シュタイナーから読み解く神秘学入門

シュタイナーから読み解く神秘学入門

2007年04月19日
XML
カテゴリ: 神秘体験空間
 月の道を通って精神世界に接近した人たち、神秘家や神智学者たちは究めて不思議な現象(かつて地上に生きていた人間の魂、神、そして精神)を知覚したが、彼らには、それが一体何者なのかを理解したり、決定したりすることも、そこにいるのがアラヌス・アプ・インスリスなのか、ダンテなのか、或いはブルネット・ラティーニなのかを、はっきりさせることもできなかったという。

 それらの実体はときとして最もグロテスクな名で呼ばれ、つまり、彼らには、そのとき接触している受肉が彼ら自身のものか、それとも別の人々のものか、或いは、それらが何者なのかを決めることもできなかったという。

 なので、精神世界は昼の中に招き入れられた月意識の領域と関連するが、金星衝動の流入によって、この視界が失われ、精神世界をその全体性において眺めることになるという。しかし、それは本来あるべき明確に規定された世界ではなく、全体人間の世界的な状況、宇宙存在としての人間の立場であり、それに最初に気づき始めるのは、この金星領域においてであるという。

 だが、この関連で、我々は悲劇的な現実に気づかざるを得ない。というのも、もし、この宇宙人間が、この地上で見えるような完璧に物理的な人間の形態をとっていたならば、その死んだ人間は、究めて有徳で、素直、そして高貴な存在であったはずだが! 実際は、グロテスクなものとなるのが大半であるからである。 

 これは丁度、通常意識をもって、死の探求がほとんどできないように、我々は、通常意識という手段によっては、一見、人間が正直そうな顔をして(実際、正直そうな顔をする)、悪いことができるのかを知ることも不可能で、結局、悪人になれるのは全体人間ではなく、一部の器官であり、現在のような外皮、つまり皮膚は高貴で善良だが、人間はその内部の個々の器官を通して悪人になるという。

 つまり、悪の可能性は人間の器官に存在しているという。

 こうして、人間の器官とそれに対応する宇宙領域との関係、或いは悪への強迫観念がどの領域にその起源をもつのかを理解するようになるという。つまり、基本的には、ほんの僅かでも悪が現れるところには必ず強迫観念が根底にあるという。

 こうして、人間全体に関する知識により、まず、誕生と死が明らかとなり、次に、人間の有機体に関する知識によって、人間の宇宙に対する関係が健康や病気、すなわち悪が明らかになるという。

 そして、人間の器官学を通して、宇宙人間を眺めることができるとき、ゴルゴダの秘儀を経験したあの存在を、初めて精神的に知覚することができるようになるという。というのも、キリストが太陽からやってきたのは宇宙人間(アダムカドモン)としてやってきたからであるという。



 キリスト教が発展可能なのは、正にこの宇宙人間に関する理解から生じるという。

 こうして、いかに真の道が、精神世界に向けて、つまり、誕生と死、人間(器官)有機体の宇宙に対する関係、悪の認識やキリスト、すなわち宇宙人間に関する知識へと導くかが分かるという。

 この全てが理解できるようになるのは、それらが様々の側面で、お互いに支え合うことが示され、その仕方が提示されるときであるという。

 そして、精神世界への道を見出す最良の方法とは、理解と、理解したものを瞑想することであるという。瞑想のためのその他の原則は付随的な役割を果たすという。今日の人間にとっては、これが精神世界への正しい道であるという。

 他方、意識の正常な道筋を維持し、利用することに失敗するような、その他あらゆる方法、霊媒術、夢遊病、催眠術等々のトランス状態を用いる、あらゆる試み、意識により理解できない世界事象に関する、現代自然科学を戯画化したもの等の方法による、あらゆる探求、これら全ては偽りの道であるという。何故なら、それらは真の精神世界には導かないからであるという。

 精神的な探求により見出されたものを人間が感覚的に意識するとき、すなわち、器官に関する知識を通して宇宙人間が返ってくるということ、秘教的な探求と洞察において、明らかにされる全てが秘儀参入の意識に受け入れられ、彼の意識生活の重要な部分になり、ある程度、この宇宙人間の帰還が、キリストの理解へと導くことが可能であることを人間が意識するとき、感情を通して、神が地上的なものの中に現れるという。そして、そこに芸術の本分があるという。

 芸術は人間が今述べたような道に沿って精神的な世界から受け取るものを、感情を通して半意識的に体現するという。なので、いつの時代でも、精神的なものに物質的な形態を纏わせてきたのは、そのカルマにより、そうすることが運命づけられた人々だったという。

 我々の自然主義的な芸術は精神的なアプローチを捨て去ったという。芸術の歴史における絶頂期においては、精神が感覚的な形態の中に示されるか、或いは、むしろ物質的なものが精神の領域に引き上げられたという。

 ラファエロが高く評価されるのは、他の画家たちよりも遥かに高度に、精神的なものに感覚的な表象という衣を着せることができたからだという。

 さて、芸術の歴史の中には、より造形的、写実的な芸術への傾向を持つ一般的な運動が存在していたという。今日、もう一度、造形芸術に新しい命を吹き込む必要があるという。それは、何年も昔に当初の直接的衝動が失われてしまった、という理由によるという。

 何世紀にもわたって「音楽」への衝動が増大し、広がってきているという。従って、造形芸術は多かれ少なかれ音楽的な性格を持つようになり、言語芸術における音楽的な要素を含めて、音楽は未来の芸術であることを運命づけられているという。



 人間進化における最高の地点として言及したキリストという存在の到来、精神的に生きた、この存在の到来は、ルネッサンス或いはルネッサンスに先立つ時代の絵画の中に素晴らしい描写が見られるが、未来においては、音楽を通して表現されるという。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2007年04月19日 22時05分31秒
コメント(2) | コメントを書く
[神秘体験空間] カテゴリの最新記事


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


音楽と天籟と。  
武侯仁従  さん
>さて、芸術の歴史の中には、より造形的、写実的な芸術への傾向を持つ一般的な運動が存在していたという。今日、もう一度、造形芸術に新しい命を吹き込む必要があるという。それは、何年も昔に当初の直接的衝動が失われてしまった、という理由によるという。
>何世紀にもわたって「音楽」への衝動が増大し、広がってきているという。従って、造形芸術は多かれ少なかれ音楽的な性格を持つようになり、言語芸術における音楽的な要素を含めて、音楽は未来の芸術であることを運命づけられているという。
>シュタイナーのドルナッハの第一ゲーテアヌムは音楽的に構想されたが、そのため、その建築、彫刻、及び絵画はほとんど理解されなかったという。同じ理由により、第二ゲーテアヌムもまたほとんど理解されないという。というのも、絵画、彫刻、そして建築には、人間の未来の進化と調和して、音楽の要素が導入される必要があるからだという。
>人間進化における最高の地点として言及したキリストという存在の到来、精神的に生きた、この存在の到来は、ルネッサンス或いはルネッサンスに先立つ時代の絵画の中に素晴らしい描写が見られるが、未来においては、音楽を通して表現されるという。

孔子が音楽を非常に重視しているのは以前書きましたが、荘子もまた違った角度で「音楽」を大事にしてます。確か「斉物論篇」の冒頭で「人の鳴らす音は人籟。地の穴や隙間を風や空気が響かせてなるのが地籟。天地の働きが活動するのになる音なき音も含めた、世界・天地の鳴らす音が天籟。真人・聖人は天籟を聴く」という話があります。芸術家はもしかすると、偶然耳に・心に入った天籟を表現しようとする人々で、その天籟を聞いて作った作品を傑作というのかも知れませんね。

再見!

(2007年04月20日 08時18分13秒)

Re:音楽と天籟と。(04/19)  
5dolphin  さん
どうも現代孔明こと武侯仁従さま
 そうですね。現代の状況、特に荒んだ魂を甦らせるには、音楽しか考えられないといえそうです。
 人間は進化すると、天空の音楽を生で聞けるようになるそうです。天空の音楽の素は、天体の運動にあるとのことです。
 さて、現代人は、前世での過ちから、本来、現世においては、なんらかの病気に罹る必要性があったものを、公衆衛生学の発達により、回避してきたということです。
 魂は自らの能力を開発するための修業として、病気に罹る必要があるのですが、公衆衛生学等医学の発達により、快適で、快楽な生活がもたらされたので、その分、魂は堕落し、荒み、無感動で、表面的な、無味乾燥で、愛情のない現代人の特徴を現すものになったというのです。 (2007年04月23日 12時36分46秒)

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: