどもドンパチの面白さだけで人々を何時までも引っ張れない。単純ではあっても上質な詩情というものはあるのだがその復興は難しかったようだ。


 疲れた。尻切れトンボだけれど此処までにしよう。





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最終更新日  2009年11月21日 12時27分54秒
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