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2023.08.01
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令和その他のレイワにおける健全な反逆に関する架空六法 [ 新川 帆立 ]

目次


【収録短編および各話の架空法律】
◇第一話 動物裁判
礼和四年「動物福祉法」及び「動物虐待の防止等に関する法律」
◇第二話 自家醸造の女
麗和六年「酒税法及び酒類行政関係法令等解釈通達(通称:どぶろく通達)」
◇第三話 シレーナの大冒険
冷和二十五年「南極条約の取扱いに関する議定書(通称:南極議定書)」

隷和五年「労働者保護法」あるいは「アンバーシップ・コード」
◇第五話 最後のYUKICHI
零和十年「通貨の単位及び電子決済等に関する法律(通称:電子通貨法)」
◇第六話 接待麻雀士
例和三年「健全な麻雀賭博に関する法律(通称:健雀法)」

引用


いくら着飾っても、芯のところで人間としてダメだと見抜かれてしまうような気がした。がらんどうな自分のを中を誰にものぞかれたくない。自分が無敵のように感じる日もあるのに、ちょっとしたきっかけで、どうしようもなく気分が沈む。


感想


2023年167冊目
★★★

元彼の遺言状 [ 新川帆立 ]
倒産続きの彼女 [ 新川帆立 ]
剣持麗子のワンナイト推理 [ 新川帆立 ]
競争の番人 [ 新川帆立 ]
競争の番人 内偵の王子 [ 新川帆立 ]
先祖探偵 [ 新川帆立 ]


面白いんよな。
やはり本職の知識量をもって書かれたものはバックグラウンドの、表面化しない深層部分の情報量が豊富だから、読んでいても違和感がない。

今回の小説は、短編集。
異なるそれぞれの「レイワ」の時代、動物の人権(動権?)が認められた世界、酒造りが家庭の味として家で行われている時代、仮想現実の国ができている時代、現物の通貨が廃止され、すべて電子貨幣に移行した時代、あるいは麻雀が合法の賭け事として認められ、賄賂の受け渡しに使用されるようになった時代ーーー。

どれも架空の法律ではあるのだけれど、そのどれもが「ひょっとするとこうなっていたかもしれない」「もしかしたらこうなるかもしれない」過去であり現在であり未来であるという感じがする。


ひとつのテーマについても、たとえば第一話の「動物裁判」では、動物福祉+YouTuber(被出演者の人権)+デジタルタトゥー+女性の性被害+肉食の是非と人口代替肉…と盛り込まれていて、作り込みが細やかで荒唐無稽な設定を違和感なく受け入れられた。

私の好みは、第三話の「シレーナの大冒険」。
メタバースのような拡張現実がリアルな世界を凌駕していったなら、その「肉体の置き場」としての国を南極大陸に…というのもありえないことではないのでは?
このお話は、映画「アバター」っぽくもあり、ファンタジーみとSFみがあって、すごく好きな感じでした。
終わり方も、最愛のプログラムは、果たして再起動したあとは同一性を保つのか、はたまた再び目覚めることを彼女は望むのか…というところで終わっていてすき。

新川さんといえば、持ち前の法律知識×荒唐無稽なキャラクターでぐいぐい読ませるミステリ?というか、連続ドラマ仕立てにしやすそう、というエンタメ性を感じさせるものが多かったので、この短編集はけっこう意外な感じがした。
へえ、こんなものも書くんだなあという。

『元彼の遺言状』で、「面白いけど、大衆迎合的」みたいなイメージを新川さんに抱いた人(ごめん、私)にはぜひこちらも読んでもらいたいという1冊でした。


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最終更新日  2023.08.02 06:37:09
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