シュタイナーから読み解く神秘学入門

シュタイナーから読み解く神秘学入門

2014年01月27日
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カテゴリ: 軟弱日本を斬る!
 前回の続き。

 ☆  ☆  ☆

 ディオニュソスはバラバラに引き裂かれた神として、個人の魂の中に入っていった。ディオニュソスの象徴であるアルコールが人類にもたらされた結果、全体(集合魂)の人間は、多数の個人となって、(神々とつながっていた)人間(アダム)は引き裂かれ、物質(肉体)の中に投げ込まれた。

 カナの結婚式の伝承には、偉大な原則が生きている。進化の原則についての教えである。絶対的な真理は確かに存在するが、その真理を直ちに人類に提供することはできない。どの時代にも特定の存在形式があり、特定の真理を持っている。(P114)

 洗礼〔バプテスマ〕を水で授けたのはヨハネであり、水による洗礼は「(過去の)記憶を授ける洗礼」であり、「人間(の意識)を過去に向ける」作用をもつ。対照的に、キリストの「聖霊」による洗礼は、未来に向けてのもので、このぶどう酒による洗礼は非常に重要である。

 高次の霊性の観点からみれば、人間が個として稚拙な自我を持つことは非常な堕落のように見えるが、そうした低次であっても、個人的な「自我」からはじめ、その状態から「自由」の原則によって成長していくための深い意味を、キリストの自由な自己認識との関係で深く洞察する必要がある。

 何事にも時代や場所に相応しいことが行われる必要がある。時代と場所において「正しさ」が適切に作用しなければ、その「正しさ」は破壊を生じるものになってしまう。

 シュタイナーは次のように述べている。 

 我々は次の時代を準備するために人智学を学んでいる。なぜなら、我々の時代が存在しなければ、次の時代も存在しないからである。とはいえ、未来のためと称して、現在を誤魔化してはいけない。



 現在始めなければ、来世に、現在の行いの結果を生じさせることはできない。絶対的な形式をとった真理などは存在しない。人類の進化の各時代に応じて、そのつど真理が認識されてきた。最高の認識といえども、低次の生活習慣のなかにまで降りていく必要がある。

 (会社の上層部も、現場にまで足を運ばなければ、現実はみえない。他人任せや机上の空論では落第。)

 そして最高の真理も、その時代において理解できるような形で語り示される必要がある。だから、キリストは、人類がどのようにして自らを神性にまで高めるべきかを、ディオニュソスの供犠によって、ぶどう酒(アルコール)の供犠によって示す必要があった。(P115-116)

 これまで正しかったからといって、その正しさを振りかざすことは避けなければならない。だからといって、逆に、現在に迎合してしまっては未来を創造できなくなってしまう。今何が必要であるか、という観点を忘れてはならない。

 (日本人のほとんどは、この点について非常に遅れている。中世の意識のままである。靖国参拝がその典型である。)

 かつて正しいこととして実践されてきたものが、現在において正しい方法であるとはいえない。仏教でも、その時代の形式に応じた正しさを「中道」ということで表現していたように思える。「八正道」ということにしても、あくまでも「中道」ということが考慮されなければ、偽善になってしまう。

 (釈迦がホームレスになったのは、下層階級の現実を知るためでもある。少なくとも、上から目線で、過去の古くなった教義を説くことではない。自己意識を物質的な価値観に迎合させると、アーリマン的な利己主義になり、逆に自己意識を、過去の教義に固執させると、ルシファー的な利己主義になる。

 自己意識に上下はないのに、自分が正しいと思い込むのは、過去や未来に依存し、現実を生きていないことなので、間違いなのである。)

 キリストは、現在の中に立ち同時に未来を示すことで、自分は、絶対的な意味(上から目線)ではなく、現代的な意味で時代に働きかけている、ということを明らかにした。

 だから、母親が彼に「彼らにはぶどう酒(アルコール)がなくなった」と訴えたのを、次のように応えたのである。

 (キリストは、この母の言葉を、「彼らの自我は充分に自立している。」という意味にうけとった。)



 結局、母の言った「アルコールを与えること」にキリストは従っているから、「女よ、私とあなたとの間にどんな関わりがあろうか」などということを、イエス・キリストが言うわけがなく、全くの誤訳であることがわかる。

 だから正しい意味をもつ訳にするなら、血の結びつきによって人類が現在の自我の前段階に達したこと、そしてアルコールの飲用によって、血の結合から自立するようになった自我(個人)の時代が到来することを示すために、昔からの風習に従い、キリスト自らが、アルコールによる「シルシ(自己認識の行為)」をなしたことで、つまり、当時はまだ、ぶどう酒によって象徴される古い時代の自我(集合魂)を顧慮する必要があったこと、しかし、キリスト自身の意識のように、「私である」という個人の時代が、未来に来ることを理解しなければならない。(P117-118)

