シュタイナーから読み解く神秘学入門

シュタイナーから読み解く神秘学入門

2011年05月17日
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カテゴリ: 神秘体験空間
 昨年(1910年)の考察を更に進めていくなら、これまで述べてきた概念とは別の考え、あるいは観点をもたないといけない。というのも、仮に宇宙全体の進化を前提としない限り、人類が残してきた福音書やその他の精神(霊)的な文献に記載されている内容を理解するには、充分ではないからである。

 昨年の考察から、宇宙全体の進化を、現在の地球が、「土星」、「太陽」、「月」という状態を通過し、現在の「地球」という状態を取るに至ったことを記述してきた。この宇宙進化の基本的原則にしばしば言及するなら、それらが人類の進化に関する秘教的な観察にとってもまた、非常に重要であることを知るだろう。

 著書「神秘学概論」の中に記述した「土星」、「太陽」、「月」、「地球」の進化段階に関する解説を読めば、そこに記述した内容は、所々詳しくは述べたが、全体としては単なるスケッチに過ぎないことを認めるだろう。

 著書「神秘学概論」では、ある観点から描いた単なるスケッチに過ぎないので、また別の観点からも宇宙の進化を説明できる。というのも、現在の地球の状態が、地上の詳細な内容を途方もなく豊かに提供するのと同じように、「土星」、「太陽」、「月」の状態もまた、記録すべき無数の詳細な内容をもつことが当然だからである。

 つまり、宇宙全体の進化の詳細に関する大まかなスケッチや概要を描くことは、常に可能である。従って、今回の連続講義では、著書「神秘学概論」とは別の面から進化の特徴を描いてみることになる。

 いま、宇宙全体の進化の解説の由来は、一体何かと問うなら、いわゆる「アカシャ年代記」への参入に由来する、ということを人智学徒なら知っている。宇宙進化の経過の中で一度生じたことなら何であれ、アカシャ実質と呼ばれる精妙な精神(霊)的実質の中に刻印された記録媒体を用いて、ある程度読みとることができる。

 (DNAの塩基配列から、現在の遺伝子情報を読み解くのと同じである。)

 かつて生じた全事象が残した刻印から、かつてどのように存在していたのかを聞き取ること(霊聴)ができる。物質世界では、一般的に、近くにあるものは、詳細に明確にみえるが、遠くになるに従い、ぼやけてくる。

 超感覚的な能力で過去を振り返るときも同じように、時間的に、現在に近い事象が、遠く離れている過去に比べて、正確な姿で現れてくる。例えば、「土星」や「太陽」の状態は、「地球」や「月」の状態に比べて、不明確となる。



 何故、現在から遙かに遠く離れている時代の追跡を重要と考えるのか? 

 「何故、人智学者たちは、そんな大昔の出来事を今さら持ち出すのか? そんなことに関わる必要は全くない。現在進行中のことが沢山あるのだから。」という反論があるかもしれない。

 しかし、そのような反論は間違いである。何故なら、時間の流れの中にかつて生じた事象は、今日でも、形(状態)は変われど、その営みを続けているからである。土星紀に存在した事象は、その時代だけ、もしくは、その時代のためだけにあるのではない。当時起きた事象は、現在まで影響を及ぼし続けている。

 とはいえ、過去の事象は、人間をとりまく物質世界の中では、外的存在との関係から、ヴェール(覆い)をかけられ、見ることができない状態となっている。実際、遙かに昔の「土星」紀に生じた事象は今日ではほとんど見ることができなくなっている。

 しかし、「土星」紀は人類にとっては今でも重要である。何故重要なのか、を考えるために、自らの魂に参入することから、次の例証を、イメージ(瞑想)してみる。

 人間の魂の最奥の核は、「私」と呼べる存在として、魂のなかにある事実を人智学徒は知っている。人間という存在の最奥の核である「自我」は、今日の人間にとっては、実体がなく、知覚できなくなっている。

 「自我」が知覚不可能になっていることは、いわゆる「現代的な」心理学の中で、魂に関して語られる内容を見れば推測できる。現代の心理学では、自我の構成要素に関する考えや、或いは、実際、自我の存在に関する考えすら持たない。

 私(シュタイナー)は、19世紀のドイツ心理学において、「魂なき魂理論」という表現が徐々に使われるようになった事実に注意するようにしばしば言ってきた。ヴィルヘルム・ヴントの世界的に有名な大学は、ドイツ語を話す地域だけでなく、心理学について語る場所ならどこでも、大いなる尊敬を集めてきが、その大学が「魂なき魂理論」を流行らせた。

ヴィルヘルム・ヴント
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%83%98%E3%83%AB%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%83%B4%E3%83%B3%E3%83%88

 この「魂なき魂理論」は、魂の特質を記述するにあたって、独立した魂の実存を前提としない。代わりに、あらゆる魂の特質が最初に一種の焦点に集まる。いわゆる、「自我」の中へと集合する。いまだかつて魂に関する理論のなかで、これほどの愚考はない。



 以上のようなことを述べたのは、「現代的な」心理学が、「自我」、すなわち人間の中心に関して、全く不明確なのを指摘したかったからである。





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Last updated  2011年05月17日 17時00分22秒
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