シュタイナーから読み解く神秘学入門

シュタイナーから読み解く神秘学入門

2011年07月20日
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カテゴリ: 神秘体験空間
 いま、クリシュナとアルジュナの関係をありのままに思い描いてみる。クリシュナは、アルジュナに、ヨーガの主(導師)としてのクリシュナに出会うために、いかに魂を段階的に上昇させていくことができるかの明解な指示を与える。

 これに対して、パウロ書簡の特に重要な箇所、すなわち、ある教区民があることが真実かどうか、パウロが教えたことに対して、あることが正しい見方かどうかを、パウロに向かって問いかける箇所を思い浮かべてみる。

 すると、パウロが与える教示は、その重大さや様式性、更に芸術性においても、崇高なギーターのなかに発見できる教示に全く匹敵する。しかし同時に、ギーターとは全く異なる調子(トーン)も発見でき、全く異なる種類の魂の感情から語っていることがわかる。

 このパウロの教示とは、人間の集団のなかに存在する様々な個人の天分(才能)が、いかに共同して働くべきかを、コリント人たちに向かって書いている箇所(『コリント人への手紙1』12章)に相当する。

 クリシュナはアルジュナに言う。

 「お前は~であらねばならない。~のことを為さねばならない。そうすればお前の魂は、一段一段上昇していくだろう。」

 パウロはコリント人たちに言う。

 「あなた方のなかの1人は、~のような天分を持ち、また別の1人は、~の天分を持ち、また別の3人目の人は~のような天分を持つが、皆が、1人の人間の身体のなかの各々の器官のように共同して働けば、霊的にも1つの全体を生み出し、霊的にもキリストに浸透される全体を生み出す。」



 では、パウロ書簡のなかに見つけられる、この「異言」とは何なのか?

 「異言」とは、太古とは異なる新たな方法で、しかも覚醒意識をもちながら、現代人に再び現れてくる太古の生まれつきの(遺伝的な)霊能力の名残に他ならない。

 (「異言」とは、覚醒意識をもちながら行う霊媒である。神霊に憑依されながらも、自分を失わない霊媒である。自分を失うかどうかは、覚醒意識の有無に関わる。覚醒意識を失うと、現代人は、耐えられず、睡眠状態になる。通夜の寝ずの番などが、この訓練ともいえる。)

 つまり、「異言」は、人智学における秘儀参入法のなかでいう、現代におけるインスピレーション(霊聴力)までの到達で、いわば、現代人が、明瞭な覚醒意識を日常の知性の感覚や知覚に結びつけるのと同じように、明瞭な覚醒意識をインスピレーション(霊聴力)に結びつけ、一致させることに相当する。

 古代では、事情は異なっていた。当時、秘儀参入者は、まるで高次の霊たち(神霊)の道具のように語り、高次の霊たち(神霊)は、秘儀参入者の霊(精神)的器官を用い、高次の事柄を、秘儀参入者の舌を通じて言い表していた。

 当時は、当人には全く理解できない高次の事柄を語ることができた。高次の霊たちのいわば道具が直接理解できない報せが霊界からやってきた。コリント人たちへのパウロの「異言」は、この太古の霊媒が生じたものである。

 (現代人の異言は、覚醒意識をもったまま行うものとなる。太古は、2人三脚で異言が行われた。神言を降ろす霊媒と、神言の内容を解釈する、いわば書記「審神者」である。

 現代では形骸化して、政治家と官僚の関係になったともいえる。右翼体制か左翼体制かは、政治家が優勢か、官僚が優勢かで判別できる。左翼体制は、書記長が出てくるわけである。もし、日本に天皇制がなかったら、左翼体制になっていただろう。

 左翼、右翼の分類は、歴史上は、フランス革命からきているが、本来の意味は、天使の翼にある。従って、天界に秘密があり、天界の闘いが起源なのである。)

 当時、何人かの人が、上記のような「異言」の天分(能力)を得る状況になった。当時、秘儀参入者の何人かは、霊界から、高次の事柄を告げ報せることができた。

 (日本の天皇などは、これの名残に思える。)



 ある者は、ある霊界の領域から、別の者は、また別の霊界の領域からインスピレーション(霊聴力)を与えられる状況もあり、啓示が全く一致しないこともある。覚醒意識をもって、霊界のなかに赴くことができてはじめて、一致を見つけることができる。

 従って、パウロは次のように警告している。

 「異言を語ることのできる人たちがいて、異言を解釈できる別の人たちもいる。両者は右手と左手のように協力して働かなくてはならない。異言を語る人の言うことを聴くだけではなく、異言の天分は持たないが、各々が、様々な霊の領域から降ろしてきた異言を解釈し、認識できる人の言うことにも耳を傾けなさい。」

 以上のようにパウロは、教区の人々が共に働くことで実現する高次の事柄の伝達を奨励している。

 パウロは、この「異言」と結びついて、書簡として語る。既に述べたように、パウロ書簡は、ある関連においては、ギーターよりも素晴らしく、その力強さにおいては、以前議論した点とはまた別の点で、ギーターの告知に匹敵し得るほど素晴らしい内容である。





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Last updated  2011年07月23日 09時32分33秒
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