シュタイナーから読み解く神秘学入門

シュタイナーから読み解く神秘学入門

2010年12月15日
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カテゴリ: 神秘体験空間
 ギルガメッシュという名前の人物を霊視すれば、次のような感情を持つだろう。

 「この人物は、秘儀に派生した境遇や環境のなかで生きた。」

 というのも、古代では、全ての文化や文明は、秘儀を源とする放射から生じたからである。そしてギルガメッシュの名を挙げるなら、彼がまだ故郷のウルク(エレク)にいたときには、確かにまだウルク(エレク)の秘儀には参入していなかったが、秘儀を介して、宇宙との関係から感得した実質性に貫かれた文明の最中にいた事実に変わりはない。

 その後、西に向かう旅路での彼の体験は、ヒベルニアの秘儀に直接は通じさせなかったが、ヒベルニアの秘儀の居住地において育まれた叡智(霊能力)にはいわば、通じることができた。この居住地は今日でいうブルゲンラントにあった。

 ヒルベニアの秘儀の地での叡智に通じたことが、このギルガメッシュの魂のなかに生きていた。この叡智は、彼の死から新たな転生の間に、更に育て上げられ、継続した為、次の地上生(転生)の際、当のエフェソスにおいて、彼のなかで、魂の深まり(深化)が生じた。

 これまで述べてきた2人の人物のために、上記のような魂の深まり(強化)が起こった。いわば普遍的な文明から、この2人の人物の魂のなかへと、一層強く、集約された現実性をもって、反響してきた経験は、ホメロス時代以来、古代ギリシアの地においては、本質的に、美しい仮象にすぎなくなっていた経験だった。

 かつてヘラクレイトスも生き、後の古代ギリシア時代、すなわち紀元前6世紀から5世紀頃まで、太古の真実の数々の叡智がなおも感受されていたエフェソスでは、遥か太古には、古代人が感じていた霊的な現実全体をまだ追感できた。

 この霊的な現実とは、人類がまだ神的-霊的な存在と直接関わり合っていた頃の、まだアジアが最下層の天であった頃の(霊的)現実のことで、この最下層の天で、人間はまだ、上位の天と結びついていた。なぜなら、アジアでは自然霊たちが体験され、その上の天では、アンゲロイ(天使)、アルヒアンゲロイ(大天使)他が、更にその上の天ではエクスシアイ(権天使)他が体験されたからである。

 それから、古代ギリシア時代でさえ、かつては現実であった霊的存在を手懸かりに、その余韻がつくられるだけとなった。かつては現実であった霊的存在が、根源の事実を感受できる英雄伝説の像へと変化していった。



 つまり、古代ギリシアでは、根源の事実の劇的要素がアイスキュロスにおいて生命を得た。他方、エフェソスでは、相変わらず深い秘儀の闇のなかに沈潜し、神-霊界と直接関わり合って生きていた、かの古代の現実の余韻を感じ取っていた。

アイスキュロス
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%A5%E3%83%AD%E3%82%B9

 そして、古代ギリシア精神にとっての本質は、古代ギリシア人は、身近な神話や美術等の芸術、つまり複製イメージのなかに、かつて宇宙との関わりのなかで古代人により体験された精神的存在を潜ませた。

 さて、古代ギリシア文明が、その絶頂期に達し、古代ペルシア(トロイア)戦争のように、古代アジアの現実(霊、精神)性側からの反撃すら退けたとき、他方では、霊性が崩壊に瀕し、霊-魂-体のなかの太古からの神-霊的な地上への現実(反映)の余韻を、魂のなかに明らかに担っていた人物たちが、どのような体験をしたのか、を思い描いてみる。

 アレクサンダー大王とアリストテレスは、自らの魂の体験とは全く合致しない世界、本質的に、彼らにとっては悲惨な世界に生きていた。

 奇妙にも、アレクサンダーとアリストテレスの魂のなかに生きていた経験は、彼らが置かれた環境とは別の霊的な関係を持っていた。彼らは、サモトラケの秘儀をそれほど気にもとめなかったが、魂では、サモトラケの秘儀におけるカベイロスとともに生じた霊的観照(霊能力)に多大な親和性をもっていた。

