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2006.10.06
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カテゴリ: 700広報 
連載コラム[2]  □・--------------------------------------
             『 不登校になると にんげんが見えてくる 』
 バックナンバー  http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000098424



● 第4回 人生は時計反応

 化学反応の一種に「時計反応」というのがある。これは、ある薬品どう
しを混ぜると、その時には何も起こらないが、しばらくたつと突然、まさ
に突然見えるような変化(例えば色の変化)が起こることをいう。

 本人の意識があったかどうかは別としても、高校生活の中で確かに培わ

あることを期待したい。
                          (柴田 秀男)
        「卒業生へ...」<『大清水新聞』20号 83.3.1 より >

 解 説

 これまでの3回を読まれて「登校拒否が突然"なおる"ことがあるのか」
「急に活発になることがあるのか」などといぶかしく思われた方はいらっ
しゃらないでしょうか。

 登校拒否について書かれた文献を読んでみますと、登校拒否が"なおる"
過程の典型として「回復期」または「挑戦期」という、除々に再登校をは
じめ、だんだん継続的な登校が可能になってくる──などと「だんだんな
おる」時期があることが強調されています。


期は、その年のなかで最も状態の悪い時期で、欠席も継続的だったのです。
その最中に立ち直って、2度と登校拒否といわれる欠席をせずに3年間の
高校生活を送ったわけですから。

 いわゆる普通の子どもが部活動や生徒会活動をやってい驚く人はいない
わけですが、同じことを私がやったら周囲が驚いたのも、無理からぬこと


 しかし、これにはちゃんとした訳があるのです。それは、その前の3年
半の間、時々登校するたびに感じた、先生方の愛情や級友の友情(第2回
参照)が、自分の中に立ち直りのエネルギーとなって、除々に積み上げら
れていた──ということです。

 それが一種の"臨界点"に達したとき、私は立ち直ったような気がして
いるのです。

 そのあとの3年間の積極的な高校生活も、そのエネルギーのおかげなの
です。ですから、あの登校拒否の足かけ4年間は、高校で自己実現するた
めのエネルギーを、無意識のうちに蓄積させていた時間だった、と言える
のかもしれません。

 冒頭の文は、大清水高校の第2回卒業式の日に発行された学校新聞にお
ける、卒業学年各クラスの担任の先生の言葉を掲載した記事のなかの、あ
る先生の言葉ですが、これは、登校拒否のさなかにいる子どもたちにこそ、
知ってもらいたいものです。

 学校に行かない子どもには将来がないかのように思われている現代にあ
って、登校拒否は「無駄な経験」「人生の損失」などと捉えがちな本人や
その親に対して、私が言いたいのは、今の苦しみも感動も、有益な人生経
験として徐々に本人の心に積み重ねられていると信じてほしい──という
ことです。また、そのためにも、周囲の人々が適切な対応をして、本人の
人生経験の蓄積に協力してあげてほしいと願うばかりです。

 人間は、生きていくうえでさまざまな経験をします。そのなかには、成
功もあれば失敗もあります。挫折体験や苦しんだ経験など、思い出したく
ない事もあるでしょう。しかし、私は最近、だんだん確信できるようにな
ってきました。「人生には、無駄なものはひとつもない」ということを─。

                              丸山 著
                 『こうざつうしん』(1991) より転載

                 ●

 〔 今補足したいこと 〕 待つことは積み重ねること

 前回例に引いたイチロー選手の場合「4年目の200安打達成は、それまで
の3年間の練習によって培われて、起こるべく予定されていた時計反応」
と表現することができそうです。

 このようなことは、私たち一般人にも起こすことができます。ただし
そのためには"時計反応"が起こるまでの何年間かを、辛抱強く待ち続
けなければなりません。

 ただし「待つ」ということは「何もしない」ということではありません。
原点に立ち返って、基本的なことを積み重ねる、ということです。

 不登校の場合で言えば、それまでの親子関係・家族関係を変える必要
はまったくありません。本人は、登校していなくても家族の一員、親御
さんにとってはわが子であることに変わりないのですから、学校以外の
ことで、家族として親子として、つきあい続ければいいのです。

 そのなかで、接し方に失敗したり傷つけ合ったりすることがあるかも
しれませんが、常に本人を家族の一員として受け入れてさえいれば、つ
まり支持し続けてさえいれば、どんな経験も本人のエネルギーとなって、
蓄積されていきます。

 そして時計反応・・・。それはいつのことか、誰にもわかりません。
どんな人生経験をいくつ積めば時計反応が起こるのかは、ひとりひとり
違います。まさに"神のみぞ知る"です。

 しかし、不登校児は新しい人生に向かって、確かに、少しづつ前進し
ているのです。その間、私たち周囲の人間ができることは、各自が本人
との基本的な関係を維持し続け、本人を支持し続けることだけなのかも
しれません。
                             (続)


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Last updated  2006.10.06 04:56:02
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