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2023.03.28
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テーマ: 読書(8559)

本のタイトル・作者



月14万円の年金で夫婦が生活している術 [ 中町敏矢 ]

本の目次・あらすじ


スタイル(生活様式)編:年金14万円でも実は「生活強者」
1章:老後不安なんか、ただの幻(ファントム)です
2章:「ゼロ円生活」全部見せます
3章:スリムな葬儀で「終わりよければ全てよし」を目指す
4章:我が家の「身の丈」運用術
システム(法制度)編:知ることが「トク」への第一歩
5章:複雑な「年金の森」でも、迷わずにすむ要点

7章:知らないはソン、深く知るほどトクする健康情報
8章:世帯分離という「法の魔法」

引用


マネーで幸せが買えるなら、カネ持ちはみんな幸せだ。リクツを言えば、大金持ちがいちばん幸せだ。この国って、そんな国だったのか。不安を消せるクスリとはなにか?それぞれが「人生の原点」を見つめ、自分の答えを発見するしかない。


感想


2023年064冊目
★★★

最初、表紙を見て、「幼い子供がいて、夫婦共働きで、月14万円で暮らしているミニマリストFIRE本」だと思ったんですよ。違った。よく見て。タイトルに「年金」って入ってるやん。
なのでターゲットから外れていた私。
でも興味深く読みました。
やっぱり、子供がいてこれからお金がガンガンかかってくる世代と、子育ても終わり、年金暮らしになっていく世代とは、お金の掛け方も違うよね〜。
(この本、後半は年金のもらい方と病気の話やから。繰り下げ受給とか白内障の手術をお得に受ける方法とか)

この本の書き手が、すごくこう、漫談調?おじさん構文?で、慣れるまでは読みにくい。
でも、読み進めているうちに、面白くなってきた。
ブログかなにかをやっていた方の書籍化なのだろうか?




著者は芦屋に暮らしているんだけど、「高校生のハルキは」と村上春樹が登場して面白い。


私は人の手帳・カバンの中身・ワードローブの構成・家計簿を見るのがたいへん好きなのですが、この方は、月に夫婦二人年金14万円。
食費は4万円くらいで、家賃は公営住宅の賃貸で31,000円。
光熱水費は15,000円。
服も家電も家具も、昔買ったものがあるから買わない。
クスリと、ケータイ(妻のみ)だけ。

そりゃあお金かからん。

で、その暮らしが悲愴か?というと、そうじゃない。
普段から倹約しつつ、出すところにはお得に買いながらも支出して(美味しいパンやお肉)、教会の無料の英語教室に通いながら、楽しく暮らせる。

人間、上を見るときりがないし、下を見てもきりがない。
ただ、自分としての最低条件を低くしておくと、生きていくハードルが下がる。

お葬式じゃなく献体、というのは新しいなと思った。
家族葬や直葬はあれど、献体!その発想はなかった。

ただつい先日、お葬式に出て思ったのは、「これって、存在を非存在にするための儀式なのかな」ということだった。
目の前にある「肉体」が、その人の存在の容れ物としてある。
それを、儀式を経て灰にして納めることで、「ない」ものに変換する。
その人はもうそこにいない。けれど肉体はここにある。
という、矛盾を解消するための行程というか。

私もお葬式は不要派だったのだけど、ただ、その存在を非存在にする過程を経ずに、周囲は不存在を受け入れられるんだろうか。
焼いて、骨にして拾う。
それをして、「もういない」を生きている者に刻みつけているんじゃないだろうか。

ひとのお葬式で、自分の葬式のことを考える年になった。
親の葬式のことを考える年になった。
すでにある、確立されたルートに乗っていけば、楽だということも分かる。
それが残された者のためなのだとも。

ただ、高いよねえ、日本のお葬式。
この本によると、世界一高いらしい。
日本の全国平均が208万円。
韓国37万円、アメリカ44万円、イギリス12万円だという。
できれば30〜40万円くらいになればいいのにね。

私が年を取ったとき、年金はいったい何歳からの支給になっているだろう。
そしてそのとき、私は元気にしているのかな。
そもそも、その年まで生きているんだろうか。
健康で長生き。それが理想で、幸福であるはずだけれど。
それとは程遠いこの国の現在と未来。



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最終更新日  2023.03.28 00:00:13
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