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2012.11.27
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テーマ: 読書(9647)
カテゴリ: 読書
さてさて「パッと読める」をこよなく愛する私めが、何を血迷うたか京極夏彦に手を出した。
いきなりエラはまり(^_^;)。
図書館に京極堂シリーズ全巻あったのも助かりました。
おかげで連日寝不足です。

やっと「姑獲鳥の夏」から「邪魅の雫」まで読みました。
とにかく有名な作品なんで、ネタバレ踏まないようにするのが大変だった。
うっかり「陰摩羅鬼の瑕」読む前にネタバレ見てしまった。
こういうことがあるから、人気作品に手を出すのは難しい。
まあそんなん言うてもしゃあないよね。

リアルタイムで読む盛り上がりはなかったけど、おかげでシリーズ一気読みができたから、よしとしよう。
「塗仏の宴」で途中で待たされたら切れるよまったく。

異論もあるだろうけど、割と純粋にミステリーとして読んでます。
謎解きを楽しみにしてる。
そんな無茶なって時もあるけど、だいたい理屈通ってると思う。
あっそっかー、なるほどねー、きづかなかったよー、っと関心できればいい。

ただ推理の過程が示されないよね。
一応伏線はあるけど、京極堂が結論に至った理由がよくわからん。
もう何でも知ってるやん。
「見たんか⁈」ってツッコミありつつ。

なんかホモホモしいのよねー。

もう明らかに京極堂がツンデレ。
関口がウケ。わざと狙ってんの?(^_^;)
昔ながらの、「家上がってけよ」っつって飯までご馳走になるって、自分が大人になってからはないなあ。
嫁の立場からだと迷惑だわー。
でも古き良き時代を書きたいんでしょ。


ほんで最高傑作?という「魍魎の匣」についてです。
以下ネタバレ。

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「バラバラ遺体が発見されても、殺人事件とは限らない」と
いうロジックを説明するために考えたお話なんだろうなあ。
だからまあ元々無理がある。
それを描写力でごまかしたというか、無理矢理持ってった感じ。

百合描写が素晴らしい。
さすがヲタ作家の鏡だ!
つまり脳内妄想なのだ。
リアルじゃないからどうしてもお上品なのだ。
この百合描写だけでも読む価値あるよ。

「にきび」があっただけで殺人を犯すというバカバカしさ。
純粋とか無邪気とか、まあなんというか半径2メートルが全世界という若者独特の傲慢さが、「そんなやつぁいねえ」と言いつつ、なんとなく説得力がある。
ヲタの脳内妄想が、実は人類に普遍的だったりするのか。

でも、お母さんかわいそう。
なんかちょっと救いありそうな展開に途中でなったじゃん。
反省したじゃん。
でも結局娘は死にました。ってほんとにかわいそうだ。
このお母さん、生きるのに必死だっただけで、たいして悪いことしてないような。

でも頼子が全ての原因だから、やっぱ死ななくてはならなかったんだろうな。
そもそもこいつがきっかけで、連鎖反応的に全ての事件が起きて、関係ない家出少女まで巻き添えで死んじゃった。
因果応報で言えば、頼子は死ななければならない。
多分、反省する、後悔する、という展開が似つかわしくないからだろう。
自らの妄想に傲慢な若者は、愛されてることにも気づかないで、勘違いで死ぬ方が似つかわしい。

でもお母さんかわいそう。
人の親になったからかしみじみ思うわ。
何を間違ったんだろう。
どうすれば娘は死なずに済んだんだろう。
後悔は大人にこそ似つかわしい。

さてさて、本作のキモである、箱詰めの少女というものに猟奇的なロマンを感じる、という気持ちはわかる。
田島昭宇の漫画「サイコ」の最初の方であったよね。
こういうのどっちが先なんだろうね。
「サイコ」もかなり古いよー。
こういう「どっち先論争」って不毛かな。
気になる〜んだけど。

「サイコ」のあれはクール宅急便の保冷箱だけど、けっこう隙間があった。
あえて嫌がらせで絶対死なないように処置してた、おかげで隙間は普通にあった。
でも「魍魎の匣」は、もっと「みっちり」入ってたように書いてある。
そもそもが空間恐怖症から発想が来てたんだし、隙間があったらおかしい。
更には延命目的はないので、骨盤さえとっぱらってる。点滴とかいらんし。

さて、そうした時に、具体的なビジュアルがわからん。
どんな箱にどういう姿勢で入ってたかわからん。
しかも、蓋を開けたら顔が見えた、って上向き?
みっちり感を出すには首曲げなきゃいかんけど、首苦しいだろうな。
漫画かアニメ見たら解決するんかな。
文章で読んでもビジュアルイメージが湧かなくて、そこが一番残念でした。
折角京極世界にのめり込んでたのに、つまりどういうこと?って引っかかってしまいました。
わざとぼかしてるんかもしれないけど。

みっちり感なら、伊藤潤二の漫画「うずまき」のお父さんの方が強烈だよー。
箱なんて四角いから、どうしたって隅が空間余るじゃん。
「円」の方がよっぽど「みっちり」してるのに。
そういや漫画「魔人探偵脳噛ネウロ」にも、死体を箱にする犯人おったな。
多分作風的に、ばっちり「魍魎の匣」オマージュだと思うけど。

つまりは自分だけのものにしたいっていう願望だよね。
どこにも行かない、行かせない、閉じ込める、自分だけの、、、。
「南君の恋人」とか「ラブプラス」とか「ミザリー」とか。

大槻ケンヂの短編小説に、役者出身のエクソシストが、霊能力ではなく、ただの演技で憑きものを祓い落とす、という話があった。
憑き物と呼ばれる精神疾患は、自分は憑いているという思い込みから起きるので、一連の除霊儀式(演技でかまわない)を行うことで、憑きものは祓われた、と思い込めば除霊される。
肝心なのは、患者を思い込ませるだけの白身の演技。

このコンセプトは京極堂だよね。
微妙に違うけど根っこは同じ。
霊能力なんてものは存在しないという前提で、演技やら言葉やらで人を癒す。
京極堂は、言葉っていうより情報だけど。
これもどっちが先なんだ〜。
オーケンの本売っちゃったから詳細うろ覚え。

宗教とか、新興宗教とか、民間信仰とか、基本的には信じてないわけ。
オカルトを信じない。
信じない上で、いいじゃんそれで気が楽になるならいいじゃん、ていうスタンス。

ちょっと気になったのが、偶然が多いなあってこと。
ご都合主義が目につくよねー。
偶然あった、偶然知り合いだった。またか(^_^;)。
「姑獲鳥の夏」みたいな閉じた世界ならいいんだけど、ていうか似合ってるよね。
世界を広げよう広げようとして、無理してる感がある。
そこが残念でした。



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----追記(関連項目を追加しました)----

関連項目
【ネタバレ】京極夏彦「陰摩羅鬼の瑕」
【ネタバレ】京極夏彦「百器徒然袋―風」







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Last updated  2015.04.17 10:47:52
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