シュタイナーから読み解く神秘学入門

シュタイナーから読み解く神秘学入門

2009年04月14日
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カテゴリ: 神秘体験空間
 今回は、いわば、人智学と医学の両面において、専門資格のある方々から、なされた発言、

 「今、行っている講演は、人智学的方向性をもつ講演のうちで、最も理解困難な講演である」、という発言からはじめる。

 霊的治療の理解の難しさを、ある限度内で認めなければならないが、他方でまた、その理解の容易さを要求できないことも認めなくてはならない。しかし、この発言の正当性に則り、このような事実から究めて多くを学ぶことができる。

 霊的治療を、非常に簡単に、理解できる条件を取り上げてみる。その理解の容易さへと導くには、二つの条件が挙げられ、1つ目の条件は、誰にでも自明な場合と、2つ目の条件は、現代人からは、遥かに忘れ去られた場合である。

 自明な場合というのは、今日(1920年代)の文化段階の人間なら、当然、理解し難いものとみなされるような治療法を持ち出す場合である。

 人間ではなく、ツグミならば、理解し難いという、この条件はあてはまらない。ツグミには、究めて理解し易い治療法で、しかも、ツグミなら、この治療法が理解し易いように思う、実際的証拠まで持ち出す場合である。

 ツグミは、完璧に禁欲的な鳥ではないので、ときどき、オニグモを食べる。しかし、オニグモを食べると、ツグミは必ず不快感を覚え始め(オニグモを食べると必ずツグミは不快感を覚える)、そのとき、ヒヨス(1)が近くにあると、すぐにヒヨスに近づいて、ヒヨスを適切な治療薬とする。

 ヒヨスは治療薬である。というのも、近くにヒヨスがなければ、ツグミはヒキツケを起こし、激しい痙攣と震えのうちに死んでしまうからである。


 ベラドンナ、マンドラゴラとともにナス科に属するヨーロッパの伝統的な毒草。古代から良く知られている。ルネサンス期のイタリアでは「歯痛草」として有名であり、歯痛の守護聖人にちなんで「聖アポロンの草」と呼ばれ、歯痛に用いられた。
この植物は強い毒性を持つアルカロイド(植物中の、窒素を含む塩基性化合物の総称。ニコチン、コカイン、カフェイン等もこれにあたる)、ヒヨスキアミンを含み、これには強い鎮痛作用があって、現在も鎮痛剤、喘息の発作緩和、モルヒネ中毒の緩和剤などに使われている。
http://kitola.hp.infoseek.co.jp/dokusou/hiyosu.html

 ツグミは自身の持つ治療本能を通じて、自己防衛し、ヒヨスが近くにあると、行って、その適切な治療薬を啄ばみ、オニグモの毒を解毒する。このツグミの自己防衛の行為は、いわば非常に理解し易い(治療)プロセス(経過)である。



 理解困難という非常に正当な発言を顧慮しながら、ツグミや多くの場合、同様の治療ができる他の鳥たちの叡智を少し研究してみるのも興味深いことだろう。

 ツグミがオニグモを食べるとき、一体何が起こっているのか?

 オニグモは、その生体機構全体において、地球外の自然の、ある宇宙的関係のなかに組み込まれている。そして、オニグモの四肢形成全体と模様形成も、地球外の(宇宙)プロセスに紡ぎ込まれ、宇宙に由来し、いわばオニグモは、自らのなかに、多くの惑星生活をもっている。

 オニグモは自らのうちに地球外的、惑星生活をもっている。鳥は、この惑星体験を共に体験することから取り残され、鳥は、惑星生活を自分の生体組織の内部へと移動させた。鳥がオニグモを食べると、鳥のなかで、この惑星力が感じ取られるようになる。

 オニグモを食べたツグミのなかで、なおも形態化する傾向をもつ、この惑星力は、鳥に浸透しようとし、鳥は、この惑星力と闘わなければならない。鳥は、オニグモを食べた瞬間に、内的な欲求から、地球外(惑星)の生活の模像となる。

 鳥(ツグミ)は、解毒に適切な植物の処へ赴く、この植物は逆に、地面から生えることで、しかも惑星の影響の下に、完全に加工した産物としてではなく、いわば未加工の産物を毒として残すことで、惑星力に対立(対抗)する、つまり地上力に類似した植物となる。

 このような植物の処へ鳥は赴き、救済を求める。また、この事から、ツグミのなかでオニグモの毒が作用すると、その瞬間すぐに、このオニグモの毒の作用を通じて、抵抗する本能、つまり防御本能が喚起され、この治療叡智へと遡ることができる。

 いわば、攻撃本能から即座に防御本能へと移行するので、だから、この現象全体は、いわば蝿が眼に止まろうとするときに、眼を閉じたり、単純な反射運動で手を動かしたりするような人間の防御行為が、眼の前で非常に具象的に形成され、展開されているのと同じである。

 動物界、更には植物界における、このようなプロセス(経過)の観察は究めて重要である。なぜなら、このような事実を通じ、更に、

「知性や理性という叡智は、人間の頭蓋の内部にだけ含まれている」、と信じることからも救われる(解き放たれる)からである。

 すなわち、知性や理性という叡智も、(自然界を)飛び回っている。というのも、鳥類の攻撃本能及び防御本能のなかで作用しているものは、全く理知的な行動だからである。鳥の解毒において作用しているのは、外の理性と知性であり、人間は、単に、この外の知性と理性に参加する能力を持っているだけだからである。



 頭部組織を通じて理解する人間よりも、鳥は、肺組織を通じて、鳥のなかにあるものを、更によく理解している。そして、鳥はまた、この肺組織を通じて、ヒヨスキアミン(2)に対する防御本能を喚起する。なぜなら鳥は、周辺部というよりは、鳥の本性の根本で(本能的に)思考しているからである。

(2)ヒヨスキアミン:ヒヨスに含まれるアルカロイド。(1)参照。

 人間は、思考を、肺と律動組織から抜き出してしまった。では、人間は、何をもって思考しているのか、ということについても、もう少し詳しく述べていくことができる。しかしいずれにせよ、もはや、人間は、鳥のように直観的(本能的)には思考していない。

 つまり、人間はもはや、鳥が思考しているように宇宙と結びついて、肺や心臓などで思考してはいない。

 この肺や心臓の思考を、人間は再び修得すべきである。人間を自然と関係づける、鳥の治療本能のその最後の名残を、最後の最後の名残を、人間から取り去ってしまったのは誰なのか、と問うなら、次のように言わなくてはならない。

「この治療本能を奪い去ったのは、学校教育であり、その最後の名残まで奪い去ったのは、大学教育である」

 なぜなら、これらの教育と、それと関連する全ては、根本的に、人間と自然全体との共生を妨げる性質を持っているからである。物事は、一方で、巧緻な知性偏重へと、他方では、巧緻なセクシュアリティへと、(どちらか一方へと)一面的に漂っていく。太古の人類においては、まだ中心(本質、本性)にあった叡智が、現代の人類においては、専ら、この両極端に分離している。





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Last updated  2009年04月14日 21時20分21秒
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