あさの あつこさん
が所属する 同人誌「季節風」
の
ふしぎ日和
メンバー
が描く、 日常にひょっこり現れた不思議な出来事
を本にしたものです。 あさのさんは選者として参加。(その他の選者は土山 優さんと八束澄子さん)
「正義の味方 ヘルメットマン」 (吉田 純子) ・・・ アルバイト先のホームセンター で、 毎日午後二時に、 ヘルメットを一つ買って いく男性 に 興味 を覚えた (好みのタイプにドストライク!) わたし は、いつものメンバーの女子会で、そのことを話した。 いったいなにに使うんだろうか と皆でワイワイ言いながら想像する。もちろん、わたしは 勝手に彼に あだ名 をつけていた。 「正義の味方ヘルメットマン」 。だって、 彼はわたしの 夢の中に出てくる正義の味方によく似ていて・・・
「うたう湯釜」 (森川 成美) ・・・ 町長の家に奉公 に上がっている 蕗 は、 幼なじみの 健吉 からの 頼みごとに困って いた。 健吉 は 町長の家の中に、自分を手引きしろという のだ。今日開かれる 会議の内容を知りたい らしい。今、 町は新しい公衆温泉を作ろうとしている のだが、 反対派 も多く、どうやら 健吉は反対派のようで・・・
「働き女子!」 (工藤 純子) ・・・ 安定だけが自慢の大手電機メーカー に勤める 四十歳の聡美 は、 今、まさかの リストラ面接の真っ最中 。 淡々と続く部長の話を聞きながら、 現実逃避モード になったそのとき、 窓枠を白い影がひゅっと横切り・・・
「裏木戸の向こうから」 (村田 和文) ・・・ 母が倒れた という知らせ を聞いて、急ぎ 京都へ と向かった私は、助手席で眠る 五歳になった優真 を見て、 別れた夫 を思い出した。そして、 家を出る ことになった経緯 も。 母に会うのは 父の葬式以来 だから五年ぶり だった。 音楽の世界で成功 するなどと、 夢ばかり語る彼 との結婚 を 父に反対 され、 彼と家を出た 私は、結局彼とは別れ、 今は息子と二人、岡山で 暮らしているが、久しぶりに会う母は、 前にあったときより痩せて、しわも増えていて・・・
「生まれたての笑顔」 (井嶋 敦子) ・・・ 小児科研修医 の かすみ は 一週間前に帝王切開で出産 したばかりだった。 在胎28週2日、902gで生まれたトアは彼女の長男だ 。 トアを可愛いと思う が、 トアのチューブトラブルにも冷静に対処 する 自分がロボットと呼ばれて いることも知っていた。 真面目で、感情を表現することが苦手な彼女 は、 臨床実習で患者を診る ようになり、いっそう 表情が硬く なっていった。しかし、 小児科の研修医となったとき、 指導医の隆 に 大声 で怒鳴られ・・・ 心臓がバクバクなって・・・
「山小屋」 (田沢 五月) ・・・ 登山道三合目 で 山小屋を営んで20年 、 病気 などしたことがなかったのに、今年の 正月、風邪をこじらせ入院 してしまったため、 息子や妻 から、もう 山小屋をやめたほうがいい といわれるようになってしまった 私 は、 今年で山小屋をやめると約束 してしまった。しかし、 四月になると早々に山にはいた私 は、登山道を離れて 青ヶ沼へ と向かった。しかし、 どうも 背後に誰かいる ような、ずっと 誰かに見られているような気がして・・・
不思議をテーマ に、 あさのさんお勧めの 六人の猛者たちが紡ぐ物語 は、 微笑ましかったり、ちょっと怪異じみていたり、親子の情にまつわるものだったりと、いろいろ ですが、 どれも楽しく読めました 。人それぞれ好みはあるでしょうが、 私は「生まれたての笑顔」が結構好き です。 出産は病気ではありませんが、母子ともに命がけの作業 です。医療が進歩して忘れられがちですが、今でも、 いろんな問題が起きます。 そんな中で 医師であり、母にもなった不器用なさおりさんと、未熟児として生まれたトアちゃんの、親子の絆の第一歩って感じでさ。
四畳半王国見聞録 2017年11月02日
夜は短し 歩けよ乙女 2017年04月05日
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