カベイロス
http://web.kyoto-inet.or.jp/people/tiakio/antiGM/kabeiria.html

 カベイロスから生じた霊的観照(霊能力)は、長い間、感じ取られていた。少なくとも、中世までは、まだ感受されていた。このような事実から、次のような結論に至る。

 カベイロスから生じた霊的観照(霊能力)について、今日の現代人は、間違ったイメージをもっているが、中世の13、14世紀頃まで、全ての階級(階層)の人々のうちの幾人かには、少なくとも、古代の東洋のアジアと呼ばれた地域には、はっきりとした霊的観照(霊能力)があった。



(1)『アレクサンダーリート』:フランケンの聖職者、司祭ラムブレヒトにより1125年頃に著わされた。ドイツ語初の世界的叙事詩。花のエピソードについては、母やアリストテレス宛のアレクサンダーの手紙(5001-5205節)を参照のこと。

リッツェンドルフ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%84%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AB%E3%83%95

 今日の歴史のなかで歪められたアレクサンダーとアリストテレスを通じて生じた霊的な感性に対して、12世紀頃に、ラムプレヒト司祭が著述した「アレクサンダーの歌」は、アレクサンダー大王を通じて生じた雄大な、古代の感覚に近い霊的な感性のようにみえる。

 以下を、魂の前に据えればわかる。ラムプレヒト司祭の「アレクサンダーの歌」のなかには、実際に、次のような素晴らしい叙述がある。

「毎年、春がくると、人は森に出かけ、森の緑に辿り着く、森の縁には花々が育ち、同時に、森の縁から育つ花々の上に、森の木々からの影が落ちる位置に太陽がある。そして人は、春に、森の木々の影のなかで、花々の花弁台から、花の霊の子供たちが出てきて、森の縁で輪になって舞い踊るのを見る。」

 ラムプレヒト司祭の上記のような叙述において、当時の人々がまだ獲得できた霊的な経験が僅かに仄かに輝いているのをはっきりと認めることができる。

 古代人の霊的な経験は、森に出かけ、現代人のように散文的に(味気なく)、ここに草があり、花があり、ここから木が始まる等のような物質的な経験ではなく、古代人が森に近づくと、太陽が森の背後になって、影が花々の上に落ちるとき、この森の影のなかで、花々の被造主である花の霊的な世界全体が古代人を迎えた。

 古代人が森に入る前から、花の世界は、古代人のために森にあったが、森のなかで、古代人はまた他の元素霊(エレメンタルガイスト)たちも知覚した。上記の花々の輪舞は、ラムプレヒト司祭にとって特に描写に適した好ましい題材だった。

 そして、重要なのは、ラムプレヒト司祭がアレクサンダー遠征の描写に(まだ12世紀の初頭)、元素界(エレメンタル界)の顕現を内包している自然の描写を浸透させ、流れ込ませる叙述を試みたことにある。

 宇宙全体への意識により支持されたアレクサンダーのアジアへの遠征が始まり、アレクサンダーがアリストテレスから教えを受けたとき、マケドニアで起こった事実を描写するなら、現代のような、地球の周囲を散文的な(味気のない)描写で表現するのでなく、エレメンタル存在(元素霊)たちの領域を加えた描写で表現する必要がある。

 今日の歴史書を読めば(現代では、当然の史実のように思われているが)、アレクサンダーは、師のアリストテレスに不従順で師の助言に逆らい、次のような使命があると思い込んだとされている。

「異邦人たち(バルバロイ)を、文明化された人々である文明的なギリシア人、つまりヘレネスと宥和させ、マケドニア人、異邦人から成る平均的な文化を生じさせなければならない。」

古代ギリシア人
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%A4%E4%BB%A3%E3%82%AE%E3%83%AA%E3%82%B7%E3%82%A2

マケドニア人
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%B1%E3%83%89%E3%83%8B%E3%82%A2%E4%BA%BA

 この使命は、確かに現代的な見方からみれば正しくみえるが、実際の真実からみれば、愚かしい間違いである。アレクサンダーの遠征を、ラムプレヒト司祭が全く別の目的に置いている描写を見ると、雄大なイメージが得られる。

 そして、ラムプレヒト司祭の描写から、これまでの講義のなかで述べてきた自然-元素界の事実、つまり自然のなかの霊的存在が、自然のなかの物質のなかに入り込んでいるという事実も、秘儀参入の単なる導入部にすぎないようにみえる。





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Last updated  2010年12月18日 09時14分16秒
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