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私はその詩を読んで、はらはらと涙を零した。彼が子どもの頃に見たサーカスと、私が子どもの頃に見たサーカスは同じものではなかったはずだ。けれど、私があのときに感じたもの悲しさ、もののあわれがその詩には凝縮されていた。彫刻を彫るように、彼は大きな石のかたまりのなかから、言葉を彫り出し、取り出して並べ、気にいらないといっては、その言葉に執着することなく、捨てた。捨てた言葉たちのほうが多かったはずだ。まるで命を懸けるような推敲の、思考の果ての、絞り出された言葉を見るたび、生きている詩人に出会えた、という喜びが私の心を満たしていった。
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