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2023.07.18
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テーマ: 読書(8559)

書名



戦物語 [ 西尾 維新 ]

引用


「何度でも繰り返せるし、何度でもやり直せる。それが家族なのだから」


感想


2023年155冊目
★★★

戦物語とあるから、時勢を反映した内容で、いまだにバトルなのかなあと思ったら。

阿良々木ひたぎという名前がどうもしっくり来ない。


からはじまるので驚いた。
つまりこれは、戦場ヶ原ひたぎさんと阿良々木暦くんの結婚の話であり、ふたりが「戦場ヶ原」を訪れるハネムーンの話でした。
「化物語」のアニメの映像が目に浮かぶようだった。
高校生だった彼ら。尖っていたあの頃。

ちなみに二人は曰くと因縁にまみれた北白蛇神社で神前式を挙げたのだそうだ。
迷子の神様は、コンプライアンスに基づき成人型に。


ということで、阿良々木くんは、伴侶から名前を奪ってしまったことについて考える。
だいたい本の半分くらいその話である。
名前を奪うことへの罪悪感。加害者意識。
阿良々木くんは意識高い系だな。
だって多くの「名前を奪われない」男は、きっとそんなこと気にもしない。
気づきもしない。

免許、マイナンバーカード、パスポート、銀行口座、保険証、ポイントカード、資格の数々。
枚挙にいとまがない、名義変更の厭わしささえ。
結婚するとはそういうことだと、一時のことじゃないかと、言える奴らが。
絶対に自分の名前を奪われることがないと信じ切っている奴らが。
私は大嫌いだ。


一生、別のものになれと強いる。
それはひとつの死じゃないか。
阿良々木くんは、戦場ヶ原の名を変えたことを「格安の絵の具で塗りつぶしてしまったような」「人を刺したみたいな感触」と言う。
(「褫奪」(ちだつ。はぎとること。とりあげること。)という言葉は初めて知った。)

そして気づくのだ。

忍野忍。
キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード。
名に縛られる怪異。

そういえば忍とひたぎは、まったく接点がないという設定だったんだね!
お互いに認知しているけど接触しないという。忘れていた。

忍を養女にしようとする暦と、新婚旅行に同行する神原駿河。
いつものように相談相手として登場する毒舌幼馴染の老倉育、最後にプロとして名前だけ登場する千石撫子と、暦のイマジナリー羽川翼。
オールスター出演感があって良いな。

高校生だった頃の怒りを、抱き続けられるか?
といったら、難しいんだよね。
この物語では、忍を養女にしようとする暦に、忍が問う。
吸血鬼は人を喰うが、よいのかと。
戦場ヶ原はそれを許容できるのか。
これから生まれくる二人の子はどうなる。

薄くなって、鈍くなって、汚れて、ぼやけて。
簡単に流されて、許して、そういうものだと思う。
おとなになるって、そういうことなのか。

昔より簡単に人を許せるようになった。自分もろくなものじゃないことを知ったから。怒り続けることに疲れた。怒りの無意味さを知ったから。悲しみ続けることに飽いた。悲しんでも悲しみはなくならないと理解したから。優しくなったという言いかたは可能だろうが、それは傷つき続ける自分に優しくなったという意味では?


あがいて、もがいて、戦って。
高校生だった頃の、あの頃の自分の精一杯。
でも、陳腐な言葉ではあるけれど、あの時があったから、今がある。

戦場ヶ原の雨雲を斬り、晴れ渡る星空に思う。
あれからいろんなことがあった。
みんな、おとなになった。
だから選べることがある。
だから出来ることがある。

家族という形で歩み始めることを選んだ3人。
最後に盛大な前フリがあるのだけどーーーこれからどうなるのだろうね。
物語シリーズ、ファミリーシーズン。

ずっと追いかけてきた読者として、暦と同じことを思う。
みんなしあわせになってくれ。


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最終更新日  2023.07.18 00:00:17
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