2013.09.01
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カテゴリ: 手あみ
8月18日の記事



前回は、針の号数を決めて、メリヤス編みゲージをとったところまで。

今回は、製図をして、目数段数を計算して、編み始めます。



製図の仕方はさまざまな方式があるかと思いますが、私が勉強したのは、ヴォーグ学園式。

ヌード寸法をもとに描いた原型に、ゆるみや丈などの情報を入れて、実際に編む編み地の形・寸法を決めます。

本来なら、着る人の採寸をちゃんとできればいいのですが、私は男なので、着る人が女性の場合はなかなか難しいわけで…

そんなときは、お気に入りのセーターを持ってきてもらって、それを採寸することで作品の寸法を決めます。



今回の依頼人の場合は、ほぼ婦人中寸でOKでしたが、袖丈だけは標準より長め。

模様も形もシンプルで、というご希望なので、ごく普通のプルオーバーの製図をしました。

CIMG0724.JPG





前身頃の模様編みはもうちょっと考えたいので、とりあえず保留。

今の時点で、後身頃と袖は編めます。

納期にそれほどゆとりがないので、とりあえず後身頃を編み始めます。

今回に限らず、ウェアものはまず後身頃から編み始めるのが鉄則です。

というのは、作品の編み始めはまだ手が慣れていないことが多く、編み地が乱れがちなので、

着たときに周りからまず目につく前ではなく、目立たない後ろから編むほうがいいからです。



後身頃の中でも、編む順序がいろいろ考えられますが、裾がゴム編みの場合、私は別鎖の作り目をして、裾ゴムからではなく本体から編み始めます。

もちろん、ゴム編みの作り目をして裾ゴムから編んで、そのまま本体を編み続いてもいいのですが、

別鎖からの方法だと、本体を編みあげてから別鎖をほどいて裾ゴムを編み下げていくので、

たとえば、あとで裾ゴムの丈を修正したい場合には、別鎖の方法のほうが都合がいいのです。

これ、結構あるんですよ。実際に前後身頃を編んで着てみたときに、思ったより長かったり短かったりすることが。





編物は、最初の計画どおりに最初から最後まで進むというのは滅多にありませんので、

あらゆるところで軌道修正の余地を作っていくことが、腐らずに最後まで編みあげるコツです。

もちろん、本当に気に食わないのであれば、全部ほどいてしまえばいいのですが(これが編物のいいところ)。



で、ひとまず30段ほど編んでみました。(メリヤス編みの性質により、編み地の端が猛烈に丸まっています)

CIMG0725.JPG

使用糸:内藤商事 ザリーナ




ここで、ポイントとなるのが、寸法をこまめに確認すること。

実物大の製図を書いて、編み地を何度もその製図に当てて、寸法を確かめられれば理想的です。

(測るときは、丸まっている編み地をちゃんと平らにならした状態を測ります)

ここでもいくつかコツがあります。

まず、棒針編みの場合、できれば、編もうとする幅よりも長い輪針を用いて編むこと。

輪針で往復編みをすれば、1段編み終わったときに編み地を自然な状態に近い状態で置くことができ、より正確に幅寸法を確かめることができます。

玉付き棒針を用いると、編目を無理やり30cmだか35cmの針に縮めて乗せることになり、幅寸法は測れません。

段の途中で一旦止め、両方の針に編み地を広げて乗せることで測ることはできますが、

針に乗せるときに編み地が部分的に縮んだり伸びたりするので、正確さに欠けます。



つぎに、横長の編み地は、本来のゲージよりも横に伸びる性質があること。

(同様に、縦長の編み地は、本来のゲージよりも縦に伸びる性質がある)

つまり、まだ数cmの丈しか編めていない状態では、実際の編み地の幅は、希望寸法よりも広くなくてはならない、ということ。

たとえば、幅48cmの編み地を編みたいとき、数cmの丈の状態では、実際の編み地の幅が50cmぐらいになっていないといけません。

これが、もしきっちり48cmだった場合、さらに編み進むにつれて編み地の形が正方形に近くなり、

横に伸びる性質が緩和されるため、幅も次第に縮んで48cmよりも狭くなってしまいます。

このように、ピッタリの寸法だから「おしっ!」とするのではなく、編み地の性質を考えた上での判断をしなければなりません。



では、ここで希望の寸法が出なさそうだったら?

幅の寸法はあとから修正がききませんので、それほど編んでいないのであれば、思い切ってほどく。

1,2cmぐらいの誤差であれば、アイロンがけのときに多少は修正可能ですので、そのまま突き進むことも(ただし、風合いは多少損なわれます)。

こういった寸法狂いを少しでも防ぐには、最初に編んだゲージを常に手元に置いておくこと。

寸法確認とともに、編み地の表情をゲージとこまめに見比べることも、結構有効です。

きっちりとした比較はできないにしても、「なんか違う」という気づきのきっかけには十分になります。



でも、ニットは伸縮性が特長なんだから、1cm単位、あるいはミリ単位の寸法を気にすることがはたして重要なのかというのも疑問ではあります。

寸法や形がわりと大雑把なものは、そこまで気にしなくていいような気がします。

一方で、カッチリとしたジャケットや、身体のラインを意識して製図したベストなどでは、そこそこ気にしたほうがいいのかもしれません。



要は、時と場合によって臨機応変ということで。

けれども、初めのうちは、可能であればなるべくキッチリと取り組むほうがいいと思います。

基礎ができていれば、あとでいくらでも崩すことはできますが、その逆は難しいですからね。





つづく


ザリーナ 内藤商事毛糸


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最終更新日  2013.09.01 20:57:31コメント(0) | コメントを書く
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