 人類がこれまで辿ってきた進化の道筋を否定するのではなく、その意味を認識すべきである。かつては「血縁」が重要な意味を持っていたが、現在ではその「血の結合」では、未来を準備できない。それは民族紛争などにおいても容易に、その問題点が見えてくる。

 (集合自我と集合自我の戦い。現在の宗教紛争も、昔の民族紛争と同じ。)

 また、こうしたテーマに基づいて、西欧の例だけではなく、イスラム世界や東洋、日本などの現代の課題を見据えていく必要がある。



 見返りを求めない愛をよく自己犠牲と勘違いしているアホがいるが、犠牲になる必要はなく、逆に自己を生かすことを考えるべきである。)

 ☆  ☆  ☆

 当時は、集合自我から、個人の自我へと目覚めるために、アルコールは必要だったが、個人の自我が確立した現在では、逆に、水の洗礼が必要となってきている。しかし、なかには、「自分が正しい」と思い込んでいる独善者もいるので、そのような未熟な自我が集団魂と分離するために、アルコールは必要ともいえる。

 つまり、洗礼者の自我の進化度合いにより、洗礼の際に、水とアルコールを使い分けられる神父がマトモということがわかる。

 上述のシュタイナーについての話からわかるように、神とは、自己意識の総体である。キリストも自己意識の総称である。自己意識があってはじめて、宇宙と対等の能力を得て、宇宙のなかで独立できる。それはヤタ(ユダヤ)の鏡に書かれた「エヘイエ アシェル エヘイエ」の「我あるものは我なり」、つまり「我とは、神の生き写しなり」からもわかる。

 人間は神から自己意識を与えてもらい、自己意識をどのように形作るかに拠っている。少なくとも物質愛(欲)を精神愛(理解力)に変えていかないと駄目である。

 さて、そのことを、シュタイナーの話から抜粋紹介する。

 ☆  ☆  ☆

「私」と「あなた」(改変)

 言葉のなかで、その言葉の本質上、他の全ての言葉とは区別できる言葉が、1つだけある。それは「私(自我)」という言葉である。他のどんな言葉にも、対応する存在が外にあり、いつも使うことができる。

 しかし「私」という言葉を使うには、この言葉を自分に向けるときに限られる。外から「私」という言葉が、ある人の耳に、その人の呼び名として聞こえてくることは、決してない。当人だけが、「私」という言葉を自分に向けて使うことができる。

 「私は、私にとってのみ、一個の『私』である。他者の「私」は、『あなた』となる。そしてまた、他者全ては、私には、一個の『あなた』でもある。この言葉は、深い真実を表している。

 「私」なる本質の存在は、外なる一切から独立している。それゆえ、この言葉は、外にあるいかなる存在からも、私に向けて用いられることはない。超感覚(霊視)的な認識を、意識的に保持してきたユダヤ教の賢者は、「私」という呼び名を、「言葉では表現困難な神の名前」であると述べている。

 (略)

 「人間の内なる神は、魂がみずからを『私』と認識するとき、語り始める」

 〔シュタイナー「神秘学概論」ちくま学芸文庫/P70-71〕

愛別離苦から永遠の愛へ(改変)

 物質界において霊(精神)的な働きによって織られた関係(精神的なつながり)は、霊界においても存在し続ける。この世で深く結ばれ合った友人たちは、霊界においても、その結びつきを継続する。

 そして人体から離脱したあとは、物質界での生活よりも、遥かに深く結びつく。なぜなら、

 (略)

 ある霊的な存在が他の霊的存在に、その存在の内部を通して自らを現わすように、霊となった友人同士も、互いに相手の内部を通して結びつきを現わすからである。

 そして、二人の間で織られた絆は、次の人生においても、その二人を再び結びつける。それゆえ、言葉の真の意味で、人間は死後においても再会を果たすことができる。

 〔「神秘学概論」高橋巌訳/ちくま学芸文庫/P124〕

 ☆  ☆  ☆

 金銭の関係は、物質界だけのもので、友愛(メーソンで有名なので、この言葉は使いたくないが)の関係は、永遠のもので、輪廻転生も超え得る。シュタイナーは、ギルガメッシュとエアバニ(エンキドゥ)の友情の関係が、アレキサンダーとアリストテレスとして生まれ変わったことを、歴史の講義で述べている。

 独立した自己意識から生じる友愛の関係のみが、輪廻転生を超えて永遠のものとなるのである。逆説的にいえば、金銭の関係に左右されない友人の関係こそが、死を超えて存立するものとなる。

 友愛を名乗って物質関係で商売するメーソンは堕落したので、悪魔を招きよせ、悪魔により滅ぼされるだろう。 





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Last updated  2014年01月28日 13時44分47秒
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