シュタイナーから読み解く神秘学入門

シュタイナーから読み解く神秘学入門

2012年05月09日
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カテゴリ: 神秘体験空間
 本当に、鉄の作用に対する意識が現われてくる。この鉄の意識は、自分に腕や脚があり、頭があるとはっきりわかる通常の意識と全く同じように明確な意識である。すなわち、鉄のファントム[eisernes Phantom]を自ら感じるような意識が生じてくる。

ファントム
 神秘学的に言えば、物質としての肉体に先立って、肉眼では可視できない、純粋な肉体の設計図のようなものが、ファントムと呼ばれる。このファントムに物質が入り込み、通常可視できる肉体が成立する。パウロが「コリント書」で言っている「霊の体」のこと。このファントムを理解することで「キリストの復活」を理解する鍵が得られる。  

 当然、次のような知識が生じる。

「外(物質)的に、薬剤を服用することで、同じ意識が得られるのなら、薬剤により、自分のなかにある固有の鉄に対する感度や、敏感さも、高めることができる。」

 この知識は、初歩的段階においては正しいが、この知識を用いて、いわゆる手軽な「霊視」[Hellsehen]の獲得のために、実験し始めれば、忽ち危険となる。実際、このような実験が様々に行なわれてきた。

 霊視を、人類のための供犠というか、人類全体の精神的向上のために行うのなら、話は別だが、単なる好奇心から行うのなら、人間の魂の道徳的構造を根底から破壊する。

 霊視獲得の方向で、自らを用いて、色々と実験する方法から、今日の著作のなかにもみつけられることを数多く発見した人物は、ファン・ヘルモントである。

ファン・ヘルモント
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A4%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%98%E3%83%AB%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%83%88

 対照的に、パラケルススの霊視獲得は、私(シュタイナー)には次のようにみえる。

 「パラケルススの霊的認識は、隔世遺伝として、霊魂の内部から現れる。彼は、霊的認識を、地上を超えた世界から、この世に携えてきた。」

 他方、ヘルモントの場合、自身に様々な薬を供給し、独特の霊的な見解を得た。彼の叙述から、それがわかるし、個々の叙述箇所にも明白な暗示がある。

 最も手近に獲得できる意識は、鉄の放射作用に対する鋭敏な感受性で、それは鉄の奇妙な放射作用が上部組織から発せられ、四肢に分岐していくことを内的に感受できる認識のことである。すなわち、鉄の働きや作用を用いて体内を構築する様子がありありと直観[Anschauung]できる。

 この鉄の放射作用を図で示すなら、同時に、鉄の作用は、生体組織を超える能力がないことに言及しなければならない。鉄の放射作用は、生体内に限定され、生体内にとどまる感じを受ける。

 また、この鉄の放射力をせき止める切欠を与えるような対抗作用が認識できる(下図参照)。

med1-19.gif

 すると、次のような結論にいたる。

 「鉄の放射作用は、生体の周辺(末端)に向かって陽(ポジティヴ)の波動として放射され、周辺(末端)では陰(ネガティヴ)の波動として反射され、まるで球面波を描くように投げ返される。」

 鉄の放射作用が、生体の周辺(末端)領域で阻まれること、つまり鉄の放射が周辺(末端)組織等にぶつかり、通過できずに、特に身体の表面を超えて、外に出ていけないことで、鉄の作用の陽と陰の両方を知覚できる。

 この鉄の放射作用を反射するのが他ならぬ蛋白質の力で、従って、生体組織のなかに、鉄を通じて、機能的関係が導入されることに対して、以前述べた4つの器官組織から発する全蛋白質が、鉄と反作用をすることに徐々に気づくようになる。



 さて、人間の精神の進化史の研究から、過去へと遡ると、ヒポクラテスの医学、そしてガレノスの医学でさえまだ、上述したような内的な観察の残滓により営まれていることがはっきりとわかる。もはや、ガレノス自身は、霊的には、あまり知覚できなかったが、当時はまだ、古代の霊視可能な伝統が残っていたので、彼は、それらを書きとめた。

ガレノス
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AC%E3%83%AC%E3%83%8E%E3%82%B9

 彼の著作が正しく読めたら、実際にヒポクラテスとともに没落し始めた古代の遺伝的に伝承されてきた霊的な医学のうちのまだ多くが、ガレノスの著作のなかで光を放っているのが発見できる。従って、自然治癒法についての重要な見解も、ガレノスの著作のなかに数多く発見できる。

 さて、いままで述べてきたような事柄を探求していくと、人間の生体組織全体のなかの二極、つまり、例えば、鉄の放射作用と、それに対抗して、鉄の放射を滞留させ、止める反作用をもつ蛋白質の抑制作用という二極を総じて研究する必要性に気づく。



 無論、このなかには意味深い例外もあり、この例外は特質をもつので、この例外を手懸かりに、全宇宙のあらゆる可能な角度から働きかけてくる様々な力の、人間の生体内への独特な共同作用の全貌を、奥深くまで見通すことができる。

 そのためには、既に暗示したことを更に探求して、個別的な形に整えて考察できるようになることが不可欠なのは言うまでもない。





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Last updated  2012年05月09日 08時53分14秒
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