「10年」をテーマ
に、 人気作家五人
が
十年交差点 (新潮文庫) [ 中田 永一 ]
物語を紡いだ アンソロジー
です。
「地球に磔にされた男」 (中田 永一) ・・・ 空から車 が降ってくるという 怪事件 からしばらくたったころ、 俺 は、 父の友人だった 実相寺のじいさんの死 を知らされた。 実相寺の弁護士 が言うには、 蔵に残された研究機材や私物は、遺言で俺に遺された そうだ。 さっそく弁護士の車で、実相寺家の蔵へと向かった俺は、そこにあるコンピューターの奇妙なタイトルのファイルに気がつき・・・
「白紙」 (白河 三兎) ・・・ 「十年後の自分」というテーマの作文 を、 白紙 で出した 女生徒 に、 担任である大塚 はその 理由を尋ねた 。返ってきた答えは、 「私の未来は真っ暗だから!」 だった。しかも、彼女は、 交際していた男子とも、最近わかれた という。 心配 なのと、 やるべきことはちゃんとやった というアピールもかねて、 家庭訪問 をすることにした大塚だったが・・・
「ひとつ、ふたつ」 (岡崎 琢磨) ・・・ 交際を始めて 半年 の 恋人 ・ 一誠 から、 結婚 を申し込まれた 巴瑠 の返事は、 「・・・考えさせてください・・・」 だった 。一誠は、返事は又、今度でいい と言ってくれたが、明らかに がっかり しているようだった。 一誠が、もうすこし、一緒の月日を過ごすまで待ってくれたなら、ふとしたきっかけで自分の体のことを打ち明けることもできたのに・・・ ターナー症候群。それが巴瑠の抱えている秘密だった・・・
「君が忘れたとしても」 (原田 ひ香) ・・・ 整骨院 に勤める 結実子 は、 その日 は残業もせずに、 待ち合わせの場所へ と向かった。 10年前 、 甥っ子の壮馬 から、 「パパ、カノジョができたんだよ」 と、教えられた 結実子 は、 「よかったね」 と応えたが、その後、 そのカノジョから、 とんでもないこと を言い渡されることに・・・
「一つ足りない」 (畠中 恵) ・・・ 中国の地 で 飢えと寒さ に見舞われた 九千坊河童とその一団 は、海を渡って 倭国 へやって来た。 倭国の河童 とも上手くやっていくことができ、 新しい住処 を作り無事に西の地になじんでいくうちに、 九千坊は西の地に広がった 河童達から、河童の王と呼ばれる ようになっていた。しかし、 ある日突然、 猿たちが河童を襲い始めた。しかも、猿たちは 河童の秘薬の青玉を奪い、人の言葉を話せるようになったため、人間の武将に取り入って、味方につけていた!さて、どうする??
「地球・・・」 は、とんでもない状況ではじまったものの、気がつけば 時空 ヴァガボンド な展開 後、なんとなく ホッコリした感じ で終わりました。まぁ、これはこれで、いい人生なんだろうねぇ。 何でわかんないのよ、このお馬鹿!彼女が抱えているのは、そんなありきたりなことではなく、もっと深刻で残酷なことだってわかれよぉ! と、 読んでいる間中 思っていたのが 「白紙」 です。 「ひとつ・・・」 は、 柔らかに紡がれる風景 の中で、 揺れ動く巴瑠さんのとまどいや、腹立たしさなどが丁寧に書かれて おり、 彼女達の幸せな未来を、思わず期待 してしまいました。 そして 「君が・・・」 は・・・ 判らないではないのよ、再婚相手の子 供があまりにもなついている 、その子の亡き母の妹とは 距離をおきたい という気持ち は。でもねぇ、それって、結局 子供の反感を買うだけ ではないかと思うのよ。 もしかして、子供だからら、しょせん何ヶ月か立ったら忘れるとでも思っていたのなら、子供の知性を馬鹿にしてるわ 。そして、 彼は忘れることなく、大人になったとき、 親が断ち切った絆を、あえて親に繋ぎなおさせた 上で、大好きだった叔母さんに会いにゆきます。 「一つ・・」 は、 万に千足りない九千坊親分 のお話ですが、なんせ 禰々子姐さんの活躍があまりに豪快で華々しく 、 サルの愚かな野望なんて、彼女の拳骨ひとつで雲散霧消します。お見事!
まことの華姫 2018年09月28日
誕生日ケーキには最強のふたり 2017年10月25日
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