シュタイナーから読み解く神秘学入門

シュタイナーから読み解く神秘学入門

2010年12月18日
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カテゴリ: 神秘体験空間
 さて、ギルガメッシュという人物の性格(ギルガメッシュの時代として既に述べたが)を思い浮かべ、更に熟考すれば、アレクサンダーとアリストテレスとの活力ある交流のなかで、古代東洋(イシュタル)とエフェソスに結びついていた叡智が復元され、新たな形をとって再生されたことがわかる。

 この事実をイメージして欲しい。この両者の魂のなかで途方もない強度をもって生きた巨大な記録であるエフェソスの秘儀が、この両者の魂のなかに存在していなかったら、つまりアレクサンダーとしての受肉において、アレクサンダーがエフェソスの秘儀に遭遇していなかったら、どういうことになったか!

 この仮定をイメージし、更に、アレクサンダーが生まれた日に、ヘロストラトスが、燃える松明を、エフェソスの聖域に投げ込み、そのためエフェソスのディアナ神殿は、アレクサンダーの生まれた日に、冒涜者の手によって燃え尽きた、という事実を正しく評価しなければならない。

ヘロストラトス
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%98%E3%83%AD%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%88%E3%82%B9

 記念碑的な記録と結びついていた叡智は、アレクサンダーから失われた。地上の記録はなくなり、結局、ただ歴史的使命として、アレクサンダーの魂とその師アリストテレスの魂のなかに、残された叡智だけとなった。

 さてここで、彼らのなかで、魂として生きた叡智を、第4講において大地の方向性から霊視したように、アレクサンダー大王の使命として霊視できる事実と結びつけてみる。すると、古代東洋において、実際に神-霊的存在の現実的(リアル)な顕現である叡智が、エフェソスとともに消滅してしまった事実がわかるだろう。

 エフェソスの他の秘儀は、たとえそれが非常に活力ある伝統であっても、また特に霊的素質をもつ者に霊能力を呼び起こすような伝統であっても、根本的に伝統を保持し続けているだけの衰退した秘儀にすぎなかった。太古の時代の偉大さや巨大さは既に消滅していた。

 アジアからきた叡智は、エフェソスとともに消滅した。このような事実を知れば、アレクサンダー大王の魂のなかの決意を正しく評価できるだろう。

「かつて獲得していた叡智を失った東洋に、古代ギリシアの影像のなかに自ら保管してきた形で、その影像の叡智を、再びもたらさなければならない!」 という決意である。

 東洋が失った叡智を、古代ギリシア文化の影像の形で東洋に再びもたらすために、同時に、できる限りアジアへ移動しようというアレクサンダー大王の思いが生じた。

 そして、このような事実から、実際、驚くべき形で行われたアレクサンダー大王の遠征は、文化的な征服ではない、ということがわかる。アレクサンダー大王はヘレニズム(古代ギリシア文化)を、外(物質)的な形で、東洋にもたらしたのではなく、様々な形で、土地の風習を受け入れるばかりでなく、その土地の人々の心や心情を思いやった。

ヘレニズム
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%98%E3%83%AC%E3%83%8B%E3%82%BA%E3%83%A0

 アレクサンダーが、エジプトのメンフィスに行くと、彼は、それまで支配していた様々な霊的な奴隷拘束からの解放者とみなされる。また彼は、ペルシア帝国に、ペルシアには不可能だった文化、文明を浸透させた。

 アレクサンダーは、インドまで進出する。彼はヘレニズム文明とオリエント文明との間に宥和や調和を生み出すという計画を立て、様々な場所に、学院(アカデメイア、大学)を創設した。後世にとって、最重要な意味を持つ学院(大学)は、エジプト北部のアレクサンドリアに創設した学院(ムセイオン、アレクサンドリア図書館)である。

アカデメイア
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%AB%E3%83%87%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%82%A2

アレクサンドリア
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AA%E3%82%A2

アレクサンドリア図書館
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AA%E3%82%A2%E5%9B%B3%E6%9B%B8%E9%A4%A8

ムセイオン
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A0%E3%82%BB%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%B3

 最重要なことは、アレクサンダーがアジアの様々な場所に、大小の学院を設立し、後世、アリストテレスの様々な著作と、アリストテレスの伝統が培われた、という事実である。そして、これは数世紀を経て、西南アジアにまで影響し続けた。アレクサンダーが始めた古代叡智の伝道は、弱々しい残像が常に繰り返されるような、いわば海岸に波が押し寄せる形で影響し続けた。

 アレクサンダーははじめに力強い一撃で、彼方のアジアの、インドの中へと、自然(霊)の叡智を植え付けたが、早期に訪れた死のために、アラビアに行くことが主目的だったが、アラビアまで行くことができなかった。



 それから、アレクサンダーは、古代の叡智を様々な場所に根付かせた。叡智を受け取るべき人々が、強制的な馴染みのないヘレニズム的な異文化と感じるのではなく、馴染み深い自身の文化と感じることで、実り豊かな叡智となるように据えていった。

 実際、古代の叡智の伝道というような困難を完遂できたのは、アレクサンダー大王のような火を吹くような輝きを放つ性質の持ち主だけで、常に後援軍がやってきたからである。

 (アレクサンダーは、当時の哲学者を大切にしたという。特に有名なエピソードに、哲学者ディオゲネスとの微笑ましいやりとりがある。

 犬のような乞食生活をしていたディオゲネスに、アレクサンダーは招待をしても、一向に挨拶にこないので、自ら会いにいき、ディオゲネスを気に入り、願い事を聞いたが、ディオゲネスは「日向ぼっこの邪魔になるからどいてくれ」、とだけいった、というエピソードである。)

ディオゲネス
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%AA%E3%82%B2%E3%83%8D%E3%82%B9_(%E7%8A%AC%E5%84%92%E5%AD%A6%E6%B4%BE )

 後世、多くの学者もまたギリシアを出て行ったが、特に、ある学院は、数世紀にわたり、繰り返しギリシアからの移住を経験した(ギリシアの郊外のエデッサから、ゴンディシャプールまで移住した)。

エデッサ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%87%E3%83%83%E3%82%B5

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%87%E3%83%83%E3%82%B5%E4%BC%AF%E5%9B%BD

ゴンディシャプール
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%83%B3%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%97%E3%83%BC%E3%83%AB

 この学院では、途方もないことが成し遂げられた。東洋からきた叡智(下図の右から左への赤[rot])が、ヘロストラトスの松明によってエフェソスで止められ(下図の明色[hell])、これが、古代ギリシアにあった影像により、再度照らし出された(下図の左から右への明るい緑)。

whistory-5-2.gif

 (シュタイナーは、この学院で、現代の科学の基となるアラビアの科学の前身が生まれたと述べている。)

 この照らし出しは、東ローマの暴虐(1)により古代ギリシアの哲学者たちの学院が紀元後6世紀に閉鎖に追い込まれ、古代ギリシアの哲学者たちが、ゴンディシャプールの学院へと逃れていった最後の幕まで続いた。

(1)東ローマの暴虐:ユスティニアヌス(東ローマ皇帝(527-565)、農民の息子)は、529年にアテネに対して、当地では哲学を教えてはならないという勅令を発した。そのため、アテネの最後の哲学者7人がローマ帝国を去り、ペルシアに移住した。

ユスティニアヌス1世
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A6%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%8B%E3%82%A2%E3%83%8C%E3%82%B91%E4%B8%96





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Last updated  2011年01月05日 16時52分34秒
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