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2024年02月22日
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カテゴリ: 経済





 日本のGDPランキングが3位から4位へ落ちている中、株価はバブル期の最高値を更新する勢いです。これは何を意味するのでしょうか。日本の実質GDPは、前期比年率+1.2%、前期比年率-2.9%と大幅減少となった7-9月期から増加に転じる見通しです。2023年の春闘では賃上げ率が30年ぶりの水準となりましたが、高い物価上昇率が続く中、実質賃金の低下は続き、個人消費の逆風となりました。また、有効求人倍率は2023年を通じて低下傾向、新規求人数は10-12月期に前年比減少幅が加速するなど、雇用情勢の軟化も個人消費の足を引っ張ったと考えられます。
 株価については、米国株が強いため、連れ高する形で日経平均株価も堅調に推移しています。日経平均株価は3万8000円の大台を突破しました。日経平均株価の史上最高値は1989年12月29日の大納会でつけた3万8915円です。近い将来、史上最高値を更新するのではないかといわれています。日本株上昇のけん引役は、やはり海外投資家です。1月の月間の買い越し額としては、記録のある1983年以降で7番目の大きさとのことです。おそらく、現物に関して海外勢が売り越しに転じるまで、日本株は強い動きを続けるのでしょう。
 日経株価の急騰は、東京エレクトロンやアドバンテスト、英アームを保有するソフトバンクグループなどといった半導体・AI関連株の一部銘柄群が大きく寄与しています。指数寄与度の小さい銘柄群や、半導体・AI関連以外の銘柄群は「物色の蚊帳の外」ですし、短期売買を好む個人投資家の関与度の高い小型グロース株もさえない動きを続けています。つまり、今の相場にうまく乗れている投資家は「指数寄与度の高い値がさ株を買っている」か、または「半導体・AI関連株などの人気テーマ株を買っている」投資家だけなのです。
 政府や経団連などは、今年の春闘で30年ぶりとなった昨年を上回る賃上げ率の上昇を目指していますが、実質賃金上昇が年内に前年同期比でプラスに転じることはないでしょう。消費者にとって重要なのは、物価上昇率を上回る賃金上昇率が実現し、実質賃金上昇率が持続的に高まり、生活水準が着実に改善し、将来見通しが明るくなることです。その実現には、少子化対策、労働市場改革、インバウンド戦略、大都市一極集中の是正、外国人労働力の活用などの成長戦略を進めていくことが政府に求められます。それらが成果をあげ、先行き成長率見通しが高まれば、企業は設備投資を活発化させ、それが労働生産性上昇率を高めることに結びつくと思います。しかし、現在の政治に対する国民の不信は、経済の大きな下振れが起こることも予想されます。来年の夏までに実施される衆院議員選挙後に国民の信任を受けた国政によって本当の改革が行われる期待感が醸成されれば、空気が変わることを期待しています。停滞した経済を立て直すには、政治の一新、官僚制の一新から始まるのではないでしょうか。





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最終更新日  2024年02月22日 08時53分31秒
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