シュタイナーから読み解く神秘学入門

シュタイナーから読み解く神秘学入門

2013年11月12日
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カテゴリ: 軟弱日本を斬る!
 前回の続き。前回は、プラトンが、魂の働きを高めるために国家の必要性を説いていることを紹介した。つまり、国家とは、人類に魂の開発を問うため、背負うための十字架である。

 宇宙霊が、宇宙という空間を背負うことで、宇宙の進化が起こったように、人類が、国家を背負うことで、人類の進化が起こったといえる。その証拠に、国家とは、その構成員による与える行為からなることがわかる。

 与えることが人類の自由意志に反するならば、国家というものは悪徳の権力者による奴隷を縛る道具となるだろう。

 国家が、悪徳の権力者の道具とならないために、国家の指導者には、賢者がつくべきであると、プラトンは説き、その背後には、不死の魂であるソクラテスの意識がある。

 つまり、ソクラテスはプラトンをして国家を語らせたのである。だから、唯物論者には、プラトンの国家の内容を読み解くことはできない。では続ける。

 ☆  ☆  ☆

 「その昔、エルは戦争で最期をとげた。10日の後、数々の死体が埋葬のために収容されたとき、他の死体はすでに腐敗していたが、エルの死体だけは腐らずにあった。そこで彼は家まで運んで連れ帰られ、死んでから12日目に、まさにこれから葬られようとして、野辺送りの火の薪の上に横たえられていたとき、エルは生きかえった。

 そして生きかえってから、彼はあの世で見てきた様々の事柄を語ったのである。彼が語ったのは次のようなことであった――

 彼の魂は、身体を離れた後、他の多くの魂とともに道を進んでいって、やがてある霊妙不可思議な場所に到達した。そこには大地に二つの穴が相並んで口をあけ、上のほうにもこれと向かい合って、天に別の二つの穴があいていた。これら天の穴と地の穴とのあいだに、裁判官たちが座っていた…」 (下P397)



 (唯物論者の荒唐無稽な解釈が、「国家」の内容を歪めているのだがね。)

IV:比較政治体制と哲人政治の有効性

 さて、プラトンは『国家』の後半部分で、哲学者が統治する国の政治、すなわち「哲人政治」の有効性について、その他の政治体制を持ち出し、それと比較することでいかに哲人政治が優れているかを論じている。

 実際には、「優秀者支配制=哲人政治」を理想国家とし、それが「名誉支配制」、「寡頭制」、「民主制」、「僭主独裁制」という不完全国家に転落していく流れを追いながら語っていき、その4つの不完全国家を紹介していく中で、 魂のバランスを崩した人々で構成されている国家がいかに悪い方向に向かうのか 、という点を説明している。

 <名誉支配制>

 スパルタがその代表的な国家。勝利を愛し、名誉を愛する人たちであふれ、そのような者たちによって支配されている国制である。人々の魂は気概の部分が突出してしまい、鍛え上げられた体を持つ者たちが、戦争を好み、戦争での実績をよりどころに、権力欲を高めていく。

 そして、知恵や言論の能力を持たない者たちが支配者階級に落ち着く…。そして、支配者階級内部での抗争も起こるようになる…。はたして国家は維持できるであろうか? 民衆にとって住みよい社会となるであろうか? 教育のあり方や親の子への接し方が適切でないと、このような名誉支配制に陥ると警告している。

 (いまのほとんどの国家の様相を呈している。偽装国家日本なんかその最たるものだ。)



 プラトンの言う寡頭制とは、現代風に言い換えると「富者支配制」あるいは「金権政治」といったニュアンスが適切かもしれない。つまり、少数の金持ちが支配し、多数の貧乏人は支配されるという国制だ。


名誉支配制がエスカレートするとこの寡頭制に陥るという。

たしかに、欲の強い者が権力の座につくわけだから、やがて欲望をコントロールするはずの「節制」は失われ、権力の座について富を肥やした金持ちを優遇する法律を整備し、一定の財産を所有しない者を政治の世界から排除するようになる。

もはやこのような状態になると、名誉支配制で見られた「戦争のために体を鍛える」ような勇ましさもなくなり、もちろん知恵や言論力を磨こうとする傾向もなく、ただ金銭を愛するだけになる…。

 (どこぞの国家か? 否、この国のことだ!)

 この寡頭制の国の1つの危険性は、いざ戦争が起こったときどうするかである。こんな国家では勝てるわけがない。民衆を戦士に動員しても、金持ち優遇の国家のために勇敢に戦うだろうか? むしろ、彼らを武装させることは少数の支配者にとって危険なのではないか? そしてもう1つ、危険なことがある。

 ソクラテス「もし人が船の舵を取る人を選ぶのに、財産の価値に従って任命するとしたら、そして貧乏な者には、たとえその人が舵をとる技術に秀でた人であっても、けっして船の舵を任せない、としたらどうなるか」

 アデイマントス「きっと彼らの航海は惨憺たるものとなるでしょう」



 アデイマントス「そう思います、たしかに」

 ソクラテス「国家の支配だけが例外だろうか? それとも国家の場合も同じだろうか?」

 アデイマントス「他のどんな場合にもまして、そのことが言えます。国の支配が最も困難でまた最も重要であるだけにですね」 (下P209)

 要するに、一定の財産を所有する者だけに政権を与える、ということは、政治や社会に関して知恵ある者でも財産がないとその任に携わることができず、逆 にまったく無能な者でも財産さえあれば好き勝手国家を動かすことができる 、ということで、その危険性を指摘している。

 これ、日本を含め現代の民主国家にも通じることではないか? 正当な選挙で選ばれた代表者が政治を行うとはいえ、立候補でき当選できるのは限られた者である場合が多い。無産市民はどうやって広範な地域で選挙運動を展開することができるのか? どうやって自身の名を広めることができるのか? 

