シュタイナーから読み解く神秘学入門

シュタイナーから読み解く神秘学入門

2013年06月03日
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カテゴリ: 神秘体験空間
 ともかく、現在通用している医学という学問体系に代わり、自然観察からくる純粋な叡智の結集体として要約できる主題へと辿り着く。

 医学生は通常、準備段階として自然科学の講義を聴き、それから、科学的知識を基礎にして、一般、および個別の病理学や、また一般治療学的な知見等を学習するが、いざ医学の講義が始まれば、講義で語られる知識や治療処置等と、外界の自然の経過との関係性については、ほとんど聞くことがない、という事態になる。

 (時たまに、ヒポクラテスの樹の下でヒポクラテスが教えたというような自然と人間の関係性が語られる。それも、樹の下で授業をした史実の曲解だから、古代人にとってはお笑い草である。

 既に何度も述べたが、ヒポクララテスの樹とは、人体の働きを、樹に模して図解した言語体系で、人間の霊魂「神経」の作用を説明したものである。

 古代ユダヤ人は、この生命の樹を用いて、現代人の九九の算術のように、生命現象を言葉にし、認識したという。要するに、生命を記述する「あいうえお」である。)

 今日の医学教育を受けてきた医師達は、この自然との関係に対する認識不足を、外(物質)的な知識の欠陥と感じるだけでなく、実際、病気の経過に介入し、何かを用いようとする際に沸き起こる感覚のなかで、ある種の不確実さの感情を、自らの心のなかに強く刻み込むだろう。

 使用すべき薬剤と、人体のなかに実際に生じる経過との関係を真に認識する機会は稀である。従って、自然のなかの事物の本性から、医学という学問の改革の必要性を指摘することが重要である。

 さて、今回はまず、人間の外の自然のなかの、ある種の経過を手懸かりに、この種の経過が、多くの点において人体内の経過(生命過程)とは異なる事実を明確にすることから始めたい。

 まず、下等な動物や植物において観察できる自然の経過から始めて、更に、外界一般、つまり植物界、動物界、特に鉱物界から取り出される作用により、生命過程を引き起こす方法を見つけたい。



 まず指摘すべきことは、外界の存在の成長による変化が、人体内とは、全く異なるという事実である。

 人体のなかの本質的な成長の原理、つまり人体内の成長原理と外界の存在の成長原理を、何らかの方法で考察すべきであるが、根本的な意味を持つのは、人体の内と外とで生じてくる差異である。

 例えば非常に身近な、通称ニセアカシア[Robinia pseudakasia]を観察してみて欲しい。このニセアカシアの葉を切り取ると、興味深いことに、成長するにつれ、幾らか変形し、切り取られた葉からコブ状のものが生じ、葉の機能を受け継ぐという現象が起こる。

ニセアカシア
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%82%BB%E3%82%A2%E3%82%AB%E3%82%B7%E3%82%A2

 このニセアカシアの葉の機能の継承に、とりあえず、「再生力」とでも呼べる経過が強く働いている、という仮説を立てる。この再生力は、植物全体のなかに潜み、植物が正常に形成した器官を特定の機能として用いるのを妨げた際に発現する力である。

 以上のように、単純に成長する植物において非常にはっきりと現れている成長力の名残ともいうべき再生力が存在している、という事実は、人間の場合も、何らかの理由により、一方の腕、もしくは手を、特定の機能として用いるのを妨げられた人が、他方の腕、もしくは手を力強く形成し、物質的にも大きくなる、などといった事例で証明できる。

 (左脳が破壊されると、左脳の言語中枢が、代わりに右脳に継承される事実からも証明できる。)

 以上のような事柄を互いに結びつけなければならない。なぜなら、このような事実をつなげることが、治療法を獲得する手段となるからである。

 さて、外の自然では、成長は非常に広範囲に渡っている。例えば、次のような事実が観察できる。山の斜面に生える植物を想像する。このような植物は、葉をなるべく形成しない形で特定の形態を成長させる。

 葉をなるべく生やさずに、本来、葉となるべき要素は、湾曲して、茎として、全体を支える器官となる。葉の要素は萎縮し、湾曲し、全体を支える器官となる(下図)。

med1-4.jpg



 さて、この内部に働く力は、特に下等生物においては非常に興味深い形で現れてくる。

 例えば、原腸胚の段階にまで進んだ胚を考察する。この原腸胚[Gastrula:原腸胚、嚢胚(卵発生における胞胚の次の段階)]を切断し、真ん中で切り離すと、切り離された2つの断片は再び丸くなり、各々が自らのなかに前腸、中腸、後腸という3つの形成能を育成する。

原腸胚
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8E%9F%E8%85%B8%E8%83%9A

 つまり原腸胚を切断すると、2つの断片は、それぞれ切断されない場合の胚全体と同じ成長を遂げるのがわかる。このような試みは、下等動物やミミズにまで広げることができる。何らかの下等動物の一部を切り取ると、切り取られた部分が、新たに補充(再生)される。



 なぜならば、その際実際に生じる再生を、正確に観察し、追求するなら、次のようなことがわかるからである。

 例えば、非常に初期の発生段階にあるカエルの生体組織の一部を切り取ると、切り取られた組織とは別の組織が新たに再生してくる。唯物論的思考では、次のように考えるだろう。

 「傷口に弾性力[Spannkraefte]があり、傷口の弾性力により、再生する。」

 しかし、弾性力で再生することなどあり得ない。なぜなら、もし、ある組織の一部を切断し、この傷口から、弾性力により、新しい組織が生じるなら、生じる組織は、傷口のすぐ近くの部位、すなわち切り取る前では、傷口と直接、隣接していた部位になるはずだからである。

3-2.gif

 しかし、実際は、直接隣接する部位から生じるのではない。例えば、幼生のカエルの器官の一部を切り取ると、末端器官の尾や頭でも、他の動物では、触覚でも実際に再生する。つまり、傷口の隣接部ではなく、組織にとって、とりもなおさず必要な器官が再生する。

 従って、組織に直に内在する弾性力による再生は不可能である。この再生に際して、弾性力ではなく、生体組織全体が、なんらかの形で、参加しているものと考える必要がある。

 以上のように、下等生物において生じている再生力を、実際に追求できる。今日の文献に記述された経験的な治療法について、霊的な視野を拡張していくことで、再生力の探求方法を提示したわけだが、再生力についての知見には、この方法を通じてしか辿り着けないことを、様々な場面で確認できる。

 (パラケルススの「ホムンクルス」とは、再生力のことに思われる。現代で言えば、幹細胞や特定の細胞、昨今流行のiPS細胞を駆使した再生医療のことになるが、古代の医療は、霊力、つまり天体の作用を加味していたので、細胞形成以前の量子レベルの話のことを説いていたようである。)





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Last updated  2013年06月03日 11時50分10秒
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