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2003.11.16
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カテゴリ: カテゴリ未分類
“Darklands”by the Jesus and Mary Chain 1987

 1987年にイギリスに行った頃、よく聴いていたアルバムは少ない。向こうでステレオを持っていなかったので、レコードを買わなかったから当然なんだけど、いつもレコード屋の前でショー・ウィンドウに並んだレコードを、指をくわえて眺めていた。
 では、よく聴いていたアルバムは「少ない」のではなく、「1枚もなかった」のではないかと、指摘されそうだが、......実は、ミュージック・テープと我が国で呼んでいたものが存在したのだ。つまり、カセットテープのことだが、いまでもホームセンターなどで、演歌や民謡のミュージック・テープを見かけるので、正確にはまだ存在しているというべきか。
 僕は、イギリスでラジオを録音してこようと思っていたので、ラジオ付きのレコーディング・ウォークマンを持って行った。したがって、ミュージックテープのアルバムを買って聴いていたものもあるのだ。因にイギリスのレコード屋では、ミュージックテープは Cassette と呼んでいた。つまり "Darklands" のアルバムは、イギリスで買ったカセットアルバム第1号だったのだ。 

 ジーザス&メリー・チェーン(以後ジザメリ)は、デビュー当時のノイジーなギターをフィーチャーしたフィードバック・サウンドが好きで、シングル盤を何枚か手に入れた。ところが、それらを集めた1st アルバム "Psycho Candy" が出た後、彼らはしばらく活動をやめてしまった。
 そして、次に彼等が活動を再開したのが、87年のこと。このアルバム "Darklands" からだった。

 この "Darklands" のアルバムの1曲目が、同名の名曲 "Darklands(ダークランズ)" だ。
 この暗さの極みのようなタイトルから想像される音は、僕に一種の恐怖感さえ与えたが、聴いてみるとこれが実に、ある意味さわやかともいえる独自の透明感のある世界を作り上げている。けれど、もちろん単に「明るい」などと到底形容できない、微妙な暗さがあるからいいのだ。

  落ち着いたミディアム・テンポの単純なメロディー・ラインのイントロは、この時点で、以前の彼等の音を想像して聴くと、一瞬「おやっ」と思うのだが、自然と歌いだしを待つ体勢に向かわせる説得力がある。

 しかし、もちろんこれは紛れもないジザメリの音とわかる。彼等の個性は何も変わらず、初めて聴いたとたんに大好きになってしまった。

 ジザメリのボーカルの最大の特徴は、低音にある。これはデビュー当時から一貫していて、彼等の曲では、この低音と普通の高音との組み合わせが、時にはスリリングに、また落ち着いた響きで、僕らに迫る。アルバム "Darklands" 以降は、ギターがおとなしくなったので、特にこれが顕著である。
 楽曲 "Darklands" では、歌いだしを低音高音が同時に "♪ I’m" と、ほんの一瞬歌ったかと思うと、それ以降はずっと高音で進んでいくのだ。で、ワンコーラスが終わろうと言う最後のフレーズ、あの印象的な "♪ I wanna move. I wanna go. I wanna go...." に、突然低音が重なる。しかもそれが、オクターブ下を歌うという大胆な入り方なのだが、これが穏やかな落ち着きを感じさせて、実にいい。
 さらにご丁寧に、3番の同じ箇所では、 "♪ I wanna go. I wanna stay. I wanna stay...." という歌詞になるのだが、この前の方の "♪ I wanna go. I wanna stay...." の箇所を低音だけに歌わせて、憎い演出をしている。やはりここはどうしても耳に残る。

 この曲を聴くと、どうしてもイギリスに渡ってしばらくの間住んでいた、小高い丘の上の家と、その窓からの景色を思い出してしまう。ようするに、その頃いつも聴いていたのだ。

 こんな風に書いてきたけれど、僕はジザメリのこともあまり詳しくは分からない。だから、ジムとウィリアムの兄弟のどちらが高音で、どちらが低音を歌っているかということすら知らない。もしかしたら、知りたいと思う人もいるだろうから、誰か分かる人がいたら教えてほしい。
 そういえば、この年の暮れ頃にジザメリは初来日しているはずだが、僕は残念なことにイギリスにいて、見に行けなかった。そのかわり2度めの来日には行ったけどね。
 ところで、今はどうしているんだろう...、ジザメリは。





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Last updated  2012.04.06 10:13:36
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