2004年07月23日
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
ボイドには、妻と5人の子供がいた。ボイドは、カントのように厳正な人で、その生活は科学、哲学、人文学の研究に専念した。なかでも現実世界の理論モデルの創造-破壊と創造の終わることのないサイクルに関する新理論に没頭した。1973年から1976年にかけてはボイドは、16ページにわたる「破壊と創造」(Destruction and Creation) と題する論文を作成した。それは、分析と統合の弁証法的な相互作用がいかに外界の心理的イメージを破壊し、創造するかを記述した抽象的な学術学術論文であった。ボイドの生活態度は、ガンジーのように固いモラルを形成し、厳しく自らを律した。ボイドは「人生に置いても最も重要なことは物事から自由になることである。この自由を確保するには、二通りの方法がある。一つは金持ちになること、もう一つは欲望を零にすることである。私は金持ちではないので欲望を下げる選択をした。」と語った。ボイドは自分がしたいことをするためにこそ、ストイックなライフスタイルを選択した。
1975年ボイドは、退役し、国防総省計画分析評価局のコンサルタントとなった。EM理論では幾つかの点でYF-17が優れていたが、パイロットは一致してYF-16を希望した。理論と実飛行の差を解明するためボイドはパイロットに質問した。パイロットは、試行錯誤でエネルギーの急激な変化による戦術的利点を身につけていた。ボイドは、克己と完全性でEM理論がその急激な機動変化による戦術利点を予測できなかった理論的限界を発見した。この発見でボイドは、朝鮮戦争当時の経験に戻り、それを再解釈した。F-86の利点は、視界の良さと優れた操縦システムにあって、これでミグより容易に素早く機動できた。これにパイロットの意志決定の効果が加わってOODAの敵の心理空間の内側に入り込み累積的な利点を得た。ボイドは、この類推から1977年から1992年にかけて競争と紛争の一般理論に拡大することを始めた。それを13時間の「勝利と敗北に関する講義」(Discourse on Winning and Losing) にまとめた。
ボイドの講義は、160枚の図表説明つきで、ペロポネソス戦争から現代の通常戦およびゲリラ戦にまで及び、孫子からジョミニ、クラウゼヴィッツ、毛沢東、ザップに至る兵法理論にわたっていた。ボイドは、 指揮官が欺瞞、奇襲、混乱といった無形の触知し難い要素を利用し、いつも敵の考えの一歩先を行き、敵が最も用意していない最も弱い点を突くことであって、力に力をぶっつけて真っ向から猛攻するようなことをしないという共通のパターン を導き出した。
これからボイドは、敵のOODAループの中に入るという主張となった。このループは、 敵の行動を監視し(Observe)、展開する状況を知り(Orient)、打つ手を決定し(Decide)、行動する(Act)周期からなっている。主要なことは、この周期をより迅速に完了して、敵の物の見方を通用させなくすることによって、終局的に勝つ ということにある。
ボイドは、F-86パイロットの実戦経験から40秒ボイドと呼ばれた空戦技術を理論化(空戦研究)し、それを今度は熱力学を応用したEM理論に発展させ、戦闘機設計に影響を与え、その理論的限界から原点に回帰して心理的な破壊と創造の重要性を認識したOODAループサイクルに現される機動戦理論を展開した。
ボイドの機動戦理論は、リデル・ハートの間接的アプローチと極めて類似したものとなっているが、指揮官の指揮管制(Command and Control) に重点を置き、奇襲・欺瞞を利用した摩擦でもって敵将兵の物の見方を通用させなくするところに新しい切り口があった。しかもOODAループサイクルは、敵の行動を認識させ、一方的な思い込みによる不健全な判断に陥ることを防ぐチェックリストの役目も持っている。ボイドの機動戦理論は、OODAループサイクルでもって戦術を説明できるという利点を有し、指揮官の指揮管制能力の重要性を指摘している。
ボイドの機動戦理論の核心は、敵を等質の量と見ないで、統一ある有機的なシステムと見て、それにまとまりを与えている主要な要素を攻撃することで、敵の規律と指揮の内部組織を崩壊させることにある。つまり敵の組織的神経系統を打撃することによって成り立つのである。
逆にいえば、敵が組織的ではなく無政府秩序状態になった場合、打つべき神経系統、指揮系統が存在しないため、手の打ちようがないという場面もあることを意味する。
通常戦争であれ、ゲリラ戦であれ、敵対勢力の組織は、厳然と成立している場合は、打つべき指揮系統が存在するが、組織のない無政府無秩序状態に対しては、巨大な軍事力をもってしても手の打ちようがない。この場合は、消耗戦の泥沼に巻きこまれることになる。これを避けるためには、極めて優れた情報活動が必要である。常日頃から、組織の重心点を含めた情報を収集、分析、評価して、どういった戦術理論が適用できるかを判断しなければならない。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2004年07月27日 22時07分08秒
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

キルゴア中佐

キルゴア中佐

お気に入りブログ

水野浩志の日記 ヒロヒロ777さん
一日一冊:読書日記… 本のソムリエさん
甲斐萬平×50文字 甲斐萬平さん
福岡市中央区 行政書… 福岡市 行政書士おちさん
経営戦略24時! ツイてる田中!さん
人生大航海 いならまつさん
毛玉牧場 まぐろのももにくさん
新発想ビジネスヒン… シャルドネと呼ばれた三浦十右衛門さん

コメント新着

dhkxglx@ YbApyVZrEwIG 9ZLHsO <a href="http://cxremma…
桜田@ Re:さてどう対処しよう(09/28) 岡庭も あと6年もすれば出てくるね 全…
桜田@ Re:さてどう対処しよう(09/28) 岡庭も あと6年もすれば出てくるね 全…
王様@ 潮 吹 きジェットw サチにバ イ ブ突っ込んだ状態でジェット…
もじゃもじゃ君@ 短小ち○こに興奮しすぎ(ワラ 優子ちゃんたら急に人気無い所で車を停め…
通な俺@ 愛 液ごちそうたまでしたw http://hiru.kamerock.net/8j0uoen/ フ○…
地蔵@ 驚きのショックプライスw コウちゃんがこないだ教えてくれたやつ、…
ヒゲメタボ@ クマたんと呼ばれてます(^^; 最近はこれが流行ってるって聞いたので …
ニキビ侍@ ありがとう!!!!!!! 顔見てるだけでもギンギンでミルク発射し…
大岩井@ 目覚めたら巨チンってぉぃ あの女ー・・昨日チソコが痛くなるくらい…

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: