シュタイナーから読み解く神秘学入門

シュタイナーから読み解く神秘学入門

2008年10月21日
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カテゴリ: 神秘体験空間
 今日の心理学を構成するような言葉ではなく、自らの心理学的組成の実質により、心理学者足りえる者は、根本的に、思考、感情、意志のプロセスを次のように追求しなければならない。

 (身体)下方では、造形的な形態化のなかに出現する事象を、上方では、霊-魂だけに経過するものとして、思考、感情、意志のプロセスのなかに明確に示していかなければならない。

 もはや生体組織には不可能な事を、いかに内部(精神)の魂のプロセスにおいて、行っているか、少し考えてみる。

 この(前回の再生)力を、いわば、忘れてしまった一連の思考といえる(霊魂の)プロセスを、他の事象から補完できる。この補完の手法は、前回、(下等生物の再生について)直接隣り合った器官部分ではなく、それとは関係のない組織が現れる、と説明した事実とよく似ている。

 内(精神)的-魂の体験と、外界にて形成される自然の諸力、いわゆる形成の自然の原理との間には、完全な平行現象が成立している。精神と物質の間には、完全な平行現象が成立している。この平行現象に注意を払わなければならない。

 そして、人間に対して、根本的に外界での形成原理として、存在するものは、人間が霊-魂生活として、自身の生体組織から取り出した存在で、その結果、自身の生体組織においては、もはや物質素材としての実質の基礎にはなっていない、ということを示さなければならない。

 とはいっても、それ(物質素材から取り出した再生力)を、生体組織全体から、同じ割合で取り出したわけではなく、その取り出し方はそれぞれ異なっている。いま展開したような予備知識を、いわば身に備えている場合だけ、人間の生体組織に、相応しい方法でアプローチできる。

 というのも、神経系の構成全てを観察すれば、次のような特徴に気づくからである。つまり、通常、神経細胞、或いは神経組織などと呼ばれるものは、根本的な形成物で、比較的初期の発達(進化)段階に止まり、それほど進化した細胞形成物ではない、ということである。

 (神経細胞は、細胞としては未分化の古いものであるという)



 (神経細胞の増殖や血液細胞の増殖には、現代の観点から、異論が多々あると思うが、シュタイナーの観点からいえば、体内と体外では、そもそも細胞は別物であり、ここでいう増殖能は、体内に限ったものである。

 つまり、体内では、神経幹細胞は、なんらかの損傷がない限り、再生されないという意味で捉えて欲しい。また、体外に出た細胞は、もはや、人間の自我(霊)の支配下にはないので、下等生物と同じ働きを行うと考えてよいだろう。

 体外に出た神経細胞が、ニューラルネットを構築して、思考することなど、もはや有り得ないからである。この観点を推し進めると、体内にありながら、体外と同じ振る舞いを行う細胞の存在が明らかになる。それが、癌細胞である。癌細胞は、体内にありながら、自我の制御下にないので、体外と同じ独立した働きを行うのである。)

 つまり、人間以外の(動植物)細胞に与えられた能力が、比較的、初期段階に神経細胞から奪われているのである。この増殖能力が取り去られている。神経細胞は初期の進化段階にとどまり、いわば、この進化(初期)段階で麻痺させられている。

 この神経細胞のなかで麻痺させられた力(増殖-再生力)が、霊-魂として、自らを分離する。その結果、実際に、自らの霊-魂プロセスによって、かって器官的実質のなかで、自ら形成した存在に回帰するが、この回帰に到達するには、比較的初期の段階で、自らを殺した、少なくとも麻痺させた神経実質を、自ら所有することで可能になる。

 (神経細胞は、進化を止め、未分化に止まることで、下等生物と同じような再生力を確保したという。そのために、通常、他の細胞と同様に、増殖能力をもたず、損傷のときのみ、代替的に、再生力を発揮させるという。

 さて、ここには、なぜ、神経を「神を経た」と表現するかの意味も隠されている。神とは、初期状態に止まる永遠の完成体である。初期であり、最終であるわけで、常に同じ完成された状態という意味でもあり、聖書ではアルファであり、オメガであると記されている。

 つまり、神には、物質とはならず、霊体のままに止まる永遠の存在という意味がある。物質になると、時間に支配され、時間の制限を受ける。だから、時間の制限を受けないために、永遠となるために、自らを何遍も改める存在といえる。つまり、生まれ得ない存在で、生まれ得なければ死もない、不死の存在なのである。

 神経細胞は、増殖能力を失う代わりに、霊魂という永遠性を手に入れたというわけである。)

 このように考えることで、神経実質の本質に近づける。更に、この神経細胞が、一面では、かなり原始的な形成に類似するように見え、更に発達(進化、分化)した段階でさえも、原始的形成に類似するかのように見えるにも関わらず、神経細胞が、通常人間において最高とされる精神活動に奉仕する、という特性を備えているのはなぜか、ということがわかる。



 思うに(これはちょっとした挿話で、考察の本筋ではないが)、人間の頭部を表面的に観察するだけでも、つまり人間は頭部のなかに様々な神経細胞をもち、この細胞が固い装甲(頭蓋骨)で覆われているが、この事は、高度に進化した動物よりもむしろ下等な動物を思い起こさせる。

 (人間の頭部は、昆虫に似ているともいえるだろう)

 人間の頭部自体が、いわば有史以前の生物を想起させる。有史以前のような生物を一寸変形させただけのようにさえみえる。下等生物について語るとき、通常、次のように言う、「下等生物は外骨格を有し、高等生物と人間は内骨格を有する」、と。

 けれども、人間の最高度に発達しているようにみえる頭部、この頭部だけは外骨格をもっている。この事は、少なくとも先ほど述べた事の一種のライトモチーフになるだろう。

 さて、一寸考えてみると、このように(人間の)生体組織から奪われてしまった再生力を、病気と称する状態を通じて(この事は更に詳しく述べる)、生体組織に補給するよう働きかけるなら、つまり、この形成(再生)力、(人間の)外の自然のなかには存在するが、人間は、それを、霊-魂の為に使うので、(人間の)生体組織からは奪われてしまっている、この形成(再生)力を、植物等を使うことで、薬剤として再び生体組織に補給するなら、生体組織と、この生体組織に欠けている形成(再生)力とを結びつけることになる。



 差し当たって、ここで、治療プロセスと呼び得る姿が仄かに見えてくるだろう。つまり、治療プロセスとは、人間が通常の状態では有しない外の自然の諸力を、援助として利用することであり、通常の状態よりも、自身の内部において、(形成)強化するために、自然の力を用いるのである。

 (薬剤とは、人間に再生力を促す切欠を与えるものであるといえる。人間の霊魂には、下等生物に生まれつきある再生力が存在するので、薬剤は、霊魂に、その再生力を思い起こさせる働きをするわけである。   

 キリストは、人間のなかに神殿があり、神殿を通じて発揮される治癒力は、人間のなかに眠っているだけであるといっている。祈りや神への信仰は、人間のなかに隠された神殿に参入し、蘇らせる行為なのである。病気に罹るということは、そのことを忘れてしまったことに他ならない。

 だから、キリストは、神のためにひたすら祈れと言ったのである。しかし、我々現代人が忘れてしまったことは、あまりにも大きいといわざるを得ない。太古人には、病気の概念すらなかったからである。

 そのかわり、現代人は病気に罹るという自由を手にいれた。)

 ここで、少し具体的な話をする為に、といっても、ただ例として挙げるだけだが、例えば肺という器官を取りあげてみる。この器官についても、人間は、霊-魂の為に形成原理を、この器官から取り除いた、ということが判明するだろう。

 今度は植物界において、肺から取り除いた、この諸力に辿り着き、肺組織に、何らかの障害がある人間に、この諸力を付与すると、この人の肺の働きに援助をもたらすことができる。そうすると、次のような問いが生じてくる。

 「人間の諸器官の基礎を成すが、霊-魂の活動の為に取り除かれてしまった諸力、人間の外の自然においては、このような諸力に類似するのはどのような力なのか?」、という問いである。

 ここに、単なる試行錯誤的な治療から、一種の理念、理性(ラツィオ)からの治療に至る道を見つけるであろう。

 しかしながら、ここには、神経組織、つまり人間の内部に関して、人々が陥っている誤謬と並んで、人間の外の自然に関わる、些かならぬ誤謬が存在する。今回は、この事を暗示するだけに止め、次回から更に詳しく説明する。





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Last updated  2008年10月21日 21時26分21秒
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