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2023.12.04
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テーマ: 読書(8559)

書名



それでも、日本人は「戦争」を選んだ (新潮文庫) [ 加藤 陽子 ]

目次


序章 日本近現代史を考える
1章 日清戦争ー「侵略・被侵略」では見えてこないもの
2章 日露戦争ー朝鮮か満州か、それが問題
3章 第一次世界大戦ー日本が抱いた主観的な挫折
4章 満州事変と日中戦争ー日本切腹、中国介錯論
5章 太平洋戦争ー戦死者の死に場所を教えられなかった国

引用


私たちには、いつもすべての情報が与えられるわけではありません。けれども、与えられた情報のなかで、必死に、過去の事例を広い範囲で思いだし、最も適切な事例を探しだし、歴史を選択して用いることができるようにしたいと切に思うのです。歴史を学ぶこと、考えてゆくことは、私たちがこれからどのように生きて、なにを選択してゆくのか、その最も大きな力となるのではないでしょうか。


感想


238. 夜と霧 新版 [ ヴィクトル・エミール・フランクル ]

「悪」だと世界が糾弾するその矛先は、はたして己に向けられることはないのだろうか?
過去を忘れ、戦争を非難することが出来るのか?
それでも、日本人は戦争を選んだのだ。

この本、とっても分厚くて(文庫本で512p)、読むのになかなか骨が折れるのだけど、すっごく面白くて(知的面白さ、interesting)、没頭して読んだ。
私立栄光学園の中高生17人に、日本近現代史における「戦争の論理」を説いた5日間の講義の書籍化。
かなりレベルが高い内容だけれど、中高生相手ということで解説は丁寧で、「頭がいい人というのは、難しいことを説明することが出来る人なのだなあ」と感服する。
膨大な資料、豊富な知識、的確な比喩。

これはもう、ぜひ現役の高校生に読んでもらいたい!!
教科書でざーっと流れていく歴史が、血肉を持って感じられる。
なぜそうなったんだろう?という疑問に答えてくれる。
もちろん社会人も読んでほしい。


なぜ戦争が起こるのか?
資源の奪い合い、宗教の違い…。
だから、第二次世界大戦は「無条件降伏」を敗戦国に求めた。

満州事変の二ヶ月前の東大の学生への調査も興味深い。
日本最高峰のインテリの88%が「正当なり」と答えた。


それを利用して危機を扇動し、精神力を強調した。
「日本は国民の食糧をもっとも軽視した国の一つ」と筆者は言う。
敗戦間近の摂取カロリーは、1933年時点の6割。
農民を徴兵したため、収穫量は減少。
一方のドイツは、降伏する2ヶ月前まで1933年の2割増しだったという。

この本には多数の資料が引用される。
そのうち、少なからず「日記」が登場するのだ。
知識人だけではない。駅員などの市井の人の、ほんとうに「誰に見せるわけでもない日記」が残っていて、それが価値のある史料となっている。
その当時の人々がどう受け止めていたか。

私は毎日日記をつけているけれど、「天気、起床時間と就寝時間、労働時間、その日の夕食、ちょっとした行動記録」くらいしかつけていない。なんの歴史的価値になりそうもない。笑
世界の「あそこ」「ここ」で戦争が起きても、私の日記には綴られない。
そこは遠いから。そこは遠いと思いたいから。
同じ世界、同じ空、同じ月、隔絶した世界。

私の母と父、そしてその母と父、そしてそのまた母と父。
私と繋がっているその誰かは、日記をつけていただろうか。
その人は、何を書いただろう。「あの日」に。「その日」に。

それでも、戦争を選んだ。

そしてその先に、私はいる。


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最終更新日  2023.12.04 00:00:24
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