 あるいは、優れた頭脳を持っていても家庭が貧しいがために大学進学を断念し可能性ある知恵を磨くことができなかった者もこの世には無数にいる。代表者となった者を全て否定するつもりはないが、ごく限られた境遇に置かれたラッキーな者であるという自覚のうえに、代表者として政治・社会に関する勉強を積みながら謙虚な姿勢で国政に携わってほしいと願う…。2000年以上前に生きたプラトンの社会に対する洞察力の鋭さに改めて感服する。

 <民主制>

 寡頭制〔富者支配制〕のようなあまりに理不尽な社会が公然と放置されると、やがて貧しい者たちによる反乱〔革命〕が起こる、とプラトンは指摘する。そして、金持ちを打倒し、貧富の別なく平等に政治に参与できる民主制が確立するという。

 この政体の場合、たいていは要職は平等にくじによって選出されると言っているあたり、古代アテネに生きた人らしい指摘である。でもこれ、ある意味で最も合理的な選出方法である。なぜなら、選挙による代表民主制では、少なからず財産による影響を蒙ることがあるから。

 ではこの民主制、プラトンはどう捉えたか? 人々の扱われ方はみな平等で、しかも何もかも自由に行動することができ、それに規制を加えられることはない。何もかもが快く、無政府的で、多種多様な人間の存在をその国は許容してくれる。したがって、あらゆる政治形態の中でもっとも美しいものに思われる。

 しかし、 プラトンは民主制を最善の政治形態であるとは言わない。 自由で規制のない社会では、人間は不必要な快楽に溺れるようになり、誰もそれをとがめる者はなく、 理性は次第に失われていく…。 そもそも、プラトンはソフィストに扇動され堕落したアテネ民主制を現に見ているから、この政体をよいとはみじんも思っていないんだったね。

 (貧富の差がなく、平等に権力につけるので、権力をカネで買う人物ができなくなる意味ではマシという感じだが、神々の考えを見通し、人類の進化をどうするかの先見力の持ち主がつくべきなのが、理想である。)

 <僭主独裁制>

民主制はやがて僭主〔独裁者〕を生み出し、僭主独裁制に至るとプラトンは言う。 民主制は平等と自由を最大の善とする結果、無政府状態となり、人間関係の間で守られるべき秩序も崩れ、社会は堕落していく。

 本来、民主制といえば市民が政治に参加できるという点にその価値が見出されるはずだが、堕落した生活を送るようになった市民はやがて政治に参加することよりも他の快楽に流され、政治に関心を示さなくなり、政治の質は低下する。そのような状態の中で、市民を扇動して自らを指導者の地位に就けさせるよう仕向ける輩が現れる。

 ソクラテス「僭主となった当初、はじめの何日かの間は、出会う人ごとに誰にでも微笑みかけて、やさしく挨拶し、自分が僭主であることを否定するだけでなく、私的にも公的にも沢山のことを約束するのではないかね。そして負債から自由にしてやり、民衆と自分の周囲の者達に土地を分配してやるなどして、全ての人々に、情深く穏やかな人間であるという様子を見せるのではないかね」

 アデイマントス「必ずそのように振舞います」

 ソクラテス「しかしながら、思うに、一端、外なる敵たちとの関係において、和解し、ある者は滅ぼして、そのほうへの気遣いから解放されてしまうと、まず第一に、彼のすることは、絶えず何らかの戦争を引き起こす、ということなのだ。民衆を、指導者を必要とする状態に置くためにね」

 アデイマントス「当然考えられることです」

 ソクラテス「さらにその目的はまた、人々が税金を払って貧しくなり、その日その日の仕事に追われるようになる結果、それだけ彼に対して謀反を企むことができにくくするためにもである。それにまた、思うに、誰か自由な考えを持つ者がいて、彼は、支配を許さないのではないか、という疑いがある場合、そういう者たちを敵の思うようにさせて、消してしまうための口実も得られようというものだ。――こうした理由のために、僭主というものは、絶えず戦乱の状態を作り出さざるを得ないのではないかね」

 アデイマントス「ええ、どうしてもそうせざるをえないものです」

 ソクラテス「しかしそのようなことばかりしていれば、どうしても国民から次第に嫌われるようになってくるだろうね? それにまた、彼を擁立することに協力して、現在権力ある地位にある者たちの中からは、彼に対してもお互いに対しても自由に物を言い、事態を咎める者が何人か出てくるだろうね。――人並み以上に勇気のある者がいたならば?」

 アデイマントス「当然考えられることです」

 ソクラテス「そこで僭主は、支配権力を維持しようとすれば、そういう者たちの全てを排除しなければならない。ついには敵味方を問わず、何ほどかでも有為の人物は一人も残さぬところまでね。そういうわけだから、彼は、誰が勇気のある人か、誰が高邁な精神の持ち主か、誰が思慮ある人か、誰が金持ちであるか、といったことを、鋭く見抜かなければならない。

 こうして彼は、そういう人々の全てに対して、好むと好まざるとにかかわらず敵となって陰謀を企ませなければならないという、はなはだ幸福な状態に置かれることになるのだ――国家をすっかり浄めてしまうまでは」

 アデイマントス「まことに立派な浄めです」

 ソクラテス「そうとも、医者が身体を浄めるのとは正反対のね。というのは、医者は身体の中から最悪のものを取り除いて最善のものを残すのだが、彼はちょうどその反対のことをするわけだから」 (下P256)

 ☆   ☆   ☆

 次回に続く。





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Last updated  2013年11月12日 16時21分28秒
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