シュタイナーから読み解く神秘学入門

シュタイナーから読み解く神秘学入門

2011年08月17日
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カテゴリ: 神秘体験空間
 しかし、「驚き」の後には、別の状態が現れるべきである。その状態とは、思考がもたらす全てに対する「尊敬」というべき状態である。

 「驚き」の後に、敬虔ないしは尊敬の気分が続かなければならない。思考の領域に入ってくる理念を、「尊敬」の眼差しで見つめずに、「尊敬」とは無縁の思考は叡智には到達できない。

 世の中を不注意にも、軽い足取りで、いわば踊りながら、思考を、絶対に進めるべきではない。「驚き」の気分を通過した後、宇宙に対する「尊敬」の感情の中にしっかりと根を張る必要がある。すると、叡智への本当の道が、今日科学と呼ばれている唯物論と、正面衝突する段階に到達する。

 例えば、実験室で、実験装置の前に立って、物質の分析を行い、化合物を合成過程に従って合成する科学者に、次のように言ってみる。

 「そのような驚きも、尊敬もない態度では、真実の探求は全く望めない。勿論、鮮やかな思考を創出し、思考を、頭の中で1つにまとめることはできるだろうが、それでは単なる上辺だけの事実に関わるだけである。

 あなたは、この世界のなかの事象に、敬虔さも尊敬の気持ちもなく向かっているが、本当は、牧師が、祭壇の前で感じるのと同じ敬虔さと尊敬の感情を持って、実験装置により起こるプロセスの前に立つべきである。」

 今日では、そのように言われた科学者は、何と言うだろうか?

 恐らく、言った者を、あざ笑うだろう。何故なら、今日の科学の立場からいうと、尊敬が、真実や知識と関係するような事実が、理解を超えることだからである。あるいは、あざ笑わなくても、次のように言うだろう。

 「実験装置により起こっているプロセスに対しては、確かに知的な情熱を感じるが、私の情熱は、個人的な関心事であってはならない。私の情熱は、真理の探究と何らかの関係を持つべきである。私のような知性を持つ人間を、洗脳などにより無理に信じ込ませることなどはできない。」



 「事象の性質、もしくは、事象そのものに関する探求には、必ず尊敬の念を伴わなければならない。探求の対象に対する尊敬の感情を満たすことなく、思考を一歩でも先に進めるべきではない」

 すると、あなたは、今日の科学者の目からみれば、単なる愚か者と確実に思われるだろう。

 さてところが、ある種の「尊敬」の感情へと到達し、この「尊敬」の感情を経験した後、思考を無理に先に進めるなら、やはり無へと至り、またしても先には進めなくなる。確かに幾つかの発見があり、また、「驚き」と、「尊敬」という、叡智への2つの必須の段階を通過しているため、正しい知識を持ち、明確で、堅固に確立した多くの観点を獲得しているかもしれない。

 しかし、以上の多くの観点をもっていても、まもなく不確実さの中へと不可避的に落ち込んで行くしかない。というのも、「驚き」と「尊敬」を経験した後、第3の状態が魂の中に定着する必要があるからで、この第3の気分とは、この世界の法則との叡智に満ちた調和の中に、自分を感じる状態として言い表せる。

 この第3の感情には、思考の無価値さ、無意味さ、を洞察することでしか到達できない。

 思考の正確さに頼ると、思考の結果を肯定すべきか、否定すべきかの問題に終わらず、以前紹介した、パンの数を正確に数えた少年と同じ間違いを犯すことを、繰り返し何度も感じ取る必要がある。

 少年が自分に「僕の計算は確かに正しいが、僕は自分の、この思考の正しさに依存せずに、事実に従う。自分を、周囲の現実に調和させなければならない。」というように言い聞かせていたら、思考の正確さよりも、高次元に位置する村の習慣、すなわち、5個のパンにつきパン1個をおまけに付けるという事実を見つけていただろう。

 つまり、ある問題が真実かどうかを知るには、自分自身が外界へと出て行くべきで、正確な思考などは、その代わりとして何の役にも立たない、という事実を見つけていただろう。

 (人間は、外界に適応すべきで、人間の思考を外界に適応しようとすると、錯誤に陥る。つまり、理論は跡付けにすぎない。現場主義を優先すべきである。)





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Last updated  2011年08月17日 16時53分56秒
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